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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 C04B
管理番号 1204787
審判番号 不服2005-25047  
総通号数 119 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2009-11-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2005-12-27 
確定日 2009-07-30 
事件の表示 特願2001-516479「酸化添加物を含んだ酸化ジルコニウムセラミックから成る未加工品及びその使用」拒絶査定不服審判事件〔平成13年 2月22日国際公開、WO01/12132、平成15年 2月18日国内公表、特表2003-506309〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 I.手続の経緯
本願は、2000年8月16日(パリ条約による優先権主張外国庁受理1999年8月16日、ドイツ国)を国際出願日とする出願であって、平成17年4月19日に拒絶理由が発送され、同年7月12日付けで手続補正書および意見書が提出されたが、同年9月20日付け(発送:同年9月28日)で拒絶査定がなされ、これに対し同年12月27日に拒絶査定に対する審判請求がなされ、平成18年1月26日に手続補正書が提出され、平成20年6月11日に特許法第164条第3項の報告書を引用した審尋が発送され、同年9月10日に回答書が提出されたものである。

II.平成18年1月26日付け手続補正についての却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成18年1月26日付けの手続補正(以下、「本件補正」という。)を却下する。

[理由]
1.本件補正の内容
本件補正により、特許請求の範囲の請求項1乃至9のうち、請求項1は、補正前の
「【請求項1】 酸化ジルコニウムを主材としたセラミックから成る未加工品を製造するための方法であって、当該方法が、下記の製造工程:
(1)(A)91?98.4重量%の酸化ジルコニウム、
・ (B)0?3.5重量%の酸化ハフニウム、
・ (C)1.5?6.0重量%の酸化イットリウム、
・ (D)0.1?0.50重量%の、元素アルミニウム、ガリウム、ゲルマニウム、インジウムの酸化物の少なくとも1種、
・ (E)(酸化物として計算され)0?1.9重量%の着色添加剤、
〔この際、上記の重量%は、合計100とならなければならない〕
を含有する粉末又は粒状物を調製する工程、
(2)圧力を加えることによって前記粒状物又は粉末を成形し、予備成形物とする工程、及び
(3)前記予備成形物を熱処理して前記未加工品を製造する工程
を含むことを特徴とする、酸化ジルコニウムを主材としたセラミックから成る未加工品の製造方法。」
から、
「【請求項1】 酸化ジルコニウムを主材としたセラミックから成る未加工品を製造するための方法であって、当該方法が、下記の製造工程:
(1)(A)91?98.4重量%の酸化ジルコニウム、
・ (B)0?3.5重量%の酸化ハフニウム、
・ (C)1.5?6.0重量%の酸化イットリウム、
・ (D)0.1?0.50重量%の、元素アルミニウム、ガリウム、ゲルマニウム、インジウムの酸化物の少なくとも1種、
・ (E)(酸化物として計算され)0?1.9重量%の着色添加剤、
〔この際、上記の重量%は、合計100とならなければならない〕
を含有する粉末又は粒状物を調製する工程、
(2)圧力を加えることによって前記粒状物又は粉末を成形し、予備成形物とする工程、及び
(3)850℃と1000℃の間の温度にて0.5?2時間の保持時間で前記予備成形物を熱処理して前記未加工品を製造する工程
を含むことを特徴とする、酸化ジルコニウムを主材としたセラミックから成る未加工品の製造方法。」に補正された。

2.本件補正に対する判断
本件補正は、補正前の請求項1に記載した発明を特定する事項である「(3)前記予備成形物を熱処理して前記未加工品を製造する工程」を「(3)850℃と1000℃の間の温度にて0.5?2時間の保持時間で前記予備成形物を熱処理して前記未加工品を製造する工程」とするものである。セラミックの製造においての「熱処理」とは、技術常識に照らし処理温度、処理時間を含む概念といえ、そして補正前の請求項1は「酸化ジルコニウムを主材としたセラミックから成る未加工品を製造するための方法」に関するものであるから補正前の前記「(3)前記予備成形物を熱処理して前記未加工品を製造する工程」の「熱処理」は、処理温度、処理時間を含む概念といえる。してみると、補正後の請求項1は、当該「熱処理」の処理温度、処理時間を特定し限定するものとみることができるから平成14年法律第24号改正附則第2条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法17条の2第4項第2号の特許請求の範囲の限縮を目的とするものに該当する。

