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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G03G 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 G03G |
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管理番号 | 1201798 |
審判番号 | 不服2008-1654 |
総通号数 | 117 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2009-09-25 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2008-01-21 |
確定日 | 2009-08-06 |
事件の表示 | 特願2004- 32296「画像形成装置」拒絶査定不服審判事件〔平成17年 8月18日出願公開、特開2005-221976〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
第1.手続の経緯 本願は、平成16年2月9日の出願であって、平成19年12月14日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、平成20年1月21日付けで拒絶査定に対する審判請求がなされるとともに、同日付けで明細書に係る手続補正がなされたものである。 さらに、平成20年3月18日付けで審査官により作成された前置報告書について、平成21年3月6日付けで審尋がなされたところ、審判請求人から同年4月30日付けで回答書が提出されたものである。 第2.平成20年1月21日付けの手続補正についての補正却下の決定 [補正却下の決定の結論] 平成20年1月21日付けの手続補正(以下、「本件補正」という。)を却下する。 [理由] 1.補正の内容 本件補正は、特許請求の範囲を補正する内容を含んでおり、本件補正により、特許請求の範囲の請求項1は、 「 現像槽と、前記現像槽へ必要に応じてトナーを供給するためのトナー補給槽と前記トナー補給槽に収容される前記トナーを攪拌するための攪拌部材とを有し、画像形成装置本体に対して交換可能なトナーカートリッジと、前記攪拌部材を回転駆動するトナー補給モータとを具備した画像形成装置において、 さらに、前記トナー補給モータの駆動を制御する制御装置と、前記トナー補給モータの電流値を検知するモータ電流検知手段とを具備し、前記制御装置は、未使用トナーカートリッジの前記画像形成装置本体への装着後の所定期間内に、前記トナー補給モータの回転トルクを大きくするために、前記トナー補給モータの駆動周波数を下げる制御を実行し、前記モータ電流検知手段は、前記トナーカートリッジ内の前記攪拌部材が1回転した後、前記トナー補給モータの電流値を検知し、前記制御装置は、前記モータ電流検知手段により検知した前記トナー補給モータの電流値を予め設定された閾値と比較し、前記モータ電流検知手段の検出結果に基づいて、前記トナー補給モータの駆動状態を識別することを特徴とする画像形成装置。」 から 「 現像槽と、前記現像槽へ必要に応じてトナーを供給するためのトナー補給槽と前記トナー補給槽に収容される前記トナーを攪拌するための攪拌部材とを有し、画像形成装置本体に対して交換可能なトナーカートリッジと、前記攪拌部材を回転駆動するトナー補給モータとを具備した画像形成装置において、 前記トナー補給モータの駆動を制御する制御装置と、前記トナー補給モータの電流値を検知するモータ電流検知手段と、前記攪拌部材の回転を検知する攪拌部材回転検知手段を具備し、 前記トナーカートリッジは、未使用、使用の情報を記憶したICチップと、未使用のトナーカートリッジのトナー補給口からのトナー漏れを防止し、トナー補給モータの駆動で引き剥がし可能なシール部材と、トナー封止マイラーを有し、 前記制御装置は、未使用トナーカートリッジが前記画像形成装置本体へ装着されたことを前記ICチップに記憶された情報で検知すると、前記トナーカートリッジ内の前記攪拌部材が1回転する間、前記トナー補給モータの回転トルクを大きくするために、前記トナー補給モータの駆動周波数を定常値より下げる制御を実行し、 前記モータ電流検知手段は、前記トナーカートリッジ内の前記攪拌部材が1回転した後、前記トナー補給モータの電流値を検知し、 前記制御装置は、前記モータ電流検知手段により検知した前記トナー補給モータの電流値を予め設定された閾値と比較し、前記モータ電流検知手段の検出結果に基づいて、前記トナー補給モータの駆動状態を識別することを特徴とする画像形成装置。」 に補正された。 