• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 B41F
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 B41F
審判 査定不服 4号2号請求項の限定的減縮 特許、登録しない。 B41F
管理番号 1201749
審判番号 不服2006-21404  
総通号数 117 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2009-09-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2006-09-25 
確定日 2009-08-06 
事件の表示 平成 8年特許願第135842号「空気を減少させた洗浄ファブリックを使用する洗浄システムおよびその製造方法」拒絶査定不服審判事件〔平成 8年11月19日出願公開、特開平 8-300635〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1.手続の経緯
本願は、平成8年5月1日(パリ条約による優先権主張:1995年5月1日、米国)に出願したものであって、平成18年6月23日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、同年9月25日付けで拒絶査定に対する審判請求がなされるとともに、同年10月24日付けで明細書についての手続補正がなされたものである。

第2.平成18年10月24日付けの手続補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成18年10月24日付けの手続補正(以下、「本件補正」という。)を却下する。
[理由]
1.補正の内容
本件補正は、特許請求の範囲についての補正であり、補正前後の請求項の数は、いずれも26であり、記載ぶりからして、補正前の請求項1?26 は、補正後の請求項1?26にそれぞれ対応するものと認められる。本件補正により、特許請求の範囲の請求項1は、以下のように補正された。(下線は補正箇所を示すために当審で付した。)
<補正前>(平成18年5月1日付け手続補正書参照。)
「印刷機のシリンダを洗浄する装置であって、
機械的手段によって1?50%減少させた空気含有量を有する、空気含有量を減少させた洗浄ファブリックと、
周囲温度で容易に蒸発しない低い揮発性の洗浄化合物からなる溶剤と、前記印刷機のシリンダを洗浄することができる量の前記溶剤を前記空気含有量を減少させた洗浄ファブリック内に導入する手段とからなる装置。」

<補正後>
「印刷機のシリンダを洗浄する予含浸洗浄システムであって、
コアと、
機械的手段によって1?50%減少させた空気含有量を有し、前記コアのまわりに巻かれた空気含有量を減少させた洗浄ファブリックと、
周囲温度で容易に蒸発しない低い揮発性の洗浄化合物からなる溶剤と、前記印刷機のシリンダを洗浄することができる量の前記溶剤を前記空気含有量を減少させた洗浄ファブリック内に導入する手段とからなり、前記ファブリックが前記印刷機に配置される前、前記溶剤が前記空気含有量を減少させた洗浄ファブリックに導入されることを特徴とするシステム。」

2.補正目的についての検討
補正前の発明を特定する事項は、「洗浄ファブリック」と「溶剤」と「導入する手段」であって、そのような発明を特定する事項からなるものを「印刷機のシリンダを洗浄する装置」と称していたものである。
一方、補正後の発明を特定する事項は「コア」と「洗浄ファブリック」と「溶剤」と「導入する手段」であって、そのような発明を特定する事項からなるものを「印刷機のシリンダを洗浄する予含浸洗浄システム」と称している。
上記請求項1についての補正は、補正前には、存在しなかった「コア」という新たな発明を特定する事項を加えているものであるから、請求項に記載した発明を特定するために必要な事項を限定するものとはいえず、平成14年法律第24号改正附則第2条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法(以下、「改正前の特許法」という。)第17条の2第4項第2項に規定する事項を目的とするものではない。
また、上記請求項1についての補正は、請求項の削除でも誤記の訂正でも、明りょうでない記載の釈明(拒絶理由通知に係る拒絶の理由に示す事項についてするものに限る)でもないことは明らかであるから、改正前特許法第17条の2第4項第1、3、4号に規定する事項を目的とするものでない。
したがって、上記請求項1についての補正を含む本件補正は、改正前特許法第17条の2第4項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

3.独立特許要件について
上記のように、本件補正は、補正目的に違反しているが、請求項1についての補正は、「コア」という発明特定事項を加え、洗浄ファブリックについて、「前記コアのまわりに巻かれた」という限定を付し、「前記ファブリックが前記印刷機に配置される前、前記溶剤が前記空気含有量を減少させた洗浄ファブリックに導入される」という限定を付し、「コア」と「洗浄ファブリック」と「溶剤」と「導入する手段」からなるものを「印刷機のシリンダを洗浄する予含浸洗浄システム」と称したものであるから、請求の範囲を減縮しているので、念のため、独立特許要件についても検討しておく。