そこで、本件補正後の前記請求項1に係る発明(以下、「本願補正発明1」という。)が、特許出願の際、独立して特許を受けることが出来るものであるか(平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法17条の2第5項において準用する同法126条第5項の規定に適合するか)について以下に検討する。

3.引用刊行物、及びその記載事項
(1)引用刊行物、及びその記載事項
刊行物1:原査定の拒絶の理由に引用文献8として引用された、本願の優先権主張の日前に頒布された刊行物である特開平3-265565号公報
刊行物2:原査定の拒絶の理由に引用文献3として引用された、本願の優先権主張の日前に頒布された刊行物である特開平8-33650号公報
刊行物3:原査定の拒絶の理由に引用文献1として引用された、本願の優先権主張の日前に頒布された刊行物である特開平11-116328号公報
なお、原文の○の中に数字を入れる標記は当該数字を括弧にいれて記載する。

(2)刊行物1には、次の事項が記載されている。
(1a)「高靭性ジルコニア粉体に鉄,銅,コバルト,クロム,マンガン,カドミウム,テルビウム,エルビウム,ネオジム,イットリウム,プラセオジムまたはこれに類する金属の酸化物着色剤の1種または2種以上と、有機高分子系バインダー,造粒用媒体およびジルコニア粉体100重量部に対しアルミナ0.5?5重量部を添加混合粉砕後、顆粒に造粒して何等かの成形手段により成形し、仮焼,焼成して得た材料を用いることを特徴とする着色ジルコニア装飾品の製造方法。」(特許請求の範囲第1項)
(1b)「本発明方法を以下に説明する。イツトリア部分安定化された高靭性ジルコニア粉体100重量部に、上記着色用金属酸化物の1種または2種以上を添加する。着色用金属酸化物は、所望製品の色相、色の濃さに応じて予め予備テストで求められた量が添加される。さらに有機系バインダーを1?3重量部および混合用媒体として、水、エタノール等を添加する。
これにジルコニア粉体100重量部に対し、アルミナ0.5?5重量部を添加する。このアルミナ添加により製品の色の再現性及び独特の風合が保持される。」(第2頁左上欄第20行-同頁右上欄第11行)
(1c)「上記方法で得られた顆粒を用いて適宜の成形法により、棒状または板状に成形し、グリーン体に成形する。成形方法としては、プレス、上下プレス、CIP(ラバープレス)、押出法等があり、適宜の方法を選ぶことができる。
このようにして得られたグリーン体を850?1000℃で仮焼後、1500℃で本焼成する。」(第2頁左下欄第6-12行)
(1d)「[実施例]
以下、本発明方法を実施例により更に具体的に説明する。
実施例 1
容量1.5リツトルのアルミナボットミルに高靭性ジルコニア粉末1kg及び粉砕混合効果を助長をするため粒径15mmの高靭性ジルコニアボール2kg、有機高分子系バインダー 20g、酸化コバルト25.8g、アルミナ 50.2gを入れ、エタノール900m1を加えて100rpmで24時間混合、粉砕した。
このスラリーを分け取り、半乾燥状態し、これをふるいの目から押出して32メツシユふるいを全通せしめて、顆粒状物を作成した。
上記顆粒状物を油圧プレスで厚さ約2mmの板体に成形した。この際のプレス圧を2t/cm^(2)とした。
この板を24時間かけて850℃にし、14時間保持して仮焼し、更にガス炉で15時間かけて1500℃にし1.5時間保持して本焼成を行なった。
この板から、6.5mm角×1.1mm厚の板を多数切り取り、片面を鏡面研磨した。これらの板の研磨面ははいずれも同一色に揃っており、独特の美麗な青色を呈した。
この4個を田型に嵌込む金めつきした台座に両面テープで嵌込み固定を行なって鎖を付けてペンダントを作成した。」(第2頁右下欄第3行-第3頁左上欄第8行)
(1e)「高靱性ジルコニアは高い抗折力と耐摩耗性を有しているので、容易に割れ、欠け等を生じることがない。」(第1頁右欄第1-3行)

