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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 F02D 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 F02D |
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管理番号 | 1204204 |
審判番号 | 不服2007-27157 |
総通号数 | 119 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2009-11-27 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2007-10-04 |
確定日 | 2009-09-17 |
事件の表示 | 特願2002- 7552「エンジンの制御装置」拒絶査定不服審判事件〔平成15年 7月25日出願公開、特開2003-206801〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
第1.手続の経緯 本件出願は、平成14年1月16日に出願されたものであって、平成19年2月8日付けで拒絶理由が通知され、平成19年4月23日付けで意見書及び手続補正書が提出され、平成19年5月21日付けで再度拒絶理由が通知され、平成19年7月30日付けで意見書及び手続補正書が提出されたが、平成19年8月28日付けで拒絶査定がなされた。 そして、平成19年10月4日に同拒絶査定に対する審判請求がなされるとともに同日付けで手続補正書が提出されて明細書を補正する手続補正がなされ、その後、平成21年4月14日付けで当審において書面による審尋がなされたものの、請求人から応答がなかったものである。 第2.平成19年10月4日付けの手続補正についての補正却下の決定 〔補正却下の決定の結論〕 平成19年10月4日付けの手続補正を却下する。 〔理 由〕 1.本件補正の内容 平成19年10月4日付けの手続補正(以下、「本件補正」という。)は、特許請求の範囲に関して、本件補正により補正される前の(すなわち、平成19年7月30日付けで提出された手続補正書により補正された)下記の(b)に示す請求項1ないし11を下記の(a)に示す請求項1ないし10と補正することを含むものである。 (a)本件補正後の特許請求の範囲 「【特許請求の範囲】 【請求項1】 目標燃料量演算手段と目標空燃比演算手段との各出力信号に基づいて目標空気量を決定する燃料先行型のエンジンの制御装置において、 該制御装置は、前記エンジンの点火時期が遅角するよう点火プラグを制御する点火時期遅角手段と、前記点火時期の遅角によって減少するエンジントルク量である減少トルクを演算する減少トルク演算手段と、前記減少トルクに相当する燃料量である燃料量補正量を演算する燃料量補正量演算手段とを有すると共に、前記エンジンの安定度を演算するエンジン安定度演算手段を備え、 前記点火時期遅角手段は、前記エンジンの安定度に基づいて前記点火時期の遅角量を演算することを特徴とするエンジンの制御装置。 【請求項2】 前記制御装置は、前記エンジンの排気管に配置された触媒の温度を検出する触媒温度検出手段を備え、前記点火時期遅角手段は、前記触媒温度検出手段の出力信号に基づいて前記点火時期の遅角制御を許可する遅角制御許可手段を備えることを特徴とする請求項1に記載のエンジンの制御装置。 【請求項3】 前記触媒温度検出手段は、前記触媒の下流側に配置された温度センサの出力信号に基づいて前記触媒の温度を検出することを特徴とする請求項2に記載のエンジンの制御装置。 【請求項4】 前記触媒温度検出手段は、前記エンジンの水温に基づいて前記触媒の温度を検出することを特徴とする請求項2に記載のエンジンの制御装置。 【請求項5】 前記エンジン安定度演算手段は、前記エンジンの気筒内の圧力に基づいて前記エンジンの安定度を検出することを特徴とする請求項4に記載のエンジンの制御装置。 【請求項6】 前記エンジン安定度演算手段は、前記エンジンの回転数に基づいて前記エンジンの安定度を検出することを特徴とする請求項4に記載のエンジンの制御装置。 【請求項7】 前記エンジン安定度演算手段は、前記エンジンの回転数の所定周波数範囲におけるパワーを演算するパワー演算手段を備えていることを特徴とする請求項6に記載のエンジンの制御装置。 【請求項8】 前記触媒は、炭化水素及び一酸化炭素を酸化させ、窒素酸化物を還元して浄化させる三元触媒であることを特徴とする請求項2から7のいずれか一項に記載のエンジンの制御装置。 