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審決分類 審判 査定不服 特174条1項 特許、登録しない。 A63F
審判 査定不服 4項1号請求項の削除 特許、登録しない。 A63F
審判 査定不服 4項4号特許請求の範囲における明りょうでない記載の釈明 特許、登録しない。 A63F
審判 査定不服 4号2号請求項の限定的減縮 特許、登録しない。 A63F
審判 査定不服 特36条4項詳細な説明の記載不備 特許、登録しない。 A63F
審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 特許、登録しない。 A63F
審判 査定不服 4項3号特許請求の範囲における誤記の訂正 特許、登録しない。 A63F
管理番号 1202693
審判番号 不服2006-23591  
総通号数 118 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2009-10-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2006-10-18 
確定日 2009-08-20 
事件の表示 特願2002-505093「コンテンツのエピソード配信」拒絶査定不服審判事件〔平成14年 1月 3日国際公開、WO02/00317、平成16年 1月22日国内公表、特表2004-501694〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成13年(2001年)6月26日(パリ条約による優先権主張、平成12年6月27日、米国)を国際出願日とする特願2002-505093号であって、平成16年10月19日付けで拒絶理由通知がなされ、平成17年4月21日付けで意見書が提出され、同日付けで手続補正がなされ、同年10月18日付けで最後の拒絶理由通知がなされ、平成18年1月20日付けで意見書が提出され、同日付けで手続補正がなされ、同年7月18日付けで平成18年1月20日付けの手続補正が却下され、同日付けで拒絶査定がなされ、これに対して、同年10月18日付けで拒絶査定不服審判の請求がなされ、同年11月17日付けで手続補正がなされたものである。

