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審決分類 審判 全部無効 2項進歩性  E02D
審判 全部無効 特36条4項詳細な説明の記載不備  E02D
審判 全部無効 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備  E02D
審判 全部無効 特29条特許要件(新規)  E02D
管理番号 1202919
審判番号 無効2008-800255  
総通号数 118 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2009-10-30 
種別 無効の審決 
審判請求日 2008-11-14 
確定日 2009-08-10 
事件の表示 上記当事者間の特許第3839642号発明「流動化処理土の製造方法」の特許無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。 
理由 第1 手続の経緯
本件の特許第3839642号に係る出願は、平成12年5月26日に特許出願され、平成18年8月11日に、その請求項1ないし3に係る発明につき、特許の設定登録がなされたものである。
これに対して、請求人より平成18年12月26日に請求項1ないし3に係る発明に対して別件無効審判2006-80270の請求がなされ、平成19年12月18日に本件審判の請求は成り立たない旨の審決がなされ、請求人は審決取消訴訟(平成20年(行ケ)10035号)を提起したが、平成20年11月17日に請求棄却の判決がなされた。
一方、平成20年11月14日に本件無効審判2008-800255の請求がなされ、平成20年2月3日に答弁書が提出された。

第2 本件発明
本件の請求項1ないし3に係る発明は、その特許請求の範囲の請求項1ないし3に記載された事項により特定される次のとおりのものと認める。
「【請求項1】
建設汚泥を処理して含水率を約55%?約65%に調整した調整汚泥10Ltrに対して水を約2.5?約3.5Ltrの範囲で、また、調整汚泥と水との混合組成物10Ltrに対して、セメント、セメント系固化材、セメント・石灰複合系固化材、及び石灰の中から選択した固化材を、水に溶解した固化材の固形分として約0.6?約0.8kgの範囲で混合し、流動性を持ち、1.0kg/cm2?5.0kg/cm^(2)の一軸圧縮強度を有し、かつ、ブリージング率3%以下、フロー値約160?300mmの流動化処理土を得ることを特徴とする流動化処理土の製造方法。」(以下、「本件発明1」という。)
「【請求項2】
建設汚泥を処理して含水率を約55%?約65%に調整した調整汚泥10Ltrに対して粘土などの細粒土を含む泥水を約2.5?約3.5Ltrの範囲で、また、調整汚泥と泥水との混合組成物10Ltrに対して、セメント、セメント系固化材、セメント・石灰複合系固化材、及び石灰の中から選択した固化材を、水に溶解した固化材の固形分として約0.4?約0.6kgの範囲で混合し、流動性を持ち、1.0kg/cm^(2)?5.0kg/cm^(2)の一軸圧縮強度を有し、かつ、ブリージング率3%以下、フロー値約160?300mmの流動化処理土を得ることを特徴とする流動化処理土の製造方法。」(以下、「本件発明2」という。)
「【請求項3】
建設汚泥にセメント、セメント系固化材、セメント・石灰複合系固化材、及び石灰の中から選択した固化材を添加して固化処理し、礫を除去した改良土10Ltrに対して、水を約4?約6Ltrの範囲で、また、改良土と水との混合組成物10Ltrに対して、セメント、セメント系固化材、セメント・石灰複合系固化材、及び石灰の中から選択した固化材を、水に溶解した固化材の固形分として約0.6?約0.8kgの範囲で混合し、流動性を持ち、1.0kg/cm^(2)?5.0kg/cm^(2)の一軸圧縮強度を有し、かつ、ブリージング率3%以下、フロー値約160?300mmの流動化処理土を得ることを特徴とする流動化処理土の製造方法。」(以下、「本件発明3」という。)

第3 当事者の主張
1.請求人の主張
これに対して、請求人は、下記の理由により本件発明の特許を無効とするとの審決を求め、証拠方法として甲第1号証?甲第23号証を提出している。
(1)無効理由1
本件発明1ないし3は、具体性・客観性を欠いた未完成発明であり、特許法第29条第1項柱書きに違反する。
(2)無効理由2
本件明細書の記載は、特許法第36条第4項(委任省令要件)及び特許法第36条第4項(実施可能要件)の規定に違反する。
(3)無効理由3
本件発明1ないし3は、発明の詳細な説明に発明として記載していない事項を特許請求の範囲としたものであるから、特許法第36条第6項第1号(サポート要件)の規定に違反する。
(4)無効理由4
本件発明1ないし3は発明が不明確であり、特許法第36条6項2号の規定に違反する。
(5)無効理由5
本件発明1ないし3は、以下の理由により、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
(無効理由5-1):本件発明1は、甲第1号証、甲第6号証および甲第7号証に記載された発明並びに周知慣用技術(甲第1号証?甲第14号証等)に基いて当業者が容易に想到し得たものである。
(無効理由5-2):本件発明1は、甲第2号証、甲第6号証および甲第7号証に記載された発明並びに周知慣用技術(甲第1号証?甲第14号証等)に基いて当業者が容易に想到し得たものである。
(無効理由5-3):本件発明2は、甲第1号証、甲第6号証および甲第7号証に記載された発明並びに周知慣用技術(甲第1号証?甲第14号証等)に基いて当業者が容易に想到し得たものである。
(無効理由5-4):本件発明2は、甲第3号証、甲第6号証および甲第7号証に記載された発明並びに周知慣用技術(甲第1号証?甲第14号証等)に基いて当業者が容易に想到し得たものである。
(無効理由5-5):本件発明3は、甲第4号証に記載された発明および周知慣用技術(甲第1号証?甲第14号証等)に基いて当業者が容易に想到し得たものである。
(無効理由5-6):本件発明3は、甲第5号証に記載された発明および周知慣用技術(甲第1号証?甲第14号証等)に基いて当業者が容易に想到し得たものである。

[証拠方法]
甲第1号証:木寺佐和記、外3名、「脱水ケーキの固化処理と流動化処理」、平成11年度土木学会西部支部年次学術講演会講演概要集、社団法人土木学会西部支部、平成12年3月1日、P542-543
甲第2号証:特開2000-120103号公報
甲第3号証:特開平10-8495号公報
甲第4号証:特開平10-140155号公報
甲第5号証:特開平10-306433号公報
甲第6号証:好井宏太郎、外4名、「泥水式シールド発生土の再利用 その1-泥水処理土-」、土木学会第48回年次学術講演会講演概要集第3部、社団法人土木学会、平成5年8月1日、P660-661
甲第7号証:助川禎、「泥水シールド余剰泥水利用の埋戻し工法の開発」、土木学会論文集IV、社団法人土木学会、平成6年6月20日、No.492/IV-23、P117-126
甲第8号証:大中規行、外3名、「脱水ケーキとまさ土を用いた流動化処理土の材料特性」、第34回地盤工学研究発表会平成11年度発表講演集(2分冊の2)、社団法人地盤工学会、平成11年6月18日、P1245-1246
甲第9号証:特開平5-192695号公報
甲第10号証:特開平7-265837号公報
甲第11号証:特開2000-61496号公報
甲第12号証:特開平10-72845号公報
甲第13号証:特開平6-106194号公報
甲第14号証:久野悟郎編著、「土の流動化処理工法 建設発生土・泥土の再生利用技術」、第1版、技報堂出版株式会社、1997年5月25日、P32?39、P69?81
甲第15号証:社団法人セメント協会、 「セメント系固化材による地盤改良マニュアル」、第2版、技報堂出版株式会社、1994年8月20日、P24?41
甲第16号証:笠井弘之、外4名、「流動化処理土の品質管理方法について(中間報告)」、土木学会第54回年次学術講演会講演概要集第3部(B)、社団法人土木学会、平成11年8月1日、P408-409
甲第17号証:特許第3839642号「流動化処理土の製造方法」による流動化処理土の能確認試験・報告書(技術士・渋谷修作成)
甲第18号証:平成18年2月28日付け実験成績証明書(首都圏リサイクル工業株式会社作成)
甲第19号証:土質工学用語辞典編集委員会、「土質工学用語辞典」、第3刷、社団法人土質工学会、昭和62年10月20日、P34、35
甲第20号証:特願2000-195280号出願書類(被請求人作成)
甲第21号証:平成18年3月3日付け手続補正書(被請求人作成)
甲第22号証:平成19年9月27日付け口頭審理陳述要領書(被請求人作成)
甲第23号証:平成19年10月9日付け上申書(被請求人作成)

2.被請求人の主張
一方、被請求人は、本件審判請求は成り立たないとの審決を求め、請求人の主張はいずれも理由がない旨、主張する。

第4 甲号各証に記載の事項
なお、原文中の丸数字は(マル1)等と表示する。

1.甲第1号証
[la]【542頁1?10行】
「1.はじめに
建設汚泥のリサイクル推進は,我が国において,循環(型)社会の必要性や産業廃棄物処分場の容量確保等の観点から重要な課題となっている^(1)).濁水や泥水を脱水処理した脱水ケーキは,通常,産業廃棄物の1種である建設汚泥とみなされている.…
以上のような背景の下,ここでは,脱水ケーキのリサイクルに向けて,通常の「固化処理」と最近実用化されてきている「流動化処理」に関する室内試験を実施し,脱水ケーキを有効利用するという観点から両者を比較したので,その結果を報告する.」、
[1b]【542頁11?16行】
「2.脱水ケーキの物理性状
室内試験に使用した脱水ケーキは,福岡市近郊のリサイクルセンターからサンプリングしたものであり,その物理性状は青柳ら^(3))によりすでに報告されているが,今回の試験結果は表-1に示すとおりであった.固化処理の場合において,その強度発現に大きく影響を及ぼすパラメータの一つである含水比はω=36%であり,一般の脱水ケーキとしては好く脱水されている事例と考えられる.」、
[1c]【543頁1?9行】
「4.流動化処理の試験結果
流動化処理の試験結果を図-2に示す.流動化処理工法の詳細については既存資料^(4))を参照いただくこととして省略するが,ここでは,添加材としてセメント系固化材と普通ポルトランドセメントの2種類を用い,フロー値を160mm以上,ブリージング率1%以下,材齢28日で一軸圧縮強度400kN/m^(2)を目標として,水と添加量を調整した.
添加量は,脱水ケーキの1m^(3)当たりの量(飽和状態)で示しているが,目標とした強度を得るためには,セメント系固化材,普通ポルトランドセメントとも脱水ケーキの単位体積当たり約200kg/m^(3)が必要であった.大中ら^(5))が指摘しているように,少ない添加量で必要な強度を得るためには,砂分を添加する等の工夫が必要となると思われる.」、
[1d]【543頁10?17行】
「5.両者の比較
(中略)
目標強度をqu,_(28)=400kN/m^(2)とした場合は,今回の実験の範囲では,…流動化処理工法の場合は180?200kg/m^(3)の添加量が必要となる.こられの場合について,それぞれの処理土における,脱水ケーキ,固化材,加えた水の量の体積比を図-3,図-4に示す(目標強度qu,_(28)=400kN/m^(2)の場合).」、
[1e]【543頁】


[lf]【543頁21?26行】
「6.まとめ
本報文をまとめると以下のとおりである.
1)脱水ケーキは,固化処理,流動化処理の材料としては十分に有効利用できる.
2)流動化処理土は充てん性が優れているという大きな特徴があり,固化処理土と一概に比較することはできないが,脱水ケーキの有効利用量を増やそうとすれば,固化処理土が有利となり,処理土の体積を増やそうとすれば流動化処理土が有利となる.」。

