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審決分類 |
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 H04M 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H04M |
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管理番号 | 1203274 |
審判番号 | 不服2008-6412 |
総通号数 | 118 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2009-10-30 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2008-03-14 |
確定日 | 2009-09-03 |
事件の表示 | 特願2007-150399「情報検索装置、サーバ装置、情報検索方法、及び、サーバ装置の情報検索方法」拒絶査定不服審判事件〔平成20年 1月17日出願公開、特開2008- 11523〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
第1.手続の経緯 本願は、平成15年12月26日に出願した、 特願2003-434490の一部を、平成17年6月2日に新たな特許出願とした、 特願2005-162301の一部を、さらに平成17年10月26日に新たな特許出願とした、 特願2005-310877の一部を、さらに平成19年5月10日に新たな特許出願とした、 特願2007-125922の一部を、さらに平成19年6月6日に新たな特許出願としたものであって、 平成20年2月8日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、同年3月14日に審判請求がなされるとともに手続補正書の提出があったものである。 第2.補正却下の決定 [補正却下の決定の結論] 平成20年3月14日付けの手続補正を却下する。 [理由] 1.本願発明と補正後の発明 上記手続補正(以下、「本件補正」という。)は、 補正前の平成19年9月26日付けの手続補正書に記載された、 「【請求項8】 対象から位置情報を取得する位置情報取得ステップと、 他の通信装置から対象を表す識別情報を取得する情報取得ステップと、 前記情報取得ステップによって取得した識別情報に対応する1以上の対象の位置情報を、前記位置情報取得ステップによって取得した対象の位置情報を1以上記憶させる記憶手段によって記憶させた位置情報から検索するように制御する検索ステップと、 を含む情報検索方法。」 という発明(以下、「本願発明」という。)を、補正前の請求項6を削除することによって繰り上げると共に、 「【請求項7】 対象から位置情報を取得する位置情報取得ステップと、 他の通信装置から対象を表す識別情報を取得する情報取得ステップと、 前記情報取得ステップによって取得した識別情報に対応する1以上の対象の位置情報を、前記位置情報取得ステップによって取得した対象の位置情報を1以上記憶させる記憶手段によって記憶させた位置情報から検索するように制御する検索ステップと、 前記検索ステップによって検索された1以上の位置情報を他の通信装置に送信する送信ステップと、 を含む情報検索方法。」 という発明(以下、「補正後の発明」という。)に補正することを含むものである。 2.補正の適否 (1)新規事項の有無、補正の目的要件 上記補正は、願書に最初に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内において、 「情報検索方法」のステップに、「前記検索ステップによって検索された1以上の位置情報を他の通信装置に送信する送信ステップ」の構成を追加して限定することにより特許請求の範囲を減縮するものであるから、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第3項(新規事項)及び第4項第2号(補正の目的)の規定に適合している。 (2)独立特許要件 上記補正は特許請求の範囲の減縮を目的とするものであるから、上記補正後の発明が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるのかどうかについて以下に検討する。 [補正後の発明] 上記「1.本願発明と補正後の発明」の項で「補正後の発明」として認定したとおりである。 [引用発明] A.原審の拒絶の理由に引用された、特開2003-317191号公報(以下、「引用例」という。)には、「タクシー配車受付方法」として図面とともに以下の事項が記載されている。 