(3)刊行物2には、次の事項が記載されている。
(2a)「得られた焼結体から歯列矯正用ブラケットを加工するには、通常のダイヤモンド砥石等による研削加工法が利用できる。しかし、部分安定化ジルコニアは加工性が悪いので、焼結前の仮焼体の段階でブラケット形状に加工するか、或いは、金型成形法、押出し成形法、射出成形法等によって、ブラケット形状に近い成形体とし、これを焼結するようにするのが望ましい。」(【0035】)

(4)刊行物3には、次の事項が記載されている。
(3a)「【請求項1】 4.4?5.4重量%のY_(2)O_(3)を含むジルコニア質焼結体であって、0.1?1.5重量%のAl_(2)O_(3)及び0.03?0.5重量%のTiO_(2)を含むことを特徴とするジルコニア質焼結体。」
(3b)「b)次に、本実施例のジルコニア質焼結体の製造方法を説明する。
(1)まず、オキシ塩化ジルコニウムと塩化イットリウムと四塩化チタンとを所望の割合、即ち焼成において上述した組成となる様な原料割合で混合し、周知の共沈法、加水分解法、熱分解法、金属アルコキシド法、ゾルーゲル法、気相法等を用いて、所定量のイットリウム成分とチタン成分を含むジルコニア粉末を調整する。尚、別の方法として、(Zr、Y、Tiの)硝酸塩等を使用することもできるし、(Zr、Y、Tiの)酸化物粉末を混合しても良い。
(2)次に、前記ジルコニア粉末を仮焼した後、ボールミル等を用いて粉砕する。この粉砕に際して、本実施例のAl_(2)O_(3)の含有量(0.1?1.5重量%)となる様に、所定量のアルミナ粉末を添加する。尚、仮焼、粉砕は必要に応じて繰り返し行い、原料粉末を得る。
また、前記(1)(2),の別の方法として、アルミニウム化合物を、前記ジルコニア粉末の形成用の混合溶液の調製の際に添加しても良い。更に、TiO_(2)に関しては、前記混合溶液の調製の際にチタニウム化合物を添加せずに、このアルミナ粉末を添加する段階でTiO_(2)粉末を混合しても良い。」(【0021】-【0023】)
(3c)「(3)次に、前記原料粉末を、ラバープレス、射出成形、金型成形、押し出し成形、流し込み成形等の周知の成形法を用いて、所望の形状(例えば有底円筒状)に成形し、成形体を得る。
(4)次に、前記成形体を加熱炉にいれ、約30?100℃/時の速度で昇温し、1400?1550℃で1時間焼成して、本実施例のジルコニア質焼結体を得る。・・・この様にして製造された本実施例のジルコニア質焼結体中には、4.4?5.4重量%のY_(2)O_(3)が固溶しており、また、いわゆる第3、4成分としてAl_(2)O_(3)、TiO_(2)がそれぞれ0.1?1.5重量%、0.03?0.5重量%含まれている。」(【0024】-【0025】)
(3d)「下記表1に示す本発明の範囲内(実施例)の試料No.1,3,5,6,7、9及び本発明の範囲外(比較例)の試料No.1?7の焼結体を製造するため、表1の組成になるように、共沈法にて原料を調合後、約1000℃で仮焼し、更に、樹脂ポットにて粉砕し、比表面積5?12m^(2)/gの原料粉末を得た。」(【0027】)
(3e)「本発明は、高耐久性を備え、特に水の存在下において使用する機械部分、耐摩耗部品、切削材、スポーツ・レジャー用品、装飾品等の構造材や歯科、整形外科等の医療技術等に応用が期待されるジルコニア質焼結体に関する。」(【0001】)
(3f)「また、Al_(2)O_(3)が0.1重量%未満では、安定な焼結体を得る焼成温度範囲が狭く、高温での焼成が必要となり、1.5重量%を越えると粒子が異常粒成長を起こしやすくなる。」(【0013】)

