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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 E04H
管理番号 1204379
審判番号 不服2007-30803  
総通号数 119 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2009-11-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2007-11-15 
確定日 2009-09-25 
事件の表示 特願2003-185466「照明柱、信号柱又は道路標識柱の柱脚部の構造」拒絶査定不服審判事件〔平成17年 1月20日出願公開、特開2005- 16245〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 【1】手続きの経緯
本願は、平成15年6月27日の出願であって、平成19年10月4日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、同年11月15日に拒絶査定に対する審判請求がなされるとともに、同年11月29日に手続補正がなされ、その後、平成20年12月22日付けで、審判請求人に前置報告書の内容を示し意見を求めるための審尋を行ったところ、平成21年2月18日に回答書が提出されたものである。

【2】補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
平成19年11月29日付けの手続補正を却下する。

[理由]
1.補正の内容・目的
平成19年11月29日付けの手続補正(以下,「本件補正」という。)は,特許請求の範囲の請求項1について,
「【請求項1】
基礎に固定されるベース部と金属管柱に接合される立上り部とから形成される中空状の柱脚金物と、その上に立設された上端が自由端の金属管柱とからなる照明柱、信号柱又は道路標識柱の柱脚部の構造であって、立上り部の上端外面には金属管柱の下端部を嵌め込むための周方向に連続する嵌合部が形成され、嵌合部の外径とほぼ同一の内径を有しかつ立上り部の外径とほぼ同一の外径を有する金属管柱の下端部が嵌合部の外面に嵌め込まれ、嵌合部の外面に設けられた雄ネジと金属管柱の下端部の内面に設けられた雌ネジによって、柱脚金物の立上り部と金属管柱が螺合されていることを特徴とする照明柱、信号柱又は道路標識柱の柱脚部の構造。」
と補正しようとすることを含むものである。

本件補正は,請求項1に係る発明を特定するために必要な事項である「金属管柱」について「上端が自由端」であると限定するとともに,柱脚部について「照明柱、信号柱又は道路標識柱」の柱脚部であると限定したものと認められるから,本件補正は,少なくとも,平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第4項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とする補正事項を含むものである。

そこで,上記本件補正後の請求項1に係る発明(以下,「本件補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか,すなわち,平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項に規定する要件を満たしているか,について以下に検討する。

2.独立特許要件(特許法第29条第2項違反)について
2-1.引用刊行物
(1)刊行物1
本願出願前に頒布された刊行物である,特開2000-336776号公報(以下,「刊行物1」という。)には,以下の記載がある。
(1a)「【請求項1】基礎に固定されるベース部と鋼管柱に連結される立上り部とを有し、前記立上り部は前記鋼管柱と同じ断面形状をなし、かつ下端部分の径が前記鋼管柱の径より大きく、上方向になる程徐々に細くなり、かつ上端部分の径が前記鋼管柱の径と同じに形成してあることを特徴とする鋼管柱の柱脚金物。
【請求項2】上下方向に貫通する中空に形成してあることを特徴とする請求項1記載の鋼管柱の柱脚金物。」(特許請求の範囲)
(1b)「この発明は、主に道路標識、街灯、旗竿などの工作物のポール(支柱)として、さらには鉄骨建物の柱としても使用される鋼管柱の柱脚金物に関する。」(段落【0001】)
(1c)「図において、柱脚金物1はコンクリートの基礎2に固定されるベース部1aと鋼管柱3に連結される立上り1bとから一体的に形成されている。」(段落【0009】)
(1d)「立上り部1bの断面形状は鋼管柱3のそれと同じでかつ中空断面形をなし、・・・
また、立上り部1bは下端部分の径が鋼管柱3のそれより大きく、上方向になる程徐々に径が細くなり、上端部分は鋼管柱3と略同じ径に形成されている。さらに、立上り部1bの上端部には鋼管柱3の下端部に挿入できるような嵌合部1dが形成され、嵌合部1dの下端部には鋼管柱3の下端部に挿入した際に周方向に連続するレ形の開先5を形成するように面とり加工がなされている。」(段落【0011】、【0012】)
(1e)「柱脚金物1は、嵌合部1dを鋼管柱3の下端部に挿入し、開先部5を溶接することにより、鋼管柱3の下端部に一体的に取り付けられている。」(段落【0018】)

