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審決分類 審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 特許、登録しない。 H01L
管理番号 1202342
審判番号 不服2006-5616  
総通号数 118 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2009-10-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2006-03-27 
確定日 2009-08-13 
事件の表示 平成 7年特許願第274776号「半導体製造装置及びウェーハ処理方法」拒絶査定不服審判事件〔平成 9年 4月 8日出願公開、特開平 9- 97767〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1.手続の経緯
本願は、平成7年9月28日の出願であって、平成18年2月20日付けで拒絶査定がなされ、これに対して同年3月27日に拒絶査定に対する審判請求がなされるとともに、同年4月5日付けで手続補正がなされ、その後当審において、平成20年1月15日付けで審尋がなされ、平成21年1月13日付けで拒絶の理由が通知され、これに対して、同年2月23日に意見書が提出されるとともに、同日付けで手続補正がなされたものである。


第2.本願請求項1発明
本願の請求項1及び2に係る発明は、平成21年2月23日付けの手続補正により補正された明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1及び2に記載された事項により特定されるとおりのものであり、その請求項1に係る発明(以下、「本願請求項1発明」という。)は、その請求項1に記載されている事項により特定される以下のとおりのものである。

「【請求項1】 石英製のフランジアダプタに立設した炭化珪素製の反応管と、ヒータユニットが立設されるヒータベースとを有し、前記反応管の下端にフランジを形成し、該フランジの下端を前記ヒータベース上端に一致若しくは前記ヒータベースより上側に設けたことを特徴とする半導体製造装置。」


第3.本願請求項1発明が対応する補正前請求項発明の検討
1.補正前請求項発明
平成21年2月23日付けの手続補正による補正がなされる前の請求項1ないし8に係る発明は、平成18年4月5日付けの手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし8に記載された事項により特定されるとおりのものであり、その請求項1ないし3に係る発明(以下、「補正前請求項1発明」ないし「補正前請求項3発明」という。)は、その請求項1ないし3に記載されている事項により特定される以下のとおりのものである。

「【請求項1】 石英製のフランジアダプタに立設した炭化珪素製の反応管の下端を、該反応管を囲繞するヒータユニット加熱域の下端に一致させたことを特徴とする半導体製造装置。
【請求項2】 石英製のフランジアダプタに立設した炭化珪素製の反応管と、ヒータベースに断熱材を介して立設されたヒータユニットとを有し、前記反応管の下端を前記断熱材の上端に一致させたことを特徴とする半導体製造装置。
【請求項3】 ウェーハを収容し処理する炭化珪素製の反応管と、ヒータユニットが立設されるヒータベースとを有し、前記反応管の下端を前記ヒータベースよりも上側に設けることを特徴とする半導体製造装置。」

2.本願請求項1発明と対応する補正前請求項発明の検討
本願請求項1発明が、補正前の独立請求項として記載された物(「半導体製造装置」)の発明である補正前請求項1発明ないし補正前請求項3発明のいずれに対応するものであるかについて検討する。

2-1.補正前請求項1発明との対応関係の検討
補正前請求項1発明は、「反応管の下端を、該反応管を囲繞するヒータユニット加熱域の下端に一致させた」という発明特定事項を有しており、「反応管の下端」と「ヒータユニット加熱域の下端」との位置関係を特定する点に技術的特徴を有している。
これに対して、本願請求項1発明は、「前記反応管の下端にフランジを形成し、該フランジの下端を前記ヒータベース上端に一致若しくは前記ヒータベースより上側に設けた」という発明特定事項を有しており、「フランジ」は「前記反応管の下端に」「形成」されたものであるから、実質的に、「反応管の下端」と「ヒータベース(上端)」との位置関係を特定する点に技術的特徴を有している。
ここで、補正前請求項1発明と本願請求項1発明とを比較すると、補正前請求項1発明は、本願請求項1発明の技術的特徴である「反応管の下端」と「ヒータベース(上端)」との位置関係について何も特定しておらず、逆に、本願請求項1発明は、補正前請求項1発明の技術的特徴である「反応管の下端」と「ヒータユニット加熱域の下端」との位置関係について何も特定していない。また、「ヒータベース(上端)」と「ヒータユニット加熱域下端」との間隔は、例えば本願の図1及び2に記載された「断熱材2」の寸法によっても変化するものであるから、「反応管の下端」と「ヒータユニット加熱域下端」との位置関係及び「反応管の下端」と「ヒータベース(上端)」との位置関係のうち、一方のみを特定しても、他方が自動的に特定されるものではない。
よって、補正前請求項1発明と本願請求項1発明とは、互いに全く異なる技術的特徴を発明特定事項として有しているから、本願請求項1発明は、補正前請求項1発明に対応するものではない。

