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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G01N 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 G01N |
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管理番号 | 1203359 |
審判番号 | 不服2007-33003 |
総通号数 | 118 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2009-10-30 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2007-12-06 |
確定日 | 2009-09-10 |
事件の表示 | 平成 8年特許願第310842号「部品検査装置」拒絶査定不服審判事件〔平成10年 6月 9日出願公開、特開平10-153557〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本願は、平成8年11月21日の特許出願であって、平成19年10月31日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、同年12月6日に拒絶査定不服審判の請求がなされるとともに、平成20年1月7日付けで手続補正がなされたものである。さらに、平成21年1月21日付けで審尋がなされ、回答書が同年3月26日付けで請求人より提出されたものである。 第2 平成20年1月7日付けの手続補正(以下、「本件補正」という。)についての補正却下の決定 [補正却下の決定の結論] 本件補正を却下する。 [理由] 1 補正後の請求項1に記載された発明 本件補正により、特許請求の範囲の請求項1は、特許請求の範囲の減縮を目的として次のとおりに補正された。 「【請求項1】 基板上の複数の検査対象部品の撮影画像を取り込んで該部品の良否を判定する部品検査装置において、 該部品検査装置におけるデータ構造は、 前記複数の検査対象部品の名称を表す複数の部品名コードと、 撮影画像を取り込んで行う部品検査上区別すべき部品種別を表わす情報を有する複数の部品別コードと、 前記複数の検査対象部品の検査データを作成するための複数の検査用ライブラリデータを含み、 前記複数の部品別コードが、前記部品種別を表わす情報に基づいて、前記複数の部品名コードに対応付けられており、かつ、 前記複数の検査用ライブラリデータが、前記部品別コードの有する部品種別を表わす情報に基づいて、前記複数の部品別コードに対して再割り付け可能に割り付けられることを特徴とする部品検査装置。」(下線は補正箇所を示す。以下、「補正発明」という。) なお、対応する特定はないが「前記部品名コードのそれぞれに対して選択され、前記検査対象部品の検査データが形成される」ことは自明な事項と言えるから、拡張にあたらない。 そこで、本願の補正後の上記請求項1に係る発明が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に適合するか)否かについて、以下に検討する。 2 引用刊行物およびその記載事項 本願出願前に頒布され、原査定の拒絶の理由に引用された刊行物である特開平4-307313号公報(以下、「刊行物1」という。)には、「プリント板ユニットの検査支援システム」について、図面とともに次の事項が記載されている。 (1-ア) 「【特許請求の範囲】 【請求項1】検査を行うべきプリント板ユニット(PU)に搭載された部品(PT)についての部品データを格納した部品データ格納手段(15)と、前記部品データに基づいてプリント板ユニット(PU)の外観図を画面(12a)に表示するための表示手段(12)と、前記外観図に表示された部品(PT)に対してチェック確認入力を行うためのチェック確認入力手段(14)と、チェック確認入力が行われた部品(PT)の表示状態を変更するための確認変更手段(23)とを有してなることを特徴とするプリント板ユニットの検査支援システム。」(2頁左欄1?12行) (1-イ) 「【0001】 【産業上の利用分野】本発明は、SMD(表面実装部品)などが搭載されたプリント板ユニットの外観検査を支援するための検査支援システムに関する。」 (1-ウ) 「【0005】 【従来の技術】プリント板ユニットにおける部品の実装不良は、自動装着機のデータ作成ミス、自動装着機の部品の段取り替え時の装着ミス、その他種々の原因によって生じるが、このような不良を発見するため、検査員の目視によってプリント板ユニットの外観検査が行われている。」 (1-エ) 「【0009】因みに、検査員が目視する代わりに、ITV(工業用カメラ)を用いて自動的に検査を行うことも考えられているが、部品の小型化にともなって部品に印刷されている部品型格などの自動判別が極めて困難であるため、検査コストが非常に高くつくとともに、自動検査のみでは対処できないのが現状である。」 (1-オ) 「【0018】 【実施例】図1は本発明に係る検査支援システム1の構成を示すブロック図である。 【0019】検査支援システム1は、処理部11、画面12aを有した表示部12、キーボード13、マウス14、メモリ15などから構成されている。 【0020】処理部11は、部品表示処理部21、開始変更部22、確認変更部23、及びワークメモリなどを有しており、検査支援システム1の全体を制御する。」 (1-カ) 「【0026】メモリ15は、フロッピィディスクなどのメモリ媒体を介して、又は上位装置16からのデータ転送によって、検査を行うべきプリント板ユニットPUに搭載された部品PTについての種々の部品データを格納する。 