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審決分類 審判 査定不服 4号2号請求項の限定的減縮 特許、登録しない。 H04M
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H04M
管理番号 1203091
審判番号 不服2007-9567  
総通号数 118 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2009-10-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2007-04-05 
確定日 2009-09-03 
事件の表示 平成11年特許願第224772号「携帯電話機及び着信制御方法」拒絶査定不服審判事件〔平成13年 2月23日出願公開、特開2001- 53831〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は,平成11年8月9日の出願であって,平成19年3月2日付けで拒絶査定がなされ,これに対し,平成19年4月5日に拒絶査定に対する審判請求がなされるとともに,同日付けで手続補正がなされ,平成21年2月3日付けで審尋がなされ,平成21年4月13日に回答書が提出されたものである。

2.平成19年4月5日付けの手続補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成19年4月5日付けの手続補正を却下する。

[理由]
平成19年4月5日付けの手続補正(以下,「本件補正」という。)により,平成18年11月20日付けの手続補正により補正された特許請求の範囲の記載は,(1)から(2)に変更された。

(1)本件補正前の特許請求の範囲
「【請求項1】
着信時に,着信音で通知する着信音通知モードと,振動で通知する振動通知モードとを選択可能とした携帯電話機に於いて,
着信音で通知する前記着信音通知モードと,振動で通知する前記振動通知モードと,該振動通知モードから前記着信音通知モードに自動的に切替える自動切替モードとの選択を行うモード選択部と,
着信履歴を示す着信データセットと,前記モード選択部による前記自動切替モード選択時に特定又は不特定の発信者電話番号に従った前記着信データセットを抽出して検索データセットを形成するメモリと,該メモリの前記検索データセットを基に,着信無応答回数が設定回数以上の時の前記振動通知モードから前記着信音通知モードに切替える制御部と
を備えたことを特徴とする携帯電話機。
【請求項2】
着信時に,着信音による通知又は振動による通知を行うことが可能な携帯電話機に於いて,
特定の電話番号でない電話番号からの着信があった場合に,前記振動による通知を行い,前記特定の電話番号からの着信回数に応じて前記着信音による通知を行うように制御する制御部
を備えたことを特徴とする携帯電話機。
【請求項3】
着信時に,着信音による通知又は振動による通知を行うことが可能な携帯電話機に於いて,
所定時間内の着信の回数に応じて前記振動による通知から前記着信音による通知に切替える制御部
を備えたことを特徴とする携帯電話機。
【請求項4】
前記着信の回数は,特定の電話番号からの着信の回数であることを特徴とする請求項3記載の携帯電話機。
【請求項5】
着信時に,着信音による通知又は振動による通知を行うことが可能な携帯電話機に於いて,
着信条件に応じて前記振動による通知から前記着信音による通知に切替え,該着信音による通知が行われている際の着信に応答すると,自動的に前記振動による通知に戻す制御を行う制御部
を備えたことを特徴とする携帯電話機。
【請求項6】
前記着信条件は,特定電話番号からの着信又は所定時間内に於ける着信回数であることを特徴とする請求項5記載の携帯電話機。
【請求項7】
着信時に,着信音による通知又は振動による通知を行うことが可能な携帯電話機に於いて,
前記振動による通知から前記着信音による通知に自動的に切替えるまでの時間が設定された場合に,所定キーの押下により,前記設定された時間を所定の時間間隔で延長する制御を行う制御部
を備えたことを特徴とする携帯電話機。
【請求項8】
着信時に,着信音による通知又は振動による通知を行うことが可能な携帯電話機に於いて,
着信に応じて前記振動による通知を行っている際に応答を検出すると,以後は前記着信音による通知に切替える制御を行うか又は前記振動による通知から前記着信音による通知に切替えるまでの時間を延長する制御を行う制御部
を備えたことを特徴とする携帯電話機。
【請求項9】
着信時に,着信音による通知又は振動による通知を行うことが可能な携帯電話機に於いて,