第2 平成18年11月17日付けの手続補正についての補正の却下の決定について

[補正の却下の決定の結論]
平成18年11月17日付けの手続補正(以下、「本件補正」という。)を却下する。

1 本件補正について
平成18年1月20日付けの手続補正は、原審において既に却下されているため、本件補正により、明細書の特許請求の範囲は、平成17年4月21日付け手続補正書の特許請求の範囲に記載の、
「【請求項1】 インターネットによって可能なゲームを提供する方法であって、
該ゲームは、複数のエピソードを含み、各エピソードは、該ゲームにおいてユーザ装置によって実行されるべき複数の関連のある条件付きのアクションを記述しており、
該方法は、受信手段とユーザ状態決定手段と送信手段とを含むゲームサーバを用いるものであり、
該方法は、
該受信手段が、格納装置からユーザ状態情報を受信することであって、該ユーザ状態情報は、該ユーザ装置がある条件付きのアクションを実行したか否か、もしくは、所定の時間が経過したか否かを示す、ことと、
該ユーザ状態決定手段が、該ユーザ状態情報を用いて、該複数のエピソードのうちの少なくとも1つに関連するエピソードデータが該ユーザ装置に送信されるべきか否かを決定することであって、該ユーザ装置が該条件付きのアクションを実行したこと、もしくは、該所定の時間が経過したことを該ユーザ状態情報が示すか否かに基づいて該決定が行なわれる、ことと、
該エピソードデータが送信されるべきであることを該ユーザ状態決定手段が決定した場合には、該送信手段が、該エピソードデータを該ユーザ装置に送信することと
を包含する、方法。
【請求項2】 前記エピソードデータが送信されるべきであることを前記ユーザ状態決定手段が決定した場合には、前記送信手段が、前記ユーザ装置に依存するボイスメールメッセージをボイスメール装置に送信することをさらに包含する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】 前記エピソードデータが送信されるべきであることを前記ユーザ状態決定手段が決定した場合には、前記送信手段が、EメールメッセージをEメール装置に送信することをさらに包含する、請求項1に記載の方法。
【請求項4】 前記エピソードデータが送信されるべきであることを前記ユーザ状態決定手段が決定した場合には、前記送信手段が、前記ユーザ装置に依存するページャーメッセージをページャー装置に送信することをさらに包含する、請求項1に記載の方法。
【請求項5】 前記ゲームサーバは、結果生成手段をさらに含み、
前記方法は、
前記受信手段が、ユーザ装置からサーチリクエストを受信することと、
該結果生成手段が、該サーチリクエストと前記ユーザ状態情報とに基づいてサーチ結果を生成することと、
前記送信手段が、該サーチ結果を前記ユーザ装置に送信することと
をさらに包含する、請求項1に記載の方法。
【請求項6】 前記サーチリクエストがゲームに関連している場合であり、かつ、前記エピソードデータが送信されるべきであることを前記ユーザ状態決定手段が決定した場合には、前記結果生成手段が、ゲームに関連しているサーチ結果を生成することをさらに包含する、請求項5に記載の方法。
【請求項7】 前記エピソードデータが送信されるべきでないことを前記ユーザ状態決定手段が決定した場合には、前記結果生成手段が、ゲームに関連していないサーチ結果を生成することをさらに包含する、請求項5に記載の方法。
【請求項8】 前記条件付きのアクションは、ユーザのアクションを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】 前記ユーザのアクションは、所定の電話番号に電話をかけることである、請求項8に記載の方法。
【請求項10】 前記ユーザのアクションは、所定のウェブサイトにアクセスすることである、請求項8に記載の方法。
【請求項11】 前記ユーザのアクションは、特定の検索語をリクエストすることである、請求項8に記載の方法。
【請求項12】 前記ゲームの前記複数のエピソードのそれぞれは、一列に配置されており、
前記方法は、
ウェブサイトが、前記エピソードデータを格納することと、
前記ユーザ装置が該一列に配置された該複数のエピソードのうちの少なくとも1つにおいて前記複数の条件付きアクションのうちの少なくとも1つを実行した場合には、該ユーザ装置が、該ウェブサイトに格納されている該エピソードデータにアクセスすることと
をさらに包含し、
該ユーザ装置によってアクセスされた該エピソードデータは、条件付きアクションを有する少なくとも1つのエピソードと比較される、該一列における次のエピソードに関連するエピソードデータである、請求項1に記載の方法。
【請求項13】 前記状態決定手段が、ユーザがエピソードの支払を提出したか否かに基づいて、前記複数のエピソードのうちの少なくとも1つに関連するエピソードデータが前記ユーザ装置に送信されるべきであるか否かを決定することをさらに包含する、請求項1に記載の方法。
【請求項14】 前記格納装置は、前記ゲームサーバに結合されたデータベースである、請求項1に記載の方法。
【請求項15】 インターネットによって可能なゲームを提供する装置であって、
該ゲームは、複数のエピソードを含み、各エピソードは、該ゲームにおいてユーザ装置によって実行されるべき複数の関連のある条件付きのアクションの特定のグループを記述しており、
該装置は、
格納装置からユーザ状態情報を受信する受信手段であって、該ユーザ状態情報は、該ユーザ装置がある条件付きのアクションを実行したか否か、もしくは、所定の時間が経過したか否かを示す、受信手段と、
該ユーザ装置が該条件付きのアクションを実行したこと、もしくは、該所定の時間が経過したことを該ユーザ状態情報が示すか否かに基づいて、該ゲームにおけるエピソードに関連するエピソードデータが該ユーザ装置に送信されるべきか否かを決定するユーザ状態決定手段と、
該エピソードデータが送信されるべきであることを該ユーザ状態決定手段が決定した場合には、該ゲームにおける該エピソードに関連する該エピソードデータを該ユーザ装置に送信する送信手段と
を備えた、装置。」が、