イ.「【特許請求の範囲】 【請求項1】 情報通信ネットワークを介して、任意の位置からタクシー配車についての利用者からの依頼を受付け、 地図上の位置でタクシー車両を表示する画像を、利用者に提供することを特徴とするタクシー配車受付方法。 【請求項2】 前記画像は、前記利用者が指定する条件に従って提供することを特徴とする請求項1記載のタクシー配車受付方法。 【請求項3】 前記条件として、前記利用者が自分の位置を指定すると、該位置の周辺の地図上で、車両情報を提供することを特徴とする請求項2記載のタクシー配車受付方法。 【請求項4】 依頼を受けて、タクシーの配車を行うと、依頼した利用者と配車したタクシー車両についての情報を記憶しておき、 前記条件として、タクシーの配車を依頼する利用者が記憶されている利用者であることを示す識別情報を提示すると、記憶に関連するタクシー車両についての情報を提供することを特徴とする請求項2記載のタクシー配車受付方法。」 (2頁1欄) ロ.「【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、タクシーの利用者が携帯電話機などから依頼して配車を受けるためのタクシー配車受付方法に関する。 【0002】 【従来の技術】従来から、タクシーの利用者がタクシー車両を自宅などに呼ぶときは、電話による音声アクセスでタクシー会社に配車を依頼している。タクシー会社では、所属するタクシー車両の現在位置や実車/空車などの動態を、無線通信などによる運転者からの報告や、無線機器が端末機器から自動で取得して行う報告を受けて把握しながら、配車の依頼に応対している。 【0003】タクシー車両などの自動車の位置情報を通知する技術に関して、特開平11-306496号公報には、PHS(Personal Handyphone System)を利用してタクシー車両とタクシー営業所との間で無線通信を行う際に、PHSの電波に含まれる基地局の識別情報(CS-ID)を位置情報として、タクシー車両の現在位置を判断する例が示されている。特開2000-91979号公報には、新車登録時や車検時にナンバープレートや外観などの特徴的な情報をIDコード化して登録するIDチップをすべての車両に義務的に搭載し、追跡の必要があるときに地上局がIDコードに基づくIDチップとの交信で、該当する車両を検出する例が示されている。 【0004】自動車の車両に搭載して運転支援などを行うナビゲーション装置にも、GPS(Global Positioning System)などを利用する現在位置検知機能が備えられている。特開2001-21364号公報には、ナビゲーション装置が検知する位置情報を、電子メールに変換して携帯電話で車両管理センタなどに通知する例が示されている。特開2000-331284号公報には、複数の車両でグループを形成し、各車両がGPSによって位置情報を取得し、携帯電話などを用いて相互の位置を確認して自位置周辺の地図上に表示する例が示されている。特開2000-285382号公報には、ナビゲーション装置に、目的地に到達すると、自車の運行に関する情報を電子メールで送信する機能を備える例が示されている。」 (3頁3欄) ハ.「【0048】 【発明の実施の形態】図1は、本発明の実施の各形態に共通なタクシー配車受付システムの概略的な構成を示す。配車センタ1は、インターネットなどの情報通信ネットワーク上でモームページの形式で情報を提供するwwwサーバ2、電子メールで通知を行うメールサーバ3、インターネット受付システム4、データベース装置5および無線通信設備6などを備えている。 【0049】タクシーの配車を依頼する利用者10は、パーソナルコンピュータ(以下、「PC」と略称する)11、携帯電話機12、またはPDA(Personal DigitalAssistant)などの情報端末13のうちの少なくとも一つは所持し、それを用いてwwwサーバ2の配車受付サイトにアクセスして配車を依頼する。携帯電話機12や情報端末13などのような携帯端末を所持すれば、配車依頼が可能な場所を拡げることができる。乗車者15は、配車を依頼する利用者10とは異なる場合もあり、そのような乗車者15も携帯電話機16や情報端末17を携行する。配車されたタクシー車両の行先20にも、PC21や携帯電話機22が備えられているものとする。 【0050】配車センタ1は、GPSを用いて複数のタクシー車両25,26,…の位置情報、また動態や走行状態などの車両情報を収集しており、利用者10からの依頼を受けると、配車タクシー車両30を決定し、乗車者15が待機する位置などへ向わせる。利用者10が乗車者15と同一であるような場合は、利用者10は自分の位置を指定することによって、インターネットを経由して、自分の位置を中心に地図とタクシー車両25,26,…の位置と、実車や空車などの動態と、さらには走行方向や走行速度も表示させることができる。