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審決分類 審判 査定不服 4号2号請求項の限定的減縮 特許、登録しない。 B41J
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 B41J
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 B41J
管理番号 1204539
審判番号 不服2006-4466  
総通号数 119 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2009-11-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2006-03-09 
確定日 2009-10-01 
事件の表示 特願2000-170279「インクジェット記録装置、及びインクカートリッジ」拒絶査定不服審判事件〔平成13年12月18日出願公開、特開2001-347681〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成12年6月7日の特許出願であって、拒絶理由通知に応答して平成17年10月3日付けで手続補正がされたが、平成18年2月3日付けで拒絶査定がされ、これを不服として同年3月9日付けで審判請求がされるとともに、同年4月7日付けで明細書についての手続補正がされたものである。

第2 平成18年4月7日付けの手続補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成18年4月7日付けの手続補正(以下、「本件補正」という。)を却下する。
[理由]
1.本件補正による特許請求の範囲の請求項3についての補正について
平成18年4月7日付けの手続補正における特許請求の範囲の請求項3についての補正は、補正前(平成17年10月3日付け手続補正書参照)に
「 【請求項3】 インク室を形成する容器と、前記インク室に連通するインク供給口と、前記インク供給口の周囲に前記インク供給口に対して放射状部、及び前記放射状部の先端側に形成された直線状部からなるリブと、を備え、前記リブの相隣接する直線状部により、前記キャリッジに形成された凸部に係合する凹部を形成したインクジェット記録装置用インクカートリッジ。」
とあったものを、
「 【請求項3】 インク室を形成する容器と、前記インク室に連通するインク供給口と、前記インク供給口の周囲に前記インク供給口に対して放射状部、及び前記放射状部の先端側に形成された直線状部からなるリブと、を備え、前記リブの相隣接する直線状部により、前記キャリッジに形成された凸部に係合する凹部を形成して、記録装置に適合するインクカートリッジが前記キャリッジに装着された場合には前記凸部に前記凹部が係合して前記インク供給針を前記インク供給口に嵌入させ、また不適合なインクカートリッジが装着された場合には前記リブを前記凸部に衝突させて前記インク供給針が前記インク供給口に嵌入するのを阻止するインクジェット記録装置用インクカートリッジ。」(下線は当審にて付与した。)と補正するものである。

本件補正の前も後も、請求項3には「前記キャリッジに形成された」との記載があるが、その記載の前に「キャリッジ」との記載がない。一方、請求項3に係る発明は「インクジェット記録装置用インクカートリッジ」であり、インクジェット記録装置がインクカートリッジを装着されるキャリッジを備えることは一般的な構成である。
よって、「前記キャリッジに形成された」は「キャリッジに形成された」を意味するものと解する。

本件補正後の請求項3には「前記インク供給針を」との記載があるが、その記載の前に「インク供給針」との記載がない。一方、本件補正の前も後も、請求項1には「インク供給針に連通する記録ヘッドを設けられたキャリッジ」との記載がある。また、インクジェット記録装置がインク供給針のあるキャリッジを備えることは一般的な構成である。
よって、「前記インク供給針を」は「インク供給針を」を意味するものと解する。

該補正は、インク供給口の構成を、インク供給針を嵌入されるものに限定している。
本件補正の前も後も、請求項3では「キャリッジに形成された凸部」の位置、形状が規定されていないのであるから、本来は、該補正によって、インクカートリッジの「凹部」と「リブ」の構成は限定されない。
しかしながら、該補正は、形式的には、「凹部」が「キャリッジに形成された凸部」と係合するものであるか、及び「リブ」が「キャリッジに形成された凸部」に衝突するものであるかの点で、一応、インクカートリッジの「凹部」と「リブ」を限定している。
よって、該補正を、発明を特定するために必要な事項を限定するものであって、平成14年法律第24号改正附則第2条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第4項第2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当するものと認め、本件補正後の請求項3に係る発明が、特許出願の際に独立して特許を受けることができるものであるかどうか(平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項に規定する要件を満たすか否か)について検討する。

