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審決分類 審判 査定不服 特174条1項 特許、登録しない。 H04M
管理番号 1201843
審判番号 不服2008-26700  
総通号数 117 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2009-09-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2008-10-16 
確定日 2009-08-07 
事件の表示 特願2007-103940「携帯電話装置」拒絶査定不服審判事件〔平成19年 9月20日出願公開、特開2007-243972〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成13年12月17日に出願した特願2001-382457号の一部を平成17年4月18日に新たな特許出願とした特願2005-119548号の一部を平成19年4月11日に更に新たな特許出願としたものであって、同年8月27日付けで拒絶理由が通知され、これに対して同年11月2日付けで意見書の提出がなされるとともに手続補正がなされ、平成20年4月30日付けで拒絶理由が通知され、同年9月11日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、同年10月16日に拒絶査定に対する審判請求がなされたものである。

第2 拒絶査定の当否
1.本願発明
本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、平成19年11月2日付け手続補正書により補正された明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1に記載された以下のとおりのものと認める。
「少なくとも表示部を有する第1筐体と、少なくともキー操作部を有する第2筐体とが、接合部にて結合されて構成され、
受話器および送話器は、前記第1筐体もしくは前記第2筐体のいずれかに設けられており、
前記キー操作部が操作できる状態であっても、もしくは前記キー操作部が操作できない状態であっても、通話が可能であることを特徴とする携帯電話装置。」

2.原審の拒絶理由
原審における平成20年4月30日付けの拒絶理由の概要は以下のとおりである。

『平成19年11月2日付けでした手続補正は、下記の点で願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてしたものでないから、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしていない。



特許請求の範囲、発明の詳細な説明、図面の記載
備考:
受話器および送話器が、第1筐体もしくは第2筐体のいずれかに設けられていることは、出願当初の明細書、及び図面に記載されておらず、また自明とも認められない。』

3.平成19年11月2日付けの手続補正による補正の適否
本願発明の「受話器および送話器は、前記第1筐体もしくは前記第2筐体のいずれかに設けられており、」という構成が、願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下、「当初明細書」という。)に記載された事項の範囲内においてしたものかどうか、以下に検討する。

(3-1)願書に最初に添付した明細書又は図面の記載事項
本件特許出願の願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下、「当初明細書」という。)には、「受話器および送話器は、前記第1筐体もしくは前記第2筐体のいずれかに設けられており、」という構成に関して、以下の事項が記載されている。
イ.「【請求項1】
少なくとも受話器と表示部を有する第1筐体と、少なくとも送話器とキー操作部を有する第2筐体とが、接合部にて回転可能なように結合されて構成され、
前記第1筐体の少なくとも2つの異なる面にそれぞれ表示部を有し、前記第2筐体の少なくとも2つの異なる面にそれぞれキー操作部を有し、
第1筺体の1つの表示部と第2筐体の1つのキー操作部が互いに対向する状態においても、少なくとも1つの他の表示部を見ることができ、少なくとも1つの他のキー操作部を操作することができることを特徴とする携帯電話装置。」(特許請求の範囲、請求項1)

ロ.「【0006】
上記の課題を解決するために、本発明の携帯電話装置は、請求項1の記載のように、少なくとも受話器と表示部を有する第1筐体と、少なくとも送話器とキー操作部を有する第2筐体とが、接合部にて回転可能なように結合されて構成され、前記第1筐体の少なくとも2つの異なる面にそれぞれ表示部を有し、第1筺体の1つの表示部と第2筐体の1つのキー操作部が互いに対向する状態においても、少なくとも1つの他の表示部を見ることができ、少なくとも1つの他のキー操作部を操作することを特徴とする。」(段落6)

