• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 査定不服 特17 条の2 、4 項補正目的 特許、登録しない。 B66F
審判 査定不服 特17条の2、3項新規事項追加の補正 特許、登録しない。 B66F
審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 特許、登録しない。 B66F
審判 査定不服 特36条4項詳細な説明の記載不備 特許、登録しない。 B66F
審判 査定不服 特174条1項 特許、登録しない。 B66F
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 B66F
管理番号 1204476
審判番号 不服2007-34563  
総通号数 119 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2009-11-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2007-12-21 
確定日 2009-09-24 
事件の表示 特願2001-117672「ホースかみ込み防止カバー」拒絶査定不服審判事件〔平成14年10月23日出願公開、特開2002-308589〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1.手続の経緯
本願は、平成13年4月17日の出願であって、平成13年4月18日付けで手続補正書が提出され、平成18年12月25日付けで拒絶理由が通知され、平成19年3月26日付けで手続補正書が提出され、平成19年6月11日付けで最後の拒絶理由が通知され、平成19年9月3日付けで手続補正書が提出されて明細書を補正する手続補正がなされたが、平成19年10月17日付けで上記平成19年9月3日付けの手続補正が却下されるとともに、同日付けで拒絶査定がなされ、平成19年12月21日付けで拒絶査定に対する審判請求がされるとともに、平成20年1月21日付けで手続補正書が提出されて、明細書を補正する手続補正がなされたものであり、その後、当審において平成20年12月10日付けで書面で審尋がなされ、平成21年7月8日付けで上申書が提出されたものである。

第2.平成20年1月21日付けの手続補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成20年1月21日付けの手続補正を却下する。
[理由1]
1.本件補正の内容
平成20年1月21日付けの手続補正(以下、「本件補正A」という。)は、特許請求の範囲に関して、本件補正Aにより補正される前の(すなわち、平成19年3月26日付けの手続補正書により補正された)特許請求の範囲の下記(a)の記載を、下記(b)に示す記載に補正するものである。

(a)
「【特許請求の範囲】
【請求項1】 車幅方向にプーリ(2)の幅とほぼ同等な幅を有し、前後方向にはプーリ(2)の外径寸法(D)と同等又はそれ以上の長さを有し、また、その中央部に水平な辺を備え、その水平な辺の両端部からプーリ(2)に掛けられたホース(3)の外径に沿って斜め下方に傾斜する辺を備える上面板(12)と、そしてまた、この上面板(12)の側面に、上部は前記の上面板(12)の側面と同じ形状に切断され、前後方向にはプーリ(2)の外径寸法(D)と同等又はそれ以上の長さを有し、プーリ(2)の支持軸に向って下方に延びる前後の辺を備え、そして、この前後の辺に挟まれている下方の中央部分の辺は水平でプーリ(2)の支持軸を越えた位置にあり、この下方の水平の中央部分の辺の両端部から、なだらかに斜め上方に辺を延ばして前記の上面板(12)のプーリ(2)の外径寸法(D)と同等又はそれ以上の長さを有する辺と交差するようにした側面板(11)を一体にしてカバー(1)を形成し、これによって、プーリ(2)の側面とカバー(1)の側面板(11)との間に発生していた挟叉部によるホース(3)のかみ込みをなくしたことを特徴とするホースかみ込み防止カバー。
【請求項2】 前後方向にはプーリ(2)の外径寸法(D)と同等又はそれ以上の長さになるプーリ(2)に掛けられたホース(3)の外径の上部の前後の位置から、プーリ(2)に掛けられたホースを跨いでパイプ又は丸棒を水平に伸長させて前後に上部材(16)を形成し、この前後の上部材(16)の左右の端部を下方にプーリ(2)の支持軸がある高さの位置まで伸長させ、そして、それから、このプーリ(2)の支持軸がある高さ位置まで伸長させたところからパイプ又は丸棒を前後に直角に折り曲げて、プーリ(2)の支持軸まで水平に伸長させて、4本の縦部材(14)と2本の横部材(13)を形成してカバー(1)を形成し、これよって、プーリ(2)の側面とパイプ又は丸棒のカバー(1)の縦部材(14)との間に発生していた挟叉部によるホースのかみ込みをなくしたことを特徴とするホースかみ込み防止カバー。」

