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審決分類 |
審判 全部無効 2項進歩性 A23L 審判 全部無効 1項3号刊行物記載 A23L |
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管理番号 | 1204007 |
審判番号 | 無効2008-800284 |
総通号数 | 119 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2009-11-27 |
種別 | 無効の審決 |
審判請求日 | 2008-12-12 |
確定日 | 2009-08-17 |
訂正明細書 | 有 |
事件の表示 | 上記当事者間の特許第4109260号発明「米飯成形装置」の特許無効審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 訂正を認める。 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。 |
理由 |
第1 手続の経緯 平成17年1月18日に、名称を「米飯成形装置」とする発明について特許出願(特願2005-10988号)がされ、平成20年4月11日に、特許第4109260号として設定登録を受けた(請求項の数3。以下、その特許を「本件特許」といい、その明細書を「本件特許明細書」という。)。 これに対して、請求人から本件特許について本件無効審判の請求がされた。 その手続の経緯は、以下のとおりである。 平成20年12月12日 審判請求書・甲第1号証ないし甲第3号証提出 (請求人) 平成21年 1月27日 審判請求書についての手続補正書提出 (請求人) 平成21年 4月 6日 答弁書・訂正請求書提出(被請求人) 平成21年 5月18日 弁駁書提出(請求人) 平成21年 6月10日 答弁書(第2回)提出(被請求人) 第2 訂正の適否 1 訂正の内容 平成21年4月6日付けの訂正請求は、その請求書に添付した特許請求の範囲及び明細書(以下、これらを併せて「本件訂正明細書」という。)のとおりに訂正することを求めるものであり、その訂正の内容は、以下のとおりである。 (1) 特許請求の範囲についての訂正 ア 訂正1-1(請求項1についての訂正。訂正請求書の「訂正事項1」に対応する。) 本件特許明細書の特許請求の範囲の請求項1に、 「米飯を所定方向に送り出す送出部と、周面を相対向させて配設し互いに反対方向に回転する一対の成形ローラと、を備え、 前記一対の成形ローラは、周面において周方向所定間隔毎に凹設され送出部から送り出された米飯を受け入れる米飯収納凹部と、周方向に隣り合う前記米飯収納凹部の間に形成された稜線部と、を備え、 前記一対の成形ローラの回転に伴って、前記一方の成形ローラに形成された前記米飯収納凹部と前記他方の成形ローラに形成された前記米飯収納凹部とが相対向して前記米飯収納凹部に収納された米飯を圧縮し所定形状の米飯成形体を成形する米飯成形装置において、 前記一方の成形ローラの前記稜線部は径方向外方に延びる凸部が形成され、前記他方の成形ローラの前記稜線部は径方向内方に陥没する凹部が形成され、 前記一対の成形ローラが回転する際、前記凸部が前記凹部に入り込んだ状態となることを特徴とする米飯成形装置。」 とあるのを、 「米飯を所定方向に送り出す送出部と、周面を相対向させて配設し互いに反対方向に回転する一対の成形ローラと、を備え、 前記一対の成形ローラは、周面において周方向所定間隔毎に凹設され送出部から送り出された米飯を受け入れる米飯収納凹部と、周方向に隣り合う前記米飯収納凹部の間に形成された稜線部と、を備え、 前記一対の成形ローラの回転に伴って、前記一方の成形ローラに形成された前記米飯収納凹部と前記他方の成形ローラに形成された前記米飯収納凹部とが相対向して前記米飯収納凹部に収納された米飯を圧縮し所定形状の米飯成形体を成形する米飯成形装置において、 前記一方の成形ローラの前記稜線部は径方向外方に延びる凸部が形成され、前記他方の成形ローラの前記稜線部は径方向内方に陥没する凹部が形成され、 前記凸部は前記成形ローラの径方向外方に行くほど周方向に長く延びる形状をなしており、 前記一対の成形ローラが回転する際、前記凸部が前記凹部に入り込んだ状態となることを特徴とする米飯成形装置。」 と訂正する(下線部は、訂正箇所を示す。以下同じ。)。 イ 訂正1-2(請求項2についての訂正。訂正請求書の「訂正事項2」、「訂正事項3」に対応する。) 本件特許明細書の特許請求の範囲の請求項2に、 「米飯を所定方向に送り出す送出部と、周面を相対向させて配設し互いに反対方向に回転する一対の成形ローラと、を備え、 前記一対の成形ローラは、周面において周方向所定間隔毎に凹設され送出部から送り出された米飯を受け入れる米飯収納凹部と、周方向に隣り合う前記米飯収納凹部の間に形成された稜線部と、を備え、 前記一対の成形ローラの回転に伴って、前記一方の成形ローラに形成された前記米飯収納凹部と前記他方の成形ローラに形成された前記米飯収納凹部とが相対向して前記米飯収納凹部に収納された米飯を圧縮し所定形状の米飯成形体を成形する米飯成形装置において、 前記一対の成形ローラのそれぞれの前記稜線部は径方向外方に延びる凸部と径方向内方に陥没する凹部が形成され凹凸形状をなし、 前記一対の成形ローラが回転する際、前記一方の成形ローラの前記稜線部に設けられた前記凸部が前記他方の成形ローラの前記稜線部に設けられた前記凹部に入り込んだ状態となることを特徴とする米飯成形装置。」 とあるのを、 「米飯を所定方向に送り出す送出部と、周面を相対向させて配設し互いに反対方向に回転する一対の成形ローラと、を備え、 前記一対の成形ローラは、周面において周方向所定間隔毎に凹設され送出部から送り出された米飯を受け入れる米飯収納凹部と、周方向に隣り合う前記米飯収納凹部の間に形成された稜線部と、を備え、 前記一対の成形ローラの回転に伴って、前記一方の成形ローラに形成された前記米飯収納凹部と前記他方の成形ローラに形成された前記米飯収納凹部とが相対向して前記米飯収納凹部に収納された米飯を圧縮し所定形状の米飯成形体を成形する米飯成形装置において、 前記一対の成形ローラのそれぞれの前記稜線部は径方向外方に延びる凸部と径方向内方に陥没する凹部とが前記成形ローラの軸方向に交互に繰り返し並設された凹凸形状をなし、 前記凸部は前記成形ローラの径方向外方に行くほど周方向に長く延びる形状をなしており、 前記一対の成形ローラが回転する際、前記一方の成形ローラの前記稜線部に設けられた前記凸部が前記他方の成形ローラの前記稜線部に設けられた前記凹部に入り込んだ状態となることを特徴とする米飯成形装置。」 と訂正する。 ウ 訂正1-3(請求項3について。訂正請求書の「訂正事項4」に対応する。) 本件特許明細書の特許請求の範囲の請求項3に、 「前記稜線部における凸部の先端が丸みを帯びていることを特徴とする請求項1または2に記載の米飯成形装置。」 とあるのを、 「前記稜線部における凸部の先端が丸みを帯び、 前記一対の成形ローラに形成された前記米飯収納凹部により米飯成形空間が形成され、 前記米飯成形空間における前記成形ローラの回転方向後方側が閉じ始めても、前記米飯成形空間における前記成形ローラの回転方向前方側が開放されていないことを特徴とする請求項1または2に記載の米飯成形装置。」 と訂正する。 (2) 発明の詳細な説明についての訂正事項 ア 訂正2-1(訂正請求書の「訂正事項5」に対応する。) 本件特許明細書の発明の詳細な説明の段落【0009】に、 「請求項1記載の米飯成形装置は、米飯を所定方向に送り出す送出部と、周面を相対向させて配設し互いに反対方向に回転する一対の成形ローラと、を備え、前記一対の成形ローラは、周面において周方向所定間隔毎に凹設され送出部から送り出された米飯を受け入れる米飯収納凹部と、周方向に隣り合う前記米飯収納凹部の間に形成された稜線部と、を備え、前記一対の成形ローラの回転に伴って、前記一方の成形ローラに形成された前記米飯収納凹部と前記他方の成形ローラに形成された前記米飯収納凹部とが相対向して前記米飯収納凹部に収納された米飯を圧縮し所定形状の米飯成形体を成形する米飯成形装置において、前記一方の成形ローラの前記稜線部は径方向外方に延びる凸部が形成され、前記他方の成形ローラの前記稜線部は径方向内方に陥没する凹部が形成され、前記一対の成形ローラが回転する際、前記凸部が前記凹部に入り込んだ状態となることを特徴とする。」 とあるのを、 「請求項1記載の米飯成形装置は、米飯を所定方向に送り出す送出部と、周面を相対向させて配設し互いに反対方向に回転する一対の成形ローラと、を備え、前記一対の成形ローラは、周面において周方向所定間隔毎に凹設され送出部から送り出された米飯を受け入れる米飯収納凹部と、周方向に隣り合う前記米飯収納凹部の間に形成された稜線部と、を備え、前記一対の成形ローラの回転に伴って、前記一方の成形ローラに形成された前記米飯収納凹部と前記他方の成形ローラに形成された前記米飯収納凹部とが相対向して前記米飯収納凹部に収納された米飯を圧縮し所定形状の米飯成形体を成形する米飯成形装置において、前記一方の成形ローラの前記稜線部は径方向外方に延びる凸部が形成され、前記他方の成形ローラの前記稜線部は径方向内方に陥没する凹部が形成され、前記凸は前記成形ローラの径方向外方に行くほど周方向に長く延びる形状をなしており、前記一対の成形ローラが回転する際、前記凸部が前記凹部に入り込んだ状態となることを特徴とする。」 と訂正する。 イ 訂正2-2(訂正請求書の「訂正事項6」、「訂正事項7」に対応する。) 本件特許明細書の発明の詳細な説明の段落【0010】に、 「請求項2記載の米飯成形装置は、米飯を所定方向に送り出す送出部と、周面を相対向させて配設し互いに反対方向に回転する一対の成形ローラと、を備え、前記一対の成形ローラは、周面において周方向所定間隔毎に凹設され送出部から送り出された米飯を受け入れる米飯収納凹部と、周方向に隣り合う前記米飯収納凹部の間に形成された稜線部と、を備え、前記一対の成形ローラの回転に伴って、前記一方の成形ローラに形成された前記米飯 収納凹部と前記他方の成形ローラに形成された前記米飯収納凹部とが相対向して前記米飯収納凹部に収納された米飯を圧縮し所定形状の米飯成形体を成形する米飯成形装置において、前記一対の成形ローラのそれぞれの前記稜線部は径方向外方に延びる凸部と径方向内方に陥没する凹部が形成され凹凸形状をなし、前記一対の成形ローラが回転する際、前記一方の成形ローラの前記稜線部に設けられた前記凸部が前記他方の成形ローラの前記稜線部に設けられた前記凹部に入り込んだ状態となることを特徴とする。」 とあるのを、 「請求項2記載の米飯成形装置は、米飯を所定方向に送り出す送出部と、周面を相対向させて配設し互いに反対方向に回転する一対の成形ローラと、を備え、前記一対の成形ローラは、周面において周方向所定間隔毎に凹設され送出部から送り出された米飯を受け入れる米飯収納凹部と、周方向に隣り合う前記米飯収納凹部の間に形成された稜線部と、を備え、前記一対の成形ローラの回転に伴って、前記一方の成形ローラに形成された前記米飯 収納凹部と前記他方の成形ローラに形成された前記米飯収納凹部とが相対向して前記米飯収納凹部に収納された米飯を圧縮し所定形状の米飯成形体を成形する米飯成形装置において、前記一対の成形ローラのそれぞれの前記稜線部は径方向外方に延びる凸部と径方向内方に陥没する凹部とが前記成形ローラの軸方向に交互に繰り返し並設された凹凸形状をなし、前記凸は前記成形ローラの径方向外方に行くほど周方向に長く延びる形状をなしており、前記一対の成形ローラが回転する際、前記一方の成形ローラの前記稜線部に設けられた前記凸部が前記他方の成形ローラの前記稜線部に設けられた前記凹部に入り込んだ状態となることを特徴とする。」 と訂正する。 ウ 訂正2-3(訂正請求書の「訂正事項8」に対応する。) 本件特許明細書の発明の詳細な説明の段落【0011】に、 「請求項3記載の米飯成形装置は、請求項1または2に記載の装置において、前記稜線部における凸部の先端が丸みを帯びていることを特徴とする。」 とあるのを、 「請求項3記載の米飯成形装置は、請求項1または2に記載の装置において、前記稜線部における凸部の先端が丸みを帯び、前記一対の成形ローラに形成された前記米飯収納凹部により米飯成形空間が形成され、前記米飯成形空間における前記成形ローラの回転方向後方側が閉じ始めても、前記米飯成形空間における前記成形ローラの回転方向前方側が開放されていないことを特徴とする。」 