【0027】メモリ15には、部品データとして、CADデータDTC、部品ライブラリPTL、及び部品テーブルPTTが格納されている。 【0028】CADデータDTCは、各プリント板ユニットPU毎に、それぞれのプリント板ユニットPUに装着される多数の部品PTについて、プリント板への装着位置を示す各部品PTの中心の座標値、及びその姿勢を示す基準位置からの回転角度値を、それぞれの部品番号及び型格とともに示すデータである。CADデータDTCは、自動装着機を作動させるためのNCデータであり、データ形式を適当に変換した後に用いられる。 【0029】部品ライブラリPTLは、外形の異なる種々の部品について部品ライブラリ番号をそれぞれ付与し、それぞれの部品ライブラリ番号について、外形寸法、ピン数、ピンピッチ、部品種別(チップ、SOP、QFPなど)、1番ピンを基準とする基準位置などのデータを登録したものである。 【0030】部品テーブルPTTは、多数の部品の型格から部品ライブラリ番号を参照するためのテーブルである。 【0031】ここで、部品とは、例えば、抵抗器、コンデンサ、半導体素子、集積回路素子、その他の素子などである。型格とは、それぞれの部品についての型番や記号を示すものであり、型格が決まれば外観形状も決まる。部品番号とは、回路図上において重複しないようにそれぞれの部品に付与された番号又は記号、例えばR1、R2、C1、TR1などである。 【0032】したがって、部品の型格が与えられると、部品テーブルPTTによって部品ライブラリ番号が得られ、これに基づいて、部品ライブラリPTLによって外形寸法などが得られる。」 そうすると、これらの記載と図面を総合すると、刊行物1には、次の発明が記載されていると認められる。 「プリント板ユニット(PU)に搭載された部品(PT)についての部品データを格納した部品データ格納手段(15)と、外観図に表示された部品(PT)に対してチェック確認入力を行うためのチェック確認入力手段(14)とを有してなるプリント板ユニットの検査支援システムにおいて、 部品データとして、 多数の部品PTについて、プリント板への装着位置を、それぞれの部品番号及び型格とともに示すデータである、CADデータDTCと、 外形の異なる種々の部品について部品ライブラリ番号をそれぞれ付与し、それぞれの部品ライブラリ番号について、外形寸法、部品種別などのデータを登録した部品ライブラリPTLと、 多数の部品の型格から部品ライブラリ番号を参照するためのテーブルである部品テーブルPTTと、が格納されているプリント板ユニットの検査支援システム」(以下、「引用発明」という。) 3 当審の判断 (1)対比 引用発明と補正発明とを対比すると、その構造・機能からみて、引用発明の「部品番号」および「部品ライブラリPTL」は、それぞれ、補正発明の「部品名コード」および「検査用ライブラリデータ」に相当することが明らかである。 また、引用発明の「プリント板ユニット(PU)に搭載された部品(PT)についての部品データを格納した部品データ格納手段(15)と、外観図に表示された部品(PT)に対してチェック確認入力を行うためのチェック確認入力手段(14)とを有してなるプリント板ユニットの検査支援システム」と、補正発明の「基板上の複数の検査対象部品の撮影画像を取り込んで該部品の良否を判定する部品検査装置」とは、引用発明が、部品(PT)に対してチェック確認入力を行うためのチェック確認入力手段を有する、つまり、部品の良否を判定しているから、「基板上の複数の検査対象部品の良否を判定する部品検査装置」である点で共通する。 また、上記(1-カ)の【0031】によれば、引用発明の「型格」は、「それぞれの部品についての型番や記号を示すものであり、型格が決まれば外観形状も決まる」のであるから、補正発明の「部品検査上区別すべき部品種別を表わす情報を有する」「部品別コード」に相当するといえる。 また、引用発明においては「部品番号」と「型格」が対応しているので、引用発明の「多数の部品PTについて、プリント板への装着位置を、それぞれの部品番号及び型格とともに示すデータである、CADデータDTC」は、補正発明の「前記複数の部品別コードが、前記部品種別を表わす情報に基づいて、前記複数の部品名コードに対応付けられており」に相当する。 そうすると、両者は、 (一致点) 「基板上の複数の検査対象部品の良否を判定する部品検査装置において、 該部品検査装置におけるデータ構造は、 前記複数の検査対象部品の名称を表す複数の部品名コードと、 部品検査上区別すべき部品種別を表わす情報を有する複数の部品別コードと、 前記複数の検査対象部品の検査データを作成するための複数の検査用ライブラリデータを含み、 前記複数の部品別コードが、前記部品種別を表わす情報に基づいて、前記複数の部品名コードに対応付けられている、部品検査装置。」 である点で一致し、以下の点で相違するといえる。 (相違点1) 「基板上の複数の検査対象部品の良否」「判定」について、補正発明では「検査対象部品の撮影画像を取り込んで」「判定する」に対して、引用発明では単一の「外観図に表示された部品(PT)に対してチェック確認入力を行う」点。 (相違点2) 「検査用ライブラリデータ」について、補正発明では前記複数の部品別コードに対して再割り付け可能に割り付けられる」のに対し、引用発明では「再割り付け可能に割り付けられる」点について特定されていない点。 (2)相違点についての判断 まず、相違点1を検討するに、 例えば、特開平5-35849号公報(図1、【0010】、【0013】、【0016】、【0018】等参照)には、「カラーテレビカメラからの画像を、デジタル信号に変換し、良否などを判定部で判定する」ことが記載されているように、「検査対象部品の撮影画像を取り込んで」「判定する」技術は周知である。 してみると、引用発明において、上記周知技術を採用して相違点1における補正発明の構成とすることは、当業者ならば何ら困難性なく、容易に想到し得る事項であるといえる。 