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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 補正却下を取り消す 原査定を取り消し、特許すべきものとする  E03D
審判 査定不服 特17条の2、3項新規事項追加の補正 補正却下を取り消す 原査定を取り消し、特許すべきものとする  E03D
審判 査定不服 特17 条の2 、4 項補正目的 補正却下を取り消す 原査定を取り消し、特許すべきものとする  E03D
管理番号 1202316
審判番号 不服2008-2469  
総通号数 118 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2009-10-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2008-02-05 
確定日 2009-09-01 
事件の表示 特願2002-225750「衛生洗浄装置」拒絶査定不服審判事件〔平成16年 3月 4日出願公開、特開2004- 68305、請求項の数(11)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 1.手続の経緯
本願に係る手続の経緯の概要は、以下のとおりである。
平成14年 8月 2日:特許出願
平成17年 7月29日:手続補正
平成18年 9月21日:拒絶理由通知
平成18年11月21日:手続補正
平成19年10月11日:最後の拒絶理由通知
平成19年11月29日:手続補正
平成19年12月26日:平成19年11月29日付けの手続補正に対する補正の却下の決定
平成19年12月26日:拒絶査定
平成20年 2月 5日:審判請求

2.平成19年11月29日付けの手続補正に対する補正の却下の決定の適否
請求人は、審判請求の理由において、平成19年11月29日付けの手続補正(以下、「本件補正」という。)に対する補正の却下の決定は不適法である旨主張しているので、上記補正の却下の決定の適否について検討する。

2-1.補正の内容
本件補正は、特許請求の範囲について、補正前(平成18年11月21日付け手続補正書参照。)に、

「【請求項1】 給水源から供給される洗浄水を人体に噴出する衛生洗浄装置であって、
洗浄水を噴出するとともに噴出する洗浄水の広がり角度を変更可能な噴出手段と、
前記給水源から供給される洗浄水に周期的な圧力変動を与えつつ洗浄水を加圧して前記噴出手段から噴出させる加圧手段と、
前記噴出手段から噴出される洗浄水の広がり角度を制御する制御手段とを備え、
前記加圧手段は複動型レシプロポンプであることを特徴とする衛生洗浄装置
・・・
【請求項3】 前記噴出手段から噴出される洗浄水の広がり角度の連続的な拡大または縮小を繰り返す動作を指令する指令手段をさらに備え、
前記制御手段は、前記指令手段の指令に応答して前記噴出手段から噴出される洗浄水の広がり角度を変化させる請求項1または2記載の衛生洗浄装置
【請求項4】 前記制御手段は、
洗浄水広がり角度の拡大速度よりも縮小速度を小さくすることを特徴とする請求項3記載の衛生洗浄装置
・・・」
とあったものを、

「【請求項1】 給水源から供給される洗浄水を人体に噴出する衛生洗浄装置であって、
洗浄水を噴出するとともに噴出する洗浄水の広がり角度を変更可能な噴出手段と、
前記給水源から供給される洗浄水に周期的な圧力変動を与えつつ洗浄水を加圧して前記噴出手段から噴出させる加圧手段と、
前記噴出手段から噴出される洗浄水の広がり角度を制御する制御手段とを備え、
前記加圧手段は複動型レシプロポンプであり、
前記制御手段は、洗浄水広がり角度の拡大速度よりも縮小速度を小さくすることを特徴とする衛生洗浄装置
・・・
【請求項3】 前記噴出手段から噴出される洗浄水の広がり角度の連続的な拡大または縮小を繰り返す動作を指令する指令手段をさらに備え、
前記制御手段は、前記指令手段の指令に応答して前記噴出手段から噴出される洗浄水の広がり角度を変化させる請求項1または2記載の衛生洗浄装置
・・・」
と補正しようとする補正事項を含むものである。

2-2.補正の却下の決定の趣旨
上記補正の却下の決定の趣旨は、概略次のようなものである。
本件補正により、請求項1には、補正前の請求項4に記載された構成(制御手段が、洗浄水広がり角度の拡大速度よりも縮小速度を小さくすること。)が付加された。しかしながら、補正前の請求項4は請求項3を引用するものであり、「噴出手段から噴出される洗浄水の広がり角度の連続的な拡大または縮小を繰り返す動作を指令する指令手段をさらに備え、制御手段は、前記指令手段の指令に応答して前記噴出手段から噴出される洗浄水の広がり角度を変化させる」(請求項3に記載の事項)構成を備えるものにおいて、「制御手段が、洗浄水広がり角度の拡大速度よりも縮小速度を小さくすること」(請求項4に記載の事項)としたものである。そして、出願当初の明細書又は図面中にも、「噴出手段から噴出される洗浄水の広がり角度の連続的な拡大または縮小を繰り返す動作を指令する指令手段をさらに備え、制御手段は、前記指令手段の指令に応答して前記噴出手段から噴出される洗浄水の広がり角度を変化させる」構成を備えることなしに「制御手段が、洗浄水広がり角度の拡大速度よりも縮小速度を小さくする」構成を有するものは記載されておらず、かつ、同記載から自明の事項でもない。
したがって、この補正は、願書に最初に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内においてしたものでなく、特許法第17条の2第3項の規定に違反するものである。