(1)本願補正発明
補正後の請求項1に係る発明(以下、「本願補正発明」という。)を再掲すると、以下の通りである。
「印刷機のシリンダを洗浄する予含浸洗浄システムであって、
コアと、
機械的手段によって1?50%減少させた空気含有量を有し、前記コアのまわりに巻かれた空気含有量を減少させた洗浄ファブリックと、
周囲温度で容易に蒸発しない低い揮発性の洗浄化合物からなる溶剤と、前記印刷機のシリンダを洗浄することができる量の前記溶剤を前記空気含有量を減少させた洗浄ファブリック内に導入する手段とからなり、前記ファブリックが前記印刷機に配置される前、前記溶剤が前記空気含有量を減少させた洗浄ファブリックに導入されることを特徴とするシステム。」

(2)引用刊行物
(a)原査定の拒絶の理由に引用され、本願優先権主張日前に頒布された米国特許明細書第5368157号明細書(以下、「刊行物1」という。)には、以下の記載が図示とともにある。(翻訳文は、特開平7-156372号公報の記載を採用する。)

ア.「This invention relates to a cleaning system for use to clean the cylinders of printing machines. More particularly, the invention relates to a pre-packaged, pre-soaked blanket cleaning system to clean the cylinders of printing machines. While the invention is disclosed as it applies to the cleaning of the cylinders of printing machines for the sake of simplicity, it is to be understood that it can also be utilized to clean the cylinders of other types of machinery. 」(第1欄第6?14行)
(【0001】
・・・この発明は、印刷機のシリンダをクリーニングするクリーニングシステムに関するものである。特に、この発明は、印刷機のシリンダをクリーニングする包装され、含浸されたブランケットクリーニングシステムに関するものである。便宜上、ここでは印刷機のシリンダをクリーニングするものを説明するが、この発明を他の形式の機械のシリンダのクリーニングに利用することもできる。)
イ.「In a more specific aspect of the method, the strip of cleaning fabric is wrapped around the elongated cylindrical core to form a roll before contacting the strip of cleaning fabric with solvent. 」(第2欄第48?51行)
(【0008】方法の他の特徴において、クリーニングファブリックのストリップが溶剤と接触する前、クリーニングファブリックのストリップが細長い円筒状コアのまわりに巻かれ、ロールが形成される。)
ウ.「In yet another more specific aspect of the method, the cleaning fabric is contacted with the low volatility organic compound solvent after the fabric is wrapped on the cylindrical core to form a roll by immersing the wrapped fabric roll in the solvent at ambient pressure and temperature and then drained at ambient pressure and temperature to remove excess solvent. 」(第2欄第57?63行)
(【0010】方法の他の特徴において、ファブリックが円筒状コアに巻かれ、ロールが形成された後、巻かれたファブリックロールが周囲圧力および温度で溶剤に沈められ、周囲圧力および温度で排液され、過度の溶剤が取り除かれ、これによってクリーニングファブリックが低揮発性有機化合物溶剤と接触する。)
エ.「Referring now to FIG. 1, a pre-packaged, pre-soaked cleaning system according to the invention comprises an elongated cylindrical core 11 made from, for example, relatively heavy cardboard of sufficient strength so that it can support thereon a pre-soaked fabric roll 13 of paper or cloth. On the other hand, if desired, the core may also be made of metal, such as steel, aluminum and the like. The fabric is pre-soaked and saturated to equilibrium with low volatility organic compound solvent, as described in more detail hereinbelow, before or after it is wrapped around the core 11 to form roll 13 in any convenient manner and the roll is then inserted in a sleeve 15 made of heat-sealable or heat-sealable and heat-shrinkable plastic material which is heat-sealed along its edge 17 or heat-shrunken and heat-sealed along its edge 17, so that sleeve 15 is in intimate contact with the fabric roll 13. The core 11 is also preferably provided with engagement means 19, such as ball bearings or the like, or with other suitable means, for reception of a shaft 21 (FIG. 2) located on an appropriate machine, such as a printing machine or the like (not shown) provided with a take-up roll to take-up cleaning fabric after it has achieved its cleaning function. 」(第3欄第56?第4欄第10行)
(【0017】
・・・図1に示されているように、この発明の包装され、含浸されたクリーニングシステムは、例えば十分大きい強度の比較的重い厚紙で製造された細長い円筒状コア11からなり、それは紙または布帛の含浸されたファブリックロール13を支持することができる。コアをスチール、アルミニウムなどの金属で製造することもできる。ファブリックがコア11に巻き取られ、ロール13が形成される前、またはその後、後述するように、ファブリックに低揮発性有機化合物溶剤が平衡状態で含浸され、染み込み、その後、ロールが熱シール性または熱シールおよび熱収縮性プラスチック材料で製造されたスリーブ15に挿入され、これがそのエッジ17に沿って熱シールされるか、またはそのエッジ17に沿って熱収縮および熱シールされ、スリーブ15がファブリックロール13に緊密に接触する。コア11にシャフト21(図2)を収容するボールベアリングなどの係合手段またはその他の適宜の手段が設けられ、シャフトが印刷機などの適宜の機械(図示せず)上に配置され、これに巻取ロールが設けられ、クリーニング作用の達成後、巻取ロールにクリーニングファブリックが巻き取られることが好ましい。)
オ.「The fabric from which the fabric roll is made may vary widely. For example, it may be made of paper or cloth. In those cases where a cloth fabric is employed, it may be a woven or a non-woven cloth fabric made of synthetic or natural fibers or mixtures of the same. Exemplative, but not limitative, of suitable synthetic fibers which may be used in the cloth fabrics are polyester fibers, rayon fibers, nylon fibers, and acrylic fibers and the like. Exemplative, but not limitative, of the natural fibers which may be employed are cotton fibers, wood pulp fibers and hemp fibers and the like. 」(第4欄第38?48行)
(【0021】ファブリックロールが製造されるファブリックは様々である。例えば、それは紙または布帛で製造したものであってもよい。布帛のファブリックが使用される場合、それは合成または天然繊維の製織または不織布またはその混合物であってもよい。布帛のファブリックに使用することができる合成繊維は、ポリエステル繊維、レーヨン繊維、ナイロン繊維、およびアクリル繊維などである。使用することができる天然繊維は、コットン繊維、木材パルプ繊維、および麻の繊維などである。)