「【請求項1】 インターネットによって可能なゲームを提供する方法であって、
該ゲームは、ストーリーを記述し、該ゲームは、エピソードデータを含み、該方法は、受信手段とユーザ状態決定手段と送信手段とを含むゲームサーバを用いるものであり、
該方法は、
該受信手段が、ユーザに関連付けられた第1のユーザ装置からリクエスト情報を受信することと、
該ユーザ状態決定手段が、該リクエスト情報の受信に応答して、該ストーリーに関連したサーチ結果が該第1のユーザ装置または該ユーザに関連付けられた第2のユーザ装置に送信されるべきか否かを決定することであって、該決定が、
格納装置から該ユーザのユーザ状態情報を検索することであって、該ユーザ状態情報は、該第1のユーザ装置または該第2のユーザ装置が所定の条件付きアクションを実行したか否かを示す、ことと、
(i)該第1のユーザ装置または該第2のユーザ装置が該所定の条件付きアクションを実行したことを該ユーザ状態情報が示し、かつ、(ii)該リクエスト情報が所定のリクエスト情報に一致する場合には、該ストーリーに関連したサーチ結果が送信されるべきであると決定することと、
(i)該第1のユーザ装置および該第2のユーザ装置が該所定の条件付きアクションを実行していないことを該ユーザ状態情報が示し、または、(ii)該リクエスト情報が該所定のリクエスト情報に一致しない場合には、該ストーリーに関連したデータが送信されるべきでないと決定することと
によって行われる、ことと、
該ストーリーに関連したサーチ結果が該格納装置から該第1のユーザ装置または該第2のユーザ装置に送信されるべきであると決定された場合には、該送信手段が、該ストーリーに関連したサーチ結果を送信することと、
該送信手段が、該第1のユーザ装置または該第2のユーザ装置が該サーチ結果を選択したことを該ゲームサーバに通知する通知を受信することと、
該送信手段が、該通知の受信に応答して該第1のユーザ装置または該第2のユーザ装置にエピソードデータを送信することと
を包含する、方法。
【請求項2】 前記エピソードデータは、ボイスメールメッセージを含み、該第2のユーザ装置は、ボイスメール装置を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】 前記エピソードデータは、Eメールメッセージを含み、前記第2のユーザ装置は、Eメール装置を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】 前記エピソードデータは、ページャメッセージを含み、該第2のユーザ装置は、ページャ装置を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】 前記ストーリーに関連したサーチ結果が、前記第1のユーザ装置および第2のユーザ装置に送信されるべきでないと決定された場合には、前記送信手段が、前記ストーリーに関連していないサーチ結果を前記第1のユーザ装置または前記第2のユーザ装置に送信することをさらに包含する、請求項1に記載の方法。
【請求項6】 前記第2のユーザ装置は、電話であり、前記所定の条件付きアクションは、所定の電話番号に電話をかけることである、請求項1に記載の方法。
【請求項7】 前記所定の条件付きアクションは、所定のウェブサイトにアクセスすることである、請求項1に記載の方法。
【請求項8】 前記格納装置は、(i)前記ゲームサーバに結合されたデータベースおよび(ii)コンテンツサーバのうちの一方である、請求項1に記載の方法。
【請求項9】 インターネットによって可能なゲームを提供する装置であって、
該ゲームは、ストーリーを記述し、該ゲームは、エピソードデータを含み、
該装置は、
ユーザに関連付けられた第1のユーザ装置(532)からリクエスト情報を受信する受信手段と、
該リクエスト情報の受信に応答して、該ストーリーに関連したサーチ結果が該第1のユーザ装置または該ユーザに関連付けられた第2のユーザ装置(521、522、523、530、532、528、526、524)に送信されるべきか否かを決定するユーザ状態決定手段であって、該決定が、
格納装置(502、508)から該ユーザのユーザ状態情報を検索することであって、該ユーザ状態情報は、該第1のユーザ装置または該第2のユーザ装置が所定の条件付きアクションを実行したか否かを示す、ことと、
(i)該第1のユーザ装置または該第2のユーザ装置が該所定の条件付きアクションを実行したことを該ユーザ状態情報が示し、かつ、(ii)該リクエスト情報が所定のリクエスト情報に一致する場合には、該ストーリーに関連したサーチ結果が送信されるべきであると決定することと、
(i)該第1のユーザ装置および該第2のユーザ装置が該所定の条件付きアクションを実行していないことを該ユーザ状態情報が示し、または、(ii)該リクエスト情報が該所定のリクエスト情報に一致しない場合には、該ストーリーに関連したサーチ結果が送信されるべきでないと決定することと
によって行われる、ユーザ状態決定手段と、
該ストーリーに関連したサーチ結果が該格納装置から該第1のユーザ装置または該第2のユーザ装置に送信されるべきあると決定された場合には、該ストーリーに関連したサーチ結果を送信し、該第1のユーザ装置または該第2のユーザ装置が該サーチ結果を選択したことを該ゲームサーバに通知する通知を受信し、該通知の受信に応答して該第1のユーザ装置または該第2のユーザ装置にエピソードデータを送信する送信手段と
を含む、装置。」と補正された。