(b)
「【特許請求の範囲】
【請求項1】 車両の車幅方向にはプーリ(2)の幅とほぼ同等な幅を有し、車両の前後方向にはプーリ(2)の外径寸法(D)と同等又はそれ以上の長さを有し、また、その中央部に水平な辺を備え、その水平な辺の両端部からプーリ(2)に掛けられたホース(3)の外径に沿って斜め下方に傾斜する辺を備えるプーリ(2)の上部に位置する上面板(12)と、そしてまた、この上面板(12)の側面であって、レールの側面からより離れた上面板(12)の側面に、上部は前記の上面板(12)の側面と同じ形状に形成され、車両の前後方向にはプーリ(2)の外径寸法(D)と同等又はそれ以上の長さを有し、プーリ(2)の中心軸に向って下方に延びる前後の辺を備え、そして、この前後の辺に挟まれている下方の中央部分の辺は水平でプーリ(2)の中心軸を越えた位置にあり、この下方の水平の中央部分の辺の両端部から、なだらかに斜め上方に辺を延ばして前記の上面板(12)のプーリ(2)の外径寸法(D)と同等又はそれ以上の長さを有する辺と交差するようにした側面板(11)を一体にしてカバー(1)を形成し、このカバー(1)をプーリ(2)の中心軸に固着することによって、プーリ(2)の側面とカバー(1)の側面板(11)との間に発生していた挟叉部によるホース(3)のかみ込みをなくしたことを特徴とするホースかみ込み防止カバー。
【請求項2】 車両の前後方向にはプーリ(2)の外径寸法(D)と同等又はそれ以上の長さになるプーリ(2)に掛けられたホース(3)の外径の上部の前後の位置から、プーリ(2)に掛けられたホースを跨いでパイプ又は丸棒を水平に伸長させて前後に上部材(16)を形成し、この前後の上部材(16)の左右の端部を下方にプーリ(2)の中心軸がある高さの位置まで伸長させ、そして、このプーリ(2)の中心軸がある高さ位置まで伸長させたところからこのパイプ又は丸棒を前後に直角に折り曲げて、プーリ(2)の中心軸まで水平に伸長させ、そして、このパイプ又は丸棒の端部をプーリ(2)の中心軸に固着し、2本の上部材(16)と、4本の縦部材(14)と、および4本の横部材(13)とによってカバー(1)を形成し、これによって、プーリ(2)の側面とパイプ又は丸棒のカバー(1)の縦部材(14)との間に発生していた挟叉部によるホースのかみ込みをなくしたことを特徴とするホースかみ込み防止カバー。」

以下、本件補正Aによって補正された、特許請求の範囲の請求項1に記載された事項によって特定された発明を「本願補正発明」という。

2.本件補正Aの適否についての判断
本件補正Aにおける請求項1に関する補正は、上記本件補正Aにより補正される前の(すなわち、平成19年3月26日付けの手続補正書により補正された)特許請求の範囲の請求項1に対して、「この上面板(12)の側面に、上部は前記の上面板(12)の側面と同じ形状に切断され、前後方向にはプーリ(2)の外径寸法(D)と同等又はそれ以上の長さを有し、プーリ(2)の支持軸に向って下方に延びる前後の辺を備え、そして、この前後の辺に挟まれている下方の中央部分の辺は水平でプーリ(2)の支持軸を越えた位置にあり、この下方の水平の中央部分の辺の両端部から、なだらかに斜め上方に辺を延ばして前記の上面板(12)のプーリ(2)の外径寸法(D)と同等又はそれ以上の長さを有する辺と交差するようにした」側面板(11)を、「この上面板(12)の側面であって、レールの側面からより離れた上面板(12)の側面に、上部は前記の上面板(12)の側面と同じ形状に形成され、車両の前後方向にはプーリ(2)の外径寸法(D)と同等又はそれ以上の長さを有し、プーリ(2)の中心軸に向って下方に延びる前後の辺を備え、そして、この前後の辺に挟まれている下方の中央部分の辺は水平でプーリ(2)の中心軸を越えた位置にあり、この下方の水平の中央部分の辺の両端部から、なだらかに斜め上方に辺を延ばして前記の上面板(12)のプーリ(2)の外径寸法(D)と同等又はそれ以上の長さを有する辺と交差するようにした」側面板(11)とした発明特定事項を付加することを含むものである。
ところで、願書に最初に添付した明細書又は図面(以下、「当初明細書等」という。)において、側面板(11)に関しては、例えば、段落【0004】、【0005】、【0012】、【0013】及び、【0014】の記載からすれば、「前後方向にはプーリ(2)の外径寸法(D)と同等又はそれ以上の長さを有し」の点までは記載されているものの、さらに、【図1】、【図2】及び従来技術としての【図6】を参酌しても、「レールの側面からより離れた上面板(12)の側面に、上部は前記の上面板(12)の側面と同じ形状に形成され」を含む側面板の形状までは記載されているとはいえない。また、本件補正Aにおける、特許請求の範囲に対応して発明の詳細な説明に関する段落【0004】及び【0009】の各補正は、同様に、当初明細書等に記載されてはいない。
そして、上記請求項1に関する補正及び上記発明の詳細な説明に関する各補正は、当初明細書等に接した当業者であれば、だれもが、その事項がそこに記載されているのと同然であると理解するような事項であるとも認められない。
したがって、本件補正Aは、当初明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものといえない。