カ.「The low volatility organic compound solvent employed in carrying out the practice of this invention may vary widely and generally it includes at least one low volatility organic compound solvent which does not readily evaporate, as well as mixtures of the same with similar low volatile organic compound solvents or with normally volatile organic compound solvents. Exemplative, but not limitative, of suitable solvent materials of this type are organic compound solvents selected from vegetable oils and citrus oil and the like. Generally, such solvent materials have a volatility in a range of from about zero up to about 30.0 percent, and preferably a volatility in a range of from about zero percent to about 20.0 percent, determined by routine testing methods. It is to be understood that within the purview of this invention, such suitable solvents also include normally volatile organic compound solvents, that is, those which readily evaporate and which are selected from mineral spirits and aliphatic hydrocarbon solvents and the like. Such solvent materials generally have a volatility of from zero up to about 100 percent determined by routine testing methods. 」(第5欄第20?41行)
(【0026】この発明の実施に使用される低揮発性有機化合物溶剤は様々であり、一般に、それは容易に蒸発しない少なくとも1つの低揮発性有機化合物溶剤、およびそれと同様の低揮発性有機化合物溶剤または通常の揮発性有機化合物溶剤との混合物を含む。このタイプの適宜の溶剤材料は、野菜油および柑橘類油などから選定される有機化合物溶剤である。一般に、このような溶剤材料はおよそゼロからおよそ30.0パーセントの範囲の揮発性をもち、およそ0パーセントからおよそ20パーセントの範囲の揮発性をもつことが好ましく、これもルーチン試験方法で測定される。適宜の溶剤は通常の揮発性有機化合物溶剤、すなわちミネラルエキスおよび脂肪族炭化水素溶剤などから選定される容易に蒸発するものを含む。このような溶剤材料は時間当たりゼロから100パーセントの揮発性をもち、それもルーチン試験方法で測定される。)
キ.「In a variation of the method, the fabric is preferably wrapped around the core before contacting the same with the solvent. Wrapping of the fabric on the cylindrical core can be done in any convenient manner and requires no special apparatus, a wide variety of roll making equipment being readily available for accomplishing the same. 」(第6欄第8?14行)
(【0029】方法の変形例において、溶剤と接触する前、ファブリックがコアのまわりに巻き取られることが好ましい。通常の方法でファブリックを円筒状コアに巻き取ることができ、特別の装置は要求されず、種々のロール製造装置によってこれを達成することができる。)
ク.「However, it is within the purview of the invention that the fabric strip be immersed or transported through a tank of appropriate solvent in a substantially horizontal direction either before or after, and preferably after, it has been wrapped on the core to form a roll. After saturation has taken place, the saturated fabric is preferably simply suspended in a position to permit excess solvent to drain off and be collected in a trap for reuse. 」(第6欄第63行?第7欄第2行)
(【0034】しかしながら、コアに巻き、ロールを形成する前、またはその後、ファブリックストリップを適当な溶剤のタンクに実質上水平方向に沈め、搬送することもできる。含浸後、含浸されたファブリックを簡単に適所に吊り下げ、過度の溶剤を排液し、トラップに回収し、これを再利用することができる。)
ケ.「Wrapping of the fabric on the elongated cylindrical core to form a roll, as well as draining thereof, may also take place at ambient temperature and pressure. When saturation and wrapping to form a roll are completed, the roll is inserted in the heat-sealable or heat-shrinkable and heat-sealable plastic sleeve and the sleeve is heat-sealed and/or heat-shrunk and heat-sealed at a temperature sufficient to heat-seal or heat-shrink and heat-seal the sleeve around the drained, saturated, wrapped fabric roll in intimate contact with the fabric roll. In this regard, the particular heat-shrinking and heat-sealing temperature will be dependent upon the type of heat-shrinkable and heat-sealable material utilized and may extend in a range of from about the softening temperature of such material up to about the decomposition temperature of such material. Care must be taken, however, to be sure that the particular temperature employed is not so high that it will have a deleterious effect on the saturated fabric roll disposed in the plastic sleeve. 」(第7欄第3?21行)
(【0035】ファブリックを細長い円筒状コアに巻き、ロールを形成し、排液することについては、それを周囲温度および圧力で達成することもできる。含浸され、巻かれ、ロールが形成されるとき、ロールが熱シール性または熱収縮および熱シール性プラスチックスリーブに挿入され、スリーブが十分高い温度で熱シールまたは熱収縮および熱シールされ、排液され、スリーブを含浸され、巻かれたファブリックロールのまわりで熱シールまたは熱収縮および熱シールし、ファブリックロールに緊密に接触させることができる。この点において、使用される熱収縮および熱シール性材料の種類によって熱収縮および熱シール温度が決定され、それはこのような材料の軟化温度から材料の分解温度までの範囲に及ぶ。しかしながら、その温度が高すぎず、プラスチックスリーブ内に配置される含浸されたファブリックロールに対する有害作用が生じないようにせねばならない。)
コ.「It is to be understood that within the context of this invention, the terminology "saturated to equilibrium" as it is used in connection with the saturation of the fabric and/or fabric roll with solvent means that after draining the fabric and/or fabric roll retains therein sufficient solvent in an amount to wet the fabric to the extent that it imparts efficient cleaning ability to the fabric to clean cylinders of apparatus, such as printing machinery, and the fabric has retained therein after draining from about 0.05 to about 0.5 cc of solvent per in^(2) of fabric. 」(第7欄第58?末行)
(【0040】ファブリックまたはファブリックロールへの溶剤の含浸に使用される用語“平衡状態で含浸”は、排液後、ファブリックまたはファブリックロールがファブリックを湿潤させる量の溶剤を保持し、ファブリックが印刷機などの装置のシリンダをクリーニングするクリーニング力をもち、排液後、ファブリックはファブリックのin^(2) 当たりおよそ0.05?およそ0.5ccの溶剤を保持することを意味する。)