以上の記載事項(1a)?(1e)及び図面の記載から見て,刊行物1には,以下の発明が記載されているものと認められる。

「基礎2に固定されるベース部1aと鋼管柱3に連結される中空断面形をなす立上り部1bとから形成される柱脚金物1と,柱脚金物1の上に立設される鋼管柱3とからなる道路標識,街灯等の柱脚部の構造であって,立上り部1bの上端部分は鋼管柱3と略同じ径に形成されており,立上り部1bの上端部には鋼管柱3の下端部に挿入できるような嵌合部1dが周方向に連続して形成され,嵌合部1dを鋼管柱3の下端部に挿入し,溶接することにより取り付けられてなる道路標識,街灯等の柱脚部の構造。」(以下,「刊行物1記載の発明」という。)

(2)刊行物2
本願出願前に頒布された刊行物である,特開平10-317493号公報(以下,「刊行物2」という。)には,図面とともに,以下の記載がある。
(2a)「【請求項2】外径面にねじ溝を有するねじ筒が一体に突出したベースプレートを設け、鋼管柱の下端内面に形成した雌ねじ部を前記ねじ筒に螺合させた鋼管柱の柱脚構造。」(特許請求の範囲)
(2b)「【発明の実施の形態】この発明の第1の実施形態を図1に基づいて説明する。図1(A),(B)はこの実施形態に係る鋼管柱の柱脚構造の平面図および縦断面図を示す。鋼管柱1は丸形鋼管からなり、その下端外周には雄ねじ部2が形成されている。ベースプレート3は、円形の平板部4と、この平板部4の中央に一体に突設されたねじ筒5とからなり、ねじ筒5の内径面には鋼管柱1の雄ねじ部2が螺合するねじ溝6が形成されている。また、平板部4には、ねじ筒5の軸心と同心の円弧状に延びるアンカーボルト挿通孔7が、ねじ筒5回りに複数形成されていると共に、平板部4の中央には水抜孔8が形成されている。ベースプレート3は、全体が一体の鋳鉄または鋳鋼品からなる。」(段落【0009】)
(2c)「上記ベースプレート3のねじ筒5内に、鋼管柱1の下端を嵌め込み、ねじ筒5のねじ溝6と鋼管柱1の雄ねじ部2とを螺合させる。これにより、溶接作業を要することなく鋼管柱1の下端にベースプレート3が簡単に接合される。このため、鉄骨柱1の基礎15への組付けを低コストで行うことができる。この接合作業は工場において予め行い、接合状態のまま現場へ搬入しても良いが、現場で上記接合作業を行っても良い。
このように鋼管柱1の下端に接合させたベースプレート3を基礎15上に載置し、そのベースプレート3を基礎15上に突出するアンカーボルト16に締め付け固定する。」(段落【0010】?【0011】)
(2d)「図2(A),(B)は、この発明の第2の実施形態に係る鋼管柱の柱脚構造の平面図および縦断面図を示す。この実施形態では、鋼管柱1の下端内面に雌ねじ部9を形成すると共に、ベースプレート3のねじ筒5の外径面に、鋼管柱1の雌ねじ部9が螺合するねじ溝10を形成している。その他の構成は図1の実施形態と同じである。
この構成の場合、上記ベースプレート3のねじ筒5に、鋼管柱1の下端を被せて、鋼管柱1の雌ねじ部9とねじ筒5のねじ溝10とを螺合させることにより、溶接作業を要することなく鋼管柱1の下端にベースプレート3を容易に接合できる。基礎15上へのベースプレート3の組付けは、先の実施形態と同じである。」(段落【0012】?【0013】)

以上の記載事項(2a)?(2d)及び図面の記載から見て,刊行物2には,以下の発明が記載されているものと認められる。

「基礎15に固定される平板部4と鋼管柱1に螺合されるねじ筒5とから形成されるベースプレート3と、その上に立設された鋼管柱1とからなる柱脚構造であって、鋼管柱1の下端をねじ筒5に被せ,ねじ筒5の外径面に設けられたねじ溝10と鋼管柱1の下端内面に設けられた雌ねじ部9とでベースプレート3と鋼管柱1とが螺合されている柱脚構造。」(以下、「刊行物2記載の発明」という。)

