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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 E05B
管理番号 1204594
審判番号 不服2008-526  
総通号数 119 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2009-11-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2008-01-09 
確定日 2009-10-01 
事件の表示 特願2002-141882「パッシブキーレスエントリ」拒絶査定不服審判事件〔平成15年11月19日出願公開、特開2003-328615〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯・本願発明
本願は、平成14年5月16日の出願であって、その請求項1ないし3に係る発明は、平成19年11月5日付けの手続補正書により補正された明細書の特許請求の範囲の請求項1ないし3に記載された事項により特定されるとおりのものであり、そのうち請求項1に係る発明は、次のとおりのものである。
「自動車に搭載された車載器と、前記車載器との間で無線信号による通信を行う携帯機と、自動車の外表面部における1つのドアロック機構に近接した位置に配置された2段操作型スイッチとを備え、前記車載器は、前記2段操作型スイッチが1段操作されると、前記携帯機との間で通信を行い、その通信によって前記携帯機を認証すると、前記2段操作型スイッチに近接配置された1つのドアロック機構を解除し、続いて前記2段操作型スイッチが2段操作されると、前記1つのドアロック機構以外のドアロック機構を解除することを特徴とするパッシブキーレスエントリ。」

2.引用刊行物
原査定の拒絶の理由に引用され、本願出願前に頒布された特開2001-152716号公報(以下、「刊行物1」という。)には、図面とともに次の事項が記載されている。
(1a)「【請求項1】 車両のユーザによって携帯され、読み出し要求を含む無線信号を受信したとき、予め登録されているIDデータを含んだ無線信号を送信する携帯機と、
車両側に搭載され、車両のドアをロック、またはアンロックするときに操作されるトリガプッシュスイッチと、
車両側に搭載され、前記トリガプッシュスイッチが操作されたとき、前記読み出し要求を含む無線信号を送信するとともに、この無線信号の送信から予め設定されている所定時間以内に受信した無線信号中に、予め登録されている設定IDデータに対応するIDデータが含まれているとき、前記ドアをロック状態、またはアンロック状態にするロック/アンロック制御部と、
を備えたことを特徴とするキーレスエントリーシステム。」、
(1b)「【0026】
【発明の実施の形態】<第1の実施形態>図1は本発明によるキーレスエントリーシステムの第1の実施の形態の構成を示すブロック図である。この実施の形態は請求項1、2、8に対応している。
【0027】この図に示すキーレスエントリーシステム1aは、運転者等によって携帯され、読み出し要求を含む無線信号を受信したとき、予め設定されているIDデータを含む無線信号を送信する携帯機2と、車両側に搭載され、運転者等が簡単なボタン操作を行ったとき、携帯機2と通信を行って、ドアのロック、またはアンロックを行う車載装置3とを備えており、運転者等が携帯機2を持ったまま、車載装置3のドアロックトリガプッシュスイッチ8またはドアアンロックトリガプッシュスイッチ9を押したとき、車載装置3がウェイクアップし、携帯機2と通信を行って、IDデータを読み出し、これが予め登録されているIDデータ(設定IDデータ)と一致しているとき、ドアロックトリガプッシュスイッチ8またはドアアンロックトリガプッシュスイッチ9で指定されたドアのロック処理、ドアのアンロック処理を行う。」、
(1c)「【0029】また、車載装置3は、車両の所定部分に配置され、携帯機2と無線信号の授受を行うアンテナ7と、図2(A)、または同図(B)に示すように、車両のドアノブ近傍などに配置され、運転者等がドアをロックするときに操作されるドアロックトリガプッシュスイッチ8と、このドアロックトリガプッシュスイッチ8と並んで配置され、運転者等がドアをアンロックするときに操作されるドアアンロックトリガプッシュスイッチ9と、これらドアロックトリガプッシュスイッチ8、ドアアンロックトリガプッシュスイッチ9が操作されたとき、スリープ状態からウェイクアップし、送信回路(図示は省略する)に電源を供給して、アンテナ7から読み出し要求を含む無線信号を送信させた後、・・・受信回路(図示は省略する)に電源を供給して、アンテナ7で受信された無線信号を復調、デコードさせた後、・・・この処理で得られたIDデータが予め登録されている設定IDデータと一致していかどうかを判定する処理、この処理で携帯機2から送信された無線信号中に含まれているIDデータと設定IDデータとが一致していると判定されたとき、ロック機構(図示は省略する)を制御して、車両のドアをロック状態、またはアンロック状態にする処理などを行う車両側パッシブエントリーコントローラ10とを備えている。」
(1d)「【0047】このように、この実施の形態では、運転者等が携帯機2を持ったまま、車載装置3のドアロックトリガプッシュスイッチ8またはドアアンロックトリガプッシュスイッチ9を押したとき、車載装置3がウェイクアップし、携帯機2と交信を行って、IDデータを読み出し、これが予め登録されているIDデータ(設定IDデータ)と一致しているとき、ドアロックトリガプッシュスイッチ8またはドアアンロックトリガプッシュスイッチ9で指定されたドアのロック処理、ドアのアンロック処理を行うようにしているので、車載装置3と、携帯機2とをほぼスリープ状態に保ちながら、車載装置3と、携帯機2との間で、1回の送受信動作を行わせるだけで、通信を完了することができ、これによって待機中の消費電力、通信に要する消費電力を従来の数分の1ないし数十分の1にすることができる(請求項1、2の効果)。」、