特定の電話番号から,設定された時間内に,設定された回数の着信があった際に,前記振動による通知を前記着信音による通知に切替える制御を行う制御部
を備えたことを特徴とする携帯電話機。
【請求項10】
着信時に,着信音による通知又は振動による通知を行うことが可能な携帯電話機に於いて,
第1の着信動作が許容された状態で,特定の電話番号から所定回数の着信があった場合に,第2の着信動作を許容する制御を行う制御部
を備えたことを特徴とする携帯電話機。
【請求項11】
携帯電話機の着信通知方法に於いて,
前記携帯電話機のモード選択部により,着信音で通知する着信音通知モードと,振動で通知する振動通知モードと,該振動通知モードから前記着信音通知モードに自動的に切替える自動切替モードとの選択を行い,
該自動切替モードの選択時に,着信履歴を示す着信データセットから特定発信者電話番号の着信データセットを抽出して検索データセットとし,着信時に無応答である該検索データセットが設定回数に達する前は前記振動通知モードとし,設定回数以上の時に,該振動通知モードから前記着信音通知モードに切替える過程を含む
ことを特徴とする着信通知方法。
【請求項12】
携帯電話機の着信通知方法に於いて,
携帯電話機のモード選択部により,着信音で通知する着信音通知モードと,振動で通知する振動通知モードと,該振動通知モードから前記着信音通知モードに自動的に切替える自動切替モードとの選択を行い,
該自動切替モードの選択時に,着信履歴を示す着信データセットから特定発信者電話番号の着信データセットを抽出して検索データセットとし,着信時に無応答である該検索データセットが設定回数に達する前は前記振動通知モードとし,前記検索データセットが設定時間間隔内に設定回数以上となった時に,振動通知モードから着信音通知モードに切替える過程を含む
ことを特徴とする着信通知方法。
【請求項13】
着信時に,着信音による通知又は振動による通知を行うことが可能な携帯電話機の着信通知方法に於いて,
特定の電話番号でない電話番号からの着信であるか否かを判定し,前記特定の電話番号でない電話番号からの着信と判定した場合に,前記振動による着信通知を行い,前記特定の電話番号からの着信と判定した場合,該着信の回数に応じて前記着信音による通知を行うように制御する過程を含む
ことを特徴とする着信通知方法。
【請求項14】
着信時に,着信音による通知又は振動による通知を行うことが可能な携帯電話機の着信通知方法に於いて,
所定時間内の着信回数を計数し,該着信回数に応じて前記振動による着信通知から前記着信音による着信通知に切替える制御過程を含む
ことを特徴とする着信通知方法。
【請求項15】
着信時に,着信音による通知又は振動による通知を行うことが可能な携帯電話機の着信通知方法に於いて,
設定した着信条件に応じて前記振動による通知から前記着信音による通知に切替え,該着信通知に応答した場合,自動的に前記振動による通知に戻す制御過程を含む
ことを特徴とする着信通知方法。
【請求項16】
着信時に,着信音による通知又は振動による通知を行うことが可能な携帯電話機の着信通知方法に於いて,
前記振動による通知から前記着信音による通知に自動的に切替えるまでの時間を設定し,所定キーの押下によって前記設定された時間を所定の時間間隔で延長する制御過程を含む
ことを特徴とする着信通知方法。
【請求項17】
着信時に,着信音による通知又は振動による通知を行うことが可能な携帯電話機の着信通知方法に於いて,
着信に応じて前記振動による通知を行っている際に,該通知に対する応答を検出した時,それ以後は前記着信音による通知に切替える制御を行うか又は前記振動による通知から前記着信音による通知に切替えるまでの時間を延長する制御過程を含む
ことを特徴とする着信通知方法。
【請求項18】
着信時に,着信音による通知又は振動による通知を行うことが可能な携帯電話機の着信通知方法に於いて,
特定の電話番号から,設定された時間内に,設定された回数の着信があったことを検出した時に,前記振動による通知を前記着信音による通知に切替える制御過程を含む
ことを特徴とする着信通知方法。
【請求項19】
携帯電話機の第1の動作が許容された状態で,特定の電話番号から所定回数の着信があったことを検出した場合に,前記第1の動作を禁止する制御過程を含む
ことを特徴とする着信通知方法。
【請求項20】
着信時に,着信音による通知又は振動による通知を行うことが可能な携帯電話機の着信通知方法に於いて,
前記携帯電話機の第1の着信動作が許容された状態で,特定の電話番号から所定回数の着信があったことを検出した場合に,第2の着信動作を許容する制御過程を含む
ことを特徴とする着信通知方法。」

