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審決分類 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 F24C
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 F24C
管理番号 1202712
審判番号 不服2007-9046  
総通号数 118 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2009-10-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2007-03-29 
確定日 2009-08-20 
事件の表示 特願2002- 13383「加熱調理器システム」拒絶査定不服審判事件〔平成15年 7月30日出願公開、特開2003-214626〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は、平成14年1月22日の出願であって平成19年2月22日付けで拒絶査定がなされ(平成19年2月27日発送)、これに対し、平成19年3月29日に拒絶査定不服審判の請求がなされるとともに、平成19年4月19日付けで明細書についての手続補正がなされたものである。

2.平成19年4月19日付けの手続補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成19年4月19日付けの手続補正(以下「本件補正」という)を却下する。

[理由]
(1)補正後の本願発明
本件補正により、特許請求の範囲の請求項1は、次のように補正された。「通信手段を有する加熱調理器と、表示手段および通信手段を有し通信により前記加熱調理器を複数台制御可能な端末装置とから構成され、前記端末装置は、通信可能な範囲内において制御対象となる加熱調理器を認識しその認識した加熱調理器の構成や加熱調理動作状態か否かに基づいて前記表示手段の画面表示を切り替えるように構成されていることを特徴とする加熱調理器システム。」(下線部は補正個所を示す)

(2)補正の目的
本件補正は、請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項である「表示手段の画面表示を切り替える」ことについて、「動作状態」を、「加熱調理動作状態か否か」と限定するものであり、かつ、補正後の請求項1に記載された発明は、補正前の請求項1に記載された発明と、産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるので、本件補正は、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第4項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。

(3)独立特許要件
そこで、本件補正後の前記請求項1に記載された発明(以下「本願補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に適合するか)について以下に検討する。

(3-1)引用例の記載事項
原査定の拒絶の理由に引用された、特開平11-223343号公報(以下「引用例」という)には、図面と共に次の事項が記載されている。

ア「本発明は、外部と情報通信を行うことができる調理装置に関するものである。」(段落【0001】)

イ「図1?図3において、・・・7は機器側コンピュータ、8は情報を管理側システム6の管理側通信手段3とやり取りする機器側通信手段、9は機器側の表示手段、10は機器側の報知手段、11は制御手段で、これらにより機器側制御システム12を構成している。13は管理側システム6と機器側制御システム12との間で情報を通信する通信路である。また、14は高周波を発振するマグネトロンからなる加熱手段、15は食品からなる被加熱物、16は被加熱物15を高周波で加熱する金属で囲まれた加熱室、17は被加熱物15を載置する載置台、18は加熱手段14から発振された高周波電力を加熱室16へ導く導波管、・・・。」(段落【0036】)

ウ「次にその動作,作用について説明する。被加熱物15が例えば弁当である場合、その弁当の加熱情報は、管理側システム6の中の情報ストック手段1に弁当の種類,弁当内の食材の配置,加熱時間,加熱機器情報などが貯えられている。・・・機器側通信手段8は、管理コンピュータ2から通信された加熱情報を読取り、機器側制御システム12の制御手段11が、その情報を機器側の表示手段9、報知手段10により表示もしくは報知する。そして、制御手段11は、その加熱情報に基づいて、マグネトロンからなる加熱手段14が、図3に示すようにご飯,おかずなどのゾーンは加熱し、サラダ,漬物などのゾーンは加熱しないように放射口26の軌跡28を制御して局所加熱をする。」(段落【0038】)