2.独立特許要件について
(1)本願補正発明
本件補正後の請求項3に係る発明は、本件補正により補正された特許請求の範囲【請求項3】に記載された事項によって特定される次のとおりのものと認める。
「 【請求項3】 インク室を形成する容器と、前記インク室に連通するインク供給口と、前記インク供給口の周囲に前記インク供給口に対して放射状部、及び前記放射状部の先端側に形成された直線状部からなるリブと、を備え、前記リブの相隣接する直線状部により、キャリッジに形成された凸部に係合する凹部を形成して、記録装置に適合するインクカートリッジが前記キャリッジに装着された場合には前記凸部に前記凹部が係合してインク供給針を前記インク供給口に嵌入させ、また不適合なインクカートリッジが装着された場合には前記リブを前記凸部に衝突させて前記インク供給針が前記インク供給口に嵌入するのを阻止するインクジェット記録装置用インクカートリッジ。」(以下、「本願補正発明」という。)
ただし、上記「 1.本件補正による特許請求の範囲の請求項3についての補正について」で述べたとおり、「前記キャリッジに形成された」、「前記インク供給針を」はそれぞれ「キャリッジに形成された」、「インク供給針を」と解されるから、その点を補った。

(2)引用発明
原査定の拒絶の理由に引用され、本願の出願前に頒布された特開平4-164649号公報(以下、「引用例」という。)には、以下の(ア)?(ク)の記載が図示と共にある。
(ア)「一般的なインク・ジェット・プリンタでは、印刷媒体は回転ドラムに巻き付けられ、ヘッドは回転ドラム軸に沿って移動するキャリッジに取り付けられている。ヘッドが印刷媒体上を走査する間、各ヘッドの微少外部孔(オリフィス)から印刷媒体にインク滴が射出されて印刷媒体上に画像が形成される。適当な制御装置によって、インク滴発生と回転ドラムの回転との同期がとられる。
一般的な動作を行う従来のヘッドは、米国オレゴン州ビーバートンのテクトロニックス社に譲渡されたリ等による米国特許第4613875号(特願昭6l-79887)に開示されている。
その他の一般的な形式のヘッドは、テクトロニックス社製造の4696型のカラー・グラフィック・プリンタで使用されている。」(2頁左上欄10行?右上欄4行)

(イ)「インクは、インク・カートリッジの底にあるマイラ・シート(ポリエステル・フィルム)を貫通するように設計された中空針により個々のインク容器に供給される。この結果、インクは、インク・カートリッジからインク容器に流入し、普通は要求があり次第、そのインク容器から印刷媒体にインクを射出するヘッドに流入することが許される。」(2頁左下欄15?右下欄2行)

(ウ)「なお、以下の説明で使用するリブおよびフランジという用語は、突設部分を示すものであるが、説明の都合上、カートリッジ装填開口に形成されるものをリブといい、インク・カートリッジに形成されるものをフランジという。」(3頁右下欄8?12行)

(エ)「第7図は、米国オレゴン州ビーバートンのテクトロニックス社により製造されている従来のインク・ジェット・プリンタ(4696型)で使用される従来のカートリッジ装填部(10)を示す平面図である。」(4頁左上欄7?11行)

(オ)「カートリッジ装填部(10)には、4個のカートリッジ装填開口(14),(16),(18),および(20)が設けられており、それぞれヘッド(図示せず)の上に位置している。個々のカートリッジ装填開口(14)?(20)には、異なる色,代表的には、イエロー,マゼンタ,シアン,または黒のインクが入ったインク・カートリッジを装填する。
個々のカートリッジ装填開口には、それぞれ4個のリブ(22a),(22b),(22c),および(22d)が設けられている。このリブは、カートリッジ装填開口の周縁端部からカートリッジ装填開口の中心に向かって突出し、リブ間には複数の凹部(24a),(24b),(24c),(24d)が形成される。個々のカートリッジ装填開口のリブおよび凹部はキー溝パターンを形成する。4個のカートリッジ装填開口の有効直径は、全て同じであるが、4個の特定のキー溝パターンを形成するように個々のカートリッジ装填開口のリブおよび凹部の大きさ,形状,位置が決められる。」(4頁左上欄12行?4頁右上欄12行)

