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審決分類 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 A61G
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A61G
管理番号 1204184
審判番号 不服2007-7259  
総通号数 119 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2009-11-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2007-03-09 
確定日 2009-09-17 
事件の表示 特願2003- 50425号「床擦れ防止ベッド」拒絶査定不服審判事件〔平成16年 9月16日出願公開、特開2004-254984号〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 I.手続の経緯
本願は、平成15年2月27日の出願であって、平成19年2月1日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、同年3月9日に拒絶査定不服審判の請求がなされるとともに、同年4月5日付けで手続補正がなされ、更に、同年4月6日付けで手続補正がなされたものである。

II.平成19年4月5日付けの手続補正についての補正却下の決定
[結論]
平成19年4月5日付け手続補正(以下、「本件第1補正」という。)を却下する。

[理由]
(1)補正後の本願発明
本件第1補正により、特許請求の範囲の請求項1は、
「ベッドフレームをベッドの幅方向に且つベッドフレームの左右端が高くできるように中折れ可能にし、しかもベッドフレームの中折れ部は1箇所又は2箇所とし、同ベッドフレームの前後間に複数本の軸体をベッドの幅方向へ所定間隔おいて並列に架設し、同各軸体それぞれに軸孔を備えた略円柱状の複数のロールを回転自在に軸挿し、並列した複数のロールでもってベッド面を形成し、ベッドフレームの中折れ角度を所定角度に保持する解除可能な角度保持手段を設け、ベッド面に布団を敷設し、ロール上で身体を動かして圧接点を変えることで床擦れを防止でき、しかもベッド面の一部を所定角度に傾斜させて身体を横臥状態に保持できるようにした床擦れ防止ベッド。」と補正された。(上記下線部分が、今回補正された箇所である。)
本件第1補正は、請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項である「ベッドフレーム」について、「ベッドフレームをベッドの幅方向に中折れ可能にし」を「ベッドフレームをベッドの幅方向に且つベッドフレームの左右端が高くできるように中折れ可能にし、しかもベッドフレームの中折れ部は1箇所又は2箇所とし」と限定するものであり、かつ、補正後の請求項1に記載された発明は、補正前の請求項1に記載された発明と、産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるので、本件第1補正は、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第4項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。

そこで、本件第1補正後の前記請求項1に係る発明(以下、「本願第1補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に適合するか)について、以下に検討する。