と訂正する。 2 訂正の適否についての判断 (1) 訂正1-1について ア 目的の適否について 訂正1-1は、訂正前の特許請求の範囲の請求項1における構成である「成形ローラのそれぞれの前記稜線部」に形成される「径方向外方に延びる凸部」を、「前記成形ローラの径方向外方に行くほど周方向に長く延びる形状をなしており」と限定するものであるから、特許法第134条の2第1項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 イ 新規事項の有無について 訂正1-1に係る凸部形状を有する成形ローラについては、本件特許明細書及び図面(特に、図3及び図4)に記載されていると認められるから、訂正1-1は、本件特許明細書又は図面に記載した事項の範囲内においてしたものであると認められ、特許法第134条の2第5項において準用する同法第126条第3項の規定を満たす。 ウ 特許請求の範囲の実質上の拡張・変更の存否について 訂正1-1は、訂正前の特許請求の範囲の請求項1の構成を限定するものであるから実質上特許請求の範囲を拡張するものではないことは明らかであり、訂正前の請求項1に記載の発明と同じ目的の範囲内において技術的事項を限定するものであるから、実質上特許請求の範囲を変更するものでもない。したがって、訂正1は、特許法第134条の2第5項において準用する同法第126条第4項の規定を満たす。 エ 訂正1-1についてのまとめ 以上のとおり、訂正1-1は、認容されるものである。 (2) 訂正1-2について 訂正1-2は、訂正1-1と同じ、訂正前の特許請求の範囲の請求項2における構成である「成形ローラのそれぞれの前記稜線部」に形成された、「径方向外方に延びる凸部」を、「前記成形ローラの径方向外方に行くほど周方向に長く延びる形状をなしており、」と限定すること(前者の訂正)に加え、訂正前の特許請求の範囲の請求項2における構成である上記「凸部」と「成形ローラのそれぞれの前記稜線部」に形成される「径方向内方に陥没する凹部」とのなす「凹凸形状」を、「前記成形ローラの軸方向に交互に繰り返し並設された」と限定するもの(後者の訂正)である。 前者の訂正は、上記(1)で述べたとおり、認容されるものであるから、以下、後者の訂正及びこれらを併せた訂正1-2について検討する。 ア 目的の適否について 後者の訂正は成形ローラの稜線部のなす凹凸形状を限定するものであり、前者及び後者の訂正は、ともに成形ローラの凸部及び凹凸の形状をそれぞれ限定するものであるから、両者の訂正を併せた訂正1-2は、特許法第134条の2第1項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 イ 新規事項の有無について 後者の訂正に係る凹凸形状を有する成形ローラについては、本件特許明細書の段落【0022】に、「図3および図4に示すように、前記左側成形ローラ(26a)の稜線部(30)は該稜線部(30)が延びる前後方向において、径方向外方に延びる凸部(32)(先端は丸みを帯びている)と、径方向内方に凹入形成された凹部(34)が交互に繰り返し並設された凹凸形状をなしている。」と記載され、さらに、図1、図3ないし図8にも記載されていることが認められる。また、後者の訂正に係る凹凸形状及び前者の訂正に係る凸部形状をともに有する成形ローラについても、本件特許明細書及び図面(特に、図3、4)に記載されていると認められるから、両者を併せた訂正1-2は、本件特許明細書又は図面に記載した事項の範囲内においてしたものであると認められ、特許法第134条の2第5項において準用する同法第126条第3項の規定を満たす。 ウ 特許請求の範囲の実質上の拡張・変更の存否について 後者の訂正は、前者の訂正と同様、訂正前の特許請求の範囲の請求項2の構成を限定するものであるから実質上特許請求の範囲を拡張するものではないことは明らかであるところ、両者を併せた訂正1-2は、訂正前の請求項2に記載の発明と同じ目的の範囲内において技術的事項を限定するものであるとえいるから、実質上特許請求の範囲を変更するものでもない。したがって、訂正1-2は、特許法第134条の2第5項において準用する同法第126条第4項の規定を満たす。 エ 訂正1-2についてのまとめ 以上のとおり、訂正1-2は、認容されるものである。 (3) 訂正1-3について ア 目的の適否について 訂正1-3は、訂正前の特許請求の範囲の請求項3における構成である「一対の成形ローラ」の「米飯収納凹部」の両側の稜線における「前記凹部と前記凸部に入り込んだ状態」を、「米飯成形空間における前記成形ローラの回転方向後方側が閉じ始めても、前記米飯成形空間における前記成形ローラの回転方向前方側が開放されていない」と限定するものであるか、又は「前記凹部と前記凸部に入り込んだ状態」を明らかにするものであって、明りょうでない記載の釈明を目的とするものといえるから、特許法第134条の2第1項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 イ 新規事項の有無について 訂正1-3に係る米飯成形空間については、本件特許明細書の段落【0025】に、「本発明の米飯成形装置(10)にあっては、前述したように、成形ローラ(26)の回転により左側の1つの稜線部(30)と右側の1つの稜線部(30)が当接し合う際、一方の稜線部(30)における凹部(34)に他方の稜線部(30)における凸部(32)が入り込んだ状態で左右の成形ローラ(26a)(26b)が回転するので(図4ないし図5参照)、換言すると、左右の米飯収納凹部(28)(28)が合わさってできる米飯成形空間(38)の底面の閉塞状態が比較的長く持続するので、米飯成形空間(38)の上が閉じ始めても底面は直ぐには開放せず」と記載され、図4にも記載されていると認められるから、訂正1-3は、本件特許明細書又は図面に記載した事項の範囲内においてしたものであると認められ、特許法第134条の2第5項において準用する同法第126条第3項の規定を満たす。 ウ 特許請求の範囲の実質上の拡張・変更の存否について 訂正1-3は、訂正前の特許請求の範囲の請求項3の構成を限定するものであるから実質上特許請求の範囲を拡張するものではないことは明らかであり、訂正前の請求項3に記載の発明と同じ目的の範囲内において技術的事項を限定するものであるから、実質上特許請求の範囲を変更するものでもない。したがって、訂正1-3は、特許法第134条の2第5項において準用する同法第126条第4項の規定を満たす。 エ 訂正1-3についてのまとめ 以上のとおり、訂正1-3は、認容されるものである。 (4) 訂正2-1ないし訂正2-3について これらの訂正は、上記特許請求の範囲についての訂正1-1ないし訂正1-3があったため、本件の発明の詳細な説明において、訂正前の特許請求の範囲が記載されていた箇所を、その訂正後のものに合わせるための訂正であると認められる。 したがって、これらの訂正は、特許法第134条の2第1項ただし書第3号に掲げる明りょうでない記載の釈明を目的とするものである。 そして、これらの訂正は、それぞれ上記(1)ないし(3)において検討したとおり、本件特許明細書又は図面に記載した事項の範囲内においてしたものであり、実質上特許請求の範囲を拡張するものでも実質上特許請求の範囲を変更するものでもないから、特許法第134条の2第5項において準用する同法第126条第3項及び第4項の規定を満たす。 3 訂正請求についてのまとめ よって、平成21年4月6日付けの訂正請求を認める。 第3 本件訂正発明 平成21年4月6日付けの訂正請求は適法なものであるから、本件特許の請求項1ないし請求項3に係る発明は、本件訂正明細書の特許請求の範囲に記載された事項により特定される以下のとおりのものである。 【請求項1】 米飯を所定方向に送り出す送出部と、周面を相対向させて配設し互いに反対方向に回転する一対の成形ローラと、を備え、 前記一対の成形ローラは、周面において周方向所定間隔毎に凹設され送出部から送り出された米飯を受け入れる米飯収納凹部と、周方向に隣り合う前記米飯収納凹部の間に形成された稜線部と、を備え、 前記一対の成形ローラの回転に伴って、前記一方の成形ローラに形成された前記米飯収納凹部と前記他方の成形ローラに形成された前記米飯収納凹部とが相対向して前記米飯収納凹部に収納された米飯を圧縮し所定形状の米飯成形体を成形する米飯成形装置において、 前記一方の成形ローラの前記稜線部は径方向外方に延びる凸部が形成され、前記他方の成形ローラの前記稜線部は径方向内方に陥没する凹部が形成され、 前記凸部は前記成形ローラの径方向外方に行くほど周方向に長く延びる形状をなしており、 前記一対の成形ローラが回転する際、前記凸部が前記凹部に入り込んだ状態となることを特徴とする米飯成形装置。 【請求項2】 米飯を所定方向に送り出す送出部と、周面を相対向させて配設し互いに反対方向に回転する一対の成形ローラと、を備え、 前記一対の成形ローラは、周面において周方向所定間隔毎に凹設され送出部から送り出された米飯を受け入れる米飯収納凹部と、周方向に隣り合う前記米飯収納凹部の間に形成された稜線部と、を備え、 前記一対の成形ローラの回転に伴って、前記一方の成形ローラに形成された前記米飯収納凹部と前記他方の成形ローラに形成された前記米飯収納凹部とが相対向して前記米飯収納凹部に収納された米飯を圧縮し所定形状の米飯成形体を成形する米飯成形装置において、 前記一対の成形ローラのそれぞれの前記稜線部は径方向外方に延びる凸部と径方向内方に陥没する凹部とが前記成形ローラの軸方向に交互に繰り返し並設された凹凸形状をなし、 前記凸部は前記成形ローラの径方向外方に行くほど周方向に長く延びる形状をなしており、 前記一対の成形ローラが回転する際、前記一方の成形ローラの前記稜線部に設けられた前記凸部が前記他方の成形ローラの前記稜線部に設けられた前記凹部に入り込んだ状態となることを特徴とする米飯成形装置。 【請求項3】 前記稜線部における凸部の先端が丸みを帯び、 前記一対の成形ローラに形成された前記米飯収納凹部により米飯成形空間が形成され、 前記米飯成形空間における前記成形ローラの回転方向後方側が閉じ始めても、前記米飯成形空間における前記成形ローラの回転方向前方側が開放されていないことを特徴とする請求項1または2に記載の米飯成形装置。 (以下、訂正後の請求項1ないし請求項3に係る発明を、項番に従い、それぞれ「本件訂正発明1」、「本件訂正発明2」、「本件訂正発明3」といい、また、これらを併せて「本件訂正発明」ということがある。なお、訂正前の請求項1ないし請求項3に係る発明を、同じく、それぞれ「本件発明1」、「本件発明2」、「本件発明3」という。) 第4 当事者の主張の概要及び当事者が提出した証拠方法 1 請求人の主張する無効理由の概要及び請求人が提出した証拠方法 (1) 審判請求時の無効理由(平成21年1月27日の手続補正後のもの) 請求人は、請求の趣旨の欄を「特許4109260号発明の特許を無効とする。審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求める。」とし、大略以下の無効理由1ないし3を主張し、証拠方法として甲第1号証ないし甲第3号証を提出した。 これらの主張によれば、上記請求の趣旨の、「特許4109260号発明の特許」の記載は、正確には、「本件特許4109260号の請求項1ないし請求項3に係る発明の特許」であるといえる(各請求項に係る発明についての特許を、それぞれ「本件特許1」、「本件特許2」、「本件特許3」という。)。 【無効理由1】 本件発明1及び2は、甲第1号証に記載された発明であって、特許法第29条第1項第3号の規定に該当し、特許を受けることができないものであるから、本件特許1及び本件特許2は、同条の規定に違反してされたものであり、同法第123条第1項第2号に該当し、無効とすべきである。 (平成21年1月27日に手続補正がされた審判請求書4ページから5ページ「理由の要点」の欄(なお、「(請求項2)における「請求項2に係る発明は、その構成要件が甲第1号証にすべて記載されており、甲第2号証と同一の発明である。」の記載における「甲第2号証」は、3ページの対比した証拠が甲第1号証のみであること、その他の記載から、「甲第1号証」の誤記であることは、明らかである。)