ハ.「【0013】
本発明の第1の構成によれば、本発明の携帯電話装置は、少なくとも受話器と表示部を有する第1筐体と、少なくとも送話器とキー操作部を有する第2筐体とが、接合部にて回転可能なように結合されて構成され、前記第1筐体の少なくとも2つの異なる面にそれぞれ表示部を有し、前記第2筐体の少なくとも2つの異なる面にそれぞれキー操作部を有し、第1筺体の1つの表示部と第2筐体の1つのキー操作部が互いに対向する状態においても、少なくとも1つの他の表示部を見ることができ、少なくとも1つの他のキー操作部を操作することができるので、電波の強弱の状態、電子メールの着信状況、留守番電話の録音状況、または日付、時刻、その他の設定、等の各種情報を得ることが可能となり、またキーの絶対数を増やすことにより、多機能でありながらも、1つのキーの機能を減らせることが可能となり、キーの機能が明瞭となり操作が簡単になる。」(段落13)

ニ.「【0021】
図1に、本発明の携帯電話装置の裏及び表から見た概略平面図を示した。第1筐体1と第2筐体2は接合部3により回転可動なように結合されている。更には、ヒンジ部4により折り畳み可能なように連結されている。例えば、接合部3は、通常、第2筐体2に収納されていて、第1筐体1を図1上方向に引くことにより出現する。これは、キー操作部を使用している際に、誤って筐体が回転してしまわないように、回転時のみ接合部が現れる構造を採用することで御操作防止を図っている。
【0022】
第1筐体1は伸縮可能なアンテナ5、受話器6を、第2筐体2は送話器7を表裏に備えている。送話器7は表裏に備えられているので、第2筐体2の表裏面のどちらからでも通話が可能である。」(段落21、段落22)

(3-2)当審の判断
まず、本願発明おける「受話器および送話器は、前記第1筐体もしくは前記第2筐体のいずれかに設けられており、」という構成は、「送話器が第1筐体に設けられる構成」、「受話器が第2筐体に設けられる構成」を含むものと解するのが相当である。
ここで、本願発明の「受話器および送話器は、前記第1筐体もしくは前記第2筐体のいずれかに設けられており、」という構成に関して、上記(3-1)で摘記した当初明細書等を検討すると、【請求項1】、【0006】、【0013】にはそれぞれ「少なくとも受話器と表示部を有する第1筐体と、少なくとも送話器とキー操作部を有する第2筐体」と記載されており、【0022】には「第1筐体1は伸縮可能なアンテナ5、受話器6を、第2筐体2は送話器7を表裏に備えている。」と記載されているが、当該記載では「第1筐体は受話器を備える」旨、及び、「第2筐体は送話部を設ける」旨が読み取れるだけである。
また、【0021】、【0022】で説明される図1においても、符号6及び7で示される送話器6及び受話器7を参照してわかるように、「第1筐体は受話器を備える」旨、及び、「第2筐体は送話部を設ける」旨が読み取れるだけである。
さらに、願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面の記載における他の箇所からも「送話器が第1筐体に設けられる構成」、「受話器が第2筐体に設けられる構成」は読み取れず、「送話器が第1筐体に設けられる構成」、「受話器が第2筐体に設けられる構成」が当初明細書等の記載から一義的に導出される構成であるとも認められない。

したがって、平成19年11月2日付け手続補正書による補正は、願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてしたものではないから、特許法第17条の2第3項(新規事項)に規定する要件を満たしていない。

以上の通りであるから、「平成19年11月2日付けでした手続補正が、願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてしたものでない」ことを理由とした、原審において審査官のした拒絶査定は、妥当なものである。

第3 結語
平成19年11月2日付けの手続補正書による補正は、特許法第17条の2第3項(新規事項)に規定する要件を満たしていないから、本願は同法第49条の規定により拒絶されるべきものである。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2009-06-02 
結審通知日 2009-06-08 
審決日 2009-06-22 
出願番号 特願2007-103940(P2007-103940)
審決分類 P 1 8・ 55- Z (H04M)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 西脇 博志  
特許庁審判長 石井 研一
特許庁審判官 竹井 文雄
高野 洋
発明の名称 携帯電話装置  

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