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審判番号(事件番号) | データベース | 権利 |
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不服20051624 | 審決 | 特許 |
不服200510192 | 審決 | 特許 |
不服200625545 | 審決 | 特許 |
不服200513958 | 審決 | 特許 |
不服200627219 | 審決 | 特許 |
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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 C07D 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 C07D |
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管理番号 | 1204732 |
審判番号 | 不服2007-21854 |
総通号数 | 119 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2009-11-27 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2007-08-08 |
確定日 | 2009-09-30 |
事件の表示 | 平成 7年特許願第278127号「治療用化合物」拒絶査定不服審判事件〔平成 8年 8月13日出願公開、特開平 8-208606〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1.手続の経緯 本願は、平成7年10月25日(パリ条約による優先権主張1994年10月27日、イギリス)の出願であって、平成18年10月12日付け拒絶理由通知書に対してその応答期間内の平成19年1月17日付けで手続補正がなされたが、その後、平成19年5月7日付けで拒絶査定がなされ、これに対して平成19年8月8日に拒絶査定に対する審判請求がされるとともに、平成19年9月7日付けで手続補正がなされたものである。 2.平成19年9月7日付け手続補正についての補正却下の決定 [補正却下の決定の結論] 平成19年9月7日付け手続補正(以下、「本件補正」という。)を却下する。 [理由] (1)本件補正後の本願発明 本件補正は、特許請求の範囲の請求項1 「式I 【化1】(式略) 「式I 【化1】(式略) [式中、Q^(1)は、4-(2-メチルスルフィニルフェニル)ピペリジノ、4-(2-オキソピペリジノ)ピペリジノまたは4-(2-オキソペルヒドロピリミジン-1-イル)ピペリジノであり; Q^(2)は水素、(1?3C)アルキル、フェニル(1?3C)アルキル、-C(=O)R2または-C(=O)NR3R4であり、ここにおいてフェニル環は、ハロ、トリフルオロメチル、ヒドロキシ、(1?3C)アルコキシ、(1?3C)アルキルおよびメチレンジオキシから独立して選択される1個または2個の置換基を有していてよいし; Q^(3)はフェニル(1?3C)アルキルであり、ここにおいてフェニル環は、ハロ、トリフルオロメチル、ヒドロキシ、(1?3C)アルコキシ、(1?3C)アルキルおよびメチレンジオキシから独立して選択される1個または2個の置換基を有していてよいし;または Q^(2)およびQ^(3)は、それらが結合している窒素と一緒にフタルイミド基を形成し; Q^(4)は、ハロ、トリフルオロメチル、ヒドロキシ、(1?3C)アルコキシ、(1?3C)アルキルおよびメチレンジオキシから独立して選択される1個または2個の置換基を有していてよいフェニルであるか;またはQ^(4)は、いずれもハロ置換基を有していてよいチエニル、イミダゾリル、ベンゾ[b]チオフェニルまたはナフチルであり;またはQ^(4)はビフェニリルであり;或いはQ4は、1位にベンジル置換基を有していてよい炭素に結合したインドリルであり; R^(2)は水素、(1?6C)アルキルまたは(1?6C)アルコキシであり;そして R^(3)およびR^(4)は独立して水素または(1?3C)アルキルである]を有する化合物;または Q^(1)のピペリジノ窒素のN-オキシド;或いは その薬学的に許容しうる塩;または Q^(1)のピペリジノ窒素が、窒素上の第四基R1が(1?4C)アルキルまたはベンジルである四価のアンモニウム窒素であり且つ結合した対イオンAが薬学的に許容しうる陰イオンであるその第四アンモニウム塩。」 