(2)甲第2号証
[2a]【2頁左欄26?28行】
「本発明は、建設現場で発生する残土を、埋戻材として再利用するための再生処理を行う残土流動化処理方法および設備に関する。」、
[2b]【0001】
「【従来の技術】近年、掘削工事を行う建設現場で発生する残土を再利用する技術が開発されている。代表的なものとしては、撹拌装置を有する混練機に残土を投入し、残土を撹拌装置で解泥処理した後にセメント等の固化材を混合して混練処理を行う残土の流動化処理設備が知られている。」、
[2c]【0004】
「また、建設現場で発生する残土の性質は一定でなく、さらに残土の解泥状況を確認することなくセメント等を混練して流動化土を生成していたため、先に生成された流動化土と次に生成された流動化土に品質のばらつきが生じたり、解泥処理が不十分な部分を残したまま流動化土が形成されることが問題となっていた。そのため、より安定した品質の流動化土を提供できる残土流動化処理方法および設備が切望されていた。」、
[2d]【0006】
「本発明は、上記事情に鑑み、大規模な建設現場において、残土をシステマチックかつ大量に連続して処理可能であり、より均質で安定した高品質の流動化土を生成可能な残土流動化処理方法及び残土流動化処理設備を提供することを目的とする。」、
[2e]【0011】
「本発明による残土流動化処理方法では、建設現場で発生した残土を水と撹拌混合して調整泥土を生成した後、この調整泥土を蓄積しながら撹拌することにより調整泥土を均質化する。残土が調整泥土に加工された段階で均質化を行うので、最終的に生成され流動化土のばらつきをなくし、品質の安定化を図るものである。この均質化された調整泥土を、蓄積しつつ順次他の場所へ移送して固化材を加えて混練し、流動化土を生成するので、連続した残土流動化処理ができる。」、
[2f]【0012】
「また、本発明による残土流動化処理設備では、建設現場で発生した残土は、解泥処理設備内の解泥機に投入される。この解泥機は、残土を給水装置より供給される水と撹拌混合することにより、調整泥土を生成する。生成された調整泥土は、解泥処理設備から混練処理設備に移送される過程において、いったん調整泥土槽に蓄積される。この調整泥土槽内では、先に生成された調整泥土と後に生成された調整泥土が撹拌混合されることによって均質化される。混練処理設備では、以上の処理で均質化された調整泥土に、セメント等の固化材や水を加えて混練機内で撹拌混合を行い、流動化土を生成する。」、
[2g]【0013】
「…流動化土生成のための水の供給にあたっては、移送手段に設けた比重計による計測値を参考にすることで、生成される流動化土の品質の安定化を図るための適切な給水量を決定することができる。」、
[2h]【0014】
「…(建設現場)本発明における残土流動化処理設備は、立坑の掘削やシールド掘進など掘削によって残土が発生する現場一般に適用が可能である。特に発生する残土の質が一定でない建設現場や軟弱な残土が発生する建設現場において有効である。…」、
[2i]【0015】
「解泥機内に投入された残土は、解泥用撹拌装置で撹拌を行った後、解泥用給水装置により水が加えられ、更に解泥用撹拌装置によって撹拌が加えられることでペースト状に加工される。このペースト状に加工された残土にさらに撹拌と給水を行うことで調整泥土が生成される。…
(調整泥土槽)調整泥土槽は調整泥土の均質化を行うための装置であり、本体部分である大型容器の内部に、泥土を撹拌混合する撹拌手段を設置した構造を有する。解泥処理設備で生成された調整泥土は、混練処理が行われる前に本体に順次蓄積され、撹拌手段によって先に供給された調整泥土と後に供給された調整泥土が撹拌混合されることによって均質化される。流動化土の品質のばらつきをなくすためには、残土が調整泥土に加工された段階で均質化することが有効であるため、本発明では、この装置によって調整泥土の均質化を行うものである。」、
[2j]【0017】
「…(混練処理設備)本発明における混練処理設備は、移送手段より供給される調整泥土に、固化材を加えて混練し、流動化土を生成する装置である。この混練処理設備には混練用撹拌梓装置を備えた混練機と、混練用給水装置と、セメント等の固化材を供給する固化材供給装置を有している…。…混練用給水装置による給水量を決定するにあたっては、前記比重計の計測値を参考にしてもよい。さらに、固化材供給装置は調整泥土の品質や要求される流動化土の品質に応じて切り替えられるように複数形成してもよい。使用する固化材としては、セメント及びセメント系の固化材が好適である。…」、
[2k]【0020】
「…建設現場より排出された残土5は、図2に示すようにベルトコンベア7によって解泥処理設備2に送出され、解泥処理設備2において解泥処理されて調整泥土に加工される。この調整泥土は、移送手段3によって図3に示す混練処理設備4に送り出され、セメント等と混練されて流動化土に加工される。…」、
[2l]【0022】
「建設現場で発生した残土5はベルトスケール6によって適当な量に計量された後、ベルトコンベア7aによって移送され、解泥機9内に投入される。解泥機9内では、まず残土5の塊状の部分をほぐすために解泥用撹拌装置13による撹拌が行われる。次に給水装置12によって供給された水と残土5が解泥用撹拌装置13によって再度撹拌し、ペースト状になるまで練り合わされる。…ペースト状になった残土5はさらに水と混ぜ合わされて調整泥土17に加工される。この調整泥土17は、解泥機9からシュート15を介して振動スクリーン10に送出され、振動スクリーン10の動作によって、調整泥土17内に含まれる一定のサイズ以上の礫分16が除去される。本実施の形態における解泥処理設備2は、このように調整泥土17の生成後に振動スクリーン10による礫分16の除去を行っているので、礫分の除去後に調整泥土を生成していた従来の解泥処理設備に比べて効率的に解泥処理を行うことができる。…」、
[2m]【0025】
「…送出された調整泥土17は混練機23内においてセメント供給装置24から供給される固化材及び混練用給水装置25から供給される水と混合され、混練用撹拌装置28によって撹拌されて、流動化土29に加工される。本実施の形態では固化材としてセメントが使用されている。また、本実施の形態においては、混練用給水装置25の最適な給水量を、先に移送手段3の比重計20で計測された調整泥土17の密度の計測値が参考にした上で決定している。したがって、供給される調整泥土17の密度に関係なく、生成される流動化土29の品質を均質化することができる。」。

(3)甲第3号証
[3a]【0001】
「本発明は、建設現場において発生した残土に、水または泥水と、固化材とを混合して流動化し、施工後の埋め戻し、構造物への裏込め、空洞部への充填などに供する調泥式流動化処理土(以下、流動化処理土という)の製造方法およびその装置に関するものである。」、
[3b]【0003】
「流動化処理土は、現場で発生した残土または他の現場などから搬入された残土(以下、被処理土という)と、水または、粘土、シルトなどを所定の比率で調整した泥水(以下、調整泥水という)と、セメントなどの固化材とを混練して製造する。」、
[3c]【0005】
「また、本来、被処理土には建設現場で発生した土のみを使用することが望ましいが、他の現場などから搬入された土を使用せざるを得ない場合がある。そのため、性質の異なる土を使用することとなり、所定の地山強度を得るためにも、製造の際には特に被処理土、調整泥水、固化材の成分、重量比などの細かい調整が必要となる。」、
[3d]【0008】
「本発明による流動化処理土の製造方法は、被処理土と、水または調整泥水とを混合する第一の混練工程と、得られた混合物からガラ、礫などの過大な異物を除去するふるい分け工程と、ふるい分け工程を経た混合物にセメントなどの固化材を添加し、さらに水または調整泥水を追加して混合する第二の混練工程とを具える。」、
[3e]【0011】
「本発明において、混練工程を二段階とし、その中間にふるい分け工程を設けることとしたのは、前述したようにふるい分けの際にガラなどに付着した土、および土塊が同時に除去されてしまうのを防ぐため、まず被処理土に、水または泥水を添加して混練し、流動化させた上でガラ、礫などの過大な異物のみを除去するためである。」、
[3f]【0019】
「まず被処理土の粒度試験を行い、被処理土が細粒土(粘土、シルト分を40?60%以上含む土)であるか、あるいは砂質土(粘土、シルト分が 40%以下の土)であるかを調べる。その結果細粒土と判断された場合は水および、必要に応じて調整泥水を添加し、一方砂質土の場合は調整泥水を添加することとする。その後配合試験を行い、所望の性質を有する処理土を得るための、被処理土、水または調整泥水、および固化材の混合比を決定する。」、
[3g]【0020】
「次に第一の混練槽1にバケットエレベータ2より被処理土を投入し、被処理度の重量を混練槽に設けたロードセル10により計量した後、泥水タンク6および水タンク7より調整泥水および水を注入する。なお、調整泥水および水の量は、予め配合試験により決定した量の約4?8割程度とする。その後被処理土、調整泥水および水を混練する。混練終了後、得られた混合物を振動ふるい3に送り、ガラ、礫などの過大な異物を除去した後、第二の混練槽4へ投入する。投入後、第この混練槽4に設けたロードセル10により再度重量を計量し、得られた重量の値から必要とされる泥水量を求め、この値と第一の混練槽1で添加した泥水量との差を求め、これに基づいて調整泥水または水を追加する。その後所定量の固化材をセメントサイロ5から供給し、混練を行う。…」、
[3h]【0026】
「次に、流動化処理土製造における配合の一例を以下の表に示す。…表3および4は前記の調整泥水を用いた流動化処理土製造時の配合量をそれぞれ示す。」、
[3i]【0029】


[3j]【0030】

[3k]【図2】


(4)甲第4号証
[4a]【0001】
「本発明は流動性埋め戻し材及びその製造方法に関し、とくに地盤に掘削した穴の埋め戻しに用いる流動性埋め戻し材及びその製造方法に関する。」、
[4b]【0006】
「…本発明者は、セメント含有汚泥やベントナイト含有泥水の成分が流動性埋め戻し材の成分と共通することに着目した。これらの汚泥や泥水が流動性埋め戻し材として再利用できれば、産業廃棄物の減量化を図ると共に埋め戻しコストの削減も期待できる。」、
[4c]【0008】
「…本発明者の実験によれば、従来のベントナイト含有泥水を脱水後に単独で埋め戻し材とすると、固化時に埋め戻し材として必要な強度(材齢28日目の圧縮強度σ28=1.3?5.6kgf/cm^(2))が得られず、また吸水膨張して不都合を生じることがある。他方、従来のセメント含有汚泥を単独で埋め戻し材とすると、固化時に固くなり過ぎ(σ28=10?30kgf/cm^(2))、掘り起こしが困難になる。本発明者は、ベントナイト含有泥水に適当量のセメント含有材(セメント含有汚泥を含む。以下同じ。)を加えることにより、埋め戻し材として必要な前記強度が得られるとの知見を得、本発明の完成に至ったものである。」、
[4d]【0009】
「…セメント含有材の一例は、地盤改良工事で発生するセメント含有汚泥を乾燥させて粉砕した固化材である。またベントナイト含有泥水の一例は、地中孔掘削工事等の土工事で発生したベントナイト含有廃棄泥水である。…」、
[4e]【0012】
「…流動性埋め戻し材として好ましいテーブルフローの基準値は120?300mm、更に好ましくは180?300mmであり、泥水Aを増加することによりフロー値を基準値内とすることができる。」、
[4f]【0013】
「圧縮強度は、泥水Aに対する汚泥Sの添加量を調節することにより、埋め戻し材に必要な圧縮強度σ28=1.3?5.6kgf/cm^(2)が得られることを実験的に確認できた。また圧縮強度は、泥水Aに対して汚泥Sと共に比較的少量のセメントCを加えることにより硬化時の強度を調整することができる。なお強度調整のために加えるセメントCの量は、従来の流動性埋め戻し材で使用したセメント量に比し、極めて少量で足りる。」、
[4g]【0014】
「…本発明の流動性埋め戻し材はブリージング量を零とすることが可能である。…」、
[4h]【0016】
「【実施例】図1は、本発明の流動性埋め戻し材の製造方法の流れ図の一例を示す。ステップ101において地盤改良工事等の土工事から廃棄されるセメント含有汚泥を回収し、ステップ102でセメント含有汚泥を自然乾燥又は強制脱水等の方法で固化させ、ステップ103で粉砕機により粒状に粉砕してセメント含有固化材とする。この粒状固化材は運搬が容易である。ステップ104において地中孔掘削工事等の土工事から廃棄される所定比重のベントナイト含有廃棄泥水を回収し、ステップ106?107においてベントナイト含有廃棄泥水にセメント含有固化材を加えて流動性埋め戻し材を調製する。ステップ106?107の調製作業は、例えば埋め戻し作業現場で行うことができる。ベントナイト含有廃棄泥水に添加するセメント含有固化材の量は、粒状固化材に水を加えたものの比重及び含水量と泥水の所定比重とに基づき、表1に示すように実験的に定めることができる。また必要に応じて、セメントを加えることができる(ステップ105)。」。
[4i]【図1】



