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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) G06F |
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管理番号 | 1202678 |
審判番号 | 不服2005-23591 |
総通号数 | 118 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2009-10-30 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2005-12-08 |
確定日 | 2009-08-20 |
事件の表示 | 平成10年特許願第 80090号「画像処理装置、画像処理装置の制御方法、および記憶媒体」拒絶査定不服審判事件〔平成11年10月15日出願公開、特開平11-282684〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1.手続の経緯 本願は、平成10年3月27日の出願であって、平成17年3月28日付けで拒絶の理由が通知され、それに対して平成17年6月6日付けで手続補正がなされ、平成17年8月4日付けで拒絶の理由が通知され、平成17年10月11日付けで手続補正がなされたものの、平成17年11月4日付けで、平成17年3月28日付け拒絶の理由により拒絶査定がなされた。それに対し、平成17年12月8日付けで審判請求がなされると共に平成18年1月6日付けで手続補正がなされ、平成18年1月26日付けで審査官より前置報告がなされ、平成20年5月13日付けで当審より審尋がなされ、平成20年7月17日付けで審尋に対する回答書が提出され、平成21年3月11日付けで平成18年1月6日付け手続補正が補正却下されると共に同日付けで当審より拒絶の理由が通知され、平成21年5月18日付けで手続補正がなされたものである。 2.本願発明 本願明細書の特許請求の範囲の請求項2に係る発明(以下「本願発明」という。)は、平成21年5月18日付け手続補正書により補正された明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項2に記載された以下のとおりのものと認める。 「画像入力を行なう画像入力部を制御する命令列を含む第一のエージェントを受信して前記画像入力部の画像入力処理を制御する画像処理装置の制御方法において、 前記第一のエージェントを受信する受信ステップと、 前記受信ステップが受信した前記第一のエージェントが含む命令列の解釈処理を実行する解釈実行ステップと、 前記解釈実行ステップが前記命令列の解釈処理を実行するのに応答して、前記画像処理装置内に存在する第二のエージェントを特定する特定ステップと、 前記受信ステップが受信した前記第一のエージェントから、前記特定ステップが特定した前記画像処理装置内に存在する第二のエージェントに対してメッセージ通信のためのメッセージを送るメッセージ出力ステップと、 前記出力ステップにおいて出力されたメッセージに応答して命令列を含み前記画像処理装置内に存在する第二のエージェントによって前記画像入力部の画像入力処理を制御する制御ステップとを備え、前記第一のエージェントにより実行される処理と前記第二のエージェントにより制御される処理はスレッドライブラリを用いて並行処理されることを特徴とする画像処理装置の制御方法。」 3.引用発明と周知技術 1.特開平7-250205号公報 2.飯田一朗、西ヶ谷岳 著,2.モーバイルエージェントとネットワーク,情報処理,1997年1月15日,第38巻 第1号,p.17-23 3.大囿忠親、新谷虎松,マルチエージェントシステムのための制約論理型言語RXFの実現,情報処理学会論文誌,1996年10月15日,第37巻,第10号,p.1765-1772 4.特開平8-30512号公報 5.特開平7-64802号公報 引用文献1は、平成21年3月11日付け拒絶理由通知書に記載の理由1(以下「当審の拒絶理由」という。)において引用した文献である。 また、引用文献2は、当審の拒絶理由において本願出願時に周知の技術を示すために引用した文献であり、引用文献3乃至5は、本願出願時に周知の技術を示すために当審において新たに引用する文献である。 (1)引用発明 当審の拒絶理由に引用された特開平7-250205号公報(以下、「引用文献1」という。)には、図面とともに、以下の事項が記載されている(下線は、当審において付加した)。 A.「【特許請求の範囲】 【請求項1】 複数の機能を持つ複合装置の操作を制御する操作制御方法において、操作内容を指定する操作制御パラメータ情報を前記複合装置に供給し、前記操作制御パラメータ情報を読取った前記複合装置に、前記操作制御パラメータ情報に従って複数の機能を自動的に実行させることを特徴とする複合装置の操作制御方法。 【請求項2】 前記操作制御パラメータ情報を記憶媒体に記述し、前記記憶媒体を前記複合装置に装着して、前記操作制御パラメータ情報を前記複合装置に読取らせることを特徴とする請求項1に記載の複合装置の操作制御方法。 