4.対比、判断
(1)本願補正発明1について
刊行物1には記載事項(1a)の「高靭性ジルコニア粉体に鉄,銅,コバルト,クロム,マンガン,カドミウム,テルビウム,エルビウム,ネオジム,イットリウム,プラセオジムまたはこれに類する金属の酸化物着色剤の1種または2種以上と、有機高分子系バインダー,造粒用媒体およびジルコニア粉体100重量部に対しアルミナ0.5?5重量部を添加混合粉砕後、顆粒に造粒して何等かの成形手段により成形し、仮焼,焼成して得た材料を用いることを特徴とする着色ジルコニア装飾品の製造方法。」から、高靱性ジルコニア粉体、鉄,銅,コバルト,クロム,マンガン,カドミウム,テルビウム,エルビウム,ネオジム,イットリウム,プラセオジムの酸化物着色剤の1種または2種以上、有機高分子系バインダー、造粒用媒体およびジルコニア粉体100重量部に対しアルミナ0.5?5重量部を添加混合粉砕後、顆粒に造粒し、成形、仮焼,焼成するジルコニアの製造方法が記載されているといえ、記載事項(1d)の「高靭性ジルコニア粉末1kg及び・・・有機高分子系バインダー 20g、酸化コバルト25.8g、アルミナ 50.2gを入れ、エタノール900m1を加えて100rpmで24時間混合、粉砕した。」の記載から前記方法において「アルミナ0.5?5重量部」は「高靱性ジルコニア粉体」に対して添加されるものといえる。そして、造粒用媒体については仮焼成により消失するから任意的記載事項と認められる。さらに、記載事項(1c)の「上記方法で得られた顆粒を用いて適宜の成形法により、棒状または板状に成形し、グリーン体に成形する。成形方法としては、プレス、上下プレス、CIP(ラバープレス)、押出法等があり、適宜の方法を選ぶことができる。」の記載から前記製造方法における「成形」は、「顆粒」を、プレス成形するものといえ、記載事項(1c)の「このようにして得られたグリーン体を850?1000℃で仮焼後、1500℃で本焼成する。」の記載から、前記製造方法の「仮焼」は「850?1000℃」で行うものといえ、記載事項(1d)の「この板を24時間かけて850℃にし、14時間保持して仮焼し、更にガス炉で15時間かけて1500℃にし1.5時間保持して本焼成を行なった。この板から、6.5mm角×1.1mm厚の板を多数切り取り、片面を鏡面研磨した。これらの板の研磨面ははいずれも同一色に揃っており、独特の美麗な青色を呈した。」
の記載より、成形体であるグリーン体を仮焼、焼成しジルコニア成形体を製造することが記載されているといえる。
そして記載事項(1b)の「イツトリア部分安定化された高靭性ジルコニア粉体100重量部に、上記着色用金属酸化物の1種または2種以上を添加する。」の記載から前記製造方法の高靱性ジルコニア粉体はイツトリアで部分安定化されたジルコニア粉体といえる。
これら記載を、本願補正発明1の記載ぶりに則して整理すると、刊行物1には、「イツトリアで部分安定化されたジルコニア粉体、鉄,銅,コバルト,クロム,マンガン,カドミウム,テルビウム,エルビウム,ネオジム,イットリウム,プラセオジムの酸化物着色剤の1種または2種以上、有機高分子系バインダー、イツトリアで部分安定化されたジルコニア粉体100重量部に対しアルミナ0.5?5重量部を添加混合粉砕後、顆粒に造粒し、該顆粒をプレス成形しグリーン体を形成し、該グリーン体を850?1000℃の温度で仮焼後、1500℃で焼成するジルコニア成形体の製造方法」の発明(以下、「刊行物1発明」という。)が記載されていると認める。
(2)そこで刊行物1発明と本願補正発明1とを対比すると、
(I)刊行物1発明の「アルミナ」は本願補正発明1の「元素アルミニウムの酸化物」に相当する。そして本願補正発明1の「粒状物」は「酸化ジルコニウム」と「酸化イットリウム」とを含有するものである。一方刊行物1発明の「顆粒」は「イツトリアで部分安定化されたジルコニア粉体」を含有し、該「イツトリアで部分安定化されたジルコニア粉体」は成分として酸化ジルコニウムと酸化イットリウムとを含有することは明らかであるから、刊行物1発明の「顆粒」と本願補正発明1の「粒状物」とは成分として「酸化ジルコニウム」と「酸化イットリウム」とを含有する点で共通する。そして本願補正発明1の「粒状物」は「(B)0?3.5重量%の酸化ハフニウム」を含有するものであり、該酸化ハフニウムの添加量は「0」重量%の場合、すなわち添加されない場合を含むものである。一方刊行物1発明の「顆粒」は酸化ハフニウムが添加されないものであるから刊行物1発明の「顆粒」と本願補正発明1の「粒状物」とは酸化ハフニウムを含有しない点で共通するものである。そして本願補正発明1の「粒状物」の「着色添加剤」は、本願明細書【0012】の「上記組成物(1)の成分(E)は、グループPr、Er、Fe、Co、Ni、Ti、V、Cr、Cu、Mnより成る元素からの着色酸化物を意味し」の記載及び本願明細書【0032】の「表1」では「Er」を用いることから「Pr、Er、Fe、Co、Ni、Ti、V、Cr、Cu、Mnより成る元素」の酸化物の一種以上含みうるものといえる。一方刊行物1発明の「顆粒」は「鉄,銅,コバルト,クロム,マンガン,カドミウム,テルビウム,エルビウム,ネオジム,イットリウム,プラセオジムの酸化物着色剤の1種または2種以上」であり、刊行物1発明の「粒状物」と本願補正発明1の「顆粒」とでは、「鉄,銅,コバルト,クロム,マンガン」等の金属酸化物成分を含有する点も、さらに共通するものである。
(II)本願補正1発明の「粒状物を調製」は、本願明細書【0020】の「一時的な滑り-及び結合剤を用いたスプレードライ工程もまた行う」の記載から、バインダーを用いスプレードライ工程により造粒することを含むものであるといえる。そして刊行物1発明は、アルミナ等をバインダーを用い
「顆粒に造粒」するものであるから、刊行物1発明の「顆粒に造粒」することは本願補正発明1の「粒状物を調製」に包含されるものといえる。
(III)刊行物1発明の「グリーン体」は前記顆粒をプレス成形し得られるものであり、「プレス成形」に当たって圧力を加えることは明らかである。一方、本願補正発明1の「予備成形物」は「圧力を加えることによって前記粒状物又は粉末を成形」し得られるものであるから、刊行物1発明の「グリーン体」は本願補正発明1の「予備成形物」に相当するといえる。
(IV)刊行物1発明の「仮焼」は前記「グリーン体」を850?1000℃の温度で「熱処理」するものである。一方本願補正発明1は「850℃と1000℃の間の温度にて」前記予備成形物を「熱処理」するものであるから、刊行物1発明の「グリーン体」の「熱処理」と本願補正発明1の「予備成形体」の「熱処理」とは「850℃と1000℃の間の温度」で行う点で共通するといえる。
(V)本願補正発明1の「セラミック」は「850℃と1000℃の間の温度にて」「予備成形物を熱処理」することによって得られるものである。一方刊行物1発明はグリーン体を850?1000℃で仮焼していることから、グリーン体を850?1000℃で仮焼し成形体が得られることは明らかであり、刊行物1発明の当該グリーン体を850?1000℃で仮焼し得られる成形体は本願補正発明1の「セラミック」に相当するといえる。
してみると、刊行物1発明と本願補正発明1とは
「(1)酸化ジルコニウム、酸化イットリウム、アルミニウムの酸化物、着色添加剤を成分として含有する粒状物を調製する工程、
(2)圧力を加えることによって前記粒状物を成形し、予備成形物とする工程、及び
(3)850℃と1000℃の間の温度にて前記予備成形物を熱処理する工程
を含むセラミックの製造方法。」
の点で一致し以下の(ア)乃至(カ)の点で相違する。
(ア)酸化ジルコニウム及び酸化イットリウムの添加量に関し、本願補正発明1は前者が「91?98.4重量%」、後者が「1.5?6.0重量%」であるのに対し、刊行物1発明は特定がない点。
(イ)本願補正発明1は、「(酸化物として計算され)0?1.9重量%」の着色添加剤を含有する粒状物であるのに対して、刊行物1発明は「酸化物着色剤」の添加量の規定のない点。
(ウ)本願補正発明1は、「0.1?0.50重量%の、元素アルミニウムの酸化物」を含有する粒状物であるのに対して、刊行物1発明は「イツトリアで部分安定化されたジルコニア粉体100重量部に対しアルミナ0.5?5重量部」を含んだ顆粒である点。
(エ)本願補正発明1は850℃と1000℃の間の温度にて「0.5?2時間の保持時間」で前記予備成形物を熱処理するのに対して、刊行物1発明は保持時間の規定のない点。
(オ)本願補正発明1は、「酸化ジルコニウムを主材としたセラミック」であるのに対して、刊行物1発明は当該記載のない点。
(カ)本願補正発明1は、「予備成形物を熱処理して」「未加工品」を製造するのに対して刊行物1発明には該記載のない点。