、6ページ「(3)無効審判請求の根拠」の項、12ページ?14ページ(4)の「本件特許発明と先行技術発明との対比」の「3a.」の項、及び16ページ「(5)むすび」の項) 【無効理由2】 本件発明1及び2は、甲第1号証に記載された発明及び甲第2号証に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであって、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、本件特許1及び本件特許2は、同条の規定に違反してされたものであり、同法第123条第1項第2号に該当し、無効とすべきである。 (審判請求書4ページから5ページ「理由の要点」の欄、6ページ「(3)無効審判請求の根拠」の項、12ページ?14ページ(4)の「本件特許発明と先行技術発明との対比」の「3b.」の項、及び16ページ「(5)むすび」の項) 【無効理由3】 本件発明3は、甲第1号証ないし甲第3号証に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであって、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、本件特許3は、同条の規定に違反してされたものであり、同法第123条第1項第2号に該当し、無効とすべきである。 (平成21年1月27日に手続補正がされた審判請求書4ページから5ページ「理由の要点」の欄、6ページ「(3)無効審判請求の根拠」の項、12ページ?16ページ(4)の「本件特許発明と先行技術発明との対比」の「3c.」の項、及び16ページ「(5)むすび」の項) そして、請求人の提出した証拠方法は、以下のとおりである。 甲第1号証:米国特許第5381728号明細書 甲第2号証:特開昭61-47159号公報 甲第3号証:特開平 6-38663号公報 (2) 弁駁書の無効理由 平成21年5月18日の弁駁書において、請求人は、平成21年4月6日の訂正の後の発明(本件訂正発明1ないし3)について、各無効理由2,3について主張していると認められる(無効理由1は、撤回をしていない。)。 (3) まとめ したがって、本件審判請求の無効理由は、上記無効理由1ないし3における本件発明1ないし3を、それぞれ、本件訂正発明1ないし3と読み替えたものであるということができる。 2 被請求人の主張の概要 被請求人は、本件審判の請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする旨の審決を求め、請求人の主張する本件審判請求の無効理由のいずれにも理由がない旨の主張をしている。なお、被請求人は証拠方法を提出していない。 第5 当審の判断 当審は、上記無効理由1ないし3は、いずれも理由がないと判断する。 その理由は、以下のとおりであるが、事案にかんがみ、まず、無効理由2、次いで、無効理由3、無効理由1の順に示した。 1 無効理由2について 請求人は、本件訂正発明1及び2は、米国特許第5381728号明細書(甲第1号証)に記載された発明を主たる引用発明として、特開昭61-47159号公報(甲第2号証)に記載された発明を考慮することにより、当業者が容易に発明をすることができたものであるから特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない、と主張すると認められる。 そこで、この理由について検討する。 (1) 刊行物及び刊行物の記載 米国特許第5381728号明細書(甲第1号証)は1995年(平成7年)6月17日に頒布されたものであって、本件特許の出願の日(平成17年1月18日)前に頒布された刊行物であることは明らかである(以下、この刊行物を「刊行物1」という。)。 刊行物1には、以下の記載がある(行数は各ページ中央の数字による。また、記載内容は、請求人が提出した翻訳文に従い日本語により示す。翻訳文の行数は各ページ左側の数字による。)。 1a 「ハウジング部材と、 ドラムのインターフェース面の間にすし製品を回転させ成形するように構成され、前記ハウジングに作動可能に取り付けられ、成形ドラムおよび移送ドラムを備え、前記成形ドラムがそれの表面に複数のウェルを含み、前記ウェルのそれぞれがそれの上方周壁に複数の歯を含み、前記ウェルのそれぞれが前記ウェルのアパーチャを貫いて作動可能に延在するピストン要素に取り付けられた床板を含み、第2のプレートが前記ピストン要素の対向する端部に傾斜して取り付けられ、前記第2のプレートがそれの下側表面に取り付けられた複数の軸受を含み、ばねが前記床板および前記ピストン要素の取付けプレートに作動可能に取り付けられ、前記移送ドラムがそれの表面に作動可能に取り付けられた複数の相隔たる羽根を有する第1の対の相隣接する円筒形の回転可能なドラムと、 前記ピストン要素を作動可能に制御するために前記ピストン要素を前記第2のプレートに制御的に係合を行うためのトリガ手段と、 前記第1の対の相隣接する円筒形のドラムに作動可能に係合され、その中に米飯を受け入れて確保することができるようにそれの表面に複数のウェルを有する成形ドラムを含み、前記複数のウェルのそれぞれが、前記第1の対のドラムの前記成形ドラムの前記上方周壁の前記複数の歯と噛み合うように構成されたそれの上方周壁の複数の歯を有し、移送ドラムがそれの表面に作動可能に取り付けられた複数の相隔たる羽根を含む第2の対の相隣接する円筒形の回転可能なドラムと、 前記第1の対の相隣接する円筒形の回転可能なドラムおよび前記第2の対の相隣接する円筒形の回転可能なドラムに作動可能に係合され、それの表面に間隔を置いて配置されかつその上に個々の海苔シートを保持し移送するように構成された複数の歯を含むシート成形ドラムと、 前記シート成形ドラムに横向きに、かつ前記シート成形ドラムと作動可能に接触して配置される複数のローラと、 前記シート成形ドラムに隣接して突出し、前記ハウジング部材に作動可能に取り付けられ、前記シート成形ドラムから海苔および米飯の除去および移送を可能にする複数のフランジと、 前記ハウジング部材に、かつ前記第1の対の相隣接する円筒形の回転可能なドラムおよび前記第2の対の相隣接する円筒形の回転可能なドラムの近くに作動可能に配置され、その上に作動可能に取り付けられたカバーを含み食品粒子を受け入れるための、受け入れ開口を含み、前記第1の対の相隣接する円筒形の回転可能なドラムおよび前記第2の対の相隣接する円筒形の回転可能なドラムに食品粒子を分注するための分注アパーチャをさらに含む第1のホッパーと、 前記ハウジング部材に、かつ前記シート成形ドラムの近くに作動可能に配置され、食品製品を受け入れるための受け入れ開口および前記シート成形ドラムに食品製品を分注するための分注開口を含み、前記シート成形ドラムに抗して個々の食品製品を配置し分注するための前記分注開口の近くに歯付き付加物を含む第2のホッパーと、 前記第1の対の相隣接する回転可能なドラムおよび前記第2の対の相隣接する回転可能なドラムの回転を制御し、前記シート成形ドラムの回転を制御するための手段と、を備えるすし製品の調理装置」(8欄54行?10欄10行。翻訳文10ページ3行?11ページ1行(請求項1)) 1b 「1.発明の分野 本発明は、食品製品を製造するための装置に関し、詳細には、にぎり寿司、巻き寿司、および関連する食品製品などのすし製品を製造するための装置に関する。」(1欄6行?11行。翻訳文2ページ4行?7行) 1c 「したがって、本発明の主要な目的はにぎり寿司、巻き寿司、および他のすし製品を能率よく均等に製造するための手段を提供することである。」(1欄46行?48行。翻訳文2ページ29行?30行) 1d 「操作の他の態様では、本発明は、巻き寿司用の米飯を用いてにぎり寿司のおむすびおよび/または海苔シートを一緒にまたは別々に、迅速かつ能率よく製造することを可能とし、その製造は操作者によって決定され制御され得る。」(1欄54行?60行。翻訳文2ページ34行?37行) 1e 「図2、図4、および図5を参照すると、成形ドラム18はそれの表面に間隔を置いて配置された複数のウェル20を含むことが好ましく、ウェル20のそれぞれは上方周壁24に配置された複数の歯22を含む」(5欄10行?13行、翻訳文、5ページ40?42行) 1f 「成形ドラム56はその中に米飯を受け入れ、確保し、成形することができるようにそれの表面に複数の相隔たるウェル53を含む。ウェル53のそれぞれは、この第1の対のドラム16の成形ドラム18の上方周壁の歯22と噛み合うように構成されたそれのすべての上方周壁62に複数の歯60を有する」(5欄46行?52行、翻訳文6ページ21?25行参照) 1g 「図2に見られるように、米飯はホッパー84からドラム18のウェル20およびドラム56のウェル53まで移送される。トリガ要素52を通り過ぎるドラム18の回転によりウェルから形づくられたにぎり寿司玉の放出が行われる」(8欄3?7行、翻訳文9ページ1?3行) 1h 1i 1j 1k 1l 1m (2) 刊行物1に記載された発明 刊行物1は、「にぎり寿司、巻き寿司、および他のすし製品を能率よく均等に製造するための手段を提供する」(摘示1c)装置について記載されるものであり、その装置は、摘示1a及び各図面に示すとおりのにぎり寿司を製造する機能と巻き寿司を製造する機能とを備えたものである。そして、にぎり寿司及び巻き寿司は「一緒にまたは別々に、迅速かつ能率よく製造することを可能」(摘示1d)とするものであるとされていること、及びその装置構造からみて、にぎり寿司と巻き寿司を別々に製造することができるものであると認められる。そうすると、刊行物1には、上記摘示1aの装置において、巻き寿司を製造するための部分(…で示した部分)のない、以下のにぎり寿司用の米飯の製造装置が記載されているということができる。 「ハウジング部材と、 ドラムのインターフェース面の間にすし製品を回転させ成形するように構成され、 前記ハウジングに作動可能に取り付けられ、成形ドラム…を備え、 前記成形ドラムがそれの表面に複数のウェルを含み、前記ウェルのそれぞれがそれの上方周壁に複数の歯を含み、 前記第1の対の相隣接する円筒形のドラムに作動可能に係合され、その中に米飯を受け入れて確保することができるようにそれの表面に複数のウェルを有する成形ドラムを含み、 前記複数のウェルのそれぞれが、前記第1の対のドラムの前記成形ドラムの前記上方周壁の前記複数の歯と噛み合うように構成されたそれの上方周壁の複数の歯を有し…、 前記ハウジング部材に、かつ前記第1の対の相隣接する円筒形の回転可能なドラム…の近くに作動可能に配置され、その上に作動可能に取り付けられたカバーを含み食品粒子を受け入れるための、受け入れ開口を含み、前記第1の対の相隣接する円筒形の回転可能なドラム…に食品粒子を分注するための分注アパーチャをさらに含む第1のホッパーと、… 前記第1の対の相隣接する回転可能なドラムおよび前記第2の対の相隣接する回転可能なドラムの回転を制御し、前記シート成形ドラムの回転を制御するための手段と、 を備えるにぎり寿司の製造装置」(以下、この記載において…がないものを「引用発明1」という。) (3) 本件訂正発明1について ア 本件訂正発明1と引用発明1との対比 本件訂正発明1の「成形ローラ」は「周面を相対向させて配設し互いに反対方向に回転する一対の」のものであって、「周面において周方向所定間隔毎に凹設され…米飯を受け入れる米飯収納凹部と、周方向に隣り合う前記米飯収納凹部の間に形成された稜線部と、を備え」たものであり、それらの成形ローラは「回転に伴って、前記一方の成形ローラに形成された前記米飯収納凹部と前記他方の成形ローラに形成された前記米飯収納凹部とが相対向して前記米飯収納凹部に収納された米飯を圧縮し所定形状の米飯成形体を成形する」ものである。 他方、引用発明1の「成形ドラム」は、「対の相隣接する円筒形のドラムに作動可能に係合され、その中に米飯を受け入れて確保することができるようにそれの表面に複数のウェルを有する」ものであって、「ドラムのインターフェース面の間にすし製品を回転させ成形する」ものである。 そうすると、本件訂正発明1と引用発明1とを対比すると、引用発明1の成形ドラムは、本件訂正発明1の「成形ローラ」に相当するといえ、それらは「周面を相対向させて配設し互いに反対方向に回転する一対の」のものであるといえる。