ここで、ドアアンロックトリガプッシュスイッチ9は、ドアノブの近傍に設けられているから、1つのドアロック機構に近接した位置に配置されていることは明らかである。
したがって、これらの記載及び図面の記載によれば、刊行物1には次の発明が記載されていると認められる。
「自動車に搭載された車載装置3と、前記車載装置3との間で無線信号による通信を行う携帯機2と、自動車の1つのドアロック機構に近接した位置に配置されたドアアンロックトリガプッシュスイッチ9を備え、
前記車載装置3は、前記ドアアンロックトリガプッシュスイッチ9が操作されると、前記携帯機2との間で通信を行い、その通信によって前記携帯機2を認証すると、ドアアンロックトリガプッシュスイッチ9で指定されたドアロック機構を解除するキーレスエントリーシステム。」(以下、「刊行物1記載の発明」という。)

原査定の拒絶の理由に引用され、本願出願前に頒布された登録実用新案第3047872号公報(以下、「刊行物2」という。)には、次の事項が記載されている。
(2a)「【請求項1】 自動車ドア集中ロックにおいて、外からの解錠時に運転席のみと全てのドアとを分けて解錠できる装置。又この2段階に分けて解錠できるスイッチの作動を、直接キーを使わず遠隔操作(リモコンキー)や、暗証番号によって解錠することの出来る装置。」、
(2b)「【0001】【産業上の利用分野】
この考案は自動車ドア集中ロックにおいて、外からの解錠時に、運転席のみ解錠又は全席ドア解錠と、運転手が防犯的な解錠と機能的解錠かを選んで車に乗り込むことの出来る、自動車部品に関するものである。」、
(2c)「【0004】【課題を解決するための手段】
本考案は、・・・新たに図2の運転席ドア解錠位置まで回した時に作動する、運転席ドア解錠スイッチ4を設け、解錠を2段階に分ける。
【0005】【作用】
キー1を左に回し解錠しようとする時、図2に示す様に、半分まで回した時には、新たに接続した運転席ドア解錠スイッチ4が、作動して運転席のみが解錠され、左目一杯に回せば、全席ドア解錠スイッチ5が作動する事により、運転席を含めた全席のドアを解錠する事ができる。・・・
鍵の構造は各メーカー様々だが、本考案の目的は2段階の解錠であるため、図1に限らず、図3の様に運転席のみ解錠ボタン12を押しながらキーを回す事により運転席のみを解錠させる事もできる。
又、起動するのは電動であるため、遠隔操作(リモコンキー)や、暗証番号方式での解錠・施錠装置にも容易に応用する事ができる。」
これらの記載によれば、刊行物2には次の発明が記載されていると認められる。
「自動車ドア集中ロック装置において、キー1を左に回し解錠しようとする時、半分まで回した時には、運転席ドア解錠スイッチ4が作動して運転席のドアのみが解錠され、左目一杯に回せば、全席ドア解錠スイッチ5が作動する事により、運転席を含めた全席のドアを解錠する自動車ドア集中ロック装置。」