利用者10は、自分の条件に合致したタクシー車両25,26,…を直接指定することで、配車の依頼を行うことができる。配車タクシー車両30が配車位置や行先20に到着する時点で、メールサーバ3から、利用者10や予め登録してある複数人に、自動的に電子メール31,32,33,…送信することができる。 【0051】図2は、図1のシステムで基本となる配車に関連する手順の概要を示す。ステップs0から手順を開始し、ステップs1では、利用者10がPC11、携帯電話機12、または情報端末13などを介して配車センタ1に配車依頼を行う。ステップs2では、配車依頼に際して、配車や地図などに関する条件指定を行う。地図としては道路地図や住宅地図などを使用することができる。番地などの住所や、ランドマークなどを基準とする指定も可能である。ステップs3では、配車センタ1のwwwサーバ2が条件指定に従って、地図上での配車位置情報を提供する。ステップs4では、利用者10によって配車するタクシー車両の選択が行われる。ステップs2で指定する条件によっては、配車センタ1が配車するタクシー車両の選択を行うこともある。 【0052】・・・(中略)・・・ 【0059】図5は、本発明の実施の第2形態として、利用者10が位置情報を指定してアクセスすると、周辺の空車情報を検索して提供する例を示す。利用者10は、インターネットのプロバイダ42を介して、配車センタ1のWebサーバ4aに接続し、予め登録してある識別情報(ID)やパスワードで、データベース装置5の認証マスタaに基づく認証を受ける。認証を受けると、たとえば現在位置などの位置情報を通知する。配車センタ1のWebサーバ4aは、GW4bを介して自動配車システム50通知された位置情報によって特定される地点の周辺の空車を問い合せる。自動配車システム50は、タクシー車両を検索し、周辺車両情報として、GW4bからWebサーバ4aに回答する。Webサーバ4aは、インターネットを介して、利用者の携帯電話機12の画面12aに、周辺車両情報を画像で表示する。 【0060】図6は、本発明の実施の第3形態として、利用者10が利用者IDを指定してアクセスすると、関連する車両情報を検索して利用者10に提供する例を示す。関連する車両情報は、アクセスする時点で該利用者10に係わるタクシー車両についての情報であり、たとえば配車タクシー車両30である迎車車両の現在位置や、乗車後で行先20に到着前の状態で、現在走行場所を道路地図上で表示することができる。」 (6頁9欄?7頁12欄) 上記引用例の記載及び関連する図面ならびにこの分野における技術常識を考慮すると、 まず、引用例の「タクシー配車受付方法」において、上記ハ.【0050】には、引用例図1に関して、「配車センタ1は、GPSを用いて複数のタクシー車両25,26,…の位置情報、また動態や走行状態などの車両情報を収集しており、」とあるから、 引用例の「タクシー配車受付方法」は、「複数のタクシー車両25,26,…」の「位置情報」を収集する『位置情報収集ステップ』を含むものである。 また、上記ハ.【0051】には、引用例図2に関して、「ステップs1では、利用者10がPC11、携帯電話機12、または情報端末13などを介して配車センタ1に配車依頼を行う。」とあるから、 引用例の「タクシー配車受付方法」は、例えば「利用者10」の「携帯電話機12」から、「配車センタ1」が「配車依頼」を受け付けるものであって、「携帯電話機12」から「配車依頼」を受け付ける『配車依頼受け付けステップ』をも含むものである。 また、上記ハ.【0051】には、引用例図2に関して、さらに、「ステップs2では、配車依頼に際して、配車や地図などに関する条件指定を行う。・・・(中略)・・・ステップs3では、配車センタ1のwwwサーバ2が条件指定に従って、地図上での配車位置情報を提供する。」とあって、 上記ハ.【0059】、【0060】および引用例図5,図6には、上記「条件指定」に関して、引用例の具体的実施例の説明として、 「利用者10が位置情報を指定してアクセスすると、周辺の空車情報を検索して提供する例」、 「利用者10が利用者IDを指定してアクセスすると、関連する車両情報を検索して利用者10に提供する例」の記載があり、 「配車依頼」に際して「条件指定」として指定された、利用者の「位置情報」や「利用者ID」に対応する「周辺の空車情報」や「関連する車両情報」を「検索」するよう制御する『検索ステップ』が記載されているということができ、 ここで、検索される「周辺の空車情報」や「関連する車両情報」とは、上記ハ.【0051】に「地図上での配車位置情報」とあり、摘記はないが引用例図9にも「ここに空車がいます。」