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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A22C
管理番号 1201394
審判番号 不服2007-9546  
総通号数 117 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2009-09-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2007-04-05 
確定日 2009-07-30 
事件の表示 特願2002-531828「ソーセージ製造装置の作動を制御する方法および装置」拒絶査定不服審判事件〔平成14年 4月11日国際公開、WO02/28191、平成16年 8月12日国内公表、特表2004-524008〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1.手続の経緯
本願は、平成13年9月27日(パリ条約による優先権主張2000年10月5日、米国)を国際出願日とする出願であって、平成14年8月6日付けの特許協力条約第34条補正の翻訳文が平成15年3月12日に提出され、同日付けの手続補正がなされ、平成18年12月19日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、平成19年4月5日に拒絶査定に対する審判請求がなされたものである。

第2.本願発明
本願の請求項1ないし4に係る発明は、平成15年3月12日付け手続補正書によって補正された特許請求の範囲1ないし4に記載された事項により特定されるとおりのものと認めるところ、請求項3の記載は以下のとおりである。
「【請求項3】 フレームと、肉エマルジョンポンプと、このポンプからの肉エマルジョンを受けるよう、ポンプに作動的に接続されており、細長い中空ソーセージケーシングの外側表面をスライド可能に受けるようになっている細長い詰め込みチューブと、前記チューブが作動的に係合する状態に移動した時にチューブ上のケーシングを受け、これを回転させるようになっているねじりアセンブリと、肉エマルジョンが充填されたケーシングをリンクするように、ねじりアセンブリの下流側においてフレームに設けられたケーシングリンクアセンブリと、前記ポンプおよびリンクアセンブリを作動させるよう、フレームに設けられた動力手段とを備える、ソーセージ詰め装置において、
前記チューブの出口端の下流側におけるケーシングの上部表面の位置を検出するように、前記チューブの出口端の下流側に位置するフレームに設けられたケーシングセンサを備え、前記ケーシングが、前記チューブの出口端から下流側に移動する際の、前記ケーシングの複数の直径に関するデータを収集するように、前記センサが所定の時間の間、ケーシングの長手方向部分をスキャンするようになっており、かつ所定時間の間に検出されるチューブの平均直径を決定するための手段が設けられており、前記平均直径を所定の直径パラメータと比較するように、コンピュータが使用されるようになっている、ソーセージ詰め装置。」(以下、請求項3に係る発明を「本願発明」という。)

第3.引用例
○引用例1
原査定の拒絶の理由に引用された特公平6-71406号公報(以下、「引用例1」という。)には、「詰め物の直径を自動的に制御する方法および装置」に関して、図面とともに、以下のとおり記載されている。

「【請求項1】詰め物の直径を所定の直径に自動的に維持する手段を備えた詰込み装置において、
(a)詰込み軸線に沿って食品を押し出すための手段であって、ケーシングに詰込みを行うための前記詰込み軸線の周りに配置されたシャー形スティックから前方に引出されるケーシング内に食品を押出す手段と、
(b)前記シャー形スティックから前方に引き出されるケーシングに接触してこれを押圧するよう配置された調節可能なケーシング引張り手段とを有しており、該ケーシング引張り手段は、ケーシングに作用する引張り力の増減を行うため調節することができ、
(c)直径方向に対向して配置され且つ前記詰込み軸線を横切る平面内で互いに独立に運動できるように支持された少なくとも一対のシューと、前記シューを前記詰込み軸線の方向に偏位させてケーシングの両側から接触させるそれぞれの支持手段とを具備した、ケーシングの詰込み直径を監視する検出手段、
(d)前記各シューに作動結合されて前記所定の直径からの詰込み直径の偏差を表す電気制御信号を発生する検出手段、及び
(e)前記調整可能なケーシング引張り手段に作動的に結合されておりかつ前記シャー形スティックから前方に引出されるケーシングに作用する引張り力を調整すべく前記電気制御信号に応答して駆動される電気モータ、
を有することを特徴とする詰め物の直径を所定の直径に自動的に維持する手段を備えた詰込み装置。
【請求項2】前記電気制御信号発生手段が、
(a)前記シューに作動的に連結されておりかつ所定の位置から各シューの変位を表す電気パルスとしてのデータを発生するデジタルエンコーダと、
(b)前記電気パルスを入力されて前記電気モータを駆動する前記電気制御信号を出力するマイクロコンピュータとを備えていることを特徴とする請求項に記載の詰込み装置。
【請求項3】(中略)
【請求項4】前記マイクロコンピュータが、詰め物の詰込み長さにわたり所定の間隔で前記エンコーダから入力されるデータを記憶するメモリー部を備えており、前記マイクロコンピュータは前記記憶されたデータを利用して、詰め物の長さ方向に沿う詰込み直径の平均偏差を表す前記制御信号を発生することを特徴とする請求項2に記載の詰込み装置。」(【特許請求の範囲】【請求項1】?【請求項4】)