を 「式I 【化1】(式略) [式中、Q^(1)は、4-(2-メチルスルフィニルフェニル)ピペリジノまたは4-(2-オキソペルヒドロピリミジン-1-イル)ピペリジノであり; Q^(2)は水素、(1?3C)アルキル、フェニル(1?3C)アルキル、-C(=O)R2または-C(=O)NR3R4であり、ここにおいてフェニル環は、ハロ、トリフルオロメチル、ヒドロキシ、(1?3C)アルコキシ、(1?3C)アルキルおよびメチレンジオキシから独立して選択される1個または2個の置換基を有していてよいし; Q^(3)はフェニル(1?3C)アルキルであり、ここにおいてフェニル環は、ハロ、トリフルオロメチル、ヒドロキシ、(1?3C)アルコキシ、(1?3C)アルキルおよびメチレンジオキシから独立して選択される1個または2個の置換基を有していてよいし;または Q^(2)およびQ^(3)は、それらが結合している窒素と一緒にフタルイミド基を形成し; Q^(4)は、ハロ、トリフルオロメチル、ヒドロキシ、(1?3C)アルコキシ、(1?3C)アルキルおよびメチレンジオキシから独立して選択される1個または2個の置換基を有していてよいフェニルであるか;またはQ^(4)は、いずれもハロ置換基を有していてよいチエニル、イミダゾリル、ベンゾ[b]チオフェニルまたはナフチルであり;またはQ^(4)はビフェニリルであり;或いはQ4は、1位にベンジル置換基を有していてよい炭素に結合したインドリルであり; R^(2)は水素、(1?6C)アルキルまたは(1?6C)アルコキシであり;そして R^(3)およびR^(4)は独立して水素または(1?3C)アルキルである]を有する化合物;または Q^(1)のピペリジノ窒素のN-オキシド;或いは その薬学的に許容しうる塩;または Q^(1)のピペリジノ窒素が、窒素上の第四基R^(1)が(1?4C)アルキルまたはベンジルである四価のアンモニウム窒素であり且つ結合した対イオンAが薬学的に許容しうる陰イオンであるその第四アンモニウム塩。」 とする補正を含むものである。 この補正は、補正前の置換基Q1の選択肢から4-(2-オキソピペリジノ)ピペリジノを削除するものであって特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当するから、さらに、本件補正後の前記請求項1に記載された発明(以下、「本件補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に適合するか)について以下検討する。 (2)独立特許要件について 請求項1に係る発明は、式(I)を有する化合物の置換基Q^(1)が4-(2-メチルスルフィニルフェニル)ピペリジノまたは4-(2-オキソペルヒドロピリミジン-1-イル)ピペリジノから選ばれるものである。 しかし、この出願の明細書には、置換基Q^(1)が4-(2-メチルスルフィニルフェニル)ピペリジノである化合物(以下、化合物群1という)については、その製造例や医薬としての特性に関するデータは記載されていないことから、化合物群1が、置換基Q^(1)が4-(2-オキソペルヒドロピリミジン-1-イル)ピペリジノである化合物(以下、化合物群2という)と、同様に製造でき、同等の活性を有するか否かが不明である。また、この出願の出願時の技術常識として、この種の特性を有する化学物質において、化合物群1と化合物群2が同等の活性を有し、置換基Q^(1)として相互に置換可能であるという技術常識が存在するものとも認められない。 そうしてみると、この出願の発明の詳細な説明は、請求項1に記載の化合物に係る発明のすべての範囲にわたって、当業者が実施することができる程度に明確かつ十分に記載されているものとは認められない。 したがって、本願は、特許法第36条第4項に規定する要件を満たしておらず、特許出願の際独立して特許を受けることができない。 (3)むすび 以上のとおり、本件補正は、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 3.本願発明について 平成19年9月7日手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1?13に係る発明は、平成19年1月17日付け手続補正書の特許請求の範囲に記載された事項により特定されるとおりのものであり、そのうち、請求項1に係る発明(以下、同項記載の発明を「本願発明」という。)は以下のものである。 「式I 【化1】(式略) [式中、Q^(1)は、4-(2-メチルスルフィニルフェニル)ピペリジノ、4-(2-オキソピペリジノ)ピペリジノまたは4-(2-オキソペルヒドロピリミジン-1-イル)ピペリジノであり; Q^(2)は水素、(1?3C)アルキル、フェニル(1?3C)アルキル、-C(=O)R2または-C(=O)NR3R4であり、ここにおいてフェニル環は、ハロ、トリフルオロメチル、ヒドロキシ、(1?3C)アルコキシ、(1?3C)アルキルおよびメチレンジオキシから独立して選択される1個または2個の置換基を有していてよいし; Q^(3)はフェニル(1?3C)アルキルであり、ここにおいてフェニル環は、ハロ、トリフルオロメチル、ヒドロキシ、(1?3C)アルコキシ、(1?3C)アルキルおよびメチレンジオキシから独立して選択される1個または2個の置換基を有していてよいし;または