【請求項9】 前記触媒は、所定温度以下で炭化水素を吸着し、該所定温度を越えると該炭化水素を脱離して浄化させる炭化水素吸着燃焼触媒であることを特徴とする請求項2から7のいずれか一項に記載のエンジンの制御装置。 【請求項10】 前記目標空燃比演算手段は、前記触媒の温度に基づいて前記エンジンの目標空燃比をリーンに設定するリーンシフト制御許可手段を備えていることを特徴とする請求項9に記載のエンジンの制御装置。」 (b)本件補正前の特許請求の範囲 「【特許請求の範囲】 【請求項1】 目標燃料量演算手段と目標空燃比演算手段との各出力信号に基づいて目標空気量を決定する燃料先行型のエンジンの制御装置において、 該制御装置は、前記エンジンの点火時期が遅角するよう点火プラグを制御する点火時期遅角手段と、前記点火時期の遅角によって減少するエンジントルク量である減少トルクを演算する減少トルク演算手段と、前記減少トルクに相当する燃料量である燃料量補正量を演算する燃料量補正量演算手段とを有することを特徴とするエンジンの制御装置。 【請求項2】 前記制御装置は、前記エンジンの排気管に配置された触媒の温度を検出する触媒温度検出手段を備え、前記点火時期遅角手段は、前記触媒温度検出手段の出力信号に基づいて前記点火時期の遅角制御を許可する遅角制御許可手段を備えることを特徴とする請求項1に記載のエンジンの制御装置。 【請求項3】 前記触媒温度検出手段は、前記触媒の下流側に配置された温度センサの出力信号に基づいて前記触媒の温度を検出することを特徴とする請求項2に記載のエンジンの制御装置。 【請求項4】 前記触媒温度検出手段は、前記エンジンの水温に基づいて前記触媒の温度を検出することを特徴とする請求項2に記載のエンジンの制御装置。 【請求項5】 前記制御装置は、前記エンジンの安定度を演算するエンジン安定度演算手段を備え、前記点火時期遅角手段は、前記エンジンの安定度に基づいて前記点火時期の遅角量を演算することを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載のエンジンの制御装置。 【請求項6】 前記エンジン安定度演算手段は、前記エンジンの気筒内の圧力に基づいて前記エンジンの安定度を検出することを特徴とする請求項5に記載のエンジンの制御装置。 【請求項7】 前記エンジン安定度演算手段は、前記エンジンの回転数に基づいて前記エンジンの安定度を検出することを特徴とする請求項5に記載のエンジンの制御装置。 【請求項8】 前記エンジン安定度演算手段は、前記エンジンの回転数の所定周波数範囲におけるパワーを演算するパワー演算手段を備えていることを特徴とする請求項7に記載のエンジンの制御装置。 【請求項9】 前記触媒は、炭化水素及び一酸化炭素を酸化させ、窒素酸化物を還元して浄化させる三元触媒であることを特徴とする請求項2から8のいずれか一項に記載のエンジンの制御装置。 【請求項10】 前記触媒は、所定温度以下で炭化水素を吸着し、該所定温度を越えると該炭化水素を脱離して浄化させる炭化水素吸着燃焼触媒であることを特徴とする請求項2から8のいずれか一項に記載のエンジンの制御装置。 【請求項11】 前記目標空燃比演算手段は、前記触媒の温度に基づいて前記エンジンの目標空燃比をリーンに設定するリーンシフト制御許可手段を備えていることを特徴とする請求項10に記載のエンジンの制御装置。」 したがって、本件補正は、以下の(ア)ないし(ウ)の内容の補正を含んでいるといえる。 (ア)本件補正前の請求項1の「エンジンの制御装置」において、「前記エンジンの安定度を演算するエンジン安定度演算手段を備え」る点及び「前記点火時期遅角手段は、前記エンジンの安定度に基づいて前記点火時期の遅角量を演算する」点を限定する補正。 (イ)本件補正前の請求項5を削除する補正。 (ウ)上記(イ)の補正に伴い、本件補正前の請求項6ないし11を新たな請求項5ないし10とする補正。 2.本件補正の適否の検討 2-1.特許請求の範囲の補正の目的要件の適否 上記1.(イ)及び(ウ)の補正は平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第4項第1号に規定する請求項の削除を目的とするものに該当する。 また、1.(ア)の補正は平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第4項第2号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。 そこで、本件補正後の請求項1に係る発明(以下、「本願補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法126条5項の規定に適合するか)について以下に検討する。 