(2)本件補正後の特許請求の範囲
「【請求項1】
着信時に,着信音による通知又は振動による通知を行うことが可能な携帯電話機に於いて,
同じ電話番号からの複数回の着信回数に応じて,前記振動による通知から前記着信音による通知に切替える制御部
を備えたことを特徴とする携帯電話機。
【請求項2】
前記同じ電話番号は,特定された所定の電話番号であることを特徴とする請求項1記載の携帯電話機。
【請求項3】
着信時に,着信音による通知又は振動による通知を行うことが可能な携帯電話機に於いて,
所定時間内の複数回の着信回数に応じて,前記振動による通知から前記着信音による通知に切り替える制御部
を備えたことを特徴とする携帯電話機。
【請求項4】
前記所定時間内の複数回の着信回数は,同一の電話番号からの複数の着信回数であることを特徴とする請求項3記載の携帯電話機。
【請求項5】
前記所定時間内の複数回の着信回数は,特定の電話番号からの複数の着信回数であることを特徴とする請求項3又は4記載の携帯電話機。
【請求項6】
前記所定時間は,設定入力された時間であることを特徴とする請求項3ないし5の何れか1項記載の携帯電話機。
【請求項7】
着信時に,着信音による通知又は振動による通知を行うことが可能な携帯電話機に於いて,
第1の着信動作が許容された状態で,同じ電話番号からのM回(Mは2以上の自然数)の着信回数の検出により,第2の着信動作を許容する制御を行う制御部
を備えたことを特徴とする携帯電話機。
【請求項8】
着信時に,着信音による通知又は振動による通知を行うことが可能な携帯電話機に於いて,
第1の着信動作が許容された状態で,所定時間内のM回(Mは2以上の自然数)の着信回数の検出に応じて,第2の着信動作を許容する制御を行う制御部
を備えたことを特徴とする携帯電話機。
【請求項9】
第1の動作が許容された状態で,所定時間内に特定の同一の電話番号から所定の複数回数の着信があったことを検出した場合に,前記第1の動作を禁止する制御部
を備えたことを特徴とする携帯電話機。
【請求項10】
第1の動作が許容された状態で,所定時間内に特定の同一の電話番号から所定の複数回数の着信があったことを検出した場合に,第2の動作を許容する制御部
を備えたことを特徴とする携帯電話機。
【請求項11】
着信時に,着信音による通知又は振動による通知を行うことが可能な携帯電話機に於ける着信制御方法に於いて,
同じ電話番号からの複数回の着信回数に応じて,前記振動による通知から前記着信音による通知に切り替える制御過程を含む
ことを特徴とする携帯電話機に於ける着信制御方法。
【請求項12】
前記同じ電話番号は,特定された所定の電話番号であることを特徴とする請求項11記載の着信制御方法。
【請求項13】
着信時に,着信音による通知又は振動による通知を行うことが可能な携帯電話機に於ける着信制御方法に於いて,
所定時間内の複数回の着信回数に応じて,前記振動による通知から前記着信音による通知に切り替える制御過程を含む
ことを特徴とする携帯電話機に於ける着信制御方法。
【請求項14】
前記所定時間内の複数回の着信回数は,同一の電話番号からの複数の着信回数であることを特徴とする請求項13記載の着信制御方法。
【請求項15】
前記所定時間内の複数回の着信回数は,特定の電話番号からの複数の着信回数であることを特徴とする請求項13又は14記載の着信制御方法。
【請求項16】
前記所定時間は,入力,設定された時間であることを特徴とする請求項13ないし15の何れか1項記載の着信制御方法。
【請求項17】
着信時に,着信音による通知又は振動による通知を行うことが可能な携帯電話機に於ける着信制御方法に於いて,
第1の着信動作が許容された状態で,同じ電話番号からのM回(Mは2以上の自然数)の着信回数の検出により,第2の着信動作を許容する制御を行う制御過程を含む
ことを特徴とする携帯電話機に於ける着信制御方法。
【請求項18】
着信時に,着信音による通知又は振動による通知を行うことが可能な携帯電話機に於ける着信制御方法に於いて,
第1の着信動作が許容された状態で,所定時間内のM回(Mは2以上の自然数)の着信回数の検出に応じて,第2の着信動作を許容する制御を行う制御過程を含む
ことを特徴とする携帯電話機に於ける着信制御方法。
【請求項19】
携帯電話機の第1の動作が許容された状態で,所定時間内に特定の同一の電話番号から所定の複数回数の着信があったことを検出した場合に,前記第1の動作を禁止する制御過程を含む,
ことを特徴とする携帯電話機に於ける着信制御方法。
【請求項20】
携帯電話機の第1の動作が許容された状態で,所定時間内に特定の同一の電話番号から所定の複数回数の着信があったことを検出した場合に,第2の動作を許容する制御過程を含む,
ことを特徴とする携帯電話機に於ける着信制御方法。」

