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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G06F
管理番号 1203587
審判番号 不服2007-2707  
総通号数 118 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2009-10-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2007-01-22 
確定日 2009-09-09 
事件の表示 特願2000-528913「埋込みシステム」拒絶査定不服審判事件〔平成11年 7月29日国際公開、WO99/38073、平成14年 1月15日国内公表、特表2002-501248〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は、1999年1月21日(パリ条約による優先権主張1998年1月21日、フィンランド)を国際出願日とする出願であって、出願後の手続きの経緯は次のとおりである。
審査請求 平成14年7月25日
拒絶理由通知 平成17年7月21日
意見書、手続補正書 平成18年1月25日
拒絶理由通知(最後) 平成18年3月13日
意見書、手続補正書 平成18年9月27日
拒絶査定(起案) 平成18年10月17日
拒絶査定(送達日) 平成18年10月24日
審判請求 平成19年1月22日

2.本願発明
本願の請求項11に係る発明は、平成18年9月27日付けの手続補正書における特許請求の範囲の請求項11に記載されたとおりの次の事項により特定されるものである。

「埋込みシステム(1)のプロセッサ(2)でオペレーティングシステム(OS_A、OS_B)を実行するための方法であって、該方法は、
少なくとも2つのオペレーティングシステム(OS_A、OS_B)が前記プロセッサ(2)で実行され、
前記第1オペレーティングシステム(OS_A)に関連して、前記第1グループのスレッド(THA1、THA2、THA_IDLE)が実行され、
前記第2オペレーティングシステム(OS_B)に関連して、前記第2グループのスレッド(THB1、THB2、THB_IDLE)が実行され、
前記プロセッサ(2)に対する割込み(FIQ、IRQ、SWI)がもたらされ、
前記プロセッサ(2)に到達した割込みがどのスレッド(THA1、THA2、THB1、THB2、THA_IDLE、THB_IDLE)の実行に影響を及ぼすかが調べられ、
前記プロセッサ(2)に受け取られた割込みについての情報が、前記プロセッサ(2)に受け取られた前記割込み(FIQ、IRQ、SWI)に影響を及ぼすスレッド(THA1、THA2、THB1、THB2、THA_IDLE、THB_IDLE)に関連する前記オペレーティングシステム(OS_A、OS_B)に伝えられる、埋込みシステム(1)のプロセッサ(2)でオペレーティングシステム(OS_A、OS_B)を実行するための方法であって、
前記プロセッサ(2)に受け取られた割込み(FIQ、IRQ、SWI)を調べるとき、前記少なくとも2つのオペレーティングシステム(OS_A、OS_B)に少なくとも部分的に共通の少なくとも1つの割込みハンドラが使用され、
前記埋込みシステム(1)で移動局機能とデータ処理機能とが実行され、前記少なくとも2つのオペレーティングシステム(OS_A、OS_B)のうちの、前記第1オペレーティングシステム(OS_A)は前記移動局機能の実行に関連し、前記第2オペレーティングシステム(OS_B)は前記データ処理機能に関連し、
前記2つのオペレーティングシステム(OS_A、OS_B)の間の通信の少なくとも一部が前記割込みハンドラ(603、617)を介して行なわれることを特徴とする方法。」

前記請求項11の記載において、括弧()内の記載は、例示や参照番号を示すものであるから、この例示や参照番号のものを含む本願請求項11の発明 (以下、「本願発明」という。)は、次のとおりのものと認めることができる。

「埋込みシステムのプロセッサでオペレーティングシステムを実行するための方法であって、該方法は、
少なくとも2つのオペレーティングシステムが前記プロセッサで実行され、
前記第1オペレーティングシステムに関連して、前記第1グループのスレッドが実行され、
前記第2オペレーティングシステムに関連して、前記第2グループのスレッドが実行され、
前記プロセッサに対する割込みがもたらされ、
前記プロセッサに到達した割込みがどのスレッドの実行に影響を及ぼすかが調べられ、
前記プロセッサに受け取られた割込みについての情報が、前記プロセッサに受け取られた前記割込みに影響を及ぼすスレッドに関連する前記オペレーティングシステムに伝えられる、埋込みシステムのプロセッサでオペレーティングシステムを実行するための方法であって、
前記プロセッサに受け取られた割込みを調べるとき、前記少なくとも2つのオペレーティングシステムに少なくとも部分的に共通の少なくとも1つの割込みハンドラが使用され、
前記埋込みシステムで移動局機能とデータ処理機能とが実行され、前記少なくとも2つのオペレーティングシステムのうちの、前記第1オペレーティングシステムは前記移動局機能の実行に関連し、前記第2オペレーティングシステムは前記データ処理機能に関連し、
前記2つのオペレーティングシステムの間の通信の少なくとも一部が前記割込みハンドラを介して行なわれることを特徴とする方法。」