【請求項3】 前記操作制御パラメータ情報をデータ転送によって前記複合装置に供給することを特徴とする請求項1に記載の複合装置の操作制御方法。 【請求項4】 前記操作制御パラメータ情報をプログラミング言語で表わすことを特徴とする請求項1乃至3に記載の複合装置の操作制御方法。 ・・・中略・・・ 【請求項11】 複数の機能を持つ複合装置において、外部入出力端末から転送された操作制御パラメータ情報を受信するデータ転送制御手段と、受信した前記操作制御パラメータ情報に指定された操作を実行する実行手段とを備えることを特徴とする複合装置。 【請求項12】 前記データ転送制御手段が、前記操作制御パラメータ情報で指定された操作の実行結果を前記外部入出力端末にデータ転送することを特徴とする請求項11に記載の複合装置。 【請求項13】 前記実行手段として、原稿を読取るスキャナと、原稿をプリント出力するプリンタ手段と、FAX通信を制御する通信制御手段と、画像を処理する画像処理手段とを備えることを特徴とする請求項9乃至12に記載の複合装置。」 B.「【発明の詳細な説明】 【0001】 【産業上の利用分野】本発明は、プリンタ、ファクシミリ、複写機等の機能を併せ持つ複合装置の操作方法に関し、特に、分かり易い操作方法で複雑な複合機能を実行できるようにしている。 【0002】 【従来の技術】近年、スキャナ、プリンタ、ファクシミリ、複写機等のオフィス機器では、それぞれ単体専用機として、多機能化、高速化、低価格化等が進む一方で、これらの機能を一つに集めた複合装置の開発も盛んに行なわれ、そうした機器が市場にも出始めている。 【0003】図18には、そうした複合装置の一例を示している。この装置は、各部の動作を総合的に制御する中央処理部(CPU)1と、画像の処理を行なう画像処理部2と、画像データや各種の制御データを記憶するメモリ部3と、原稿を読取るスキャナ部41と、スキャナ部41を制御するスキャナ制御部4と、原稿をプリントアウトするプリンタ部51と、プリンタ部51を制御するプリンタ制御部5と、電話回線62を通じてFAX装置61との間でFAX通信を行なうFAX制御部6と、データ転送路82を通じて入出力端末またはホストコンピュータ81との間でデータ転送を行なうデータ転送制御部8と、利用者がボタン操作により指令を入力する操作パネル部71と、操作パネル71を制御する操作パネル制御部7と、画像データや各種の制御データを流すシステムバス20とを備えている。 【0004】入出力端末またはホストコンピュータ81と、複合装置32におけるデータ転送制御部8との間は、例えばRS-232Cシリアル・インタフェースによって接続されている。 【0005】この複合装置は、コピー機能、FAX送信機能を有し、また、スキャナで読取った画像データを入出力端末やホストコンピュータに転送したり、入出力端末やホストコンピュータから送られたデータを基に画像をプリンタアウトする機能を有している。・・・(中略)・・・ 【0006】また、入出力端末やホストコンピュータ81に画像データを取込む場合は、スキャナ部41に原稿用紙をセットし、入出力端末またはホストコンピュータ81からの指示により画像を読取り、読取ったデータをデータ転送制御部8を通じて入出力端末またはホストコンピュータ81に転送する。 ・・・(中略)・・・ 【0009】本発明は、こうした従来の問題点を解決するものであり、複合装置の単純明快な操作方法を提供し、また、そうした操作方法により複雑な機能を実行することができる複合装置を提供することを目的としている。」 C.「【0025】 【実施例】 (第1実施例)本発明の第1実施例の複合装置は、この装置の操作方法が記述された記憶媒体のファイルから、操作制御パラメータを読取り、そのパラメータに従って指定された動作を実行する。この複合装置は、図1に示すように、操作方法が記述されたファイルを有するフロッピーディスクを装着して操作制御パラメータを読取るフロッピーディスク部11と、フロッピーディスク部11を制御するフロッピーディスク制御部10と、操作方法が記述されたファイルを有する光ディスクを装着して操作制御パラメータを読取る光ディスク部13と、光ディスク部13を制御する光ディスク制御部12と、操作方法が記述されたファイルを有するICメモリーカードを装着して操作制御パラメータを読取るICメモリーカード部15と、ICメモリーカード部15を制御するICメモリーカード制御部14とを備えている。その他の構成は従来の装置(図18)と変わりがない。 ・・・(中略)・・・ 【0042】次に(図12)、ステップA10;読取ったパラメータを装置内部命令に変換して、ステップA11;実行処理部に操作の実行を命令する。 【0043】ステップB1;実行処理部であるプリンタ制御部5およびFAX制御部6は、命令を受取ると、ステップB2;命令を解析し、ステップB3;記憶媒体内に存在する画像ファイルを調べ、ステップB4;画像ファイルが存在する場合には、ステップB5;画像ファイルをファイルオープンし、ステップB6;画像をメモリ3に読込み、ステップB7;そのメモリ3に読込んだ画像を1ページプリント出力し、ステップB8;相手先電話番号12-3456にFAX送信を行なう。」 D.