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審決分類 |
審判 訂正 判示事項別分類コード:83 訂正する A42B |
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管理番号 | 1202234 |
審判番号 | 訂正2009-390082 |
総通号数 | 118 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2009-10-30 |
種別 | 訂正の審決 |
審判請求日 | 2009-06-29 |
確定日 | 2009-08-10 |
訂正明細書 | 有 |
事件の表示 | 特許第2794533号に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 特許第2794533号に係る明細書及び図面を本件審判請求書に添付された訂正明細書及び図面のとおり訂正することを認める。 |
理由 |
1.手続の経緯 本件特許第2794533号は、平成6年7月6日に出願(特願平6-177535号)されたものであって、平成10年6月26日に、その特許権の設定登録がされ、その後、本件訂正審判が請求されたものである。 2.請求人の主張 請求人は、審判請求書によれば、「特許第2794533号の明細書及び図面を、請求書に添付した訂正明細書及び図面のとおりに訂正する。」との審決を求めているものと認める。 3.本件訂正の内容 本件訂正は、審判請求書及び、これ添付した訂正明細書又は図面の記載から見て、以下の訂正事項a?hからなるものと認める。 訂正事項a;特許請求の範囲の記載につき、 「【特許請求の範囲】 【請求項1】 端部を相互に重ね合わせた一対の調整帯体を形成し、この調整帯体相互の重合部分にスライド長孔を開口すると共に、一方のスライド長孔の上部長手側縁と他方のスライド長孔の下部長手側縁とに沿って夫々ラック部を設け、このラック部に嵌合して調整帯体相互を逆方向にスライド移動せしめる両締め形のピニオン体を形成し、ピニオン体に正逆調整つまみを設けたことを特徴とするサイズ調整バンド。 【請求項2】 ピニオン体は、重合した調整帯体の長手側縁を保持し、且つこの長手側縁に沿って移動する保持体に連結され、この保持体にピニオン体の一方の回転を規制する逆転ストッパーを設けた請求項1記載のサイズ調整バンド。 【請求項3】 逆転ストッパーは、ピニオン体と正逆調整つまみとの間に配設したラチェット機構とする請求項1、2記載のサイズ調整バンド。 【請求項4】 正逆調整つまみは、ラチェットドラムを設け、逆転ストッパーのラチェット爪に係脱自在に設けた請求項1乃至3記載のサイズ調整バンド。 【請求項5】 調整帯体は、一端を被り物の開口周囲部に固定した一対のもの、または、一本のループ状帯体で形成された請求項1乃至4記載のサイズ調整バンド。 【請求項6】 ラック部は、一方の調整帯体に形成された片締め形とする請求項1乃至5記載のサイズ調整バンド。」とあるのを、 「【特許請求の範囲】 【請求項1】 端部を相互に重ね合わせた一対の調整帯体を形成し、この調整帯体相互の重合部分にスライド長孔を開口すると共に、一方のスライド長孔の上部長手側縁と他方のスライド長孔の下部長手側縁とに沿って夫々ラック部を設け、このラック部に嵌合して調整帯体相互を逆方向にスライド移動せしめる両締め形のピニオン体を形成し、ピニオン体に正逆調整つまみを設け、これらピニオン体と正逆調整つまみとの間にピニオン体の一方の回転を規制する逆転ストッパーが設けられ、この逆転ストッパーはラチェット機構としたことを特徴とするサイズ調整バンド。 【請求項2】 ピニオン体は、重合した調整帯体の長手側縁を保持し、且つこの長手側縁に沿って移動する保持体に連結され、この保持体にピニオン体の一方の回転を規制する逆転ストッパーを設けた請求項1記載のサイズ調整バンド。 【請求項3】 正逆調整つまみは、ラチェットドラムを設け、逆転ストッパーのラチェット爪に係脱自在に設けた請求項1又は2記載のサイズ調整バンド。 