(2)引用刊行物
原査定の拒絶の理由に引用された、本願の出願前に日本国内において頒布された刊行物である特開平7-213561号公報(「引用刊行物1」という。)には、図面とともに、以下の事項が記載されている。
(ア)「【請求項1】 ベッド上面においてベッドの縦(長手)方向を軸とし回転自在なローラを複数個配列し、その全部のローラ又は一部分のローラーを一つの無端帯又は複数個の無端帯で連結したことを特徴とするベッド。
【請求項2】 ベッドが横(左右)方向に複数個に分割され、それらが互いに折り曲げ可能であることを特徴とする請求項1に記載のベッド。
【請求項3】 ベッドが縦(長手)方向に複数個に分割され、それらが互いに折り曲げ可能であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のベッド。・・・」(特許請求の範囲)
(イ)「本発明は、重病患者や寝たきり老人の介護用に好適なベッド並びに患者移送装置に関する。」(段落【0001】)
(ウ)「このような問題に対処するため、たとえば、特開昭61-162946号公報にみられるように、ベッド上に軸を長手方向にして、多数の回転自在の横移動用ローラーを、配列したローラー式のベッドが提案された。・・・このような特開昭61-162946号公報に見られるようなローラーベッドにより、確かにベッド横方向への患者の移動はかなり円滑に行うことができるようになったが、移動するときは、布団をはずして人体を直接ローラーに接触させて移動するので、刺激による血行の促進作用のある反面、異和感、不安感を持つ患者もいる。(段落【0003】?【0008】)
(エ)「以下、本発明の実施例を図を参照しながら詳細に説明する。図1はベッドの要部を説明する図である。この実施例ではベッド1は縦方向に例えば3分割され、それぞれは互いに折り曲げ可能であり、図に示すように上手部2を起こし、中間分4と下手部3とを屈曲させ、リクライニング式にすることもできる。3分割された上手部2、中間部4、及び下手部3のそれぞれには、ベッド左右両側に長手方向を軸とし回転自在なローラー5を配し、そのローラー間を無端帯6で連結してある。この時、ローラーと無端帯との接触状態は、図1に示すように各無端帯の上下方向両端部において、図9に示すような噛み合い構造を持つものであれば完全に同期して、滑ること無くなく回転を伝えることができる。しかし実際はローラーと無端帯との摩擦によって回転を伝えて多少の滑りが生じても、実用上は支障の無い範囲である。さらに図4に示すように、左右両側のローラー同士を連動チェン20等で連動する事により無端帯の回転をよりいっそうスムーズにする事が出来る。また、左右両側のローラー間にはさらに複数のローラーを回転自在に設置し、これらを無端帯の内部に納めている。さらに、上手部、中間部、下手部に配置されたそれぞれのローラー5は、左右どちらか一方又は左右共ジョイント7にて左右どちらか1列又は左右2列のローラー列として構成される。このジョイント7によりこのローラー列は折り曲げ可能であり、同時に一体的に回転できるものである。ローラーの材質は、硬い材質でもクッション性のある材質でも適宜選択することができるが、たとえば硬い木質製、ウレタンゴム製、中空の空気圧式のもの等でよい。」(段落【0020】)
(オ)「また、図2に示すようにベッドの上手部2、中間部4、下手部3の各部分において、そのローラー列を横方向の複数組(例えば3組)に分けそれぞれを無端帯で覆った構成とすることもできる。図2の実施例においては、上手部2を上手部(右)11、上手部(中)12、上手部(左)13に、中間部4を中間部(右)14、中間部(中)15、中間部(左)16に、下手部3を下手部(右)17、下手部(中)18、下手部(左)19にそれぞれ分割している。さらに図3に示すように、左右方向に複数組の無端帯でおおわれた前記ローラー列は互いに折り曲げ可能に連結されており、縦方向分割部分をフルフラットにしたときに手動又は電動で屈曲する。また図5に示すように、左右方向の複数組の無端帯で覆われたローラー列は互いに連動チェンA21及び連動チェンB22により、ローラー回転を伝動しており本考案の要件の一つである連動操作装置50により同時駆動される。・・・このような様々な種類の無端帯を使い分けることにより、経済的な物、床ずれ防止効果のある物、冷温治療効果のある物等々いろいろな効用を発揮することができる。」(段落【0022】?【0023】)
(カ)「以上説明したように、本発明のベッドによれば、患者をベッド上で横(左右)移動することがたやすく行える。又、横(左右)方向に分割された複数組の無端帯部分の折り曲げ運動により患者の寝返りを助け床ずれ防止に役立つものである。・・・」(段落【0034】)
(キ)図3には、ローラー列の下手側及び上手側に、ローラーの軸が取り付けられた取付手段(以下、単に「取付手段」という。)が設けられ、複数のローラー列及び取付手段がベッドの横方向に折り曲げ可能にし、複数のローラー列及び取付手段の折り曲げ部は2箇所である点が示されている。
また、ベッド面に布団を敷設することは自明である。

以上の記載事項及び図示内容を総合すると、上記引用刊行物1には、以下の発明(「引用発明1」という。)が記載されている。
「複数のローラー列及び取付手段をベッドの横方向に折り曲げ可能にし、しかも複数のローラー列及び取付手段の折り曲げ部は2箇所とし、複数のローラー列及び取付手段の前後間に長手方向を軸とし複数の回転自在なローラーを配し、並列した複数のローラー及び無端帯でもってベッド面を形成し、複数のローラー列及び取付手段を折り曲げ可能に保持するジョイントを設け、ベッド面に布団を敷設し、患者をベッド上で横(左右)移動することがたやすく行えることで床ずれを防止できるようにした床ずれ防止ベッド。」