(3)補正の適否についての判断
本件補正前の特許請求の範囲の記載によれば,本件補正前の請求項1乃至10は携帯電話機に関する発明であって,本件補正前の請求項11乃至20は着信通知方法に関する発明である。
一方,本件補正後の特許請求の範囲の記載によれば,本件補正後の請求項1乃至10は携帯電話機に関する発明であって,本件補正後の請求項11乃至20は着信制御方法に関する発明である。
してみると,本件補正後の請求項1に係る発明は,本件補正前の請求項1乃至10の何れかの請求項に対応する必要があり,その上で,少なくとも特許法第17条の2第4項各号の規定(請求項の削除,特許請求の範囲の減縮,誤記の訂正,明りょうでない記載の釈明)を満足しなくてはないらない。
そこで,この点について検討する。
本件補正前の請求項1に係る発明は,「着信音で通知する前記着信音通知モードと,振動で通知する前記振動通知モードと,該振動通知モードから前記着信音通知モードに自動的に切替える自動切替モードとの選択を行うモード選択部と,着信履歴を示す着信データセットと,前記モード選択部による前記自動切替モード選択時に特定又は不特定の発信者電話番号に従った前記着信データセットを抽出して検索データセットを形成するメモリと,該メモリの前記検索データセットを基に,着信無応答回数が設定回数以上の時の前記振動通知モードから前記着信音通知モードに切替える制御部と」の構成を備えているが,当該構成は,本件補正後の請求項1に係る発明中にない。
また,本件補正前の請求項2に係る発明は,「特定の電話番号でない電話番号からの着信があった場合に,前記振動による通知を行い,前記特定の電話番号からの着信回数に応じて前記着信音による通知を行うように制御する制御部」を備えているが,当該構成は,補正後の請求項1にに係る発明中にない。
また,本件補正前の請求項3,4に係る発明は,「所定時間内の着信の回数に応じて前記振動による通知から前記着信音による通知に切替える制御部」を備えているが,当該構成のうち「所定時間内の着信の回数に応じて」という事項は,本件補正後の請求項1に係る発明中にない。
また,本件補正前の請求項5,6に係る発明は,「着信条件に応じて前記振動による通知から前記着信音による通知に切替え,該着信音による通知が行われている際の着信に応答すると,自動的に前記振動による通知に戻す制御を行う制御部」の構成を備えているが,当該構成は,本件補正後の請求項1に係る発明中にない。
また,本件補正前の請求項7に係る発明は,「前記振動による通知から前記着信音による通知に自動的に切替えるまでの時間が設定された場合に,所定キーの押下により,前記設定された時間を所定の時間間隔で延長する制御を行う制御部」を備えているが,当該構成は,本件補正後の請求項1に係る発明中にない。
また,本件補正前の請求項8に係る発明は,「着信に応じて前記振動による通知を行っている際に応答を検出すると,以後は前記着信音による通知に切替える制御を行うか又は前記振動による通知から前記着信音による通知に切替えるまでの時間を延長する制御を行う制御部」を備えているが,当該構成は,本件補正後の請求項1に係る発明中にない。
また,本件補正前の請求項9に係る発明は,「特定の電話番号から,設定された時間内に,設定された回数の着信があった際に,前記振動による通知を前記着信音による通知に切替える制御を行う制御部」を備えているが,当該構成のうち「特定の電話番号から,設定された時間内に,設定された回数の着信があった際に」という事項は,本件補正後の請求項1にに係る発明中にない。
また,本件補正前の請求項10に係る発明は,「第1の着信動作が許容された状態で,特定の電話番号から所定回数の着信があった場合に,第2の着信動作を許容する制御を行う制御部」を備えているが,当該構成は,本件補正後の請求項1に係る発明中にない。
そして,本件補正後の請求項1に係る発明中に,本件補正前の上記各構成をさらに限定している構成もない。
したがって,本件補正後の請求項1は,本件補正前の請求項1乃至請求項10を減縮したものではない。また,これら本件補正前の構成を省略することが,誤記の訂正,明りょうでない記載の釈明,請求項の削除を目的とするものでないことも明らかである。