2 補正目的の違反についての検討
本件補正により、平成17年4月21日付けの手続補正書に記載された特許請求の範囲の請求項1に係る発明における
(1)「該ゲームは、複数のエピソードを含み、各エピソードは、該ゲームにおいてユーザ装置によって実行されるべき複数の関連のある条件付きのアクションを記述しており」なる発明特定事項、
(2)「該受信手段が、格納装置からユーザ状態情報を受信すること」なる発明特定事項、及び、
(3)「複数のエピソードのうちの少なくとも1つに関連するエピソードデータ」なる発明特定事項、
の3つの発明特定事項は、いずれも、本件補正後の特許請求の範囲のどこにも記載されておらず、いずれの請求項に係る発明の発明特定事項にもなっていないから、本件補正は上記3つの発明特定事項を削除する補正を含む。
そして、本件補正前の請求項1の記載における「該ゲームにおいてユーザ装置によって実行されるべき複数の関連のある条件付きのアクション」や「エピソード」などの平成17年10月18日付けの拒絶理由通知書で示した明りょうでない記載は、本件補正後の請求項1の記載では削除されたので、本件補正前の記載と同じ意味として明りょうになっているものとは認められないから、上記の3つの発明特定事項を削除する補正は、明りょうでない記載の釈明を目的とするものではない。なお、本件補正後の請求項1に「エピソードデータ」の記載が認められるが、「エピソードデータ」と削除された「エピソード」の関連が不明であり、本件補正によって「エピソード」の意味が明りょうになったものとも認められない。
また、上記の3つの発明特定事項を削除する補正は、請求項の削除や誤記の訂正を目的とするものではないことは明らかである。
したがって、本件補正は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する補正を含むものであるから、特許請求の範囲についてする補正であって、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第4項第1ないし4号に掲げる事項を目的とするものではない補正を含み、同法第17条の2第4項に違反するものである。
したがって、本件補正は、同法第159条第1項で読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下されるべきものである。

第3 原審の拒絶査定における拒絶理由についての検討
1 審理の対象
平成18年1月20日付けの手続補正は、原審において既に却下されており、平成18年11月17日付けの手続補正は、上記のとおり却下されたので、原審の拒絶査定の拒絶理由についての検討するに際しての審理の対象となる手続補正は平成17年4月21日付けの手続補正であり、また、審理の対象となる「明細書及び図面とみなされる外国語書面の翻訳文」(以下、「明細書等」という。)は、平成17年4月21日付け手続補正により補正された明細書等である。

2 原査定の理由
一方、原査定は、「この出願については、平成17年10月18日付け拒絶理由通知書に記載した理由によって拒絶すべきものである。」としたものである。
そして、「平成17年10月18日付けの拒絶理由通知書に記載した理由」の概要は次のとおりである。

「理由1
平成17年 4月21日付けでした手続補正は、下記の点で外国語書面の翻訳文(又は誤訳訂正書による補正後の明細書若しくは図面)に記載した事項の範囲内においてしたものでないから、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしていない。

(1)補正後の請求項1-15に記載されたものは、外国語書面の翻訳文に記載されたものではない。
例えば、補正後の請求項1には、「各エピソードは、該ゲームにおいてユーザ装置によって実行されるべき複数の関連のある条件付きのアクションを記述しており」などと記載されているが、外国語書面の翻訳文にはそのような記載はない。
他の事項についても同様。

なお、当該補正がなされた明細書又は図面における請求項1-15に記載した事項は外国語書面の翻訳文(又は誤訳訂正書による補正後の明細書若しくは図面)に記載した事項の範囲内にないことが明らかであるから、当該発明については新規性進歩性等の特許要件についての審査を行っていない。

理由2
この出願は、明細書及び図面の記載が下記の点で、特許法第36条第4項及び第6項第2号に規定する要件を満たしていない。

(1)補正後の請求項1-15に記載されたものは、それぞれいかなる意味であるのか不明であり、また、発明の詳細な説明において、具体的にどのように実施されているのか不明である。
例えば、補正後の請求項1には、「各エピソードは、該ゲームにおいてユーザ装置によって実行されるべき複数の関連のある条件付きのアクションを記述しており」などと記載されているが、「該ゲームにおいてユーザ装置によって実行されるべき複数の関連のある条件付きのアクション」とはいかなる意味であるのか不明であり、発明の詳細な説明において、具体的にどのように実施されているのか不明である。
他の事項についても同様。