【請求項4】 調整帯体は、一端を被り物の開口周囲部に固定した一対のもの、または、一本のループ状帯体で形成された請求項1乃至3いずれか記載のサイズ調整バンド。 【請求項5】 ラック部は、一方の調整帯体に形成された片締め形とする請求項1乃至4いずれか記載のサイズ調整バンド。」と訂正する。 訂正事項b;明細書の段落【0006】?【0011】の記載につき、 「【0006】 【課題を解決するための手段】 上述の目的を達成すべくこの発明の第1の手段は、・・・(審決注;「・・・」は、記載の省略を示す。以下、同様。)。更に、このラック部2に嵌合して調整帯体1相互を逆方向にスライド移動せしめる両締め形のピニオン体3を形成し、ピニオン体3に正逆調整つまみ5を設けたことにある。 【0007】 第2の手段のピニオン体3は、・・・。 【0008】 更に、第3の手段の逆転ストッパー4は、ピニオン体3と正逆調整つまみ5との間に配設したラチェット機構とする。 【0009】 そして、第4の手段の正逆調整つまみ5は、・・・。 【0010】 第5の手段は、・・・。 【0011】 そして、第6の手段は、・・・。」とあるのを、 「【0006】 【課題を解決するための手段】 上述の目的を達成すべくこの発明の第1の手段は、・・・。更に、このラック部2に嵌合して調整帯体1相互を逆方向にスライド移動せしめる両締め形のピニオン体3を形成し、ピニオン体3に正逆調整つまみ5を設け、これらピニオン体3と正逆調整つまみ5との間にピニオン体3の一方の回転を規制する逆転ストッパー4が設けられ、この逆転ストッパー4はラチェット機構としたことにある。 【0007】 第2の手段のピニオン体3は、・・・。 【0009】 そして、第3の手段の正逆調整つまみ5は、・・・。 【0010】 第4の手段は、・・・。 【0011】 そして、第5の手段は、・・・。」と訂正する。 訂正事項c;明細書の段落【0012】?【0017】の記載につき、 「【0012】 【作用】 すなわちこの発明の第1の手段によると、・・・。この調整帯体1が被り物Pのサイズを決めるものである。 【0013】 また、第2の手段は、・・・。 【0014】 更に、第3の手段は、ラチェット機構の逆転ストッパー4がピニオン体3と正逆調整つまみ5との回転方向を規制する。 【0015】 第4の手段は、・・・。 【0016】 第5の手段は、・・・。 【0017】 そして、第6の手段は、・・・。」とあるのを、 「【0012】 【作用】 すなわちこの発明の第1の手段によると、・・・。この調整帯体1が被り物Pのサイズを決めるものである。更に、ラチェット機構の逆転ストッパー4がピニオン体3と正逆調整つまみ5との回転方向を規制する。 【0013】 また、第2の手段は、・・・。 【0015】 第3の手段は、・・・。 【0016】 第4の手段は、・・・。 【0017】 そして、第5の手段は、・・・。」と訂正する。 訂正事項d;明細書の段落【0025】の記載、即ち、以下の記載を削除する。 「【0025】 図5及び図6に逆転ストッパー4を省略して片締め形にした実施例を示している。この実施例では、ラチェット機構の逆転ストッパー4の代わりに、調整帯体1の重合面に凹凸状の滑止10を施したものである。そして、調整帯体1の重合した端部相互が装着時の締付け圧力で滑り止めの作用を奏するものである(図6参照)。このとき、滑止10は、凹凸状の突起を有する材質を介したり、あるいは、調整帯体1の表面にノンスリップ加工を施してもよい。また、調整帯体1全体または重合部分に被せる保護袋9を設け、この保護袋9の外側に保持体6とピニオン体3とを装着して調整帯体1相互のずれを防止している(図5参照)。」 訂正事項e;明細書の段落【0029】?【0031】の記載につき、 「【0029】 【発明の効果】 本発明は、上述の如く構成したことにより、当初の目的を達成する。 【0030】 すなわち、請求項1、2により、・・・。 【0031】 また、請求項2、3によって、正逆調整つまみ5の操作が容易になり、頭部への締め付け強度を好みの強さに調整することができる。」とあるのを、 「【0029】 【発明の効果】 本発明は、上述の如く構成したことにより、当初の目的を達成する。 【0030】 すなわち、請求項1、2により、・・・。 