3.引用刊行物
原審の拒絶の理由に引用された、本願優先権主張日前に頒布された刊行物である、特表平3-505383号公報(以下、「刊行物1」という。)には、図面とともに次の事項が記載されている。
A.「従って、特別な使用状態においては規格化されたタイムシェアリングオペレーティングシステムがリアルタイムプログラム部分の付加により使用のために特別に組まれたリアルタイム作動がエンジニアソングプロセスの制御のために使用可能になるように変えられた。しかしながらそれにより規格化されたタイムシェアリングオペレーティングシステムの独創性及び従って互換性も失われることになる。
大型のデータ処理装置においては、エンジニアリングプロセスを制御し一般的なデータ処理の仕事を等しく片付けるという要求は二つのデータプロセッサを使用することにより解決される。その内の一つはタイムシェアリングオペレーティングシステム、もう一つはリアルタイムオペレーティングシステムであり、これらにより対応する仕事の分配が行なわれる。しかしこの解決手段は、小さな装置には経済的な理由から採用できない。
従って、エンジニアリングプロセスと一般的なデータ処理の選択的制御の経済的に望ましい実現を提示することが、本発明の課題である。」(第3頁左上欄7行?24行)
B.「始めに揚げた種類のオペレーションプログラムにとってこの課題は、エンジニアリングプロセスの制御の為にリアルタイムオペレーティングシステムも備えられ、そのリアルタイムプログラムが場合によってはインタラプト制御され、動作させられること、どのインタラプトも中央部で把握され、二つのオペレーティングシステムの内の一つの属性に関して調べられ、そしてこのオペレーティングシステム内で処理されること、そしてリアルタイムオペレーティングシステムはリアルタイムインタラプトの発生に際して、活動中のタイムシェアリングオペレーティングシステムにおいても活動させられ、それによりタイムシェアリングオペレーティングシステムが中断されることによって解決される。
本発明によるオペレーションプログラムは今や二つのオペレーションプログラム、すなわち一つのタイムシェアリングオペレーティングシステムと一つのリアルタイムオペレーティングシステムを含み、それらはともにただ一つのデータプロセッサのみを必要とする。プログラムの中断またはインタラプトを作動させるインタラプト信号はエンジニアリングプロセスによってもまたは一般的なデータ処理によっても発生させられ得る。それら(インタラプト信号)は、リアルタイムオペレーティングシステムによるリアルタイムプログラムのスタートか、またはタイムシェアリングオペレーティングシステムを介してアプリケーションプログラムに予定された時間に働かせられるアプリケーションプログラムの用意を指示する。データプロセッサとの接続においてただ一つのオペレーティングシステムしか活動していられないので、そのつどオペレーティングシステムの内の一つが連結、つまり活動させられて、他は中断されなければならない。二つのオペレーティングシステムに関して発生するプログラム中断を認識するため、プログラム中断は中央部で把握され、二つのオペレーティングシステムの内の一つへの属性を確認される。関係するオペレーティングシステムにおいて、まず最初にインタラプトに属するインタラプトルーチンが実行される。このインタラプトルーチンは一般に短い実行時間のみを必要とし、そこでは例えば情報が発生させられ、データが転送され、または出力状態が設定される。このルーチンの動作後、オペレーションプログラムに戻される。それによりどのインタラプトもその属するオペレーティングシステムに伝えられ、それはタイムシェアリング方法またはリアルタイム方法にしたがって対応プログラムをスタートさせ得ることが確定される。」(第3頁左上欄25行?左下欄8行)
C.「本発明のさらに別の態様は、そのリアルタイムプログラムがその優先順位に応じて働かされるリアルタイムオペレーティングシステムが備えられていること、及びリアルタイムプログラムの優先順位はタイムシェアリングオペレーティングシステムの、場合によっては走っているアプリケーションプログラムの優先順位と比較されることによって特徴付けられている。
優先制御されたリアルタイムプログラムを持つリアルタイムオペレーティングシステムはそれ自体としては公知である。あるプロセスのどの事象も、その際その重要性に対応する等級または優先順位が割り当てられる。事象に反応するリアルタイムプログラムに、対応する優先順位が割り当てられる。ある事象がインタラプトを発生させる場合、実行させられ得るリアルタイムプログラムの優先順位が確認され、対応するリアルタイムプログラムは、その優先順位がちょうど走っているプログラムの優先順位よりも高い場合にのみ実行される。そうでない場合、より低い優先順位を持つリアルタイムプログラムは待ちリストに登録され、後の時点になって初めて実行される。本発明にかかる処置では、リアルタイムプログラムの優先順位は比較を受け、そしてただちにどのオペレーティングシステムが活動を始めるべきかまたは実行し続けるべきかが決定される。
…(中略)…
本発明のさらに別の態様は、リアルタイムプログラムまたはアプリケーションプログラムがプログラムの優先順位に依存して働かされるリアルタイムオペレーティングシステムまたはタイムシェアリングオペレーティングシステムにおいて、そのつど走っているプログラムの優先順位が中央部で確認されること、及びオペレーティングシステムの活動化はそのつと走っているプログラムのプログラムの優先順位に依存するということによって特徴付けられる。
このさらに別の態様では、リアルタイムインタラプトの際は、リアルタイムプログラムの優先順位が走っているアプリケーションプログラムの優先順位よりも高い、という条件の下にのみリアルタイムオペレーティングシステムが活動させられる。逆にタイムシェアリングオペレーティングシステムのより高く優先付けられたインタラプトがリアルタイムオペレーティングシステムを中断し、タイムシェアリングオペレーティングシステムが活動させられ、そして対応するアプリケーションプログラムがスタートさせられることが可能である。」(第3頁右下欄23行?第4頁右上欄7行)
D.「上記で挙げた使用の可能性と並んで、データ処理装置はまたエンジニアリングプロセスの制御のためにも用いられ、そこでデータ処理装置は技術的方法の進行の中に直接一緒に束ねられ、それによってプロセス制御の一部になる。その例は、…(中略)…、テレコミュニケーション装置における加入接続の信号処理及び仲介、」(第2頁右下欄14行?19行)