上記補正は、補正前の請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項である「前記トナー補給モータの駆動を制御する制御装置と、前記トナー補給モータの電流値を検知するモータ電流検知手段とを具備」する構成、「トナーカートリッジ」、「未使用トナーカートリッジの前記画像形成装置本体への装着後の所定期間内に」、及び、「前記トナー補給モータの駆動周波数を下げる制御」に関して、それぞれ、「前記攪拌部材の回転を検知する攪拌部材回転検知手段を具備」する点、「未使用、使用の情報を記憶したICチップと、未使用のトナーカートリッジのトナー補給口からのトナー漏れを防止し、トナー補給モータの駆動で引き剥がし可能なシール部材と、トナー封止マイラーを有」する点、「未使用トナーカートリッジが前記画像形成装置本体へ装着されたことを前記ICチップに記憶された情報で検知すると、前記トナーカートリッジ内の前記攪拌部材が1回転する間」の点、及び、「定常値より下げる」点を限定したものであって、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第4項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。 そこで、本件補正後の請求項1に記載された発明(以下、「本願補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に適合するか)について以下に検討する。 2.独立特許要件について (1)刊行物に記載された発明 (刊行物1について) 原査定の拒絶の理由に「引用文献3」として引用された特開平11-91204号公報(最初の拒絶理由における「引用文献1」。以下、「刊行物1」という。)には、図面とともに、以下の記載がある。(下線は当審にて付与した。) (1-a)「【請求項1】 (a)電子写真プロセスによる印刷を行う画像形成手段と、(b)該画像形成手段のローラ類を回転させる駆動手段と、(c)新しい画像形成手段がセットされたときに、前記駆動手段が発生させる駆動トルクを大きくしてアイドリングを行う駆動トルク変更手段とを有することを特徴とする電子写真印刷装置。」 (1-b)「【請求項5】 前記駆動トルク変更手段は前記駆動手段に供給される電流の駆動周波数を低くする請求項1に記載の電子写真印刷装置。」 (1-c)「【0005】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記従来の電子写真印刷装置においては、プロセスカートリッジの使用を開始した後は、感光体ドラム、帯電ローラ、現像ローラ等のローラ類の回転に伴ってトナーがプロセスカートリッジ内の全体に行きわたり、トナーが潤滑材として作用し、プロセスカートリッジの各摺(しゅう)動部における回転負荷が次第に小さくなるのに対して、プロセスカートリッジを組み立てた直後、又は画出し試験を行っただけの初期状態においては、1?2枚程度の印刷が行われるだけであるので、プロセスカートリッジ内の全体にトナーが行きわたらず、前記回転負荷が大きい。 【0006】例えば、A4判の印刷用紙に対して印刷を行うためのプロセスカートリッジの場合、初期状態における回転負荷は約2.8〔kg/cm〕であるが、約3分間のアイドリングを行うと約2.2〔kg/cm〕に低下することが認められた。したがって、電子写真印刷装置を設計するに当たり、前記プロセスカートリッジのローラ類を回転させるために、初期状態の回転負荷を考慮して、必要以上の駆動トルクを有する駆動手段としての駆動モータを選定する必要があるので、コストが高くなってしまうだけでなく、電子写真印刷装置を起動する際の加速度をその分低く設定する必要が生じ、制御性が低下してしまう。 【0007】本発明は、前記従来の電子写真印刷装置の問題点を解決して、必要以上の駆動トルクを有する駆動手段を選定する必要がなく、コストを低くすることができ、制御性を向上させることができる電子写真印刷装置を提供することを目的とする。」 (1-d)「【0009】 【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。図2は本発明の第1の実施の形態における電子写真印刷装置の概略図である。図において、12は電子写真プロセスによる印刷を行う画像形成手段としてのプロセスカートリッジ、13は感光体ドラムであり、該感光体ドラム13の表面が帯電ローラ14によって一様にかつ均一に帯電させられる。また、前記感光体ドラム13と対向させて図示しないLEDヘッド等の露光装置が配設され、該露光装置によって感光体ドラム13の表面を露光することにより、静電潜像が形成される。 【0010】そして、15は前記感光体ドラム13と対向させて配設された現像ローラであり、負の極性に帯電させられたトナーを前記現像ローラ15によって前記静電潜像に付着させることにより、トナー像が形成される。さらに、前記感光体ドラム13と対向させて図示しない転写ローラが配設され、該転写ローラによって前記トナー像が図示しない印刷用紙に転写されるようになっている。そして、該印刷用紙に転写されたトナー像は図示しない定着器によって定着される。 【0011】また、前記現像ローラ15と接触させてスポンジローラ18が配設され、負の極性に帯電させられたトナーがスポンジローラ18によって現像ローラ15に供給される。そして、トナー室19のトナーを前記スポンジローラ18に供給するために、トナー室19内に攪拌(かくはん)バー20が回転自在に配設される。また、前記トナー室19にトナーを供給するために、トナー室19の上方にトナーカートリッジ21がセットされ、該トナーカートリッジ21内のトナーがトナー室19内に落下するようになっている。そして、前記現像ローラ15と接触させてトナー層規制ブレード22が配設され、該トナー層規制ブレード22によって前記現像ローラ15上のトナー層が薄層化される。