【0031】 また、請求項1、2によって、正逆調整つまみ5の操作が容易になり、頭部への締め付け強度を好みの強さに調整することができる。」と訂正する。 訂正事項f;明細書の【図面の簡単な説明】の記載につき、 「・・・。 【図4】 この発明の装着状態を示す切欠側面図。 【図5】 この発明の他の実施例を示す分解斜視図。 【図6】 この発明の他の実施例を示す断面図。」とあるのを、 「・・・。 【図4】 この発明の装着状態を示す切欠側面図。」と訂正する。 訂正事項g;明細書の【符号の説明】の記載につき、 「・・・。 8 連結ネジ 9 保護袋 10 滑止」とあるのを、 「・・・。 8 連結ネジ」と訂正する。 訂正事項h;図面の【図5】及び【図6】を削除する。 4.本件訂正の適否 ここでは、「願書に添付した明細書又は図面」を「訂正前明細書等」という。また、訂正前の特許請求の範囲請求項1については「旧請求項1」と、訂正後については「新請求項1」といい、他の請求項についても同様とする。 4-1.訂正事項aについて 訂正事項aは、旧請求項1?6を新請求項1?5とし、まずは、旧請求項3を削除するもので、この削除する訂正は、特許請求の範囲の減縮を目的とした明細書の訂正に該当し、訂正前明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものであることは明らかであるし、また、この訂正が、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものであるとする理由は見当たらない。 次に、新請求項1?5とする訂正について、順次、見ていくことにする。 4-1-2.新請求項1とする訂正 新請求項1は、旧請求項1を由来とするもので、この訂正は、旧請求項1に記載の「ピニオン体に正逆調整つまみを設けた」を「ピニオン体に正逆調整つまみを設け、これらピニオン体と正逆調整つまみとの間にピニオン体の一方の回転を規制する逆転ストッパーが設けられ、この逆転ストッパーはラチェット機構とした」とすることにより、ピニオン体と正逆調整つまみとの間にピニオン体の一方の回転を規制する逆転ストッパーが設けられ、この逆転ストッパーはラチェット機構としたとの技術的事項を加えるもので、これにより、同項に記載されたサイズ調整バンドを技術的に限定するもので、特許請求の範囲の減縮を目的とした明細書の訂正に該当する。 また、この訂正は、訂正前明細書等の段落【0008】の「逆転ストッパー4は、ピニオン体3と正逆調整つまみ5との間に配設したラチェット機構とする。」及び段落【0026】の「この保持体6にピニオン体3の一方の回転を規制する逆転ストッパー4を設けてある。図示の逆転ストッパー4は、ピニオン体3と正逆調整つまみ5との間に配設したラチェット機構を用いている(図1参照)。」を根拠とするもので、訂正前明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものである。 更に、この訂正が、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものであるとする理由は見当たらない。 4-1-3.新請求項2とする訂正 新請求項2は、旧請求項1を引用して記載されていた旧請求項2を由来とするもので、文言上の訂正はないものの、旧請求項1が、先に「4-1-2.」で述べたように、同項に記載されたサイズ調整バンドを技術的に限定する訂正がなされていることから、この訂正も、特許請求の範囲の減縮を目的とした明細書の訂正に該当し、同じく、「4-1-2.」で述べたのと同じ理由から、訂正前明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものである。 更に、この訂正が、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものであるとする理由は見当たらない。 4-1-4.新請求項3?5とする訂正 新請求項3は、旧請求項1乃至3を引用して記載されていた旧請求項4を由来とするもので、引用して記載されていた旧請求項3を削除し、新請求項1又は2を引用して記載する請求項とするものと認められる。