(4)むすび
以上のとおりであるから,本件補正は,平成14年法律第24号改正法の附則第2条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第4項の規定に違反するので,同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

3.本願発明について
平成19年4月5日付けの手続補正は上記のとおり却下されたので,本願の請求項3に係る発明(以下,「本願発明」という。)は,平成18年11月20日付けの手続補正による補正された特許請求の範囲の請求項3に記載された事項により特定される,以下のとおりのものである。
「【請求項3】
着信時に,着信音による通知又は振動による通知を行うことが可能な携帯電話機に於いて,
所定時間内の着信の回数に応じて前記振動による通知から前記着信音による通知に切替える制御部
を備えたことを特徴とする携帯電話機。」

(1)引用例
原査定の拒絶の理由に引用された特開平11-215212号公報(以下,「引用例」という。)には,図面とともに以下の記載がある。
(イ)「【請求項1】 着信呼び出しを音で報知する第1報知手段と,
着信呼び出しを振動で報知する第2報知手段と,
前記第2報知手段が着信呼び出し用として設定されている間に,前記第2報知手段により報知される着信呼び出しに対して一定回数以上連続して着信逃しがあった場合,着信呼び出し用として前記第2報知手段から前記第1報知手段に切り替える切り替え手段と,
を備えたことを特徴とする携帯電話装置。
【請求項2】 着信呼び出しを音で報知する第1報知手段と,
着信呼び出しを振動で報知する第2報知手段と,
前記第2報知手段が設定されている間に,前記第2報知手段により報知される着信呼び出しに対する着信逃しを連続してカウントするカウント手段と,
前記カウント手段により連続してカウントされた着信逃しの回数が一定回数以上あった場合,着信呼び出し用として前記第2報知手段から前記第1報知手段に切り替え制御する切り替え制御手段と,
を備えたことを特徴とする携帯電話装置。」(2頁1欄2?21行)

(ロ)「【0027】
【発明の実施の形態】以下に添付図面を参照して,この発明に係る携帯電話装置の好適な実施の形態を詳細に説明する。
実施の形態1.まず,構成について説明する。図1はこの発明の実施の形態1による携帯電話装置を示すブロック図である。図1に示した携帯電話装置は,送信用アンテナ1,受信用アンテナ2,送信部3,受信部4,コード部5,デコード部6,制御部7,モード切替部8,スピーカ9,バイブレータ10,操作・表示部11,および,呼び出しモード自動切替部12より構成される。なお,通話に使用するマイクについては省略している。」(4頁5欄38?49行)

(ハ)「【0029】コード部5は,制御部7から入力した送信データをコード化して送信部3へ出力する。デコード部6は,受信部4から入力した受信データをデコードして制御部7へ出力する。制御部7は,マイクロプロセッサやメモリを搭載しており,装置全体を制御する。この制御部7は,例えば図3,図4にそれぞれ示したフローチャートに従うプログラムなどに従って制御を行う。」(4頁6欄7?13行)

(ニ)「【0033】続いて,呼び出しモード自動切替部12について説明する。図2は呼び出しモード自動切替部12の内部構成を示すブロック図である。この呼び出しモード自動切替部12は,例えば,アラート切替用回数レジスタ12Aと連続着信逃しカウンタ12Bとを有している。アラート切替用回数レジスタ12Aは,制御部7からアラート切替用回数(N)を受け取って登録するメモリである。このアラート切替用回数は,バイブレータモードからアラートモードへ自動的に切り替えるタイミングを示す値であり,かつ,バイブレータモード時の着信逃し回数に比較するための一定値である。連続着信逃しカウンタ12Bは,バイブレータモード時の着信逃し回数(C)をカウントするカウンタである。」(6頁6欄36?48行)