(5)甲第5号証
[5a]【0007】
「本発明は上記の事情に鑑みてなされたもので、現場作業性の向上に貢献する経済的な改良土を用いた流動化処理土による堀削溝の埋戻し方法を提供することを目的とする。」、
[5b]【0008】
「【課題を解決するための手段】上記目的を達成するために本発明の堀削溝の埋戻し方法は、堀削土を解砕・混合し粒径調整された所定の土質性状を有する改良土を用い、この改良土に水と固化材を所定の配合量で混練して流動化処理土を作製し、この流動化処理土を用いて堀削溝を埋戻すことを特徴とする。」
[5c]【0013】
「すなわち、改良土13としては、土粒子の密度2.615?2.720g/cm^(3)、自然含水比25.4?30.6%、礫分19.0?45.2%、砂分29.3?44.3%、細粒分23.5?41.4%のものを用いることができる。」、
[5d]【0015】
「すなわち、流動化処理土12の配合量を、改良土1100kg/m^(3)、水380.9?432.4kg/m^(3)、固化材160kg/m^(3)とすることができる。また流動化処理土12の標準配合量を、改良土1100kg/m^(3)、水400kg/m^(3)、固化材160kg/m^(3)とすることができる。」、
[5e]【0023】
「次のような効果を得ることができる。
(1)含水比・粒径調整のされた改良土を流動化処理土の原料に用いることによって、改良土の標準的な配合が確立され埋戻し現場毎の配合試験を削除できる。」、
[5f]【0024】
「(2)流動化処理土の原料に改良土を用いることから、堀削土の土質性状毎の保管場所の確保は不要となる。…」、
[5g]

[5h]



(6)甲第6号証
[6a]【660頁1?8行】
「1.まえがき
帝都高速度交通営団では,建設工事に伴う残土の発生を抑制する対策の一つとして,シールド工事発生土を再利用するように努めている。…泥水式シールド工法では,余剰泥水に含まれているシルト・粘土分はフィルタープレスなどで脱水処理されたのち場外に搬出されている。
そこで,この余剰泥水を固化処理したもの(以下,泥水処理土という)を埋戻し材として利用できないか検討を進めてきた。…」、
[6b]【660頁13行?661頁4行】
「2.泥水および泥水処理土の性状
(1)泥水の性状
泥水処理土の元となる泥水としては,余剰泥水を分級・濃縮し,比重を1.4程度とした濃縮泥水を用いた。その理由は次のとおりである。
(マル1)濃縮することにより発生量を減少できるうえ,薄められた泥水を切羽への送泥水として再利用できる。
(マル2)泥水処理土の強度を同じにする場合,濃縮した方が固化材の添加量を少なくできる。
(マル3)泥水比重の増加とともに流動性が低下するため,濃すぎると圧送性や充填性が悪くなる恐れがある。…
余剰泥水および濃縮泥水の性状の一例を表-1に示す。
(2)泥水処理土の性状
固化材としては高炉セメントB種を用いた。泥水比重1.40の場合,固化材の添加量と泥水処理土の一軸圧縮強さの関係は室内試験の結果,図-1のようになった。目標強度の設定にあたっては,将来の掘削性を考慮した。類似の研究結果^(2))にある「…」を参考に材令28日における一軸圧縮強さの目標値を3kgf/cm^(2)とした。この目標強度に対応する固化材添加量は図-1より55kg/m^(3)となる。
比重1.40の泥水に高炉セメントを55kg/m^(3)が添加して作成した泥水処理土の試験結果を,表-2に示す。…」、
[6c]【660頁】

[6d]【661頁】

[6e]【661頁10?13行】
「3.埋戻し試験施工の概要
駅部において埋戻しの試験施工を実施した。施工の流れ(泥水の濃縮?固化材との混練?圧送から打設)に沿った使用機器の配置を図-2に,…示す。」、
[6f]【661頁】


(7)甲第7号証
[7a]【117頁左欄23?26行】
「本工法は,地下鉄工事の駅間トンネルの築造に際し,シールドから発生する余剰泥水に固化材を添加し,粘液状態のまま流体輸送して,基地として使用している後方の開削駅部の理戻しを施工するものである.」、
[7b]【119頁左欄19行?右欄8行】
「a)泥水と固化材の混練について
ミキサーによる撹拌とエアブローによる撹拌を比較したが,比重,フロー値,一軸圧縮強度等の結果からエアーによる撹拌に不十分のところが見られ,エアー量,ブロー時間,エアーノズル等の改善が必要である.
b)一軸圧縮強度及びCBR試験について
試験の結果を図示すると…撹拌の良い方,また固化材の量の多い方が一軸圧縮強度およびCBR値が大きくなっている.」、
[7c]【120頁右欄1?9行】
「5. 比重管理余剰泥水利用による実験および試験施工
(1)実験概要
4.で行った現場発生の自然余剰泥水に固化材を添加し,直接固化した実験結果から,効果的な物性管理と混練方法の確立が実施に当って重要であると判断されたことから,二次サイクロンによって一定の泥水比重に濃縮した濃縮余剰泥水を用いた場合の処理土の性状を測定,把握することとした.」、
[7d]【124頁左欄6?16行】
「b)試験施工と結果
(マル1)施工設備と管理
試験施工と機械設備は地下鉄7号線工事の泥水シールド基地として使用している駅トンネル構内(開削工法でシールド工事に先行して築造)に実施工でそのまま使用できるよう設置した.
すなわち,シールド掘進により発生する自然余剰泥水を二次サイクロンにより所定の比重に濃縮し,濃縮泥水槽に一次貯留後,スラリーポンプによりフロージェットミキサーに投入し,固化材と連続混練することにより処理泥水を作製した.」、
[7e]【125頁左上】



(8)甲第8号証
[8a]【1245頁1?9行】
「1.研究目的 近年、建設発生土の抑制や再利用の観点から流動化処理工法^(1)2))が注目されている。流動化処理工法は、高含水比で取り扱いづらい発生土に対しても有効な工法である。現在、福岡市では、地下鉄工事をはじめとする地下掘削工事が盛んに行われており、建設発生土の処分については十分な有効利用法を検討する必要があると思われる。…そこで本研究では、福岡市内より発生する建設発生土を、粒度調整して処理した脱水ケーキと筑紫野まさ土を用い、特に、流動化処理土の材料特性に大きな影響を及ぼす砂分含有量に着目し、実験的な検討を行った。」、
[8b]【1245頁10?16行】
「2.実験概要 実験に用いた土質材料は、脱水ケーキと2mmふるい通過した筑紫野まさ土である。今回使用した脱水ケーキは、福岡市内にある建設発生土リサイクルセンターにおいて、建設系無機汚泥を再利用する為の粒度調整過程において生じるものである。…供試体は、セメント系固化材添加量を80、100kg/m^(3)の2種類、目標フロー値を200、250、300mmに設定した。」、
[8c]【1245頁】

[8d]【1245頁】

[8e]【1245頁】

[8f]【1245頁23行?1246頁10行】
「3.1 脱水ケーキを用いた処理土の基本特性 …図-3にフロー値とブリーディング率の関係を示す。…固化材添加量の増加に伴い、ブリーディングを抑制することができることもこの図より明らかである。関東ローム土を使用した場合においても、ブリーディングの抑制は固化材添加量に大きく依存することが明らかになっているが、シルト分を90%含む脱水ケーキにおいても同様な結果が得られた。しかし、フロー値300mmにおいて約1.20%以下と小さく、処理土としては十分な材料であることが分かる。…図-5に養生日数と一軸圧縮強さの関係を示す。養生日数が経過するにつれ、一軸圧縮強さは上昇している。…また、脱水ケーキを用いた処理土は、図中に示した東京都の品質基準を十分に満足している処理土であることも分かる。以上のことより、脱水ケーキを処理土の材料としての使用するには十分な材料であることが確認された。」、
[8g]【1246頁38?43行】
「4.結論及び今後の課題 (1)脱水ケーキを用いた流動化処理士は、固化材添加量の増加及び養生日数の経過に伴い一軸圧縮強さは増加する。(2)固化材添加量の増加により、ブリーディングを抑制することができる。(3)脱水ケーキを用いた流動化処理土は、十分な強度を有し、土質材料として流動化処理土における再生利用を図ることができることが明らかになった。(4)処理土の砂分含有量の増加とともに、処理土比重とブリーディング率が増加し、材料分離が大きくなった。…」。

(9)甲第9号証
[9a]【0001】
「【産業上の利用分野】本発明は建設残土の土質改良法に関し、建設残土の再利用のための建設残土の土質改良法に関する。」、
[9b]【0015】
「【実施例10】高い含水率の建設残土を脱水処理して所望の含水率まで下降させて改良土にすることにより、施工現場での盛土工その他の原料にするようにしてなる建設残土の再利用のための建設残土の土質改良法である。」、
[9c]【0017】
「【実施例12】水の重力によって自然に土砂の間を落下して脱水する方法、或いはロールプレス、フィルタプレス或いは遠心分離機などの機械によって脱水する方法により土砂特に泥水状態の建設残土から脱水を行ない所望の含水率まで下降させて改良土を得るようにしてなる建設残土の再利用のための建設残土の土質改良法である。」、
[9d]【0020】
「【実施例15】改良土或いは所望の性質、成分を充足する土を原料にして水とともに混合機中に注ぎ込み、次に混合機から原料と水の混合体をホッパーに送り込み、それとともに固化材を送り込み、原料と水の混合体と固化材に所望量の水を加えて流動性を高めて撹拌と混合を行ない、それに適量の起泡剤を混入させて均一に分布させグラウトポンプなどの圧送ポンプにより構造物の基礎或いはその他の必要部分に給送することにより構造物の基礎などの安定を確保しうるようにしてなる建設残土の再利用のための建設残土の土質改良法である。」。

(10)甲第10号証
[10a]【0001】
「【産業上の利用分野】この発明は、建設汚泥と称する水分を多量に含み粒子の微細な泥状の産業廃棄物を、例えば、一般土木建築材料等に使用できる粒状材料とする産業廃棄物を主原料にした粒状材料の製造方法に関するものである。」、
[10b]【0010】
「…この発明は、上述した問題点等に鑑み、建設汚泥のと称する水分を多量に含み粒子の微細な泥状の産業廃棄物を、使用用途がかなり広く、且つ、取扱いも極めて容易な粒状材料とする産業廃棄物を主原料にした粒状材料の製造方法の提供を課題として創出されものである。」、
[l0c]【0021】
「…建設汚泥と称する水分を多量に含み粒子の微細な泥状の産業廃棄物を、所定の含水率となっている場合はそのままの状態で、又、含水率が大きすぎる場合には脱水して所定の含水率に設定し、又、含水率が小さい場合には所定の含水率とすべく適量の水を投入して所定の含水率に設定する。この作業は、前記混練装置の混練槽内で行っても良く、又、特に、脱水の場合には、別途配した脱水装置によって行っても良い。」、
[l0d]【0022】
「ここで、建設汚泥とは、地下鉄工事等で排出される含水率が高い粒子の微細な泥状物をいうものであり、運搬途上ゆり返しによって流動化するものも建設汚泥と称するものである。…」、
[l0e]【0023】
「この泥状の建設汚泥に、適量のセメント等の固化材をバインダーとして投入し加えて混練し、…」、
[10f]【0028】
「…具体的な最適条件は、泥状の産業廃棄物の含水率は35?55%とし、…」。