また、原査定の拒絶の理由に引用された、本願の出願前に日本国内において頒布された刊行物である特開平11-128279号公報(「引用刊行物2」という。)には、図面とともに、以下の事項が記載されている。
(ク)「本発明は介護用ベッドに係り、特に、ベッド上での横臥姿勢または座り姿勢のままで、被介護者の身体を容易かつ適正に洗浄するのに好適な介護用ベッドに関する。」(段落【0001】)
(ケ)「つぎに、請求項2に記載の発明に係る介護用ベッドの一実施の形態を図面に基づいて説明する。なお、請求項1に記載の発明に係る介護用ベッドと同一もしくは相当部分には、同一符号を付して詳しい説明は省略する。図7および図8において、枠状のベッドフレーム1における長手方向に平行にのびる幅方向両側部材1A,1Bが長手方向で3分割されている。これら3分割箇所のそれぞれが上下方向に折り曲げ可能、かつ図7の仮想線で示すような折り曲げ状態での保持が可能な関節5によって連結されている。これら関節5は、周知のラチェット式関節機構によってなり、枠状のベッドフレーム1における一端側部材(被介護者の頭部側部材)6を中央部材7に対して実線で示す水平姿勢から垂直起立姿勢の範囲および実線で示す水平姿勢から若干前下がりの範囲内で、一端側部材6を任意の折り曲げ状態で保持することが可能であるとともに、この折り曲げ状態を解除して、実線で示す水平姿勢に復帰できるようになっている。また、枠状のベッドフレーム1における他端側部材(被介護者の下肢側部材)8を中央部材7に対して実線で示す水平姿勢から垂下姿勢の範囲および実線で示す水平姿勢から若干後ろ上がりの範囲内で、他端側部材8を任意の折り曲げ状態で保持することが可能であるとともに、この折り曲げ状態を解除して、実線で示す水平姿勢に復帰できるようになっており、他端側部材8の端部に滑り止め9が幅方向にのびて立設されている。」(段落【0026】)
(コ)図7には、枠状のベッドフレーム1に関節5を設けた点が示されている。

以上の記載事項及び図示内容を総合すると、上記引用刊行物2には、以下の発明(「引用発明2」という。)が記載されている。
「枠状のベッドフレーム1を折り曲げ可能にし、枠状のベッドフレーム1の折り曲げ可能な部材を任意の折り曲げ状態での保持が可能で折り曲げ状態を解除できる、周知のラチェット式関節機構によってなる関節5を設けた介護用ベッド。」

(3)対比・判断
本願第1補正発明と引用発明1を対比すると、その機能及び構成からみて、後者の「床ずれ防止ベッド」は前者の「床擦れ防止ベッド」に、以下同様に、「複数のローラー列及び取付手段」は「ベッドフレーム」に、及び「患者をベッド上で横(左右)移動することがたやすく行えることで床ずれを防止できる」は「ロール上で身体を動かして圧接点を変えることで床擦れを防止でき」に、それぞれ相当する。
また、引用発明1の「複数のローラー列及び取付手段をベッドの横方向に折り曲げ可能にし、しかも複数のローラー列及び取付手段の折り曲げ部は2箇所とし、複数のローラー列及び取付手段の前後間に長手方向を軸とし複数の回転自在なローラーを配し」と本願第1補正発明の「ベッドフレームをベッドの幅方向に且つベッドフレームの左右端が高くできるように中折れ可能にし、しかもベッドフレームの中折れ部は1箇所又は2箇所とし、同ベッドフレームの前後間に複数本の軸体をベッドの幅方向へ所定間隔おいて並列に架設し、同各軸体それぞれに軸孔を備えた略円柱状の複数のロールを回転自在に軸挿し」とは「ベッドフレームをベッドの幅方向に中折れ可能にし、しかもベッドフレームの中折れ部は1箇所又は2箇所とし、同ベッドフレームの前後間に複数のロールを回転自在に配し」という概念で共通する。
また、引用発明1の「並列した複数のローラー及び無端帯でもってベッド面を形成し」と本願第1補正発明の「並列した複数のロールでもってベッド面を形成し」とは「並列した複数のロールを含む部材でもってベッド面を形成し」という概念で共通する。
また、引用発明1の「複数のローラー列及び取付手段を折り曲げ可能に保持するジョイントを設け」と本願第1補正発明の「ベッドフレームの中折れ角度を所定角度に保持する解除可能な角度保持手段を設け」とは「ベッドフレームを中折れ可能に保持する接続手段を設け」という概念で共通する。