(ホ)「【0034】つぎに,動作について説明する。まず,上述したアラート切替用回数レジスタ12Aの設定方法について説明する。図3はこの実施の形態1による主要な操作手順を説明するフローチャートである。制御部7は,操作・表示部11に対する入力操作を検知する。その入力操作が検知された場合には,まずアラート切替用回数の入力か否か判断される(ステップS1)。
【0035】その結果,アラート切替用回数の入力であった場合には,操作・表示部11を通じてアラート切替用回数(N)が入力され(ステップS3),その入力アラート切替用回数(N)は,呼び出しモード自動切替部12に出力され,そこでアラート切替用回数レジスタ12Aに設定される(ステップS3)。なお,アラート切替用回数の入力以外の操作であった場合には,その入力操作に応じた処理が実行される。
【0036】続いて,着信動作について説明する。ここでは,すでにアラート切替用回数(N)がすでにアラート切替用回数レジスタ12Aに設定されているものとする。図4はこの実施の形態1による着信動作を説明するフローチャートである。本装置に着信があると,現時点でモード切替部8が選択している呼び出しモードが確認される(ステップS11)。
【0037】その結果,アラートモードが選択されていた場合には(ステップS11),着信呼び出しとしてスピーカ9から鳴音が出力制御される。一方,バイブレータモードが選択されていた場合には(ステップS11),着信呼び出しとしてバイブレータ10の振動制御が開始される(ステップS12)。そのバイブ動作中は,着信に対する応答操作の有無が判断され(ステップS13),バイブ動作が終了するまでは再度ステップS13に処理が戻る。ステップS13では,制御部7は,操作・表示部11から着信応答の合図を検知することになる。
【0038】そのバイブ動作中に,ステップS13において着信応答の操作が確認された場合には,制御部7から呼び出しモード自動切替部12に対して連続着信逃しカウンタ12Bをリセットする指示が送出される(ステップS14)。この後,回線が接続され,通話制御が開始される。
【0039】また,バイブ動作期間が完了して,バイブ動作中に着信応答の操作がなかった場合には(ステップS15),まずバイブ動作が終了制御され(ステップS16),その後に,制御部7から呼び出しモード自動切替部12に対して連続着信逃しカウンタ12Bのカウント数を1つインクリメントする指示が送出される(ステップS17)。そして,着信処理が終了する。
【0040】続いて,呼び出しモードの自動切替えについて説明する。図5は呼び出しモード自動切替部12の動作を説明するフローチャートである。呼び出しモード自動切替部12では,常時,制御部7からの指示の有無が確認される(ステップS21)。そして,制御部7からの指示が入り(ステップS21),その内容が連続着信逃しカウンタ12Bをリセットする指示であった場合には(ステップS22),処理はステップS23へ移行して,制御部7から送られてくる設定値(N)を用いてアラート切替用回数レジスタ12Aを更新する。その後,処理はステップS21へ戻る。
【0041】また,制御部7からの指示が入り(ステップS21),その内容が着信逃し回数をインクリメントする指示であった場合には(ステップS22),処理はステップS24へ移行して,連続着信逃しカウンタ12Bの着信逃し回数を1つインクリメントする。その後,処理はステップS25へ移行する。ステップS25では,現時点での着信逃し回数(C)とアラート切替用回数レジスタ12Aの設定値(N)とが比較される。その結果,着信逃し回数(C)がまだ設定値(N)に達していない場合には,処理はステップS21に戻り,一方,達した場合には,処理はステップS26へ移行する。
【0042】ステップS26では,モード切替部26に対して現呼び出しモードであるバイブレータモードから鳴音を発するためのアラートモードへの切り替え指示が自動的に送出される。これにより,モード切替部8では,呼び出しモードとしてアラートモードが選択される。さらに,ステップS27において,連続着信逃しカウンタ12Bの値がリセットすなわちゼロに設定される。その後,処理はステップS21へ戻る。」(4頁6欄50?5頁8欄24行)