(11)甲第11号証
[1la]【0001】
「【発明の属する技術分野】この発明は、処理が困難な汚泥を容易に固化することができる汚泥の固化処理方法に関する。」、
[11b]【0002】
「【従来の技術】浄水場や排水処理場等から発生する沈殿汚泥や、ダム湖に堆積する堆積汚泥、製紙工場から発生するパルプ廃液を含む有機性汚泥、港湾の浚渫工事によって発生するヘドロ等(以下、単に汚泥という)は、水分を多量に含む流動体であるため、取扱いが極めて厄介である。」、
[11c]【0004】
「…なお、汚泥は、一般に、含有する有機物によってセメントの水和反応が阻害されるため、セメントのみによって固化することは困難である。」、
[11d]【0006】
「【課題を解決するための手段】かかる目的を達成するためのこの発明の構成は、汚泥にセメント、石膏を混合することをその要旨とする。」、
[1le]【0007】
「なお、セメント、石膏を混合する前に汚泥を水分調整してもよい。」、
[11f]【0008】
「また、セメント、石膏とともに水を加えてもよい。」、
[11g]【0011】
「セメント、石膏は、汚泥に対して使用量を適切に定めるべきである。汚泥1m^(3)に対してセメント、石膏を合わせた全体重量を約300kg程度に設定し、石膏の重量比を約10?50%に設定することにより、固形物の強度を十分に大きくすることができ、セメント、石膏を合わせた全体重量に対して水の重量比を約150%に設定することにより、コンシステンシやスランプを大きくして良好なワーカビリティを得ることができる。なお、セメントは、ポルトランドセメントの他、高炉セメント、シリカセメント、フライアッシュセメントなどの混合セメント、アルミナセメント、超速硬セメントなどの特殊セメント等を使用することができる。また、石膏は、天然石膏、化学石膏の他、火力発電所の脱硫工程において発生する排煙脱硫石膏や、建築用の石膏ボード廃材等を使用することができる。」、
[11h]【0012】
「汚泥は、水分調整することにより取扱い性を向上させることができる。なお、汚泥は、天日乾燥する他、消石灰を投入し、またはフィルタプレスを使用して機械的に水分を除去することにより、含水率を25?50%程度に水分調整するのがよい。」、
[11i]【0013】
「セメント、石膏とともに水を加えることにより、全体のスランプを任意に調整することができ、汚泥の含水量に拘らず、最適なワーカビリティを実現することができる。」、
[11j]【0017】
「汚泥の固化処理方法の処理手順は、図1に示すとおりである。」、
[11k]【0018】
「すなわち、天日乾燥ヤードにおいて汚泥を天日乾燥し、適切に水分調整する。水分調整した汚泥は、必要に応じて粉砕し、セメント、石膏とともに、汚泥の含水率に応じて適量の水を加えて混練し、適当な型枠に投入して固化することにより、任意の形状の固形物として処理することができる。」、
[11l]【0024】
「なお、このようにして固化処理した汚泥は、圧縮強度Fが十分に大きいから、粉砕処理して埋戻材や路盤材等として使用することができ、また、型枠に投入して適切に成形し、そのまま各種の二次製品として使用することができる。また、汚泥は、セメント、石膏とともに施工現場において混練し、そのまま舗装材、埋戻材、充填材等として利用してもよい。」。
[11m]【図1】


(12)甲第12号証
[12a]【0001】
「【発明の属する技術分野】本発明は、建設残土を有効に利用する工法に関し、特に建設工事により発生する土砂有効に利用する工法に関する。」、
[12b]【0007】
「…本発明の建設残土有効利用工法は、建設工事における土砂をミキサー車に積み込み、そのミキサー車で土砂と固化材とを混合した後または混合しながら、土砂と固化材とスラリー状の混合物をミキサー車により打設現場に運搬し、その混合物を打設することを含む。」、
[12c]【0012】
「固化材は、少なくとも水とセメントとを含むセメントペーストとすることができる。…」、
[12d]【0013】
「セメントペーストは、土砂をミキサー車に積み込む前にミキサー車により作成してもよいし、土砂をミキサー車に積み込む機械の設置箇所の近傍にまたはその設置箇所から離れた箇所に設置されたミキサーにより作成してもよい。…」。

(13)甲第13号証
[13a]【0001】
「【産業上の利用分野】この発明は、建築の掘削工事又はトンネル工事等で発生する建設残土、あるいは浚渫土砂、廃ベントナイト泥水、リバース工法等において発生する廃泥水その他の建設廃棄物土(以下、建設残土と総称する。)の処分と有効利用のため実施される、建設残土の有効利用方法に関する。」、
[13b]【0009】
「…図1は、まず原材料の調整工程として、建設残土にたっぷりと水を加えて含まれている粘性土の溶解選別を行ない、選別した粘性土は混練槽に移して混練処理を行なう。粘性土スラリーは良く混練した後に混合槽へ移す。混合槽では、別途アジテータ(攪拌機)においてセメント系安定剤と水とを調合し十分に撹拌したもの、及び添加剤をスラリ-に加えて混合処理を行なう。…」。

(14)甲第14号証
39頁には、一軸圧縮強さを7日、28日後に測定することが記載されている。
また、「フロー値」の試験方法として、「セメントの物理試験方法(JIS R 5201-1981)」が34?35頁に記載され、「エアモルタル及びエアミルクの試験法」1.2シリンダー法(JHS A 313-1992)が35?36頁に記載され、両者が正比例の関係が36頁図2.5に記載されている。
そして、泥水比重と、流動化処理土の一軸圧縮強度、フロー値、ブリージング率との関係が、79頁図4.4?図4.6に記載されている。
さらに、79頁図4.4?図4.6に、固化材添加量を60kg/m^(3)、80kg/m^(3)、90kg/m^(3)と、変化させたことが記載されている。
80頁(1)試験フロー(a)の場合、発生土と水の配合を算出したことが記載され、80?81頁試験フロー(b)の場合、発生土重量と調整泥水添加量とセメント量の配合を算出したことが記載されている。

(15)甲第15号証
32?34頁の表-2.5などに、土質別の固化材の添加・混合割合と改良土の特性(含水比、湿潤密度、一軸圧縮強さなど)との関係が記載されている。

(16)甲第16号証
409頁図-4には、流動化処理土の固化強度は、セメント量の他に細粒分含有率Fc(シルト、粘土の細粒土の含有率)に影響されることが記載されている。

(17)甲第17号証
平成20年10月報告の「特許第3839642号『流動化処理土の製造方法』によるの流動化処理土の性能確認試験」であり次の事項が記載されているる。
[17a]【4頁9?15行】
「2-2 試験供試体;
材料A 関東ローム層。
東京都滝野川…の建設現場でのアースドリル工事施工時の掘削
残土である。…
材料B 沖積シルト層
川崎市川崎区日進町…の現場で採集された建設残土…」
[17b]【6頁2?5行】
「3-1 材料A(関東ローム層) (表-3.1参照)
試験番号1a?6bまので(当審注:「までの」の誤記)供試体製造のために試料用泥水が予め所要の含水率になるように製造され貯蔵され、7月22日に含水率調整された泥水に水と固化材が適宜添加され、流動化処理土が製造された。」
[17c]【7頁1?4行】
「3-2 材料B(沖積シルト層) (表-3.2参照)
試験番号7a?16’aまので(当審注:「までの」の誤記)供試体製造のために試料用泥水が予め所要の含水率になるように製造され貯蔵され、7月15日、8月9日、8月11日に含水率調整された泥水に水と固化材が適宜添加され、流動化処理土が製造された。」
[17d]【7頁19?4行】
「3-3 改良土(材料Bを改良した土層) (表-3.3参照)
代表的な試験結果をまとめたものを表-3.3「流動化処理土の性能確認試験、一覧表(その3、改良土の場合)」にまとめて次頁以下に示す。
[17e]

[17f]

[17g]


(18)甲第18号証
被請求人の実験証明書であり、本件出願後に別途実施され、かつ、本件明細書では明示されていない実験条件A(注:セメント1.0kgを水1.7リットルに溶解する)を加えて実施された実証実験が記載されている。

(19)甲第19号証
34頁に、(質量)含水率={水の質量/(水の質量+土の乾燥質量)}×100(%)である旨の記載がされている。

(20)甲第20号証
本件発明の願書に最初に添付された明細書である。

(21)甲第21号証
本件特許に係る不服2005-24383の審判請求の理由であって、5頁に「建設汚泥から流動化処理土を製造するにあたって、含水率を約55%?約65%に調整した調整汚泥を用い、調整汚泥と水または泥水の割合ならびに調整汚泥と固化材の割合を特定範囲として流動化処理土を製造すると、その他の条件を煩雑に制御することなく、「流動性を持ち、1.0kg/cm^(2)?5.0kg/cm^(2)の一軸圧縮強度を有し、かつ、ブリージング率3%以下、フロー値約160?300mmである」という、埋め戻しや裏込めなどの施工に実際に好適に使用することができる流動化処理土を製造することができるのです。」と記載されている。

(22)甲第22号証
本件特許に係る別件無効2006-80270の被請求人の口頭陳述要領書であって、10頁には、「製品である流動化処理土の完成直前に、一定以上の多量の水または泥水を混合する行為は、材料の分離を引き起こし、製品の均一性を損なう結果となります。」と記載されている。

(23)甲第23号証
本件の別件無効2006-80270の被請求人の上申書であって、「この含水率(含水比と同義)は、乾燥試料質量に対する水分質量を百分率で表したものとして求められる値です。」と記載されている。

第5 無効理由についての判断
1.無効理由1について(未完成発明・特許法第29条第1項柱書き)
(1)本件発明1について
ア.請求人は、甲第14号証ないし甲第16号証等を挙げ、流動化処理土の性状は、その主材となる発生土の土質条件(粗粒土と細粒土の粒度構成、有機物含有量、含水比等)、主材に混練する水や泥水の性状、固化材の成分や分量といった多種多様な要因に支配されており、「発明が完成している」というためには、当業者が明細書及び図面の記載に基づいてこれを反復実施して目的とする技術効果を挙げることができる程度にまで具体的・客観的なものとして構成されていることを必要とするところ、本件明細書には、特許請求の範囲で規定された数値範囲の技術的意義を示す理論上の根拠や具体的な実験データが開示されておらず、本件発明は未完成発明である旨主張する(請求書14?16頁)。

イ.そこで、本件特許に係る明細書(以下「本件明細書」という。)をみると、本件明細書には、「建設汚泥を処理して含水率を約55%?約65%に調整した調整汚泥」について、以下の記載がある。
「【0004】含水率が高く(含水率は約55%以上),粒子が微細で泥状を呈しており,そのままでは再利用することができないため,産業廃棄物として処理されている。」、
「【0013】前記のように含水率を調整した汚泥は細かい粒子(74ミクロン以下)を多く含み,かつ,泥状を呈している(但し,流動性は低い)。」、
「【0014】実施の形態1の流動化処理土は前記調整汚泥に、水及び固化材を所定の割合で混合して得る。具体的には調整汚泥に所定量の水を混合して調合し、これに所定量の固化材(水に溶解したもの、以下同じ)を添加混合し、攪拌して得る。調整汚泥に対する水及び固化材の混合割合は用途等に応じて設定できるものであるが、例えば調整汚泥10に対し、水を約2.5?約3.5程度の範囲、また調整汚泥と水との混合組成物10に対し、固化材(水に溶解した固化材の固形分、以下同じ)を約0.6?約0.8程度の範囲が挙げられる。これにより、流動性を持ち、所要の一軸圧縮強度(例えば1.0kg/cm^(2)?5.0kg/cm^(2))を有し、かつ、ブリージング率:3%以下、フロー値:約160?300mm程度の流動化処理土が製造できる。」、
「【0016】図1に示すように,運搬車2で収集した建設汚泥1は受入槽3に投入されて貯留され,含水率を調整される。この槽3内の調整汚泥を,スクリーン4を通過させて礫などのような粒径の大きい物をスクリーニングし,調合槽5へ導入する。」、
「【0033】本発明によれば建設汚泥を埋戻し等の施工材料として再資源化を可能にしてリサイクル率を向上させることができる。また,建設汚泥をリサイクルすることにより,現在一般に埋戻し等の材料として使用されている土砂等に代替して土砂等の使用量を軽減することができる。
したがって,山林等の土砂採掘(山砂採集等)による環境破壊の防止に貢献することができる。」。
これらの記載によれば、本件発明1は、粒子が微細で泥状を呈しているためにそのままでは使用困難な「建設泥土」を流動化処理土として使用可能にするため、あらかじめ、その含水比を意図的に調整(約55%ないし約65%)して「調整泥土」を製造した上で、これに水を混合し、さらに調整泥土と水の混合組成物に水に溶解した固化材を混合させ、流動性を保ちつつ、所定の一軸圧縮強度、ブリージング率及びフロー値を持った流動化処理土を得るものであるということができ、その技術意義は明らかである。