なお、この出願は、出願内容が著しく不明確であるから、請求項1-15に係る発明については、新規性進歩性等の特許要件についての審査を行っていない。」

3 当審の判断
(1)原査定の理由1について
原査定の理由1において、例示されている請求項1の「各エピソードは、該ゲームにおいてユーザ装置によって実行されるべき複数の関連のある条件付きのアクションを記述しており」の記載については、上記手続補正による補正前の本願明細書等には、直接的に記載した箇所はない。また、上記記載は上記手続補正による補正前の本願明細書等全体の記載から自明な事項であるということもできない。
上記記載について、明細書等の発明の詳細な説明の記載において最も関連が深いと認められる箇所は、
「【0040】
本発明の一実施形態に従って、エピソードは、関係がある条件付動作の一グループである。最終的な条件が満たされて、エピソードの最後の動作がユーザに利用できるようになった後、エピソード416は完成する。次に、次のエピソード416は、アプリケーション開発者の次のリリースポイントにおいてプレイ可能である。例えば、エピソード416が月々利用できるようになる場合、各エピソード416の第一の動作は、各月に生じて、前のエピソード416の最後の条件がユーザによって満たされることを想定する。一実施形態において、ユーザが、いくつかのエピソード416が利用できるようにされた後、ゲームに参加する場合、ユーザは、ユーザが追いつくまでユーザ自身のペースでオリジナルのエピソードをプレイし得る。次に、ユーザは、エピソード416が利用できるようになるのと同時に、エピソード416にアクセスし得る。月の受信料モデルにおいて、次のエピソード416の第1の動作の配信に対する条件は、支払いがエピソード416に受信されているかどうかである.支払い情報はまた、プレイヤーのステータスフィールドにおいて維持される。従って、経験サーバ500は、プレイヤーステータスフィールドをチェックして、ユーザがエピソードが利用可能になる前にエピソード416に対して支払ったかどうかを判定する。一実施形態において、ユーザが支払っていない場合、次に、次のエピソード416が利用可能になるときに経験サーバ500は、次のエピソード416が支払って利用可能になることをユーザに通知するeメールを送信する。」
の記載であるものと認められる(なお、上記の補正について、出願人(請求人)は、平成17年4月21日付けの意見書において、上記の補正の根拠を何ら示していない)。
上記の明細書等の【0040】の記載の他、明細書等の【0010】【0022】【0026】【0037】等のエピソードに関連する記載が認められる段落を含め、明細書等全体の記載に基づいて、請求項1の「各エピソードは、該ゲームにおいてユーザ装置によって実行されるべき複数の関連のある条件付きのアクションを記述しており」の記載が自明であるということはできない。
したがって、上記の平成17年4月21日付けの手続補正は、願書に最初に添付した明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものということができないから、特許法第17条の2第3項の規定に違反している。

(2)原査定の理由2について
原査定の理由2において、例示されている請求項1の「各エピソードは、該ゲームにおいてユーザ装置によって実行されるべき複数の関連のある条件付きのアクションを記述しており」の記載について、
ア 「エピソード」とは具体的にどのようなものであるのか不明であり、「エピソード」と「ゲーム」の関係、すなわち、ゲームにおいて、「エピソード」がどのような役割をしているものかが、明細書等の発明の詳細な説明を参酌しても不明である。
イ 「複数の関連のある条件付きアクション」とは具体的にどのようなものであるのか、また、複数の各条件付きアクションが具体的にどのように関連しているのか、明細書等の発明の詳細な説明を参酌しても不明である。
ウ 「ユーザ装置によって実行されるべき複数の関連のある条件付きのアクション」については、「複数の関連のある条件付きのアクション」が具体的にどのように「ユーザ装置によって実行される」のか、明細書等の発明の詳細な説明を参酌しても不明である。
したがって、本願の明細書等の発明の詳細な説明の記載は、当業者がその実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載したものであるということができないから、平成14年法律第24号改正附則第2条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第36条第4項(以下、単に「特許法第36条第4項」という。)の規定を満たしていない。また、本願の請求項1に係る発明は明確でないから、特許法第36条第6項第2号の規定を満たしていない。

3 むすび
以上のとおり、平成17年4月21日付けの手続補正は、願書に最初に添付した明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものということができないから、特許法第17条の2第3項の規定に違反しており、本願は特許を受けることができない。
また、本願の明細書等の発明の詳細な説明の記載は、当業者がその実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載したものであるということができないから、特許法第36条第4項の規定を満たしておらず、また、本願の請求項1に係る発明は明確でないから、特許法第36条第6項第2号の規定を満たしておらず、本願は特許を受けることができない。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2009-03-23 
結審通知日 2009-03-25 
審決日 2009-04-10 
出願番号 特願2002-505093(P2002-505093)
審決分類 P 1 8・ 55- Z (A63F)
P 1 8・ 573- Z (A63F)
P 1 8・ 574- Z (A63F)
P 1 8・ 571- Z (A63F)
P 1 8・ 536- Z (A63F)
P 1 8・ 572- Z (A63F)
P 1 8・ 537- Z (A63F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 荒井 隆一  
特許庁審判長 末政 清滋
特許庁審判官 武田 悟
森林 克郎
発明の名称 コンテンツのエピソード配信  
代理人 山本 秀策  
代理人 森下 夏樹  
代理人 安村 高明  

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