なお、感光体ドラム13、帯電ローラ14、現像ローラ15、スポンジローラ18等はいずれも矢印方向に回転させられる。 【0012】前記構成のプロセスカートリッジ12は、感光体ドラム13、帯電ローラ14、露光装置、現像ローラ15等を一体化することによって形成され、トナーカートリッジ21がセットされ、トナーカートリッジ21内のトナーがトナー室19内に落下するようになっている。そして、該トナー室19内のトナーは、攪拌バー20によって攪拌され、スポンジローラ18に供給され付着させられる。さらに、該スポンジローラ18に付着したトナーは、スポンジローラ18の回転に伴って現像ローラ15に供給され、該現像ローラ15上においてトナー層規制ブレード22により薄層化され、感光体ドラム13に供給されて前記静電潜像に付着させられる。 【0013】次に、前記電子写真印刷装置の制御装置について説明する。図1は本発明の第1の実施の形態における電子写真印刷装置の制御ブロック図である。図において、31は電子写真印刷装置の全体の制御を行う制御部、32はROM、34はプロセスカートリッジ12(図2)の感光体ドラム13、帯電ローラ14、現像ローラ15、スポンジローラ18等のローラ類を回転させるための駆動手段としての駆動モータ、35は前記制御部31からの指示を受けて前記駆動モータ34の制御を行うモータ駆動制御部、36は図示しない定着器の温度を検出する温度検出部、37は前記制御部31からの指示を受けて前記温度検出部36によって検出された温度を読み取るための定着器温度制御部、41は前記定着器に内蔵され、定着器の定着ローラを加熱するヒータ、42は前記制御部31からの指示を受けて前記ヒータ41をオン・オフするヒータ駆動制御部、43は電子写真印刷装置の電源、44は該電源43をオン・オフするスイッチ、45は操作部、46はEEPROM、47は該EEPROM46に内蔵されるカウンタ、48はトナー室19内のトナーの残量を検出するトナー残量検出センサである。 【0014】ところで、前記電子写真印刷装置を使用して印刷を行っている間に、前記モータ駆動制御部35は、駆動モータ34の回転数に基づいて感光体ドラム13が回転したことを検出し、前記回転数をカウンタ47に格納するようになっている。この場合、感光体ドラム13が寿命になるまでに、通常、設定された本数のトナーカートリッジ21を使用することができるようになっている。したがって、前記設定された本数のトナーカートリッジ21のうち、最後のトナーカートリッジ21内のトナーがすべて消費される前の所定のタイミングで、前記カウンタ47のカウント値があらかじめ設定された予備寿命値に達するようにしてある。」 (1-e)「【0018】次に、前記構成の電子写真印刷装置の動作について説明する。図3は本発明の第1の実施の形態における電子写真印刷装置の動作を示すフローチャートである。オペレータがスイッチ44(図1)をオンにして電源43を投入すると、制御部31は、アイドリング命令を発生させるとともに、図示しない判断手段によって、新しいプロセスカートリッジ12がセットされたかどうか、すなわち、カウンタ47がリセットされているかどうかを判断する。そして、カウンタ47がリセットされていない場合、制御部31は、通常の駆動条件でアイドリング動作に入るための準備を開始する。すなわち、制御部31は、ヒータ駆動制御部42によってヒータ41をオンにし、図示しない定着器の温度を所定の定着温度に上昇させて、ウォームアップを行う。続いて、制御部31の図示しない駆動トルク変更手段は、駆動モータ34が通常の駆動トルクを発生させるように駆動条件を設定する。 【0019】そして、制御部31は、モータ駆動制御部35によって前記駆動条件で設定時間だけ駆動モータ34を駆動し、アイドリングを行う。したがって、感光体ドラム13の表面の状態を安定化させ、プロセスカートリッジ12内のトナーを安定して帯電させるために、プロセスカートリッジ12内のローラ類が設定時間だけ回転させられる。 【0020】その後、制御部31はオペレータによって次の操作が行われるまで待機する。一方、オペレータがスイッチ44をオンにして電源43を投入したとき、カウンタ47がリセットされている場合、制御部31は、新しいプロセスカートリッジ12が電子写真印刷装置にセットされたことを認識し、通常とは異なる駆動条件でアイドリング動作に入るための準備を開始する。すなわち、制御部31は、ヒータ駆動制御部42によってヒータ41をオンにし、前記定着器の温度を所定の定着温度に上昇させて、ウォームアップを行う。続いて、前記駆動トルク変更手段は、駆動モータ34が発生させる駆動トルクを大きくしてアイドリングを行う。 【0021】そして、前記モータ駆動制御部35が、前記駆動条件に従って駆動モータ34に供給される電流を通常より多くすると、駆動モータ34は通常より大きな駆動トルクを発生させてプロセスカートリッジ12のローラ類を回転させる。このようにして、設定時間だけアイドリングが行われると、前記ローラ類の回転に伴ってトナーがプロセスカートリッジ12内の全体に行きわたり、トナーが潤滑材として作用し、プロセスカートリッジ12の各摺動部における回転負荷が次第に小さくなる。したがって、感光体ドラム13の表面の状態を安定化させ、プロセスカートリッジ12内のトナーを安定して帯電させることができる。」 (1-f)「【0025】そこで、本発明の第2の実施の形態について説明する。図4は本発明の第2の実施の形態における電子写真印刷装置の動作を示すフローチャートである。本実施の形態においては、新しいプロセスカートリッジ12(図2)が電子写真印刷装置にセットされると、制御部31(図1)の図示しない駆動トルク変更手段によって、駆動モータ34に供給される電流の駆動周波数が低くされ、駆動モータ34が低速領域で駆動される。したがって、通常より大きな駆動トルクで設定時間だけアイドリングが行われる。 【0026】この場合、駆動モータ34の回転数が低くなるので、プロセスカートリッジ12のローラ類の回転に伴ってトナーがプロセスカートリッジ12内の全体に行きわたるまでの時間が長くなる。したがって、前記設定時間は駆動モータ34の回転数を低くした分だけ長くされる。また、電流の駆動周波数が低くされる間、駆動モータ34の回転数が変化するので、アイドリング時における電子写真プロセス自体、及び電子写真プロセスのタイムチャートを同時に変更する必要が生じる。例えば、帯電ローラ14に印加される帯電電圧、該帯電電圧を印加するタイミング、現像ローラ15に印加される現像バイアス電圧、該現像バイアス電圧を印加するタイミング等を前記回転数に対応させて変更する必要がある。 【0027】このように、本実施の形態においては、新しいプロセスカートリッジ12が電子写真印刷装置にセットされたときに、大きな駆動トルクを発生させるために電流の駆動周波数が低くされる。したがって、駆動モータ34自体の発熱量が多くならないので、電子写真印刷装置の設計段階において、既に駆動モータ34の温度にマージンが無い場合、又は電源43の容量に余裕が無い場合でも、通常より大きな駆動トルクを発生させることができる。 ステップS11 電源43を投入する。 ステップS12 アイドリング命令を発生させる。 ステップS13 判断手段はカウンタ47がリセットされているかどうかを判断する。カウンタ47がリセットされている場合はステップS16に、リセットされていない場合はステップS14に進む。 ステップS14 ウォームアップを行う。 ステップS15 通常の駆動条件で設定時間だけ駆動モータ34を駆動し、アイドリングを行う。 ステップS16 新しいプロセスカートリッジ12が電子写真印刷装置にセットされたことを認識する。 ステップS17 ウォームアップを行う。 ステップS18 駆動トルク変更手段は駆動モータ34に供給される電流の駆動周波数を低くする。 ステップS19 設定時間だけアイドリングを行う。 ステップS20 駆動トルク変更手段は通常の駆動条件を設定する。」 (1-g)「【0033】 【発明の効果】以上詳細に説明したように、本発明によれば、電子写真印刷装置においては、電子写真プロセスによる印刷を行う画像形成手段と、該画像形成手段のローラ類を回転させる駆動手段と、新しい画像形成手段がセットされたときに、前記駆動手段が発生させる駆動トルクを大きくしてアイドリングを行う駆動トルク変更手段とを有する。 【0034】この場合、新しい画像形成手段が電子写真印刷装置にセットされると、通常より大きな駆動トルクで設定時間だけアイドリングが行われ、その後、通常の駆動トルクで印刷が行われる。また、電源を遮断した後、再び投入した場合に、通常の駆動トルクでアイドリングが行われる。したがって、電子写真印刷装置を設計するに当たり、前記画像形成手段のローラ類を回転させるために必要以上の駆動トルクを有する駆動手段を選定する必要がなくなり、電子写真印刷装置のコストを低くすることができるとともに、電子写真印刷装置を小型化することができる。」 (1-h)図1として、 「 」 (1-i)図2として、 「 」 (1-j)図4として、 「 」 上記の事項をまとめると、刊行物1には、以下の発明が開示されていると認められる。(以下、「刊行物1発明」という。) 「(a)電子写真プロセスによる印刷を行うプロセスカートリッジと、 (b)該プロセスカートリッジのローラ類を回転させる駆動手段と、 (c)新しいプロセスカートリッジがセットされたときに、前記駆動手段が発生させる駆動トルクを大きくしてアイドリングを行う駆動トルク変更手段とを有し、 前記プロセスカートリッジは、 交換可能なトナーカートリッジから落下するトナーを収納するトナー室と、 感光体ドラムと、該感光体ドラムと対向させて配設された現像ローラと、 該現像ローラに前記トナー室のトナーを供給するスポンジローラと、 前記トナー室内に回転自在に配設され、前記スポンジローラにトナーを供給する撹拌バーとを備え、 前記駆動トルク変更手段は、設定された時間だけ、前記駆動手段に供給される電流の駆動周波数を低くする、電子写真印刷装置。」 (刊行物2について) また、原査定の拒絶の理由に「引用文献7」として引用された特開2003-307932号公報(最初の拒絶理由における「引用文献5」。以下、「刊行物2」という。)には、図面とともに、以下の記載がある。(下線は当審にて付与した。) (2-a)「【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、交換式トナーカートリッジを有する画像形成装置およびその制御方法に関するものである。 【0002】 【従来の技術】画像形成装置に用いられる未使用の交換式トナ-カ-トリッジの中には、輸送中に、カ-トリッジ内のトナ-が偏るものがあった。