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審決分類 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 G05B
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G05B
管理番号 1202279
審判番号 不服2007-26026  
総通号数 118 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2009-10-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2007-09-21 
確定日 2009-08-12 
事件の表示 特願2001-372091「無線式通信デバイスを利用して工業用コントローラを監視する方法」拒絶査定不服審判事件〔平成14年 7月31日出願公開、特開2002-215209〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1.手続の経緯
本件出願は、平成13年12月6日(優先権主張、同12年12月6日、アメリカ合衆国)の特許出願であって、同16年12月6日に手続補正がなされ、同18年4月12日付けで拒絶の理由が通知され、同年7月7日に手続補正がなされたが、同19年6月29日付けで拒絶をすべき旨の査定がされ、同年9月21日に本件審判の請求とともに手続補正(以下「本件補正」という。)がなされ、同20年7月3日に審尋がされ、同21年1月7日に回答書が提出されたものである。

第2.手続違背について
請求人は、回答書で、以下のとおり主張する。
「そもそも、特開2000-200105号公報(以下「文献5」とします)、引用文献2、3は前置報告書で初めて出願人に示された文献であり、引用文献4は拒絶査定において初めて出願人に示された文献であり、出願人は審査過程においてかかる文献に対して意見を述べる機会も補正を行う機会も与えられておりません。このため、本願の審査は、特許法第50条に違反した違法な審査に基づくものであると言えます。」
しかし、これら刊行物は、いずれも周知技術を裏付ける証拠として引用されたものであり、請求人の防御権を奪うものではないから、請求人の主張は採用できない(参考判決例、平成19年行ケ10071号、平成19年行ケ10223号、平成16年行ケ57号)。

第3.本件補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
本件補正を却下する。

[理由]
1.補正の内容
本件補正は、特許請求の範囲について補正をするものであって、請求項1について、補正前後の記載は、以下のとおりである。

(1)補正前(平成18年7月7日付け手続補正)
「プログラマブルロジックコントローラ(PLC)(16)とローカルサーバ(22)と無線式インターネットサービスプロバイダ(ISP)サーバ(28)を含むシステム(10)を利用して、無線式通信デバイス(34)を用いて工業用コントローラを制御及び監視する方法であって、
プログラマブルロジックコントローラ(PLC)を使ってシステムを監視及び制御する工程と、
前記PLCとローカルサーバ間の通信を行う工程と、
インターネットを利用して、前記ローカルサーバと無線式インターネットサービスプロバイダ(ISP)サーバ間の通信を行う工程と、
インターネットプロトコルを前記PLCに適合するプロトコルに変換し、前記ローカルサーバをローカルエリアネットワークを介して前記PLCと通信するようにする工程と、
前記無線式インターネットサービスプロバイダ(ISP)サーバ(28)を介して、無線式通信デバイスから前記PLCにコマンドを送信する工程であって、前記PLCは、入力モジュールの状態に基づいて出力モジュールをオンするか否かを決定するように構成されている、前記PLCにコマンドを送信する工程と、
前記無線式インターネットサービスプロバイダ(ISP)サーバ(28)を使用して前記PLCから取り出された情報を表示する工程と、
前記無線式インターネットサービスプロバイダ(ISP)サーバ(28)を介して前記PLCを制御し、WMLにフォーマット化して前記コマンドに応答する工程と、
を備えることを特徴とする工業用コントローラを制御及び監視する方法。」