エ「(実施例3)図6は本発明の実施例3における調理装置の構成図であり、実施例3において、実施例1の場合と異なる構成は、被加熱物15の加熱状況または運転状況を検出する検出手段31,32を加熱室16が有し、その検出した結果の履歴を記憶する履歴記憶手段33,34を、機器側制御システム12,管理側システム6がそれぞれ有し、各々のシステムの機器側コンピュータ7および管理コンピュータ2によりその履歴の情報を通信するようにしていることである。・・・(中略)・・・。また、検出手段32としては、加熱手段14の温度や、アノード温度などを検出するサーミスタを用いることができ、加熱手段14の温度が上昇すると、加熱効率が低下したり、加熱手段14の故障が発生したりするので、加熱手段14の運転状況を検出する検出手段32で監視することにより、常に正常な加熱を実現することができる。」(段落【0045】?【0047】)

オ「(実施例5)図8は、本発明の実施例5における調理装置の機器側制御システムの構成図を示し、実施例4の場合と異なる構成は、機器側制御システム12が、複数の調理器を制御できる機能を有することである。なお、実施例1の場合と同じ構成部分については同一の符号を付してその説明は省略する。
機器側制御システム12の機器側コンピュータ7が、複数の調理器である電子レンジ36,37,38に対し、被加熱物15の加熱対象部分の指令をそれぞれに分配することができるようにしている。昼間時、弁当の加熱で混雑している場合でも、制御手段11は、POS端末35からの加熱指令により、電子レンジ36?38の中から加熱可能な電子レンジの1つを選択する。また、制御手段11は、表示手段9もしくは報知手段10により、電子レンジ36?38の中から選択した加熱可能な電子レンジを表示もしくは報知するので、昼間の混雑時でも手際よく調理作業をすることができる。」(段落【0054】?【0055】)

上記記載事項について検討すると、記載ア、イによれば、機器側コンピュータ7、機器側通信手段8、機器側の表示手段9、機器側の報知手段10、制御手段11で構成される機器側制御システム12と、マグネトロンからなる加熱手段14、金属で囲まれた加熱室16、被加熱物15を載置する載置台17を有する調理装置とが示されている。

記載ウによれば、機器側制御システム12の制御手段11が、調理装置のマグネトロンからなる加熱手段14を制御することが示されている。

記載エによれば、被加熱物15の加熱状況または運転状況を検出する検出手段31,32を加熱室16に設け、その検出した結果の履歴を記憶する履歴記憶手段33を、機器側制御システム12に設けることが示されている。
記載オによれば、機器側制御システム12が、複数の調理装置である電子レンジを制御できるようにしたものが記載され、さらに、機器側制御システム12の制御手段11が、POS端末35からの加熱指令により、電子レンジ36?38の中から加熱可能な電子レンジの1つを選択し、表示手段9により、電子レンジ36?38の中から選択した加熱可能な電子レンジを表示することが示されている。

上記記載ア?オの記載事項及び図示内容を総合し、本願補正発明の記載ぶりに則って整理し、電子レンジと機器側制御システムとを合わせたものを、以下便宜上「調理装置システム」と呼ぶことにすると、引用例には、次の発明(以下「引用発明」という)が記載されている。

「調理装置である電子レンジ36?38と、表示手段9を有し前記調理装置である電子レンジ36?38を複数台制御可能な機器側制御システム12とから構成され、前記機器側制御システム12は、電子レンジ36?38の中から加熱可能な電子レンジの1つを選択し、表示手段9により、前記選択した加熱可能な電子レンジを表示する調理装置システム。」

(3-2)対比
本願補正発明と引用発明とを対比すると、各文言の意味、機能または作用等からみて、引用発明の「調理装置である電子レンジ36?38」は、本願補正発明の「加熱調理器」に相当し、以下同様に、「電子レンジ36?38を複数台制御可能な」「機器側制御システム12」は「加熱調理器を複数台制御可能な」「端末装置」に、「調理装置システム」は「加熱調理器システム」に、それぞれ相当する。

ここで、引用発明の「電子レンジ36?38の中から加熱可能な電子レンジの1つを選択し、表示手段9により、前記加熱可能な電子レンジを表示する」と、本願補正発明の「通信可能な範囲内において制御対象となる加熱調理器を認識しその認識した加熱調理器の構成や加熱調理動作状態か否かに基づいて前記表示手段の画面表示を切り替える」とを対比する。

