• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H01L
管理番号 1202391
審判番号 不服2007-33518  
総通号数 118 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2009-10-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2007-12-13 
確定日 2009-08-13 
事件の表示 特願2000- 39706「半導体集積回路装置の製造方法」拒絶査定不服審判事件〔平成13年 8月24日出願公開、特開2001-230186〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成12年(2000年)2月17日に出願された特願2000-39706号)であって、平成18年9月11日付けで手続補正がなされ、平成19年11月6日付けで拒絶査定がなされ、これに対して、同年12月13日付けで拒絶査定不服審判の請求がなされたものである。

第2 本願発明
本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、平成18年9月11日付け手続補正書により補正された明細書及び図面の記載から見て、その特許請求の範囲の請求項1に記載された次のとおりのものである。

「以下の工程を含む半導体集積回路装置の製造方法:
(a)ウエハの第1の主面にフォトレジスト膜を形成する工程;
(b)上記フォトレジスト膜が形成された上記ウエハを露光装置のウエハステージに設置する工程;
(c)上記ウエハステージに設置された上記ウエハの上記第1の主面の第1の領域に対して、第1の位相シフトマスクパターンを紫外光により縮小投影露光する工程;
(d)上記工程の後、上記ウエハステージに設置された上記ウエハの上記第1の主面の上記第1の領域に対して、上記第1の位相シフトマスクパターンと同一のマスク基板上の同一の主面上に形成された第2の位相シフトマスクパターンであって上記第1の位相シフトマスクパターンの位相を反転させたものを上記紫外光により上記工程(c)と実質的に同一露光条件で縮小投影露光する工程;
(e)上記工程の後、上記フォトレジスト膜をパターニングする工程;
ここで、上記(c)及び(d)工程の露光はスキャンニング露光によって行われ、上記第1及び第2の位相シフトマスクパターンは基板溝シフタを有するレベンソン方式によるものであり、上記レベンソン方式によるマスクパターンはラインアンドスペースパターンを転写するためのものである。」

第3 引用例
1 引用例1
原査定の拒絶の理由に引用され、本願の出願前に頒布された刊行物である特開平6-83032号公報(以下、「引用例1」という)には、次の事項が記載されている。(下記「2 引用例1に記載された発明の認定」において直接関係する箇所に下線を付した。)