ウ.そして、発明の実施の形態には、上記のとおり、例えば、調整汚泥10Ltrに対し、水を約2.5?約3.5Ltr程度の範囲、また調整汚泥と水との混合組成物10Ltrに対し、固化材(水に溶解した固化材の固形分)を約0.6?約0.8kg程度の範囲混合するより、流動性を持ち、所要の一軸圧縮強度を有し、かつ、ブリージング率:3%以下、フロー値:約160?300mm程度の流動化処理土が製造できることが示され(段落【0014】)、実施例1には、固化材としてセメントを使用し(段落【0027】)、「調整汚泥830Ltrに対し、水165Ltr及び固化材85kgを混合して流動化処理土を得た。」(段落【0028】)、「上記各実施例により、流動性を持ち、かつ、一軸圧縮強度:約1.5kg/cm^(2)以上、ブリージング率3%以下、フロー値:約160mm以上の流動化処理土が得られた。」(段落【0032】)と記載されている。
実施例1で使用された調整汚泥の含水率は不明であるが、本件発明1の約55%ないし約65%の範囲のものと考えられる。
実施例1で、添加された水及び固化材の量を換算すると、調整汚泥10Ltrに対する水の量は約2.0Ltrで本件発明1で規定する約2.5?約3.5より少なく、逆に調整汚泥と水10Ltrに対する固化材の量は、0.85kgであって、本件発明1で規定する約0.6?約0.8より多くなっており、本件発明1の実施例には相当しない。
しかしながら、本件発明1の数値範囲は、実施例1と大きく異なるものではなく、上記段落【0014】の記載から見て、本件発明1は、実施例と同様の具体的な実験に基づいて、一軸圧縮強度:約1.0kg/cm^(2)以上、ブリージング率3%以下、フロー値:約160mm以上の流動化処理土が得られたものについてその数値範囲を記載したと認められ、発明が完成していないとはいえない。
また、上記段落【0014】の記載からみて、本件発明1は、含水率を約55%?約65%の範囲に調整した調整汚泥10Ltrに対し、水を約2.5?約3.5Ltr程度の範囲、調整汚泥と水との混合組成物10Ltrに対し、水に溶解した固化材を固形分として約0.6?約0.8kg程度の範囲添加すれば、必ず所要の一軸圧縮強度、ブリージング率、フロー値を有する流動化処理土が製造できるとしたものではなく、含水率を約55%?約65%の範囲に調整した調整汚泥に対し、水を混合し、さらに調整泥土と水の混合組成物に水に溶解した固化材を混合させて、所定の一軸圧縮強度、ブリージング率及びフロー値を持った流動化処理土を製造することにあり、このようなものにおいて、本件明細書に具体的に例示されていた範囲である、調整汚泥10Ltrに対し、水を約2.5?約3.5Ltr程度の範囲、調整汚泥と水との混合組成物10Ltrに対し、水に溶解した固化材を固形分として約0.6?約0.8kg程度の範囲添加するものに限定したもの(添加量がこの範囲以外のものを除外したもの)であることは明らかである。
したがって、具体的な実施例がないからといって、発明が完成していないとはいえない。

エ.請求人は、甲第17号証(当審注:請求人委託による本件の性能確認試験)を提示して、本件明細書に開示された技術内容に従って流動化処理土を製造しても、特許請求の範囲で規定された性状の流動化処理土を得ることができないから、本件発明1は、具体性・客観性を欠いた未完成発明であると主張する(請求書15?16頁)。
しかしながら、甲第17号証の表3-1の試験1bには、含水率は56%の建設汚泥10Ltrに対し水2.25Ltr、調整汚泥と水10Ltrに対して水に溶解した固化材0.8kgを添加したところ、一軸圧縮強度:約0.96kg/cm^(2)以上、ブリージング率3%以下、フロー値:約160mm以上の流動化処理土が得られたことが示され、本件発明1に匹敵する流動化処理土が得られることが示されている。
そして、固化材の種類や撹拌手段等により、一軸圧縮強度等は異なることが知られているから、添加する水や固化材の量が、本件発明1の範囲であっても、特許請求の範囲で規定された性状の流動化処理土を得ることができない場合があるからといって、本件発明1が未完成であるとすることはできない。

オ.なお、請求人は、甲第18号証として、被請求人が審査の過程で提出した実験成績証明書を提出し、本件発明の作用効果を示す具体的な実験条件A[セメント1.0kgを水1.7リットルに溶解する](甲第18号証・2頁)は、本件の願書に最初に添付された明細書では明示されていない旨主張する(請求書16頁)。
しかしながら、本件発明1には「水に溶解した固化材(セメント)」と規定されており、固化材を溶解するにあたって固化材の種類等により水をどれくらい用意するかは、当業者が適宜選択できる事項であり、本件明細書に固化材を溶解する水の量が記載されていないからといって、本件発明1が未完成発明であるとまではいえない。

(2)本件発明2について
ア.本件明細書には、上記記載に加えて、本件発明2に関し、さらに次のように記載されている。
「【0017】本発明の他の1つの実施の形態(実施の形態2)の流動化処理土は実施の形態1の水に代え、前記調整汚泥に粘土などの細粒土を含む泥水と固化材とを所定の割合で混合して得る。具体的には調整汚泥に、前記水6に代え、所定量の泥水6A(粘土などの細粒土を含む泥水)を混合して調合し、これに所定量の固化材を添加混合し、攪拌して得る。他の工程は図1と同様である。粘土などの細粒土は固化材の役目を担い、ブリージングを小さくする作用を有している。
【0018】 前記泥水としては、建設工事に伴って発生ないし排出される泥水(建設泥水)を使用することができる。建設泥水は一般的な成分量として、水分:70?95%、粘土(0.005mm以下):5?30%、シルト(0.074?0.005mmの範囲):0?10%、砂(2?0.074mmの範囲):0?5%、礫(2mm以上):0%が例示できる。このように建設泥水は粘土などの細粒土をかなり含んでいる。そこで、この建設泥水を使用することにより、資源の節減及び泥水の再資源化に貢献することができる。」。
これらの記載によれば、本件発明2は、本件発明1を前提とし、さらに、調整汚泥に添加する水に代えて、粘度やシルトを含む建設泥水を使用することにより、泥水を再資源化して有効に利用し資源の節減しようとするものと認められ、技術的意義は明らかである。

イ.そして、発明の実施の形態には、「調整汚泥に対する前記泥水及び固化材の混合割合は実施の形態1と同様に用途等に応じて設定できるものであるが、例えば調整汚泥10に対し、前記泥水を約2.5?約3.5程度の範囲、また、前記両者の混合組成物10に対し、固化材を約0.4?約0.6程度の範囲が挙げられる。」(段落【0019】)と記載され、実施例2には、「調整汚泥770Ltrに対し、泥水230Ltr及び固化材80kgを混合して流動化処理土を得た。」(段落【0029】)、「上記各実施例により、流動性を持ち、かつ、一軸圧縮強度:約1.5kg/cm^(2)以上、ブリージング率3%以下、フロー値:約160mm以上の流動化処理土が得られた。」と記載されている。
実施例2で添加された泥水及び固化材の量を換算すると、調整汚泥10Ltrに対する泥水の量は約3.0Ltrで本件発明2で規定する範囲であるが、調整汚泥と泥水10Ltrに対する固化材の量は、0.8kgであって、本件発明2で規定する約0.4?約0.6より多くなっており、本件発明2の実施例には相当しない。
しかしながら、本件発明2の数値範囲は、実施例2と大きく異なるものではなく、実施例1と比較すると、泥水を用いることにより、水の場合と比較し、少ない固化材の添加で同等の流動化処理土が得られることが示されているのであるから、本件発明2が完成していないとはいえない。

ウ.また、上記「(1)本件発明1について」で検討したとおり、本件発明2で規定する数値範囲であっても特許請求の範囲で規定された性状の流動化処理土を得ることができない場合があるからといって、本件発明2が未完成発明であるとすることはできない。

(3)本件発明3について
ア.本件明細書には、本件発明3に関し、次のように記載されている。
「【0020】本発明の他の1つの実施の形態(実施の形態3)の流動化処理土は建設汚泥を固化した改良土に、水及び固化材を混合して得る。前記改良土は建設汚泥の種類や含水率等に応じた処理を施して製造するものである。具体的には例えば建設汚泥に高分子凝集剤等の凝集剤を添加して凝集し、これを天日乾燥等で乾燥し、或いは遠心脱水機等で脱水して濃縮し、固化材を添加して固化、必要に応じて養生して得られる。この場合において、任意の工程でマッドスクリーン等を通過させ、前記と同様に礫などのオーバーサイズの物を除去する。なお、改良土の製造において、例えば含水率が少なくて硬めの建設汚泥を用いる際には前記した凝集や乾燥、或いは脱水等の工程を省略し、建設汚泥に直接固化材を添加して固化し、改良土とすることもできる。上記のようにして得られた改良土の含水率は、例えば約45%?約55%である。
【0021】実施の形態3の流動化処理土は前記改良土に所定量の水を混合して調合し、これに所定量の固化材を添加混合し、攪拌して得る。改良土に対する水及び固化材の混合割合は用途等に応じて設定できるものであるが、例えば改良土10に対し、水を約4?約6程度の範囲、また、改良土と水との混合組成物10に対し、固化材を約0.6?約0.8程度の範囲が挙げられる。これにより、流動性を持ち、所要の一軸圧縮強度(例えば1.0kg/cm^(2)?5.0kg/cm^(2))を有し、かつ、ブリージング率:3%以下、フロー値約160?300mm程度の流動化処理土が製造される。」。
これらの記載及び、上記段落【0004】、【0006】の記載によれば、本件発明3は、粒子が微細で泥状を呈しているためにそのままでは使用困難な「建設泥土」を使用可能にするため、あらかじめ、建設汚泥の種類や含水率等に応じて固化材を添加し固化させて、含水率が約45%?約55%程度の「改良土」を製造した上で、礫などを除去し、これに水を混合し、さらに改良土と水の混合組成物に水に溶解した固化材を混合させ、流動性を保ちつつ、所定の一軸圧縮強度、ブリージング率及びフロー値を持った流動化処理土を得るものであるということができ、その技術意義は明らかである。