5.当審の判断
(5-1)上記相違点(ア)-(カ)を検討するに当たって、まず、下記に掲げる従来技術を検討する。
従来技術1:特開平2-74562号公報
上記従来技術1には、次の(a)-(d)の事項が記載されている。
(a)「部分安定化ジルコニアを800?1000℃において仮焼結を行ない、最終形状に加工後、本焼結を行なうことを特徴とした部分安定化ジルコニアの加工方法。」(特許請求の範囲)
(b)「[実施例」
ZrO_(2) 93.5wt%、 Y_(2)O_(3) 5.3wt%のY安定化ジルコニアの粉体を1.5t/cm^(3)で静水圧圧縮成形し、900℃、2時間常圧仮焼結後、脱バインダー処理し、8φ×14mmに円筒加工した。加工はレジンボンドダイヤ砥石によりセンターレス加工機で実施した。」(第1頁右欄20行-第2頁左上欄第6行)
(c)「従来部分安定化ジルコニアの加工方法として、・・・焼結後に加工する方法が採用されてきたが、・・・、常圧焼結後では靭性が高くなり加工に長時間要するため生産性が低く、実用的でない欠点があった。」(第2頁右欄第2-8行)
(d)「部分安定化ジルコニアは常温において、非常に高い靭性、曲げ強度を有し、近年この特色を生かして光フアイバーコネクター、キャピラリー、セラミックペン、ハサミ、ナイフ、カッティングツール等エンジニアリングセラミックスとして応用され、またバイオセラミックスとして人工歯根等への用途が検討されている。」(第1頁左欄第14-20行)