「【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、位相シフト露光方法、及び該露光方法に使用できる位相シフトマスクの作製方法に関する。本発明の位相シフト露光方法は、各種のパターン形成用技術として利用することができ、例えば半導体装置製造プロセスにおいてレジストパターン等の各種パターンを形成する場合の露光方法として利用することができる。
【0002】
【従来の技術】フォトマスクを利用してパターンを形成するもの、例えば半導体装置等は、その加工寸法が年々微細化させる傾向にある。このような背景で、微細化した半導体装置を得るフォリソグラフィーの技術において、その解像度を更に向上させるため、位相シフト技術が注目されている。位相シフト技術は、マスクを透過する光に位相差を与え、これにより光強度プロファイルを改善するものである。
【0003】従来の位相シフト技術については、特開昭58-173744号公報や、MARC D.LEVENSON 他“Improving Resolution in Photolithography with a Phase-Shifting Mask”IEEE TRANSACTIONS ON ELECTRON DEVICES.Vol.ED-29 No.12,DECEMBER 1982,P1828?1836、また、MARC D.LEVENSON 他“The Phase-Shifting MaskII:Imaging Simulations and Submicrometer Resist Exposures”同誌 Vol.ED-31,No.6,JUNE1984,P753?763に記載がある。
【0004】また、特公昭62-50811号には、透明部と不透明部とで形成された所定のパターンを有し、不透明部をはさむ両側の透明部の少なくとも一方に位相部材を設け、該両側の透明部に位相差を生ずる構成とした位相シフトマスクが開示されている。
【0005】従来より知られている位相シフト技術の内、レベンソン型と称されるものを例にとって、これについて、図22を利用して説明すると、次のとおりである。例えばライン・アンド・スペースのパターン形成を行う場合、通常の従来のマスクは、図22(a)に示すように、石英基板等の透明基板1上に、Cr(クロム)やその他金属、金属酸化物などの遮光性の材料を用いて遮光部10を形成し、これによりライン・アンド・スペースの繰り返しパターンを形成して、露光用マスクとしている。この露光用マスクを透過した光の強度分布は、図22(a)に符号Alで示すように、理想的には遮光部10のところではゼロで、他の部分(透過部12a,12b)では透過する。1つの透過部12aについて考えると、被露光材に与えられる透過光は、光の回折などにより、図22(a)にA2で示す如く、両側の裾に小山状の極大をもつ光強度分布になる。透過部12bの方の透過光A2′は、一点鎖線で示した。各透過部12a,12bからの光を合わせると、A3に示すように光強度分布はシャープさを失い、光の回折による像のぼけが生じ、結局、シャープな露光は達成できなくなる。これに対し、上記繰り返しパターンの光の透過部12a,12bの上に、1つおきに図22(b)に示すように位相シフト部11a(シフターと称される。SiO_(2) やレジストなどの材料が用いられる)を設けると、光の回折による像のぼけが位相の反転によって打ち消され、シャープな像が転写され、解像力や焦点裕度が改善される。即ち、図22(b)に示す如く、一方の透過部12aに位相シフト部11aが形成されると、それが例えば180°の位相シフトを与えるものであれば、該位相シフト部11aを通った光は符号B1で示すように反転する。それに隣合う透過部12bからの光は位相シフト部11aを通らないので、かかる反転は生じない。被露光材に与えられる光は、互いに反転した光が、その光強度分布の裾において図にB2で示す位置で互いに打ち消し合い、結局被露光材に与えられる光の分布は図22(b)にB3で示すように、シャープな理想的な形状になる。
【0006】上記の場合、この効果を最も確実ならしめるには位相を180°反転させることが最も有利であるが、このためには、
λ
D=────────
2(n-1)
(nは位相シフト部の形成材料の屈折率、λは露光波長)なる膜厚Dで膜形成した位相シフト部11aを設ける。
【0007】上述したような、隣り合う光透過部で光の位相をシフト(理想的には180°反転)させる位相シフトマスクは、空間周波数変調型(あるいはレベンソン型)と称されている。その他、位相シフトマスクには、エッジ強調型、遮光効果強調型などと称されるような各種のものがあり、この中には遮光部を有さない形成のもの(クロムレスタイプなどと称されている)もあるが、いずれも、露光光を透過する部分の少なくとも一部には位相をシフトさせる位相シフト部が設けられている。
【0008】
【発明が解決しようとする問題点】位相シフト部は、位相をシフトさせる材料を成膜すること等により形成され、あるいは光透過材料に屈折率を変化させるような物質をドープするような手法によても形成できるが、いずれにしても、一般的には、光透過率が必ずしも透過部より大きくならない。理想的には、位相シフト部も、光透過部もともに100%の光透過率があると良いのであるが、通常は困難である。特に、位相シフト材料として、EBレジストを用いる場合、この問題が顕著である。図5(a)に、SOGを用いてSiO2 シフターを形成して、これを用いてラインアンドスペースを形成し、理想に近い状態を得た場合を示す。これに対し図5(b)に位相シフト材料に透過率の低い材料を用いた場合を示す。
【0009】EBレジストを位相シフト材料として用いることは、マスク製造工程上有利である。
【0010】以下、従来知られている位相シフトマスク形成法について、SiO2 等を位相シフト部とするいわゆるハードシフターと、EBレジストを位相シフト部とする場合について、説明する。