「【0052】(第2実施例)第2実施例では、複合装置の操作を、記憶媒体のファイルに記述した第二のタイプの操作制御パラメータ情報によって制御している。複合装置の構成は第1実施例の場合(図1)と変わりがない。 【0053】第二のタイプでは、プログラミング言語を用いることにより、各種の条件に応じて操作方法の切換えを指示するなど、きめ細かい操作指示が可能になる。 【0054】このプログラム記述型の操作制御パラメータファイルにおけるパラメータ記述仕様フォーマットを図5に例示している。このフォーマットでは、まず先頭のパラメータとして、操作制御プログラム記述型パラメータファイルのスタートを意味するパラメータ部G100を定義し、次にプログラム記述型コマンド部G200または操作の内容を示すパラメータ部P200を定義する。 【0055】プログラム記述型コマンドの場合には、例えばプログラム言語のC言語の簡単な条件文および分岐文を使用して、プログラム記述型コマンド部G200を定義する。条件文および分岐文の内容は括弧G210、G220で括られ、その中に、まず操作の内容を示すパラメータ部P200、その操作の内容に必要なパラメータの種類を示すパラメータ種類部P300(P300には、必須なパラメータの種類のみを定義すれば良く、デフォルトのパラメータを使用する場合には定義する必要がない)、パラメータ種類部P300に規定されたパラメータの実際の値を示すパラメータ部P400、その操作の終了を示すパラメータ部P500を順次定義する。連続して操作を定義する場合には、P500に続けて、次の操作の内容を示すパラメータを定義する。最後に条件文の条件を示すG700を定義する。」 E.「【0064】さて、第2実施例の操作制御パラメータ情報によって複合装置を制御する方法について、図14、図15および図16のフローチャトを用いて説明する。 【0065】図14のステップC1からステップC8までは、図11におけるステップA1からステップA8までの動作と同じであり、複合装置のドライブに挿入されたフロッピーディスク、ICメモリーカードまたは光ディスクから操作制御プログラム記述型パラメータファイルをメモリ3に読込んだ後、一単語ずつを読取り、装置内部に所有するテーブルと比較して、各単語を解析する。そして、この単語の解析を繰返すことによって、記憶媒体から読込んだ操作制御プログラム記述型パラメータファイル(図6と同じものとする)には、条件文を示す操作制御プログラム記述型コマンドが記述されており、その条件文の内容が、相手先電話番号12-3456にFAX送信操作を行ない、その通信が不可能である場合が条件となることを認識する。 【0066】ステップC10;読取った単語(G221)が括弧の終了を示しているときは、条件文の内容が終了したことを認識する。 【0067】条件文の終了した後の手順(図15)は、図12の場合と同じであり、読取ったパラメータを装置内部命令コードに変換して命令を出し、命令を受取った実行処理部は、命令を解析し、記憶媒体内に存在する画像ファイルをメモリに読込んだ後、その画像を相手先電話番号12-3456にFAX送信する。 【0068】しかし、このFAX送信が何らかの理由で失敗し、FAX送信が送信不可能の状態で異常終了すると、ステップD4;実行処理部は、異常終了の操作実行結果を送信し、ステップC13;この操作実行結果を受取り、操作実行結果ファイルを作成する。 ・・・(中略)・・・ 【0072】(図14)ステップC4;再び操作制御プログラム記述型パラメータファイルの次の単語(P204)を読込み、ステップC5?ステップC7;その単語(P204)を内部テーブルと比較して、操作の内容がFAX送信操作であることを認識する。 【0073】さらに、ステップC4からステップC7の手順を繰返すことにより、操作制御プログラム記述型パラメータファイルが、指定時刻18:00に相手先電話番号12-3456に対してFAX送信することを指示しているのを認識する。 【0074】ステップC8;単語(G601)を読込むと、操作制御プログラム記述型パラメータファイルの記述がそれで終了することを認識し、(図15)ステップC11;読取ったパラメータを装置内部命令コードに変換し、ステップC12;実行処理部に対して、時刻指定予約FAX送信の実行を命令する。 【0075】実行処理部は、ステップD1?ステップD3の手順で、命令を実行する。時刻指定FAX送信予約を正常に実行すると、ステップD4;実行処理部は、正常処理の操作実行結果を送り、ステップC13;それを受取る。操作実行結果が送られると、 【0076】(図16)ステップC14;操作実行結果ファイルをオープンし、ステップC15?ステップC18の手順を繰返して、時刻18:00の時刻指定FAX送信予約が正常に行なわれたことを記述する。 【0077】ステップC19;操作実行結果の全ての記述が終了すると、ステップC20;操作制御プログラム記述型パラメータファイルの読込みが全て終了しているため、ステップC21;単語(S502)を記述して、ステップC22;操作実行結果ファイルをファイルクローズする。」 F.「【0080】(第3実施例)第3実施例の複合装置は、図2に示すように、LAN(ローカル・エリア・ネットワーク)の制御を行なうLAN制御部9を備えており、このLAN制御部9は、LAN転送路92を通じて入出力端末またはホストコンピュータ91と接続している。