(2)補正後
「プログラマブルロジックコントローラ(PLC)(16)とローカルサーバ(22)と無線式インターネットサービスプロバイダ(ISP)サーバ(28)を含むシステム(10)を利用して、無線式通信デバイス(34)を用いて工業用コントローラを制御及び監視する方法であって、
プログラマブルロジックコントローラ(PLC)を使ってシステムを監視及び制御する工程と、
前記PLCとローカルサーバ間の通信を行う工程と、
インターネットを利用して、前記ローカルサーバと無線式インターネットサービスプロバイダ(ISP)サーバ間の通信を行う工程と、
インターネットプロトコルを前記PLCに適合するプロトコルに変換し、前記ローカルサーバをローカルエリアネットワークを介して前記PLCと通信するようにする工程であって、前記PLCは、入力モジュールの状態に基づいて出力モジュールをオンするか否かを決定するように構成されているとともに、ラダーロジックを用いて入力されたプログラムにより入力モジュールの端子の電圧レベルに基づいて出力モジュールの端子を加圧するように構成されている、前記PLCと通信するようにする工程と、
前記無線式インターネットサービスプロバイダ(ISP)サーバ(28)を介して、無線式通信デバイスから前記PLCにコマンドを送信する工程と、前記無線式インターネットサービスプロバイダ(ISP)サーバ(28)を使用して前記PLCから取り出された情報を表示する工程と、
前記無線式インターネットサービスプロバイダ(ISP)サーバ(28)を介して前記PLCを制御し、WMLにフォーマット化して前記コマンドに応答する工程と、
を備えることを特徴とする工業用コントローラを制御及び監視する方法。」

2.補正の適否
本件補正の特許請求の範囲の補正後の請求項1についての補正は、「PLC」について、「ラダーロジックを用いて入力されたプログラムにより入力モジュールの端子の電圧レベルに基づいて出力モジュールの端子を加圧する」という事項を付加するものであるから、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例とされる同法による改正前の特許法(以下「改正前特許法」という。)第17条の2第4項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
そこで、補正後の特許請求の範囲の請求項1に係る発明(以下「補正発明」という。)が、改正前特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に適合するか否か(いわゆる独立特許要件)について検討する。

(1)補正発明
補正発明は、本件補正により補正された明細書及び願書に添付した図面の記載からみて、上記1.(2)のとおりのものと認める。

(2)刊行物に記載された発明
これに対し、原査定で引用された本件優先日前に日本国内において頒布された刊行物である特開平11-202931号公報(以下「刊行物1」という。)には、以下の事項が記載されている。

ア.段落0006?0008
「【0006】
【課題を解決するための手段】本発明はかかる課題の解決の為に、プラント内無線回線システムの構築と、制御システムとのネットーワーク接続をおこなうとともに、小型計算機(携帯端末)からの無線回線経由でのプラント機器操作及びプラント状態監視及びプラント制御装置の調整操作を行なうものである。
【0007】即ち、請求項1記載の発明は、各種計測機器群とバルブ、モ-タ等の操作端群からなるプラント運転監視操作装置において、PHS(簡易携帯電話)若しくは携帯電話等の移動体子機等の無線媒体を介してデータ伝送可能な小型計算機(ラップトップパソコン若しくはモバイルパソコン)からなる携帯端末と、プラント側の制御装置と、プラントの監視操作、調整プログラムが内蔵されたホスト計算機と、監視操作調整サーバとがネットワーク接続された制御用ネットワークと、前記移動体の基地局を介して前記携帯端末のデータ授受を行なうリモートアクセスサーバとを具え、前記制御用ネットワークと監視操作調整サーバとをネットワーク接続したことを特徴とするものである。・・・。
【0008】本発明を具体的に説明する。まず、本発明は、プラント内無線回線システムの構築の為に、制御システムとのネットワーク接続の為にPHSを用いたPIAFS規格に基づく無線回線を構築する。これによりデジタル通信を可能とする。デジタル無線通信を可能とする制御システム側のネットワークに、インターネット技術に用いられるRAS(リモートアクセスサーバ)を設け、これを制御用ホストコンピュータとネットワーク接続する。これにより、ホストコンピュータ側の制御用LANと複数の携帯端末間が無線回線でデータ授受できる。」

イ.段落0011
「【0011】一方本発明においては図3(B)に示すように、オペレータ(監視操作員等)の監視、操作、調整等のマンマシン処理を行なう為のオペレータ操作部からなる操作プログラム32Aを携帯端末8側に、各種現場計測器及び現場操作端よりの入力信号に基づきデータベース処理、演算処理、制御装置管理処理を行なうデータ解析処理部からなる処理プログラム32Bを監視操作調整サーバ4若しくはホストコンピュータ3側に夫々分割して内蔵し、PHS無線回線36によりデータ授受を行なうように構成している。・・・。」