【0011】ハードシフターの形成にあっては、ガラス(例えば石英ガラス)等の透明基板1上にCr等の遮光材料10′を形成し、EBレジスト(ポジ型)2aを形成し(図6)、EB描画により該EBレジストを露光して可溶部21aとし(図7)、レジストを現像して遮光材料10′(Cr等)をエッチングし(図8)、レジスト剥離して、基板1上に遮光部10を形成する(図9)。
【0012】次いでその上にSOG等のシフター材3(位相シフト材料)を形成し、更にEBレジスト2b(ネガ型)を形成し(図10)、再びEB描画により露光して不溶部21bを形成し(図11)、レジスト現像し(図12)、シフター材3をエッチングして(図13)、レジスト剥離し、パターン状の位相シフト部30を形成する(図14)。これにより、図14に示すように光透過部12と、遮光部10と、位相シフト部11とを有する位相シフトマスクが得られる。
【0013】一方、EBレジストをシフターとする場合、まず同様に基板1上に遮光材料10′を形成し、ネガ型のEBレジスト2aを形成し(図15)、EB描画で露光して可溶部21aを形成し(図16)、レジスト現像して遮光材料10′をエッチングし(図17)、レジスト剥離して基板1上に遮光部10が形成された構造を得、次にネガ型EBレジスト2を形成し(図19)、EB描画で露光して不溶部2aを形成し(図20)、現像してレジストパターンによる位相シフト部20を形成する(図21)。これにより、光透過部12と、遮光部10と、位相シフト部11とを有する位相シフトマスクを得る。
【0014】上記のように、シフター材として検討されているSOG等の無機物質を用いると、シフター材のスピンコート、エッチング(当然異方性が望ましい)等マスク製作プロセスが複雑であるが、これに比して、シフター材をEBレジストにすると、比較的容易に位相シフトマスクを製作することが可能である。
【0015】しかし、EBレジストは光の透過率が低いため、これを用いて例えばポジ型のフォトレジストを露光すると、理想的には図5(a)に示すようにシフターを通らない透過部からの光でパターニングされたスペースの幅L_(1) と、シフターを透過した位相シフト部を通る光でパターニングされたスペースの幅L_(3) とが同じであるべきものなのに、図5(b)のように、シフター透過の光でパターニングされたスペースの幅L_(3) ′が狭くなり、スペース間のラインの幅L_(2) ′も設計からずれてしまう。このように、開口部の幅が互い違いに開いてしまい、実デバイスへの応用には極めて問題である。
【0016】上記は、EBレジストを例にとって説明したが、光透過率が低い位相シフト材料についてはいずれも同様であり、光透過部(例えば石英部分)よりも光透過率の小さい位相シフト材料であれば、このような問題は何らかの形で生ずるものである。
【0017】
【発明の目的】本発明は上記従来技術の問題点を解決して、光透過率の低い位相シフト材料(シフター材)により位相シフト部を形成する技術においても、パターン幅の変動などの光透過率が低いことによる問題の生じないようにした位相シフト露光方法を提供しようとするものでり、また、これに用いる位相シフトマスクの作製方法を提供しようとするものである。
【0018】
【問題点を解決するための手段】本出願の請求項1の発明は、光透過部と、位相シフト部とを形成した第1の位相シフトマスクと、該第1の位相シフトマスクとは、光透過部と位相シフト部との位置を反転させて形成した第2の位相シフトマスクとを用い、該第1の位相シフトマスクによる露光と、第2の位相シフトマスクによる露光との少なくとも2度の露光によって多重露光することを特徴とする位相シフト露光方法であり、これにより上記目的を達成するものである。
【0019】本出願の請求項2の発明は、位相シフトマスクが、光透過部と位相シフト部とが交互に形成されたものであることを特徴とする請求項1に記載の位相シフト露光方法であり、これにより上記目的を達成するものである。
【0020】本出願の請求項3の発明は、位相シフト部が、EBレジストを位相シフト材料として形成されたことを特徴とする請求項1または2に記載の位相シフト露光方法であり、これにより上記目的を達成するものである。
【0021】本出願の請求項4の発明は、光透過部と、位相シフト部とを形成した第1の位相シフトマスクと、該第1の位相シフトマスクとは、光透過部と位相シフト部との位置を反転させて形成した第2の位相シフトマスクとの、少なくとも2つの位相シフトマスクを、同一のレチクルより作製することを特徴とする位相シフトマスクの作製方法であり、これにより上記目的を達成するものである。
【0022】本出願の請求項5の発明は、位相シフト部が、EBレジストを位相シフト材料として形成されたことを特徴とする請求項4に記載の位相シフトマスクの作製方法であり、これにより上記目的を達成するものである。
【0023】
【作用】前述したようにEBレジストは一般に透過率が低く、確かにこれをシフター材とすると位相シフトマスク形成工程が容易であり、また、コントラストを上げる効果もあるものの、このような透過率の低いシフター材は、シフターを通過した後の光は強度が下がる。このため例えばラインアンドスペースパターンにこのようなレジストシフターの如き透過率の低いシフターを用いて例えばレベンソン型位相シフト法を適用すると、フォトレジストにポジ型を用いた場合、図5(b)に示したようにシフター部に対応するウェハの開口部は細くなる。逆にネガ型を用いれば線幅が細くなるわけで、一層問題は深刻化する。
【0024】これに対し、本発明によれば、シフターの配置を逆にしたマスクをもう一枚作成し、被露光材であるウェハ等を2度露光することにより、上記の問題を解決することができる。
【0025】通常、例えば図1(a)のような位相シフトマスクを作成する場合、シフター部のEBレジストに例えばネガ型レジストを使い、シフターとして残したい部分をEB描画する。現像すれば描画されなかった部分は溶けて残らない。全く同じことを今度は例えばポジ型のEBレジストを用いた場合、最初のマスクとはシフターの位置が完全に反転したマスクができあがる(図1(b))。こうして作られた2枚目のマスクを用いて、被露光材であるウェハ等を2度露光すれば最終的にウェハ等は均等な光強度で露光される。」