Q^(2)およびQ^(3)は、それらが結合している窒素と一緒にフタルイミド基を形成し; Q^(4)は、ハロ、トリフルオロメチル、ヒドロキシ、(1?3C)アルコキシ、(1?3C)アルキルおよびメチレンジオキシから独立して選択される1個または2個の置換基を有していてよいフェニルであるか;またはQ^(4)は、いずれもハロ置換基を有していてよいチエニル、イミダゾリル、ベンゾ[b]チオフェニルまたはナフチルであり;またはQ4はビフェニリルであり;或いはQ^(4)は、1位にベンジル置換基を有していてよい炭素に結合したインドリルであり; R^(2)は水素、(1?6C)アルキルまたは(1?6C)アルコキシであり;そして R^(3)およびR^(4)は独立して水素または(1?3C)アルキルである]を有する化合物;または Q^(1)のピペリジノ窒素のN-オキシド;或いは その薬学的に許容しうる塩;または Q^(1)のピペリジノ窒素が、窒素上の第四基R1が(1?4C)アルキルまたはベンジルである四価のアンモニウム窒素であり且つ結合した対イオンAが薬学的に許容しうる陰イオンであるその第四アンモニウム塩。」 4.引用例の記載事項 原査定の拒絶の理由に引用された、本願出願日前に頒布された刊行物である国際公開第94/10146号(以下、引用例Aという。;原査定の拒絶の理由において引用された引用文献4)、特開平5-186425号公報(以下、引用例Bという。;原査定の拒絶の理由において引用された引用文献5)には、各々、以下の事項が記載されている。 〈引用例Aの記載事項〉 (ア)「この発明は、新規なカルボキサミド誘導体、特に、新規なN-置換ベンズアミド誘導体に関する。当該誘導体は、ニューロキニンとして知られる内因性ニューロペプチド タキキニンの薬学的作用に拮抗する、とりわけ、ニューロキニン2(NK2)レセプターに拮抗するものである。」(第1頁第3?7行) (イ)「例8:N-[2-(3,4-ジクロロフェニル)-4-[4-(2-オキソピペリジノ)-ピペリジノ]ブチル-N-メチルベンズアミド ヒドロクロリド]」(第34頁下から第2行?末行) 〈引用例Bの記載事項〉 (ウ)「ある種の芳香族アミン化合物は、ニューロキニンレセプター拮抗物質のような有益な薬理学的性質を持っており、・・・ニューロキニン依存性の病状を治療するのに有効であることが見出だされた。従って、その第一の側面に従えば、本発明は、下記化19に示す式(I)の芳香族アミン誘導体に関する。」(段落0006、0007) (エ)表IIIには、芳香族アミン化合物の末端窒素原子に、フェニルメチル基、フェニルカルボニル基をもつ、式(I)で表される化合物が記載されている。(段落0108) 5.対比・判断 引用例Aには、ニューロキニン拮抗剤として有用な化合物が記載されており(摘記事項(ア))、その一例として、例8に、N-[2-(3,4-ジクロロフェニル)-4-[4-(2-オキソピペリジノ)-ピペリジノ]ブチル-N-メチルベンズアミド ヒドロクロリド]が記載されている。(摘記事項(イ)) 上記引用例A記載の化合物は、本願発明に係る式(I)で表される化合物の式中の符号Q^(1)=4-(2-オキソピペリジノ)-ピペリジノ,Q^(2)=1Cアルキル,Q^(4)=2個のハロ置換基を有するフェニルである点で、本願発明に係る化合物とその化学構造が一致するが、本願発明に係る化合物が同符号Q^(3)=フェニル(1-3C)アルキルであるのに対して、引用例A記載の化合物が同符号Q^(3)=フェニルカルボニルに相当する化合物であり、両者は、末端窒素原子の置換基の化学構造が異なる。 しかし、引用例Bには、芳香族アミン化合物にあって、フェニルメチル基も、フェニルカルボニル基も、ともに、引用例A記載の化合物と同じくニューロキニン拮抗作用を有する化合物を構成する置換基になりうることが記載されている。(摘記事項(エ)) そうすると、ニューロキニン拮抗作用を有する化合物を得るために、上記引用例A記載の化合物において、末端窒素原子置換基としてフェニルカルボニル基に代えてフェニルメチル基をはじめとするフェニル(1?3C)アルキルを採用することは、上記引用例A及びBに記載された発明から当業者が容易になし得たことと認める。 そして、本願化合物がQ^(3)=フェニル(1?3C)アルキルを有することにより、上記引用例A、B記載の化合物と比較して格別顕著な効果を奏するとも認められない。 6.むすび したがって、本願請求項1に係る発明は、上記引用文献A及びBに記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 よって、上記結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2009-04-15 |
結審通知日 | 2009-04-16 |
審決日 | 2009-05-21 |
出願番号 | 特願平7-278127 |
審決分類 |
P
1
8・
575-
Z
(C07D)
P 1 8・ 121- Z (C07D) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 大宅 郁治、中木 亜希 |
特許庁審判長 |
塚中 哲雄 |
特許庁審判官 |
星野 紹英 穴吹 智子 |
発明の名称 | 治療用化合物 |
代理人 | 富田 博行 |
代理人 | 増井 忠弐 |
代理人 | 千葉 昭男 |
代理人 | 小林 泰 |
代理人 | 社本 一夫 |