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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 E04F
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 E04F
管理番号 1203490
審判番号 不服2006-28169  
総通号数 118 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2009-10-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2006-12-14 
確定日 2009-09-08 
事件の表示 特願2003-147993「静電気防止のタイル」拒絶査定不服審判事件〔平成16年 1月29日出願公開、特開2004- 27829〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成15年5月26日(パリ条約による優先権主張 平成14年5月27日)の出願であって、平成18年8月25日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、同年12月14日に拒絶査定に対する審判請求がなされるとともに、平成19年1月11日付けで手続補正がなされたものである。
その後、平成20年5月1日付けで、審判請求人に前置報告書の内容を示し意見を求めるための審尋を行ったところ、平成21年1月16日に上申書が提出された。

第2 平成19年1月11日付けの手続補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成19年1月11日付けの手続補正(以下、「本件補正」という。)を却下する。

[理由]
1.補正の内容及び補正後の本願発明
本件補正は、補正前の特許請求の範囲の請求項2、3を削除し、請求項4ないし9を項番を繰り上げて請求項2ないし7にするとともに、請求項1及び2(補正前の請求項4)を次のように補正しようとする補正事項を含むものである。
「【請求項1】
合成樹脂材のタイル本体、前記タイル本体の上部に具備されて合わせられるカラー印刷フィルム、前記カラー印刷フィルムの上部に具備されて合わせられる透明フィルムで構成される合成樹脂のタイルにおいて、
前記タイル本体の下部に、厚さがタイル本体より薄く前記タイル本体と一体に成形されたカーボン被覆フィルム、又は厚さがタイル本体より薄く前記タイル本体と一体に成形されたカーボンフィルムを具備することを特徴とする静電気防止のタイル。
【請求項2】
前記タイル本体とカラー印刷フィルムとの間にも、厚さがタイル本体より薄く前記タイル本体及びカラー印刷フィルムと一体に成形されたカーボンフィルムをさらに具備することを特徴とする請求項1に記載の静電気防止のタイル。」

上記補正事項は、本願の補正前の請求項1に記載の「カーボン被覆フィルム」又は「カーボンフィルム」について、「タイル本体と一体に成形された」ものに限定し、補正前の請求項4に記載の「カーボンフィルム」について「タイル本体及びカラー印刷フィルムと一体に成形された」ものに限定するものであって、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
そこで、本件補正後の請求項2に係る発明が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるかについて以下検討する。

請求項1を引用する請求項2に係る発明は、次の事項により特定されるものと認める。
「合成樹脂材のタイル本体、前記タイル本体の上部に具備されて合わせられるカラー印刷フィルム、前記カラー印刷フィルムの上部に具備されて合わせられる透明フィルムで構成される合成樹脂のタイルにおいて、
前記タイル本体の下部に、厚さがタイル本体より薄く前記タイル本体と一体に成形されたカーボン被覆フィルム、又は厚さがタイル本体より薄く前記タイル本体と一体に成形されたカーボンフィルムを具備し、
前記タイル本体とカラー印刷フィルムとの間にも、厚さがタイル本体より薄く前記タイル本体及びカラー印刷フィルムと一体に成形されたカーボンフィルムをさらに具備することを特徴とする静電気防止のタイル。」(以下、「本願補正発明」という。)