ここで従来技術1について検討すると、記載事項(a)の「部分安定化ジルコニアを800?1000℃において仮焼結を行ない、最終形状に加工後、本焼結を行なう」の記載より、従来技術2には部分安定化ジルコニアを800?1000℃において仮焼結を行ない、最終形状に加工後、本焼結を行なうジルコニア焼結体の製造方法が記載されているといえ、さらに記載事項(b)の「ZrO_(2) 93.5wt%、 Y_(2)O_(3) 5.3wt%のY安定化ジルコニアの粉体を1.5t/cm^(3)で静水圧圧縮成形し、900℃、2時間常圧仮焼結」より、前記製造方法は、ZrO_(2) 93.5wt%、 Y_(2)O_(3) 5.3wt%のY安定化ジルコニアの粉体を圧粉成形した成形体を900℃、2時間で仮焼結した後に最終形状に加工後、本焼結を行なう方法といえる。そして記載事項(c)の「常圧焼結後では靭性が高くなり加工に長時間要するため生産性が低く、実用的でない欠点があった。」の記載から、焼結前に加工する前記方法により生産性が向上することが記載されているといえ、記載事項(d)の「部分安定化ジルコニアは常温において、非常に高い靭性2曲げ強度を有し」の記載から、部分安定化ジルコニアの焼結体は高い靱性、強度を有するものといえる。

相違点(ア)について
刊行物1発明の「イットリアで部分安定化されたジルコニア粉末」は、記載事項(1a)の「イツトリア部分安定化された高靭性ジルコニア粉体」の記載、(1e)の「高靱性ジルコニアは高い抗折力と耐摩耗性を有しているので、容易に割れ、欠け等を生じることがない。」の記載より、イットリアで部分安定化されたジルコニア粉末より得られるジルコニア焼結体は抗折力、耐摩耗性の大きいものといえる。そして靱性の大きい部分安定化ジルコニア焼結体を得るための、部分安定化ジルコニア粉体として、ZrO_(2) 93.5wt%、Y_(2)O_(3) 5.3wt%程度含有するものは周知技術といえる(従来技術1記載事項(b)、(d)等参照)。してみれば、刊行物1発明において、酸化ジルコニウム及び酸化イットリウムの添加量をZrO_(2) 93.5wt%、Y_(2)O_(3) 5.3wt%程度とすることは当業者が容易に想到し得ることである。