E.「インタラプトコントロール構成要素28はプログラム化可能であり、インタラプトデータ送信線30を経てプロセスに依存するインタラプト信号を、また別のインタラプトデータ送信線32を経て内部のインタラプト信号を把握する。インタラプト信号の発生に際してインタラプトコントロール構成要素28は、インタラプト或いはプログラムの中断を指令するためにデータプロセッサ20が判定する情報並びにインタラプト分岐アドレスを発する。種々のインタラプト信号はそのときすでにインタラプトコントロール構成要素によって優先順位に従って判定される。」(第5頁右上欄10行?19行)
F.「オペレーションプログラムのスタートとともに、第2図においてフローチャートとして表現されている機能が働くようになる。インタラプトコントロール構成要素28によって伝えられたインタラプト40は、第1作業ステップにおいてそのオペレーティングシステムの内の一つに対する属性について調べられる。まず初めに、リアルタイムインタラプトがあると仮定すると、第2図の左側に表現された作業ステップに分岐される。
作業ステップ44においてまずインタラプトルーチンが働き、それに加えてリアルタイムオペレーティングシステムへのプログラム分岐が行なわれる。インタラプトルーチンにおいて、インタラプトが記録され、インタラプトパラメータが供給され、場合によっては例えばクイツト信号の発信などのようなただちに必要な作業ステップが実行される。インタラプトルーチンの終了後、オペレーションプログラムの作業ステップ46に戻り、インタラプト前に支配していたオペレーションプログラムの状態で応答を求められる。リアルタイムオペレーティングシステムが活動していた場合、作業ステップ48において、現在の状態2において存在しているインタラプトの優先順位P(z)が、中断されたプログラムの優先順位P(z-1)と比較される。 P(z)が先行している状態P(z-1)よりも大きい場合、作業ステップ50に分岐し、そこでリアルタイムオペレーティングシステムのより高度なリアルタイムプログラムがスタートさせられる。より低い優先順位P(z)の場合は、作業ステップ52において中断されていたリアルタイムプログラムが続行される。現在のインタラプトに属し、そこにおいてインタラプトによって信号化されたプロセス事象に対して反応されるリアルタイムプログラムは、より高度なプログラムが存在しない場合、後の時点でキュー(QUEUE )方法に従って処理される。
作業ステップ46において中断前にタイムシェアリングシステムが活動していたことが確認されると、作業ステップ54に分岐する。ここでもまず最初に現在のインタラプトの優先順位P(z)と中断されたプログラムのプログラム優先順位P(z-1)との間で優先順位比較が行なわれる。現在のインタラプトがより高い優先順位を持っている場合、作業ステップ56において、リアルタイムオペレーティングシステムが活動させられ、それはリアルタイムプログラムをスタートさせ、そしてタイムシェアリングオペレーティングシステムは中断される。…(中略)…
作業ステップ48に際してより低い現在のインタラプトの優先順位P(z)が確認されると、次の作業ステップ58においてタイムシェアリングオペレーティングシステムへのプログラム跳躍が行なわれ、そこで中断されていたプログラムが続行される。リアルタイムインタラプトによってプロセス事象の回答として要求されたより低い優先順位を持つリアルタイムプログラムは、上述のように後の時点になって初めて、より高位のプログラムの働きの後スタートさせられる。
以下、インタラプト40がタイムシェアリングオペレーティングシステムに属するインタラプトであると確認された場合に作業ステップ42のあとに続く作業ステップが記述される。ここでもまず最初に作業ステップ60において、対応するインタラプトパラメータを伝達するために、タイムシェアリングオペレーティングシステム内のインタラプトルーチンが終了される。インタラプトルーチンが働いて取り除かれた後、次の作業ステップ62において作業システムが中断以前にあった状態に応じてさらに分岐が行なわれる。中断前にタイムシェアリングオペレーティングシステムが活動していた場合、作業ステップ64において中断されていたアプリケーションプログラムが続行される。インタラプトにより要求される特別なアプリケーションプログラムはタイムシェアリング作動手続きの後、それに予定された時期にスタートさせられる。
リアルタイムオペレーティングシステムが活動していた場合、作業ステップ62において比較ステップ66に分岐し、そこで現在のインタラプトの優先順位P(z)がリアルタイムプログラムの優先順位P(z-1)と比較される。より高い現在のインタラプトの優先順位P(z)に際して、作業ステップ68においてタイムシェアリングオペレーティングシステムが活動させられ、アプリケーションプログラムが呼び出されスタートさせられる。より低い優先順位P(z)に際しては、作業ステップ70において中断されたリアルタイムプログラムがリアルタイムオペレーティングシステムに支援されて続行される。」(第5頁左下欄9行?第6頁左上欄27行)
G.「ここで、リアルタイムオペレーティングシステムのデータがタイムシェアリングオペレーティングシステムに伝達されるということが模範的であると思われる。データ転送プログラムAのスタート後、…(中略)…空いているメモリ部分が二つのオペレーティングシステムに共通の記憶領域にあるかどうかがテストされる。…(中略)…インタラプトの助けにより情報がデータをメモリ部分におくことを介してタイムシェアリングオペレーティングシステムに渡され、そしてデータ転送プログラムAが終了させられる。
タイムシェアリングオペレーティングシステムはインタラプトの処理にしたがってデータを共通のデータ領域から取り出し、そして保護されたタイムシェアリングオペレーティングシステムのメモリ領域に置くデータ転送プログラムBをスタートさせる。データ転送プログラムAによって閉鎖されたメモリ部分はその後再び明け渡される。最後にインタラプトにより情報がリアルタイムオペレーティングシステムに渡され、それをもって完結されたデータ転送が信号で報告される。対応するデータ転送プログラムは逆のデータ方向のデータ交換にも用意されている。
二つのオペレーティングシステムの間のデータ交換により二つのオペレーティングシステムはその任務において互いに支援することができる。」(第6頁左下欄22行?第6頁右下欄21行)