そして、引用発明1の成形ドラムにもその中に米飯を受け入れて確保することができると認められる「複数のウェル」があるから、本件訂正発明1の「周面において周方向所定間隔毎に凹設され…米飯を受け入れる米飯収納凹部」があるといえ、「周方向に隣り合う前記米飯収納凹部の間に形成された稜線部と、を備え」たもので、それらの回転に伴って、前記一方の回転ドラムのウェルと前記他方の回転ドラムのウェルとが本件訂正発明1と同様「相対向して前記米飯収納凹部に収納された米飯を所定形状の米飯成形体を成形する」ものであるといえる。 さらに、引用発明1の成形ドラムの「複数のウェル」の上方周壁には「複数の歯」があり、それら「複数の歯」は「前記第1の対のドラムの前記成形ドラムの前記上方周壁の前記複数の歯と噛み合うように構成された」ものであるから、その「複数の歯」の噛み合うように構成されたそれぞれの歯の組は、本願訂正発明1の一方の成形ロールの稜線部における「径方向外方に延びる凸部」、他方の成形ロールの稜線部における「径方向内方に陥没する凹部」に対応するといえる。 そして、引用発明1の「にぎり寿司の製造装置」は、本件訂正発明1の「米飯成形装置」に包含されるものである。 そうすると、本件訂正発明1と引用発明1とは、 「周面を相対向させて配設し互いに反対方向に回転する一対の成形ローラとを備え、 前記一対の成形ローラは、周面において周方向所定間隔毎に凹設され米飯を受け入れる米飯収納凹部と、周方向に隣り合う前記米飯収納凹部の間に形成された稜線部と、を備え、 前記一対の成形ローラの回転に伴って、前記一方の成形ローラに形成された前記米飯収納凹部と前記他方の成形ローラに形成された前記米飯収納凹部とが相対向して前記米飯収納凹部に収納された米飯を所定形状の米飯成形体を成形する米飯成形装置において、 前記一方の成形ローラの前記稜線部は径方向外方に延びる凸部が形成され、前記他方の成形ローラの前記稜線部は径方向内方に陥没する凹部が形成され、 前記一対の成形ローラが回転する際、前記凸部が前記凹部に入り込んだ状態となることを特徴とする米飯成形装置。」 の点で一致し、以下の点で一応相違するということができる。 (i) 本件訂正発明1においては、「米飯を所定方向に送り出す送出部」を有し、その「送出部から送り出された」米飯を、成形ローラの凹部に受け入れるのに対して、引用発明1は、そのような送出部を有していない点 (ii) 相対向して前記米飯収納凹部に収納された米飯を所定形状の米飯成形体を成形するに際し、本件訂正発明1は米飯を「圧縮」するものであるのに対し、引用発明1においてはそのようにするかは明らかではない点 (iii) 稜線部に形成された凸部は「成形ローラの径方向外方に行くほど周方向に長く延びる形状」をしているのに対して、引用発明1においては、そのような形状のものであるか明らかではない点 (iv) 前記一対の成形ローラのそれぞれの前記稜線部は径方向外方に延びる凸部と径方向内方に陥没する凹部とが、本願訂正発明1においては、それらの数は明らかではないのに対し、引用発明1においては、「複数の歯」ある点 (v) 引用発明1は、「ウェルのそれぞれが前記ウェルのアパーチャを貫いて作動可能に延在するピストン要素に取り付けられた床板を含み、第2のプレートが前記ピストン要素の対向する端部に傾斜して取り付けられ、前記第2のプレートがそれの下側表面に取り付けられた複数の軸受を含み、ばねが前記床板および前記ピストン要素の取付けプレートに作動可能に取り付けられ、…前記ピストン要素を作動可能に制御するために前記ピストン要素を前記第2のプレートに制御的に係合を行うためのトリガ手段」を備えているのに対し、本件訂正発明1は、このようなものを備えていない点 (vi) 引用発明1は、「ハウジング部材」を有し、成形ドラムが「ハウジングに作動可能に取り付けられ」ており、また「前記第1の対の相隣接する回転可能なドラムおよび前記第2の対の相隣接する回転可能なドラムの回転を制御し、前記シート成形ドラムの回転を制御するための手段」を備えているものであるのに対して、本件訂正発明1は、そのようなものであるかは明らかではない点 (以下、それぞれ「相違点(i)」、…「相違点(vi)」という。) イ 本件訂正発明1と引用発明1との相違点についての検討 (ア) 特許法第29条第2項が定める要件の充足性について 特許法第29条第2項が定める要件の充足性、すなわち、特許発明について、当業者(その発明の属する技術分野における通常の知識を有する者)が同条第1項各号に該当する発明(引用発明)に基づいて容易に発明をすることができたか否かは、通常、引用発明のうち、特許発明の構成とその骨格において共通するもの(以下「主たる引用発明」という。)から出発して、主たる引用発明以外の引用発明(以下「従たる引用発明」という。)及び技術常識ないし周知技術(その発明の属する技術分野における通常の知識)を考慮することにより、特許発明の主たる引用発明に対する特徴点(主たる引用発明と相違する構成)に到達することが容易であったか否かを基準として、判断されるべきものである。ところで、特許発明の特徴点は、特許発明が目的とした課題を解決するためのものであるから、容易想到性の有無を客観的に判断するためには、特許発明の特徴点を的確に把握すること、すなわち、特許発明が目的とする課題を的確に把握することが必要不可欠である(知的財産高等裁判所 平成20年(行ケ)第10096号事件 平成21年1月28日判決、及び、平成20年(行ケ)第10153号事件 平成21年3月25日判決参照)。 そこで、先ず本件訂正発明の課題について以下検討する。 (イ)本件訂正発明の課題について a 本件訂正明細書には、特許請求の範囲の請求項の記載のほか、次の記載がある。 a1 「【背景技術】 【0002】 従来の米飯成形装置、例えばシャリ玉成形装置(100)としては次のようなものがあった。すなわち、…成形ローラ(126)は、…相対向する左右の米飯収納凹部(128)(128)によって幅方向中央部に米飯成形空間(138)が形成し、この米飯成形空間(138)に米飯(R)が取り込まれ、かつ圧縮されて一体化される。そして、成形ローラ(126)がさらに回転することにより、一塊りの米飯成形体が米飯成形空間(138)から落下して載置台によって受け止められる(例えば、特許文献1参照)。 【特許文献1】特開昭61-47159号公報 【発明の開示】 【発明が解決しようとする課題】 【0003】 しかしながら、上記したシャリ玉成形装置(100)には、次のような問題があった。 【0004】 (1)…ドーム型の部分が下部となるように成形して(平らな面が上面となるように成形して)から、180度反転させて載置台に載せる必要があった。 【0005】 すなわち、相対向する左右の米飯収納凹部(128)(128)によって形成する米飯成形空間(138)において、底(下面)を平らにして米飯を成形しようとする場合、該成形空間(138)の下が開き始めたときには既に上が閉じており、これにより、圧縮された米飯が逃げ場を求め、開き始めた部分から米飯が出ようとする。従って、いくら下を平らにしようと思っても、米飯成形空間(138)における内圧の関係でどうしても米飯成形体の底(下面)に膨出部が出来てしまい平らにはならなかった。 … 【0007】 (2)また、上述したようにシャリ玉(S)の下部をドーム型に丸くして成形しようとする場合、該ドーム型部分の頂部に、図13(b)に示すようなバリ(W)が発生するといった別の問題があった…。すなわち、前述したように、相対向する左右の米飯収納凹部(128)(128)によって形成する米飯成形空間(138)において、該成形空間(138)の米飯が圧縮され、のちこの成形空間(138)の下が開き始めたとき、図14に示すように楕円形の開口部(142)が形成される。これは、シャリ玉(S)をドーム型に丸く成形しようとすることから前記米飯収納凹部(128)の一部を丸く凹入形成する必要があり、またドーム型に丸く成形しようとする位置が(成形上は)シャリ玉(S)の下部であることから、成形ローラにおける1つの米飯収納凹部(128)と他の米飯収納凹部(128)の間に形成する稜線部(130)の上流側(上面側、回転方向後方側)を円弧状に凹入形成する必要があり、それ故に、当接していた左右の稜線部(130)(130)が離間状態に入ると、図14に示すように徐々に両者間に必然的に楕円形の開口部(142)が形成される。そして、形成する楕円形状の開口部(142)に向けて米飯が流れ出て、これにより米飯成形体におけるドーム型部分の頂部に凸部、すなわちバリ(W)が発生するといった問題があった。」 a2 「【0008】 [発明の目的] 本発明は上記の実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、米飯成形体、例えばシャリ玉を載置台に載せる際に反転させる必要がなく、また得られる米飯成形体に形成するバリを最小限に抑えることのできる米飯成形装置を提供するところにある。」 a3 「【0013】 …請求項1、2に記載の米飯成形装置にあっては、米飯成形空間が形成されるべく、成形ローラの回転により左側の1つの稜線部と右側の1つの稜線部が当接し合う際、一方の稜線部における凹部に他方の稜線部における凸部が入り込んだ状態で左右の成形ローラが回転するので、換言すると左右の米飯収納凹部が合わさってできる米飯成形空間の底面の閉塞状態が比較的長い間(凹部が凸部から完全に抜け出るまでの間)持続するので、米飯成形空間の上が閉じ始めても下は未だ開放されておらず、従来のように圧縮された米飯が逃げ場を求め、開き始めた部分から米飯が出ようとして米飯成形体の底(下面)に膨出部が出来るといった心配はない。このように、底面の閉塞状態を比較的長く持続させることができるので、最初から上部をドーム型の丸みを帯びた形状に、また下面を平らにして成形することができ、得られた米飯成形体を米飯成形空間からそのまま落下させることにより、反転させる工程を省略することができる。 【0014】 また、最終的に得られる米飯成形体において、バリの発生を最小限に抑えることができる。すなわち、本発明の米飯成形装置にあっては、前述したように成形ローラの回転により左側の1つの稜線部と右側の1つの稜線部が当接し合う際、一方の稜線部における凹部に他方の稜線部における凸部が嵌合した状態(入り込んだ状態)になるので、左右の成形ローラが更に回転しても、米飯成形空間の底面に(左右の稜線部の間に)従来のような比較的大きな開口部が形成されるということはなく、これにより米飯が入り込んでバリが形成されるという心配もない。」 a4 「【0022】 図3および図4に示すように、…右側成形ローラ(26b)の稜線部(30)は、左側の成形ローラ(26a)の稜線部(30)における凸部(32)と相対向する位置において、該凸部(32)(先端は丸みを帯びている)の形状に略合致した凹部(34)が、また左側成形ローラ(26a)における凹部(34)の形状に略合致し該凹部に嵌合可能(入り込み可能、嵌め込み可能)な凸部(32)(先端は丸みを帯びている)がそれぞれ交互に繰り返し並設されている。これにより、前記成形ローラ(26)の回転により左側の1つの稜線部(30)と右側の1つの稜線部(30)が当接し合う際、一方の稜線部(30)における凹部(34)に他方の稜線部(30)における凸部(32)が入り込んだ状態(図4における幅方向中央部を参照)を暫くの間(凸部(32)が凹部(34)から完全に抜け出るまでの間)保持して左右の成形ローラ(26a)(26b)が回転する。 … 【0025】 本発明の米飯成形装置(10)にあっては、前述したように、成形ローラ(26)の回転により左側の1つの稜線部(30)と右側の1つの稜線部(30)が当接し合う際、一方の稜線部(30)における凹部(34)に他方の稜線部(30)における凸部(32)が入り込んだ状態で左右の成形ローラ(26a)(26b)が回転するので(図4?図5参照)、換言すると、左右の米飯収納凹部(28)(28)が合わさってできる米飯成形空間(38)の底面の閉塞状態が比較的長く持続するので、米飯成形空間(38)の上が閉じ始めても底面は直ぐには開放せず、従来のように圧縮された米飯が逃げ場を求め、開き始めた部分から米飯が出ようとして米飯成形体(40)の底(下面)に膨出部が出来るといった心配はない。このように、底面の閉塞状態を比較的長く持続させることができるので、最初から上部をドーム型の丸みを帯びた形状に、また底(下面)を平らにしても型崩れさせずに成形することができる。したがって、米飯成形空間(38)から米飯成形体(40)をそのまま落下させることができ、該米飯成形体(40)を反転させて載置部(18)に置くといった煩わしい工程を省略することができる。 