3.むすび
以上のように、本件補正Aは、特許法第17条の2第3項の規定に違反するものであるから、特許法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

[理由2]
仮に、上記[理由1]で指摘した本件補正Aが、当初明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものであるとしても、以下の理由により、本件補正Aは却下されるべきものである。
1.本件補正Aの適否についての判断
本件補正Aにおける請求項1に関する補正は、上記本件補正Aにより補正される前の(すなわち、平成19年3月26日付けの手続補正書により補正された)特許請求の範囲の請求項1に対して、「この上面板(12)の側面に、上部は前記の上面板(12)の側面と同じ形状に切断され、前後方向にはプーリ(2)の外径寸法(D)と同等又はそれ以上の長さを有し、プーリ(2)の支持軸に向って下方に延びる前後の辺を備え、そして、この前後の辺に挟まれている下方の中央部分の辺は水平でプーリ(2)の支持軸を越えた位置にあり、この下方の水平の中央部分の辺の両端部から、なだらかに斜め上方に辺を延ばして前記の上面板(12)のプーリ(2)の外径寸法(D)と同等又はそれ以上の長さを有する辺と交差するようにした」側面板(11)を、「この上面板(12)の側面であって、レールの側面からより離れた上面板(12)の側面に、上部は前記の上面板(12)の側面と同じ形状に形成され、車両の前後方向にはプーリ(2)の外径寸法(D)と同等又はそれ以上の長さを有し、プーリ(2)の中心軸に向って下方に延びる前後の辺を備え、そして、この前後の辺に挟まれている下方の中央部分の辺は水平でプーリ(2)の中心軸を越えた位置にあり、この下方の水平の中央部分の辺の両端部から、なだらかに斜め上方に辺を延ばして前記の上面板(12)のプーリ(2)の外径寸法(D)と同等又はそれ以上の長さを有する辺と交差するようにした」側面板(11)とした発明特定事項を付加するとともに、側面板の形成に関して「切断」によるものから「形成」によるものと補正されている。
ところで、上記発明特定事項を「切断」から「形成」に補正することは、切断以外の形成方法を含むことになることから、この補正事項を含む本件補正は特許請求の範囲の減縮に該当するとは認められず、また、請求項の削除、誤記の訂正、明瞭でない記載の釈明(拒絶理由通知に係る拒絶の理由に示す事項についてするものに限る)を目的としたものとも認められない。

2.むすび
したがって、本件補正Aは、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第4項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

[理由3]
1.本願補正発明
仮に、上記[理由2]で指摘した本件補正Aが、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第4項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当するとした場合、本願補正発明が、特許出願の際に独立して特許を受けることができるものであるかについて、以下に検討する。

2.独立特許要件の判断
本件補正Aによって、明細書及び図面の記載が以下の点で不明りょうとなることから、本願は特許法第36条第4項、第6項第1号及び第2号に規定する要件を満たしていないものであって、本願補正発明は、特許出願の際に独立して特許を受けることができないものである。

2.-1 特許請求の範囲の請求項1に対して
(第36条第6項第1号)
(1)請求項1に記載される「車両」とは一般的な車両をすべて含む概念であるところ、発明の詳細な説明には車両としてフォークリフトのみが開示されているにすぎなく、一般的な車両まで拡張できるとはいえないので、特許を受けようとする発明が発明の詳細な説明に記載したものであるとはいえない。

(2)請求項1に記載される「ホースかみ込み防止カバー」とは、一般的なホースをすべて含む概念であるところ、発明の詳細な説明には「フォークリフトにおけるマスト装置に取り付けたアタッチメントへ作動油を供給するために用いるホース」のみが開示されており、一般的なホースまで拡張できるとはいえないので、特許を受けようとする発明が発明の詳細な説明に記載したものであるとはいえない。
なお、当初明細書における請求項1の記載では、「フォークリフト」である旨特定されている。