2.刊行物及びその記載内容
刊行物1:特開昭61-152877号公報
刊行物2:特開平5-331996号公報
刊行物3:特開平11-315593号公報

本願出願前に頒布された上記刊行物1には、図面とともに、次のことが記載されている。
(1a)「1.架橋ポリ塩化ビニル表面層と、該表面層の下側に導電性層および基材を設けたことを特徴とする制電性床材。
・・・
3.合成樹脂に導電性物質を添加した導電性層と芯材層が密着形成された特許請求の範囲第1項の制電性床材。」(特許請求の範囲)、
(1b)「(産業上の利用分野)
本発明は制電性と耐久性を具備した床材でコンピユーター等の電子機器を設置したオフイス及び工場一般、とくに電子部品または製品を製造する工場等の静電気対策の必要な床に適した制電性床材である。」(1頁左下欄15行?右下欄1行)、
(1c)「第1図において、1は表面層で架橋されたポリ塩化ビニル樹脂(PVC)から構成され、2は導電性層、3は基材である。」(2頁右上欄1?3行)、
(1d)「1の表面層としては、例えばPVCペースト樹脂100重量部に対し可塑剤30?100重量部配合して、所望により顔料で着色し、・・・150?250℃で2?5分間加熱すればよい。・・・顔料はPVCペースト層を着色し、かつ下地を隠蔽する程度配合するのが適当で0.3?1.8mmの厚さが望ましい。」(2頁右上欄4?17行)、
(1e)「導電性層2として例示すると炭素繊維・金属繊維等の導電性繊維、カーボンブラック、金属粉等を軟質PVC等の熱可塑性樹脂組成物中に50?200重量%混合分散させた層、・・・、その他の公知の方法で得られたシートがあげられる。・・・
本願導電性層は上記構成に限定されない。なお上記導電性層は0.1?0.5mmが望ましい。」(2頁右上欄18行?左下欄12行)、
(1f)「基材3はPVCの他、・・・通常の非架橋樹脂で軟質の従来床材用裏打ち材として使用されている合成樹脂とフエルト等の繊維基材を使用することができ0.5?1.5mmが適当である。」(2頁左下欄13?18行)、
(1g)「実施例1
予め配合Bのペーストを含浸させた炭素繊維が20g/m^(2)、ガラス繊維が10g/m^(2)の割合で混抄された0.4mm厚さの不織布からなる導電性層(面抵抗10Ω□)を得た。
剥離紙上にlmmの厚さの非架橋性樹脂の(基材となる)配合AのPVCペースト層を形成し、この基材層を遠赤外ヒーターで加熱プリゲルさせ、この時の予熱で前記導電性層を貼り合せた後、配合Cからなる架橋PVCペーストを表面層として0.6mm厚さでコーテイングし、
220℃で加熱架橋させるとともに基材を固化させて剥離紙を除き2.0mm厚の本発明制電性床材を得た。」(3頁右上欄11行?左下欄4行)、
(1h)「実施例3
基材となる厚さ1.1mmの非架橋PVCシートとガラス不織布と厚さ0.25mmの配合Aに導電性カーボンブラツク50部を添加した導電性層(面抵抗値15Ω□)と厚さ0.5mmの接着層付PVC架橋フイルムを140℃で熱圧積層して2.0mmの本発明床材を得た。・・・
得られた結果より本発明床材は従来の制電性床材と比べて物理的性能が優れ、制電性も向上したことが理解される。」(3頁右下欄3行?4頁左下欄3行)。
上記記載事項(1f)(1d)によれば、基材の厚さ0.5?1.5mmに対して導電性層の厚さ0.1?0.5mmであり、上記記載事項(1h)によれば、実施例3では、基材の厚さ1.1mmに対し導電性層の厚さは0.25mmであるから、刊行物1には、導電性層の厚さを基材より薄くすることが示されているといえる。
したがって、上記(1a)ないし(1h)の記載及び図面の記載によれば、刊行物1には次の発明が記載されていると認められる。
「非架橋樹脂を含む基材、基材の上部に具備される、導電性カーボンブラックを添加した熱可塑性樹脂製で厚さ0.1?0.5mmの導電性層、導電性層の上部に具備される、顔料で着色した架橋されたポリ塩化ビニルで厚さ0.3?1.8mmの表面層、からなる制電性床材であって、
導電性層は、厚さが基材より薄く、基材に熱圧積層されてなる制電性床材。」(以下、「刊行物1記載の発明」という。)