【0026】 また、最終的に得られる米飯成形体(40)において、バリの発生を最小限に抑えることができる。すなわち、前述したように成形ローラ(26)の回転により左側の1つの稜線部(30)と右側の1つの稜線部(30)が当接し合う際、一方の稜線部(30)における凹部(34)に他方の稜線部(30)における凸部(32)が嵌合した状態(入り込んだ状態)となり、左右の成形ローラ(26)が更に回転しても、米飯成形空間(38)の下に、図6に示すようにジグザグ状の細長い開口部(42)が形成されることはあるが、従来のような比較的大きな開口部(楕円形の開口部、図14参照)が形成されるということはなく、これにより当該開口部(42)に米飯が入り込む心配もなく、バリが形成されるというおそれもない。」 b 本件訂正明細書の上記各記載によれば、本件訂正発明について次のとおりのものと理解することができる。 (I)従来の米飯成形装置においては、成形空間の下が開き始めたときには既に上が閉じており、これにより、圧縮された米飯が逃げ場を求め、開き始めた部分から米飯が出ようとするため、米飯成形体の底(下面)に膨出部が出来てしまい平らにはならないため、ドーム型の部分が下部となるように成形して(平らな面が上面となるように成形して)から、180度反転させて載置台に載せる必要があり、かつ、ドーム型部分の頂部に凸部、すなわちバリ(W)が発生するという問題があった(摘示a1)。 (II)本件訂正発明は、従来の米飯成形装置の上記問題点を解決しようとするものであって、成形ローラの「左右の稜線部が当接する際、一方の稜線部における凹部に他方の稜線部における凸部が入り込んで嵌合し、互いに密着(密接)した状態を暫く保持しながら左右の成形ローラが(米飯成形空間開口部の開方向に)回転できるようにすると、底面の閉塞状態を比較的長く持続させることができること」に着目し、一方の成形ローラの前記稜線部は径方向外方に延びる1ないし複数の凸部が形成され、前記他方の成形ローラの前記稜線部は径方向内方に陥没する1ないし複数の凹部が形成されたものとした上で、 「前記凸部は前記成形ローラの径方向外方に行くほど周方向に長く延びる形状」 としたことを含む、請求項1ないし3に規定する構成を備えたものであり、このことにより、一対の成形ローラが回転する際、前記凸部が前記凹部に入り込んだ状態を暫く保持して底面の閉塞状態を比較的長く持続させることができる米飯成形装置を提供することを目的とする発明である。 (ウ)相違点についての検討 まず、相違点(iii)について、引用発明1において、相違点(iii)に係る本件訂正発明1の「前記凸部は前記成形ローラの径方向外方に行くほど周方向に長く延びる形状」との構成に当業者が到達することが容易であったかについて検討する。 a 刊行物1について 刊行物1には、引用発明1における「複数の歯」をウェルの上方周壁に配置した点について具体的に説明する記載は、「成形ドラム56は…それの表面に複数の相隔たるウェル53を含む。ウェル53のそれぞれは、この第1の対のドラム16の成形ドラム18の上方周壁の歯22と噛み合うように構成されたそれのすべての上方周壁62に複数の歯60を有する」(摘示1f)のほかにはなく、具体的形状、特に、凸部の成形ドラム径方向の形状について触れるところはない。また、図面には、凸部の成形ドラムの径方向の形状について、径方向外方に行っても周方向に同じ幅で延びる形状であるものが示されている(特にFig.4、Fig.5)が、径方向外方に行くほど周方向に長く延びる形状のものは示されてはいない。 すなわち、刊行物1の記載を精査しても、本件訂正発明の(I)の問題(上記イ(イ)b)についても、その問題を解決するために、成形ローラの「左右の稜線部が当接する際、一方の稜線部における凹部に他方の稜線部における凸部が入り込んで嵌合し、互いに密着(密接)した状態を暫く保持しながら左右の成形ローラが円滑に(米飯成形空間開口部の開方向に)回転できるようにすると底面の閉塞状態を比較的長く持続させることができること」に着目し、一対の成形ローラが回転する際、前記凸部が前記凹部に入り込んだ状態を暫く保持して底面の閉塞状態を比較的長く持続させることができる米飯成形装置を提供するという本件訂正発明の(II)の発想についても、記載はもとより示唆等があるとも認められない。 ところで、引用発明1においては、米飯成形体は、成形ドラムのウェル間において成形された後も一方の成形ドラム(18)のウェル内に保持されたままドラムの回転により下方へ移送され、ドラムの最下部における床板(32)の押し出しによって放出されるものであるから、「複数の歯」の凸部の成形ドラムの径方向の形状は、米飯成形体の放出を妨げない形状、すなわちウェル壁は少なくとも平行、好ましくは外方に行くほど広がる形状となるようにすべきものであるといえる。このようなウェル壁形状が望まれる引用発明1において、一対の成形ドラムが回転する際、前記凸部が前記凹部に入り込んだ状態を暫く保持するような「前記凸部は前記成形ローラの径方向外方に行くほど周方向に長く延びる形状」とすることは、ウェル壁が外方に行くほど狭まる形状とすることになるのであるから、上記望まれるウェル壁形状と逆のものとすることとなる。 そうすると、引用発明1において、このような凸部の成形ドラムの径方向の形状を採ることは、当業者にとってむしろ考えがたいことである。 したがって、刊行物1の記載によっては、引用発明1において、当業者が、相違点(iii)に係る本件訂正発明1における構成(前記凸部は前記成形ローラの径方向外方に行くほど周方向に長く延びる形状)に想到することが容易であったということはできない。 b 刊行物2(甲第2号証)について 甲第2号証として提出された、特開昭61-47159号公報は昭和61年3月7日に頒布されたものであって、本件特許の出願の日(平成17年1月18日)前に頒布された刊行物であることは明らかである(以下、この刊行物を「刊行物2」という。)。そして、この文献は、本件訂正明細書の段落【0002】に【特許文献1】として挙げられている文献そのものである。 (a) 刊行物2には、以下の記載がある。 2a「外周面を離間対向させて回転自在に並設された対をなすロータと、これらのロータが回転したとき互いに対向し得るようにこれらのロータの外周面にそれぞれ形成された食品を成形するための凹部と、前記対をなすロータの一方のロータの凹部と他方のロータの凹部とが離間状態にあるときこれら両凹部間に食品を強制的に供給し得るように設けられた食品供給機構と、前記対をなすロータを回転させると共にこれらのロータを相対的に近接離間させる駆動機構とからなり、前記対をなすロータの凹部間に供給された食品を圧縮成形して排出することを特徴とする食品成形機。」(1ページ左下欄「2.特許請求の範囲」の欄(1)) 2b「〔産業上の利用分野〕 本発明はすしのような食品の成形機に関する。 〔従来技術〕 従来、シュート内に供給された飯を、シュートに連結されシュート側より先端側がすぼめられた食品通路を通して駆動機構により押し出し、この食品通路から送出された食品をベルトコンベアにより搬送し、所定箇所において成形機構によりすし形またはおにぎり形に成形する自動食品成形機が知られている。 ところが、このような食品成形機においては、機構が複雑な上に大型であり、コストが高いという問題があつた。」(1ページ右下欄18行?2ページ左上欄10行) 2c「〔発明が解決しようとする問題点〕 本発明が解決しようとする問題点は、構造が簡単で小型化することができ、コストが安く家庭等で容易にすし、おにぎり等の食品を成形することができるようにする点にある。」(2ページ左上欄11行?15行) 2d「〔作用〕 対をなす複数のロータに回転させ、相互間隔が広がつた相隣力合う2凹部間に食品供給手段により食品を供給すると、この食品は、一方のロータが他方のロータ側に回転しつつ接近するので、前記複数のロータの2凹部部が対向状態に近付くに従い圧縮されて所期の成形形状に成形され、前記一方のロータが他方のロータから回転しつつ遠ざかると、前記2凹部が遠ざかるにつれてこの2凹部間から外方へ排出される。」(2ページ右上欄10行?19行) 2e「〔発明の効果〕 構造が簡単となり、小型化することができ、コストが安くなり、家庭等で容易にすし、おにぎり等の食品を成形することができる。」(2ページ右上欄20行?左下欄3行) 2f「ロータ18,19はほぼ五角柱からなり、それぞれの外周5側面にはそれぞれ同形の凹部22が形成され、外周5側面の交叉部には円弧面23が形成されている。ロータ18の凹部22とロータ19の凹部22とはこれらロータ18,19が回転したとき互いに対向し、これらの凹部22,22とハウジング8の後壁8a、前蓋壁8cとの間にすし飯の外形に相当するキヤビテイが形成されるようになされている。」(2ページ右下欄14行?3ページ左上欄3行) 2g「飯はロータ18の凹部22、ロータ19の凹部22間に強制的圧送られ、これらの凹部22,22が対向状態に向うに従い圧縮され、これらの凹部22,22が第5図に示すように対向すると最も圧縮され、すし形に成形される。さらにハンドル36を回すと、凹部22,22がターンテーブル46側において離間し、これら凹部22,22間から回転しているターンテーブル上に圧縮成形されたすし飯を排出する。」(4ページ右上欄13行?左下欄2行) 2h (b) 以上の記載によれば、刊行物2には、摘示2aに示す、本件訂正発明1と同じ「すしのような食品の成形機」(摘示2b)について記載され、その成形機における一対のロータの外周5側面の交叉部に形成される「円弧面」(摘示2f。第5図の符号23)は、本件訂正発明1の「稜線部」に対応すると認められる。そして、第5図によれば、その稜線部は、「成形ローラの径方向外方に行くほど周方向に長く延びる形状」をしているように記載されていることが認められる。 しかしながら、刊行物2それ自体には、本件訂正発明の(I)の問題(上記イ(イ)b)についても、その問題を解決するために、成形ローラの「左右の稜線部が当接する際、一方の稜線部における凹部に他方の稜線部における凸部が入り込んで嵌合し、互いに密着(密接)した状態を暫く保持しながら左右の成形ローラが円滑に(米飯成形空間開口部の開方向に)回転できるようにすると底面の閉塞状態を比較的長く持続させることができること」に着目し、一対の成形ローラが回転する際、前記凸部が前記凹部に入り込んだ状態を暫く保持して底面の閉塞状態を比較的長く持続させることができる米飯成形装置を提供するという本件訂正発明の(II)の発想についても、記載はもとより示唆等があるとも認められない。 そうすると、刊行物2には、引用発明1において、刊行物2に記載された稜線部の「成形ローラの径方向外方に行くほど周方向に長く延びる形状」を適用することの契機となるものは見当たらないといえる。 そして、既に(a)において検討したとおり、引用発明1において、一対の成形ドラムが回転する際、前記凸部が前記凹部に入り込んだ状態を暫く保持するような「前記凸部は前記成形ローラの径方向外方に行くほど周方向に長く延びる形状」とすることは、当業者にとってむしろ考えがたいことであるところ、これを超えてまで上記構成を適用すべき理由は何ら見あたらない。 したがって、引用発明1から出発して、刊行物2に記載された、相違点(iii)に係る本件訂正発明1における構成である、凸部を「成形ローラの径方向外方に行くほど周方向に長く延びる形状」の構成に到達することは、困難であったというべきである。 c その他の証拠などについて 請求人は、刊行物1,2のほか、特開平6-38663号公報(甲第3号証:本件特許の出願の日(平成17年1月18日)前の平成6年2月15日に頒布された刊行物である。以下、この刊行物を「刊行物3」という。)を提出する。 この刊行物3には、請求項3に係る「前記稜線部における凸部の先端が丸みを帯び、」の構成について提出されたものであり、そこには、本件訂正発明の(I)の問題(上記イ(イ)b)についても、その問題を解決するための本件訂正発明の(II)の発想(上記イ(イ)についても、何ら記載も示唆もするものではなく、本件訂正発明1の出願当時、引用発明1から出発して、相違点に係る本件訂正発明1との構成に当業者が到達することが容易であったことを裏付けるものとはいえない。 d 効果について そして、これらの相違点のうち、少なくとも相違点(iii)に係る構成を含む本件訂正発明1は、本件訂正明細書に記載されるとおりの、 「最初から上部をドーム型の丸みを帯びた形状に、また底(下面)を平らにしても型崩れさせずに成形することができる。