そうすると、両者は、
「ベッドフレームをベッドの幅方向に中折れ可能にし、しかもベッドフレームの中折れ部は1箇所又は2箇所とし、同ベッドフレームの前後間に複数のロールを回転自在に配し、並列した複数のロールを含む部材でもってベッド面を形成し、ベッドフレームを中折れ可能に保持する接続手段を設け、ベッド面に布団を敷設し、ロール上で身体を動かして圧接点を変えることで床擦れを防止できるようにした床擦れ防止ベッド。」
の点で一致しており、以下の点で相違している。

(相違点1)
本願第1補正発明は、ベッドフレームをベッドの幅方向に且つベッドフレームの左右端が高くできるように中折れ可能にして、しかもベッド面の一部を所定角度に傾斜させて身体を横臥状態に保持できるようにしてあるのに対し、引用発明1は、ベッドフレームをベッドの幅方向に中折れ可能にしてあるが、ベッドフレームの左右端が高くできるように中折れ可能にして、しかもベッド面の一部を所定角度に傾斜させて身体を横臥状態に保持できるようにしてあるかどうか不明である点。
(相違点2)
本願第1補正発明は、ベッドフレームの前後間に複数本の軸体をベッドの幅方向へ所定間隔おいて並列に架設し、同各軸体それぞれに軸孔を備えた略円柱状の複数のロールを回転自在に軸挿しているのに対し、引用発明1は、複数のローラー列及び取付手段の前後間に長手方向を軸とし複数の回転自在なローラーを配しているが、ローラーの取付構造がはっきりしない点。
(相違点3)
本願第1補正発明は、並列した複数のロールでもってベッド面を形成しているのに対し、引用発明1は、並列した複数のロール及び無端帯でもってベッド面を形成している点。
(相違点4)
本願第1補正発明は、ベッドフレームの中折れ角度を所定角度に保持する解除可能な角度保持手段を設けているのに対し、引用発明1は、ジョイントが角度保持でき解除可能であるものかどうか不明である点。

上記相違点について検討する。
(相違点1について)
ベッドフレームをベッドの幅方向に且つベッドフレームの左右端が高くできるように中折れ可能にして、しかもベッド面の一部を所定角度に傾斜させて身体を横臥状態に保持できるようにした点はベッドの技術分野において従来周知の技術にすぎない(例えば、特開2001-340395号公報、特開2003-10258号公報参照)。そして上記周知技術を引用発明1に適用して上記相違点1に係る本願第1補正発明の発明特定事項のようにすることは当業者が容易に想到し得たことである。
(相違点2について)
複数本の軸体を所定間隔おいて並列に架設し、同各軸体それぞれに軸孔を備えた略円柱状の複数のロールを回転自在に軸挿する点はベッドの技術分野において従来周知の技術にすぎない(例えば、特開昭61-162946号公報、特開平7-299098号公報参照)。そして上記周知技術を引用発明1に適用して上記相違点2に係る本願第1補正発明の発明特定事項のようにすることは当業者が容易に想到し得たことである。
(相違点3について)
引用刊行物1の上記記載事項(ウ)に「ローラーベッドにより、確かにベッド横方向への患者の移動はかなり円滑に行うことができるようになったが、移動するときは、布団をはずして人体を直接ローラーに接触させて移動するので、刺激による血行の促進作用のある反面・・・」とあるように、複数のロール(ローラー)でもってベッド面を形成することの示唆があり、そしれを引用発明1に適用して上記相違点3に係る本願第1補正発明の発明特定事項のようにすることは当業者が容易に想到し得たことである。
(相違点4について)
引用発明2の「関節5」は枠状のベッドフレーム1の折り曲げ可能な部材を任意の折り曲げ状態での保持が可能で折り曲げ状態を解除できるものであるから、本願第1補正発明の「角度保持手段」に相当するものであるから、引用発明2を引用発明1に適用して上記相違点4に係る本願第1補正発明の発明特定事項のようにすることは当業者が容易に想到し得たことである。

そして、本願第1補正発明による効果も、引用発明1、引用発明2及び周知技術から当業者が予測し得た程度のものであって、格別のものとはいえない。

したがって、本願第1補正発明は、引用発明1、引用発明2及び周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるので、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができない。