上記オ.に記載のように、刊行物1のファブリックは紙または布帛で製造されているから、繊維間に間隙を有しており、該間隙に低揮発性有機化合物溶剤が導入されることは技術常識である。
上記ク.、ケ.に溶剤を排液する旨記載されており、上記コ.に排液後にファブリックが印刷機などの装置のシリンダをクリーニングするクリーニング力を持つ旨記載されているから、前記ファブリックの繊維間の間隙は、クリーニングに要する量より多い溶剤を保持し得る容量を有しているものと認められる。
上記刊行物に記載のコアとコアに巻かれたファブリックと低揮発性有機化合物溶剤とファブリックの間隙とからなるもの(以後、「シリンダ洗浄体」と称する。)を想起できる。
上記エ.、ク.の記載から、ファブリックが印刷機に配置される前、溶剤がファブリックに導入されることは明らかである。
よって、上記記載及び図面を含む刊行物1全体の記載から、刊行物1には、以下の発明が開示されていると認められる。
「印刷機のシリンダを洗浄するシリンダ洗浄体であって、
コアと、
前記コアのまわりに巻かれたファブリックと、
低揮発性有機化合物溶剤と、クリーニングに要する量より多い溶剤を保持し得る容量を有しているファブリックの間隙とからなり、前記ファブリックが前記印刷機に配置される前、前記溶剤がファブリックに導入されるシリンダ洗浄体。」(以下、「引用発明」という。)