ウ.段落0013?0015
「【0013】次に本発明の実施例を図1に示す。図1は、本発明の実施例に係るプラント運転監視操作装置の機器構成図である。制御ネットワーク9は、ボイラ制御装置1やタービン制御装置2とが、監視操作調整計算機3(ホストコンピュータ,例えばWindow NTパソコン)と監視操作調整サーバ4(例えばWindow NTサーバ)とに通信ケーブル(例えばイーサネット10B-T)を介してネットワーク接続されている。
【0014】一方監視操作調整サーバ4に接続されている拡張ネットワーク10には、PHS基地局6により携帯端末8側のPHS子機7とPHS無線回線36を介してデータ授受を行なうRAS5が接続されている。これは複数の端末の接続や切断を管理する交換機能をも持つ。8はモバイルコンピュータ若しくはラップトップパソコンからなる携帯端末でPHS子機7が接続され、オペレータがいずれの現場にも自由に移動且つ持ち運び自在に構成されている。
【0015】かかる構成によればオペレータは、携帯端末8側よりPHS無線回線36を介して制御ネットワーク9側の監視操作調整計算機3若しくは監視操作調整サーバ4の操作処理プログラムを形態端末上で作動させるならば、タービン若しくはボイラ制御装置1,2を操り、プラントの状態把握及び操作を行なうことができる。・・・。」

エ.段落0021?0022
「【0021】このソフト構成のなかで、携帯端末8と監視操作調整サーバ4間の情報は次の様にしてデータ授受される。まず、監視調整プロセス48は、表示をWebサーバ46に送る。携帯端末8では、必要なときにWebブラウザ44を利用し、Webサーバ46上のHTML文書45として、監視調達プロセス48の表示を見ることができる。携帯端末8によるオペレータからの操作は、HTML文書45に記述されたJAVA言語の内容に従い、まず携帯端末8内のJAVA仮想マシンプロセス42及びJAVAスクリプト43が処理を行なう。
【0022】その結果、自分だけでは処理できない処理は、通信により監視操作調整サーバ4の通信プロセス47に送り、監視・調整プロセス48が必要な処理を行なう。その結果は、再度Webサーバ46にHTML文書として送られ、携帯端末8側はWebブラウザ44を介して、その処理の結果を知ることができる。これらの実施方法により、本発明の下記効果を実現することができる。」

ここで、刊行物1記載のものは、上記ア.の段落0006に記載されているごとく「携帯端末からの無線回線経由でのプラント機器操作及びプラント状態監視及びプラント制御装置の調整操作を行なうものである」から、「ボイラ制御装置1にコマンドを送信する工程」、「ボイラ制御装置1を制御し、コマンドに応答する工程」を有することは、明らかである。

これらの記載事項を、図面を参照しつつ、技術常識を考慮しながら補正発明に照らして整理すると、刊行物1には以下の発明(以下、「刊行物発明」という。)が記載されていると認める。

「ボイラ制御装置1と監視操作調整サーバ4とリモートアクセスサーバ5を含むシステムを利用して、無線携帯端末を用いてボイラ制御装置1を制御及び監視する方法であって、
ボイラ制御装置1及び監視操作調整サーバ4内の処理プログラム32Bを使ってシステムを監視及び制御する工程と、
前記ボイラ制御装置1と監視操作調整サーバ4間の通信を行う工程と、
拡張ネットワーク10を利用して、前記監視操作調整サーバ4とリモートアクセスサーバ5間の通信を行う工程と、
前記監視操作調整サーバ4を制御ネットワーク9を介して前記ボイラ制御装置1と通信するようにする工程と、
前記リモートアクセスサーバ5を介して、無線携帯端末から前記ボイラ制御装置1にコマンドを送信する工程と、
前記リモートアクセスサーバ5を使用して前記ボイラ制御装置1から取り出された情報を表示する工程と、
前記リモートアクセスサーバ5を介して前記ボイラ制御装置1を制御し、前記コマンドに応答する工程と、
を備えるボイラ制御装置1を制御及び監視する方法。」