次に、相違点2を検討するに、 引用発明の「部品テーブルPTT」は、多数の部品の「型格」から「部品ライブラリ番号」を参照するためのテーブルである。 一般に、情報処理装置におけるテーブルはデータのリンクを規定するものであり、テーブルを書き換えることにより関連するデータのリンクを一度に変え、再割り付けすることは技術常識である。 したがって、共に部品テーブルPTTのデータである「型格」と「部品ライブラリ番号」は、再割り付け可能であるから、相違点2は実質的な相違点とはいえない。 そして、本願明細書に記載された効果も、引用発明および周知技術ならび上記技術常識から、当業者が予測し得る範囲のものであり、格別顕著なものといえない。 したがって、補正発明は、本願出願前に国内において頒布された上記刊行物1に記載された発明および周知技術ならび上記技術常識に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるというべきであり、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。 4 まとめ 以上のとおりであるから、本件補正は、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に違反するので、同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により、却下すべきものである。 第3 本願発明について 1 本願発明 本件補正は、上記のとおり却下されることとなるので、本願の請求項1ないし2に係る発明は、平成19年4月24日付けの手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし2に記載された事項により特定されたものであって、その請求項1に係る発明は、次のとおりであると認める。 「【請求項1】 基板上の検査対象部品の撮影画像を取り込んで該部品の良否を判定する部品検査装置において、 該部品検査装置におけるデータ構造は、 前記検査対象部品の名称を表す部品名コードと、 前記検査対象部品の、撮影画像を取り込んで行う部品検査上区別すべき部品種別を表わす情報を有し、該部品種別を表わす情報に基づいて、前記部品名コードのそれぞれに対応付けられる部品別コードと、 前記検査対象部品の検査データを作成するための検査用ライブラリデータとを含み、 前記検査用ライブラリデータが、前記部品別コードの有する部品種別を表わす情報に基づいて、前記部品名コードのそれぞれに対して選択され、前記検査対象部品の検査データが形成されることを特徴とする部品検査装置。」(以下、「本願発明」という。) 2 引用刊行物およびその記載事項 本願出願前に頒布され、原査定の拒絶の理由に引用した刊行物1およびその記載事項は、上記「第2 2」に記載したとおりである。 3 当審の判断 本願発明は、上記「第2 1」において検討した補正発明の限定を解除したものである。 そうすると、本願発明は、補正発明の構成要件を全て含むものであって、上記「第2 3」において検討したとおり、補正発明が刊行物1に記載された発明および周知技術ならび上記技術常識に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、同様の理由により、刊行物1に記載された発明および周知技術ならび上記技術常識に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるというべきである。 第4 回答書について 平成21年3月26日付け回答書において、請求人は「本願の部品別コードは、型式に含まれる情報から選ばれた場合も多く、部品別コードは型式に含まれる情報である場合が多いことに異存はありませんが、外観形状把握に必要なデータによって構成されていることにより情報量を極端に減らすことができます。すなわち、部品の外観情報=「検査対象部品の形状などの情報の他に、(白)、(黒)などの部品の色別情報などの部品情報を表わす情報」によって構成されることにより情報量を極端に減らすことができ、効率の良い検査が可能となります。 」と述べている(本願明細書、刊行物1、前置報告書のいずれにも「型式」との用語は、記載されていないのと、文章の流れから、「型式」は「型格」の誤記と認める。)。 しかしながら、請求項1記載の部品別コードは「撮影画像を取り込んで行う部品検査上区別すべき部品種別を表わす情報を有する」「部品別コード」であるから、情報量との関係は特定されておらず、「撮影画像を取り込んで行う部品検査上区別すべき部品種別を表わす情報を有」してさえいれば良いのであるから、採用しない。 また、補正案も情報量に関して限定していないから採用できない。 第5 まとめ 以上のとおり、本願発明は、本願出願前に頒布された刊行物1に記載された発明および周知技術ならび上記技術常識に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 したがって、その他の請求項について言及するまでもなく、本願出願は拒絶されるべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2009-07-08 |
結審通知日 | 2009-07-14 |
審決日 | 2009-07-28 |
出願番号 | 特願平8-310842 |
審決分類 |
P
1
8・
121-
Z
(G01N)
P 1 8・ 575- Z (G01N) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 平田 佳規 |
特許庁審判長 |
岡田 孝博 |
特許庁審判官 |
小島 寛史 信田 昌男 |
発明の名称 | 部品検査装置 |
代理人 | 野口 忠夫 |
代理人 | 丹羽 宏之 |