(第36条第6項第2号)
特許を受けようとする発明が、以下の点で明確であるとはいえない。
(1)「カバー(1)」、「プーリ(2)」と「レール」との位置関係が明確ではない。
ア.「カバー(1)をプーリ(2)の中心軸に固着すること」と記載されているが、プーリのレールへの取り付けはどのようになっているのか不明りょうである。そして、請求項1においてはカバー(1)とレールとの位置関係を特定することで、カバー(1)の上面板(12)及び側面板(11)の形状を特定しいることから、「カバー(1)」の形状も明確ではないといえる。

(2)カバー(1)は、上面板(12)及び側面板(11)で構成されていることは理解できるものの、側面板(11)の形状が不明である。
ア.「この上面板(12)の側面であって、レールの側面からより離れた上面板(12)の側面に、上部は前記の上面板(12)の側面と同じ形状に形成され」と記載されているが、この場合における上面板(12)の側面とは、どこか不明である。上面板(12)と側面板(11)とが合わされている上面板側の辺のことか、又はカバー(1)の側面板(11)のことか不明りょうである。また、レールの側面からより離れたとは、何からより離れているのか不明りょうである。

イ.側面板の形状として「プーリ(2)の中心軸に向って下方に延びる前後の辺を備え、そして、この前後の辺に挟まれている下方の中央部分の辺は水平でプーリ(2)の中心軸を越えた位置にあり、この下方の水平の中央部分の辺の両端部から、なだらかに斜め上方に辺を延ばして前記の上面板(12)のプーリ(2)の外径寸法(D)と同等又はそれ以上の長さを有する辺と交差する」と記載されているものの、どのような側面板(11)を意味しているのか明確とはいえない。

2.-2 発明の詳細な説明に対して
(第36条第4項)
(1)上記1.-2に対応する箇所が、不明りょうである。
(2)本願補正発明を実施することができる程度に明確かつ十分に記載したものであるとはいえない。
ア.従来例として例えば【図5】及び【図6】の記載等はあるものの、実施例における「カバー(1)」、「プーリ(2)」及び「中心軸」はどのようにフォークリフトに取り付けられているのか、図面を参照しても明確とはいえない。

3.むすび
以上のとおり、本件補正Aは、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法126条第5項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

よって、[理由1]、[理由2]又は[理由3]により、結論のとおり決定する。

第3.本願について
1.本願明細書等
平成20年1月21日付けの手続補正は上記のとおり決定をもって却下され、すでに平成19年9月3日付けの手続補正も平成10年10月17日付けで適法に決定をもって却下されているため、審理の対象とする明細書及び図面は、平成19年3月26日付けの手続補正により補正された明細書及び出願当初の図面である。

2.原査定の拒絶理由
原審における平成19年6月11日付けの最後の拒絶理由の概要は以下のとおりである。
理 由

平成19年 3月26日付けでした手続補正は、下記の点で願書に最初に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内においてしたものでないから、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしていない。



上記補正により、請求項1、2及び発明の詳細な説明全般にわたり、変更がなされているが、それぞれの補正箇所について、出願当初の明細書のいずれの箇所を根拠に補正がなされたものであるのか不明であり、この補正は新規事項を含むものと認められる。
上記補正について、出願当初の明細書に補正の根拠があるならば、補正箇所について、それぞれ、その根拠となる出願当初の明細書の対応する記載箇所を、意見書において明確に記載されたい。

3.当審の判断
平成19年3月26日付けの手続補正(以下、「本件補正B」という。)は、特許請求の範囲に関して、本件補正Bにより補正される前の(すなわち、平成13年4月18日付けの手続補正書により補正された)特許請求の範囲の下記(c)の記載を、下記(d)に示す記載にする補正するものである。
(c)
「【特許請求の範囲】
【請求項1】 フォークリフトのマスト装置において、カバー(1)の側面板(11)の前後幅寸法(B)をプーリ(2)の外径寸法(D)と同等又はそれ以上のものとすると共に、上面板(12)と一体に形成したことを特徴とするホースかみ込み防止カバー。
【請求項2】 カバー(1)の側面板(11)と上面板(12)に代え、パイプ又は丸棒により前後方向の横部材(13)と上部材(15)とを縦部材(14)で連結し、枠状に形成したことを特徴とする請求項1記載のかみ込み防止カバー。
【請求項3】 パイプ又は丸棒を用いた上部材(15)を側面板(11)に取り付けることより上面板(12)に代えたことを特徴とする請求項1記載のホースかみ込み防止カバー。」