その他の構成は従来の装置(図18)と変わりがない。 【0081】この複合装置31では、操作制御パラメータ情報がLAN転送路92を通じて入力される。この操作制御パラメータ情報としては、第1実施例および第2実施例で説明した二つのタイプのいずれをも用いることができ、入出力操作端末またはホストコンピュータ91からLAN転送路92を経由して送られてくる操作制御パラメータの転送手順仕様は、図3に示した操作制御パラメータ記述仕様フォーマットまたは図5に示した操作制御プログラム記述型パラメータ記述仕様フォーマットと同じになる。 【0082】この複合装置の操作制御方法を図17のフローチャートを用いて説明する。 【0083】ステップE1;まず、入出力端末あるいはホストコンピュータ91よりLAN92を経由して、メッセージが転送される。装置はこのメッセージを受信し、ステップE2;その内容をメモリ3に保存する。 【0084】ステップE3;転送終了を検知すると、ステップE4;メモリに保存されたメッセージを先頭から一単語ずつ読取り、操作制御パラメータ情報を解析して、指定された操作を実行する。この手順は、図11、図12および図13のステップA4からステップA21までの動作、あるいは、図14、図15および図16のステップC4からステップC22までの動作と同じである。 【0085】ステップE5;実行結果は、(ファイルに保存するのではなく)指示があった入出力端末またはホストコンピュータ91に、図9または図10の順序でメッセージとして転送し、ステップE6;転送を終了する。」 (a)上記Aの請求項1の「複数の機能を持つ複合装置の操作を制御する操作制御方法において、操作内容を指定する操作制御パラメータ情報を前記複合装置に供給し、前記操作制御パラメータ情報を読取った前記複合装置に、前記操作制御パラメータ情報に従って複数の機能を自動的に実行させることを特徴とする複合装置の操作制御方法。」、同請求項3の「前記操作制御パラメータ情報をデータ転送によって前記複合装置に供給することを特徴とする請求項1に記載の複合装置の操作制御方法。」、同請求項11の「複数の機能を持つ複合装置において、外部入出力端末から転送された操作制御パラメータ情報を受信するデータ転送制御手段と、受信した前記操作制御パラメータ情報に指定された操作を実行する実行手段とを備えることを特徴とする複合装置。」、同請求項13の「前記実行手段として、原稿を読取るスキャナと、原稿をプリント出力するプリンタ手段と、FAX通信を制御する通信制御手段と、画像を処理する画像処理手段とを備えることを特徴とする請求項9乃至12に記載の複合装置。」との記載からみて、引用文献1には、操作制御パラメータ情報を受信し、該操作制御パラメータ情報に従って複数の機能を自動的に実行させる複合装置の操作制御方法が記載されている。 また、操作制御パラメータ情報に指定された操作を実行する実行手段に、原稿を読取るスキャナが含まれることから、操作制御パラメータ情報は、スキャナを制御する情報を含むことは当業者にとり自明である。 そして、上記Bの6段落の「入出力端末やホストコンピュータ81に画像データを取込む場合は、スキャナ部41に原稿用紙をセットし、入出力端末またはホストコンピュータ81からの指示により画像を読取り、読取ったデータをデータ転送制御部8を通じて入出力端末またはホストコンピュータ81に転送する。」との記載から、スキャナ部で実行される操作は、原稿を画像として読取る処理であると把握されること、上記Bの3段落の「図18には、そうした複合装置の一例を示している。この装置は、各部の動作を総合的に制御する中央処理部(CPU)1と、画像の処理を行なう画像処理部2と、画像データや各種の制御データを記憶するメモリ部3と、原稿を読取るスキャナ部41と、スキャナ部41を制御するスキャナ制御部4と、原稿をプリントアウトするプリンタ部51と、プリンタ部51を制御するプリンタ制御部5と、電話回線62を通じてFAX装置61との間でFAX通信を行なうFAX制御部6と、・・・を備えている。」との記載からは、原稿を読取るスキャナ部は、スキャナ制御部によって制御されることと共に、スキャナ部及びスキャナ制御部は、複合装置が備える構成であること、換言すれば、スキャナ部及びスキャナ制御部は複合装置内に存在する手段であることが把握される。 さらに、上記Aの請求項13における「スキャナ」と、上記Bの3段落及び6段落の「スキャナ部」とは、同一の手段を指すと解されるから、引用文献1には 原稿を画像として読取る処理を実行するスキャナ部を制御する情報を含む操作制御パラメータ情報を受信して前記スキャナ部の原稿を画像として読取る処理を複合装置内に存在するスキャナ制御部により制御する複合装置の操作制御方法 が記載されたものと解される。 (b)上記Dの53段落の「第二のタイプでは、プログラミング言語を用いることにより、各種の条件に応じて操作方法の切換えを指示するなど、きめ細かい操作指示が可能になる。」、上記Dの54段落の「このプログラム記述型の操作制御パラメータファイルにおけるパラメータ記述仕様フォーマットを図5に例示している。このフォーマットでは、まず先頭のパラメータとして、操作制御プログラム記述型パラメータファイルのスタートを意味するパラメータ部G100を定義し、次にプログラム記述型コマンド部G200または操作の内容を示すパラメータ部P200を定義する。」