(b)原査定の拒絶の理由に引用され、本願優先権主張日前に頒布された西独国特許出願公開第3907612(以下、「刊行物2」という。)には、以下の記載が図示とともにある。(なお、刊行物2は、ドイツ語であり、審決書はウムラウト記号を表記できないので、該記号が省略されているところがある。)
サ.「Die in Gummituchwaschvorrichtungen bisher gebrauchlichen Wischtucher bestehen aus einem Vlies mit einem Flachengewicht von etwa 70 g pro qm und einer Dicke von etwa 0,25 bis 0,30 mm. Diese Tuchqualitat ergibt zwar eine ausreichende Saugfahigkeit und Festigkeit, fuhrt aber auch zu einem vergleichsweise grossen Stauvolumen auf der Speicherrolle. Die vergleichsweise grosse Tuchdicke fuhrt dazu, dass die auf der Speicherrolle aufnehmbare Tuchlange bei vorgegebenen Rollendurchmesser vergleichsweise klein ist. Die Folge davon ist, dass sich kurze Tuchwechselintervalle und damit ein vergleichsweise hoher Wartungsaufwand ergeben. 」(第1欄第10?21行)
(ゴムブランケットクリーニング装置においてこれまで一般に用いられている拭き取り布は、面積重量約70g/m^(2)、厚さ約0.25?0.30mmのフリースからなる。この布特性は十分な吸収性と強度を保証するものの、蓄積ロール上に堆積する嵩が比較的大きくなるという結果にもつながる。布の厚さが比較的大きいために、所定のロール直径において、蓄積ロールに巻き取り可能な布の長さが比較的短くなる。その結果、布の取替え間隔が短くなり、それにより管理コストが比較的高くなる。)
シ.「Das Wischtuch 5 wird durch ein aus Baumwallfasern etc. bestehendes, bahnformiges Vlies gebildet, wobei sich die Verwendung eines Vlieses mit einem Flachengewicht von 70 g pro qm bewahrt hat. Ein derartiges Material besitzt in der im Handel angebotenen Form eine Dicke von 0,26 mm. Um diese Dicke zu reduzieren und dementsprechend einen grossen Tuchvorrat auf der Vorratsrolle 6 aufnehmen zu konnen, wird das ein Flachengewicht von 70 g/m^(2) und eine Ausgangsdicke von 0,26 mm aufweisende Vlies unter Beibehaltung des Flachengewichts auf eine Enddicke von 0,1 mm bis 018 mm, normalerweise 0,14 mm, komprimiert. Es erfolgt also eine Dickenkompression in der Grossenordnung von 50%, ohne dass das Flachengewicht verandert wird.
Diese Dickenkompression ohne Anderung des Flachengewichts hat, wie ein Vergleich der Fig. 2 und 3 erkennen lasst, zur Folge, dass die im Ausgangszustand aufgerichteten Fasern 11 praktisch flachgebugelt sind, wobei die zwischen den Fasern 11 vorhandenen Hohlraume 12 verkleinert werden. 」(第2欄第60行?第3欄第11行)
(拭き取り布5は、綿繊維などからなる帯状のフリースによって形成され、このとき面積重量70g/m^(2)のフリースの使用が適合性を実証されている。この種の素材は、市販されている形状では、厚さが0.26mmである。この厚さを減少させ、それに相応して大量の貯蔵用布を貯蔵ロール6に収容可能とするために、面積重量70g/m^(2)、本来の厚さ0.26mmを有するフリースは、その面積重量を維持しつつ、0.1mm?0.18mmの最終的厚さ、通常は0.14mmの最終的厚さまで、圧縮される。つまり、面積重量を変えることなく、50%程度の厚さ圧縮が行われる。
面積重量の変化を伴わないこの厚さ圧縮は、図2と図3の比較からわかるように、本来の状態において起毛していた繊維11が実際に平らにプレスされ、このとき繊維11の間にある空洞12が縮小されるという結果を伴う。)
ス.「Zur Bewerkstelligung der genannten Vergutung des Wischtuchs 5 in Form der erwunschten Dickenkompression wird ein Wischtuch bisher verwendeter Art als Substrat einem Kalandriervorgang unterworfen. Dabei kann zur Erzielung eines besonders guten Bugeleffekts Warme zugefuhrt werden. Die der Fig. 4 zugrundeliegende Kalandriervorrichtung besteht aus zwei unter Bildung eines Kalanderspalts aufeinander abrollenden Kalanderwalzen 14, durch die das Substrat 5a in Form eines ein Flachengewicht von 70 g/m^(2) und eine Dicke von 0,26 mm aufweisenden Vlieses hindurchgefuhrt wird. Der Kalanderspalt 15 ist so eingestellt, dass das ihn erlassende Endprodukt 5b eine Dicke von 0,14 mm aufweist. Die Kalanderwalzen 14 sind im dargestellten Ausfuhrungsbeispiel beheizbar und hierzu mit Heizanschlussen 16 versehen. Die Oberflachentemperatur der beheizten Kalanderwalzen 14 kann in der Grossenordnung zwischen 60 ℃ und 100℃ liegen und soll im dargestellten Ausfuhrungsbeispiel etwa 80℃ betragen.」(第3欄第31?49行)
(所望の厚さ圧縮という形で拭き取り布5の上述の処理を実施するために、これまで使用されてきたような布が基布としてカレンダ工程にかけられる。このとき、特に良好なプレス効果を得るために熱が用いられる。図4に基づくカレンダ装置は、カレンダスリットを構成しつつ互いに重なり合って回転する2つのカレンダロール14からなり、カレンダロールによって、面積重量70g/m^(2)、厚さ0.26mmのフリースである基布5aはその間を通って導かれる。カレンダスリット15は、そこを通り抜けた最終生産物5bが0.14mmの厚さを備えるよう、調整されている。カレンダロール14は図示された実施例において加熱可能であり、このために加熱用コード16を備えている。加熱されたカレンダロール14の表面温度は60℃?100℃程度であることが可能であり、図示された実施例においては約80℃となる。)