(カ)「はぼ円筒形のインク・カートリッジ(26)は、中空本体から構成されている。この中空本体は、次の各部分,すなわち、最小直径の第1シールド端部(30)、これよりも少し大きな直径である縦溝付端部(32)、-定の直径であるインクの入った容器(34)、インデックス・フランジ(以下位置決めフランジという)(38)、第2シールド端部(40)(第4図のみに示す)から構成されている。第1および第2シールド端部(30),(40)は、インクの保管のためにそれぞれ薄いマイラ・フィルムにより密閉されている。通常、インク・ジェット・プリンタを実際に使用する前に、密閉された両端部は突き破られる。この結果、空気が第2シールド端部(40)から流入して、インクが第1シールド端部(30)から流出することが許される。」(4頁右上欄18?左下欄13行)

(キ)「縦溝付端部(32)には、半径方向に延びた複数のフランジ(42)がある。カートリッジ装填開口の1個の特定のキー溝パターンに結合するように、フランジ(42)の大きさ,形状,位置は定められる。縦溝(43)は、外側に突出した隣接するフランジ(42)の間に形成される。」(4頁左下欄14?19行)

(ク)「縦溝付端部(32)の有効直径は、カートリッジ装填開口の有効直径よりも少し小さく、フランジ(42)は、カートリッジ装填開口の凹部(24)の内部に重なるように突出していることが理解されよう。同様に、カートリッジ装填開口のリブ(22)は、インク・カートリッジ(26)の縦溝(43)の内部に重なるように突出している。」(4頁右下欄6?13行)

上記(ア)の「ヘッドは回転ドラム軸に沿って移動するキャリッジに取り付けられている。」及び上記(イ)の「インクは、インク・カートリッジからインク容器に流入し、普通は要求があり次第、そのインク容器から印刷媒体にインクを射出するヘッドに流入することが許される。」との記載から、カートリッジ装填部(10)とヘッドはキャリッジに設けられている。

上記(イ)、(ウ)は、上記(ア)に続く記載であり、上記(ア)にいう「テクトロニックス社製造の4696型のカラー・グラフィック・プリンタ」についての記載である。 上記(オ)?(ク)は、上記(エ)に続く記載であり、上記(エ)にいう「テクトロニックス社により製造されている従来のインク・ジェット・プリンタ(4696型)」についての記載である。
よって、上記(ア)?(ク)は、テクトロニックス社製造の4696型という同じプリンタについての記載である。
上記(カ)には、インク・カートリッジの底の方にある第1シールド端部(30)のマイラ・フィルムが突き破られることが記載されているものの、何により突き破られるから明記されていない。しかし、上記(カ)と同じプリンタについて記載している上記(イ)に、インク・カートリッジの底のマイラ・シート(ポリエステル・フィルム)を中空針が貫通するとあるから、第1シールド端部(30)のマイラ・フィルムは、カートリッジ装填部側の中空針で突き破られる。

FIG.5から、縦溝付端部(32)の端に第1シールド端部(30)があり、上記(カ)より第1シールド端部(30)からインクが供給されるから、縦溝付端部(32)と第1シールド端部(30)を合わせた部分をインク供給口と呼べる。
上記(キ)より、このインク供給口の縦溝付端部(32)に対して放射状に形成されたフランジ42があり、フランジ42の間には縦溝43がある。

上記(ク)より、カートリッジ装填開口のリブ(22)が、インク・カートリッジ(26)の縦溝(43)に嵌り込むのであるから、リブ(22)は縦溝(43)と係合する。
上記(オ)、(キ)より、インク・カートリッジ側のフランジ(42)とフランジ(42)の間の縦溝(43)の大きさ、形状、位置が、プリンタのキャリッジ側のカートリッジ装填部(10)のカートリッジ装填開口のリブ(22)とリブ(22)の間の凹部のなす特定のパターンに合致する場合にのみインク・カートリッジがカートリッジ装填開口に挿入できる。