、上記Dの55段落の「プログラム記述型コマンドの場合には、例えばプログラム言語のC言語の簡単な条件文および分岐文を使用して、プログラム記述型コマンド部G200を定義する。条件文および分岐文の内容は括弧G210、G220で括られ、その中に、まず操作の内容を示すパラメータ部P200、その操作の内容に必要なパラメータの種類を示すパラメータ種類部P300(P300には、必須なパラメータの種類のみを定義すれば良く、デフォルトのパラメータを使用する場合には定義する必要がない)、パラメータ種類部P300に規定されたパラメータの実際の値を示すパラメータ部P400、その操作の終了を示すパラメータ部P500を順次定義する。連続して操作を定義する場合には、P500に続けて、次の操作の内容を示すパラメータを定義する。」との記載からみて、引用文献1における操作制御パラメータ情報は、プログラミング言語を用いることにより、各種の条件に応じた操作方法の切換えの指示が可能になるものであって、例えば条件文及び分岐文を使用して定義されるプログラム記述型コマンド部と、操作の内容を示す複数のパラメータ部とを有するものであるから、当該操作制御パラメータ情報は、プログラミング言語で記述された情報である命令列を有し、操作の内容を示す情報である、すなわち、引用文献1に記載の操作制御制御パラメータ情報は、命令列を含み、操作の内容を示す情報である、と解される。 (c)上記Fの83段落の「ステップE1;まず、入出力端末あるいはホストコンピュータ91よりLAN92を経由して、メッセージが転送される。装置はこのメッセージを受信し、ステップE2;その内容をメモリ3に保存する。」における「メッセージ」は、上記Fの段落84の「メモリに保存されたメッセージを先頭から一単語ずつ読取り、操作制御パラメータ情報を解析して、指定された操作を実行する。」との記載、及び上記Aの請求項11の「外部入出力端末から転送された操作制御パラメータ情報を受信するデータ転送制御手段」との記載を併せて参酌すれば、「操作制御パラメータ情報」を指すものと解されるから、引用文献1には、複合装置の操作制御方法において、操作制御パラメータ情報を複合装置が受信する受信ステップを有することが記載されていると認められる。 (d)上記Fの84段落の「メモリに保存されたメッセージを先頭から一単語ずつ読取り、操作制御パラメータ情報を解析して、指定された操作を実行する。この手順は、図11、図12および図13のステップA4からステップA21までの動作、あるいは、図14、図15および図16のステップC4からステップC22までの動作と同じである。」との記載において、メモリに保存されたメッセージとは、受信ステップにより受信された操作制御パラメータ情報であると解され、また、上記Eの65段落の「図14のステップC1からステップC8までは、図11におけるステップA1からステップA8までの動作と同じであり、複合装置のドライブに挿入されたフロッピーディスク、ICメモリーカードまたは光ディスクから操作制御プログラム記述型パラメータファイルをメモリ3に読込んだ後、一単語ずつを読取り、装置内部に所有するテーブルと比較して、各単語を解析する。」との記載を併せると、引用文献1には、 複合装置の操作制御方法において、受信ステップにおいて受信した操作制御パラメータ情報を一単語ずつ読取って操作制御パラメータ情報を解析する解析ステップを有することが記載されていると認められる。 (e)上記Fの84段落の「メモリに保存されたメッセージを先頭から一単語ずつ読取り、操作制御パラメータ情報を解析して、指定された操作を実行する。この手順は、図11、図12および図13のステップA4からステップA21までの動作、あるいは、図14、図15および図16のステップC4からステップC22までの動作と同じである。」との記載からみて、引用文献1における指定された操作の実行は、操作制御パラメータ情報を解析する解析ステップの実行に応答して行われる処理であることが当業者に明らかである。 また、指定された操作の実行に関しては、上記Eの67段落の「読取ったパラメータを装置内部命令コードに変換して命令を出し、命令を受取った実行処理部は、命令を解析し、記憶媒体内に存在する画像ファイルをメモリに読込んだ後、その画像を相手先電話番号12-3456にFAX送信する。」との記載、及び、上記Cの43段落の「実行処理部であるプリンタ制御部5およびFAX制御部6は、命令を受取ると、ステップB2;命令を解析し、ステップB3;記憶媒体内に存在する画像ファイルを調べ、ステップB4;画像ファイルが存在する場合には、ステップB5;画像ファイルをファイルオープンし、ステップB6;画像をメモリ3に読込み、ステップB7;そのメモリ3に読込んだ画像を1ページプリント出力し、ステップB8;相手先電話番号12-3456にFAX送信を行なう。」との記載を併せれば、操作制御パラメータ情報を解析して読み取ったパラメータを装置内部命令コードに変換して実行処理部に命令を出し、命令を受取った実行処理部が命令を解析することにより操作が実行されること、実行処理部としては、プリンタ制御部、FAX制御部が該当することが把握される。 