(A)D.によれば、エンジニアリングプロセスの制御の例として、テレコミュニケーション装置における加入接続の信号処理及び仲介が記載されている。
(B)C.によれば、リアルタイムオペレーティングシステムは、リアルタイムプログラムの優先順位に応じて働かされる。また、リアルタイムプログラムの優先順位はタイムシェアリングオペレーティングシステムのアプリケーションプログラムの優先順位と比較されることによって特徴付けられる。
(C)E.によれば、種々のインタラプト信号はインタラプトコントロール構成要素28によって優先順位に従って判定され、インタラプトコントロール構成要素28は、インタラプト或いはプログラムの中断を指令するためにデータプロセッサが判定する情報並びにインタラプト分岐アドレスを発し、この発せられた情報並びにインタラプト分岐アドレスは、F.によれば、インタラプト40として中央部に伝えられる。前記インタラプトコントロール構成要素28と中央部は、それぞれ1つであるものがよみとれる。
(D)G.によれば、二つのオペレーティングシステムの間のデータ交換の少なくとも一部が、インタラプトの助けとインタラプトの処理にしたがって行われることが記載されている。

刊行物1のA.?G.には、(A)?(D)の点をふまえると、エンジニアリングプロセスと一般的なデータ処理(プロセス)の選択的制御の経済的に望ましい実現をするための次の発明(以下、「刊行物1の発明」という。)が示されている。