2-2.補正前請求項2発明との対応関係の検討
補正前請求項2発明は、「前記反応管の下端を前記断熱材の上端に一致させた」という発明特定事項を有しており、「反応管の下端」と「断熱材の上端」との位置関係を特定する点に技術的特徴を有している。
これに対して、本願請求項1発明は、「前記反応管の下端にフランジを形成し、該フランジの下端を前記ヒータベース上端に一致若しくは前記ヒータベースより上側に設けた」という発明特定事項を有しており、「フランジ」は「前記反応管の下端に」「形成」されたものであるから、実質的に、「反応管の下端」と「ヒータベース(上端)」との位置関係を特定する点に技術的特徴を有している。
ここで、補正前請求項2発明と本願請求項1発明とを比較すると、補正前請求項2発明は、本願請求項1発明の技術的特徴である「反応管の下端」と「ヒータベース(上端)」との位置関係について何も特定しておらず、逆に、本願請求項1発明は、補正前請求項2発明の技術的特徴である「反応管の下端」と「断熱材の上端」との位置関係について何も特定していない。また、「ヒータベース下端」と「断熱材の上端」との間隔は、「断熱材」の寸法によっても変化するものであるから、「反応管の下端」と「断熱材の上端」との位置関係及び「反応管の下端」と「ヒータベース(上端)」との位置関係のうち、一方のみを特定しても、他方が自動的に特定されるものではない。
よって、補正前請求項2発明と本願請求項1発明とは、互いに全く異なる技術的特徴を発明特定事項として有しているから、本願請求項1発明は、補正前請求項2発明に対応するものではない。

2-3.補正前請求項3発明との対応関係の検討
補正前請求項3発明は、「前記反応管の下端を前記ヒータベースよりも上側に設ける」という発明特定事項を有しており、「反応管の下端」と「ヒータベース」との位置関係を特定する点に技術的特徴を有している。
これに対して、本願請求項1発明は、「前記反応管の下端にフランジを形成し、該フランジの下端を前記ヒータベース上端に一致若しくは前記ヒータベースより上側に設けた」という発明特定事項を有しており、「フランジ」は「前記反応管の下端に」「形成」されたものであるから、実質的に、「反応管の下端」と「ヒータベース(上端)」との位置関係を特定する点に技術的特徴を有している。
よって、補正前請求項3発明と本願請求項1発明とは、「反応管の下端」と「ヒータベース」との位置関係を特定する点に技術的特徴を有する点で共通している。

また、他の発明特定事項について検討すると、補正前請求項3発明は「ウェーハを収容し処理する炭化珪素製の反応管と、ヒータユニットが立設されるヒータベースとを有し」であるのに対して、本願請求項1発明は「石英製のフランジアダプタに立設した炭化珪素製の反応管と、ヒータユニットが立設されるヒータベースとを有し」であり、「炭化珪素製の反応管」である点で共通する。そして、補正前請求項3発明における「炭化珪素製の反応管」が「ウェーハを収容し処理する」ものである点は、当業者における技術常識であり、本願請求項1発明における「炭化珪素製の反応管」が「石英製のフランジアダプタに立設した」ものである点は、本願の明細書の0005段落に【従来の技術】としても記載されているものであるから、いずれも技術的特徴とはなり得ない。

よって、補正前請求項3発明と本願請求項1発明とは、互いに共通する技術的特徴を発明特定事項として有しているから、本願請求項1発明は、補正前請求項3発明に対応するものである。

2-4.請求人の意見書による主張の検討
請求人は、平成21年2月23日に提出された意見書(以下、「意見書」という。)の「1.補正の説明」の「1.1.補正の内容」において、「現請求項2、現請求項3及び現請求項5?現請求項8を削除し、現請求項4を補正して新請求項2(以下請求項2)としました。」と主張し、意見書の「2.意見の内容」の「2.2.理由3(特許法第36条第6項第1号及び第2号)」において、「補正により、現請求項3及び現請求項8を削除致しましたので、理由3は解消されたと思料致します。」と主張している。(下線は当合議体で追加したものである。)
しかしながら、上記2-1.ないし2-3.で検討したとおり、本願請求項1発明と技術的特徴が最も共通しているのは補正前請求項3発明であるから、請求人が意見書において主張する「現請求項3」は、実質的に削除されておらず、平成21年2月23日付け手続補正による、補正前後の請求項の対応関係についての請求人の主張は妥当でない。