(3)対比
本願補正発明と引用発明とを比較すると、引用発明の「シリンダ洗浄体」、「ファブリック」、「周囲温度で容易に蒸発しない低い揮発性の洗浄化合物からなる溶剤」は、本願補正発明の「予含浸洗浄システム」、「洗浄ファブリック」、「低揮発性有機化合物溶剤」に相当する。
引用発明の「クリーニングに要する量より多い溶剤を保持し得る容量を有しているファブリックの間隙」と、本願補正発明の「前記印刷機のシリンダを洗浄することができる量の前記溶剤を前記空気含有量を減少させた洗浄ファブリック内に導入する手段」とは、「前記溶剤を洗浄ファブリック内に導入する手段」の点で共通する。
よって、両者は、
「印刷機のシリンダを洗浄する予含浸洗浄システムであって、
コアと、
前記コアのまわりに巻かれた洗浄ファブリックと、
周囲温度で容易に蒸発しない低い揮発性の洗浄化合物からなる溶剤と、前記溶剤を洗浄ファブリック内に導入する手段とからなり、前記ファブリックが前記印刷機に配置される前、前記溶剤が洗浄ファブリックに導入されるシステム。」
の点で一致し、以下の点で相違している。
[相違点1]洗浄ファブリックに関し、本願補正発明は、「機械的手段によって1?50%減少させた空気含有量を有し」、「空気含有量を減少させた」と特定されているのに対し、引用発明は、そのような特定を有していない点。
[相違点2]洗浄ファブリック内に導入する手段に関し、本願補正発明は、「前記印刷機のシリンダを洗浄することができる量の前記溶剤を」と特定されているのに対し、引用発明は、そのような特定を有していない点。