「【発明の詳細な説明】
本発明はケーシングに詰込み作業を行うときに、中身が詰込まれたケーシングの直径を自動的に制御する方法および装置に関する。
或る種の加工食品(例えば、ハム、ソーセージ等)については、美的、経済的および品質管理の観点から、中身が詰込まれたケーシングの直径が、その全長に亘って実質的に均一になるようにケーシングに詰込むことが要求される。」(公報第3頁第5欄第16?24行)

「自動詰込み機においてはシャー形(すなわちギャザのついた)スティックの形状をなすケーシングが使用され、単一のスティックから複数の詰め物すなわち「ログ」を製造することができるようになっている。」(公報第3頁第5欄第行34?37行)

「詰め物の直径は、ケーシングの伸延性、含水率、詰込み作業中にケーシングに作用する引張り力および詰込み圧力により決められる。」(公報第3頁第5欄第行44?46行)

「本発明の1つの目的は、ケーシングに中身を詰込むときに、詰込まれたケーシングの直径を制御する装置および方法を提供することにある。
本発明の他の目的は、中身が詰込まれたケーシングの直径の変化に直接応答して、ケーシングに作用する引張り力を変化させ、これにより詰め物の全長に亘って実質的に均一な直径をもつ詰め物を製造することができるようにした電子-機械装置を提供することにある。」(公報第4頁第7欄第13?20行)

「本発明の1つの実施例である詰込み装置は次のように構成されている。すなわち、詰め物の直径を所定の直径に自動的に維持する手段を備えた詰込み装置において、
(a)詰込み軸線に沿って食品を押出すための手段であって、ケーシングに詰込みを行うための前記詰込み軸線のまわりに配置されたシャー形スティックから前方に引出されるケーシング内に食品を押出す手段と、
(b)前記シャー形スティックから前方に引出されるケーシングに接触してこれを押圧するように配置された調節可能なケーシング引張り手段とを有しており、該ケーシング引張り手段は、ケーシングの詰込み直径を変えるべくケーシングに作用する引張り力の増減を行うため調節することができ、
(c)ケーシングの詰込み直径を監視しかつ前記所定の直径からの詰込み直径の偏差を表す電気制御信号を発生する検出手段と、
(d)前記調節可能なケーシング引張り手段に作動的に連結されておりかつ前記シャー形スティックから前方に引出されるケーシングに作用する引張り力を調節すべく前記電気制御信号に応答して駆動される電気モータとを有すること特徴とする詰め物の直径を所定の直径に自動的に維持する手段を備えた詰込み装置として構成されている。」(公報第4頁第7欄第31行?第8欄第3行)

「第1図は、再発行特許第30,390号に開示されたものとほぼ同じ形式の詰込み機を示すものである。この詰込み機は詰込み軸線14に沿って配置された詰込みホーン(スタッフィングホーン)12を有しており、該詰込みホーン12によってケーシング16(該ケーシング16は詰込み軸線14に沿って前方に引出される)内に食品(中身)15を押出すようになっている。」(公報第4頁第8欄第24?30行)