すると、引用発明の「加熱可能な電子レンジ」は、これから加熱調理に使用することが可能なものであるから、加熱調理動作中でない電子レンジ(加熱調理器)と言い換えることができ、また、引用発明の「電子レンジ36?38の中から」「選択した加熱可能な電子レンジを表示する」というのは、電子レンジが加熱調理動作中であるか否かに基づいて、加熱調理動作中でない電子レンジの中から選択した電子レンジを表示すると言い換えることができる。

したがって、両者は、「加熱調理器の構成や加熱調理動作状態か否かに基づいて前記表示手段の画面表示を行う」点で共通する。

そこで、本願補正発明の用語を用いて表現すると、両者は次の点で一致する。

(一致点)
「加熱調理器と、表示手段を有し前記加熱調理器を複数台制御可能な端末装置とから構成され、前記端末装置は、加熱調理器の構成や加熱調理動作状態か否かに基づいて前記表示手段の画面表示を行う加熱調理器システム。」

そして、両者は次の点で相違する(対応する引用発明(引用例記載)の用語を( )内に示す)。

(相違点1)
本願補正発明の加熱調理器と端末装置とはそれぞれ通信手段を有し、端末装置は通信により加熱調理器を制御するものであるのに対し、引用発明の端末装置(機器側制御システム12)は、加熱調理器(調理器である電子レンジ36?38)を制御するものであるが、通信により制御するものであるか明らかでなく、したがって、引用発明の加熱調理器(電子レンジ36?38)と端末装置(機器側制御システム12)とがそれぞれ通信手段を有するものであるか明らかでない点。

(相違点2)
「加熱調理器の構成や加熱調理動作状態か否かに基づいて前記表示手段の画面表示を行う」点について、本願補正発明の端末装置は、「通信可能な範囲内において制御対象となる加熱調理器を認識しその認識した加熱調理器の構成や加熱調理動作状態か否かに基づいて前記表示手段の画面表示を切り替えるように構成されている」のに対し、引用発明の端末装置(機器側制御システム12)は、加熱調理器(電子レンジ36?38)の中から加熱可能な加熱調理器(電子レンジ36?38)の1つを選択し、表示手段(表示手段9)により、上記選択した加熱可能な加熱調理器(電子レンジ36?38)を表示するものであって、端末装置(機器側制御システム12)が通信可能な範囲内において制御対象となる加熱調理器を認識しているか明らかでなく、また、認識した加熱調理器(電子レンジ36?38)の構成や加熱調理動作状態か否かに基づいて表示手段の画面表示を切り替えているか否か明らかでない点。

(3-3)相違点の判断
上記相違点について検討する。

(相違点1について)
引用例に記載のものは、情報通信を行うことができる調理装置に関するものであり(前記「(3-1 ア)」)、引用例には、調理装置と、機器側制御システム及び管理コンピュータとの間で情報を通信するようにしていることが示されている(前記「(3-1 エ)」)。

そうすると、引用発明において、端末装置(「機器側制御システム12」)が、複数の加熱調理器(「調理器である電子レンジ36?38」)を制御するにあたって、制御のための制御信号の授受を通信により行うようにし、その手段として通信手段を端末装置(「機器側制御システム12」)と、加熱調理器(「調理器である電子レンジ36?38」)とにそれぞれ設け、本願補正発明のように、加熱調理器と端末装置とはそれぞれ通信手段を有し、端末装置は通信により加熱調理器を制御するものとすることは、当業者が適宜なし得た程度の事項にすぎないといえる。

(相違点2について)
引用発明の端末装置(機器側制御システム12)は、加熱調理器(電子レンジ36?38)の制御を行うものであるから、制御を行うための前提事項として、端末装置が制御対象である加熱調理器を認識していることは、いわば当然の事項にすぎない。