3.まとめ
以上検討したとおりであるから、本願請求項1発明は、補正前請求項3発明に対応するものであると認められる。


第4.本願明細書に開示された発明の検討
本願の願書に最初に添付した明細書または図面(以下、「当初明細書等」という。)には、以下の事項が記載されている。

「【特許請求の範囲】
【請求項1】 石英製のフランジアダプタに立設した炭化硅素製の反応管の下端を該反応管を囲繞するヒータユニット加熱域の下端に合わせたことを特徴とする半導体製造装置の縦型炉。
【請求項2】 反応管の下端にフランジを形成し、フランジアダプタの上フランジと前記フランジ間にシール溝を形成し、前記フランジと上フランジとを重合させ、前記シール溝にシールガスを供給した請求項1の半導体製造装置の縦型炉。」
「【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は縦型炉を有する半導体製造装置の、特に高温酸化処理等高温処理を行う炉口部の改良に関するものである。
【0002】
【従来の技術】図4に於いて従来の半導体製造装置の高温酸化処理用縦型炉を説明する。尚、図4は縦型炉の炉口部分を示している。
【0003】上端が閉塞された筒状のヒータユニット1はヒータベース3に断熱材2を介して立設され、前記ヒータベース3の下側には該ヒータユニット1の下面に取付けられた支持ブロック4を介して反応管ベース5が設けられている。該反応管ベース5にはフランジアダプタ6が設けられ、該フランジアダプタ6に上端が閉塞された筒状の反応管7が立設されている。該反応管7は下端がヒータベース3より下方に延出している。前記反応管7にはボート(図示せず)が装入される様になっており、該ボートはボートキャップ8を介してボート受台9に載置される様になっている。
【0004】前記断熱材2と前記反応管7の下端近傍との間隙を閉塞する様に炉口断熱材10が設けられ、更に前記反応管7の下端部には断熱クロス11が巻設され、炉口部の温度低下を抑制している。
【0005】高温、1200℃以上では石英は耐熱性に問題があるので炭化硅素(Si C)が用いられる。従来の半導体製造装置の縦型炉に於いても、反応管7は炭化硅素で製作され、フランジアダプタ6は石英製で製作されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】上記した様に、反応管7の下端部はヒータユニット1に囲繞される加熱域から下方に突出している為、下端部と加熱域にある部分とは大きな温度差が生じる。反応管7の下端にフランジを設けた場合、前記温度差に起因する熱応力がフランジ部に集中する。又、反応管7の材料である炭化硅素は脆い材料であるので、大きな熱応力が生じると破損してしまう。この為前記反応管7の下端にはフランジを設けることができず、図4で示した従来例では反応管7の下端にはフランジが形成されていない。更に、前記反応管7とフランジアダプタ6との間には、耐熱性の問題からシール材が設けられてなく、前記反応管7とフランジアダプタ6との間のシールは反応管7下端面と反応管フランジアダプタ6上端面との面接触のみである。
【0007】その為、クリーニングガスとして塩化水素(HCl)ガスを反応管7内に流すと、前記反応管7とフランジアダプタ6との接触面からHClガスが漏出し、装置の金属部を腐食させてしまうという問題があった。
【0008】本発明は斯かる実情に鑑み、高温処理用縦型炉に於いてクリーニングガスが反応炉より漏出することを防止し、クリーニングガスとしてHClガスの使用を可能としたものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は、石英製のフランジアダプタに立設した炭化硅素製の反応管の下端を反応管を囲繞するヒータユニット加熱域の下端に合わせたことを特徴とする半導体製造装置の縦型炉、及び該半導体製造装置に於いて反応管の下端にフランジを形成し、フランジアダプタの上フランジにシール溝を形成し、前記フランジと上フランジとを重合させ、前記シール溝に不活性ガスのシールガスを供給した半導体製造装置の縦型炉、或は該半導体製造装置に於いて反応管のフランジとフランジアダプタの上フランジとの重合位置近傍にガス検知ノズルを設けた半導体製造装置の縦型炉或は前記半導体製造装置に於いて反応管のフランジとフランジアダプタの上フランジとの重合位置近傍に不活性パージガス供給用のガスパージノズルを設けた半導体製造装置の縦型炉に係るものである。