したがって、米飯成形空間(38)から米飯成形体(40)をそのまま落下させることができ、該米飯成形体(40)を反転させて載置部(18)に置くといった煩わしい工程を省略することができる。」(段落【0025】) という効果や、 「従来のような比較的大きな開口部(楕円形の開口部、図14参照)が形成されるということはなく、これにより当該開口部(42)に米飯が入り込む心配もなく、バリが形成されるというおそれもない。」(段落【0026】) という効果を奏する。 他方、引用発明1の装置における「複数の歯」は、米飯成形空間の閉塞状態を長く持続することはできるものではないから、上記効果を奏するものではない。そして、刊行物1ないし3、その他において上記効果について記載も示唆もするところはない。 e 請求人の主張について 弁駁書において、本件特許の図12に記載されている成形ローラ126,126における稜線部は、「成形しようとする上記シャリ玉(S)の形状からして、必然的に成形ローラ126の径方向外方に行くほど周方向に長く延びる形状を呈することになります。」として、「請求項1,2に係る特許発明は、甲第1号証に記載された発明に、出願人自認の従来技術に係る図12の成形ローラ126,126を適用したに過ぎない」と主張する(5ページ?6ページ7.(2)2B.)。 しかし、この主張を待つまでもなく、上記のとおり、刊行物2における成形ローラ126の稜線部は径方向外方に行くほど長く延びる形状を呈するものと認められるのであるから、この2B.の主張も、結局、本件訂正発明1は、刊行物1に記載された発明に、刊行物2に記載された発明を適用することは容易であるという2A.(5ページ)の主張と同じであるといえる。 そして、上述のとおり、刊行物1及び2(さらに刊行物3)いずれにおいても、上記(I)の問題や(II)の発想について記載も示唆もないうえ、むしろ、引用発明1において、凸部を「成形ローラの径方向外方に行くほど周方向に長く延びる形状」とすることはむしろ避けられるべきことであるから、引用発明1から出発して、刊行物2に記載された、相違点に係る本件訂正発明1との構成に当業者が到達することが容易であったということはできない。 よって、請求人の2A.2B.の主張は、採用することはできない。 (エ)本件訂正発明1と引用発明1との相違点についての検討のまとめ 上記検討したところによれば、引用発明1から出発して、相違点(iii)に係る本件訂正発明1の構成に到達することが容易であったということはできないから、その余の相違点について検討するまでもなく、本件訂正発明1は、その出願前に頒布された刊行物1及び2に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである、ということはできない。 ウ 付記 なお、平成20年12月12日の審判請求書には、平成21年1月27日の手続補正後にはない、「甲第2号証に記載された発明における各成形ローラの稜線部(円弧面23)に、甲第1号証に記載された発明における歯(22,60)を適用したに過ぎない。…その効果…も格別なものではない。」(14ページ下から4行?15ページ8行)との記載があった。すなわち、審判請求時において、請求人は、刊行物2に記載された発明を主たる引用発明とした進歩性についての無効理由も主張していたようにも認められるので、念のため、ここで簡単に検討しておく。 (ア)刊行物2に記載された事項及び刊行物2に記載された発明 刊行物2には、本件訂正発明1と同じ「すしのような食品の成形機」(摘示2b)である、摘示2aに示す発明(以下「引用発明2」という。)が記載されている。なお、刊行物2は、本件訂正明細書の【背景技術】に挙げられている文献であり、本件訂正発明において従来技術として認識されていた発明である。 (イ)本件訂正発明1と引用発明2との対比 本件訂正発明1と引用発明2とを対比すると、本件訂正発明1とは、「…おいて」までの前提部分の構成において一致し、それ以降の本件訂正発明1の特徴部分である、 「前記一方の成形ローラの前記稜線部は径方向外方に延びる凸部が形成され、前記他方の成形ローラの前記稜線部は径方向内方に陥没する凹部が形成され、 前記凸部は前記成形ローラの径方向外方に行くほど周方向に長く延びる形状をなしており、 前記一対の成形ローラが回転する際、前記凸部が前記凹部に入り込んだ状態となる」との構成が、引用発明2においてない点において相違する(以下「相違点A」という。)。 (ウ)本件訂正発明1と引用発明2との相違点についての検討 本件訂正発明1は、従来の装置において、上記(I)との問題を見出し、これを上記(II)との知見に基づき上記相違点に係る構成を採用することにより解決したものである。 そして、刊行物1には、成形ドラムのウェルに、相違点Aに係る「前記一方の成形ローラの前記稜線部は径方向外方に延びる凸部が形成され、前記他方の成形ローラの前記稜線部は径方向内方に陥没する凹部が形成され、」という構成が示されているということができるものの、刊行物1ないし3いずれにおいても本件訂正発明の(I)の問題についても、その問題を解決するための本件訂正発明の(II)の発想についても、何ら記載するものではなく、引用発明2において、相違点Aに係る上記構成を適用することの契機となる記載は見当たらないといえる。 したがって、引用発明2において、刊行物1に記載された、相違点Aに係る本件訂正発明1における構成のうち、「前記一方の成形ローラの前記稜線部は径方向外方に延びる凸部が形成され、前記他方の成形ローラの前記稜線部は径方向内方に陥没する凹部が形成され、…前記一対の成形ローラが回転する際、前記凸部が前記凹部に入り込んだ状態となる」との構成に到達することは、困難であったというべきである。 (エ)付記のまとめ よって、刊行物2に記載された発明を主たる引用発明としても、本件訂正発明1は、刊行物1及び2に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである、ということはできない。 エ 本件訂正発明1についてのまとめ 以上のとおりであるから、本件訂正発明1は、刊行物1及び2に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである、ということはできない。 (4) 本件訂正発明2について ア 本件訂正発明2と引用発明1との対比 本件訂正発明2は、本件訂正発明1において「前記一方の成形ローラの前記稜線部は径方向外方に延びる凸部が形成され、前記他方の成形ローラの前記稜線部は径方向内方に陥没する凹部が形成され、」が「前記一対の成形ローラのそれぞれの前記稜線部は径方向外方に延びる凸部と径方向内方に陥没する凹部とが前記成形ローラの軸方向に交互に繰り返し並設された凹凸形状をなし、」となったもの、である。この構成は、上記(3)アで検討した一致点・相違点における相違点(iv)に係る構成である。 そうすると、本件訂正発明2と引用発明1とを対比したときの一致点及び相違点は、上記(3)アにおける本件訂正発明1と引用発明1と相違点(iv)が以下の相違点(iv’)となるほかは、同じであるといえる。 (iv’) 前記一対の成形ローラのそれぞれの前記稜線部は径方向外方に延びる凸部と径方向内方に陥没する凹部とが、本件訂正発明2においては、「前記成形ローラの軸方向に交互に繰り返し並設された凹凸形状」をなすものであるのに対し、引用発明1においては、「複数の歯」である点(以下「相違点(iv’)」という。) イ 本件訂正発明2と引用発明1との相違点についての検討 本件訂正発明2と引用発明1とには、少なくとも本件訂正発明1と引用発明1との相違点(iii)と同じ相違があることは、上記アのとおりである。 そして、引用発明1において、相違点(iii)に係る本件訂正発明1の構成に到達することは容易であるということができないことは、上記(3)イのとおりであり、この理由はそのまま本件訂正発明2に適用することができる。 ウ 本件訂正発明2についてのまとめ よって、本件訂正発明2は、その余の相違点について検討するまでもなく、刊行物1及び2に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである、ということはできない。 (5) 無効理由2についてのまとめ したがって、本件訂正発明1及び2は特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものである、ということはできないから、本件特許1及び2は、この理由によっては、同条の規定に違反してされたものであるということはできず、同法第123条第1項第2号に該当しない。 よって、無効理由2は理由がない。 2 無効理由3について 請求人は、本件訂正発明3は、米国特許第5381728号明細書(甲第1号証。1(1)における「刊行物1」)に記載された発明を主たる引用発明として、特開昭61-47159号公報(甲第2号証。1(3)イ(ウ)bにおける「刊行物2」)及び特開平6-38663号公報(甲第3号証。1(3)イ(ウ)cにおける「刊行物3」)に記載された発明を考慮することにより、当業者が容易に発明をすることができたものであるから特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない、と主張すると認められる。 そこで、この理由について検討する。 (1) 本件訂正発明3について 本件訂正発明3は、本件訂正発明1又は2の構成に、さらに 「前記稜線部における凸部の先端が丸みを帯び、 前記一対の成形ローラに形成された前記米飯収納凹部により米飯成形空間が形成され、 前記米飯成形空間における前記成形ローラの回転方向後方側が閉じ始めても、前記米飯成形空間における前記成形ローラの回転方向前方側が開放されていない」 という構成を有するものである。 (2) 刊行物1の記載、刊行物1に記載された発明、及び本件訂正発明3との対比 刊行物1の記載事項は、上記1(1)に記載したとおりであり、刊行物1に記載された発明は上記1(2)に記載したとおりである(この発明を、同様に「引用発明1」という。)。 そうすると、本件訂正発明3と引用発明1とを対比したときの一致点及び相違点は、上記(3)アにおける本件訂正発明1と引用発明1と相違点に上記構成についての相違点が加わるほかは、同じであるといえる。 (3) 本件訂正発明3と引用発明1との相違点についての検討 本件訂正発明3と引用発明1とには、少なくとも本件訂正発明1と引用発明1との相違点(iii)と同じ相違があることは明らかである。 そして、引用発明1において、相違点(iii)に係る本件訂正発明1の構成に到達することは容易であるということができないことは、上記2(3)イのとおりであり、この理由はそのまま本件訂正発明3に適用することができる。 よって、本件訂正発明3は、その余の相違点について検討するまでもなく、刊行物1、2及び3に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである、ということはできない。 (4) 無効理由3についてのまとめ 以上のとおり、本件訂正発明3は特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものである、ということはできないから、本件特許3は、この理由によっては、同条の規定に違反してされたものであるということはできず、同法第123条第1項第2号に該当しない。 よって、無効理由3は理由がない。 3 無効理由1について 請求人は、本件訂正発明1及び2は、米国特許第5381728号明細書(甲第1号証。上記1(1)における「刊行物1」)に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当する、と主張する。 そこで、この理由について検討する。 (1) 刊行物1の記載、刊行物1に記載された発明、及び本件訂正発明1又は2との対比 刊行物1の記載事項は、上記1(1)に記載したとおりであり、刊行物1に記載された発明は上記1(2)に記載したとおりである(この発明を、同様に「引用発明1」という。)。 そして、本件訂正発明1及び2と引用発明1を対比したときの一致点及び相違点は、それぞれ、上記1(3)ア及び(4)アに記載したとおりのものである。 (2) 本件訂正発明1又は2と引用発明1との相違点についての検討 ア 本件訂正発明1 本件訂正発明1と引用発明1とには上記(1)のとおりの相違がある。 そして、これらの相違点のうち、少なくとも相違点(iii)について、刊行物1には、「複数の歯」の凸部の成形ドラムの径方向の形状として相違点(iii)に係る形状のものを包含するものとはいえないことは、上記1(3)イ(ウ)aに示したとおりである。 そうすると、本件訂正発明1は、引用発明1とは相違するものである。 よって、本件訂正発明1は、刊行物1に記載された発明である、ということはできない。 イ 本件訂正発明2 本件訂正発明2と引用発明1とを対比したときの一致点・相違点は、上記(3)アにおける本件訂正発明1と引用発明1と相違点(iv)が以下の相違点(iv’)となるほかは、同じであるといえることは上記1(4)で示したとおりである。 本件訂正発明2は、引用発明1とは、少なくとも本件訂正発明1と引用発明1との相違点(iii)と同じ相違がある。 そうすると、本件訂正発明1について述べたのと同じ理由により、本件訂正発明2は、引用発明1とは相違するものである。 よって、本件訂正発明2は、刊行物1に記載された発明である、ということはできない。 ウ 本件訂正発明1及び2についてのまとめ よって、本件訂正発明1及び2は、刊行物1に記載された発明である、ということはできない。 (3) 無効理由1についてのまとめ 以上のとおり、本件訂正発明1及び2は特許法第29条第1項第3号に該当するものである、ということはできないから、本件特許1及び2は、この理由によっては、同条の規定に違反してされたものであるということはできず、同法第123条第1項第2号に該当するということはできない。 よって、無効理由1は理由がない。 第6 むすび 以上のとおりであるから、請求人の主張及び証拠方法によっては、本件特許1ないし3を無効とすることはできない。 審判に関する費用については、特許法第169条第2項の規定において準用する民事訴訟法第61条の規定により請求人が負担とすべきものとする。 よって、結論のとおり審決する。 |
発明の名称 |
(54)【発明の名称】 米飯成形装置 【技術分野】 【0001】 本発明は米飯成形装置に関し、詳しくはホッパーから搬出した米飯を、例えばシャリ玉(すし玉)、おにぎりなどの所定形状に圧縮成形するための米飯成形装置に関する。 【背景技術】 【0002】 従来の米飯成形装置、例えばシャリ玉成形装置(100)としては次のようなものがあった。すなわち、ホッパー内に収納された原料米飯(R)が、該ホッパーの搬出口から順次排出(供給)され、図11に示すように、左右の上部送出しローラ(114)(114)および下部送出しローラ(115)(115)によって徐々に圧延されたのち、左右一対の成形ローラ(126)(126)に取り込まれる。これら成形ローラ(126)は、図12に示すように各々五角形の角柱からなり、各々の円周面上には円周方向72度毎に米飯収納凹部(128)が凹入形成されている。左右の米飯収納凹部(128)(128)は、成形ローラ(126)の回転に伴って接離可能となり、最も近接した際、左右の米飯収納凹部(128)(128)が互いに相対向する位置となって合わさるように、左右の成形ローラ(126)(126)の回転は同調する。相対向する左右の米飯収納凹部(128)(128)によって幅方向中央部に米飯成形空間(138)が形成し、この米飯成形空間(138)に米飯(R)が取り込まれ、かつ圧縮されて一体化される。そして、成形ローラ(126)がさらに回転することにより、一塊りの米飯成形体が米飯成形空間(138)から落下して載置台によって受け止められる(例えば、特許文献1参照)。 【特許文献1】特開昭61-47159号公報 【発明の開示】 【発明が解決しようとする課題】 【0003】 しかしながら、上記したシャリ玉成形装置(100)には、次のような問題があった。 【0004】 (1)図13(a)に示すように、シャリ玉(S)は通常、上部が丸みを帯びたドーム型を呈し、底面が平らである。このような形状を持つシャリ玉(S)を製造する際、上部を丸味を帯びたドーム型に成形して(下面を平らに成形して)そのまま落とす方法が最も都合が良いが、そのような方法で成形することが出来なかった。逆に成形してから、つまりドーム型の部分が下部となるように成形して(平らな面が上面となるように成形して)から、180度反転させて載置台に載せる必要があった。 【0005】 すなわち、相対向する左右の米飯収納凹部(128)(128)によって形成する米飯成形空間(138)において、底(下面)を平らにして米飯を成形しようとする場合、該成形空間(138)の下が開き始めたときには既に上が閉じており、これにより、圧縮された米飯が 逃げ場を求め、開き始めた部分から米飯が出ようとする。従って、いくら下を平らにしようと思っても、米飯成形空間(138)における内圧の関係でどうしても米飯成形体の底(下面)に膨出部が出来てしまい平らにはならなかった。 【0006】 この問題を解消するためには、成形ローラ(126)の径を大きくすることが一応考えられるが、径を大きくすればするほど、圧縮の時間(成形ローラ(126)によって米飯が保持される時間)が長くなり、米飯成形空間(138)における米飯の圧縮度が増し、得られる米飯成形体の食感を大きく損なうといった致命的な問題が発生する。これにより、やはり上面を平らにし、下部をドーム型に丸くして成形する必要があり、それが故に載置台に載せる前に該米飯成形体を180度反転させる必要があった。 【0007】 (2)また、上述したようにシャリ玉(S)の下部をドーム型に丸くして成形しようとする場合、該ドーム型部分の頂部に、図13(b)に示すようなバリ(W)が発生するといった別の問題があった(金属やプラスチックを加工する際、その縁にはみ出た余分な部分をバリと言うが、ここで言うバリ(W)も同様のものを指す)。すなわち、前述したように、相対向する左右の米飯収納凹部(128)(128)によって形成する米飯成形空間(138)において、該成形空間(138)の米飯が圧縮され、のちこの成形空間(138)の下が開き始めたとき、図14に示すように楕円形の開口部(142)が形成される。これは、シャリ玉(S)をドーム型に丸く成形しようとすることから前記米飯収納凹部(128)の一部を丸く凹入形成する必要があり、またドーム型に丸く成形しようとする位置が(成形上は)シャリ玉(S)の下部であることから、成形ローラにおける1つの米飯収納凹部(128)と他の米飯収納凹部(128)の間に形成する稜線部(130)の上流側(上面側、回転方向後方側)を円弧状に凹入形成する必要があり、それ故に、当接していた左右の稜線部(130)(130)が離間状態に入ると、図14に示すように徐々に両者間に必然的に楕円形の開口部(142)が形成される。そして、形成する楕円形状の開口部(142)に向けて米飯が流れ出て、これにより米飯成形体におけるドーム型部分の頂部に凸部、すなわちバリ(W)が発生するといった問題があった。 【0008】 [発明の目的] 本発明は上記の実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、米飯成形体、例えばシャリ玉を載置台に載せる際に反転させる必要がなく、また得られる米飯成形体に形成するバリを最小限に抑えることのできる米飯成形装置を提供するところにある。 【課題を解決するための手段】 【0009】 請求項1記載の米飯成形装置は、米飯を所定方向に送り出す送出部と、周面を相対向させて配設し互いに反対方向に回転する一対の成形ローラと、を備え、前記一対の成形ローラは、周面において周方向所定間隔毎に凹設され送出部から送り出された米飯を受け入れる米飯収納凹部と、周方向に隣り合う前記米飯収納凹部の間に形成された稜線部と、を備え、前記一対の成形ローラの回転に伴って、前記一方の成形ローラに形成された前記米飯収納凹部と前記他方の成形ローラに形成された前記米飯収納凹部とが相対向して前記米飯収納凹部に収納された米飯を圧縮し所定形状の米飯成形体を成形する米飯成形装置において、前記一方の成形ローラの前記稜線部は径方向外方に延びる凸部が形成され、前記他方の成形ローラの前記稜線部は径方向内方に陥没する凹部が形成され、前記凸部は前記成形ローラの径方向外方に行くほど周方向に長く延びる形状をなしており、前記一対の成形ローラが回転する際、前記凸部が前記凹部に入り込んだ状態となることを特徴とする。 【0010】 請求項2記載の米飯成形装置は、米飯を所定方向に送り出す送出部と、周面を相対向させて配設し互いに反対方向に回転する一対の成形ローラと、を備え、前記一対の成形ローラは、周面において周方向所定間隔毎に凹設され送出部から送り出された米飯を受け入れる米飯収納凹部と、周方向に隣り合う前記米飯収納凹部の間に形成された稜線部と、を備え、前記一対の成形ローラの回転に伴って、前記一方の成形ローラに形成された前記米飯 収納凹部と前記他方の成形ローラに形成された前記米飯収納凹部とが相対向して前記米飯収納凹部に収納された米飯を圧縮し所定形状の米飯成形体を成形する米飯成形装置において、前記一対の成形ローラのそれぞれの前記稜線部は径方向外方に延びる凸部と径方向内方に陥没する凹部とが前記成形ローラの軸方向に交互に繰り返し並設された凹凸形状をなし、前記凸部は前記成形ローラの径方向外方に行くほど周方向に長く延びる形状をなしており、前記一対の成形ローラが回転する際、前記一方の成形ローラの前記稜線部に設けられた前記凸部が前記他方の成形ローラの前記稜線部に設けられた前記凹部に入り込んだ状態となることを特徴とする。 【0011】 請求項3記載の米飯成形装置は、請求項1または2に記載の装置において、前記稜線部における凸部の先端が丸みを帯び、前記一対の成形ローラに形成された前記米飯収納凹部により米飯成形空間が形成され、前記米飯成形空間における前記成形ローラの回転方向後方側が閉じ始めても、前記米飯成形空間における前記成形ローラの回転方向前方側が開放されていないことを特徴とする。 【発明の効果】 【0012】 本発明の米飯成形装置によれば、米飯成形体、例えばシャリ玉を成形後に載置台に載せる際に反転させる必要がない。換言すれば、最初から上部をドーム型の丸みを帯びた形状に、また下面を平らにして成形することができるので、成形後に載置台に載せる際に反転させる必要がない。 【0013】 すなわち、請求項1、2に記載の米飯成形装置にあっては、米飯成形空間が形成されるべく、成形ローラの回転により左側の1つの稜線部と右側の1つの稜線部が当接し合う際、一方の稜線部における凹部に他方の稜線部における凸部が入り込んだ状態で左右の成形ローラが回転するので、換言すると左右の米飯収納凹部が合わさってできる米飯成形空間の底面の閉塞状態が比較的長い間(凹部が凸部から完全に抜け出るまでの間)持続するので、米飯成形空間の上が閉じ始めても下は未だ開放されておらず、従来のように圧縮された米飯が逃げ場を求め、開き始めた部分から米飯が出ようとして米飯成形体の底(下面)に膨出部が出来るといった心配はない。このように、底面の閉塞状態を比較的長く持続させることができるので、最初から上部をドーム型の丸みを帯びた形状に、また下面を平らにして成形することができ、得られた米飯成形体を米飯成形空間からそのまま落下させることにより、反転させる工程を省略することができる。 【0014】 また、最終的に得られる米飯成形体において、バリの発生を最小限に抑えることができる。すなわち、本発明の米飯成形装置にあっては、前述したように成形ローラの回転により左側の1つの稜線部と右側の1つの稜線部が当接し合う際、一方の稜線部における凹部に他方の稜線部における凸部が嵌合した状態(入り込んだ状態)になるので、左右の成形ローラが更に回転しても、米飯成形空間の底面に(左右の稜線部の間に)従来のような比較的大きな開口部が形成されるということはなく、これにより米飯が入り込んでバリが形成されるという心配もない。 【0015】 請求項3記載の装置のように、稜線部における凸部の先端が丸みを帯びていれば、米飯成形体への損傷を最小限に抑えることができる。すなわち、前述したように稜線部に凸部を設けることにより、成形ローラの回転に伴って前記凸部の先端で米飯成形体の表面を擦って、該成形体に引掻きキズのようなスジが入り外見性を損なう可能性がある。しかしながら、当該凸部の先端が丸みを帯びていれば、米飯成形体への損傷を最小限に抑えることができる。 【発明を実施するための最良の形態】 【0016】 以下、本発明の一実施形態を、図面に示す実施例に基づいて説明する。 