また、同様に、新請求項4は、旧請求項1乃至4を引用して記載されていた旧請求項5を由来とするもので、引用して記載されていた旧請求項3を削除し、新請求項1乃至3を引用して記載する請求項とし、新請求項5は、旧請求項1乃至5を引用して記載されていた旧請求項6を由来とするもので、引用して記載されていた旧請求項3を削除して、新請求項1乃至4を引用して記載する請求項にするものといえる。 そして、旧請求項1が、先に「4-1-2.」で述べたように、同項に記載されたサイズ調整バンドを技術的に限定する訂正がなされ、また、旧請求項3が、先に「4-1.」で述べたように、削除する訂正がなされていることから、この新請求項3?5とする訂正も、特許請求の範囲の減縮を目的とした明細書の訂正に該当し、同じく、「4-1.」及び「4-1-2.」で述べたのと同じ理由から、訂正前明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものである。 更に、この訂正が、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものであるとする理由は見当たらない。 4-2.訂正事項b、c及びeについて 訂正前明細書等の段落【0006】?【0011】は、【課題を解決するための手段】について、また、同じく段落【0012】?【0017】は、【作用】について記載するもので、これらに記載の「第1の手段」?「第6の手段」は、「旧請求項1」?「旧請求項6」に対応したものであることは明らかで、これらの訂正は、訂正事項aと整合を図るべく明細書の記載を訂正するもので、明りょうでない記載の釈明を目的とした明細書の訂正に該当する。 また、訂正前明細書等の段落【0029】?【0031】は、【発明の効果】について記載するもので、段落【0031】には、旧請求項2及び3につき、その効果が記載されている。そして、旧請求項2及び3の効果として記載されている「正逆調整つまみ5の操作が容易になり、頭部への締め付け強度を好みの強さに調整することができる。」との記載事項は、旧請求項3が削除された後の新請求項1及び2の効果でもあることは明らかで、この訂正は、訂正事項aと整合を図るべく明細書の記載を訂正するもので、明りょうでない記載の釈明を目的とした明細書の訂正に該当する。 そして、これら訂正は、先の「4-1.」?「4-1-4.」で検討したことから、訂正前明細書に記載した事項の範囲内においてしたものであることは明らかであるし、訂正前明細書に記載した事項の範囲内においてしたものであることも明らかである。 また、これら訂正が、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものであるとする理由は見当たらない。 4-3.訂正事項d、f、g及びhについて これらの訂正は、図5及び図6、並びに、これら図面を参照してサイズ調整バンドの具体例を記載する明細書の段落、更には、これら図面を説明する記載を削除するものと認められる。そして、該具体例は、ラチェット機構としての逆転ストッパーを有さないものと認められる。 その一方で、特許請求の範囲に記載の発明は、「これらピニオン体と正逆調整つまみとの間にピニオン体の一方の回転を規制する逆転ストッパーが設けられ、この逆転ストッパーはラチェット機構とした」と記載した事項を、発明特定事項とするもので、ラチェット機構としての逆転ストッパーを発明特定事項とするものと認められる。 そこで、検討すると、上記具体例は、上記発明の具体例ではなく、これらの訂正は、特許請求の範囲に記載の発明の具体例でない例を削除するもので、明りようでない記載の釈明を目的とした明細書の訂正に該当する。 4-4.独立特許要件について 訂正事項aは、先に「4-1.」?「4-1-4.」で述べたように、特許請求の範囲の減縮を目的とした明細書の訂正に該当するので、更に、訂正後における特許請求の範囲に記載されている事項により特定される発明が特許出願の際独立して特許を受けられるかについて検討すると、受けられないとする理由は見当たらない。 4-5.まとめ 訂正事項a?hは、特許請求の範囲の減縮又は明りようでない記載の釈明を目的とした明細書の訂正に該当し、訂正前明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものであり、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものであるとする理由や、これらによる訂正後における特許請求の範囲に記載されている事項により特定される発明が特許出願の際独立して特許を受けられないとする理由は見当たらない。 5.むすび 本件訂正は、特許法第126条第1?5項の規定に適合するので、これを認める。 よって、結論のとおり、審決する。 |