【0010】反応管全体が加熱域内に設けられているので温度差が生じることがなく、温度差による熱応力も発生することがない。又、シール溝を形成し、該シール溝に不活性ガスのシールガスを供給しているので反応管とフランジアダプタとの接合部のシールが成される。」
「【0011】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照しつつ本発明の実施の形態を説明する。
【0012】図1?図3中、図4中で示したものと同様の構成要素には同符号を付してある。
【0013】上下に上フランジ13a,下フランジ13bを有する石英製のフランジアダプタ13を反応管ベース5上に載設する。該フランジアダプタ13の上フランジ13aの上端はヒータユニット1の加熱域の下端と一致、又は略一致しており、前記上フランジ13aに炭化硅素製の反応管7のフランジ7aが重合され、反応管7が立設される。前記フランジアダプタ13のヒータベース3より下方に露出する部分には断熱クロス11が巻設されている。」
「【0016】前記反応ガス導入ポート14、排気ポート16と干渉しない位置にシールガス導入ポート21を固着する。該シールガス導入ポート21と図示しないシールガス源とは配管22により接続する。又、前記上フランジ13aの上面にシール溝23が刻設され該シール溝23と前記シールガス導入ポート21とは給気連絡管24により連通され、前記シール溝23と前記排気ポート16とは排気連絡管25により連通されている。」
「【0019】以下、作用を説明する。
【0020】ヒータユニット1により加熱した状態で、図示しないボートにウェーハを装填し、ボートを反応管7内に装入し、前記給気配管17、反応ガス導入ポート14、反応ガス導入ノズル15を介して反応管7内に反応ガスを導入し、ウェーハに所要の処理、例えば酸化処理を行う。処理後のガスは前記排気ポート16、排気配管20を介して排出される。処理が完了したウェーハは図示しないボートと共に引出される。
【0021】次に、反応管7内をHClガスによるクリーニングを行う場合、ウェーハが装填されていないボートを反応管7内に装入し、前記給気配管17、反応ガス導入ポート14、反応ガス導入ノズル15を介して反応管7内にHClガスを導入し、更にHClガスを前記排気ポート16、排気配管20を介して排出する。
【0022】前記配管22、給気連絡管24を介して前記シール溝23にシールガス、例えば窒素ガスを供給する。シール溝23内の圧力は反応管7内外の圧力よりも高くしておき、該反応管7内のHClガスが上フランジ13aと反応管7のフランジ間より外部へリークするのをシールする。前記シール溝23内のガスは前記排気連絡管25を介して排気ポート16に排気される為、反応管内部からシール溝23へのHClガスのリークがあったとしても窒素ガスにより希釈された状態で排気ポート16に排出される。」
「【0024】前記した様に、酸化炉或は拡散炉では高温(1200℃)処理となり、炉口部の温度も又高温となる。前記反応管7の下端はヒータユニット1の下端と一致、或は略一致しており、本実施の形態の様に炭化硅素製の反応管7下端にフランジ7aを形成したとしてもフランジ近傍で大きな温度差が生じることがない。従って、反応管7のフランジ7aが熱応力により破損することがない。更に、石英製のフランジアダプタ13はヒータユニット1内の加熱域に含まれる部分がないので、耐熱性が問題となることはない。【0025】而して、炉口部が高温である縦型炉に於いてHClガスを用いて装置の洗浄が安全に行える。」
「又、シール溝23は反応管7のフランジ7aに設けてもよく、或は上フランジ13a、フランジ7aの両方に形成してもよい。
【0027】
【発明の効果】以上述べた如く本発明によれば、高温処理の縦型炉でガスクリーニングのリークを防止し、高温炉、例えば拡散炉でのHClガスクリーニングが可能となるので、分解してからの洗浄が大幅に減少し、更に定期的にHClガスクリーニングを行うことでウェーハへの重金属汚染がなくなり、処理品質、歩留まりが向上する。
【0028】又、反応管とフランジアダプタとの高温部でのシールに於いて、接合部に溝を形成し、該溝に不活性ガスを供給し陽圧とすることで、確実にHClガス等の腐食性ガスのリークが防止でき、更にシール部にパージガスを供給する様にしているので万一腐食性ガスのリークがあっても希釈され、装置の金属部の腐食を防止できる。
【0029】更に又、炭化硅素製の反応管が加熱域、加熱域外とに掛渡って設けられない為、反応管にフランジを形成することができ確実なシールを行える、等の優れた効果を発揮する。」