この現象は未使用トナ-カ-トリッジを輸送したときに生じるだけでなく、使用中のトナ-カ-トリッジにおいても、長時間放置することによっても生じうる。使用中のトナ-カ-トリッジの場合は、トナ-が一方に偏るだけでなく、硬化することがある。かかる現象はタッピング現象とよばれる。 【0003】そこで、トナ-カ-トリッジのトナ-容器内に、トナ-を攪拌するための攪拌棒を設け、この攪拌棒をモータで駆動してトナ-を攪拌させ、トナ-を現像シリンダに送り込むとともに、トナ-がカ-トリッジ内で円滑に流動することができるようにしている。 【0004】かかるトナーの攪拌処理は一般に、電源投入後またはドアスイッチ(トナーカートリッジ交換時に開閉される筐体のドアが、閉じたときにONとなるスイッチ)がONされた後に行われる初期化動作(前多回転動作ともよばれる)の一環として行われる。 【0005】 【発明が解決しようとする課題】しかし、トナ-の硬化がひどいときには攪拌棒の駆動モータの回転が妨げられ、タッピングを解消することができない。タッピングが解消されていないと、その後のトナ-残量の測定が不正確になるという問題がある。この問題に対処するために駆動モータに大出力のものを使用することも考えられるが、通常の画像形成処理においてはオーバースペックであり、コストの増大を招くことになる。 【0006】本発明はかかる従来の問題点に鑑みてなされたもので、コストを増大させることなく安定したトナーの攪拌動作を実現し、もってトナー残量をより正確に測定することのできる画像形成装置およびその制御方法を提供することを目的とする。」 (2-b)「【0008】 【発明の実施の形態】以下、添付図面を参照して本発明の好適な実施形態を詳細に説明する。 【0009】(実施形態1)図1は、本実施形態に係る画像形成装置としてのレーザビームプリンタの機構部(プリンタエンジン)を示す図である。 【0010】同図において、100は記録剤としてのトナー50を収容するトナーカートリッジであり、静電担持体である感光体ドラム101、感光体ドラム101上を一様に帯電するための帯電ローラ106、感光体ドラム101上に形成された静電潜像をトナー50で現像するための現像器107で構成される現像ユニット、さらに、トナー50を攪拌する攪拌棒60を内蔵した構成である。 【0011】102は光源としての半導体レーザ、103はスキャナモータ104によって回転する回転多面鏡、105は半導体レーザ102から発射され、感光体ドラム101上を走査するレーザビームである。108は現像器107にて現像されたトナー像を所定の記録用紙に転写するための転写ローラ、109は記録用紙に転写されたトナーを熱にて融着するための定着ローラである。」 (2-c)「【0016】上記した各種ローラは、図1には示されないメインモータによって駆動される。さらに、攪拌棒60も、メインモータによって回転駆動する。メインモータには、例えばステッピングモータが使用される。 【0017】図2は、このようなプリンタエンジンを制御する制御系回路の構成を示すブロック図である。」 (2-d)「【0028】211は攪拌棒50の回転を制御する攪拌棒制御部であり、攪拌棒50もメインモータ212によって駆動される。もっとも、攪拌棒50を回転駆動させるための専用のモータを設けてもかまわないが、メインモータ212に駆動を任せたほうがコストの点で有利であろう。 【0029】214は後述の図3に示すフローチャートに対応する制御プログラムを記憶する記憶部である。215はメインモータ212の回転状況を計測するモータ回転計測部である。このモータ回転計測部215は、例えば、メインモータ212の回転速度に比例した電圧値を出力するように構成されている。216はプリンタステータス等を表示する表示部である。 【0030】また、画像記録はトナーカートリッジ100内に収容されたトナー50を用いて行われることから、実施形態における画像形成装置においては、カートリッジ(CRG)検出/トナー残量検出回路213を備え、トナーカートリッジ100が装着されているか否かを判断するとともに、トナー残量に応じてユーザにトナーの補給を促すようになっている。」 (2-e)「【0039】上記したとおり、攪拌棒50はメインモータ211によって回転駆動される。実施形態では、メインモータ211の、低速回転モードと高速回転モードとを用意し、この2つのモードを自動的に切り替えることで攪拌棒50に与える回転トルクを制御する。 【0040】図5は、かかる低速回転モードと高速回転モードとを備えるメインモータ211のモード切り替え制御を含む初期化動作(前多回転動作ともよばれる。)を示すフローチャートである。このフローチャートに対応するプログラムは記憶部214に記憶されており、電源投入後および、プリンタ筐体の所定のドアのスイッチ(トナーカートリッジ交換時に開閉される筐体のドアが、閉じたときにONとなるスイッチ)がONされた後に、RAM201aにロードされ、プリンタコントローラ201によって実行されるものである。 【0041】まず、ステップS101で、メインモータ212を高速回転モードで駆動する。先に述べたとおり、トナーのタッピング状態によってはメインモータ212が正常に回転しない場合が生じうる。