発明の名称 |
(54)【発明の名称】 サイズ調整バンド (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】端部を相互に重ね合わせた一対の調整帯体を形成し、この調整帯体相互の重合部分にスライド長孔を開口すると共に、一方のスライド長孔の上部長手側縁と他方のスライド長孔の下部長手側縁とに沿って夫々ラック部を設け、このラック部に嵌合して調整帯体相互を逆方向にスライド移動せしめる両締め形のピニオン体を形成し、ピニオン体に正逆調整つまみを設け、これらピニオン体と正逆調整つまみとの間にピニオン体の一方の回転を規制する逆転ストッパーが設けられ、この逆転ストッパーはラチェット機構としたことを特徴とするサイズ調整バンド。 【請求項2】ピニオン体は、重合した調整帯体の長手側縁を保持し、且つ、この長手側縁に沿って移動する保持体に連結され、この保持体にピニオン体の一方の回転を規制する逆転ストッパーを設けた請求項1記載のサイズ調整バンド。 【請求項3】正逆調整つまみは、ラチェットドラムを設け、逆転ストッパーのラチェット爪に係脱自在に設けた請求項1又は2記載のサイズ調整バンド。 【請求項4】調整帯体は、一端を被り物の開口周囲部に固定した一対のもの、または、一本のループ状帯体で形成された請求項1乃至3いずれか記載のサイズ調整バンド。 【請求項5】ラック部は、一方の調整帯体に形成された片締め形とする請求項1乃至4いずれか記載のサイズ調整バンド。 【発明の詳細な説明】 【0001】 【産業上の利用分野】 この発明は、ヘルメットや帽子、サンバイザーなどの被りもののサイズ調整を頭部前面など、被ったまま任意の位置で行うことができるサイズ調整バンドに関する。 【0002】 【従来の技術】 これまで、ヘルメットや帽子、サンバイザーなどの被りものは、決められたサイズに形成されるか、あるいは、ある程度の幅を持つサイズ別に設けられている。そして、ある程度の幅を持つサイズを更に、使用者の頭部のサイズに適応させるには、スライド固定式の調整具等が用いられている。 【0003】 このスライド固定式の調整具は、例えば、被りものの縁の一部を解放し、この解放された縁の重ね具合を調整するタイプの調整具などがある。 【0004】 【発明が解決しようとする課題】 ところが、スライド固定式の調整具では、僅かな調整幅に限られていた。しかも、この種の調整具は、被る前に調整して被着する必要があるから、使用者の頭部のサイズに適応させるまでに何度も調整し直す場合もあり、このサイズ調整に手間を要するものであった。 【0005】 そこでこの発明は、上述の課題を解消すべく創出されたもので、被り物を被着した状態でサイズを調整することができ、しかも、各種の被り物にも用いることができるサイズ調整バンドの提供を目的とする。 【0006】 【課題を解決するための手段】 上述の目的を達成すべくこの発明の第1の手段は、端部を相互に重ね合わせた一対の調整帯体1を形成する。この調整帯体1相互の重合部分にスライド長孔1Aを開口する。そして、一方のスライド長孔1Aの上部長手側縁と他方のスライド長孔1Aの下部長手側縁とに沿って夫々ラック部2を設ける。更に、このラック部2に嵌合して調整帯体1相互を逆方向にスライド移動せしめる両締め形のピニオン体3を形成し、ピニオン体3に正逆調整つまみ5を設け、これらピニオン体3と正逆調整つまみ5との間にピニオン体3の一方の回転を規制する逆転ストッパー4が設けられ、この逆転ストッパー4はラチェット機構としたことにある。 