(4)判断
上記相違点1について検討する。
刊行物1のコ.に記載のように、ファブリックは、印刷機のシリンダを洗浄することができる量の溶剤を保持することが要求されるものであるとともに、一般に、シリンダ洗浄体は、工場等で製造され、洗浄すべき印刷機のところへ輸送され、印刷機に配置されるものであるから、嵩が小さい、即ち、ロール径が小さいことが要求されることは明らかである。一方、引用発明のファブリックの間隙は、クリーニングに要する量より多い溶剤を保持し得る容量を有しているものであるから、一定の長さのファブリックをコアのまわりに巻いたとき、必要以上の間隙により、ロール径が大きくなってしまうことは明らかである。
一方、刊行物2には、管理コストを減少し、蓄積ロール上に堆積する嵩を減少させるために、拭き取り布5の厚さ0.26mmを減少させ、0.1mm?0.18mmの最終的厚さ、通常は0.14mmの最終的厚さまで、カレンダロールにより圧縮し、50%程度の厚さに圧縮を行う旨、即ち、拭き取り布5(本願補正発明の「洗浄ファブリック」)をカレンダロール(機械的手段)によって50%程度の厚さに圧縮し、空気含有量を減少させることが記載されている。
前述のように引用発明のファブリックは、必要以上の間隙を有しているものであるが、工場等から洗浄すべき印刷機への輸送量の減少、即ち、管理コストの減少や、印刷機に配置する際の印刷機の配置スペース等を考慮すると、シリンダ洗浄体は、ロール径が小さいことが要求されるものであるから、引用発明のファブリックに刊行物2記載の事項を適用し、ファブリックを機械的手段によって空気含有量を減少させ、減少させる空気含有量を必要に応じ、1?50%として、本願補正発明の上記相違点1に係る構成とすることは当業者が容易になし得る程度のことである。

上記相違点2について検討する。
刊行物1のコ.記載のように、ファブリックは、印刷機のシリンダを洗浄することができる量の溶剤を保持することが要求されるものであるから、本願補正発明の上記相違点2に係る構成とすることは当然のことである。

以上のように、引用発明に本願補正発明の相違点1、2に係る構成を備えることは、刊行物1、2の記載に基づいて当業者が容易に想到できたことであり、かかる発明特定事項を採用することによる本願補正発明の効果も当業者が予測できる範囲のものである。

したがって、本願補正発明は、その出願前に頒布された刊行物1、2記載の発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

(5)むすび
以上のとおり、本件補正は、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

第3.本願発明について
1.平成18年10月24日付けの手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明は、平成18年5月1日付け手続補正書の特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定されるものであり、その請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、以下のとおりである。

「印刷機のシリンダを洗浄する装置であって、
機械的手段によって1?50%減少させた空気含有量を有する、空気含有量を減少させた洗浄ファブリックと、
周囲温度で容易に蒸発しない低い揮発性の洗浄化合物からなる溶剤と、前記印刷機のシリンダを洗浄することができる量の前記溶剤を前記空気含有量を減少させた洗浄ファブリック内に導入する手段とからなる装置。」

2.引用刊行物
原査定の拒絶の理由に引用された刊行物及びその記載事項は、前記「第2.3.(2)」に記載したとおりである。

3.対比・判断
本願発明は、前記「第2.3.」で検討した本願補正発明から「コア」という事項、洗浄ファブリックについて、「前記コアのまわりに巻かれた」という限定、「前記ファブリックが前記印刷機に配置される前、前記溶剤が前記空気含有量を減少させた洗浄ファブリックに導入される」という限定を省いたものである。
そうすると、実質的に本願発明にさらなる要件が付加された本願補正発明が、前記「第2.3.(4)」に記載したとおり、刊行物1、2記載の発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、同様の理由により、刊行物1、2記載の発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

4.むすび
以上のとおり、本願発明は、本願優先権主張日前に頒布された刊行物1、2記載の発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、他の請求項に係る発明を検討するまでもなく、本願は、拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2009-03-04 
結審通知日 2009-03-11 
審決日 2009-03-24 
出願番号 特願平8-135842
審決分類 P 1 8・ 121- Z (B41F)
P 1 8・ 572- Z (B41F)
P 1 8・ 575- Z (B41F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 中村 真介清水 康司藏田 敦之  
特許庁審判長 長島 和子
特許庁審判官 菅野 芳男
坂田 誠
発明の名称 空気を減少させた洗浄ファブリックを使用する洗浄システムおよびその製造方法  
復代理人 特許業務法人みのり特許事務所  
代理人 村田 紀子  
代理人 武石 靖彦  

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