(4)むすび
以上のとおり、本願第1補正発明は、引用発明1、引用発明2及び周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものであるから、本件第1補正は、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に違反するので、同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきである。

III.平成19年4月6日付けの手続補正についての補正却下の決定
[結論]
平成19年4月6日付け手続補正(以下、「本件第2補正」という。)を却下する。

[理由]
(1)補正後の本願発明
本件第2補正により、特許請求の範囲の請求項1は、
「ベッドフレームをベッドの幅方向に且つベッドフレームの左右端が高くできるように中折れ可能にし、しかもベッドフレームの中折れ部は1箇所又は2箇所とし、同ベッドフレームの前後間に複数本の軸体をベッドの幅方向へ所定間隔おいて並列に架設し、同各軸体それぞれに軸孔を備えた略円柱状の複数のロールを回転自在に軸挿し、並列した複数のロールでもってベッド面を形成し、ベッドフレームの中折れ角度を所定角度に保持する解除可能な角度保持手段を設け、更に、ベッドフレームをベッドの幅方向に分割したフレームの長手端同士を回動自在に枢着した構造とし、角度保持手段が、爪車に逆止爪を解除可能に掛止して一方向のみに回動できるようにしたラチェット装置を分割したフレームの枢着部に取り付けてベッド面の一部を所定の傾斜角度に保持できるようにしたものとし、ベッド面に布団を敷設し、ロール上で身体を動かして圧接点を変えることで床擦れを防止でき、しかもベッド面の一部を所定角度に傾斜させて身体を横臥状態に保持できるようにした床擦れ防止ベッド。」と補正された。(上記下線部分が、今回補正された箇所である。)
本件第2補正は、請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項である「ベッドフレーム」について、「ベッドフレームをベッドの幅方向に中折れ可能にし」を「ベッドフレームをベッドの幅方向に且つベッドフレームの左右端が高くできるように中折れ可能にし」と限定するものであり、さらに、「角度保持手段」について「ベッドフレームの中折れ角度を所定角度に保持する解除可能な角度保持手段を設け」を「ベッドフレームの中折れ角度を所定角度に保持する解除可能な角度保持手段を設け、更に、ベッドフレームをベッドの幅方向に分割したフレームの長手端同士を回動自在に枢着した構造とし、角度保持手段が、爪車に逆止爪を解除可能に掛止して一方向のみに回動できるようにしたラチェット装置を分割したフレームの枢着部に取り付けてベッド面の一部を所定の傾斜角度に保持できるようにしたものとし」と限定するものであり、かつ、補正後の請求項1に記載された発明は、補正前の請求項1(願書に添付した特許請求の範囲の請求項1)に記載された発明と、産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるので、本件第2補正は、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第4項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。

そこで、本件第2補正後の前記請求項1に係る発明(以下、「本願第2補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に適合するか)について、以下に検討する。