【0007】 第2の手段のピニオン体3は、重合した調整帯体1の長手側縁を保持し、且つ、この長手側縁に沿って移動する保持体6に連結する。そして、この保持体6にピニオン体3の一方の回転を規制する逆転ストッパー4を設ける。 【0009】 そして、第3の手段の正逆調整つまみ5は、ラチェットドラム4Aを設け、逆転ストッパー4のラチェット爪4Bに係脱自在に設けたことを課題解消のための手段とする。 【0010】 第4の手段は、一端を被り物Pの開口周囲部に固定した一対の調整帯体1または、一本のループ状帯体が調整帯体1として使用される。この時、調整帯体1の端部相互の重合部分にスライド長孔1Aを開口する。 【0011】 そして、第5の手段は、一方のスライド長孔1Aの上部長手側縁と他方のスライド長孔1Aの下部長手側縁とのいずれか一方に沿ってラック部2を設け、この一つのラック部2を利用して片締めとするものである。 【0012】 【作用】 すなわちこの発明の第1の手段によると、正逆調整つまみ5を回すことで、ピニオン体3が一対のラック部2に作用して調整帯体1相互の重ね位置を調整する。この調整帯体1が被り物Pのサイズを決めるものである。更に、ラチェット機構の逆転ストッパー4がピニオン体3と正逆調整つまみ5との回転方向を規制する。 【0013】 また、第2の手段は、保持体6が調整帯体1とピニオン体3とを保持固定するもので、この保持体6に設けた逆転ストッパー4がピニオン体3の回転方向を規制する。 【0015】 第3の手段は、正逆調整つまみ5に設けたラチェットドラム4Aを、逆転ストッパー4のラチェット爪4Bに係脱させることで、逆転ストッパー4を作動し、あるいは、解除するものである。 【0016】 第4の手段は、正逆調整つまみ5の操作で、端部を被り物Pの開口内周縁に固定した一対の調整帯体1の重合位置や、または、一本のループ状帯体の調整帯体1の径が調整される。 【0017】 そして、第5の手段は、正逆調整つまみ5の操作で、ラック部2を設けた調整帯体1が一方向にのみ締付けられるものになる。 【0018】 【実施例】 以下、図面を参照して、本発明の実施例を詳細に説明する。 【0019】 図において示される符号Pは、帽子、サンバイザー、ヘルメットのほか、拡大鏡や内視鏡、ヘッドランプ、はちまき等に使用される被り物Pであり、この被り物Pの開口部内周縁に、この発明調整バンドの調整帯体1が装着される(図4参照)。 【0020】 調整帯体1は、端部を相互に重ね合わせた一対のもので、この調整帯体1相互の重合部分にスライド長孔1Aを開口している(図1参照)。そして、一方のスライド長孔1Aの上部長手側縁と他方のスライド長孔1Aの下部長手側縁とに沿って夫々ラック部2を設けてある。 【0021】 また、調整帯体1は、その一部を被り物Pに固定するほか、調整帯体1の解放端部を被り物Pの側面等、適位置に着脱自在に固定してもよい。この固定手段は、スナップやハトメ、あるいは面ファスナーなど、従来周知の任意の固定手段を適宜選択して固定するものである。また、図1に示す調整帯体1は、調整帯体1全体、または、重合部分に被せる保護袋9を設けてあり、重合した調整帯体1相互の位置ずれを防止している。そして、この保護袋9の外がわから保持体6とピニオン体3とを装着するものである。また、この保護袋9は、必要よって省略してもよいものである(図3参照)。 【0022】 更に、調整帯体1は、一対の調整帯体1の代わりに一本のループ状帯体を調整帯体1として使用し、この調整帯体1をリング状に形成してもよい。 【0023】 次に、調整帯体1のラック部2に嵌合して調整帯体1相互を逆方向にスライド移動せしめる両締め形のピニオン体3を形成し、このピニオン体3に正逆調整つまみ5を設ける。図示のピニオン体3は、ラック部2に歯合するネジ部3Aと、このネジ部3Aの反対位置に突設され、正逆調整つまみ5に連結する連結部3Bとを有する(図1参照)。そして、このピニオン体3は、保持体6に連結している。 【0024】 また、一方のスライド長孔1Aの上部長手側縁と他方のスライド長孔1Aの下部長手側縁とのいずれか一方に沿ってラック部2を設け、この一つのラック部2を利用して片締めにすることもできる(図示せず)。 