と記載があるように、「タクシー車両の位置情報」を含むものであるから、 結局引用例の上記箇所には、『配車依頼に伴う条件指定に対応するタクシー車両の位置情報を検索するよう制御する検索ステップ』が記載されているということができる。 そして、引用例の上記箇所には、「地図上での配車位置情報を提供する。」、「周辺の空車情報を検索して提供する」、「関連する車両情報を検索して利用者10に提供する」ともあって、これらの検索された情報は「携帯電話機12」に「提供」されることは引用例図5,6からも明らかであるので、 引用例には、『前記検索ステップによって検索されたタクシー車両の位置情報を携帯電話機12に提供する提供ステップ』が記載されているということができる。 したがって、上記引用例には以下の発明(以下、「引用発明」という。)が開示されている。 (引用発明) 「複数のタクシー車両25,26,…の位置情報を収集する位置情報収集ステップと、 携帯電話機12から配車依頼を受け付ける配車依頼受け付けステップと、 配車依頼に際しての条件指定に対応するタクシー車両の位置情報を検索するよう制御する検索ステップと、 前記検索ステップによって検索されたタクシー車両の位置情報を携帯電話機12に提供する提供ステップと、 を含むタクシー配車受付方法。」 [対比・判断] 補正後の発明と引用発明を対比すると、 まず、引用発明の「タクシー車両25,26,…」、「収集」、「携帯電話機12」は、補正後の発明の「対象」、「取得」、「他の通信装置」に相当する。 また、引用発明の「携帯電話機12から配車依頼を受け付ける配車依頼受け付けステップ」において、「配車依頼」は、「情報」として構成されるものであり、「受け付ける」という動作も、「配車センタ1」において「情報」を「取得する」ことに他ならないから、補正後の発明の「他の通信装置から情報を取得する情報取得ステップ」の点において一致する。 また、引用発明の「配車依頼に際しての条件指定に対応するタクシー車両の位置情報を検索するよう制御する検索ステップ」において、 「配車依頼」に際しての「条件指定」も、前記「配車依頼受け付けステップ」において取得される「配車依頼」の情報の一部を構成する「情報」であって、補正後の発明の「前記情報取得ステップによって取得した情報」にあたるから、 「前記情報取得ステップによって取得した情報に対応する対象の位置情報を検索するように制御する検索ステップ」の点で一致する。 また、引用発明の「前記検索ステップによって検索されたタクシー車両の位置情報を携帯電話機12に提供する提供ステップ」における「提供」とは、「携帯電話機12」(他の通信装置)に対する情報の提供であるから、情報を他の通信装置に「送信」する「送信ステップ」ということができるものである。 そして、引用発明の「タクシー配車受付方法」は、上記のように「情報」を検索する「検索ステップ」を含むものであるから、「情報検索方法」の一種である。 したがって、両者は以下の点で一致し、また相違している。 (一致点) 「対象から位置情報を取得する位置情報取得ステップと、 他の通信装置から情報を取得する情報取得ステップと、 前記情報取得ステップによって取得した情報に対応する対象の位置情報を検索するように制御する検索ステップと、 前記検索ステップによって検索された位置情報を他の通信装置に送信する送信ステップと、 を含む情報検索方法。」 (相違点1) 「情報取得ステップ」において取得され、「検索ステップ」において検索に用いられる「情報」が、 補正後の発明では「対象を表す識別情報」、「識別情報」であるのに対し、 引用発明では「配車依頼」、「配車依頼に際しての条件指定」である点。 (相違点2) 検索結果として送信される「位置情報」が、補正後の発明では「1以上の対象の位置情報」、「1以上の位置情報」であるのに対し、引用発明では単に「タクシー車両の位置情報」である点。 (相違点3) 「検索ステップ」が、補正後の発明では「前記位置情報取得ステップによって取得した対象の位置情報を1以上記憶させる記憶手段によって記憶させた位置情報から」検索が行われるのに対し、引用発明はその様な構成を備えていない点。 そこで、まず、上記相違点1について検討するに、 そもそも、引用発明における「配車依頼」、「配車依頼に際しての条件指定」も、それに基づいて、「対応するタクシー車両の位置情報を検索する」のであるから、その意味において検索対象の母集団ないし結果となるタクシー車両(対象)を表し、「識別」する「識別情報」と言い得るものであって、相違点1は格別のものではないが、 引用例の上記ハ.【0051】末尾には、「ステップs2で指定する条件によっては、配車センタ1が配車するタクシー車両の選択を行うこともある。」との記載もあり、ここにおける「タクシー車両の選択」も検索ステップに含めることができるものであることを考え合わせれば、引用発明における「配車依頼」、「配車依頼に際しての条件指定」を、補正後の発明の「対象を表す識別情報」、「識別情報」とするのは当業者であれば容易なことに過ぎない。 