ここで、指定された操作を実行するために実行処理部に命令を出すには、命令を出すべき実行処理部が特定されている必要があることから、引用文献1において、実行処理部に命令を出す前に実行処理部を特定することは当業者にとり自明な事項である。 また、上記C、E、Fの記載においては、操作制御パラメータ情報がスキャナを制御する情報を含むものであった場合の処理の実行についての具体的な例示はないが、操作制御パラメータ情報がプリント出力を指定する場合にはプリンタ制御部が実行処理部となり、操作制御パラメータ情報がFAX送信を指定する場合にはFAX制御部が実行処理部となることが把握される上記Eの67段落の記載と上記Cの43段落の記載からみて、引用文献1において、操作制御パラメータ情報がスキャナ部を制御する情報を含むものであった場合には、スキャナ制御部が実行処理部となり、命令を受取って解析し、スキャナ部の制御を行うものであることも当業者にとって自明に導き出される事項である。 したがって、引用文献1には、 操作制御パラメータ情報を解析する解析ステップの実行に応答して、命令を出すべき実行処理部を特定する特定ステップと、 特定ステップが特定した実行処理部に命令を出す出力ステップと、 出力ステップにおいて出力された命令を受取った実行処理部が命令を解析することにより操作を実行する制御ステップとを有するものであって、 操作制御パラメータ情報がスキャナ部を制御する情報を含むものであった場合には、スキャナ制御部が実行処理部となり、命令を受取って解析し、スキャナ部の制御を行う複合装置の制御操作方法 が記載されていると解される。 以上で検討したことから、引用文献1には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されている。 原稿を画像として読取る処理を実行するスキャナ部を制御する情報を含む操作制御パラメータ情報を受信して前記スキャナ部の原稿を画像として読取る処理を複合装置内に存在するスキャナ制御部により制御する複合装置の操作制御方法であって、 操作制御パラメータ情報は、命令列を含み、操作の内容を示す情報であり、 操作制御パラメータ情報を複合装置が受信する受信ステップと、 受信ステップにおいて受信した操作制御パラメータ情報を一単語ずつ読取って操作制御パラメータ情報を解析する解析ステップと、 操作制御パラメータ情報を解析する解析ステップの実行に応答して、命令を出すべき実行処理部を特定する特定ステップと、 特定ステップが特定した実行処理部に命令を出す出力ステップと、 出力ステップにおいて出力された命令を受取った実行処理部が命令を解析することにより操作を実行する制御ステップとを有するものであって、 操作制御パラメータ情報がスキャナ部を制御する情報を含むものであった場合には、スキャナ制御部が実行処理部となり、命令を受取って解析し、スキャナ部の制御を行う 複合装置の操作制御方法。 (2)本願出願時に周知の技術 (a)エージェント間の通信について 本願出願前に頒布された刊行物である引用文献2(飯田一朗、西ヶ谷岳 著,2.モーバイルエージェントとネットワーク,情報処理,1997年1月15日,第38巻 第1号,p.17-23)には、以下の記載がある。 「Telescriptはネットワークで繋がったコンピュータ間をエージェントプログラムが自由に動き回ることができる機能を実現した言語である。これを実現するため,Telescriptでは移動前にエージェントの実行状態と実行コードとを1つのデータグラムにパッキングし,移動先コンピュータ上で実行状態を復元したあと停止した直後から実行コードを再開する機能が,インタプリタエンジン上に実装されている。」(第20頁左欄第4行乃至同第12行) 「Telescriptのエージェント間協調の仕組みは,メッセージパッシングではなくメソッドコールにより実現される。たとえば,PlaceFooに存在するAgentBarに以下のようなメソッドが定義されているとする。 whatIs:op(word:String)String={ return dictionary.lookup(word); } このAgentBarと協調したい場合は,go()でPlaceFooに移動した後,AgentBarに対してメソッドwhatIsを発行すればよい。 メッセージパッシングが基本のAprilとは,一見,異なったモデルのように思われるが,メソッド名とその引数をメッセージと捉えると,両者の違いはほとんどないといえる。メッセージベースのエージェントでは,受信するメッセージは何らかの処理に受け渡されるが,この処理の部分がメソッドの実装部分に対応するわけである。」(第20頁左欄下から6行乃至同右欄第12行) 当該記載のように、複数のエージェントを用いる技術において、メッセージ通信のためのメッセージ(引用文献2では「メソッド名とその引数」)を一方のエージェントから他方のエージェントに対して送信する技術は本願出願時点で周知の技術(以下「周知技術1」という。)である。 (b)複数エージェントの並行動作について 本願出願前に頒布された刊行物である引用文献3(大囿忠親、新谷虎松,マルチエージェントシステムのための制約論理型言語RXFの実現,情報処理学会論文誌,1996年10月15日,第37巻,第10号,p.1765-1772)には、以下の記載がある。 