2-2.対比・判断
本件補正発明と刊行物1記載の発明とを対比すると,刊行物1記載の発明の「鋼管柱3」が本件補正発明の「金属管柱」に相当し,刊行物1記載の発明における「立上り部1bの上端部分は鋼管柱3と略同じ径に形成され」ている構成が本件補正発明の「立上り部の外径とほぼ同一の外径を有する金属管柱」の構成に相当している。
そして,刊行物1記載の発明において,立上り部1bの上端部の嵌合部1dを鋼管柱3の下端部に挿入して鋼管柱を柱脚金物に連結するのであるから,嵌合部の外径と金属管柱の内径とがほぼ同一であることは明らかである。
また,刊行物1記載の発明の道路標識,街灯等の上端が自由端であることは自明である。

したがって,両者は以下の点で一致している。
「基礎に固定されるベース部と金属管柱に接合される立上り部とから形成される中空状の柱脚金物と,その上に立設された上端が自由端の金属管柱とからなる道路標識等の柱脚部の構造であって,立上り部の上端外面には金属管柱の下端部を嵌め込むための周方向に連続する嵌合部が形成され,嵌合部の外径とほぼ同一の内径を有し,かつ,立上り部の外径とほぼ同一の外径を有する金属管柱の下端部が嵌合部の外面に嵌め込まれ,取り付けられてなる,道路標識等の柱脚部の構造。」

そして,以下の点で相違している。
(相違点1)
本件補正発明は,立上り部に形成された嵌合部の外面に雄ネジが設けられており,該雄ネジと金属管柱の下端部の内面に設けられた雌ネジとによって、柱脚金物の立上り部と金属管柱が螺合されて取り付けられているのに対して,刊行物1記載の発明は,立上り部に形成された嵌合部にネジは設けられておらず,嵌合部と金属管柱とを溶接して取り付けている点。

上記相違点1について検討する。
刊行物2記載の発明として開示されているように,基礎に固定される柱脚金物(刊行物2記載の発明の「ベースプレート」)と該柱脚金物の上に立設される金属管柱(同「鋼管柱」)とからなる柱脚部の構造において,柱脚金物に形成されたネジ部(同「ねじ筒の外径面に形成されたねじ溝」)と金属管柱の下端部の内面に設けられた雌ネジとを螺合させることによって,柱脚金物に金属管柱を取り付けることは公知の技術である。
そして,上記公知技術を,刊行物1記載の発明の嵌合部1dと鋼管柱3の下端部との接合技術として採用して,上記相違点1に係る本件補正発明の構成を採用することに何ら困難性は見あたらない。

さらに,本件補正発明の効果が,刊行物1及び2記載の発明から当業者が予測できないものであるとも認められない。

よって,本件補正発明は,刊行物1及び2記載の発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

3.補正の却下の決定のむすび
以上より,本件補正は,平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第5項で準用する同法第126条第5項に規定する要件を満たしていないものであるから,同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により,却下されるべきものである。

【3】本願発明
1.本願発明
平成19年11月29日付けの手続補正は上記のとおり却下されたので,本願の請求項1に係る発明は,平成19年5月23日に提出された手続補正により補正された明細書の特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される,以下のとおりのものと認める。

「基礎に固定されるベース部と金属管柱に接合される立上り部とから形成される中空状の柱脚金物と、その上に立設された金属管柱とからなる柱脚部の構造であって、立上り部の上端外面には金属管柱の下端部を嵌め込むための周方向に連続する嵌合部が形成され、嵌合部の外径とほぼ同一の内径を有しかつ立上り部の外径とほぼ同一の外径を有する金属管柱の下端部が嵌合部の外面に嵌め込まれ、嵌合部の外面に設けられた雄ネジと金属管柱の下端部の内面に設けられた雌ネジによって、柱脚金物の立上り部と金属管柱が螺合されていることを特徴とする柱脚部の構造。」
(以下,「本願発明」という。)

2.引用刊行物
原査定の拒絶の理由に引用され,本願出願前に頒布された上記刊行物2には,「【2】 2. 2-1.(2)」に記載したとおりの発明が記載されているものと認められる。

