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審決分類 |
審判 査定不服 1項3号刊行物記載 特許、登録しない。 C08L 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 C08L |
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管理番号 | 1201754 |
審判番号 | 不服2006-27542 |
総通号数 | 117 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2009-09-25 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2006-12-07 |
確定日 | 2009-08-06 |
事件の表示 | 平成10年特許願第104385号「ポリカーボネート樹脂組成物」拒絶査定不服審判事件〔平成11年10月26日出願公開、特開平11-293103〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1.手続の経緯 本願は、平成10年4月15日の出願であって、平成18年6月9日付けで拒絶理由が通知され、同年9月1日に意見書とともに手続補正書が提出されたが、同年10月17日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、同年12月7日に審判請求がなされ、平成19年1月9日に手続補正書が提出され、同年2月22日に審判請求書の手続補正書(方式)が提出され、同年3月16日付けで前置報告がなされ、当審において、平成20年8月11日付けで審尋がなされたが、この審尋に対する回答書の提出がなされなかったものである。 2.平成19年1月9日付けの手続補正についての補正の却下の決定 [補正の却下の決定の結論] 平成19年1月9日付けの手続補正を却下する。 [理由] (1)補正の内容 平成19年1月9日付けの手続補正(以下、「本件補正」という。)は、審判請求の日から30日以内にされた補正であり、その内容は、平成18年9月1日付けの手続補正書により補正された明細書における特許請求の範囲の請求項1について、 「 【請求項1】 (a)芳香族ポリカーボネート樹脂100重量部に、 (b)芳香族スルホンスルホン酸金属塩および/またはパーフルオロアルカン-スルホン酸金属塩0.01?5重量部、および (c)ジエン系ゴム状重合体からなる内核とビニル系共重合体からなる最外殻を有する多層構造重合体0.5?30重量部 を配合してなる難燃性ポリカーボネート樹脂組成物。」 との記載を 「 【請求項1】 (a)芳香族ポリカーボネート樹脂100重量部に、 (b)芳香族スルホンスルホン酸金属塩またはパーフルオロアルカン-スルホン酸金属塩0.01?5重量部、および (c)ジエン系ゴム状重合体からなる内核とビニル系共重合体からなる最外殻を有する多層構造重合体0.5?30重量部 を配合してなる難燃性ポリカーボネート樹脂組成物。」 とする補正事項(以下、「補正事項a」という。)を含むものである。 (2)補正の目的の適否 補正事項aは、請求項1に係る「難燃性ポリカーボネート樹脂組成物」における、成分(b)について、補正前の「芳香族スルホンスルホン酸金属塩および/またはパーフルオロアルカン-スルホン酸金属塩」という記載を、「芳香族スルホンスルホン酸金属塩またはパーフルオロアルカン-スルホン酸金属塩」という記載に補正するものであるところ、これは、補正前の成分(b)に属する選択肢のうち、「芳香族スルホンスルホン酸金属塩およびパーフルオロアルカン-スルホン酸金属塩」という選択肢を削除するものであり、補正前の請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項を限定するものである。 そうすると、補正事項aは、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法(以下、単に「特許法」という。)第17条の2第4項第2号に掲げる事項を目的とするものに該当する。 したがって、補正事項aを含む本件補正は、特許法第17条の2第4項の規定に適合する。 (3)独立特許要件について 本件補正は、上記のとおり、特許法第17条の2第4項第2号に掲げる事項を目的とする補正を含むものであるから、同法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に適合する補正であるか否か(いわゆる独立特許要件)について、次に検討する。 (3)─1.本願補正発明 本件補正後の請求項1に係る発明(以下、「本願補正発明」という。)は、上記の(1)に記載したとおりのものである。 (3)─2.