(2)引用刊行物
原査定の拒絶の理由に引用された引用刊行物、及び、その記載事項は、上記「II.(2)引用刊行物」に記載したとおりである。

(3)対比・判断
本願第2補正発明と引用発明1を対比すると、その機能及び構成からみて、後者の「床ずれ防止ベッド」は前者の「床擦れ防止ベッド」に、以下同様に、「複数のローラー列及び取付手段」は「ベッドフレーム」に、及び「患者をベッド上で横(左右)移動することがたやすく行えることで床ずれを防止できる」は「ロール上で身体を動かして圧接点を変えることで床擦れを防止でき」に、それぞれ相当する。
また、引用発明1の「複数のローラー列及び取付手段をベッドの横方向に折り曲げ可能にし、しかも複数のローラー列及び取付手段の折り曲げ部は2箇所とし、複数のローラー列及び取付手段の前後間に長手方向を軸とし複数の回転自在なローラーを配し」と本願第2補正発明の「ベッドフレームをベッドの幅方向に且つベッドフレームの左右端が高くできるように中折れ可能にし、しかもベッドフレームの中折れ部は1箇所又は2箇所とし、同ベッドフレームの前後間に複数本の軸体をベッドの幅方向へ所定間隔おいて並列に架設し、同各軸体それぞれに軸孔を備えた略円柱状の複数のロールを回転自在に軸挿し」とは「ベッドフレームをベッドの幅方向に中折れ可能にし、しかもベッドフレームの中折れ部は1箇所又は2箇所とし、同ベッドフレームの前後間に複数のロールを回転自在に配し」という概念で共通する。
また、引用発明1の「並列した複数のローラー及び無端帯でもってベッド面を形成し」と本願第2補正発明の「並列した複数のロールでもってベッド面を形成し」とは「並列した複数のロールを含む部材でもってベッド面を形成し」という概念で共通する。
また、引用発明1の「複数のローラー列及び取付手段を折り曲げ可能に保持するジョイントを設け」と本願第2補正発明の「ベッドフレームの中折れ角度を所定角度に保持する解除可能な角度保持手段を設け、更に、ベッドフレームをベッドの幅方向に分割したフレームの長手端同士を回動自在に枢着した構造とし、角度保持手段が、爪車に逆止爪を解除可能に掛止して一方向のみに回動できるようにしたラチェット装置を分割したフレームの枢着部に取り付けてベッド面の一部を所定の傾斜角度に保持できるようにしたものとし」とは「ベッドフレームの中折れ可能に保持する接続手段を設け」という概念で共通する。

そうすると、両者は、
「ベッドフレームをベッドの幅方向に中折れ可能にし、しかもベッドフレームの中折れ部は1箇所又は2箇所とし、同ベッドフレームの前後間に複数のロールを回転自在に配し、並列した複数のロールを含む部材でもってベッド面を形成し、ベッドフレームを中折れ可能に保持する接続手段を設け、ベッド面に布団を敷設し、ロール上で身体を動かして圧接点を変えることで床擦れを防止できるようにした床擦れ防止ベッド。」
の点で一致しており、以下の点で相違している。

(相違点5)
本願第2補正発明は、ベッドフレームをベッドの幅方向に且つベッドフレームの左右端が高くできるように中折れ可能にして、しかもベッド面の一部を所定角度に傾斜させて身体を横臥状態に保持できるようにしてあるのに対し、引用発明1は、ベッドフレームをベッドの幅方向に中折れ可能にしてあるが、ベッドフレームの左右端が高くできるように中折れ可能にして、しかもベッド面の一部を所定角度に傾斜させて身体を横臥状態に保持できるようにしてあるかどうか不明である点。
(相違点6)
本願第2補正発明は、ベッドフレームの前後間に複数本の軸体をベッドの幅方向へ所定間隔おいて並列に架設し、同各軸体それぞれに軸孔を備えた略円柱状の複数のロールを回転自在に軸挿しているのに対し、引用発明1は、複数のローラー列及び取付手段の前後間に長手方向を軸とし複数の回転自在なローラーを配しているが、ローラーの取付構造がはっきりしない点。
(相違点7)
本願第2補正発明は、並列した複数のロールでもってベッド面を形成しているのに対し、引用発明1は、並列した複数のローラー及び無端帯でもってベッド面を形成している点。
(相違点8)
本願第2補正発明は、ベッドフレームの中折れ角度を所定角度に保持する解除可能な角度保持手段を設け、更に、ベッドフレームをベッドの幅方向に分割したフレームの長手端同士を回動自在に枢着した構造とし、角度保持手段が、爪車に逆止爪を解除可能に掛止して一方向のみに回動できるようにしたラチェット装置を分割したフレームの枢着部に取り付けてベッド面の一部を所定の傾斜角度に保持できるようにしたものとしているのに対し、引用発明1は、ジョイントがそのような構成を有するかどうか不明である点。