(3)対比
補正発明と刊行物発明とを対比する。
刊行物発明の「無線携帯端末」、「制御ネットワーク9」は、補正発明の「無線式通信デバイス(34)」、「ローカルエリアネットワーク」に相当する。
刊行物発明の「ボイラ制御装置1」、「監視操作調整サーバ4」、「リモートアクセスサーバ5」、「拡張ネットワーク10」と、補正発明の「プログラマブルロジックコントローラ(PLC)(16)」、「ローカルサーバ(22)」、「無線式インターネットサービスプロバイダ(ISP)サーバ(28)」、「インターネット」は、それぞれ、「機器制御手段」、「機器側サーバ」、「携帯端末側サーバ」、「ネットワーク手段」である限りにおいて一致する。
補正発明の「工業用コントローラ」は、本願の発明の詳細な説明の段落0005の記載からみて、「プログラマブルロジックコントローラ(PLC)(16)」を含むものであるから、刊行物発明の「ボイラ制御装置1」と、補正発明の「工業用コントローラ」は、「機器制御手段」である限りにおいて一致する。
刊行物発明の「ボイラ制御装置1及び監視操作調整サーバ4内の処理プログラム32B」は、システムを監視及び制御するものであるから、補正発明の「プログラマブルロジックコントローラ(PLC)」と、「機器制御手段」である限りにおいて一致する。

したがって、補正発明と刊行物発明とは、次の点で一致している。
「機器制御手段と機器側サーバと携帯端末側サーバを含むシステムを利用して、無線式通信デバイスを用いて機器制御手段を制御及び監視する方法であって、
機器制御手段を使ってシステムを監視及び制御する工程と、
前記機器制御手段と機器側サーバ間の通信を行う工程と、
ネットワーク手段を利用して、前記機器側サーバと携帯端末側サーバ間の通信を行う工程と、
前記機器側サーバをローカルエリアネットワークを介して前記機器制御手段と通信するようにする工程と、
前記携帯端末側サーバを介して、無線式通信デバイスから前記機器制御手段にコマンドを送信する工程と、
前記携帯端末側サーバを使用して前記機器制御手段から取り出された情報を表示する工程と、
前記携帯端末側サーバを介して前記機器制御手段を制御し、前記コマンドに応答する工程と、
を備える機器制御手段を制御及び監視する方法。」

そして、補正発明と刊行物発明とは、以下の点で相違している。
相違点1:「機器制御手段と機器側サーバと携帯端末側サーバを含むシステム」、「ネットワーク手段」を利用して、「機器制御手段を制御及び監視する」、「機器制御手段を使ってシステムを監視及び制御する」について、補正発明は、「プログラマブルロジックコントローラ(PLC)(16)とローカルサーバ(22)と無線式インターネットサービスプロバイダ(ISP)サーバ(28)を含むシステム(10)」、「インターネット」を利用して、「プログラマブルロジックコントローラ(PLC)(16)を制御及び監視する」、「プログラマブルロジックコントローラ(PLC)を使ってシステムを監視及び制御する」ものであり、「インターネットプロトコルをPLCに適合するプロトコルに変換」するものであるが、刊行物発明は、そのようなものでない点。
相違点2:「機器制御手段」について、補正発明は、「PLC」であり「入力モジュールの状態に基づいて出力モジュールをオンするか否かを決定するように構成されているとともに、ラダーロジックを用いて入力されたプログラムにより入力モジュールの端子の電圧レベルに基づいて出力モジュールの端子を加圧するように構成されている」が、刊行物発明は、そのようなものでない点。
相違点3:「コマンドに応答する工程」について、補正発明は、「WMLにフォーマット化して」応答するが、刊行物発明は、そのようなものでない点。

(4)相違点の検討
相違点1について検討する。
機器制御手段として、プログラマブルロジックコントローラ(PLC)は、審尋で引用した特開2000-200105号公報、新たに引用する特開2000-259216号公報、同じく特開平10-283006号公報(以下、これら刊行物を「PLCの周知例」という。)のごとく、周知である。
また、無線式インターネットサービスプロバイダサーバを利用して、インターネットにより通信を行うことは、例をあげるまでもなく周知である。
そして、プログラマブルロジックコントローラ(PLC)を、インターネットを利用した通信システムに適用するにあたり、プロトコル変換を行うことは、審尋で引用した特開2000-138725号公報、同じく特開平10-254513号公報にみられるごとく、周知である。
したがって、刊行物発明のシステムを、周知なシステムである「プログラマブルロジックコントローラとローカルサーバと無線式インターネットサービスプロバイダサーバを含むシステム」、「インターネット」を利用して、「プログラマブルロジックコントローラを制御及び監視する」、「プログラマブルロジックコントローラ(PLC)を使ってシステムを監視及び制御する」ものとし、これに伴い「インターネットプロトコルをPLCに適合するプロトコルに変換」することに、困難性は認められない。
また、これにより、刊行物発明の「監視操作調整サーバ4」は、補正発明の「ローカルサーバ」に相当することとなる。
よって、相違点1は、格別なものではない。