「慣用的な手段として更に、所望の長さのケーシングが詰込まれた後に、ケーシングを絞り込み、封鎖し、切断するためのクリッパキャリッジが設けられているが、図示されてはいない。」(公報第5頁第9欄第23?27行)

「第1図に示すように、自動サイズ制御装置40には、詰め物の直径方向に対向する位置に少なくとも2つのシュー42を設けるのが望ましい。また、浮動構造体44には、レバーアーム36を使用することもできるが、番号34で示すような平行リンク機構として構成するのが望ましい。平行リンク機構34が望ましい理由は、詰め物すなわちログ32の直径方向に対向して配置された2つのシュー42が、ログ32の直径の変化に応答して動くときに、両シュー42を互に平行かつ同一平面内に維持できるからである。」(公報第5頁第9欄第40?49行)

「各シュー42の運動はエンコーダ46によって電気的なパルスの流れに変換され、パルスの数は予め定められた或る位置からのシュー42の偏差(変位)を表すものとなる。各エンコーダ46からのパルスの流れは、マイクロコンピュータ48(第1図、第4図)に入力される。」(公報第5頁第10欄第28?32行)

「本発明の1つの実施例においては、マイクロコンピュータ48は、エンコーダ46からの瞬間情報に応答する電気制御信号を出力するようになっている。このようにして、ログ32が製造されているときにケーシング作用する引張り力を調節でき、詰め物の全長に亘って実質的に一定の直径を持つ詰め物を製造することができる。
瞬間応答制御は一端から他端にかけてテーパしているログを製造する場合にも用いることができ、この場合、ログの直径が一端において設定された直径から他端の大きさ(又は小さな)直径へと徐々に変化するように制御する。(中略)
本発明の別の実施例によれば、マイクロコンピュータには、第1のログの長さ沿って、所定間隔で検出したエンコーダのデータを記憶させるメモリ部分47(第1図)が設けてある。マイクロコンピュータ48はこのデータを平均化して、次のログの詰込み作業を開始する前にスリーブ18の適当な補正運動を行う。この場合、各ログは、詰込まれるべき次のログの補正をするための基準になる。この実施例においては、シュー42は、各ログが詰込まれる際にその「基準」ログを測定できるように配置するか(例えば第2図に示すように)、あるいは、ケーシングが絞り込まれて封鎖された後のログを測定できる位置に配置することができる。
第2図および第3図に最も良く示すように、3つの平行運動リンク機構34およびレバーアーム36は、2枚の平行板56、58からなるフレームにより支持されている。これらの平行板56、58は詰込み軸線14を横切るように配置されていて、該詰込み軸線14に対して垂直な平面内で平行運動リンク機構34の運動が行われるようになっている。これらの3つの平行運動リンク機構34は、各リンク機構が設けられている位置(すなわち第2図に示すように、ログの頂部、右側又は左側)によって対応する各コンポーネントの形状が異なってはいるが、実質的に同じ機構である。」(公報第5頁第10欄第44行?第6頁第11欄第38行)

そして、第1図によれば、シュー42はホーン12の下流側に位置していることが示され、第2図によれば、シュー42の支持手段は縦方向と横方向にあることが示されている。

以上によれば、引用例1には、
「ケーシングに詰込みをしてソーセージを製造する装置であって、
詰込み軸線に沿って食品を押し出すための手段であって、ケーシングに詰込みを行うための前記詰込み軸線の周りに配置されたシャー形スティックから前方に引出されるケーシング内に食品を押出すホーン12を備え、
直径方向に対向して配置され且つ前記詰込み軸線を横切る平面内で互いに独立に運動できるように支持された少なくとも一対のシューと、前記シューを前記詰込み軸線の方向に偏位させてケーシングの両側から接触させるそれぞれの支持手段を縦方向と横方向に具備した、ケーシングの詰込み直径を監視する検出手段を、ケーシング内に食品を押出すホーン12の下流側に配置し、検出手段はケーシングの詰込み直径を、ログの長さに沿って、所定間隔で検出するものであり、
マイクロコンピュータには、第1のログの長さに沿って、所定間隔で検出したエンコーダのデータを記憶させるメモリ部分47が設けてあり、マイクロコンピュータ48はこのデータを平均化して、次のログの詰込み作業を開始する前にスリーブ18の適当な補正運動を行う、ソーセージ製造装置」
との発明(以下、「引用例発明1」という。)が開示されていると認められる。