同じく、上記刊行物2には、図面とともに、次のことが記載されている。
(2a)「【請求項1】 透明表面層下に模様層が、該模様層下に上部補強層が積層され、該補強層下に上部重量付与層と下部重量付与層が形成され、上記上部重量付与層と下部重量付与層間に下部補強層と物性改良層が積層されていることを特徴とする置き敷き床タイル。
【請求項2】 透明表面層、上部または下部補強層、上部または下部重量付与層および物性改良層の少なくとも1つが帯電防止性である請求項1記載のタイル。」(特許請求の範囲)、
(2b)「【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、寸法及び形状安定性ならびに耐久性、特に椅子のしごきに対する耐久性が優れた、二重床上に使用できる置き敷きタイル(以下LLTと称する)に関する。」、
(2c)「【0010】透明表面層1直下に模様層2が積層される。模様層2は下記の補強層を構成するガラス不織布やビニルシートおよびこの複合体に転写印刷、スクリーン印刷、グラビア印刷等の方法でPVCやアクリル樹脂、UV樹脂などの0.05?0.30mmのインキ印刷層を形成することによって得られる。なお上記印刷インキに発泡剤等を含有させて発泡してもよい。」、
(2d)「【0012】本願において模様層2下に上部補強層5を構成する繊維層3が形成される。・・・
【0013】上部補強層5を形成するために、上記繊維層3直下にPVCペーストやSBRラテックス、液状ポリウレタン樹脂、アクリルエマルジョン等の液状樹脂を含浸させるとともに、含浸層4を形成させる。」、
(2e)「【0015】上部補強層5下に上部重量付与層6が形成される。上部重量付与層は本発明LLTに自重を与えるための層であり、・・・充填剤がPVC等の熱可塑性樹脂100重量部に対し、100?350部と比較的多量充填されている。・・・
【0016】本願発明においては上部重量付与層下に下部重量付与層が形成され、上部重量付与層と下部重量付与層の間に下部補強層と物性改良層が積層される。」、
(2f)「【0019】物性改良層は積層体の中心となる部分で・・・帯電防止に寄与する他、種々の物性改良の中心的な位置にある。」、
(2g)「【0028】上部および下部補強層、上部および下部重量付与層、もしくは物性改良層に帯電防止性能を付与するときは、上記界面活性剤の他、導電性カーボンブラック(ケッチェンブラック)、・・・その他の導電性繊維を添加してもよい。特に、物性改良層中に帯電防止剤や導電性物質を添加することにより、顕著な帯電防止効果が得られ、・・・人体帯電圧を1000V以下を初めて達成できた。」、
(2h)「【0030】本発明LLTの製造方法については、例えば離型布等の剥離性基材に、下部重量付与層、下部補強層、物性改良層、上部重量付与層、上部補強層、模様層、透明表面層を各々プリゲル化後、順次積層をした後ゲル化し、一体化するか、または適宜、2層、または3層毎分割してプリゲル積層後全体をゲル化加熱し積層一体化してもよい。」。

同じく、上記刊行物3には、図面とともに、次のことが記載されている。
(3a)「【請求項1】 多孔質無機芯材の表側面又は裏側面の少なくとも一方に,熱硬化性樹脂および無機質繊維からなる補強層を設けてなる耐火性複合建築材料であって,該耐火性複合建築材料は,電磁波シールド層を有していることを特徴とする耐火性複合建築材料。
・・・
【請求項4】 請求項1において,上記電磁波シールド層は,導電性フィラーと樹脂とからなる複合シートであることを特徴とする耐火性複合建築材料。
【請求項5】 請求項4において,上記導電性フィラーは,鉄,銅,アルミニウム,ステンレス,黄銅,亜鉛,カーボンのグループから選ばれる1種又は2種以上からなる粉末であることを特徴とする耐火性複合建築材料。」、
(3b)「【0001】
【技術分野】本願発明は,建築材料などに用いられる耐火性複合建築材料とこれを用いた耐火性複合床材に関するものであって,耐火性および床材としての強度を有し,フリーアクセスフロアー(以下,「FAフロアー」という。)に使用される複合建築材料に関する。」、
(3c)「【0012】また,上記電磁波シールド層は,導電性フィラーと樹脂とからなる複合シートであることが好ましい。・・・複合シートに含まれている導電性フィラーは,例えば,鉄,銅,アルミニウム,ステンレス,黄銅,亜鉛,カーボン等のグループから選ばれる1種又は2種以上からなる粉末であり,また,樹脂としては,例えば,フェノール,・・・を用いることができる。また,上記電磁波シールド層は,金属箔,導電性フィラーと樹脂とからなる複合シートなどの導電性シート状物質か,または導電性塗料等を塗布したものでもよい。」、
(3d)「【0013】電磁波シールド層は,耐火性複合建築材料の少なくとも一方の面に設けることができる。耐火性複合建築材料の表面は,一般に化粧層が形成されるため,電磁波シールド層を裏面に設けることが好ましい。」。