3.対比・判断
本願発明と刊行物1記載の発明を対比すると、刊行物1記載の発明の「車載装置3」、「キーレスエントリーシステム」は、それぞれ本願発明の「車載器」、「パッシブキーレスエントリ」に相当し、本願発明の「2段操作型スイッチ」と、刊行物1記載の発明の「ドアアンロックトリガプッシュスイッチ9」とは、「操作スイッチ」である点で共通するから、両者は、次の一致点及び相違点を有する。
[一致点]
「自動車に搭載された車載機と、車載機との間で無線信号による通信を行う携帯機と、自動車の外表面部における1つのドアロック機構に近接した位置に配置された操作スイッチとを備え、車載機は、操作スイッチが操作されると、携帯機との間で通信を行い、その通信によって前記携帯機を認証すると、ドアロック機構を解除するパッシブキーレスエントリ。」
[相違点1]
操作スイッチが、本願発明では、「2段操作型スイッチ」であるのに対し、刊行物1記載の発明では、1段操作型の「ドアアンロックトリガプッシュスイッチ」である点。
[相違点2]
本願発明1は、2段操作型スイッチが1段操作されると、車載機と携帯機との間で通信を行い、その通信によって携帯機を認証すると、2段操作型スイッチに近接配置された1つのドアロック機構を解除し、続いて2段操作型スイッチが2段操作されると、前記1つのドアロック機構以外のドアロック機構を解除するものであるのに対し、刊行物1記載の発明は、1段操作型のドアアンロックトリガプッシュスイッチが操作されると、車載機と携帯機との間で通信を行い、その通信によって携帯機を認証すると、指定されたドアロック機構を解除する」ものである点。

上記相違点1、2について検討する。
刊行物2記載の発明は、防犯のために、キー1により解錠しようとする際に、半分まで回した時には、運転席のドアのみが解錠され、目一杯に回せば、運転席を含めた全席のドアを解錠するものである。
すなわち、刊行物2記載の発明は、キーが正しいものであることが確認されると、まず運転席のドアロック機構が解除され、その後の操作で全席のドアロック機構が解除がされるものであり、さらに刊行物2には、キーの操作は遠隔操作でも良いことが記載されている。
そうすると、刊行物1記載の発明において、防犯のために、刊行物2記載の発明を適用して、携帯機を認証すると、まず運転席のドアロック機構のみが解除され、その後の操作で全席のドアロック機構が解除がされるようにすることは、当業者が容易に想到しうることである。
そして、刊行物2記載の発明において、全席のドアロック機構を解除する操作は、運転席を解錠するためのキーを回す動作をそのまま続け、キーを目一杯回すものであり、ドアロック機構を解除するためにプッシュスイッチを用いる刊行物1記載の発明に、刊行物2記載の発明を適用するに当たり、プッシュスイッチを2段操作型スイッチとし、1段操作されると、正しい携帯機の認証及び運転席のドアロック機構解除を行い、2段操作で全席のドアロック機構を解除することは当業者が容易になしうることである。

請求人は、請求の理由において、刊行物2には、1段階目、2段階目の操作において共に所定のキーを用いることが前提となっており、1段階目の回動操作により運転席ドア解錠を行い、2段階の回動操作により全ての席ドア解錠を行うことを開示しているだけであって、本願発明のように、1段階目の回動操作時に車載機と携帯機との間で通信を行い、その通信によって携帯機を認証すれば、運転席ドア解錠を行うもの、また、2段階目の回動操作時にかかる携帯機の再度の認証を行うことなく、運転席ドア以外のドアの解錠を行うものではない旨、主張する。
しかし、刊行物2記載の発明においては、正しいキーがキーシリンダに挿入されることによって回動操作が可能となるものであり、正しいキーであることを認証して運転席ドア解錠が行われているといえる。そして、2段目の回転は、正しいキーがキーシリンダに挿入されていることを前提にしているものである。
そうすると、刊行物1記載の発明において、携帯機の認証が行われた後、まず運転席ドアロック機構を解除し、正しい携帯機の使用者が操作していることを前提に2段階目の操作では、改めて認証を行うことなく、運転席ドア以外のドアの解錠を行うようにすることは当業者が容易になしうることである。
そして、本願発明の作用効果は、刊行物1及び2記載の発明から予測できる程度のものであって、格別顕著なものとはいえない。
したがって、本願発明は刊行物1及び2記載の発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

5.むすび
以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであり、他の請求項について検討するまでもなく、本願は、拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2009-07-28 
結審通知日 2009-08-04 
審決日 2009-08-17 
出願番号 特願2002-141882(P2002-141882)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (E05B)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 神 悦彦  
特許庁審判長 山口 由木
特許庁審判官 伊波 猛
草野 顕子
発明の名称 パッシブキーレスエントリ  
代理人 特許業務法人 武和国際特許事務所  
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