○引用例2
同じく、原査定の拒絶の理由に引用された国際公開第00/03603号パンフレット(2000年1月27日)(以下、「引用例2」という。)には、「METHOD AND MEANS FOR CONTROLLING THE VARIATIONS IN WEIGHT OF EXTRUDED SAUSAGES(押出ソーセージの重量変動を制御するための方法及び装置)」に関して、図面とともに、以下のとおり記載されている。なお、和訳は、関連する日本国内出願特願2000-559747号の公表公報特表2003-522518号公報による。

「Such checks are simply done by weighing one or more sausages as they come crimp/cut or linked from the linking device.(断続的な重量点検は、リンク形成装置(ソーセージストランドを撚ることによって鎖状につながったソーセージのリンクを形成する装置)からクリンプされカットされて、あるいは、リンク形成されて出てきた1個又は複数個のソーセージを計重することによって単純に行われる。」(公報第1頁第19?20行)

「The numeral 10 designates an existing coextruding machine suitable for the conveyor of this invention. The numeral 12 is a meat emulsion hopper using a meat pump machine 14 for pumping emulsified meat.(図において、10は、本発明のベルトコンベヤに適する在来の同時押出装置を示す。12は、肉エマルジョン(乳化された肉)を押出すための肉エマルジョンポンプ14を用いる肉エマルジョンホッパーである。)」(公報第3頁第22?24行)

「Coextruder 24 with detachable nozzle 24A is connected by tube 25 to the meat pump 14.(肉エマルジョンポンプ14は、チューブ25によって同時押出機24に接続されている。)」(公報第3第28?29行)

「Since the density of the strand is essentially coinstant, any variations in the diameter of the strand 26 are directly proportional to the weight or density of the strand per unit length. Thus, if the nozzle 24A is 10mm in diameter, the controller 92 from the signal provided by lasers 88 will advise the controller 92 of any variations in the diameter of strand 26 at the discharge end 40 of conveyor 49. If the sensed diameter of the strand 26 has decreased,(such as by stretching of the strand), this decrease will be senced by the controller 92 as described above. An electronic signal will be sent from the controller 92 to the power input motor 96 of pump 14 to increase the output of meat emulsion to extruder 24. This will cause diameter, and hense the weight, of the finished strand 26 at bushing end 40 to be increased commensurate with a predetermined diameter of a known weight consistant with the 10mm nozzle being used in the program. The above procedure is reversed if the sensed diameter of the strand at end 40 is oversize.(ストランド26の密度は実質的一定であるから、ストランドの直径の変化は、ストランドの単位長さ当たりの重量又は密度に正比例する。従って、ノズル24Aの直径が10mmであるとすると、制御器92は、レーザー88によって供給される信号に基づいてコンベヤ49の排出端40におけるストランド26の直径の変動を検出することができる。レーザー即ちセンサー88によって検出されたストランド26の直径が(例えば、ストランドの伸張等により)減小していた場合は、その減小が上述したように制御器92によって検出される。それに基づいて、制御器92からポンプ14のパワー入力モータ96へ電子信号が送られ、押出機24への肉エマルジョンの吐出流量を増大させる。その結果、コンベヤ49の排出端40における最終ストランド26の直径、従って、重量をそのプログラムに用いられる10mm径のノズル24Aと一致した既知の重量の所定直径に比例して増大させる。排出端40におけるストランド26の直径が過大である場合は、上述したのと逆の手順で調整が行われる。)」(公報第6頁第14?26行)