イ.そして、発明の実施の形態には、上記のとおり、例えば、改良土10に対し、水を約4?約6程度の範囲、また、改良土と水との混合組成物10に対し、固化材を約0.6?約0.8程度の範囲混合するより、流動性を持ち、所要の一軸圧縮強度を有し、かつ、ブリージング率:3%以下、フロー値:約160?300mm程度の流動化処理土が製造できることが記載され(段落【0020】)、実施例3には、固化材としてセメントを使用し(段落【0027】)、「改良土740Ltrに対し、水260Ltr及び固化材85kgを混合して流動化処理土を得た。」(段落【0030】)、「上記各実施例により、流動性を持ち、かつ、一軸圧縮強度:約1.5kg/cm^(2)以上、ブリージング率3%以下、フロー値:約160mm以上の流動化処理土が得られた。」(段落【0032】)と記載されている。
実施例3で使用された改良土に添加した固化材の量は不明であるが、上記段落【0020】の記載からみて、固化後の改良土の含水率が約45%?約55%程度となるように添加されたものと考えられる。
実施例3で添加された水及び固化材の量を換算すると、改良土10Ltrに対する水の量は約3.5Ltrで本件発明1で規定する約4?約6より少なく、逆に改良土と水10Ltrに対する固化材の量は、0.85kgであって、本件発明1で規定する約0.6?約0.8より多くなっており、本件発明3の実施例には相当しない。
しかしながら、本件発明3の数値範囲は、実施例3と大きく異なるものではなく、上記段落【0020】の記載から見て、本件発明3は、実施例と同様の具体的な実験に基づいて、一軸圧縮強度:約1.0kg/cm^(2)以上、ブリージング率3%以下、フロー値:約160mm以上の流動化処理土が得られたものについてその数値範囲を記載したと認められ、発明が完成していないとはいえない。
また、上記段落【0020】の記載からみて、本件発明3は、固化材を添加して含水率を約55%?約65%の範囲に調整した改良土10Ltrに対し、水を約2.5?約3.5Ltr程度の範囲、調整汚泥と水との混合組成物10Ltrに対し、水に溶解した固化材を固形分として約0.6?約0.8kg程度の範囲添加すれば、必ず所要の一軸圧縮強度、ブリージング率、フロー値を有する流動化処理土が製造できるとしたものではなく、固化材を添加して固化させた改良土に対し、水を混合し、さらに改良土と水の混合組成物に水に溶解した固化材を混合させて、所定の一軸圧縮強度、ブリージング率及びフロー値を持った流動化処理土を製造することにあり、このようなものにおいて、改良土に添加する水の割合、改良土と水の混合組成物に混合する固化材の割合を、本件明細書に具体的に例示されていた範囲に限定したもの(添加量がこの範囲以外のものを除外したもの)であることは明らかである。
したがって、具体的な実施例がないからといって、本件発明3が未完成発明であるとまではいえない。

ウ.請求人は、本件発明3が完成しているというためには、例えば、粒度構成が異なる条件の建設汚泥やフミン酸が含まれる場合など水和反応が阻害されるような条件の建設汚泥に対しても、本件発明3を適用できることを示す理論上ないし実験上の根拠を明細書に記載する必要があるが、本件明細書には何ら記載されていないから、客観性、具体性を欠いている、また、甲第17号証の試験によると、改良土から本件処理土が得られないことが確認され、反復可能性が存在していないことは明らかであるから、本件発明3は、客観性、具体性を欠いた未完成発明であると主張する(請求書19?20頁)。
しかし、甲第17号証の表3-3に示される試験14、16,13’には、固化材を添加した含水率46%又は54%の改良土10Ltrに対し水4又は6Ltr、改良土と水10Ltrに対して固化材0.6又は0.8kgを添加したところ、一軸圧縮強度が約1.0kg/cm^(2)?5.0kg/cm^(2)の範囲、ブリージング率が3%以下、フロー値が約160mm?300mm以上の流動化処理土が得られたことが示されている。
また、添加する水や固化材の量が、本件発明1の範囲であっても、特許請求の範囲で規定された性状の流動化処理土を得ることができない場合があるからといって、本件発明3が未完成発明であるとすることはできない。

2.無効理由2について(36条4項)
(1)委任省令要件違反について
本件明細書には、上記「第5 1.」で検討したとおり、当業者が発明の技術上の意義を理解するために必要な事項が記載されているといえるから、第36条第4項(委任省令要件)の規定に適合する。

(2)実施可能要件違反(その1)
請求人は、本件発明1ないし3は、「含水率」、「水に溶解した固形分として」、「一軸圧縮強度」および「フロー値」の意味、測定時期、測定方法等が発明の詳細な説明に記載されていないから、当業者が本件発明1?3を実施することができない旨主張する(請求書23頁)。
しかしながら、甲19号証の34頁、甲第14号証39頁、甲第14号証34?35頁に記載されているように、「含水率」、「一軸圧縮強度」、「フロー値」は通常用いられている値であり、その意味は明らかである。
また、「含水率」の測定方法については、甲19号証の34頁に「(質量)含水率」={水の質量/(水の質量+土の乾燥質量)}×100(%)と示されているように周知である。
さらに、「一軸圧縮強度」は、甲第14号証39頁に「7日強度」または「28日強度」で測定することが記載されているように、一定期間養生して、強度が安定したことを確認することが普通であって、本件発明1ないし3の「一軸圧縮強度」も、一定期間養生し、強度が安定した後の測定値を表していると認められる。
「フロー値」の試験方法として、甲第14号証34?35頁に「セメントの物理試験方法(JIS R 5201-1981)」が示され、甲第14号証35?36頁に「エアモルタル及びエアミルクの試験法」1.2シリンダー法(JHS A 313-1992)が示されているが、両者が正比例の関係にあることは、当業者において自明な事項であり(甲第14号証36頁図2.5)、両者はかけ離れた値でもなく、本件発明1ないし3における「フロー値」160?300mmは流動化処理土のフロー値として通常の値であるから、測定方法が記載されていないとしても、意味が不明であるとすることはできない。
そして、本件発明1ないし3における「水に溶解した固化材の固形分として」の「固化材」とは、本件発明1ないし3で特定される量の「固化材」を水に溶解した状態で混合することを意味していることは明らかである。
また、請求人の提出した上記の証拠方法には、流動化処理土の特性を、「一軸圧縮強度」、「ブリージング率」および「フロー値」で評価することが一般的であることが示されているのであり、本件発明1ないし3の「一軸圧縮強度」、「ブリージング率」および「フロー値」は、流動化処理土として一般に求められる特性を記載したにすぎないものであって、「一軸圧縮強度」および「フロー値」、あるいは「含水率」や「水に溶解した固形分」の意味、測定時期、測定方法等が本件明細書の発明の詳細な説明に記載されていないからといって、本件発明1ないし3を実施することができないというものでもない。

(3)実施可能要件違反(その2)
請求人は、甲第17号証を提示し、本件の発明の詳細な説明に従って流動化処理土を製造しても、その性状(注:流動性を持ち、1.0kg/cm^(2)?5.0kg/cm^(2)の一軸圧縮強度を有し、かつ、ブリージング率3%以下、フロー値160?300mmの流動化土)が得られないのであるから、本件明細書は、本件発明1?3を実施できる程度に明確かつ十分に記載されていない旨主張する(請求書24頁)。
また、請求人は、「被請求人は、拒絶査定不服審判で提出した手続補正書(甲第21号証)の5頁43?49行において、『建設汚泥から流動化処理土を製造するにあたって、含水率を約55%?約65%に調整した調整汚泥を用い、調整汚泥と水または泥水の割合ならびに調整汚泥と固化材の割合を特定範囲として流動化処理土を製造すると、その他の条件を煩雑に制御することなく、「流動性を持ち、1.0kg/cm^(2)?5.0kg/cm^(2)の一軸圧縮強度を有し、かつ、ブリージング率3%以下、フロー値約160?300mmである」という、埋め戻しや裏込めなどの施工に実際に好適に使用することができる流動化処理土を製造することができるのです。』と主張しているが、本件明細書の発明の詳細な説明からは「その他の条件」を窺い知ることはできない。」旨、主張する。
しかしながら、上記「第5 1.」で検討したとおり、本件発明1ないし3の特徴は、調整汚泥に対し、水を混合し、さらに調整泥土と水の混合組成物に水に溶解した固化材を混合させて、所定の一軸圧縮強度、ブリージング率及びフロー値を持った流動化処理土を製造することにあり、このようなものにおいて、調整汚泥に対し添加する水、及び固化材の固形分の添加量を規定の範囲のものに限定した発明と認められる。
そして、所定の一軸圧縮強度、ブリージング率及びフロー値を持った流動化処理土を製造するために、使用する基材の特性に応じて、添加実験等に基づいて、水や固化材の種類や量、混合方法を調整することは、甲第6号証(記載事項[6b]参照)、甲第7号証(記載事項[7c]参照)に示されるように本件出願前周知であるから、これらの条件を見出すことが困難であるとはいえない。
したがって、「その他の条件」が本件明細書の発明の詳細な説明に記載されていないとしても、本件発明1ないし3を実施することが当業者が容易に実施しえないとすることはできない。

(4)実施可能要件違反(その3)
ア.請求人は、本件発明1?3において本件処理土を製造するにあたって建設汚泥の細粒分含有率や有機物含有量などを規定する必要はない、というのであれば、理論上ないし実験上の根拠が必要であるのに、発明の詳細な説明には何ら記載されていない旨主張する(請求書25頁)。
しかしながら、土質別の固化材添加量、含水比と一軸圧縮強度との関係を求める試験を行うことは、例えば甲15号証の32?34頁の表-2.5などに記載されているとおり周知であり、また、固化材の種類や固化材の混合方法により一軸圧縮強度が異なることも周知であるから、建設汚泥の土質に応じて、「固化材」の種類や固化材の混合方法を選択し、本件発明1ないし3で特定する数値範囲の範囲内で、「含水率」や「水および固化材の混合割合」を設定することは、当業者において適宜なし得ることであるから、発明の詳細な説明に建設汚泥の細粒分含有率や有機物含有量などが規定されていないからといって、本件発明1ないし3が実施不可能とはいえない。

イ.また、請求人は、本件発明2において本件処理土を製造するにあたって泥水の比重を規定する必要はない、というのであれば、理論上ないし実験上の根拠が必要であるのに、発明の詳細な説明には何ら記載されていない旨主張する(請求書25?26頁)。
しかしながら、本件明細書の段落【0018】には、本件発明2に使用可能な泥水の成分量が例示されており、本件発明2に近似した実施例2が記載されているのであるから、これらの記載に接した当業者であれば、多大な試行錯誤を行わずとも、当業者において、本件発明2を実施できるのは明らかである。

ウ.さらに、請求人は、本件発明3において本件処理土を製造するにあたって固化処理の程度(注:固化材料や材令など)や改良土の粒度構成を規定する必要がない、というのであれば、理論上ないし実験上の根拠が必要であるのに、発明の詳細な説明には何ら記載されていない旨主張する(請求書26頁)。
しかしながら、流動化処理土の一軸圧縮強度を1.0?5.0kg/cm^(2)とするための固化処理は、2段階目における固化材の混合により行われ、1段階目の固化材の添加は、流動化処理土の製造にあたり、建設汚泥を性状が均一で扱いやすい改良土とするために行うことは、本件明細書に接した当業者であれば自明な事項である。
したがって、本件発明3における、1段階目における「固化処理の程度」や「改良土の粒度構成」は、性状が均一で扱いやすい改良土となるよう、当業者において任意に設定できるものであり、本件明細書には、例えば、含水率約45%?55%程度とすることが記載されているのであるから(段落【0020】)、「固化処理の程度」や「改良土の粒度構成」について規定されていなくとも、当業者において、多大な試行錯誤を強いるものではない。

3.無効理由3について(36条6項1号)
上記「第5 1.」で検討したとおり、本件発明1ないし3の技術的意義は本件明細書の全体に開示されており、本件明細書の実施例1ないし3における数値が、本件発明1で特定された数値範囲から外れているとしても、本件発明1ないし3の数値は、目安的なものとして発明の詳細な説明中に例示されているものであり、その技術思想は明らかであるから、発明の詳細な説明中にこれらの数値の技術的意義についての示唆がないとはいえない。
したがって、本件発明1ないし3は、発明の詳細な説明に記載されたもの
でないとすることはできない。

4.無効理由4について(特許法第36条第6項第2号)
本件発明1ないし3の「含水率」、「水に溶解した固化材の固形成分として」、「一軸圧縮強度」及び「フロー値」の意味が不明りょうといえないことは、上記「第5 2.」において述べたとおりであり、数値範囲自体は明確であって、特許請求の範囲の記載は明確である。
また、数値範囲の示す技術的意義は、上記「第5 1.」において述べたとおり本件明細書の全体に開示されている。
したがって、特許請求の範囲の記載が明確でないとはいえない。