上記相違点について検討する。
(相違点5について)
ベッドフレームをベッドの幅方向に且つベッドフレームの左右端が高くできるように中折れ可能にして、しかもベッド面の一部を所定角度に傾斜させて身体を横臥状態に保持できるようにした点はベッドの技術分野において従来周知の技術にすぎない(例えば、特開2001-340395号公報、特開2003-10258号公報参照)。そして上記周知技術を引用発明1に適用して上記相違点5に係る本願第2補正発明の発明特定事項のようにすることは当業者が容易に想到し得たことである。
(相違点6について)
複数本の軸体を所定間隔おいて並列に架設し、同各軸体それぞれに軸孔を備えた略円柱状の複数のロールを回転自在に軸挿する点はベッドの技術分野において従来周知の技術にすぎない(例えば、特開昭61-162946号公報、特開平7-299098号公報参照)。そして上記周知技術を引用発明1に適用して上記相違点6に係る本願第2補正発明の発明特定事項のようにすることは当業者が容易に想到し得たことである。
(相違点7について)
引用刊行物1の上記記載事項(ウ)に「ローラーベッドにより、確かにベッド横方向への患者の移動はかなり円滑に行うことができるようになったが、移動するときは、布団をはずして人体を直接ローラーに接触させて移動するので、刺激による血行の促進作用のある反面・・・」とあるように、複数のロール(ローラー)でもってベッド面を形成することの示唆があり、そしれを引用発明1に適用して上記相違点7に係る本願第2補正発明の発明特定事項のようにすることは当業者が容易に想到し得たことである。
(相違点8について)
引用発明2の「関節5」は周知のラチェット式関節機構であり、周知のラチェット式関節機構は爪車に逆止爪を解除可能に掛止して一方向のみに回動できるようにしたラチェット装置であることは自明である。そして引用発明2の「関節5」は枠状のベッドフレーム1の折り曲げ可能な部材を任意の折り曲げ状態での保持が可能で折り曲げ状態を解除できるものであるから、本願第2補正発明の「角度保持手段」に相当するものであるから、引用発明2を引用発明1に適用して上記相違点8に係る本願第2補正発明の発明特定事項のようにすることは当業者が容易に想到し得たことである。

そして、本願第2補正発明による効果も、引用発明、引用刊行物2に記載された発明及び周知技術から当業者が予測し得た程度のものであって、格別のものとはいえない。

したがって、本願第2補正発明は、引用発明、引用刊行物2に記載された発明及び周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるので、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができない。

(4)むすび
以上のとおり、本願第2補正発明は、引用発明、引用刊行物2に記載された発明及び周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものであるから、本件補正は、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に違反するので、同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきである。

IV.本願発明について
本件第1補正及び本件第2補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、願書に添付した特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される、以下のとおりのものである。
「ベッドフレームをベッドの幅方向に中折れ可能にし、同ベッドフレームの前後間に複数本の軸体をベッドの幅方向へ所定間隔おいて並列に架設し、同各軸体それぞれに軸孔を備えた略円柱状の複数のロールを回転自在に軸挿し、並列した複数のロールでもってベッド面を形成し、ベッドフレームの中折れ角度を所定角度に保持する解除可能な角度保持手段を設け、ベッド面に布団を敷設し、ロール上で身体を動かして圧接点を変えることで床擦れを防止でき、しかもベッド面の一部を所定角度に傾斜させて身体を横臥状態に保持できるようにした床擦れ防止ベッド。」

V.引用刊行物
原査定の拒絶の理由に引用された引用刊行物、及び、その記載事項は、上記「II.(2)引用刊行物」に記載したとおりである。

VI.対比・判断
本願発明は、前記II.で検討した本願第1補正発明から、ベッドフレームについて「ベッドフレームをベッドの幅方向に且つベッドフレームの左右端が高くできるように中折れ可能にし、しかもベッドフレームの中折れ部は1箇所又は2箇所とし」を「ベッドフレームをベッドの幅方向に中折れ可能にし」とし、構成の一部を省いたものである。
そうすると、本願発明の構成要件を全て含み、さらに限定を施したものに相当する本願第1補正発明が、前記「II.(3)」に記載したとおり、引用発明、引用発明2及び周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、同様の理由により、引用発明、引用発明2及び周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

VII.むすび
以上のとおり、本願発明は、引用発明、引用発明2及び周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2009-07-16 
結審通知日 2009-07-21 
審決日 2009-08-04 
出願番号 特願2003-50425(P2003-50425)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (A61G)
P 1 8・ 575- Z (A61G)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 鈴木 洋昭  
特許庁審判長 亀丸 広司
特許庁審判官 蓮井 雅之
吉澤 秀明
発明の名称 床擦れ防止ベッド  
代理人 戸島 省四郎  
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