テレコミュニケーション装置において、オペレーションプログラムは一つのタイムシェアリングオペレーティングシステムと一つのリアルタイムオペレーティングシステムの二つのオペレーションプログラムを含み、それらはともにただ一つのデータプロセッサのみを必要として前記オペレーションプログラムを実行するための方法であって、
プログラムの中断またはインタラプトを作動させるインタラプト信号はエンジニアリングプロセス(加入接続の信号処理及び仲介プロセス)によってもまたは一般的なデータ処理によっても発生させられ、種々のインタラプト信号はインタラプトコントロール構成要素によって優先順位に従って判定され、インタラプト或いはプログラムの中断を指令するためにデータプロセッサが判定する情報並びにインタラプト分岐アドレスを発し、インタラプトとして中央部に伝えられ、
二つのオペレーティングシステムに関して発生するプログラム中断を認識するため、プログラム中断は中央部で把握され、二つのオペレーティングシステムの内の一つへの属性を確認され、関係するオペレーティングシステムにおいて、まず最初にインタラプトに属するインタラプトルーチンが実行され、このインタラプトルーチンは一般に短い実行時間のみを必要とし、そこでは例えば情報が発生させられ、データが転送され、または出力状態が設定され、このインタラプトルーチンの動作後、オペレーションプログラムに戻され、
それによりどのインタラプトもその属するオペレーティングシステムに伝えられ、タイムシェアリング方法またはリアルタイム方法にしたがって対応プログラムをスタートさせ得ることが確定され、
リアルタイムプログラムの優先順位に応じてリアルタイムオペレーティングシステムは働かされ、リアルタイムプログラムの優先順位とタイムシェアリングオペレーティングシステムの、場合によっては走っているアプリケーションプログラムの優先順位と比較されることによって特徴付けられ、
二つのオペレーティングシステムの間のデータ交換の少なくとも一部がインタラプトの助けとインタラプトの処理にしたがって行われる
オペレーションプログラムを実行するための方法。

同じく、原審の拒絶の理由に引用された、本願優先権主張日前頒布された刊行物である、特開平7-244742号公報(以下「刊行物2」という。)には、図面とともに次の事項が記載されている。
あ.「本発明は、セルラーフォン、…データ処理システムを組み合わせて各種のデータ処理・通信機能を有する移動式小型軽量…ハンドヘルド装置とした、パーソナル通信機の部分として考案されたものである。」(【0001】段落)
い.「…まず、図1では、パーソナル通信機(PC)10は…(中略)…セルラーフォンと完全なデータ処理システムを含む。」(【0010】段落)
う.「図3で、…(中略)…ディスク・オペレーティング・システム(DOS)79、DOSの拡張部分であるナビゲータ・プログラム80、PC10内で種々の通信・データ処理機能を生成するアプリケーション・プログラム81、及びアプリケーションに特有の割込みを処理するための割込みハンドラ83を含む…(中略)…DOS79のカーネルがディスクROM72から主メモリ68へ、実行のためにロードされる。DOS79はディスクROM72にアクセスし、必要に応じてナビゲータ・プログラムとアプリケーション・プログラムをマイクロプロセッサ60による実行のために主メモリ68にロードする。」(【0012】?【0013】段落)
あ.?う.によれば、パーソナル通信機で実行されるパーソナル通信機の機能、及びDOSの実行に関連するパーソナル通信機の機能が、移動局であることが自明のセルラーフォンの機能である技術が示されており、この技術は、システムで実行される局機能、及び、第1オペレーティングシステムの実行に関連する局機能が、移動局機能であることに相当する技術である。