3.対比・判断
本願発明と刊行物2記載の発明とを対比すると,刊行物2記載の発明の「平板部4」が本願発明の「ベース部」に相当しており,以下同様に,「鋼管柱1」が「金属管柱」に,「ベースプレート3」が「柱脚金物」に,「ねじ溝10」が「雄ネジ」に,「雌ねじ部9」が「雌ネジ」にそれぞれ相当している。
そして,刊行物2記載の発明の「ねじ筒5」と本願発明の「(立上り部の上端外面に金属管柱の下端部を嵌め込むために周方向に連続して形成された)嵌合部」とは,金属管柱の下端部が嵌め込まれる「接合部」である点で共通している。
さらに,刊行物2記載の発明において,鋼管柱1の下端をねじ筒5に被せ,鋼管柱1の下端内面に設けられた雌ねじ部とねじ筒5の外径面のねじ溝10とで螺合し,接合するのであるから,ねじ筒5の外径と鋼管柱1の下端の内径とがほぼ同一であることは明らかである。

したがって,両者は以下の点で一致している。
「基礎に固定される柱脚金物と柱脚金物の上に立設される金属管柱とからなる柱脚部の構造であって,柱脚金物が基礎に固定されるベース部と金属管柱に螺合される接合部を備え,
該接合部は,その外径が金属管柱の下端部の内径とほぼ同一であって,金属管柱の下端部が嵌め込まれ,その外面に設けられた雄ネジと金属管柱の下端部の内面に設けられた雌ネジによって,柱脚金物の接合部と金属管柱が螺合されている柱脚部の構造。」

そして,以下の点で相違している。
(相違点2)
本願発明は,柱脚金物が,基礎に固定されるベース部と金属管柱に接合される立上り部とから形成される中空状の柱脚金物であって,該立上り部の外径は金属管柱の外径とほぼ同一に形成されており,接合部が,前記立上り部の上端外面に周方向に連続して形成された嵌合部であって,柱脚金物の立上り部と金属管柱が螺合されているのに対して,刊行物2記載の発明は,柱脚金物が,基礎に固定されるベース部とベース部に(直接)設けられた接合部(ねじ筒5)とからなっており,金属管柱の外径とほぼ同一に形成された立ち上がり部を備えたものではなく,当然,該接合部(ねじ筒5)が,立ち上がり部の上端外面に周方向に連続して設けられたものではないし,柱脚金具の立上り部と金属管柱とが螺合されたものでもない点。

上記相違点2について検討する。
基礎に固定される柱脚金物と柱脚金物の上に立設される金属管柱とからなる柱脚部の構造において,柱脚金物を,基礎に固定されるベース部と金属管柱に接合され金属管柱の外径とほぼ同一の外径を有し,中空断面形をなす立上り部とから形成される柱脚金物とし,金属管柱との接合部を,立上り部の上端外面に周方向に連続して形成した嵌合部として,柱脚金具の立上り部と金属管柱とを接合してなる柱脚部の構造は,例えば本願明細書中で従来技術として示されている上記刊行物1(他にも特開2002-70361号公報等参照)にみられるように周知の技術である。
そうすると,上記相違点3に係る本願発明の構成は,刊行物2記載の発明の柱脚部の構造として,上記周知の技術を採用することにより,当業者が容易になし得たものである。

そして、本願発明全体の効果も、刊行物2記載の発明及び周知の技術から当業者が予測し得る範囲のものであって格別なものということができないから、本願発明は、刊行物2記載の発明及び周知の技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

4.むすび
以上のとおり、本願発明は、刊行物2記載の発明及び周知の技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、本願は、拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2009-07-14 
結審通知日 2009-07-15 
審決日 2009-08-04 
出願番号 特願2003-185466(P2003-185466)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (E04H)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 江成 克己五十幡 直子  
特許庁審判長 神 悦彦
特許庁審判官 宮崎 恭
草野 顕子
発明の名称 照明柱、信号柱又は道路標識柱の柱脚部の構造  
代理人 杉岡 幹二  
代理人 千原 清誠  
代理人 穂上 照忠  

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