A.「本論文では,制約論理型言語RXFの実装とその応用について述べる。本研究は,マルチエージェントシステムを容易に構築するための言語の実装を主眼とする。RXFは,マルチエージェントシステムを容易に構築するための言語として,制約プログラミング,並行処理,およびメタ処理機能を提供する。ここでは,制約プログラミングとして制約論理型言語,並行処理としてマルチスレッド処理を導入する。複数エージェントは,マルチスレッド処理によって並行動作する。RXFでは,マルチスレッドの利用に関連して,boxモデルに基づくスレッド切り替え処理を実現した。並行動作するエージェント間の非同期通信も可能である。」(第1765頁 論文の要約) また、スレッドの切り替え処理等のスレッド制御処理を提供してスレッドを並行動作させる機構のことを「スレッドライブラリ」と呼ぶことは、例えば引用文献4(特開平8-30512号公報)の「【0007】図2に本発明のスレッド制御方式の概念図を示す。・・・(中略)・・・205が本スレッド制御方式の利用者レベルスレッドの制御を行なうスレッドライブラリであり利用者プログラムにリンクされ利用者レベルで動作する。このスレッドライブラリによって、カーネルスレッド上で実行する利用者レベルスレッドの選択が行われる。」との記載、あるいは引用文献5(特開平7-64802号公報)の「【0001】・・・シミュレーションや、スレッドの並列実行を提供するスレッドライブラリ」との記載のように当業者に周知の事項であることからみれば、複数のエージェントを用いる技術において、複数のエージェントをスレッドライブラリを用いて並行動作させる技術は、本願出願時点で周知の技術(以下「周知技術2」という。)である。 4.対比・判断 本願発明と引用発明とを対比する。 引用発明における「原稿を画像として読取る処理を実行するスキャナ部」、「原稿を画像として読取る処理」は、本願発明における「画像入力を行なう画像入力部」、「画像入力処理」に相当する。 引用発明における「操作制御パラメータ情報」は、命令列を含み、操作の内容を示す情報であって、複合装置に移動して解析され実行される情報であることからすれば、当該「操作パラメータ情報」は”エージェント”である(本願の明細書10段落に記載の「モバイルエージェントは、命令列とその実行に必要なデータから成り、一の実行環境に限定されずにある実行環境から他の実行環境に移動して専用のインタープリタ上で実行される。」に照らせば、当該「操作パラメータ情報」も、モバイルエージェントといえる)ので、引用発明における「操作制御パラメータ情報」は、本願発明における「第一のエージェント」に相当する。 引用発明における「複合装置」は、画像を入出力する処理を実行する装置であるから、本願発明における「画像処理装置」に相当し、引用発明における「複合装置の操作制御方法」は、本願発明における「画像処理装置の制御方法」に相当する。 引用発明における「受信ステップが受信した操作制御パラメータ情報を一単語ずつ読取って操作制御パラメータ情報を解析する」ことは、操作制御パラメータ情報が含む命令列を解釈する処理を実行することを意味するから、引用発明における「受信ステップが受信した操作制御パラメータ情報を一単語ずつ読み取って操作制御パラメータ情報を解析するステップ」は、本願発明の「受信ステップが受信した前記第一のエージェントが含む命令の解釈処理を実行する解釈実行ステップ」に相当する。 引用発明における「スキャナ制御部」は、画像処理装置内に存在し、スキャナの制御を行うためのものであってスキャナの代理として機能する手段であることに加え、当該「スキャナ制御部」のような機能手段は通常”命令例を含むソフトウェア”によって実現されるものであることから、当該「スキャナ制御部」は”エージェント”である(平成17年10月11日付け意見書で本願出願人(本件審判請求人)が述べた「この種の技術、たとえばJavaや、(機器の状態を管理、把握あるいは制御するための)SNMP技術では、「エージェント」という用語は主に他のプログラムモジュールの要求に応じてなんらかの処理(たとえば本願明細書段落0055の「オペレーション」)を実行するプログラムの実行単位に対して用いられており、特にJavaインタープリタなどの処理系においては、こうしたエージェントは、移動可能な「モバイル」エージェントであれ、移動せず、機器内で存続する「常駐」エージェントであれ、ほぼ同等の手法により生成することが可能なものです。すなわち、これらの(請求項における第一および第二の)エージェントは、処理系によって生成されるものである点では何ら違いがありません。」に照らせば、他のプログラムモジュールである「操作制御パラメータ情報」の要求に応じて処理を実行するプログラムの実行単位といえる「スキャナ制御部」も”「常駐」エージェント”といえる)ので、引用発明における「スキャナ制御部」は、本願発明における「第二のエージェント」に相当する。 引用発明における「命令」と、本願発明における「メッセージ通信のためのメッセージ」とは、画像処理装置内に存在する第二のエージェントに出力されるメッセージ情報(以下「メッセージ情報」という。)である点で一致し、引用発明における「出力ステップ」と、本願における「メッセージ出力ステップ」とは、画像処理装置内に存在する第二のエージェントに対してメッセージ情報を送るメッセージ出力ステップである点で一致する。 