3.対比
本願補正発明と刊行物1記載の発明とを対比すると、刊行物1記載の発明の「非架橋樹脂」、「基材」、「導電性カーボンブラックを添加した熱可塑性樹脂で厚さ0.1?0.5mmの導電性層」は、本願補正発明の「合成樹脂」、「本体」、「カーボンフィルム」に相当する。
また、刊行物1記載の発明の「タイル」と本願補正発明の「床材」は、「床材」である点で共通し、刊行物1記載の発明の「制電性」とは「静電防止」作用を有することを意味していることは明らかである。
さらに、刊行物1記載の発明の「顔料で着色した架橋されたポリ塩化ビニルで厚さ0.3?1.8mmの表面層」と本願補正発明の「カラー印刷フィルム」及び「透明フィルム」とは、「上部フィルム層」である点で共通する。
本願補正発明の「一体に成形」について、明細書の段落【0028】に「これらの各層は熱ローラによって熱圧着することによって一体で成形される。」と記載されているところ、刊行物1記載の発明の「導電性層」は、「床材」及び「表面層」と熱圧積層されているものであるから、「床材及び上部層と一体に成形されている」といえる。

したがって、両者は、
「合成樹脂材の床材本体と、前記床材本体の上部に具備して合わせられる上部フィルム層で構成される合成樹脂の床材において、
床材本体と上部フィルム層との間に、厚さが床材本体より薄く床材本体及び上部フィルム層と一体に成形されたカーボンフィルムをさらに具備する静電気防止の床材。」
である点で一致し、次の点で相違する。

相違点1:床材が、本願補正発明では「タイル」であるのに対し、刊行物1記載の発明は「タイル」か否か不明な点。
相違点2:上部フィルム層が、本願補正発明では、「カラー印刷フィルム」と、該カラー印刷フィルムの上部に具備されて合わせられる「透明フィルム」であるのに対し、刊行物1記載の発明では、顔料で着色した架橋されたポリ塩化ビニルの表面層である点。
相違点3:本願補正発明では、タイル本体の下部に「厚さがタイル本体より薄く前記タイル本体と一体に成形されたカーボン被覆フィルム又はカーボンフィルムが設けられるのに対し、刊行物1記載の発明では、タイル本体の下部にカーボン被覆フィルム又はカーボンフィルムを設けていない点。

4.判断
相違点1について検討すると、刊行物1記載の発明は、コンピューター等の電子機器を設置したオフィス及び工場で使用されるものであるところ、このような場所で使用される床材を、「タイル」状とすることは刊行物2に記載されているように周知であり、刊行物1記載の発明の床材を「タイル」とすることは当業者であれば適宜なしうることである。

相違点2について検討すると、刊行物2には、タイル基材の上部に模様層と透明フィルム層を積層し、床材の模様や色を形成すること、模様層はビニルシート等にインキ印刷層を形成すること、すなわちカラー印刷フィルムとすることが記載されており、刊行物1記載の発明において、基材上部の表面層を顔料で着色させた層とすることに代えて、カラー印刷フィルムとその上部の透明フィルム層とすることは当業者が容易になしうることである。