【図1】ないし【図5】,【図22】及び【0005】段落の記載から、引用例1のものは、ライン・アンド・スペースのパターン形成を行うものであることは明らかである。

2 引用例1に記載された発明の認定
上記記載から、引用例1には、
「半導体装置製造プロセスにおいてレジストパターン等の各種パターンを形成する場合の露光方法であって、
マスクを透過する光に位相差を与え、これにより光強度プロファイルを改善するものである位相シフト技術が用いられ、
光透過部と、位相シフト部とを形成した第1の位相シフトマスクと、該第1の位相シフトマスクとは、光透過部と位相シフト部との位置を反転させて形成した第2の位相シフトマスクとを用い、該第1の位相シフトマスクによる露光と、第2の位相シフトマスクによる露光との少なくとも2度の露光によって多重露光するものであり、
位相シフトマスクが、光透過部と位相シフト部とが交互に形成されたレベンソン型のものであり、
形成されるマスクパターンは、ライン・アンド・スペースのパターンである位相シフト露光方法。」の発明(以下「引用発明」という。)が記載されている。

3 引用例2
原査定の拒絶の理由に引用され、本願の出願前に頒布された刊行物である特開平10-104816号公報(以下、「引用例2」という)には、次の事項が記載されている。(下記「第5 当審の判断」において参照する記載に下線を付した。)
「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、フォトマスク及びその製造方法に関し、特に、HF(フッ酸)蒸気によりガラス部又は位相シフター部をエッチングすることにより、断面にオーバーハングした形状を持たせ、石英基板部ないし位相シフター部をドライエッチングした部位の透過光量を調整するフォトマスク及びその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、半導体集積回路の高集積化に伴い、その回路製版に用いられるレチクルにも一層微細化が要求される。例えば、代表的なLSIであるDRAMを例にあげると、これらのレチクルを用いて転写されるデバイスのパターンの線幅は、現在の16MbDRAMでは0.5μmと微細なものである。さらに、64MbDRAMの微細な製版には、従来のステッパーを用いた露光方式では最早限界にきており、このような要求に応えるために様々な露光法等が研究されている。位相シフトフォトマスクもその一つであり、それを用いると、現在のステッパーによっても解像度を上げることが可能なため、その開発も盛んになっており、最近では、デバイス作製に導入されつつある。
【0003】位相シフトフォトマスクとしては、図6(a)に断面図を示す通り、石英基板1上に繰り返し模様の遮光層2を設け、1個おきのスペース部3の透明基板1を位相差で半波長分彫り込んだ構成の、レベンソンタイプの下シフター型に属する石英基板彫り込み型の位相シフトフォトマスク(特開昭62-189468号)、あるいは、図6(b)に断面図を示すように、石英基板1上にエッチングストップ層4、SiO_(2) 系等の位相シフター層5、さらにその上に繰り返し模様の遮光層2を設け、1個おきのスペース部6の位相シフター層5を彫り込んだ構成の、レベンソンタイプの下シフター型位相シフトフォトマスク等の開発が行われている。。」