引用刊行物記載の事項 <引用刊行物一覧> 刊行物A;特開平2-258865号公報 (A1) 「1. (a)メチレンクロライド中で約25℃で測定し約0.35乃至約0.41dl/gの固有粘度を有し、同一固有粘度のパラ第三級ブチルフエノールでエンキヤツプされたポリカーボネートに比して改善された延性をポリカーボネートに与えるエンドキヤツプ剤で連鎖停止された芳香族ポリカーボネート、 (b)芯/殻重合体の約50乃至90重量%を占める芯としてのTgが-10℃に等しいかそれより低い共役ジエン、及びその上にグラフトされたアルキルアルカクリレートおよびスチレン系物質を含む殻を有し、かつ組成物に対しASTM D-256における室温で1/8インチ厚ノツチ付アイゾツト試験方法において延性を持たしめるような量の芯/殻共重合体、 (c)難燃剤塩を含み、かつ成形部分90ミル厚においてUL-94 V-0またはV-1の定格値を達成するに充分な量の難燃剤の組合わせ の混合物を含有する組成物。」〔特許請求の範囲請求項1〕 (A2) 「4. 芯/殻共重合体が芳香族ポリカーボネートの約12重量%に等しいかそれより少量存在している請求項1記載の組成物。 5. 芯/殻共重合体が芳香族ポリカーボネートの約3重量%の量で存在する請求項4記載の組成物。」〔特許請求の範囲請求項4?5〕 (A3) 「本発明によれば、 (a)25℃でメチレンクロライド中で測定して約0.35?約0.41dl/gの固有粘度を有し、同じ粘度のパラ第三級ブチルフエノールでエンドキヤツプした芳香族ポリカーボネートに対して比較したとき改良された延性を芳香族ポリカーボネートに与える連鎖停止剤で連鎖停止された芳香族ポリカーボネート、 (b)芯として-10℃に等しいかそれより低いTgを有する共役ジエンを含有し、上記芯が芯/殻重合体の約50?90重量%であり、その上にグラフトした、アルキルアルカクリレート及びスチレン系物質を含む殻を有する芯/殻共重合体で、この芯/殻共重合体は、室温でASTM D-256の1/8in厚ノツチ付アイゾツト試験法で組成物に延性を与えるような量で存在する芯/殻共重合体、及び (c)難燃剤塩を含み、かつ90ミルの厚さの成形部品においてUL-94のV-0又はV-1を達成するのに充分な量の難燃剤組合わせ を含有する組成物を提供する。」〔第2頁右下欄下から第2行?第3頁左上欄下から第2行〕 (A4) 「殻材料は少なくとも2種の重合した単量体、アルキルアルカクリレート及びスチレン系物質を含有する。アルキルアルカクリレートの例にはメチルメタクリレート、エチルメタクリレート、ブチルメタクリレート等を含む。メチルメタクリレートが好ましい。」〔第5頁左上欄第9?14行〕 (A5) 「芯/殻重合体は、ASTM D-256の室温1/8inノツチ付アイゾツト試験で組成物に延性をもたらすに充分な量で本発明の組成物において使用する。延性とは試験に用いた5個の試料全部に破断の延性機構を意味する。これは実際の数に続く表記100で示される。約12、好ましくは約8重量%を越える量は高い耐衝撃性をもたらさず、望ましくない副効果例えば成形品での層剥離で示される如き非相溶性及び/又は劣つた耐炎性を生ぜしめうる。3重量%未満の量は一般に充分に増大した延性をもたらさない。好ましくは芯/殻重合体はポリカーボネートの約4?8重量%である。」〔第5頁右下欄第5?17行〕 (A6) 「厚さ90ミルの成形部品でUL-94のV-0又はV-1を達成する難燃剤組合わせは、難燃剤塩を含む。かかる塩は一般に性質において無機性又は有機性であり、後者の場合、米国特許第3775367号に記載されている如きスルホン酸塩又は米国特許第3940366号、第3933734号、第3948851号、第3926908号及び第3909490号に記載されているものの如き芳香族スルホン酸塩が好ましい。アルカリ金属塩が好ましい。最も好ましいのはスルホン化ジフエニルスルホンの金属塩、特にカリウム塩である。難燃剤塩はポリカーボネートの約0.1?1.0pphの量で使用できる。」〔第5頁右下欄第18行?第6頁左上欄第11行〕 (A7) 「本発明の組成物は、特にスルホン化ジフエニルスルホンの塩が存在するとき溶融物系のより大なる安定性、及びポリカーボネートの実質的に低い分子量を考慮に入れた条件の下で混合し、成形することができる。」〔第6頁右上欄第11?15行〕 (3)─3.刊行物A記載の発明 刊行物Aには、摘示事項(A1)のとおり、 「(a)メチレンクロライド中で約25℃で測定し約0.35乃至約0.41dl/gの固有粘度を有し、同一固有粘度のパラ第三級ブチルフェノールでエンキヤツプされたポリカーボネートに比して改善された延性をポリカーボネートに与えるエンドキヤツプ剤で連鎖停止された芳香族ポリカーボネート、 (b)芯/殻重合体の約50乃至90重量%を占める芯としてのTgが-10℃に等しいかそれより低い共役ジエン、及びその上にグラフトされたアルキルアルカクリレートおよびスチレン系物質を含む殻を有し、かつ組成物に対しASTM D-256における室温で1/8インチ厚ノツチ付アイゾツト試験方法において延性を持たしめるような量の芯/殻共重合体、 (c)難燃剤塩を含み、かつ成形部分90ミル厚においてUL-94 V-0またはV-1の定格値を達成するに充分な量の難燃剤の組合わせ の混合物を含有する組成物」 の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。 (3)─4.