以上のことから、上記(ア)?(ク)の記載を含む引用例には、次の発明が記載されていると認めることができる。
「インクの入った容器(34)と、前記インクの入った容器(34)に連通し、縦溝付端部(32)と第1シールド端部(30)からなるインク供給口と、前記インク供給口の周囲に前記インク供給口の前記縦溝付端部(32)に対して放射状のフランジ(42)と、を備え、前記フランジ(42)の間に、キャリッジのカートリッジ装填部(10)のカートリッジ装填開口に形成されたリブ(22)に係合する縦溝(43)を形成して、インク・ジェット・プリンタに適合するインク・カートリッジが前記キャリッジのカートリッジ装填部(10)のカートリッジ装填開口に装着された場合には前記リブ(22)に前記縦溝(43)が係合して中空針を前記インク供給口の前記第1シールド端部(30)に嵌入させ、また不適合なインク・カートリッジが装着された場合には前記フランジ(42)を前記リブ(22)に衝突させて前記中空針が前記インク供給口の前記第1シールド端部(30)に嵌入するのを阻止するインク・ジェット・プリンタ用インク・カートリッジ」(以下、「引用発明」という。)

(3)対比
引用発明の「インクの入った容器(34)」、「縦溝付端部(32)と第1シールド端部(30)からなるインク供給口」、「インク・ジェット・プリンタ」、「中空針」、「インク・カートリッジ」は、本願補正発明の「インク室を形成する容器」、「インク供給口」、「インクジェット記録装置」、「インク供給針」、「インクカートリッジ」に相当する。

上記「(2)引用発明 」の記載(ウ)によれば、突設部分を示すものという意味で「リブ」および「フランジ」という用語を使い、説明の都合上、カートリッジ装填開口に形成されるものをリブといい、インク・カートリッジに形成されるものをフランジといっただけのことである。
また、一般に「リブ」は肋骨状に複数並んで延びる形状の構成要素を指し、そして引用発明の「フランジ」は放射状に複数並んで延びる形状の構成要素である。
よって、引用発明の「フランジ」は本願補正発明の「リブ」にひとまず相当する。
そして、引用発明の「キャリッジのカートリッジ装填部(10)のカートリッジ装填開口に形成されたリブ(22)」は、本願補正発明の「キャリッジに形成された凸部」にひとまず相当する。

引用発明の「フランジ」の間の「縦溝(43)」は溝であって窪んでいるのであるから、本願補正発明の「凹部」にひとまず相当する。

してみれば、本願補正発明と引用発明とは、以下の点で一致し、以下の点で相違する。
<一致点>
「インク室を形成する容器と、前記インク室に連通するインク供給口と、前記インク供給口の周囲に前記インク供給口に対して放射状部からなるリブと、を備え、前記リブの相隣接する部分により、キャリッジに形成された凸部に係合する凹部を形成して、記録装置に適合するインクカートリッジが前記キャリッジに装着された場合には前記凸部に前記凹部が係合してインク供給針を前記インク供給口に嵌入させ、また不適合なインクカートリッジが装着された場合には前記リブを前記凸部に衝突させて前記インク供給針が前記インク供給口に嵌入するのを阻止するインクジェット記録装置用インクカートリッジ」

<相違点>
本願補正発明は「前記インク供給口の周囲に前記インク供給口に対して放射状部、及び前記放射状部の先端側に形成された直線状部からなるリブと、を備え、前記リブの相隣接する直線状部により、キャリッジに形成された凸部に係合する凹部を形成して」と特定されているのに対し、引用発明は前記特定を有しない点。