「The controller 92 may be comprised of one or more computers wherein a first computer performs the mathematics from the signals received from the sensors 88 to calculate the diameter of the sensed strand. The first computer can then transmit the measured diameter data to the second computer for comparison to predetermined diameter data, whereupon the second computer can exercise control over the pump speed, as required, to compensate for diameter variations. If desired, the second copmuter can respond to average measured diameter readings, rather than individual readings, whereupon the second computer will respond to average measured readings rather than individual readings. The lasers 88, for example, can receive measured diameter data from a strand of up to 50 scans per second over a 40 second period, if average diameters were to be used.(制御器92は、1台又は複数台のコンピュータで構成することができる。2台のコンピュータで構成した場合、第1コンピュータは、センサー88から受け取った信号から代数計算を実施して検出されたストランドの直径を算出する。次いで、第1コンピュータは、その測定された直径データを所定の直径データと比較するために第2コンピュータへ送り、第2コンピュータは、直径の変動を補償するために必要に応じてポンプの速度に対する制御を実施することができる。所望ならば、第2コンピュータは、測定された直径の個々の読取値ではなく、平均読取値に応答して対処するようにすることもでき、それに基づいて第2コンピュータは、測定された直径の個々の読取値ではなく、平均読取値に応答する。平均直径読取値が用いられる場合は、例えば、レーザー88は、ストランドから40秒間の間に1秒当たり最高50のスキャンの測定直径データを受け取るようにすることができる。)」(公報第6頁第27行?第7頁第5行)

「The comtroller 92 is also operationally connected to the motor 98 of linker 100 which receives the strand 26 as it leaves conveyor end 40. The controller 92 operates the linker 100 at constant speed for given nozzle 24A, and automatically increases the rotational speed of linker motor 98 and pump motor whenever the touch screen 94 is notified manually that a nozzle of different diameter is being used with extruder 24.(制御器92は、コンベヤの排出端40から排出されたストランド26を受け取るリンク形成機(リンカー)100のモータ98にも接続されている。制御器92は、リンカー100を所与の直径のノズル24Aに対して一定の速度で作動させ、押出機24のノズル24Aが異なる直径のものと交換されることをタッチスクリーン94を介して手操作で報知されると、自動的にリンカーモータ98及びポンプモータの回転速度を増減させる。)」(公報第7頁第6?10行)

「Such electronic program may be likewise used for a second preferred method, by which the weight consistency determination, is accomplished by determining the sausage strand diameter consistency. In this method an electronic sensing means is employed(an electronic eye or laser beams 90) to measure the diameter of sausage strand as it exits the coextruder. The sausage strand outer volume or its diameter is in direct correlation with its weight, therefor diameter changes to the coextruded sausage strand can be measured and translated into commands to the meat supply system(e.g., pump 14).(そのような電子プログラムは、ソーセージストランドの直径コンシステンシーを測定することによって重量コンシステンシーを測定する第2の好ましい方法も用いることができる。この方法では、同時押出機から吐出されて移動するソーセージストランドの直径を測定するために電子検出手段(電子眼又は電子視覚又はレーザービーム90)が用いられる。ソーセージストランドの外径容積又はその直径は、その重量と比例関係にあり、従って、同時押出しされたソーセージストランドの直径の変動を測定し、その結果を肉エマルジョン供給装置(例えば、ポンプ14)への指令に変換することができる。)」(公報第8頁第23?29行)

以上によれば、引用例2には、「ソーセージ製造装置において、肉エマルジョンポンプを使用し、肉エマルジョンの吐出流量の増減によって、ソーセージストランドの直径を増減させること。」との発明が開示されていると認められる。
また、引用例2には、「リンク形成機が、ソーセージ押出機に接続されており、1つの制御器によって、これらの機器がまとめて制御される。」点も開示されている。
以上2点を以下、「引用例発明2」という。
なお、引用例2には、ストランドの直径の個々の読取値ではなく、「平均読取値」に応答して対処することも記載されている。