4.対比・判断
(4.1)刊行物1の発明の「テレコミュニケーション装置において、オペレーションプログラムは一つのタイムシェアリングオペレーティングシステムと一つのリアルタイムオペレーティングシステムの二つのオペレーションプログラムを含み、それらはともにただ一つのデータプロセッサのみを必要とし実行するための方法であって、」は、該テレコミュニケーション装置は、「埋込み」システムとまではいえないまでも、システムとみることができ、一方、本願発明の「埋込みシステム」も上位概念ではシステムであるからこの点で共通し、また、刊行物1の発明の「データプロセッサ」と本願発明の「プロセッサ」とに実質的な差異はない。したがって、刊行物1の発明の前記特定事項と本願発明とは、「システムのプロセッサでオペレーティングシステムを実行するための方法であって、該方法は、
少なくとも2つのオペレーティングシステムが前記プロセッサで実行され」を有する点で一致する。
(4.2)刊行物1の発明の「リアルタイムプログラムの優先順位に応じてリアルタイムオペレーティングシステムは働かされ、リアルタイムプログラムの優先順位とタイムシェアリングオペレーティングシステムの、場合によっては走っているアプリケーションプログラムの優先順位と比較されることによって特徴付けられ、」において、リアルタイムプログラムとアプリケーションプログラムは、それぞれ優先順位があることから、それぞれの優先順位をもつ複数のリアルタイムプログラムからなるグループ、それぞれの優先順位をもつ複数のアプリケーションプログラムからなるグループがよみとれるとともに、リアルタイムプログラムやアプリケーションプログラムが走行できることは自明である。そして、リアルタイムプログラムやアプリケーションプログラムはスレッドとまではいえないまでも、上位概念ではプログラムであり、本願発明の「スレッド」も上位概念ではプログラムであるから、刊行物1の発明の前記プログラムと本願発明の「スレッド」とはプログラムである点では共通する。これらの点をふまえると、刊行物1の発明の前記特定事項と本願発明とは、「第1オペレーティングシステムに関連して、第1グループのプログラムが実行され、
第2オペレーティングシステムに関連して、第2グループのプログラムが実行され、」を有する点で共通する。
(4.3)刊行物1の発明の「プログラムの中断またはインタラプトを作動させるインタラプト信号はエンジニアリングプロセス(加入接続の信号処理及び仲介プロセス)によってもまたは一般的なデータ処理によっても発生させられ、種々のインタラプト信号はインタラプトコントロール構成要素によって優先順位に従って判定され、インタラプト或いはプログラムの中断を指令するためにデータプロセッサが判定する情報並びにインタラプト分岐アドレスを発し、インタラプトとして中央部に伝えられ」は、本願発明の「プロセッサに対する割込みがもたらされ」に相当する。
(4.4)刊行物1の発明の「二つのオペレーティングシステムに関して発生するプログラム中断を認識するため、プログラム中断は中央部で把握され、二つのオペレーティングシステムの内の一つへの属性を確認され、関係するオペレーティングシステムにおいて、まず最初にインタラプトに属するインタラプトルーチンが実行され」は、プログラムと「スレッド」の関係は前記(4.2)で言及したように、上位概念ではプログラムである点で共通する点をふまえると、本願発明とは「プロセッサに到達した割込みがどのプログラムの実行に影響を及ぼすかが調べられ、
前記プロセッサに受け取られた割込みについての情報が、前記プロセッサに受け取られた前記割込みに影響を及ぼすプログラムに関連する前記オペレーティングシステムに伝えられる」を特定事項とする点で共通する。
また、本願発明のこの段落の特定事項である「埋込みシステムのプロセッサでオペレーティングシステムを実行するための方法」については、前記(4.1)で言及したことと同じ趣旨のことがいえるので、刊行物1の発明と本願発明とは「システムのプロセッサでオペレーティングシステムを実行するための方法であって、」を有する点で共通する。