(へ)「【0049】実施の形態2.さて,前述した実施の形態1では,一定回数以上の着信逃しが確認されると呼び出しモード自動切替部が直接モード切替部を切替制御していたが,この発明は,以下に説明する実施の形態2のように,呼び出しモード自動切替部が制御部を介して間接的にモード切替部を切替制御するようにしてもよい。なお,この実施の形態2の全体構成は,前述した実施の形態1と同様のため,以下に相違する構成および動作についてのみ詳細に説明する。
【0050】まず,相違する構成について説明する。図6はこの発明の実施の形態2による携帯電話装置を示すブロック図である。この実施の形態2による携帯電話装置では,前述した実施の形態1の制御部7,モード切替部8,呼び出しモード自動切替部12にそれぞれ替わって制御部21,モード切替部22,呼び出しモード自動切替部23が設けられる。
【0051】接続関係として,前述した実施の形態1では,モード切替部8と呼び出しモード自動切替部12とが接続され,呼び出しモード自動切替部12から直接モード切替部8の呼び出しモードの切り換え制御を行うようにしていたが,この実施の形態2では,モード切替部22と呼び出しモード自動切替部23とは接続されず,制御部21を介して間接的に呼び出しモード自動切替部23からモード切替部22の呼び出しモードの切り換え制御が行われる。
【0052】つぎに,相違する動作について説明する。まず,呼び出しモード自動切替部23側について説明する。図7は呼び出しモード自動切替部23の動作を説明するフローチャートである。この実施の形態2では,ステップS25(実施の形態1の図5参照)により着信逃し回数(C)が設定値(N)に達したことが判明すると,ステップS26に替わってステップS31の処理が実行される。
【0053】このステップS31では,制御部21に対して現呼び出しモードであるバイブレータモードから鳴音を発するためのアラートモードへの切り替え指示が自動的に送出される。その後,処理はステップS27(図5参照)へ移行する。
【0054】続いて,呼び出しモード自動切替部23の動作に連動する制御部21の動作について説明する。図8は制御部21のモード切替え動作を説明するフローチャートである。この実施の形態2では,ステップS17(実施の形態1の図5参照)により連続着信逃しカウンタ12Bのインクリメント制御が行われた後,呼び出しモード自動切替部23から呼び出しモードの切り換え指示があると(ステップS41),制御部21自身がモード切替部22に対してバイブレータモードからアラートモードへの切り替え制御が行われる(ステップS42)。これにより,モード切替部22では,呼び出しモードとしてアラートモードが選択される。」(6頁9欄4行?10欄3行)
したがって,上記(イ)乃至(ヘ)の摘記事項より,引用例には,
「着信時に,着信音による報知又は振動による報知を行うことが可能な携帯電話装置に於いて,
着信の回数に応じて前記振動による報知から前記着信音による報知に切替える制御部7
を備えたことを特徴とする携帯電話装置。」の発明(以下,「引用例発明」という。)が記載されている。

(2)対比
本願発明と引用例発明を対比する。
引用例発明の「報知」「携帯電話装置」「制御部7」は,本願発明の「通知」「携帯電話機」「制御部」にそれぞれ相当する。
したがって,両者は,
「着信時に,着信音による通知又は振動による通知を行うことが可能な携帯電話機に於いて,
着信の回数に応じて前記振動による通知から前記着信音による通知に切替える制御部
を備えたことを特徴とする携帯電話機。」である点で一致し,以下の点で相違している。
[相違点]
着信の回数を,本願発明では「所定時間内の」着信の回数としているのに対し,引用例発明では,単に着信の回数としている点。

(3)判断
発信者が発呼しても着信者が応じない場合,発信を繰り返すことは普通であり,その場合,発信回数の累積値と単位時間あたり発信回数は,若干異なった意味での緊急性を反映していることは常識といえる。してみると,この常識を加味して,「所定時間内の」着信の回数とすることは,単なる選択というべき事項であって,当業者が容易に想到し得ることである。 したがって,相違点の構成を採用することには格別の困難性がない。

そして,本願発明の作用効果も,引用例発明から当業者が予測できる範囲のものである。

(4)むすび
以上のとおり,本願発明は,引用例発明に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
 
審理終結日 2009-06-25 
結審通知日 2009-06-30 
審決日 2009-07-21 
出願番号 特願平11-224772
審決分類 P 1 8・ 572- Z (H04M)
P 1 8・ 121- Z (H04M)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 西脇 博志  
特許庁審判長 山本 春樹
特許庁審判官 萩原 義則
高野 洋
発明の名称 携帯電話機及び着信制御方法  
代理人 伊藤 壽郎  
代理人 渡邊 弘一  
代理人 眞鍋 潔  
代理人 柏谷 昭司  

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