引用発明における「出力ステップにおいて出力された命令を受取った実行処理部が命令を解析することにより操作を実行する制御ステップ」に関し、受信ステップで受信された第一のエージェントが画像入力部による画像入力処理を制御するためのものであったときには、当該制御ステップにおける「実行処理部」は「スキャナ制御部」となることから、引用発明における「制御ステップ」は、メッセージ情報に応答して画像処理部の画像入力処理を制御するステップであって、本願発明における「制御ステップ」と、出力ステップにおいて出力されたメッセージ情報に応答して画像処理装置内に存在する第二のエージェントによって画像入力部の画像入力処理を制御する制御ステップである点で一致する。 よって、本願発明と引用発明とは、以下の点で一致し、また、相違している。 (一致点) 画像入力を行なう画像入力部を制御する命令列を含む第一のエージェントを受信して前記画像入力部の画像入力処理を制御する画像処理装置の制御方法において、 前記第一のエージェントを受信する受信ステップと、 前記受信ステップが受信した前記第一のエージェントが含む命令列の解釈処理を実行する解釈実行ステップと、 前記解釈実行ステップが前記命令列の解釈処理を実行するのに応答して、前記画像処理装置内に存在する第二のエージェントを特定する特定ステップと、 前記特定ステップが特定した前記画像処理装置内に存在する第二のエージェントに対してメッセージ情報を送るメッセージ出力ステップと、 前記出力ステップにおいて出力されたメッセージ情報に応答して命令列を含み画像処理装置内に存在する第二のエージェントによって前記画像入力部の画像入力処理を制御する制御ステップとを備えることを特徴とする 画像処理装置の制御方法 (相違点) (相違点1)本願発明は、「メッセージ通信のためのメッセージ」を、「第一のエージェント」から、「第二のエージェント」に対して送信するのに対して、引用発明においては、「命令」を「スキャナ制御部」に対して送信しているが、当該「命令」がメッセージ通信のためのメッセージであるか、及び当該「命令」を第一のエージェントである「操作制御パラメータ情報」が送信するものであるか、はいずれも明らかではない点。 (相違点2)本願発明は、「第一のエージェントにより実行される処理」と「第二のエージェントにより制御される処理」とは「スレッドライブラリを用いて並行処理される」ものであるのに対して、引用発明は、「操作制御パラメータ情報」により実行される処理と「スキャナ制御部」により制御される処理とがスレッドライブラリを用いて並行処理されるものであるか、は明らかではない点。 (判断) 上記相違点について判断する。 (相違点1)について; 複数のエージェントを用いる技術において、メッセージ通信のためのメッセージを一方のエージェントから他方のエージェントに対して送信する技術は周知(周知技術1)であるから、引用発明において当該周知の技術を採用し、メッセージ通信のためのメッセージを、第一のエージェントである「操作制御パラメータ情報」から、第二のエージェントである「スキャナ制御部」に対して送信するよう構成することは当業者が適宜行い得る事項である。 よって、相違点1は格別のものではない。 (相違点2)について; 複数のエージェントを用いる技術において、複数のエージェントをスレッドライブラリを用いて並行動作させる技術も周知(周知技術2)であるから、引用発明において当該周知の技術を採用し、第一のエージェントである「操作制御パラメータ情報」と、第二のエージェントである「スキャナ制御部」とをスレッドライブラリを用いて並行動作させることにより、第一のエージェントにより実行される処理と第二のエージェントにより制御される処理とが並行処理される構成とすることは当業者が適宜行い得る事項である。 よって、相違点2は格別のものではない。 上記で検討したごとく、相違点1及び相違点2はいずれも格別のものではなく、そして、本願発明の構成によってもたらされる効果も、当業者であれば当然に予測可能なものに過ぎず格別なものとは認められない。 よって、本願発明は、上記引用発明及び周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものである。 5.むすび 以上のとおり、本願発明は、本願の特許出願前に日本国内又は外国において、頒布された刊行物に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 よって、上記結論のとおり、審決する。 |
審理終結日 | 2009-06-18 |
結審通知日 | 2009-06-23 |
審決日 | 2009-07-06 |
出願番号 | 特願平10-80090 |
審決分類 |
P
1
8・
121-
WZ
(G06F)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 久保 光宏 |
特許庁審判長 |
赤川 誠一 |
特許庁審判官 |
冨吉 伸弥 宮司 卓佳 |
発明の名称 | 画像処理装置、画像処理装置の制御方法、および記憶媒体 |
代理人 | 内尾 裕一 |
代理人 | 西山 恵三 |