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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 C09D
審判 査定不服 4号2号請求項の限定的減縮 取り消して特許、登録 C09D
管理番号 1201218
審判番号 不服2006-27099  
総通号数 117 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2009-09-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2006-11-30 
確定日 2009-08-14 
事件の表示 平成8年特許願第292544号「黒色再現性に優れたインク組成物およびそれを用いたインクジェット記録方法」拒絶査定不服審判事件〔平成9年9月30日出願公開、特開平9-255906、請求項の数(14)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成8年11月5日(優先権主張 平成7年11月2日、同年11月20日、平成8年1月19日)の出願であって、平成16年6月15日付けで拒絶理由が通知され、同年8月10日に意見書及び手続補正書が提出され、平成18年10月27日付けで拒絶査定がなされたところ、これに対し、同年11月30日に拒絶査定に対する審判請求がなされるとともに、同年12月28日付けで手続補正書が提出された後、平成20年12月26日付けで審尋がなされ、平成21年3月6日に回答書が提出されたものである。

第2 平成18年12月28日付けの手続補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成18年12月28日付けの手続補正を却下する。

[理由]
1 本件補正
平成18年12月28日付けの手続補正(以下、「本件補正」という。)は、補正前の特許請求の範囲に、以下の請求項12を追加する補正事項を含むものである。
「前記式(II)において、Z^(1)およびZ^(2)はともに前記式(IV)または(V)で表される基であり、かつ前記式(III)において、Z^(3)およびZ^(4)はともに前記式(IV)または(V)で表される基である、請求項1?11いずれか一項に記載のインク組成物。」

2 補正の適否
そこで、上記補正が、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法(以下、「平成18年改正前特許法」という。)第17条の2第4項に掲げる事項を目的とするものであるか否かについて検討する。
(1) 平成18年改正前特許法17条の2第4項は、審判請求に伴って行われる場合における特許請求の範囲についてする補正は、同項1号ないし4号に掲げる事項を目的とするものに限る旨規定しているもので、請求項を増加させる補正は、原則として、同項で補正の目的とし得る事項として規定された「請求項の削除」(1号)、「特許請求の範囲の減縮」(2号)、「誤記の訂正」(3号)及び「明りょうでない記載の釈明」(4号)のいずれにも該当しないものと解するのが相当である。
そして、同項2号は、「特許請求の範囲の減縮(第36条第5項の規定により請求項に記載した発明を特定するために必要な事項を限定するものであって、その補正前の当該請求項に記載された発明とその補正後の当該請求項に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるものに限る。)」と規定しており、同括弧書きの文言によれば、2号において補正が認められる特許請求の範囲の減縮といえるためには、補正後の請求項が補正前の請求項に記載された発明を限定する関係にあること、並びに、補正前の請求項と補正後の請求項との間において、発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であることを必要とするとしたものである。そうすると、この「限定する」ものであるかどうか、「同一である」かどうかは、いずれも、特許請求の範囲に記載された当該請求項について、その補正の前後を比較して判断すべきものであり、補正前の請求項と補正後の請求項とが対応したものとなっていることを当然の前提としているといえる。
したがって、同号の規定は、請求項の発明特定事項を限定して、これを減縮補正することによって、当該請求項がそのままその補正後の請求項として維持されるという態様による補正を定めたものとみるのが相当であって、請求項を追加する補正(増項による補正)は、補正後の各請求項の記載により特定された発明が、全体として、補正前の請求項の記載により特定される発明よりも限定されたものとなっているとしても、上記のような対応関係がない限り、同号にいう「特許請求の範囲の減縮」には該当しないことになる。
もっとも、
ア 多数項引用形式で記載された一つの請求項を、引用請求項を減少させて独立形式の請求項とする場合や、
イ 構成要件が択一的なものとして記載された一つの請求項を、その択一的な構成要件をそれぞれ限定して複数の請求項とする場合
のように、補正前の請求項が実質的に複数の請求項を含むものであるときに、補正に際し、これを独立の請求項とすることにより、請求項の数が増加することになるとしても、それは、実質的に新たな請求項を追加するものとはいえず、実質的には、補正前の請求項と補正後の請求項とが対応したものとなっているということができるから、このような補正についてまで否定されるものではない。
(2) 以上の見解に基づいて、本件を検討することとする。
本件補正のうち請求項12を追加する補正は請求項の数を増加させるものである。そして、この増加は、
ア 多数項引用形式で記載された一つの請求項を、引用請求項を減少させて独立形式の請求項とする場合や、
イ 構成要件が択一的なものとして記載された一つの請求項を、その択一的な構成要件をそれぞれ限定して複数の請求項とする場合
には該当しない。
そして、本件補正における請求項12を追加する補正は、特許請求の範囲を全体として拡張するものではないものの、これを減縮するものでもないことは明らかであり、また、請求項の削除に該当しないことが明らかであるとともに、誤記の訂正であるということも、明りょうでない記載の釈明であるということも、できないから、平成18年改正前特許法17条の2第4項1号ないし4号のいずれにも該当しないといわざるを得ない。

3.むすび
したがって、本件補正は、平成18年改正前特許法17条の2第4項の規定に違反するので、同法159条1項において読み替えて準用する同法53条1項の規定により却下すべきものである。

第3 本願発明について
以上のように平成18年12月28日付けの手続補正は却下されたので、本願の請求項1ないし14に係る発明は、平成16年8月10日付けの手続補正書により補正された明細書からみて、その特許請求の範囲の請求項1ないし14に記載された事項により特定されるとおりのものであると認める。
そして、本願については、原査定の拒絶理由を検討してもその理由によって拒絶すべきものとすることはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2009-08-03 
出願番号 特願平8-292544
審決分類 P 1 8・ 572- WY (C09D)
P 1 8・ 121- WY (C09D)
最終処分 成立  
前審関与審査官 菅原 洋平守安 智原 健司  
特許庁審判長 唐木 以知良
特許庁審判官 原 健司
坂崎 恵美子
発明の名称 黒色再現性に優れたインク組成物およびそれを用いたインクジェット記録方法  
代理人 吉武 賢次  
代理人 横田 修孝  
代理人 紺野 昭男  
代理人 浅野 真理  
代理人 中村 行孝  

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