相違点3について検討すると、刊行物2には、タイルを構成する層のうちのどの層を帯電防止機能を有する層としてもよいことが示され、タイル本体に相当する「上下部の重量付与層」の間に、帯電防止機能を有する物性改良層を設けることの他に、タイルの最下層である「下部重量付与層」を帯電防止層とすることも示されている(記載事項(2g))。
また、刊行物3には、電磁シールドを目的として、床材本体の下部に導電性フィラーと樹脂からなる層を設けることが記載されている。
そうすると、刊行物1記載の発明において、帯電防止及び電磁波遮断を目的としてカーボンフィルムを本体の下部にも設けることは刊行物2、3に基づいて当業者が容易に想到しうることである。
また、合成樹脂シートと導電性フィルムを含む積層体を熱圧着により一体に成形することは刊行物1、2に記載されているように周知の技術であり、カーボンフィルムとタイル本体を一体成形することは適宜なしうることである。
さらに、導電性のカーボンフィルムをタイル本体より薄くすることは刊行物1に示されており、タイル本体の下部に設ける場合にもタイル本体より薄くすることは適宜なしうることである。

そして、表面層にカーボンが含まれないためカーボンが出てこないで静電気の効果が均一に現れる、薄いカーボンフィルムを使用することで静電気防止のタイルを安く製造することができる等の本願補正発明の作用効果は、刊行物1記載の発明及び刊行物2、3に記載された技術から、当業者が予測することができる程度のことであって格別のものとは認められない。
したがって、本願補正発明は、刊行物1記載の発明及び刊行物2、3に記載された技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

5.むすび
以上のとおり、本件補正は、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

第3 本願発明について
1.本願発明
平成19年1月11日付けの手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の特許請求の範囲の1ないし9に係る発明は、平成18年2月21日付け手続補正書により補正された明細書の特許請求の範囲の請求項1ないし9に記載された事項により特定されるとおりのものであり、そのうち請求項1を引用する請求項4に係る発明は次の事項により特定されるものと認める。
「合成樹脂材のタイル本体、前記タイル本体の上部に具備されて合わせられるカラー印刷フィルム、前記カラー印刷フィルムの上部に具備されて合わせられる透明フィルムで構成される合成樹脂のタイルにおいて、
前記タイル本体の下部に、厚さがタイル本体より薄いカーボン被覆フィルム又は厚さがタイル本体より薄いカーボンフィルムを具備し、
前記タイル本体とカラー印刷フィルムとの間にも、厚さがタイル本体より薄いカーボンフィルムをさらに具備することを特徴とする静電気防止のタイル。」(以下、「本願発明」という。)

2.刊行物及びその記載内容
原査定の拒絶の理由に引用され本願出願前に頒布された刊行物1ないし3及びその記載内容は、前記「第2 2.」に記載したとおりである。

3.対比・判断
本願発明は、前記「第2」で検討した本願補正発明からタイル本体の下部の「カーボン被覆フィルム」又は「カーボンフィルム」の限定事項である、「タイル本体と一体に成形された」との事項を省略し、タイル本体とカラー印刷フィルムとの間の「カーボンフィルム」の限定事項である「タイル本体及びカラー印刷フィルムと一体に成形された」との事項を省略したものである。
そうすると、本願発明の特定事項を全て含み、さらに他の特定事項を付加したものに相当する本願補正発明が、前記「第2 4.」に記載したとおり、刊行物1記載の発明及び刊行物2、3に記載された技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、同様の理由により、刊行物1記載の発明及び刊行物2、3に記載された技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。

4.むすび
以上のとおりであるから、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであり、本願の他の請求項に係る発明を検討するまでもなく、本願は拒絶をすべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2009-02-26 
結審通知日 2009-03-24 
審決日 2009-03-26 
出願番号 特願2003-147993(P2003-147993)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (E04F)
P 1 8・ 575- Z (E04F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 大谷 純  
特許庁審判長 山口 由木
特許庁審判官 家田 政明
石川 好文
発明の名称 静電気防止のタイル  
代理人 神野 直美  

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