4 引用例3
原査定の拒絶の理由に引用され、本願の出願前に頒布された刊行物である特開平11-111601号公報(以下、「引用例3」という)には、次の事項が記載されている。(下記「第5 当審の判断」において参照する記載に下線を付した。)
「【0007】本発明は斯かる点に鑑み、1つのレイヤのパターンを多重露光で形成する場合に、従来のように複数枚のレチクルのパターンを順次重ねて露光する方式に比べて、レチクルの製造コストや管理コストを低減できると共に、スループットを向上できる露光方法を提供することを第1の目的とする。更に本発明は、1つのレイヤのパターンを多重露光で形成する場合に、レチクルの製造コストを低減できると共に、高い結像特性が得られる露光方法を提供することを第2の目的とする。
【0008】更に本発明は、そのような露光方法を使用できる露光装置を提供することをも目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明による第1の露光方法は、露光対象の基板の同一レジスト(感光材料)上の複数の被露光領域(46B?46G)にそれぞれ異なるN個(Nは2以上の整数)のマスクパターンの像を重ねて露光する露光方法において、マスク(R)上で所定方向に一列に配置されたN個のマスクパターン領域(45A,45B)を形成しておき、その基板上にそのマスク上のそれらN個のマスクパターンの像(A1,B1)を露光する第1工程と、その基板とそのマスクとをマスクパターン領域(45A,45B)のその所定方向の幅に対応する幅だけその所定方向に相対移動して、その基板上にそのマスク上のそれらN個のマスクパターンの像(A2,B2)を部分的に重ね合わせて露光する第2工程と、を有し、この第2工程を更に少なくとも(N-2)回繰り返すものである。
【0010】斯かる本発明によれば、1枚のマスク上に複数個のマスクパターンが形成されているため、マスクが1枚で済み、マスクの製造コスト等が低減される。また、例えば図4に示すように、幅Fの2個取りの3個のショット領域(47A?47C)にそれぞれ二重露光を行うものとすると、本発明の露光方法ではマスク像と基板とをF/2ずつずらしながら7回露光を行う必要があるため、露光回数は従来の二重露光方式における6回よりも多くなる。しかしながら、実際の露光工程では数回のショット露光時間に比べてマスクの交換時間の方がかなり長いため、本発明によってスループットは従来の二重露光方式に比べて向上する。
【0011】なお、二重露光する場合(N=2の場合)には、その第1工程及び第2工程を1度実行することで、少なくとも1つの被露光領域で二重露光が行われる。また、本発明において、それらN個のマスクパターンの像をその基板上に露光する際に、そのマスクパターンを照明する照明光束に対して、そのマスクとその基板とを同期走査させて露光し、そのマスク上でのそれらN個のマスクパターン領域の配列方向とその同期走査の走査方向とを平行に設置し、そのマスクパターン毎に露光条件を変化させることが望ましい。
【0012】これは本発明をステップ・アンド・スキャン方式のような走査露光方式で露光する場合に適用することを意味する。上記のように複数個のマスクパターンを重ねて露光する場合、各マスクパターン毎に照明条件(通常照明、変形照明、小σ値の照明等)、フォーカス位置、及び露光量等の露光条件を最適化することが望ましい。これに関して、一括露光方式であれば、1枚のマスク上の複数のマスクパターンを同時に露光する場合にマスクパターン毎に照明条件等を変えるには、露光装置の構成等を工夫する必要がある。ところが、走査露光方式でマスクパターンの配列方向を走査方向に平行にすれば、複数のマスクパターンを順番に露光する際に照明条件等を連続的に切り換えることができるため、多重露光による結像特性向上の効果が容易に得られる。
【0013】また、本発明による第2の露光方法は、スリット状の照明領域でマスク(R)のパターンを照明し、そのマスクのパターンがその照明領域の走査方向に複数配置され、そのマスクと基板(W)とを同期走査させることによってそのマスクのパターンの像をその基板の同一レジスト上に投影する露光方法であって、そのマスクのパターン毎に露光条件を変化させて露光するものである。
【0014】斯かる本発明によれば、1回の露光終了後に1個のパターン分だけマスク(R)と基板(W)とを走査方向にずらして部分的に重ね合わせた露光を行うことによって、1枚のマスクを用いて多重露光を行うことができる。更に、照明領域が別のパターンに移動する毎に、露光条件を当該パターンに最適化された条件に切り換えることによって、多重露光による高い結像特性が得られる。
【0015】また、本発明による露光装置は、スリット状の照明領域でマスク(R)のパターンを照明し、そのマスクのパターンがその照明領域の走査方向に複数配置され、そのマスクと基板(W)とを同期走査させることによってそのマスクのパターン像をその基板の同一レジスト上に投影する露光装置であって、そのマスクとその基板とをその走査方向に同期走査して露光を行う際に、そのスリット状の照明領域が次のパターン領域に移動するのに応じて露光条件を変化させる露光条件制御系(11,12,41,43)を設けたものである。斯かる露光装置によれば、本発明の第1、又は第2の露光方法が使用できる。」