相違点2について検討する。
機器制御手段として、PLCは、上記「PLCの周知例」のごとく周知であり、また、ラダーロジックを用いて入力されたプログラムを利用することも、「PLCの周知例」のごとく周知である。
PLCは、制御対象である機器に応じて、多様な制御が可能なものであるから、PLCを「入力モジュールの状態に基づいて出力モジュールをオンするか否かを決定するように構成されているとともに、入力モジュールの端子の電圧レベルに基づいて出力モジュールの端子を加圧する」ものとすることは、必要に応じてなしうる設計的事項にすぎない。
よって、相違点2は、格別なものではない。

請求人は、相違点1,2に関し、回答書で、以下のとおり主張する。
「本願発明ではPLCに適合するプロトコルに変換しますので、処理時間が早く、またサポートするPLCに変更があってもプロトコル変換を行うプログラムを修正し、変更することは必ずしも必要とはなりません。また、引用文献1(当審注、刊行物1)のタービンやボイラ制御装置1,2がラダーロジックを用いて入力されたプログラムにより入力モジュールの端子の電圧レベルに基づいて出力モジュールの端子を加圧するように構成されているとの記載はありません。 このため、本願発明では、ラダーロジックを用いたバグの発生しにくいプログラムを用いて出力モジュールを制御することができます。」
しかし、「処理時間が早い」、「PLCに変更があってもプロトコル変換を行うプログラムを修正し、変更することは必ずしも必要でない」、「プログラムにバグが発生しにくい」なる効果は、「ラダーロジックを用いて入力されたプログラムを利用するPLC」としたことで、処理がPLC内でなされることに伴い、予想される効果にすぎず、格別なものとは認められない。
また、「入力モジュールの端子の電圧レベルに基づいて出力モジュールの端子を加圧する」点は、これによる格別の技術的意義は認められないから、上記のとおり、必要に応じてなしうる設計的事項にすぎない。
よって、請求人の主張は採用できない。

相違点3について検討する。
「WMLにフォーマット化して」応答する点は、拒絶査定で周知例として示した特開2000-298647号公報の段落0079?0080にみられるごとく、携帯通信機器において周知である。

また、これら相違点を総合勘案しても、格別な技術的意義が生じるとは認められない。

以上のことから、補正発明は、刊行物発明、及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際、独立して特許を受けることができないものである。

3.むすび
したがって、本件補正は、改正前特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に違反するものであるから、同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

第4.本願発明について
1.本願発明
本件補正は、上記のとおり却下されたので、本件出願の請求項1ないし10に係る発明は、平成18年7月7日付けで補正された明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1ないし10に記載された事項により特定されるとおりのものであると認められるところ、請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、上記第3.1.(1)に示す請求項1に記載されたとおりである。

2.刊行物等
これに対して、原査定の際にあげられた刊行物及びその記載内容は、上記第3.2.(2)に示したとおりである。

3.対比・検討
本願発明は、補正発明において付加された事項を削除するものである。
そうすると、本願発明も、上記第3.2.(3)と同様の理由により、刊行物発明、及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

4.むすび
したがって、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないことから、本件出願は拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2009-03-11 
結審通知日 2009-03-17 
審決日 2009-04-02 
出願番号 特願2001-372091(P2001-372091)
審決分類 P 1 8・ 575- Z (G05B)
P 1 8・ 121- Z (G05B)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 二階堂 恭弘八木 誠星名 真幸  
特許庁審判長 千葉 成就
特許庁審判官 菅澤 洋二
尾家 英樹
発明の名称 無線式通信デバイスを利用して工業用コントローラを監視する方法  
代理人 小倉 博  
代理人 松本 研一  
代理人 黒川 俊久  

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