2-2.本願補正発明の独立特許要件の適否 2-2-1.引用文献 (1)特開2001-059470号公報(以下、「引用文献1」という。) (2)特開平08-218995号公報(以下、「引用文献2」という。) 2-2-2.当審の判断 目標燃料量と目標空燃比とから目標空気量を算出すると共に燃料噴射量を制御することでトルクを制御する燃料先行型エンジンは周知(必要があれば、例えば、平成19年5月21日付け拒絶理由通知書にて示した特開平11-241629号公報の段落【0017】を参照されたい。以下、「周知発明」という。)である。 原査定の拒絶の理由に引用された刊行物である引用文献1の段落【0038】等の記載事項から、引用文献1には、点火時期遅角によるトルク減少を補償するようにトルクを増量補正する技術(以下、「引用文献1記載の技術」という。)が記載されていると認められる。 また、原査定の拒絶の理由に引用された刊行物である引用文献2の【請求項1】ないし【請求項4】等の記載事項から、引用文献2には、トルク変動(「エンジンの安定度」に相当)に基づいて点火時期遅角量を算出する技術(以下、「引用文献2記載の技術」という。)が記載されている。 更に、トルク変動を補償するにあたり、トルク変動分を算出し、当該算出したトルクの変動分に基づいて補正量を算出することは当業者にとって周知技術(必要があれば、例えば、特開2001-289095号公報の段落【0065】、特開2001-323834号公報の段落【0042】を参照されたい。以下、「周知技術」という。)である。 してみると、上記周知発明の燃料先行型エンジンにおいて、上記周知技術を考慮しつつ引用文献1記載の技術を適用して目標燃料量を増量補正してトルク減少を補償し、引用文献2記載の技術を適用してエンジン安定度に基づいて点火時期遅角量を演算することは当業者にとって容易である。 また、本願補正発明を全体として検討しても、周知発明、引用文献1記載の技術、引用文献2記載の技術及び周知技術から予測される以上の格別の効果を奏するとも認められない。 2-2-3.独立特許要件に関する結論 よって、周知発明、引用文献1記載の技術、引用文献2記載の技術及び周知技術に基づいて本願補正発明のようにすることは当業者にとって容易であり、本願補正発明は、特許法第29条第2項の規定により独立して特許を受けることができない。 3.むすび 以上のとおり、本件補正は、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に違反するものであるから、同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 よって、結論のとおり決定する。 第3.本願発明について 1. 本願発明 上記のとおり、平成19年10月4日付けの手続補正は却下されたため、本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、平成19年7月30日付けの手続補正書により補正された明細書及び出願当初の図面の記載からみて、その明細書の特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定されるものと認められるところ、上記第2.1.(b)に記載したとおりである。 2.当審の判断 本願発明を特定する事項を全て含み、さらに本願発明を減縮したものに相当する本願補正発明が、上記第2.2.に記載したとおり、周知発明、引用文献1記載の技術、引用文献2記載の技術及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も同様の理由により、周知発明、引用文献1記載の技術、引用文献2記載の技術及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。 3.むすび 以上のとおり、本願発明は、周知発明、引用文献1記載の技術、引用文献2記載の技術及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2009-07-14 |
結審通知日 | 2009-07-21 |
審決日 | 2009-08-03 |
出願番号 | 特願2002-7552(P2002-7552) |
審決分類 |
P
1
8・
121-
Z
(F02D)
P 1 8・ 575- Z (F02D) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 高橋 祐介、畔津 圭介 |
特許庁審判長 |
深澤 幹朗 |
特許庁審判官 |
大谷 謙仁 小谷 一郎 |
発明の名称 | エンジンの制御装置 |
代理人 | 平木 祐輔 |
代理人 | 平木 祐輔 |