(4)判断
一般に、リブは構造上の強度を増すために設けるのであって、その形状をどうするかは設計事項にすぎない。また、本願の出願前に頒布された特開平10-58696号公報記載のインクカートリッジにおいて、リブ11をインク供給口10a?eに対して放射状部、枠12を放射状部の先端側に形成された直線状部とみることもできるように、「インク供給口の周囲に前記インク供給口に対して放射状部、及び前記放射状部の先端側に形成された直線状部からなる」リブの形状も格別のものではない。
また、相隣接するリブのどの部分の間で凹部を形成するかも、設計事項にすぎない。
(請求人は、審判請求書において、「本願補正発明は、リブの相隣接する直線状部により凹部を形成することで、ガタや遊びを設けることができる。」旨を主張しているが、ガタや遊びが生じるのはそのようにリブとリブ間の形状を定めるからにすぎない。
また、嵌め合わせを容易にするためにガタや遊びを設けることは慣用手段であり、引用例にも、上記(2)(ク)に示したように「縦溝付端部(32)の有効直径は、カートリッジ装填開口の有効直径よりも少し小さく」と、インク・カートリッジとカートリッジ装填開口の嵌め合わせに遊びを設けることが記載されている。)

よって、引用発明において、本願補正発明の<相違点> に係る構成を備えることは、技術常識に基いて当業者が容易に想到できたことである。
また、かかる発明特定事項を採用することによる効果は、当業者が容易に予測し得る程度のものである。
したがって、本願補正発明は、引用発明及び技術常識に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができない。

本願補正発明は、特許出願の際独立して特許を受けることができないものであるから、本件補正の請求項3についての補正は、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項に規定する要件を満たしていないから、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

第3 本願発明について
1.本願発明の認定
平成18年4月7日付けの手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項3に係る発明は、平成17年10月3日付けで補正された特許請求の範囲の請求項3に記載された事項によって特定される次のとおりのものと認める。
「 【請求項3】 インク室を形成する容器と、前記インク室に連通するインク供給口と、前記インク供給口の周囲に前記インク供給口に対して放射状部、及び前記放射状部の先端側に形成された直線状部からなるリブと、を備え、前記リブの相隣接する直線状部により、キャリッジに形成された凸部に係合する凹部を形成したインクジェット記録装置用インクカートリッジ。」(以下、本願発明という。)
ただし、「前記キャリッジに形成された」は「キャリッジに形成された」と解される点を補った。

2.引用例の記載
原査定の拒絶の理由に引用された引用例及びその記載事項は、上記「第2 平成18年4月7日付けの手続補正についての補正却下の決定 2.独立特許要件について (2)引用発明」に記載したとおりである。

3.対比・判断
本願発明は、上記「第2 平成18年4月7日付けの手続補正についての補正却下の決定 1.本件補正による特許請求の範囲の請求項3についての補正について」で検討した本願補正発明の発明特定事項から、「記録装置に適合するインクカートリッジが前記キャリッジに装着された場合には前記凸部に前記凹部が係合して前記インク供給針を前記インク供給口に嵌入させ、また不適合なインクカートリッジが装着された場合には前記リブを前記凸部に衝突させて前記インク供給針が前記インク供給口に嵌入するのを阻止する」との記載によりなされていたインク供給口の構成の限定と「凹部」と「リブ」が、インク供給針をインク供給口に嵌入させるか嵌入するのを阻止するかの選択に寄与するものである点の限定を省いたものに相当する。

すると、本願発明の構成要件をすべて含み、さらに他の構成要件を付加したものに相当する本願補正発明が、上記「第2 平成18年4月7日付けの手続補正についての補正却下の決定 2.独立特許要件について」に記載したとおり、引用発明及び技術常識に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、同様の理由により、引用発明及び技術常識に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。
また、本願発明の効果は、当業者が容易に予測し得る範囲内のものである。

4. むすび
以上のとおり、本願発明は、引用発明及び技術常識に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、本願出願のその余の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶を免れない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2009-07-28 
結審通知日 2009-08-04 
審決日 2009-08-18 
出願番号 特願2000-170279(P2000-170279)
審決分類 P 1 8・ 572- Z (B41J)
P 1 8・ 575- Z (B41J)
P 1 8・ 121- Z (B41J)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 門 良成塚本 丈二  
特許庁審判長 江成 克己
特許庁審判官 菅野 芳男
藏田 敦之
発明の名称 インクジェット記録装置、及びインクカートリッジ  
代理人 須澤 修  
代理人 上柳 雅誉  
代理人 宮坂 一彦  

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