(4.5)刊行物1の発明の「種々のインタラプト信号はインタラプトコントロール構成要素によって優先順位に従って判定され、インタラプト或いはプログラムの中断を指令するためにデータプロセッサが判定する情報並びにインタラプト分岐アドレスを発し、インタラプトとして中央部に伝えられ」及び「二つのオペレーティングシステムに関して発生するプログラム中断を認識するため、プログラム中断は中央部で把握され、二つのオペレーティングシステムの内の一つへの属性を確認され、関係するオペレーティングシステムにおいて、まず最初にインタラプトに属するインタラプトルーチンが実行され」は、本願発明の「前記プロセッサに受け取られた割込みを調べるとき、前記少なくとも2つのオペレーティングシステムに少なくとも部分的に共通の少なくとも1つの割込みハンドラが使用され」に相当する。
(4.6)刊行物1の発明の「テレコミュニケーション装置において、オペレーションプログラムは一つのタイムシェアリングオペレーティングシステムと一つのリアルタイムオペレーティングシステムの二つのオペレーションプログラムを含み」、「エンジニアリングプロセス(加入接続の信号処理及び仲介プロセス)」、「一般的なデータ処理」において、リアルタイムオペレーティングシステムとエンジニアリングプロセス(加入接続の信号処理及び仲介プロセス)が関係し、タイムシェアリングオペレーティングシステムと一般的なデータ処理、アプリケーションプログラムが関係する。この関係は、「リアルタイムプログラムの優先順位に応じてリアルタイムオペレーティングシステムは働かされ、リアルタイムプログラムの優先順位とタイムシェアリングオペレーティングシステムの、場合によっては走っているアプリケーションプログラムの優先順位と比較されることによって特徴付けられ」から明らかである(B.の記載もあわせて参照)。前記「一般的なデータ処理」は「タイムシェアリングオペレーティングシステムのアプリケーションプログラム」による処理とみることができる。
二つのオペレーティングシステムは、機能(一般的なデータ処理、加入接続の信号処理及び仲介プロセスにかかる機能)の実行に関連し、テレコミュニケーション装置の機能は、移動局機能とまではいえないまでも、上位概念では局機能を含む。一方、本願発明の「移動局機能の実行に関連し」も上位概念では「局機能の実行に関連し」ているといえる。したがって、刊行物1の発明と本願発明とは、「システムで局機能とデータ処理機能とが実行され、前記少なくとも2つのオペレーティングシステムのうちの、前記第1オペレーティングシステムは前記局機能の実行に関連し、前記第2オペレーティングシステムは前記データ処理機能に関連し」ている点で共通する。
(4.7)刊行物1の発明の「二つのオペレーティングシステムの間のデータ交換の少なくとも一部がインタラプトの助けとインタラプトの処理にしたがって行われる」は、本願発明の「2つのオペレーティングシステムの間の通信の少なくとも一部が前記割込みハンドラを介して行なわれる」に相当する。
以上の対比によれば、本願発明と刊行物1の発明とは、次の特定事項を有する発明である点で一致し、そして、次の点で相違が認められる。
〈一致点〉
システムのプロセッサでオペレーティングシステムを実行するための方法であって、該方法は、
少なくとも2つのオペレーティングシステムが前記プロセッサで実行され、
前記第1オペレーティングシステムに関連して、前記第1グループのプログラムが実行され、
前記第2オペレーティングシステムに関連して、前記第2グループのプログラムが実行され、
前記プロセッサに対する割込みがもたらされ、
前記プロセッサに到達した割込みがどのプログラムの実行に影響を及ぼすかが調べられ、
前記プロセッサに受け取られた割込みについての情報が、前記プロセッサに受け取られた前記割込みに影響を及ぼすプログラムに関連する前記オペレーティングシステムに伝えられる、システムのプロセッサでオペレーティングシステムを実行するための方法であって、
前記プロセッサに受け取られた割込みを調べるとき、前記少なくとも2つのオペレーティングシステムに少なくとも部分的に共通の少なくとも1つの割込みハンドラが使用され、
前記システムで局機能とデータ処理機能とが実行され、前記少なくとも2つのオペレーティングシステムのうちの、前記第1オペレーティングシステムは前記局機能の実行に関連し、前記第2オペレーティングシステムは前記データ処理機能に関連し、
前記2つのオペレーティングシステムの間の通信の少なくとも一部が前記割込みハンドラを介して行なわれることを特徴とする方法。