5.本件発明1に対する無効理由5-1について(特許法第29条第2項)
(主引用例:甲第1号証)
甲第1号証の記載事項[1a]ないし[1e]によれば、甲第1号証には、次の発明が記載されていると認められる。
「濁水や泥水を脱水処理した含水比36%の脱水ケーキ1m^(3)に対して水1m^(3)、及び普通ポルトランドセメントおよびセメント系固化材の中から選択した固化材を180?200kg混合し、流動性を持ち、400kN/m^(2)の一軸圧縮強度を有し、かつ、ブリージング率1%以下、フロー値160mm以上の流動化処理土を得る流動化処理土の製造方法。」(以下、「甲1発明」という。)。

本件発明1と甲1発明とを対比すると、甲1発明の「脱水ケーキ」と本件発明1の「調整汚泥」は「汚泥」である点で共通し、甲1発明の一軸圧縮強度400kN/m^(2)は4kgf/cm^(2)に当たるから、両者の一致点及び相違点は次のとおりである。
[一致点]
汚泥に対して水と、セメントおよびセメント系固化材の中から選択した固化材を混合し、流動性を持ち、4kg/cm^(2)の一軸圧縮強度を有し、かつ、ブリージング率1%以下、フロー値約160?300mmの流動化処理土を得る流動化処理土の製造方法。
[相違点1A]
「汚泥」が、本件発明1では、「建設汚泥を処理して含水率を約55%?約65%に調整した調整汚泥」であるのに対し、甲1発明は、「濁水や泥水を脱水処理し含水比36%とした脱水ケーキ」である点。
[相違点1B]
本件発明1では、汚泥10Ltrに水約2.5?約3.5Ltrを混合し、次いで水に溶解した固化材を固形分として約0.6?約0.8kgの範囲で混合するのに対し、甲1発明では、汚泥1m^(3)(1000Ltr)に対して水1m^(3)、及び固化材を180?200kg混合するものであり、水と固化材を汚泥に対しどのような順序で混合するか不明な点。

相違点1A及び1Bについて検討する。
甲1発明の含水比36%の脱水ケーキの質量含水率を次の式により求めると、26%となる。
質量含水率={(含水比)÷(100+含水比)}×100
={36÷(100+36)}×100
=26%
すなわち、甲1発明は、従来廃棄物として処理されていた、含水率26%程度に脱水された「脱水ケーキ」を固化処理土や流動化処理土の原料として使用することを目的としたものであり、「建設汚泥を処理して含水率を約55%?約65%に調整した調整汚泥」を流動化処理の材料として用いることを示唆するものではない。
したがって、当業者が甲1発明に基づいて、本件発明1の建設汚泥の含水率を調整することやこれを前提とする加水量及び固化材添加量の数値範囲を容易に想到し得るものではない。

請求人は、甲第9号証を提示して、「建設汚泥を処理して含水率を調整した材料で流動化処理土を製造すること」は周知慣用の技術であり、甲第6号証、甲第7号証には、建設汚泥を濃縮した、質量含水率48?60%の濃縮泥水を流動化処理土の主材とすることが記載されており、甲1発明の脱水ケーキの含水率を本件発明1の範囲とすることは当業者が容易になしうることである旨主張する。
そこで、甲第9号証をみると、甲第9号証には、高い含水率の建設残土を脱水処理して所望の含水率まで下降させた改良土とすること(記載事項[9b])、改良土に水を混合し、さらに固化材と水を混合して流動性のある処理土とすること(記載事項[9b])が記載されているが、この改良土は盛土等に使用できる程度に脱水したものであり、含水率約55%?約65%に調整した調整汚泥のようなものではない。
甲第6号証には、上記記載事項によれば、「余剰泥水を分級・濃縮し、比重1.4とした濃縮泥水(調整泥水)に、固化材を混合して流動化処理土(埋め戻し材)を製造する」ことが記載されており、濃縮泥水の例として、含水比117%のものが記載され、これは含水率に換算すると54%(含水比÷(含水比+100))である。
また、甲第7号証には、上記記載事項によれば、「余剰泥水を濃縮して得た濃縮泥水に対して固化材を加えて混練し流動化処理土(埋め戻し用処理土)を製造」することが記載され、濃縮泥水の例として含水比93.3?151.1%のものが記載され、これは含水率に換算すると48?60%(含水比÷(含水比+100))のであり、これら甲第6号証、甲第7号証には、「余剰泥水を濃縮して含水率50?60%程度とした濃縮泥水に対して固化材を加えて混練して流動化処理土を製造する」技術が示されているものの、この濃縮泥水に、さらに水を添加することを示唆するものではない。
さらに、「建設汚泥を処理して含水率を約55%?約65%に調整した調整汚泥」を予め作成しておくことは、請求人が、周知慣用技術が開示されているとして提示した他のいずれの証拠方法にも開示されていない。
そうすると、甲第6号証又は甲第7号証記載の発明、甲第9号証等に示された周知慣用技術によっても、予め含水率を約55%?約65%に調整した調整汚泥を作成し、その調整汚泥に水や固化材を添加して流動化処理土を製造することが当業者が容易に想到しうるとすることはできない。

そして、本件発明1は、含水率の高い建設汚泥の含水率を調整することにより、均一な性状の調整汚泥とした上で、所定量の水と混合し、固化材を添加すること、すなわち水分量を2段階にわたって調整することにより、流動化処理土とするための水と固化材の量を一定の範囲とすることができるものである。
したがって、本件発明1は、甲1発明、甲第6号証及び甲第7号証記載の発明、並びに周知慣用技術に基づいて当業者が容易に発明することができたものとすることはできない。

6.本件発明1に対する無効理由5-2について(特許法第29条第2項)
(主引用例:甲第2号証)
甲第2号証の記載事項[2a]ないし[2m]によれば、甲第2号証には次の発明が記載されていると認められる。
「建設現場で発生した残土と水を撹拌した調整泥土に対して、比重計の計測結果により給水量を決定した水と、セメント等の固化材とを混合し、流動性を持つ流動化処理土を得る流動化処理土の製造方法。」(以下、「甲2発明」という。)

本件発明1と甲2発明とを対比すると、甲2発明の「残土」と本件発明1の「建設汚泥」とは、「発生土」である点で共通し、甲2発明の「建設現場で発生した残土と水を撹拌した」と本件発明1の「建設汚泥を処理して含水率を約55%?約65%に調整した」とは、「建設現場で発生した発生土を処理した」点で共通し、甲2発明の「調整泥土」は本件発明1の「調整汚泥」に相当するから、両者の一致点及び相違点は次のとおりである。
[一致点]
建設現場で発生した発生土を処理した調整汚泥に対して、水とセメント等の固化材とを混合し、流動性を持つ動化処理土を得る流動化処理土の製造方法。
[相違点1C]
本件発明1は、発生土が「建設汚泥」であり、調整汚泥が「建設汚泥を処理して含水率を約55%?約65%に調整した」ものであるのに対し、甲2発明では、発生土が「残土」であり、調整汚泥が「残土と水を撹拌した調整泥土」であって含水率は調整されていない点。
[相違点1D]
調整汚泥に混合する水及び固化材の混合が、本件発明1では調整汚泥10Ltrに対して水を約2.5?約3.5Ltrの範囲で混合し、調整汚泥と水との混合組成物10Ltrに対して水に溶解した固化材を固形分として約0.6?約0.8kgの範囲で混合するものであるのに対し、甲2発明では給水量は、調整泥土の比重の計測結果により水と固化材の量を決定するものであり、水と固化材の混合の順序は規定されていない点。
【相違点1E】
製造される流動化処理土の物性が、本件発明1では、1.0kg/cm^(2)?5.0kg/cm^(2)の一軸圧縮強度を有し、かつ、ブリージング率3%以下、フロー値約160?300mmであるのに対し、甲2発明では、具体的に規定されていない点。

上記相違点1C及び1Dについて検討する。
甲2発明の「残土」は、水を添加することで、はじめてペースト状(すなわち泥状)を呈するものであるから、「残土」自体は、「建設汚泥」とはいえないものであり、含水率の高い建設汚泥を流動化処理土とするものではないから、建設汚泥を流動化処理土とするに当たって、あらかじめ、建設汚泥の含水率を調整しておくとの技術は何ら示されていない。
また、上記「第5 5.」で検討したとおり、「建設汚泥を処理して含水率を約55%?約65%に調整した調整汚泥」を予め作成しておくことは、甲第6号証又は甲第7号証、並びに請求人が周知慣用技術であるとして提示した甲第9号証その他の証拠方法のいずれにも開示されていない。
したがって、相違点1Eについて検討するまでもなく、本件発明1は、甲2発明、甲第6号証及び甲第7号証記載の発明並びに周知慣用技術に基づいて当業者が容易に発明することができたものとすることはできない。

7.本件発明2に対する無効理由5-3について(特許法第29条第2項)
(主引用例:甲第1号証)
本件発明2と本件発明1とは、「含水率を約55%?約65%に調整した調整汚泥」に添加する「液体」が、本件発明1では「水」であるのに対し、本件発明2では「泥水」である点、及び、調整汚泥に添加する「液体」及び固化材の量のみが相違する。
そして、上記「第5 5.」で検討したとおり、甲第1号証、甲第6号証及び甲第7号証、並びに請求人が周知慣用技術であるとして提示した甲第9号証その他の証拠方法には、「建設汚泥を処理して含水率を約55%?約65%に調整した調整汚泥」を予め作成しておくことはことついて何ら示唆されていないから、本件発明2は、本件発明1と同様の理由により、甲1発明、甲第6号証及び甲第7号証記載の発明、並びに周知慣用技術に基づいて当業者が容易になしうるとすることはできない。
また、本件発明2は、本件発明1の効果に加えて、泥水を資源として再利用でき、泥水中の粘土等によりブリージングを小さくするとともに、固化材の使用量を少なくすることができる効果を奏するものである。
したがって、本件発明2は、甲1発明、甲第6号証及び甲第7号証記載の発明、並びに周知慣用技術に基づいて当業者が容易に発明することができたものとすることはできない。

8.本件発明2に対する無効理由5-4について(特許法第29条第2項)
(主引用例:甲第3号証)
甲第3号証の記載事項[3a]ないし[3j]によれば、甲第3号証には、次の発明が記載されていると認められる。
「建設現場で発生した残土を水または泥水と撹拌混合して混合物を生成した後、この混合物に泥水とセメント等の固化材とを加えて混練し、流動性を持つ流動化処理土を得る流動化処理土の製造方法。」(以下、「甲3発明」という。)

本件発明2と甲3発明とを対比すると、本件発明2の「建設汚泥」と甲3発明の「建設現場で発生した残土」は、建設現場で発生した「発生土」である点で共通し、また、甲3発明の「混合物」と本件発明2の「調整汚泥」は「汚泥」である点で共通する。
したがって、本件発明2と甲3発明の一致点および相違点は、下記のとおりである。
[一致点]
建設現場で発生した発生土と泥水を混合した汚泥に対して、泥水とセメント等の固化材とを混合し、流動性を持つ流動化処理土を得る流動化処理土の製造方法。
[相違点2A]
本件発明2では、発生土が「建設汚泥」であり、「汚泥」が「含水率を約55%?約65%に調整した調整汚泥」であるのに対し、甲3発明では、発生土が「残土」であり、「汚泥」が、発生土と泥水を混合したものであって含水率を調整したものではない点。
[相違点2B]
汚泥に混合する泥水及び固化材の混合が、本件発明1では調整汚泥10Ltrに対して泥水を約2.5?約3.5Ltrの範囲で混合し、調整汚泥と泥水との混合組成物10Ltrに対して水に溶解した固化材を固形分として約0.4?約0.6kgの範囲で混合するものであるのに対し、甲3発明では汚泥に対して泥水と固化材を混合するものの、その量が規定されていない点。
[相違点2C]
製造される流動化処理土の物性が、本件発明2では、1.0kg/cm^(2)?5.0kg/cm^(2)の一軸圧縮強度を有し、かつ、ブリージング率3%以下、フロー値約160?300mmであるのに対し、甲3発明では具体的に規定されていない点。