対比・判断 [1]引用発明の成分(a)と本願補正発明の成分(a)とについて 引用発明における成分(a)とは、「メチレンクロライド中で約25℃で測定し約0.35乃至約0.41dl/gの固有粘度を有し、同一固有粘度のパラ第三級ブチルフェノールでエンキヤツプされたポリカーボネートに比して改善された延性をポリカーボネートに与えるエンドキヤツプ剤で連鎖停止された芳香族ポリカーボネート」である。 これに対して、本願補正発明における成分(a)とは、「芳香族ポリカーボネート樹脂」であって、「固有粘度」に限定されないものであるし、また、「連鎖停止」部分の構造に限定されないものである。 そうすると、本願補正発明における「芳香族ポリカーボネート樹脂」は、引用発明における「メチレンクロライド中で約25℃で測定し約0.35乃至約0.41dl/gの固有粘度を有し、同一固有粘度のパラ第三級ブチルフェノールでエンキヤツプされたポリカーボネートに比して改善された延性をポリカーボネートに与えるエンドキヤツプ剤で連鎖停止された芳香族ポリカーボネート」を包含しているのは明らかである。 したがって、引用発明の成分(a)は、本願補正発明の成分(a)に相当すると言える。 [2]引用発明の成分(b)と本願補正発明の成分(c)とについて 引用発明における成分(b)とは、「芯/殻重合体の約50乃至90重量%を占める芯としてのTgが-10℃に等しいかそれより低い共役ジエン、及びその上にグラフトされたアルキルアルカクリレートおよびスチレン系物質を含む殻を有する芯/殻共重合体」である。 これに対して、本願補正発明における成分(c)とは、「ジエン系ゴム状重合体からなる内核とビニル系共重合体からなる最外殻を有する多層構造重合体」である。 まず、これら両成分の層構造について比較・検討すると、引用発明の成分(b)も、本願補正発明の成分(c)も、ともに、コア(芯・内核)が存在し、そのコアの外側にシェル(殻・最外殻)が存在する、コア-シェルの層構造を持つという点で共通している。 次に、両成分の、各層を構成する成分について比較・検討する。 引用発明の成分(b)における「芯」は、「共役ジエン」の重合体であること、及び、そのガラス転移点(Tg)が-10℃以下であることからみて、これは、「ジエン系ゴム状重合体」であると解されるから、本願補正発明の成分(c)における「内核」にあたると言える。 また、引用発明の成分(b)における「殻」は、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、ブチルメタクリレート等〔摘示事項(A4)〕の「アルキルアルカクリレート」と、「スチレン系物質」との、共重合体であることからみて、これは、「ビニル系共重合体」であると解されるから、本願補正発明の成分(c)における「最外殻」にあたると言える。 そうすると、引用発明の成分(b)である「芯/殻共重合体」は、本願補正発明の成分(c)である「多層構造重合体」にあたるものと解される。 したがって、引用発明の成分(b)は、本願補正発明の成分(c)に相当すると言える。 [3]引用発明の成分(c)と本願補正発明の成分(b)とについて 引用発明における成分(c)とは、「難燃剤塩」であるところ、摘示事項(A6),(A7)からみて、成分(c)の具体物として「スルホン化ジフエニルスルホンの金属塩」が記載されているものと解するのが相当である。 ここで、この「スルホン化ジフエニルスルホンの金属塩」と、本願補正発明の成分(b)である「芳香族スルホンスルホン酸金属塩」とは、本願明細書の段落【0013】における「芳香族スルホンスルホン酸金属塩の具体例」の記載からして、同一物質を指しているものと解される。 したがって、引用発明の成分(c)は、本願補正発明の成分(b)に相当すると言える。 [4]引用発明での組成量と本願補正発明での組成量とについて 引用発明における成分(b)の組成量は、「組成物に対しASTM D-256における室温で1/8インチ厚ノツチ付アイゾツト試験方法において延性を持たしめるような量」であるところ、摘示事項(A2),(A5)からみて、そのような「量」に対応する具体的な数値範囲として、芳香族ポリカーボネートの約3?約12重量%、好ましい数値範囲として、芳香族ポリカーボネートの約4?約8重量%であることが記載されている。 これに対して、本願補正発明における成分(c)の組成量は、請求項1に規定するとおり「芳香族ポリカーボネート樹脂100重量部」あたりの量で「0.5?30重量部」である。 そうすると、本願補正発明における成分(c)の組成量は、引用発明における成分(b)の組成量の全ての数値範囲を包含している。 また、引用発明における成分(c)の組成量は、「成形部分90ミル厚においてUL-94 V-0またはV-1の定格値を達成するに充分な量」であるところ、摘示事項(A6)からみて、そのような「量」に対応する具体的な数値範囲として、「ポリカーボネートの約0.1?1.0pphの量」であることが記載されているものと解するのが相当である。 ここで、「pph」とは、「parts per hundred」の略であること、また、この分野においては一般的に、組成物中の各成分の組成量は、その物理量として「重量」を使用することが慣例となっていることを踏まえると、「ポリカーボネートの約0.1?1.0pphの量」とは、「ポリカーボネート100重量部」あたりの量で「約0.1?1.0重量部」を意味するものと解される。 