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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 C04B 審判 査定不服 4号2号請求項の限定的減縮 取り消して特許、登録 C04B |
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管理番号 | 1204081 |
審判番号 | 不服2006-25281 |
総通号数 | 119 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2009-11-27 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2006-11-08 |
確定日 | 2009-10-13 |
事件の表示 | 特願2002- 68089「窒化アルミニウム焼結体の製造方法」拒絶査定不服審判事件〔平成15年 9月25日出願公開、特開2003-267784、請求項の数(2)〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 |
理由 |
1.手続の経緯 本願は、平成14年3月13日の出願であって、平成18年9月5日付け拒絶理由に対して、同年9月19日に意見書が提出されるとともに手続補正がなされ、同年10月19日付けで拒絶査定がなされ、これに対して、同年11月8日に拒絶査定不服審判が請求されるとともに手続補正がなされたものである。 2.平成18年11月8日付け手続補正についての補正却下の決定 【補正却下の決定の結論】 平成18年11月8日付け手続補正を却下する。 【理由】 (1)平成18年11月8日付け手続補正(以下、「本件補正」という。)の内容 本件補正は、本件補正前の、平成18年9月19日付け手続補正書により補正された、 「【請求項1】窒化アルミニウム粉末と、希土類化合物及びアルミナからなる焼結助剤と、アクリル系樹脂からなる有機バインダーとを含む成形体を、脱脂後焼成する工程を経由させて窒化アルミニウム焼結体を製造する方法において、希土類化合物が窒化アルミニウム粉末100質量部に対して酸化物換算で1?10質量部、アルミナが窒化アルミニウム粉末100質量部に対して0.1?5質量部であり、上記脱脂を、残留炭素分が0.2?2.0質量%となるように行い、また上記焼成を、1500℃以上からの昇温速度を10℃/分以上にして1600?1900℃まで高め、この温度範囲内で保持して行うことを特徴とする、曲げ強度400MPa以上、並びに熱伝導率150W/m・k以上の窒化アルミニウム焼結体の製造方法。 【請求項2】脱脂と焼成を連続して行うことを特徴とする請求項1記載の窒化アルミニウム焼結体の製造方法。」 を、 「【請求項1】窒化アルミニウム粉末と、希土類化合物及びアルミナからなる焼結助剤と、アクリル系樹脂からなる有機バインダーとを含む成形体を、脱脂と焼成を連続して行う工程を経由させて窒化アルミニウム焼結体を製造する方法において、希土類化合物の割合が窒化アルミニウム粉末100質量部に対して酸化物換算で1?10質量部、アルミナの割合が窒化アルミニウム粉末100質量部に対して0.1?5質量部であり、上記脱脂を、残留炭素分が0.2?2.0質量%となるように行い、また上記焼成を、1500℃以上からの昇温速度を10℃/分以上にして1600?1900℃まで高め、この温度範囲内で保持して行い、且つ、連続炉がインナーボックスとアウターボックスを備えた多重箱を有し、インナーボックスとアウターボックスの間に加熱源があり、さらにインナーボックス内の非酸化性ガス分圧がインナーボックスとアウターボックスとの間の非酸化性ガス分圧よりも大きいことを特徴とする、曲げ強度400MPa以上、並びに熱伝導率150W/m・k以上の窒化アルミニウム焼結体の製造方法。」 と補正するものである。 (2)本件補正の適否について 本件補正は、本件補正前の、請求項1を引用する請求項2に、「連続炉がインナーボックスとアウターボックスを備えた多重箱を有し、インナーボックスとアウターボックスの間に加熱源があり、さらにインナーボックス内の非酸化性ガス分圧がインナーボックスとアウターボックスとの間の非酸化性ガス分圧よりも大きい」という特定事項を付加して新たな請求項1とすることを含むものである。そして、当該特定事項の追加は、本件補正前の「窒化アルミニウム焼結体の製造方法」に用いる「炉」について新たに特定するものであるといえる。 そこで、上記「連続炉がインナーボックスとアウターボックスを備えた多重箱を有し、インナーボックスとアウターボックスの間に加熱源があり、さらにインナーボックス内の非酸化性ガス分圧がインナーボックスとアウターボックスとの間の非酸化性ガス分圧よりも大きい」という事項を付加する補正が、特許法第17条の2第4項第2号に規定する「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものに該当するか検討する。 上記特定事項を付加する補正が、「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものに該当するためには、特許請求の範囲を減縮するだけでなく、発明を特定するために必要な事項を限定するものでなければならない[必要ならば、知財高裁 平成19年(行ケ)10055号 審決取消請求事件 平成20年2月27日判決参照]。 しかしながら、本件補正前の請求項1、2のいずれにも、「窒化アルミニウム焼結体の製造方法」に用いる「炉」に係る特定は一切なく、またこれに相当する特定があったともいえないから、本件補正前の請求項1を引用する請求項2に、「炉」に係る事項の特定やこれに相当する特定があったとはいえず、したがって、上記特定事項を付加する補正が、本件補正前の請求項2に記載した発明を特定するために必要な事項を限定する補正にあたるとすることができない。 また、上記のように、請求項1に「炉」に係る特定は一切なく、これに相当する特定があったともいえないから、上記特定事項を付加する補正が、本件補正前の請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項を限定する補正にあたるとすることもできないことはいうまでもない。 以上より、本件補正のうち、「連続炉がインナーボックスとアウターボックスを備えた多重箱を有し、インナーボックスとアウターボックスの間に加熱源があり、さらにインナーボックス内の非酸化性ガス分圧がインナーボックスとアウターボックスとの間の非酸化性ガス分圧よりも大きい」という特定事項を付加する補正は、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第4項第2号に規定する「特許請求の範囲の減縮」を目的とする特許請求の範囲の補正であるとすることができない。また、当該事項を付加する補正は、請求項の削除、誤記の訂正、明りょうでない記載の釈明にも該当せず、同法第17条の2第4項第1号、第3号、および第4号のいずれにも該当しない。 (3)むすび 以上のことから、本件補正は 平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第4項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 知財高裁 平成19年(行ケ)10055号 審決取消請求事件 平成20年2月27日判決 『特許法17条の2第4項2号は、「特許請求の範囲の減縮(第三十6条第5項の規定により請求項に記載した発明を特定するために必要な事項を限定するものであつて、その補正前の当該請求項に記載された発明とその補正後の当該請求項に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるものに限る。)」と定めているから、同号の事項を目的とする補正とは、特許請求の範囲を減縮するだけでなく、発明を特定するために必要な事項を限定するものでなければならないと解される。また、「発明を特定するために必要な事項」とは、特許法「第三十6条第5項の規定により請求項に記載した発明を特定するために必要な事項」とあることから、特許請求の範囲中の事項であって特許を受けようとする発明を特定している事項であると解される。』 3.本願発明 平成18年11月8日付け手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1、2に係る発明は、平成18年9月19日付け手続補正書により補正された明細書の特許請求の範囲の請求項1、2に記載された事項により特定されるとおりのものと認める。 そして、本願については、原査定の拒絶理由を検討してもその理由によって拒絶すべきものとすることはできない。 また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審決日 | 2009-09-30 |
出願番号 | 特願2002-68089(P2002-68089) |
審決分類 |
P
1
8・
572-
WY
(C04B)
P 1 8・ 121- WY (C04B) |
最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 三崎 仁 |
特許庁審判長 |
大黒 浩之 |
特許庁審判官 |
繁田 えい子 木村 孔一 |
発明の名称 | 窒化アルミニウム焼結体の製造方法 |