第4.対比・判断
本願発明と引用例発明1とを比較すると、ケーシングに詰込みをしてソーセージを製造する装置である点で、両者は共通している。
そして、後者の「詰込み軸線に沿って食品を押し出すための手段であって、ケーシングに詰込みを行うための前記詰込み軸線の周りに配置されたシャー形スティックから前方に引出されるケーシング内に食品を押出すホーン12」は、前者の「細長い中空ソーセージケーシングの外側表面をスライド可能に受けるようになっている細長い詰め込みチューブ」に相当する。
そして、後者の「直径方向に対向して配置され且つ前記詰込み軸線を横切る平面内で互いに独立に運動できるように支持された少なくとも一対のシューと、前記シューを前記詰込み軸線の方向に偏位させてケーシングの両側から接触させるそれぞれの支持手段とを具備した、ケーシングの詰込み直径を監視する検出手段」は、ケーシング内に食品を押出すホーン12の下流側に配置されたものであるから、前者の「前記チューブの出口端の下流側におけるケーシングの上部表面の位置を検出するように、前記チューブの出口端の下流側に位置するフレームに設けられたケーシングセンサ」に相当し、さらに、後者の検出手段はケーシングの詰込み直径を、縦方向と横方向から監視し、ログの長さに沿って、所定間隔で検出するものであるから、前者の、「前記ケーシングが、前記チューブの出口端から下流側に移動する際の、前記ケーシングの複数の直径に関するデータを収集するように、前記センサが所定の時間の間、ケーシングの長手方向部分をスキャンするようになって」いる点に相当するものであるということができる。

してみれば、両者の一致点は以下のとおりである。
<一致点>
「細長い中空ソーセージケーシングの外側表面をスライド可能に受けるようになっている細長い詰め込みチューブと、
前記チューブの出口端の下流側におけるケーシングの上部表面の位置を検出するように、前記チューブの出口端の下流側に位置するフレームに設けられたケーシングセンサを備え、前記ケーシングが、前記チューブの出口端から下流側に移動する際の、前記ケーシングの複数の直径に関するデータを収集するように、前記センサが所定の時間の間、ケーシングの長手方向部分をスキャンするようになっている、ソーセージ詰め装置。」

そして、以下の点で相違している。

<相違点1>
本願発明は、「フレーム」を備えるのに対して、引用例発明1がフレームを備えるか否かは不明である点。

<相違点2>
本願発明は、「肉エマルジョンポンプ」を備えるのに対して、引用例発明1がそのようなポンプを備えるか否かは不明である点。

<相違点3>
本願発明は、「前記ポンプおよびリンクアセンブリを作動させるよう、フレームに設けられた動力手段」を備えるのに対して、引用例発明1がそのような動力手段を備えるか否かは不明である点。

<相違点4>
本願発明は、「前記チューブが作動的に係合する状態に移動した時にチューブ上のケーシングを受け、これを回転させるようになっているねじりアセンブリと、肉エマルジョンが充填されたケーシングをリンクするように、ねじりアセンブリの下流側においてフレームに設けられたケーシングリンクアセンブリ」を備えるのに対して、引用例発明1がそのようなアセンブリを備えるか否かは不明である点。

<相違点5>
本願発明は、「かつ所定時間の間に検出されるチューブの平均直径を決定するための手段が設けられており、前記平均直径を所定の直径パラメータと比較するように、コンピュータが使用される」のに対して、引用例発明1がそのような手段備え、そのようにコンピュータが使用されるかは不明である点。

<相違点1>について検討する。
ソーセージ製造装置に限らず、広く製造装置一般において、フレームを備えて機器を構成するのは、周知の事項であって、当業者にとって相違点1を採用した点に何らの困難性はない。

<相違点2>について検討する。
引用例発明2において、肉エマルジョンポンプをソーセージ製造装置に用いることが示されている。
そして、引用例発明2の「ストランドの直径」は、本願発明の「ケーシングの直径」に相当することは明らかである。
以上のとおり、相違点2に係る本願発明の構成は引用例発明2に示されているということができ、製品の直径を一定にするという点でも、引用例発明1と引用例発明2は共通しているから、これらを組み合わせるにあたっての阻害要因があるとすることもできない。
してみれば、相違点2に係る構成の違いは、引用例発明1に引用例発明2を組み合わせたにすぎないものであり、当業者が容易に想到し得たものである。