2-3.当審の判断
ところで、願書に最初に添付した明細書及び図面(以下、「当初明細書等」という。)には、以下の記載がある。
「【0152】
図17は、衛生洗浄装置200の動作の一例を示すグラフである。図17の縦軸は切替弁の回転角度およびポンプの駆動状態であり、横軸は時間である。
・・・
【0154】
次に、時点t4で、遠隔操作装置300の洗浄面積調整スイッチ302eを押下操作すると、切替弁は270度まで回転して時点t5で停止する。時点t4から時点t5までの間は切替弁14の回転角度が180度から270度に変化するため、図15で説明したように噴出形態が分散旋回流から直線流へと変化する。それに伴い、洗浄水の広がり角度が変化し、洗浄面積が変化する。
【0155】
次いで、時点t6で遠隔操作装置300の洗浄面積調整スイッチ302fを押下操作すると、切替弁が逆回転し、270度から180度まで回転して時点t7で停止する。時点t6から時点t7までの間は、噴出形態が直線流から分散旋回流へと変化する。それに伴い、洗浄水の広がり角度が変化し、洗浄面積が変化する。なお、図17のグラフから明らかなように切替弁14が180度から270度まで回転する速度と270度から180度まで回転する速度は異なっている。詳細は後述する。
・・・
【0157】
図18は、おしりノズル1から噴出される洗浄水の噴出形態の変化を示した模式図である。
【0158】
図18で示すように、洗浄水の広がり角度が縮小する場合の広がり角度の変化速度(以下、縮小速度と呼ぶ)をV1とし、洗浄水の広がり角度が拡大する場合の広がり角度の変化速度(以下、拡大速度と呼ぶ)をV2とする。図18に示すように、拡大速度V2よりも縮小速度V1の方が小さくなるように、図9のモータ141の回転速度が制御される。それにより、図17のグラフでは、切替弁14が180度から270度に変化する場合の時間よりも、270度から180度に変化する場合の時間が小さくなっている。すなわち、洗浄面積が大きくなる速度よりも小さくなる速度の方が小さく設定されている。」
「【0159】
遠隔操作装置300の面積変化スイッチ303を押下操作すると、自動的に洗浄水の広がり角度が拡大と縮小を繰り返す。このとき、拡大速度よりも縮小速度の方が小さい。その結果、外側から内側中心に向かって汚れを落とすように作用し、外周への汚れの飛散を防止できる。」
上記記載事項によると、「洗浄水広がり角度の拡大速度よりも縮小速度を小さくする」制御については、使用者が洗浄面積調整スイッチによって洗浄面積を変化させる時においても行われる制御であって、面積変化スイッチの押下によって「噴出手段から噴出される洗浄水の広がり角度の連続的な拡大または縮小を繰り返す動作を指令し、制御手段は、指令に応答して前記噴出手段から噴出される洗浄水の広がり角度を変化させる」ときに限られたものではない。
よって、当該補正事項は当初明細書等に記載された範囲内のものである。
したがって、補正後の請求項1に係る発明について、特許法第17条の2第3項の規定に違反するものであるとした判断は妥当なものではない。

そして、上記補正は、本件補正前の請求項1に係る発明を特定するために必要な事項である制御手段について、「洗浄水広がり角度の拡大速度よりも縮小速度を小さくする」制御を行う点を限定したものと認められるから、本件補正は、少なくとも、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第4項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
そこで、補正後の請求項1乃至11に係る発明が出願の際独立して特許を受けることができるものであるか否かについて検討すると、補正後の請求項1乃至11に係る発明は、特許法第29条第2項の規定に違反しておらず、また、その余の要件にも違反した点はないから、出願の際独立して特許を受けることができないとする理由もない。

以上により、平成19年11月29日付けの手続補正に対する補正の却下の決定は、適法なものではないから、該決定は取り消すべきものである。

3.本願発明について
以上のとおりであるから、本願の請求項1乃至11に係る発明は、平成19年11月29日付けの手続補正書により補正された明細書の特許請求の範囲の請求項1乃至11に記載された事項により特定されるとおりのものであると認める。
そして、本願については、原査定の拒絶理由を検討してもその理由によって拒絶すべきものとすることはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2009-08-19 
出願番号 特願2002-225750(P2002-225750)
審決分類 P 1 8・ 57- WYA (E03D)
P 1 8・ 121- WYA (E03D)
P 1 8・ 561- WYA (E03D)
最終処分 成立  
前審関与審査官 神 悦彦七字 ひろみ  
特許庁審判長 山口 由木
特許庁審判官 宮崎 恭
草野 顕子
発明の名称 衛生洗浄装置  
代理人 福島 祥人  

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