(d)
「【特許請求の範囲】
【請求項1】 車幅方向にプーリ(2)の幅とほぼ同等な幅を有し、前後方向にはプーリ(2)の外径寸法(D)と同等又はそれ以上の長さを有し、また、その中央部に水平な辺を備え、その水平な辺の両端部からプーリ(2)に掛けられたホース(3)の外径に沿って斜め下方に傾斜する辺を備える上面板(12)と、そしてまた、この上面板(12)の側面に、上部は前記の上面板(12)の側面と同じ形状に切断され、前後方向にはプーリ(2)の外径寸法(D)と同等又はそれ以上の長さを有し、プーリ(2)の支持軸に向って下方に延びる前後の辺を備え、そして、この前後の辺に挟まれている下方の中央部分の辺は水平でプーリ(2)の支持軸を越えた位置にあり、この下方の水平の中央部分の辺の両端部から、なだらかに斜め上方に辺を延ばして前記の上面板(12)のプーリ(2)の外径寸法(D)と同等又はそれ以上の長さを有する辺と交差するようにした側面板(11)を一体にしてカバー(1)を形成し、これによって、プーリ(2)の側面とカバー(1)の側面板(11)との間に発生していた挟叉部によるホース(3)のかみ込みをなくしたことを特徴とするホースかみ込み防止カバー。
【請求項2】 前後方向にはプーリ(2)の外径寸法(D)と同等又はそれ以上の長さになるプーリ(2)に掛けられたホース(3)の外径の上部の前後の位置から、プーリ(2)に掛けられたホースを跨いでパイプ又は丸棒を水平に伸長させて前後に上部材(16)を形成し、この前後の上部材(16)の左右の端部を下方にプーリ(2)の支持軸がある高さの位置まで伸長させ、そして、それから、このプーリ(2)の支持軸がある高さ位置まで伸長させたところからパイプ又は丸棒を前後に直角に折り曲げて、プーリ(2)の支持軸まで水平に伸長させて、4本の縦部材(14)と2本の横部材(13)を形成してカバー(1)を形成し、これによって、プーリ(2)の側面とパイプ又は丸棒のカバー(1)の縦部材(14)との間に発生していた挟叉部によるホースのかみ込みをなくしたことを特徴とするホースかみ込み防止カバー。」
(なお、下線部は補正箇所を示すために、特許法施行規則様式第13備考6に基づき請求人が付している。)
本件補正Bは、上面板(12)を「中央部に水平な辺を備え、その水平な辺の両端部からプーリ(2)に掛けられたホース(3)の外径に沿って斜め下方に傾斜する辺を備え」ている補正事項と、側面板(11)を「上面板(12)の側面に、上部は前記の上面板(12)の側面と同じ形状に切断され、プーリ(2)の支持軸に向って下方に延びる前後の辺を備え、そして、この前後の辺に挟まれている下方の中央部分の辺は水平でプーリ(2)の支持軸を越えた位置にあり、この下方の水平の中央部分の辺の両端部から、なだらかに斜め上方に辺を延ばして前記の上面板(12)のプーリ(2)の外径寸法(D)と同等又はそれ以上の長さを有する辺と交差するようにした」とする補正事項を含んでいる。
ところで、上記両補正事項に関しては、当初明細書等における発明の詳細な説明の例えば、段落【0004】、【0005】、【0012】、【0013】及び【0014】には記載されてはおらず、当初明細書等に接した当業者であれば、だれもが、その事項がそこに記載されているのと同然であると理解するような事項であるとも認められない。
さらに、【図1】、【図2】及び従来技術としての【図6】を参酌しても、少なくとも「上面板(12)の側面に、上部は前記の上面板(12)の側面と同じ形状に切断され」を含む側面板の形状及び側面板の制作の一手段といえる「切断」まで、当初明細書等に記載されているとはいえないし、当初明細書等の記載から自明な事項ともいえない。
したがって、本件補正Bは、当初明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものといえない。

4.むすび
平成19年3月26日付けでした手続補正は、当初明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものでないから、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしていない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2009-06-04 
結審通知日 2009-06-30 
審決日 2009-07-14 
出願番号 特願2001-117672(P2001-117672)
審決分類 P 1 8・ 55- Z (B66F)
P 1 8・ 561- Z (B66F)
P 1 8・ 57- Z (B66F)
P 1 8・ 536- Z (B66F)
P 1 8・ 537- Z (B66F)
P 1 8・ 575- Z (B66F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 見目 省二  
特許庁審判長 小谷 一郎
特許庁審判官 森藤 淳志
中川 隆司
発明の名称 ホースかみ込み防止カバー  
代理人 橋爪 良彦  

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