さらに言うならば、タクシーなどの配車依頼に際しての条件指定として、タクシー会社、運転手など、種々の条件を指定して、対象となるタクシーを選択、識別することは、例えば、特開2003-296887号公報(図4,【0055】、【0060】)、特開2001-307281号公報(【0037】)にもあるように、周知の手法であって、これらの条件指定も「対象を表す識別情報」、「識別情報」と言い得るものであるから、このような周知技術を引用発明に適用して、相違点1にかかる構成を成すことは当業者であれば容易なことに過ぎない。 ついで、上記相違点2について検討するに、 一般に、情報の検索結果が1項目以上得られる場合があるのは、日常周知のことであるが、 引用発明においても、最初の「位置情報収集ステップ」で取得される「タクシー車両の位置情報」は「複数」あるのであるから、これを検索した場合、「配車依頼に際しての条件指定」の内容や、タクシー車両の走行状況によっては複数、すなわち「1以上の対象の位置情報」が得られることとなり得るのは自明なことに過ぎず、相違点2も格別のことではない。 上記相違点3について検討するに、 一般に、情報の検索を行う際に、検索の母集団となる対象の情報項目を、予めデータベースなどの記憶手段に検索がしやすいように整理して記憶しておき、そこから検索することは、周知の手法であるが、 引用発明におけるようなタクシーの配車受付の際の位置情報の検索においても、タクシーの位置情報の管理のためのデータベースやセンターのような記憶手段が設けられることは、上記相違点1の検討で挙げた周知例にもあるように周知の技術である。 (特開2003-296887号公報(図1の「タクシー位置情報DB18」、【0037】参照)、特開2001-307281号公報(図1の「位置情報センター5」参照) このような周知技術を引用発明に適用して、相違点3にかかる構成を成すことは当業者であれば容易なことに過ぎない。 また、補正後の発明が奏する効果も前記引用発明及び周知技術から容易に予測出来る範囲内のものである。 よって、補正後の発明は引用発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明できたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。 3.結語 以上のとおり、本件補正は、補正後の発明が特許出願の際独立して特許を受けることができないものであるから、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に適合していない。 したがって、本件補正は、特許法第159条第1項において準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 第3.本願発明について 1.本願発明 平成20年3月14日付けの手続補正は上記のとおり却下されたので、本願発明は上記「第2.補正却下の決定」の項中の「1.本願発明と補正後の発明」の項で「本願発明」として認定したとおりである。 2.引用発明 引用発明は、上記「第2.補正却下の決定」の項中の「(2)独立特許要件」の項中の[引用発明]で認定したとおりである。 3.対比・判断 本願発明は上記補正後の発明から本件補正に係る限定を省いたものである。 そうすると、本願発明の構成に補正に係る限定を付加した補正後の発明が、上記「第2.補正却下の決定」の項中の「(2)独立特許要件」の項で検討したとおり、引用発明及び周知技術に基づいて容易に発明できたものであるから、本願発明も同様の理由により、容易に発明できたものである。 4.むすび 以上のとおり、本願発明は、上記引用発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものと認められるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2009-06-26 |
結審通知日 | 2009-06-30 |
審決日 | 2009-07-21 |
出願番号 | 特願2007-150399(P2007-150399) |
審決分類 |
P
1
8・
575-
Z
(H04M)
P 1 8・ 121- Z (H04M) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 小林 勝広 |
特許庁審判長 |
石井 研一 |
特許庁審判官 |
山本 春樹 柳下 勝幸 |
発明の名称 | 情報検索装置、サーバ装置、情報検索方法、及び、サーバ装置の情報検索方法 |
代理人 | 大澤 敬 |
代理人 | 大澤 豊 |