【0026】 保持体6は、重合した調整帯体1の長手側縁を保持し、且つ、この長手側縁に沿って移動するものであり、この保持体6にピニオン体3の一方の回転を規制する逆転ストッパー4を設けてある。図示の逆転ストッパー4は、ピニオン体3と正逆調整つまみ5との間に配設したラチェット機構を用いている(図1参照)。すなわち、正逆調整つまみ5の内周縁にラチェットドラム4Aを設け、ピニオン体3と正逆調整つまみ5との間に介した逆転ストッパー4のラチェット爪4Bに、このラチェットドラム4Aを係合する(図2参照)。このとき、図示のラチェット爪4Bは、弾性を有するスクリュー形状を成し、保持体6に連結した固定板4Cにこのラチェット爪4Bを設けている。また、図示の固定板4Cは、2枚設けてあり、この2枚の固定板4Cの間に被り物Pを挟み付けるようにしている(図1、図3、図4参照)。 【0027】 更に、正逆調整つまみ5に設けたラチェットドラム4Aは、ラチェット爪4Bに係脱自在に設けている。図示の正逆調整つまみ5は、スプリング7を介した連結ネジ8で保持体6にピニオン体3と逆転ストッパー4と共に保持体6にネジ止めしてある(図3の実線部分参照)。したがって、通常は、このスプリング7の弾性力で正逆調整つまみ5がラチェット爪4Bがわに押圧付勢された状態にあり、ラチェットドラム4Aとラチェット爪4Bとが係合した状態になる。また、この正逆調整つまみ5をスプリング7方向に強制的に引き上げることで、ラチェットドラム4Aとラチェット爪4Bとは解除され、ピニオン体3はいずれの方向にも回転できるようになる(図3の想像線部分参照)。また、強制的な引き上げをやめると、スプリング7の付勢力で正逆調整つまみ5は元の位置にもどり、ラチェットドラム4Aとラチェット爪4Bとが係合状態になるものである。 【0028】 尚、正逆調整つまみ5は、被り物Pの前面に突出するように装着する(図4参照)。また、正逆調整つまみ5の前面、または、連結ネジ8の表面を利用して、氏名やマーク等の表示を施すことも可能である。このとき、表示体(図示せず)は、連結ネジ8の表面への固定式や、正逆調整つまみ5の前面へのはめ込み式などを予定している。 【0029】 【発明の効果】 本発明は、上述の如く構成したことにより、当初の目的を達成する。 【0030】 すなわち、請求項1、2により、正逆調整つまみ5を回すだけで被り物Pのサイズを調整できるから、被り物Pを被着した状態でサイズを調整することが可能になった。 【0031】 また、請求項1、2によって、正逆調整つまみ5の操作が容易になり、頭部への締め付け強度を好みの強さに調整することができる。 【0032】 しかも、請求項1乃至6によって、この発明調整バンドを装着することが可能な被り物Pはすべてサイズを調整できるから、極めて汎用性に富むものである。 【0033】 このようにこの発明よると、被り物を被着した状態でサイズを調整することができ、しかも、各種の被り物にも用いることができるなどといった産業上有益な種々の効果を奏するものである。 【図面の簡単な説明】 【図1】 この発明を示す分解斜視図。 【図2】 この発明の逆転ストッパーを示す一部切欠平面図。 【図3】 この発明の正逆調整つまみを示す要部断面図。 【図4】 この発明の装着状態を示す切欠側面図。 【符号の説明】 P 被り物 1 調整帯体 1A スライド長孔 2 ラック部 3 ピニオン体 3A ネジ部 3B 連結部 4 逆転ストッパー 4A ラチェットドラム 4B ラチェット爪 4C 固定板 5 正逆調整つまみ 6 保持体 7 スプリング 8 連結ネジ 【図面】 |
訂正の要旨 |
審決(決定)の【理由】欄参照。 |
審決日 | 2009-07-29 |
出願番号 | 特願平6-177535 |
審決分類 |
P
1
41・
83-
Y
(A42B)
|
最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 松縄 正登 |
特許庁審判長 |
鈴木 由紀夫 |
特許庁審判官 |
佐野 健治 谷治 和文 |
登録日 | 1998-06-26 |
登録番号 | 特許第2794533号(P2794533) |
発明の名称 | サイズ調整バンド |
代理人 | 中村 政美 |
代理人 | 中村 政美 |