上記相違点2A及び2Bについて検討する。
甲3発明の「残土」は、泥水を添加することではじめて「汚泥」となるものであるから、「残土」自体は、「建設汚泥」(含水率が高いもの)とはいえないものであり、甲3発明には、泥水と固化材を加える前に、建設汚泥の水分を含水率を約45%?約65%に調整しておくことは示唆されていない。
すなわち、甲第3号証には、泥水又は水の添加について次のように記載されている。
「配合試験を行い、所望の性質を有する処理土を得るための、被処理土、水または調整泥水、および固化材の混合比を決定する。」(記載事項[3f])、
「第一の混練槽1に…被処理土を投入し、被処理度の重量を…計量した後、泥水タンク6および水タンク7より調整泥水および水を注入する。なお、調整泥水および水の量は、予め配合試験により決定した量の約4?8割程度とする。」(記載事項[3g])、
「混練終了後、…異物を除去した後、第二の混練槽4へ投入する。投入後、…再度重量を計量し、得られた重量の値から必要とされる泥水量を求め、この値と第一の混練槽1で添加した泥水量との差を求め、これに基づいて調整泥水または水を追加する。」(記載事項[3g])。
これらの記載によれば、甲3発明は、残土を流動化処理土とするために添加すべき水又は泥水の混合比を予め配合試験により決定しておき、決定された量の水の一部を使用して調整汚泥を作成し、その後、残量の水又は泥水を添加するものであり、含水量の高い建設汚泥の含水量を予め調整し、その後流動化処理土とするために必要な水又は泥水を改めて添加する技術を示すものではない。
また、甲3発明は、含水量の低い「残土」を流動化処理土の原料として使用することを目的とする発明であるから、甲第6号証、甲第7号証又は甲第9号証に開示された含水量の多い余剰泥水についての技術を組み合わせることが当業者が容易に想到しうるとすることはできない。
また上記したとおり、請求人が、周知慣用技術であるとして提示したその他の証拠方法のいずれにも、建設汚泥を含水率50?65%に調整した調整汚泥を流動化処理土に利用することついて何ら開示されていない。
したがって、相違点2Cについて検討するまでもなく、本件発明2は、甲3発明、甲第6号証及び甲第7号証記載の発明、並びに周知慣用技術に基づいて当業者が容易に発明することができたものとすることはできない。

9.本件発明3に対する無効理由5-5について(特許法第29条第2項)
(主引用例:甲第4号証)
甲第4号証の記載事項[4a]ないし[4i]によれば、甲第4号証には、次の発明が記載されていると認められる。
「べントナイト含有泥水に、セメント含有材とセメントとを混合し、流動性を持ち、1.3?5.6kgf/cm^(2)の一軸圧縮強度を有し、ブリージング率0%、フロー値120?300mm、好ましくは180?300mmの流動性埋め戻し材を得る流動性埋め戻し材の製造方法。」(以下、「甲4発明」という。)

本件発明3と甲4発明とを対比する。
甲4発明の「流動性埋め戻し材」は、本件発明3の「流動化処理土」に相当する。
甲4発明の「セメント含有材」には、セメント含有建設汚泥を乾燥・固化したものと、セメント含有汚泥自体とが含まれ、本件発明3の「改良土」とは、「建設汚泥に固化材が含まれる土」である点で共通し、本件発明3の「水」と甲4発明の「べントナイト含有泥水」とは、「水を含む液体」である点で共通する。
また、甲4発明の流動性埋め戻し材の一軸圧縮強度、ブリージング率、フロー値は、本件発明3の数値範囲に含まれるから、本件発明3と甲4発明の一致点および相違点は、下記のとおりである。
[一致点]
建設汚泥に固化材が含まれる土と、水を含む液体と、固化材とを混合し、流動性を持ち、1.3kg/cm^(2)?5.0kg/cm^(2)の一軸圧縮強度を有し、かつ、ブリージング率3%以下、フロー値160?300mmの流動化処理土を得る流動化処理土の製造方法。
[相違点3A]
本件発明3では、建設汚泥に固化材が含まれる土が、建設汚泥に固化材を添加して固化処理し、礫を除去した「改良土」であり、水を含む液体が「水」であり、改良土10Ltrに対して水を約4?約6Ltrの範囲で混合し、改良土と水との混合組成物10Ltrに対して水に溶解した固化材の固形分として約0.6?約0.8kgの範囲で混合するものであるのに対し、甲4発明では、建設汚泥に固化材が含まれる土が、セメント含有建設汚泥を乾燥・固化したもの、又は、セメント含有汚泥自体である「セメント含有材」であって、礫を除去しているか否か不明であり、水を含む液体が「ベントナイト含有泥水」であり、これら、セメント含有材、ベントナイト含有泥水、固化材の混合割合は規定されていない点。

上記相違点3Aについて検討する。
甲4発明の「セメント含有材」は、地中掘削工事等において必然的に発生するセメント含有建設汚泥あるいはこれを乾燥し固化したものであって、建設汚泥から性状が均一で扱いやすい「改良土」を得る目的で意図的に固化材を添加して固化処理されたものではない。
すなわち、甲4発明は、建設現場で発生し、それぞれ単独では流動化処理土に適さない、ベントナイト含有泥水とセメント含有材を混合し、適宜固化材を加えることにより、必要な強度の流動化処理土(埋め戻し材)を製造しようとするものであり、建設汚泥を利用して流動化処理土を製造するに際し、固化材を混合して、予め、改良土を製造しておき、その後、この改良土に水と固化材を混合する技術を示すものではない。
また、甲4発明における、ベントナイト含有泥水は、それ自体も建設汚泥といえるものであり、甲4発明は、ベントナイト含有泥水を流動化処理土に活用しようとするものであるから、ベントナイト含有泥水を「水」に置き換えることには阻害要因があり、当業者が容易に想到しうることではない。

請求人は、セメントを含有する建設汚泥をそのまま固化させた材料も、セメントを含有しない建設汚泥に対して事後的にセメントを加えて固化させた材料も、「セメントを含有する材料」であることに変わりはない、仮に相違するとしても、セメントを含有しない建設汚泥に対して事後的にセメントを加えて固化処理することは、甲第1号証、甲第10号証、甲第11号証に記載されているように周知慣用の技術であるし、甲第10号証によれば、固化処理して得た材料は、使用用途が広く、且つ、一般土木建築材料等に使用可能なものであるから、甲4発明のセメント含有汚泥を、建設汚泥に固化材を添加して得た材料に変更することは、当業者にとって格別困難なことではない旨主張する(請求書72?76頁)。
しかしながら、甲第10号証及び甲第11号証には、建設汚泥に固化材を添加して土木建築材料等に使用することが示されているが(甲第10号証記載事項[10e]、甲第11号証記載事項[11k][11l][11m]参照)、建設汚泥に固化材を添加して土質を改良しておき、この改良土に固化材を混合するという技術は何ら開示されていない。
また、甲第1号証には建設汚泥について何ら記載されていないことは上記「第5 5.」で述べたとおりである。
さらに、建設汚泥に固化材を添加して改良土とすることは、請求人が、周知慣用技術であるとして提示したその他の証拠方法のいずれにも開示されていない。

そして、本件発明3は、含水率の高い建設汚泥を固化し、流動性処理土として利用できるものとするという格別の効果を奏するものである。
したがって、本件発明3は、甲4発明及び周知慣用技術に基づいて当業者が容易に発明することができたものとすることはできない。

10.本件発明3に対する無効理由5-6について(特許法第29条第2項)(主引用例:甲第5号証)
甲第5号証の記載事項[5a]ないし[5h]によれば、甲第5号証には、次の発明が記載されていると認められる。
「掘削土を解砕・混合し含水比および粒径を調整した改良土に対して水と固化材とを混合し、流動性を持ち、材令4時間で1.26?1.71kg/cm^(2)、材令28日では4.98?5.56kg/cm^(2)の一軸圧縮強度を有し、かつ、フロー値172?228mmである流動化処理土を得る流動化処理土の製造方法。」(以下、「甲5発明」という。)

本件発明3と甲5発明とを対比すると、甲5発明の「掘削土」と本件発明3の「建設汚泥」はいずれも建設現場で発生した「発生土」であり、甲5発明の「掘削土を解砕・混合し含水比および粒径を調整した改良土」と本件発明3の「建設汚泥にセメント、セメント系固化材、セメント・石灰複合系固化材、及び石灰の中から選択した固化材を添加して固化処理し、礫を除去した改良土」とは、「建設現場で発生した発生土を処理して得た改良土」である点で共通する。
また、甲5発明の一軸圧縮強度及びフロー値と、本件発明3のそれぞれの数値範囲とは、一軸圧縮強度1.26kg/cm^(2)?5.0kg/cm^(2)の範囲、フロー値172?228mmの範囲で重複する。
したがって、甲5発明の一致点および相違点は、下記のとおりである。
[一致点]
建設現場で発生した発生土を処理して得た改良土に対して、水と固化材を混合し、流動性を持ち、1.26kg/cm^(2)?5.0kg/cm^(2)の一軸圧縮強度を有し、かつ、フロー値約172?228mmの流動化処理土を得る流動化処理土の製造方法。
[相違点3B]
建設現場で発生した発生土を処理して得た改良土が、本件発明3では「建設汚泥にセメント、セメント系固化材、セメント・石灰複合系固化材、及び石灰の中から選択した固化材を添加して固化処理し、礫を除去した」ものであるのに対し、甲5発明では、「掘削土を解砕・混合し粒径調整された」ものである点。
[相違点3C]
本件発明3では、改良土10Ltrに対し水を約4?約6Ltrの範囲、改良土と水との混合組成物10Ltrに対し水に溶解した固化材を固形分の量で約0.6?約0.8kgの範囲で混合するのに対し、甲5発明では、水と固化材の量、混合の順序は規定されていない点。
[相違点3D]
製造される流動化処理土のブリージング率が、本件発明3では3%以下であるのに対し、甲5発明では規定されていない点。

相違点3B及び3Cについて検討する。
甲5発明は、掘削土を流動化処理土の原料として使用することを目的としたものであり、「建設汚泥を固化材を添加して固化処理した改良土」を流動化処理土の材料として用いることを示唆するものではなく、そもそも「建設汚泥」を流動化処理土の材料として用いることを示唆するものでもない。
したがって、当業者が甲5発明に基づいて、本件発明3の建設汚泥を固化処理して改良土とすることや、これを前提とする加水量及び固化材添加量の数値範囲を容易に想到し得るものではない。
また、上記したとおり、請求人が、周知慣用技術であるとして提示したその他の証拠方法のいずれにも、建設汚泥を固化材を添加して土質改良し、この改良土に水と固化材を混合するという技術は何ら開示されていないから、「建設汚泥を固化材を添加して固化処理した改良土」を予め作成しておき、これに水と固化材を混合して流動化処理土を製造することが当業者に容易になしうるとすることはできない。
したがって、相違点3Dについて検討するまでもなく、本件発明3は、甲5発明及び周知慣用技術に基づいて当業者が容易に発明することができたものとすることはできない。

第6 むすび
以上のとおり、請求人の主張する無効理由及び証拠方法によっては、本件請求項1ないし3に係る特許を無効とすることはできない。
審判に関する費用については、特許法第169条第2項において準用する民事訴訟法第61条の規定により、請求人が負担すべきものとする。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2009-06-11 
結審通知日 2009-06-16 
審決日 2009-06-30 
出願番号 特願2000-195280(P2000-195280)
審決分類 P 1 113・ 121- Y (E02D)
P 1 113・ 1- Y (E02D)
P 1 113・ 537- Y (E02D)
P 1 113・ 536- Y (E02D)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 深田 高義  
特許庁審判長 山口 由木
特許庁審判官 伊波 猛
関根 裕
登録日 2006-08-11 
登録番号 特許第3839642号(P3839642)
発明の名称 流動化処理土の製造方法  
代理人 八本 佳子  
代理人 磯野 道造  
代理人 鈴木 俊一郎  
代理人 筒井 誠  
代理人 富田 哲雄  
代理人 町田 能章  

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