第4 対比
1 引用発明と本願発明とを対比する。

引用発明の「半導体装置製造プロセスにおいてレジストパターン等の各種パターンを形成する」ことは、技術常識から当然に、一方の面にフォトレジスト膜を形成したウエハをウエハステージに載置し、露光後に(露光によって)フォトレジスト膜をパターンニングすることを含むものであるから、引用発明の「半導体装置製造プロセスにおいてレジストパターン等の各種パターンを形成する場合の露光方法」が、本願発明の「(a)ウエハの第1の主面にフォトレジスト膜を形成する工程;(b)上記フォトレジスト膜が形成された上記ウエハを露光装置のウエハステージに設置する工程;(e)上記工程(露光工程)の後、上記フォトレジスト膜をパターニングする工程;を含む半導体集積回路装置の製造方法」に相当する。

引用発明の「光透過部と、位相シフト部とを形成した第1の位相シフトマスク」を用い、「該第1の位相シフトマスクによる露光」をすることと、本願発明の「(c)上記ウエハステージに設置された上記ウエハの上記第1の主面の第1の領域に対して、第1の位相シフトマスクパターンを紫外光により縮小投影露光する」こととは、「(c)上記ウエハステージに設置された上記ウエハの上記第1の主面の第1の領域に対して、第1の位相シフトマスクパターンを露光する」ことで一致する。

引用発明の「第1の位相シフトマスクとは、光透過部と位相シフト部との位置を反転させて形成した第2の位相シフトマスク」とを用い、「第2の位相シフトマスクによる露光との少なくとも2度の露光によって多重露光する」ことと、本願発明の「(第1の位相マスクを用いた露光の工程(c)の後、)上記ウエハステージに設置された上記ウエハの上記第1の主面の上記第1の領域に対して、上記第1の位相シフトマスクパターンと同一のマスク基板上の同一の主面上に形成された第2の位相シフトマスクパターンであって上記第1の位相シフトマスクパターンの位相を反転させたものを上記紫外光により上記工程(c)と実質的に同一露光条件で縮小投影露光する」こととは、「(第1の位相マスクを用いた露光の工程(c)の後、)上記ウエハステージに設置された上記ウエハの上記第1の主面の上記第1の領域に対して、第2の位相シフトマスクパターンであって上記第1の位相シフトマスクパターンの位相を反転させたものを露光する」ことで一致する。

引用発明の「位相シフトマスクが、光透過部と位相シフト部とが交互に形成されたレベンソン型のもの」であることと、本願発明の「第1及び第2の位相シフトマスクパターンは基板溝シフタを有するレベンソン方式によるもの」であることとは、「第1及び第2の位相シフトマスクパターンはレベンソン方式によるもの」であることで一致している。

引用発明の「形成されるマスクパターンは、ライン・アンド・スペースのパターンである」ことは、本願発明の「(上記レベンソン方式による)マスクパターンはラインアンドスペースパターンを転写するためのものである」ことに相当する。

2 一致点
よって、本願発明と引用発明は、
「 以下の工程を含む半導体集積回路装置の製造方法:
(a)ウエハの第1の主面にフォトレジスト膜を形成する工程;
(b)上記フォトレジスト膜が形成された上記ウエハを露光装置のウエハステージに設置する工程;
(c)上記ウエハステージに設置された上記ウエハの上記第1の主面の第1の領域に対して、第1の位相シフトマスクパターンを露光する工程;
(d)上記工程の後、上記ウエハステージに設置された上記ウエハの上記第1の主面の上記第1の領域に対して、第2の位相シフトマスクパターンであって上記第1の位相シフトマスクパターンの位相を反転させたものを露光する工程;
(e)上記工程の後、上記フォトレジスト膜をパターニングする工程;
ここで、上記第1及び第2の位相シフトマスクパターンはレベンソン方式によるものであり、上記レベンソン方式によるマスクパターンはラインアンドスペースパターンを転写するためのものである。」の発明である点で一致し、次の各点で相違する。

3 相違点
(1)相違点1;
本願発明の露光は、「紫外光により縮小投影露光する」ものであるのに対して、引用発明には、その点の明確な特定がない点。

(2)相違点2;
本願発明は、第1の位相シフトマスクパターンの露光と第1の位相シフトマスクパターンの露光とが、「実質的に同一露光条件」で露光するものであるのに対して、引用発明には、その点の明確な特定がない点。