そこで、ステップS102で、メインモータ21判定は、例えば、モータ回転計測部215より入力される電圧値が、高速回転モードにおいて規定される所定の回転速度に対応する電圧に達しているかどうかで行われる2が正常に回転しているか否かを判定する。。 【0042】メインモータ212が正常に回転していないと判定された場合は、トナーが攪拌棒60による攪拌ができないほどに硬化していると判断してステップS103に進み、メインモータ212を低速回転モードに切り替えて駆動する。また、ステップS104で、メインモータ212の低速回転モードでの駆動時間を計測するためのタイマをスタートさせる。そして、ステップS105でタイマ時間が所定時間(例えば、3秒)に達するのを待って、ステップS101に戻る。すなわち、メインモータ212の低速回転モードでの駆動によるトナーの攪拌を所定時間行う。低速でメインモータ212を回転させるので高速モードでの回転時よりも太いトルクを与えることができる。そのため、多くの場合においてタッピングを解消することが可能になる。」 (2-f)図1として、 「 」 (2-g)図2として、 「 」 (2-h)図5として、 「 」 してみると、刊行物2には、以下の事項が開示されていると認められる。(以下、「刊行物2に記載の事項」という。) 「トナーカートリッジ内には、トナーを攪拌する攪拌棒が内蔵されており、トナーカートリッジ交換時に行われる初期化動作の一環として、該攪拌棒をメインモータによって回転駆動して、トナーを攪拌する処理において、 モータ回転計測部より入力される電圧値が、所定の回転速度に対応する電圧に達しているかどうかでメインモータが正常に回転しているか否かを判定すること。」 (2)対比 本願補正発明と刊行物1発明とを比較する。 まず、刊行物1発明における 「トナー室」、 「撹拌バー」、 「交換可能なトナーカートリッジ」、 「該プロセスカートリッジのローラ類を回転させる駆動手段」、 「電子写真印刷装置」は、 それぞれ、本願補正発明における 「前記現像槽へ必要に応じてトナーを供給するためのトナー補給槽」、 「前記トナー補給槽に収容される前記トナーを攪拌するための攪拌部材」、 「画像形成装置本体に対して交換可能なトナーカートリッジ」、 「前記攪拌部材を回転駆動するトナー補給モータ」、 「画像形成装置」に相当する。 そして、本願補正発明における「現像槽」とは、現像ローラと撹拌ローラを内蔵した現像器であり、刊行物1発明も、現像ローラ、撹拌バーを内蔵する容器を有するから、刊行物1発明においても、「現像槽」に相当する構成を有することは明らかである。 一方、本願補正発明においては、「プロセスカートリッジ」を有していないものの、交換可能なカートリッジ化がなされていないだけであって、「プロセスカートリッジ」と同等の構成を有することも明らかである。 また、刊行物1発明において、「新しいプロセスカートリッジがセットされたときに、前記駆動手段が発生させる駆動トルクを大きくしてアイドリングを行う駆動トルク変更手段」が「設定された時間だけ、前記駆動手段に供給される電流の駆動周波数を低くする」構成と、本願補正発明において、「前記トナー補給モータの駆動を制御する制御装置」が「未使用トナーカートリッジが前記画像形成装置本体へ装着されたことを前記ICチップに記憶された情報で検知すると、前記トナーカートリッジ内の前記攪拌部材が1回転する間、前記トナー補給モータの回転トルクを大きくするために、前記トナー補給モータの駆動周波数を定常値より下げる制御を実行」する構成とは、「前記トナー補給モータの駆動を制御する制御装置」が「未使用カートリッジが前記画像形成装置本体へ装着された際に、所定時間、前記トナー補給モータの回転トルクを大きくするために、前記トナー補給モータの駆動周波数を定常値より下げる制御を実行」する点で共通する。 したがって、本願補正発明と刊行物1発明とは、 「現像槽と、前記現像槽へ必要に応じてトナーを供給するためのトナー補給槽と前記トナー補給槽に収容される前記トナーを攪拌するための攪拌部材とを有し、画像形成装置本体に対して交換可能なトナーカートリッジと、前記攪拌部材を回転駆動するトナー補給モータとを具備した画像形成装置において、 前記トナー補給モータの駆動を制御する制御装置を具備し、 前記制御装置は、未使用カートリッジが前記画像形成装置本体へ装着された際に、所定時間、前記トナー補給モータの回転トルクを大きくするために、前記トナー補給モータの駆動周波数を定常値より下げる制御を実行する、画像形成装置。」 の点で一致し、以下の点で相違している。 [相違点1]:「カートリッジ」の「装着」に関して、本願補正発明においては、「未使用トナーカートリッジが前記画像形成装置本体へ装着された」際に、「トナー補給モータの回転トルクを大きくする」制御を行うのに対し、刊行物1発明においては、「新しいプロセスカートリッジの装着」時に、該制御を行うものである点。 [相違点2]:本願補正発明においては、「前記攪拌部材の回転を検知する攪拌部材回転検知手段」を備えているのに対し、刊行物1発明においては、その特定がない点。 [相違点3]:「トナーカートリッジ」に関して、本願補正発明においては、「未使用、使用の情報を記憶したICチップと、未使用のトナーカートリッジのトナー補給口からのトナー漏れを防止し、トナー補給モータの駆動で引き剥がし可能なシール部材と、トナー封止マイラーを有」しており、「未使用、使用の情報を記憶したICチップ」によって未使用トナーカートリッジの装着を検知するのに対し、刊行物1発明においては、その特定がない点。 [相違点4]:「トナー補給モータの駆動周波数を定常値より下げる制御」の「所定時間」に関して、本願補正発明においては、「トナーカートリッジ内の前記攪拌部材が1回転する間」であるに対し、刊行物1発明においては、「設定された時間」である点。 [相違点5]:「トナー補給モータの駆動状態」に関して、本願補正発明においては、「前記トナー補給モータの電流値を検知するモータ電流検知手段」を備え、「前記制御装置は、前記モータ電流検知手段により検知した前記トナー補給モータの電流値を予め設定された閾値と比較し、前記モータ電流検知手段の検出結果に基づいて、前記トナー補給モータの駆動状態を識別する」のに対し、刊行物1発明においては、その特定がない点。 (3)判断 上記相違点について検討する。 (相違点1について) 刊行物1発明においては、交換可能なトナーカートリッジを備えるとともに、トナーカートリッジとは別体のプロセスカートリッジを有しており、「新しいプロセスカートリッジの装着」時に、「トナー補給モータの回転トルクを大きくする」制御を行うものであるが、例えば、刊行物2に記載のものは、トナーカートリッジ交換時に行われる初期化動作の一環として、トナーを攪拌する処理を行っているように、「新しいプロセスカートリッジの装着」に代えて、「未使用トナーカートリッジが前記画像形成装置本体へ装着された」際に、「トナー補給モータの回転トルクを大きくする」制御を行うことは、当業者が適宜なし得たことである。 (相違点2について) トナーの撹拌処理において、「前記攪拌部材の回転を検知する攪拌部材回転検知手段」を備えることは、例えば、特開平4-149579号公報、特開平5-66668号公報などにも示されるとおり、周知の事項である。 したがって、相違点2は、当業者が適宜採用し得た設計的事項である。 (相違点3について) 相違点3に関して、まず、「未使用、使用の情報を記憶したICチップ」によって未使用トナーカートリッジの装着を検知することは、例えば、原審の拒絶理由において引用された特開2003-186369号公報に加えて、特開平9-120238号公報などにも示されるとおり、従来周知の事項である。 また、「未使用のトナーカートリッジのトナー補給口からのトナー漏れを防止し、トナー補給モータの駆動で引き剥がし可能なシール部材」及び「トナー封止マイラー」については、特開2001-154475号公報、特開2001-159841号公報、特開平3-216685号公報、特開平4-474号公報(原審の拒絶理由における「引用文献4」)、特開平6-3871号公報などにも示されるように、当該技術分野において、よく知られた技術である。 したがって、上記相違点3も、当業者が適宜為し得たことである。 (相違点4について) 「トナー補給モータの駆動周波数を定常値より下げる制御」の「所定時間」をどのように設定するかは、当業者が、トナーの偏りやしまり等による回転負荷を解消するのに必要な時間を判断して、適宜決定できる事項であるから、その「所定時間」を「トナーカートリッジ内の前記攪拌部材が1回転する間」とすることは、当業者が適宜為し得る設計的事項である。 (相違点5について) 相違点5に関して、まず、「トナー補給モータの駆動状態を識別する」点については、モータの駆動制御技術一般において、モータの駆動状態を検知・判別することは、周知の事項である。 また、刊行物2には、「トナーカートリッジ内には、トナーを攪拌する攪拌棒が内蔵されており、トナーカートリッジ交換時に行われる初期化動作の一環として、該攪拌棒をメインモータによって回転駆動して、トナーを攪拌する処理において、モータ回転計測部より入力される電圧値が、所定の回転速度に対応する電圧に達しているかどうかでメインモータが正常に回転しているか否かを判定すること。」が記載されており、この「メインモータ」は、「攪拌部材(攪拌棒)を回転駆動するトナー補給モータ」に相当するから、刊行物2には、「モータ回転計測部より入力される電圧値に基づいて、トナー補給モータの駆動状態を識別する」構成が開示されている。 そして、刊行物1発明と、刊行物2に記載の事項とは、本願補正発明と同様に、トナーの撹拌処理手段を備えた画像形成装置という、同一の技術分野に属し、かつ、未使用カートリッジの装着に対応するものであるから、刊行物1発明に、刊行物2に記載の事項を適用することに何ら困難性は見出せない。 さらに、「トナー補給モータの駆動状態を識別する」ために、モータ電流検知手段によって電流値に基づいて識別するか、それとも、電圧値に基づいて識別するかは、当業者が適宜選択できる設計上の微差に過ぎない。 したがって、相違点5は、刊行物1発明に、刊行物2に記載の事項を適用することによって、当業者が容易に為し得たことである。 (本願補正発明が奏する効果に関して) そして、上記相違点1ないし5に係る構成の変更によって、本願補正発明が奏する「未使用トナーカートリッジの画像形成装置本体への装着後、トナー補給モータの駆動周波数を下げて、トナー補給モータのトルクマージンをアップさせることによって、トナーカートリッジ内の攪拌部材を回転させることができ、輸送によってしまった収容トナーが攪拌部材の回転により崩れ、トナーカートリッジを使用可能な状態にすることが可能な画像形成装置を提供する」、「攪拌部材が1回転した後、トナー補給モータの電流値を検知することによって、トナー補給モータの電流値から瞬時にトナー補給モータの駆動状態の不具合を識別することができる」といった効果も、刊行物1、2に記載された事項及び周知の事項から予測し得る程度のものであって、格別のものとはいえない。 (4)まとめ 以上のように、本願補正発明は、刊行物1、2に記載された発明及び周知の事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができない。 3.補正却下の決定についてのむすび したがって、本件補正は、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 第3.本願発明について 1.本願発明 平成20年1月21日付けの手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1?8に係る発明は、平成18年9月21日付けの手続補正によって補正された特許請求の範囲の請求項1?8に記載された事項により特定されるものであり、特に、請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、以下のとおりである。 「 現像槽と、前記現像槽へ必要に応じてトナーを供給するためのトナー補給槽と前記トナー補給槽に収容される前記トナーを攪拌するための攪拌部材とを有し、画像形成装置本体に対して交換可能なトナーカートリッジと、前記攪拌部材を回転駆動するトナー補給モータとを具備した画像形成装置において、 さらに、前記トナー補給モータの駆動を制御する制御装置と、前記トナー補給モータの電流値を検知するモータ電流検知手段とを具備し、前記制御装置は、未使用トナーカートリッジの前記画像形成装置本体への装着後の所定期間内に、前記トナー補給モータの回転トルクを大きくするために、前記トナー補給モータの駆動周波数を下げる制御を実行し、前記モータ電流検知手段は、前記トナーカートリッジ内の前記攪拌部材が1回転した後、前記トナー補給モータの電流値を検知し、前記制御装置は、前記モータ電流検知手段により検知した前記トナー補給モータの電流値を予め設定された閾値と比較し、前記モータ電流検知手段の検出結果に基づいて、前記トナー補給モータの駆動状態を識別することを特徴とする画像形成装置。」 2.引用刊行物 これに対して、原査定の拒絶の理由に引用された引用された刊行物1?2、及び、その記載事項は、前記第2.2.(1-a)?(2-h)で示したとおりである。 3.対比・判断 本願発明は、上記第2.2.で検討した本願補正発明から、「前記攪拌部材の回転を検知する攪拌部材回転検知手段」を具備する点、「トナーカートリッジ」に関して、「未使用、使用の情報を記憶したICチップと、未使用のトナーカートリッジのトナー補給口からのトナー漏れを防止し、トナー補給モータの駆動で引き剥がし可能なシール部材と、トナー封止マイラーを有」する点、「未使用トナーカートリッジの前記画像形成装置本体への装着後の所定期間内に」に関して、「未使用トナーカートリッジが前記画像形成装置本体へ装着されたことを前記ICチップに記憶された情報で検知すると、前記トナーカートリッジ内の前記攪拌部材が1回転する間」と限定した点、及び、「前記トナー補給モータの駆動周波数を下げる制御」に関して、「定常値より」と限定した点を削除したものである。 そうすると、本願発明の特定事項を全て含み、さらに他の特定事項を付加したものに相当する本願補正発明が、上記第2.2.に記載したとおり、刊行物1に記載された発明及び周知の事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、同様の理由により、刊行物1、2に記載された発明及び周知の事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。 4.むすび 以上のとおり、本願の請求項1に係る発明は、刊行物1、2に記載された発明及び周知の事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 したがって、その他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。 なお、請求人は、当審からの審尋への回答書において、補正の用意がある旨記載しているが、特許法が補正の時期的制限を設けていることの趣旨に鑑みて、補正の機会を設けることとはしない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2009-06-04 |
結審通知日 | 2009-06-09 |
審決日 | 2009-06-23 |
出願番号 | 特願2004-32296(P2004-32296) |
審決分類 |
P
1
8・
121-
Z
(G03G)
P 1 8・ 575- Z (G03G) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 伏見 隆夫、大仲 雅人 |
特許庁審判長 |
赤木 啓二 |
特許庁審判官 |
一宮 誠 山下 喜代治 |
発明の名称 | 画像形成装置 |
代理人 | 特許業務法人第一国際特許事務所 |