<相違点3>について検討する。
相違点1についての検討と同様に、ソーセージ製造装置に限らず、広く製造装置一般において、動力手段を備えて機器を構成するのは、周知の事項であって、当業者にとって相違点3を採用した点に何らの困難性はない。

<相違点4>について検討する。
ソーセージ製造においては、詰込みの後に、捻ってリンクさせることは周知の事項であって、引用例発明2においても「リンク形成機」をソーセージ詰込み機の後に接続することが示されている。
してみれば、相違点2に係る構成の違いは、引用例発明1に引用例発明2を組み合わせたにすぎないものであり、当業者が容易に想到し得たものである。

<相違点5>について検討する。
ソーセージ製造装置に限らず、広く製造装置一般において、検出値の平均値を設定値と比較して制御を行うことは例示するまでもなく従来周知の事項であって、当業者にとって相違点5を採用した点に何らの困難性はない。

○作用ないし効果について
本願発明の作用ないし効果も引用例発明1、引用例発明2に記載の発明及び周知事項から当業者が予想できる範囲のものである。

○なお、請求人は、請求項1に係る発明と引用例とを対比し、
「引用例1及び2では、ソーセージの製造段階での異常を検出した時に、装置を常に停止させる手段が設けられておりません。また、引用例3では、機械的部材である回転ローラが用いられており、破損したり誤動作したりするおそれがあります。
これに対し、本発明では、ソーセージを製造している時に異常が検出されると、コンピュータから動力手段に信号が送られ、それにより装置が停止するようになっており、また、回転ローラを用いる必要がないので装置の構造を簡略化することができます。さらに、本発明では、スキャン装置の領域に、搬送ピンチャー及びねじり誘導バタフライが侵入するので、複数の直径が読み取られ、平均直径が決定されるようになっております。そのため、スキャン装置は、チューブのねじり部を検出するようになっております。平均直径が用いられない場合、装置は、リンクの小径のねじり部を考慮せず、従って、ねじり部を検出するたびに、直径が好ましいものではないと判断し、良好なソーセージが破棄されるおそれがあります。ソーセージストランドを連続的に移動させず、一時停止させて直径をスキャンするか、または、平均直径を用いることにより、上述した現象を防止することができます。ソーセージを製造する際に最も重要なことは、装置が、できる限り迅速にソーセージを提供できることであり、最も好ましい装置は、連続して駆動するとともに、基準の直径と一致しないソーセージを検出するものであります。本発明の装置は、平均直径を用いることにより、連続的に駆動でき、かつ、ソーセージが適切な直径となっているか否かを検出することができるようになっております。」と主張している。
この主張について検討すると、第2.本願発明において述べたように、請求項3に係る本願発明の発明特定事項には、「ソーセージの製造段階での異常を検出した時に、装置を常に停止させる手段」はなく、また、「スキャン装置の領域に、搬送ピンチャー及びねじり誘導バタフライが侵入するので、複数の直径が読み取られ」る点の根拠となる発明特定事項もない。
そして、「平均直径」を用いる点については、相違点5についてで述べたように、当業者が容易に想到し得たものである。

したがって、請求人の上記主張は採用できない。

第5.むすび

以上のとおり、本願発明は、引用例発明1、引用例発明2、及び周知事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができず、本願は、その余の請求項に係る発明についてみるまでもなく、拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
 
審理終結日 2009-02-18 
結審通知日 2009-02-24 
審決日 2009-03-09 
出願番号 特願2002-531828(P2002-531828)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (A22C)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 杉山 豊博  
特許庁審判長 前田 幸雄
特許庁審判官 佐々木 一浩
菅澤 洋二
発明の名称 ソーセージ製造装置の作動を制御する方法および装置  
代理人 竹沢 荘一  
代理人 中馬 典嗣  

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