上記下線部の記載より、本願の当初明細書等には、以下の事項が記載されているものと認められる。
・「高温、1200℃以上」での耐熱性を考慮して、「反応管7は炭化硅素で製作され、フランジアダプタ6は石英製で製作され」ることが前提になっている。
・「反応管7の下端にはフランジを設ける」要請があるが、「反応管7の材料である炭化硅素は脆い材料である」ため、「反応管7の下端部はヒータユニット1に囲繞される加熱域から下方に突出している」状態で「反応管7の下端にフランジを設けた場合」、「下端部と加熱域にある部分とは大きな温度差」「に起因する熱応力がフランジ部に集中」し、「大きな熱応力が生じると破損してしまう。」という問題がある。
・「本発明は、石英製のフランジアダプタに立設した炭化硅素製の反応管の下端を反応管を囲繞するヒータユニット加熱域の下端に合わせたことを特徴とする半導体製造装置の縦型炉」であり、具体的には、「該フランジアダプタ13の上フランジ13aの上端はヒータユニット1の加熱域の下端と一致、又は略一致しており、前記上フランジ13aに炭化硅素製の反応管7のフランジ7aが重合され、反応管7が立設される。」
・「ヒータユニット1はヒータベース3に断熱材2を介して立設され」ている。
・「前記反応管7の下端はヒータユニット1の下端と一致、或は略一致し」た構成により、「反応管全体が加熱域内に設けられているので」、「炭化硅素製の反応管7下端にフランジ7aを形成したとしてもフランジ近傍で大きな温度差が生じることがな」く、「温度差による熱応力も発生することがない。」換言すれば、「炭化硅素製の反応管が加熱域、加熱域外とに掛渡って設けられない為、反応管にフランジを形成することができ」る。
・一方、「前記反応管7の下端はヒータユニット1の下端と一致、或は略一致して」いるから、「石英製のフランジアダプタ13はヒータユニット1内の加熱域に含まれる部分がないので、耐熱性が問題となることはない。」

よって、本願の当初明細書等に開示された発明は、「反応管の下端を、該反応管を囲繞するヒータユニット加熱域の下端に一致させた」構成によって、本願発明の課題を解決できるものであるから、補正前請求項3発明の発明特定事項のみからなる構成が単独で開示されているのではなく、少なくとも補正前請求項1発明または補正前請求項2発明の発明特定事項を兼ね備えた構成が、本願発明として開示されていることは明らかである。


第5.本願請求項1発明の検討
本願の請求項1の記載によれば、「前記反応管の下端にフランジを形成し、該フランジの下端を前記ヒータベース上端に一致若しくは前記ヒータベースより上側に設けた」点は本願請求項1発明の発明特定事項であるが、「反応管の下端を、該反応管を囲繞するヒータユニット加熱域の下端に一致させた」点については本願請求項1発明の発明特定事項となっていない。
よって、本願請求項1発明は、「反応管の下端」に形成された「フランジの下端」を、「前記ヒータベースより上側」ではあるが「該反応管を囲繞するヒータユニット加熱域の下端」よりは下側に設けた場合、換言すれば、「反応管の下端」に形成された「フランジの下端」が「ヒータベース」と「該反応管を囲繞するヒータユニット加熱域の下端」の間(本願の図面を例にとれば、「ヒータベース3」と「ヒータユニット1」加熱域の下端との間の「断熱材2」が存在する高さ)に位置する場合も含むことになる。この場合は、「炭化珪素製の」「フランジの下端」が「加熱域内に設けられてい」ないことになるため、「反応管7の下端部はヒータユニット1に囲繞される加熱域から下方に突出している為、下端部と加熱域にある部分とは大きな温度差が生じる。反応管7の下端にフランジを設けた場合、前記温度差に起因する熱応力がフランジ部に集中する。又、反応管7の材料である炭化硅素は脆い材料であるので、大きな熱応力が生じると破損してしまう。」(0006段落)との場合に該当することになり、本願発明の課題を解決することができない。
また、本願請求項1発明は、「反応管の下端」に形成された「フランジの下端」を、「前記ヒータベース上端に一致」させた場合も含むことになるが、この場合は、「ヒータベース」上に直に「ヒータユニット加熱域」を設ける(本願の図面を例にとれば、「ヒータベース3」と「ヒータユニット1」加熱域の下端との間の「断熱材2」の厚みをほぼ0にする)ような特殊な場合を除けば、「反応管の下端を、該反応管を囲繞するヒータユニット加熱域の下端に一致させた」との条件を満たすことはないから、実質的には「フランジの下端」が「ヒータユニット加熱域の下端」よりも下側に位置するものと認められる。よって、この場合も同様に、「炭化珪素製の」「フランジの下端」が「加熱域内に設けられてい」ないことになるため、「反応管7の下端部はヒータユニット1に囲繞される加熱域から下方に突出している為、下端部と加熱域にある部分とは大きな温度差が生じる。反応管7の下端にフランジを設けた場合、前記温度差に起因する熱応力がフランジ部に集中する。又、反応管7の材料である炭化硅素は脆い材料であるので、大きな熱応力が生じると破損してしまう。」(0006段落)との場合に該当することになり、本願発明の課題を解決することができない。
よって、本願請求項1発明は、本願発明の課題を解決することができない場合を含むものである。