【0017】 図1は本発明に係る米飯成形装置(シャリ玉成形装置)(10)を示す斜視図であり、図2はその正面図である。両図における二点鎖線はカバー(11)を示す。米飯成形装置(10)は上から、搬出部(12)、送出部(14)、成形部(16)、及び載置部(18)を備えている。 【0018】 搬出部(12)は米飯を収納するためのホッパー(20)が装備されている。ホッパー(20)の内部には、米飯を前方へ搬出するための攪拌機(22)が設けられ、攪拌機(22)の駆動により前方へ搬送された米飯は、搬出口(24)から順次搬出供給される。 【0019】 送出部(14)は、各々所定の間隔を存して配設された左右一対の第1送出ローラ(14a)と、前記第1送出ローラ(14a)よりも径小の第2送出ローラ(14b)を備えている。いずれも、搬出口(24)から送り出された米飯を圧延しながら下方に向けて送り出す。 【0020】 送出部(14)によって送り出された米飯は該送出部(14)の下方に設けられた成形部(16)に誘導される。成形部(16)もまた、所定の間隔を存して配設された左右一対の成形ローラ(26)(左側成形ローラ(26a)、右側成形ローラ(26b))を備えている。左右一対の成形ローラ(26a)(26b)は、周面を相対向させて配設され、該周面は各々、米飯収納凹部(28)が円周方向所定間隔(本実施例では72度)毎に凹入形成されている。これにより、1つの米飯収納凹部(28)と他の隣接する米飯収納凹部(28)との間には径方向に突出し前後方向(奥行き方向)に延びる稜線部(30)が円周方向所定間隔(本実施例では72度)毎に形成される。 【0021】 左側成形ローラ(26a)は時計方向に回転し、右側成形ローラ(26b)は反時計方向に回転し、これにより左右の米飯収納凹部(28)(28)は、成形ローラ(26)の回転に伴って接離可能となる。最も近接した際、左右の米飯収納凹部(28)(28)が互いに相対向する位置となって双方が合致するように左右の成形ローラ(26a)(26b)は位置決めされかつ同調回転する。 【0022】 図3および図4に示すように、前記左側成形ローラ(26a)の稜線部(30)は該稜線部(30)が延びる前後方向において、径方向外方に延びる凸部(32)(先端は丸みを帯びている)と、径方向内方に凹入形成された凹部(34)が交互に繰り返し並設された凹凸形状をなしている。すなわち、右側成形ローラ(26b)の稜線部(30)は、左側の成形ローラ(26a)の稜線部(30)における凸部(32)と相対向する位置において、該凸部(32)(先端は丸みを帯びている)の形状に略合致した凹部(34)が、また左側成形ローラ(26a)における凹部(34)の形状に略合致し該凹部に嵌合可能(入り込み可能、嵌め込み可能)な凸部(32)(先端は丸みを帯びている)がそれぞれ交互に繰り返し並設されている。これにより、前記成形ローラ(26)の回転により左側の1つの稜線部(30)と右側の1つの稜線部(30)が当接し合う際、一方の稜線部(30)における凹部(34)に他方の稜線部(30)における凸部(32)が入り込んだ状態(図4における幅方向中央部を参照)を暫くの間(凸部(32)が凹部(34)から完全に抜け出るまでの間)保持して左右の成形ローラ(26a)(26b)が回転する。 【0023】 このように左右一対の成形ローラ(26a)(26b)における稜線部(30)(30)は接離可能となり、前記成形ローラ(26)の回転により左側の1つの稜線部(30)と右側の1つの稜線部(30)が当接した際、当該当接位置より上方に開口した米飯成形空間(38)が前記左右の米飯収納凹部(28)(28)によって形成される。左右の米飯収納凹部(28)(28)が合わさって形成された米飯成形空間(38)は、図4に示すように底が平らで上部がドーム型の丸味を帯びた形状を呈する。 【0024】 送出部(14)から送り出された米飯が前記米飯成形空間(38)に収納され、前記成形ローラ(26)のさらなる回転により、前記米飯成形空間(38)に収納された米飯が左右の成形ローラ(26a)(26b)により圧縮されて成形され、さらなる成形ローラ(26)の回転により、当接していた左右の稜線部(30)(30)が離間状態となって米飯成形体(40)が米飯収納凹部(28)から排出されて(落下して)、円形のターンテーブルにより構成する 載置部(18)に載る。 【0025】 本発明の米飯成形装置(10)にあっては、前述したように、成形ローラ(26)の回転により左側の1つの稜線部(30)と右側の1つの稜線部(30)が当接し合う際、一方の稜線部(30)における凹部(34)に他方の稜線部(30)における凸部(32)が入り込んだ状態で左右の成形ローラ(26a)(26b)が回転するので(図4?図5参照)、換言すると、左右の米飯収納凹部(28)(28)が合わさってできる米飯成形空間(38)の底面の閉塞状態が比較的長く持続するので、米飯成形空間(38)の上が閉じ始めても底面は直ぐには開放せず、従来のように圧縮された米飯が逃げ場を求め、開き始めた部分から米飯が出ようとして米飯成形体(40)の底(下面)に膨出部が出来るといった心配はない。このように、底面の閉塞状態を比較的長く持続させることができるので、最初から上部をドーム型の丸みを帯びた形状に、また底(下面)を平らにしても型崩れさせずに成形することができる。したがって、米飯成形空間(38)から米飯成形体(40)をそのまま落下させることができ、該米飯成形体(40)を反転させて載置部(18)に置くといった煩わしい工程を省略することができる。 【0026】 また、最終的に得られる米飯成形体(40)において、バリの発生を最小限に抑えることができる。すなわち、前述したように成形ローラ(26)の回転により左側の1つの稜線部(30)と右側の1つの稜線部(30)が当接し合う際、一方の稜線部(30)における凹部(34)に他方の稜線部(30)における凸部(32)が嵌合した状態(入り込んだ状態)となり、左右の成形ローラ(26)が更に回転しても、米飯成形空間(38)の下に、図6に示すようにジグザグ状の細長い開口部(42)が形成されることはあるが、従来のような比較的大きな開口部(楕円形の開口部、図14参照)が形成されるということはなく、これにより当該開口部(42)に米飯が入り込む心配もなく、バリが形成されるというおそれもない。 【0027】 なお、上記実施例の成形ローラ(26)における稜線部(30)の凸部(32)の形状を断面三角形(図3?図4参照)としたが、これに限らず、図7に示すように四角形状でも良く、図8に示すように円弧状(半円状、波形状)でもよい。あるいは、図9や図10に示すように、軸方向中央部が径方向外方に膨出した三角形状または半円状の凸部(32)と、軸方向中央部が径方向内方に凹入形成された凹部(34)からなっていても構わない。要するに、左右の稜線部(30)が当接する際、一方の稜線部(30)における凹部(34)に他方の稜線部(30)における凸部(32)が入り込んで嵌合し、互いに密着(密接)した状態を暫く保持しながら左右の成形ローラ(26)が円滑に(前記開口部(42)の開方向に)回転できるのであれば、凹凸形状は上記の形状に限らない。 【図面の簡単な説明】 【0028】 【図1】本発明の米飯成形装置の一実施例を示した斜視図である。 【図2】前図の正面図である。 【図3】本発明における左右一対の成形ローラの斜視図である。 【図4】稜線部同士が噛み合った(嵌合した)状態の左右一対の成形ローラであり、(a)は正面図であり、(b)は前記(a)の断面図である。 【図5】要部拡大斜視図である。 【図6】左右一対の成形ローラ間に形成される隙間を現した模式図である。 【図7】成形ローラの他の実施例を示す断面図である。 【図8】成形ローラの更に他の実施例を示す断面図である。 【図9】成形ローラの更に他の実施例を示す断面図である。 【図10】成形ローラの更に他の実施例を示す断面図である。 【図11】従来の米飯成形装置の斜視図である。 【図12】従来の左右一対の成形ローラの斜視図である。 【図13】(a)は、理想的なシャリ玉の断面形状を示し、(b)は、従来の米飯成形装置で得られたシャリ玉の断面形状を示す。 【図14】従来の左右一対の成形ローラ間に形成される隙間を表した模式図である。 【符号の説明】 【0029】 10……米飯成形装置 12……搬出部 14……送出部 16……成形部 18……載置部 20……ホッパー 24……搬出口 26……成形ローラ 26a……左側成形ローラ 26b……右側成形ローラ 28……米飯収納凹部 30……稜線部 32……凸部 34……凹部 38……米飯成形空間 40……米飯成形体 (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 米飯を所定方向に送り出す送出部と、周面を相対向させて配設し互いに反対方向に回転する一対の成形ローラと、を備え、 前記一対の成形ローラは、周面において周方向所定間隔毎に凹設され送出部から送り出された米飯を受け入れる米飯収納凹部と、周方向に隣り合う前記米飯収納凹部の間に形成された稜線部と、を備え、 前記一対の成形ローラの回転に伴って、前記一方の成形ローラに形成された前記米飯収納凹部と前記他方の成形ローラに形成された前記米飯収納凹部とが相対向して前記米飯収納凹部に収納された米飯を圧縮し所定形状の米飯成形体を成形する米飯成形装置において、 前記一方の成形ローラの前記稜線部は径方向外方に延びる凸部が形成され、前記他方の成形ローラの前記稜線部は径方向内方に陥没する凹部が形成され、 前記凸部は前記成形ローラの径方向外方に行くほど周方向に長く延びる形状をなしており、 前記一対の成形ローラが回転する際、前記凸部が前記凹部に入り込んだ状態となることを特徴とする米飯成形装置。 【請求項2】 米飯を所定方向に送り出す送出部と、周面を相対向させて配設し互いに反対方向に回転する一対の成形ローラと、を備え、 前記一対の成形ローラは、周面において周方向所定間隔毎に凹設され送出部から送り出された米飯を受け入れる米飯収納凹部と、周方向に隣り合う前記米飯収納凹部の間に形成された稜線部と、を備え、 前記一対の成形ローラの回転に伴って、前記一方の成形ローラに形成された前記米飯収納凹部と前記他方の成形ローラに形成された前記米飯収納凹部とが相対向して前記米飯収納凹部に収納された米飯を圧縮し所定形状の米飯成形体を成形する米飯成形装置において、 前記一対の成形ローラのそれぞれの前記稜線部は径方向外方に延びる凸部と径方向内方に陥没する凹部とが前記成形ローラの軸方向に交互に繰り返し並設された凹凸形状をなし、 前記凸部は前記成形ローラの径方向外方に行くほど周方向に長く延びる形状をなしており、 前記一対の成形ローラが回転する際、前記一方の成形ローラの前記稜線部に設けられた前記凸部が前記他方の成形ローラの前記稜線部に設けられた前記凹部に入り込んだ状態となることを特徴とする米飯成形装置。 【請求項3】 前記稜線部における凸部の先端が丸みを帯び、 前記一対の成形ローラに形成された前記米飯収納凹部により米飯成形空間が形成され、 前記米飯成形空間における前記成形ローラの回転方向後方側が閉じ始めても、前記米飯成形空間における前記成形ローラの回転方向前方側が開放されていないことを特徴とする請求項1または2に記載の米飯成形装置。 |
訂正の要旨 |
審決(決定)の【理由】欄参照。 |
審理終結日 | 2009-06-16 |
結審通知日 | 2009-06-23 |
審決日 | 2009-07-07 |
出願番号 | 特願2005-10988(P2005-10988) |
審決分類 |
P
1
113・
113-
YA
(A23L)
P 1 113・ 121- YA (A23L) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 田中 耕一郎 |
特許庁審判長 |
柳 和子 |
特許庁審判官 |
唐木 以知良 細井 龍史 |
登録日 | 2008-04-11 |
登録番号 | 特許第4109260号(P4109260) |
発明の名称 | 米飯成形装置 |
代理人 | 蔦田 正人 |
代理人 | 夫 世進 |
代理人 | 中村 哲士 |
代理人 | 富田 克幸 |
代理人 | 蔦田 正人 |
代理人 | 夫 世進 |
代理人 | 蔦田 璋子 |
代理人 | 蔦田 璋子 |
代理人 | 中村 哲士 |
代理人 | 富田 克幸 |
代理人 | 大原 拓也 |