〈相違点1〉
システムが、本願発明は「埋込み」システムであるのに対し、刊行物1の発明は、埋込みシステムであることは記載されていない点。
〈相違点2〉
実行に係るプログラムが、本願発明はスレッドであるのに対し、刊行物1のはスレッドであることは記載されていない点。
〈相違点3〉
プロセッサに受け取られた割込みについての情報が、本願発明は、割込みに影響を及ぼす「スレッド」に関連するオペレーティングシステムに伝えられるのに対し、刊行物1の発明は、プログラムに関連するオペレーティングシステムに伝えられる点。
〈相違点4〉
局機能とデータ処理機能とを備えた、当該局機能が、本願発明は、移動局機能であるのに対し、刊行物1の発明は、テレコミュニケーション装置における、加入接続の信号処理及び仲介プロセスに係る機能である点。

[当審判断]
〈相違点1〉について
埋込システムは本願優先権主張日前周知の技術的事項と認められる。(例えば、特表平7-504281号公報第38頁右上欄1行?第39頁左上欄11行には埋込システムと記載されている。)
刊行物1の発明において、システムを埋込みシステムとすることは格別な技術的思想のものでなく、前記技術的事項を参酌することにより当業者が容易になし得ることである。
〈相違点2〉について
無線通信において、実行に係るプログラムがスレッドである技術は、本願優先権主張日前周知の技術的事項と認められる。(例えば、特開平9-154166号公報【0045】段落の記載、図2、図7を参照すると、無線アダプタに埋め込まれるソフトウェアとしてスレッドであることが示されている。スレッドは実行されることは自明であるから、無線通信において、実行に係るプログラムがスレッドである技術が示されている。)
刊行物1の発明において、実行に係るプログラムが、スレッドであると成すことは、前記周知技術を参酌することにより当業者が容易になし得ることである。
〈相違点3〉について
前記〈相違点2〉について、において言及した、プログラムの単位をスレッドとした場合に、刊行物1の発明における、割込みに影響を及ぼすプログラムに関連するオペレーティングシステムに伝えられるが、割込みに影響を及ぼす「スレッド」に関連するオペレーティングシステムに伝えられる、と成すことは設計上の単なる整合事項にすぎず、前記スレッドの係る周知技術を参酌することにより、当業者が容易になし得ることである。
〈相違点4〉について
システムで実行される局機能、及び、第1オペレーティングシステムの実行に関連する局機能が、移動局機能である技術は、刊行物2に示されているように、本願優先権主張日前周知の技術的事項と認められる。
刊行物1の発明において、テレコミュニケーション装置における、加入接続の信号処理及び仲介プロセスに係る機能(システムで実行される局機能、及び、第1オペレーティングシステムの実行に関連する局機能)を、移動局機能と成すことは、前記技術を参酌することにより当業者が容易になし得ることである。

そして、本願発明により奏する効果も、刊行物1に記載された発明、刊行物2に記載された技術及び周知技術から当業者が予測できる範囲内のものにすぎない。

5.むすび
以上のとおり、本願発明は、刊行物1に記載された発明、刊行物2に記載された技術及び周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2009-03-31 
結審通知日 2009-04-07 
審決日 2009-04-20 
出願番号 特願2000-528913(P2000-528913)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (G06F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 殿川 雅也  
特許庁審判長 山崎 達也
特許庁審判官 冨吉 伸弥
石田 信行
発明の名称 埋込みシステム  
代理人 水谷 好男  
代理人 青木 篤  
代理人 鶴田 準一  
代理人 島田 哲郎  
代理人 伊坪 公一  

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