これに対して、本願補正発明における成分(b)の組成量は、請求項1に規定するとおり「芳香族ポリカーボネート樹脂100重量部」あたりの量で「0.01?5重量部」である。 そうすると、本願補正発明における成分(b)の組成量は、引用発明における成分(c)の組成量の全ての数値範囲を包含している。 したがって、引用発明での成分(b),(c)の組成量は、それぞれ、本願補正発明での成分(c),(b)の組成量に相当する。 [5]上記[1]?[4]のまとめ 上記[1]?[4]において対比・判断したとおり、引用発明の「組成物」と、本願補正発明の「難燃性ポリカーボネート樹脂組成物」とは、その組成物を構成する組成成分が同じであり、また、各成分の組成量も同じである。 それゆえ、両「組成物」は同一であると言わざるを得ず、よって、引用発明と本願補正発明とは同一であると言わざるを得ない。 (3)─5.まとめ 以上のとおり、本願補正発明は、刊行物Aに記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。 したがって、本願補正発明は、特許出願の際独立して特許を受けることができるものではない。 よって、本件補正は、特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 3.本件審判請求について (1)本願発明 平成19年1月9日付けの手続補正は、上記のとおり却下されたので、本願請求項1?8に係る発明は、平成18年9月1日付けの手続補正書により補正された明細書の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1?8に記載された事項により特定されるとおりのものであり、そのうち、請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は次のとおりのものである。 「 【請求項1】 (a)芳香族ポリカーボネート樹脂100重量部に、 (b)芳香族スルホンスルホン酸金属塩および/またはパーフルオロアルカン-スルホン酸金属塩0.01?5重量部、および (c)ジエン系ゴム状重合体からなる内核とビニル系共重合体からなる最外殻を有する多層構造重合体0.5?30重量部 を配合してなる難燃性ポリカーボネート樹脂組成物。」 (2)原査定における拒絶の理由の概要 原査定の拒絶の理由とされた、平成18年6月9日付けで通知された拒絶理由は、以下の理由を含むものである。 「理由1:この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前日本国内又は外国において頒布された下記の刊行物に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。 記 (引用文献等については引用文献等一覧参照) ・請求項 1,4-9 ・引用文献等 1 ・備考 引 用 文 献 等 一 覧 1.特開平02-258865号公報 2.特開平10-001600号公報 3.特開昭61-127759号公報」 なお、この拒絶理由は、願書に最初に添付した明細書の特許請求の範囲における請求項1?9に係る発明のうちの、請求項1,4?9に係る発明に対して通知されたものである。 (3)引用刊行物記載の事項及び引用刊行物記載の発明 原査定の拒絶の理由に引用された刊行物1(特開平02-258865号公報)は、上記の刊行物Aであって、その記載された事項及び記載された発明は、上記2.(3)─2.及び (3)─3.に記載したとおりである。 (4)対比・判断 上記2.(2) に記載したとおり、本願補正発明における成分(b)についての「芳香族スルホンスルホン酸金属塩またはパーフルオロアルカン-スルホン酸金属塩」を、「芳香族スルホンスルホン酸金属塩および/またはパーフルオロアルカン-スルホン酸金属塩」としたものが本願発明である。 すなわち、本願補正発明における成分(b)に属する選択肢に、さらに、「芳香族スルホンスルホン酸金属塩およびパーフルオロアルカン-スルホン酸金属塩」という選択肢を追加したものが本願発明である。 そして、上記2.(3)─5.に記載したとおり、本願補正発明は、刊行物Aに記載された発明であるから、その本願補正発明に対して選択肢を追加した本願発明もまた、刊行物Aに記載された発明であると言える。 (5)むすび 以上のとおり、本願発明は、刊行物Aに記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。 したがって、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2009-06-08 |
結審通知日 | 2009-06-09 |
審決日 | 2009-06-24 |
出願番号 | 特願平10-104385 |
審決分類 |
P
1
8・
113-
Z
(C08L)
P 1 8・ 575- Z (C08L) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | ▲吉▼澤 英一 |
特許庁審判長 |
宮坂 初男 |
特許庁審判官 |
前田 孝泰 渡辺 仁 |
発明の名称 | ポリカーボネート樹脂組成物 |
代理人 | 特許業務法人志成特許事務所 |