また、加熱可能な加熱調理器(電子レンジ36?38)の中から1つを選択し、それを表示するためには、そもそも端末装置(機器側制御システム12)は、制御対象となっている複数の加熱調理器(電子レンジ36?38)のうちのどれが加熱可能であるか、すなわち加熱調理動作中ではないかを認識していなければ、加熱可能なものの中から1つを選択して表示することはできないのであるから、「認識した加熱調理器の構成や加熱調理動作状態か否かに基づいて前記表示手段」を表示させるようにすることも、当業者が当然考慮し得た事項にすぎない。

なお、前記記載エには、被加熱物15の加熱状況または運転状況を検出する検出手段31、32を加熱室16に設けることが示されているが、例えば、このような検出手段により、加熱調理器(電子レンジ36?38)が加熱調理動作状態か否かを、端末装置(「機器側制御システム12」)が認識可能とすることは、当業者であれば容易に想到可能である。

さらに、記載オに「昼間時、弁当の加熱で混雑している場合でも」とあるように、複数台の電子レンジが次々と弁当の加熱調理に使用されるような混雑した場合でも、「制御手段11は」「電子レンジ36?38の中から加熱可能な電子レンジの1つを選択」し、表示手段9により表示するので、「昼間の混雑時でも手際よく調理作業をすることができる」のであるから、その表示は、刻々と変わる複数台の電子レンジの加熱調理状態を反映し、その時点でどの電子レンジが「加熱可能」であるかに応じて、表示される電子レンジは切り替わるものであると考えられ、引用発明の機器側制御システム12は、実質的に、認識した加熱調理器(電子レンジ36?38)の構成や加熱調理動作状態か否かに基づいて表示手段(表示手段9)の画面表示を切り替えているといえる。

してみると、引用発明において、本願補正発明のように、通信可能な範囲内において制御対象となる加熱調理器を認識しその認識した加熱調理器の構成や加熱調理動作状態か否かに基づいて前記表示手段の画面表示を切り替えるように構成されているものとすることは、当業者が容易に想到し得たことである。

そして、本願補正発明による効果も、引用発明から当業者が予測し得た程度のものであって、格別のものとはいえない。

したがって、本願補正発明は、引用発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるので、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができない。

(3-4)むすび
以上のとおり、本件補正は、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

3.本願発明
本件補正は、上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という)は、平成19年2月2日付けの手続補正書により補正された明細書の、特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される、以下のとおりのものである。

「通信手段を有する加熱調理器と、表示手段および通信手段を有し通信により前記加熱調理器を複数台制御可能な端末装置とから構成され、前記端末装置は、通信可能な範囲内において制御対象となる加熱調理器を認識しその認識した加熱調理器の構成や動作状態に基づいて前記表示手段の画面表示を切り替えるように構成されていることを特徴とする加熱調理器システム。」

4.引用例の記載事項
原査定の拒絶の理由に引用された引用例、及び、その記載事項は、前記「2.(3-1)」に記載したとおりである。

5.対比・判断
本願発明は、前記「2.(1)」の本願補正発明から、「動作状態」を限定する「加熱調理」(動作状態)「か否か」との特定事項を省いたものである。
そうすると、本願発明の発明特定事項をすべて含み、さらに、他の発明特定事項を付加したものに相当する本願補正発明が、前記「2.(3-3)」に示したとおり、引用発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、同様に、引用発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

6.むすび
以上のとおり、本願発明は、引用発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない。

そうすると、本願は、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく拒絶すべきものである。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2009-06-18 
結審通知日 2009-06-23 
審決日 2009-07-06 
出願番号 特願2002-13383(P2002-13383)
審決分類 P 1 8・ 575- Z (F24C)
P 1 8・ 121- Z (F24C)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 川端 修  
特許庁審判長 岡本 昌直
特許庁審判官 清水 富夫
長崎 洋一
発明の名称 加熱調理器システム  
代理人 佐藤 強  

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