(3)相違点3;
本願発明は、第1の位相シフトマスクパターンと第2の位相シフトマスクパターンが「同一のマスク基板上の同一の主面上に形成された」ものであるのに対して、引用発明には、その点の限定がない点。

(4)相違点4;
本願発明は、第1の位相シフトマスクパターンの露光と第1の位相シフトマスクパターンの露光とが、「スキャンニング露光」によって行われるものであるのに対して、引用発明には、その点の限定がない点。

(5)相違点5;
本願発明は、第1の位相シフトマスクパターンと第2の位相シフトマスクパターンが「基板溝シフタを有する」ものであるのに対して、引用発明には、その点の限定がない点。

第5 当審の判断
1 上記各相違点について検討する。
(1)相違点1について
半導体集積回路装置の製造に関する技術分野において、露光が「紫外光」による「縮小投影露光」であることは通常のことであり、例を挙げるまでもない周知の技術である。
したがって、引用発明においても、露光が「紫外光により縮小投影露光」であるとして上記相違点1に係る本願発明の発明特定事項を得ることは当業者が容易に想到し得ることである。

(2)相違点2について
引用発明のように、「光透過部と、位相シフト部とを形成した第1の位相シフトマスクと、該第1の位相シフトマスクとは、光透過部と位相シフト部との位置を反転させて形成した第2の位相シフトマスクとを用い、該第1の位相シフトマスクによる露光と、第2の位相シフトマスクによる露光によって多重露光」することによって、隣り合う開口を均一にしようとする場合、すなわち、第1の位相シフトマスクによる「光透過部による露光」に第2の位相シフトマスクによる「位相シフタ部による露光」を加えた露光と、第1の位相シフトマスクによる「位相シフタ部による露光」に第2の位相シフトマスクによる「光透過部による露光」を加えた露光を同じものにするためには、第1の位相シフトマスクによる露光の露光条件と、第2の位相シフトマスクによる露光の露光条件を同じにすればよいことは、当業者であれば容易に想到し得ることである。

(3)相違点3について;
引用例3には、多重露光技術において、マスクを1枚で済ませてマスクの製造コストを低減させるため、同一のマスク基板の同一の面に、多重露光する複数のマスクパターンを形成することが記載されている。
引用発明においても、マスクの製造コストを低減させるため、引用例3に記載された技術を採用して、多重露光する第1の位相シフトマスクパターンと第2の位相シフトマスクパターンを「同一のマスク基板上の同一の主面上に形成」するとして、上記相違点3に係る本願発明の発明特定事項を得ることは当業者が容易に想到し得ることである。

(4)相違点4について;
フォトマスクを利用してパターンを形成する露光技術において、スキャンニング露光は、引用例3にも記載されている周知の技術である。
引用発明においても、露光方法として、上記周知の技術を採用して、上記相違点4に係る本願発明の発明特定事項を得ることは当業者が容易に想到し得ることである。

(5)相違点5について;
引用例2には、「1個おきのスペース部6の位相シフター層5を彫り込んだ構成」、すなわち、位相シフトマスクパターンが「基板溝シフタを有する」ものである点が記載されている。
引用発明と引用例2に記載された発明は、レベンソン型である点で共通しており、同じ技術分野に属していて相互に技術の適用が可能なものであるといえるから、引用発明の位相シフトマスクパターンにおいて、上記引用例2に記載された「基板溝シフタを有する」ものである点を採用して、上記相違点5に係る本願発明の発明特定事項を得ることは当業者が容易に想到し得ることである。

2 本願発明が奏する作用効果
そして、本願発明によってもたらされる効果は、引用発明、引用例2,3に記載された発明及び周知技術から、当業者が予測し得る程度のものである。

3 まとめ
したがって、本願発明は、引用例1ないし3に記載された発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

第6 むすび
以上より、本願発明は、引用例1ないし3に記載された発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2009-06-09 
結審通知日 2009-06-16 
審決日 2009-06-30 
出願番号 特願2000-39706(P2000-39706)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (H01L)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 新井 重雄  
特許庁審判長 末政 清滋
特許庁審判官 越河 勉
森林 克郎
発明の名称 半導体集積回路装置の製造方法  
代理人 筒井 大和  
  • この表をプリントする

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