第6.拒絶理由通知及び意見書の概要
1.当審の拒絶理由通知
当審における平成21年1月13日付けの拒絶理由通知(以下、「拒絶理由通知」という。)のうち、理由3の概要は、本願明細書の記載が不備であるから特許法第36条第6項第1号及び第2号に規定する要件を満たしていないというものであり、記載されている具体的内容は以下のとおりである。

「3.この出願は、明細書の記載が下記の点で不備のため、特許法第36条第6項第1号及び第2号に規定する要件を満たしていない。

記 (引用刊行物については刊行物一覧参照)
(略)
・請求項3
・理由3
請求項3には、「前記反応管の下端を前記ヒータベースよりも上側に設けること」が記載されているが、この記載のみでは、「反応管7の下端部はヒータユニット1に囲繞される加熱域から下方に突出している為、下端部と加熱域にある部分とは大きな温度差が生じる。」(【0006】段落)という【発明が解決しようとする課題】が解決できないから、本願の請求項3に係る発明は、発明の詳細な説明に記載されたものではなく、また、記載が明確ではない。
(略) 」

2.請求人の意見書における主張
これに対する、請求人の意見書における主張は、以下のとおりである。

「2.2.理由3(特許法第36条第6項第1号及び第2号)
補正により、現請求項3及び現請求項8を削除致しましたので、理由3は解消されたと思料致します。」


第7.当審の判断
意見書における「現請求項3・・・を削除致しましたので、理由3は解消されたと思料致します。」との主張は、上記「第3.」で検討したとおり、本願請求項1発明が補正前請求項3発明(意見書中での「現請求項3」に係る発明)に対応しており、上記「現請求項3」は実質的には削除されていないものであるから、採用することができない。
そこで、上記「第6.」の「1.」で引用した拒絶理由通知の、補正前請求項3発明に対する「請求項3には、「前記反応管の下端を前記ヒータベースよりも上側に設けること」が記載されているが、この記載のみでは、「反応管7の下端部はヒータユニット1に囲繞される加熱域から下方に突出している為、下端部と加熱域にある部分とは大きな温度差が生じる。」(【0006】段落)という【発明が解決しようとする課題】が解決できないから、本願の請求項3に係る発明は、発明の詳細な説明に記載されたものではなく、また、記載が明確ではない。」との拒絶の理由が、本願請求項1発明において解消しているか否かについて検討する。ここで、上記「第5.」での検討によると、本願請求項1発明は、「炭化珪素製の」「フランジの下端」が「加熱域内に設けられてい」ない場合を含んでいるため、「反応管7の下端部はヒータユニット1に囲繞される加熱域から下方に突出している為、下端部と加熱域にある部分とは大きな温度差が生じる。反応管7の下端にフランジを設けた場合、前記温度差に起因する熱応力がフランジ部に集中する。又、反応管7の材料である炭化硅素は脆い材料であるので、大きな熱応力が生じると破損してしまう。」(0006段落)との場合に該当することになり、本願発明の課題を解決することができないのであるから、上記拒絶の理由を依然として解消していないことは明らかである。
よって、本願の請求項1に係る発明は、発明の詳細な説明に記載されたものではなく、また、記載が明確ではないから、明細書の記載が、特許法第36条第6項第1号及び第2号に規定する要件を満たしていない。


第8.むすび
以上のとおりであるから、本願は、他の請求項について検討するまでもなく、特許法第36条第6項第1号及び第2号に規定する要件を満たしていないので、拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2009-06-19 
結審通知日 2009-06-23 
審決日 2009-06-26 
出願番号 特願平7-274776
審決分類 P 1 8・ 537- Z (H01L)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 北島 健次宮崎 園子  
特許庁審判長 河合 章
特許庁審判官 近藤 幸浩
安田 雅彦
発明の名称 半導体製造装置及びウェーハ処理方法  
代理人 三好 祥二  
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