相違点(イ)について
記載事項(1b)の「着色用金属酸化物は、所望製品の色相、色の濃さに応じて予め予備テストで求められた量が添加される。」の記載より、刊行物1発明の「酸化物着色剤」は「所望製品の色相、色の濃さ」に応じて添加量が設定されるものといえる。そしてジルコニア質焼結体は耐摩耗部品、装飾品、歯科、整形外科等の医療技術等に用いられることは周知技術である(必要であれば刊行物3記載事項(3a)等参照)。してみれば刊行物1発明のジルコニア成形体において、所望の「色相」、「色の濃さ」を得るべく着色剤の添加量を設定することは当業者が適宜なし得る設計的事項である。また「着色添加剤」の添加量による効果も予想し得る程度のものである。

相違点(ウ)
「相違点(ア)」で論じたように刊行物1発明の「イツトリアで部分安定化されたジルコニア粉体」は酸化ジルコニウム及び酸化イットリウムの添加量をZrO_(2) 93.5wt%、Y_(2)O_(3) 5.3wt%程度のものを含むものといえる。そして刊行物1発明は「イツトリアで部分安定化されたジルコニア粉体100重量部に対しアルミナ0.5?5重量部」添加するものであるから、成分としてみるとZrO_(2) 93.5wt%、Y_(2)O_(3) 5.3wt%に対しアルミナ0.5?5重量部程度含有させるものといえる。してみれば成分としてみると刊行物1発明と本願補正発明1とはアルミナの含有量「0.5」重量部の点で重複するものといえアルミナの添加量の点で相違するものともいえない。また仮にアルミナの添加量の点で相違するものとしても記載事項(1a)の「アルミナ添加により製品の色の再現性及び独特の風合が保持される。」の記載より、刊行物1発明において、アルミナの添加により「風合」等が得られるものといえる。してみれば所望の「風合」を得るべくアルミナの添加量を調整することは当業者が適宜なし得る設計的事項である。そして、ジルコニア焼結体に酸化アルミニウムを0.1?1.5重量%添加することにより安定な焼結体が得られること、低温焼結が可能となることは周知の技術的事項であり(必要であれば刊行物3記載事項(3b)、特開平4-342460号公報【0008】等参照)、アルミナ添加の効果も従来事術より予想し得る程度のものである。

相違点(エ)について
ジルコニア焼結体の成形体を製造する方法において、ジルコニア粉体の加圧成形体を900℃で2時間程度仮焼結した後に、加工し本焼結することは、例えば従来技術1に記載のように周知技術であり、刊行物1発明において、仮焼結時間を従来の方法に用いられる時間に設定してみることは当業者が容易に想到し得ることである。

相違点(オ)について
前記「相違点(ア)」乃至「相違点(エ)」で論じたように刊行物1発明の酸化ジルコニウム、酸化イットリウム、酸化アルミニウムの添加量に関し、本願補正発明1の範囲とすることは当業者が容易に想到しうることであり、原料組成と焼結体の組成とはほぼ重複することは明らかであるから、酸化ジルコニウムの組成が多いことを発明特定事項として、「酸化ジルコニウムを主材としたセラミック」とすることは当業者が容易に想到し得ることである。

相違点(カ)について
刊行物1発明は、記載事項(1d)の「この板を24時間かけて850℃にし、14時間保持して仮焼し、更にガス炉で15時間かけて1500℃にし1.5時間保持して本焼成を行なった。この板から、6.5mm角×1.1mm厚の板を多数切り取り、片面を鏡面研磨した。」の記載から、刊行物1発明は仮焼成、本焼成後にジルコニアの加工を要するものといえる。そしてジルコニア焼結体を加工する際には、ジルコニア粉末成形体を仮焼結後、加工して本焼結することは周知の技術事項である(必要であれば刊行物2記載事項(2a)等参照)。してみれば、刊行物1発明のジルコニアが仮焼成形体等の段階で加工することを記載して本願補正発明1の発明特定事項とすることは当業者が容易に想到し得ることである。

また審判請求人は平成18年2月13日付け審判請求書補正書において、「前記引用文献2?8に記載された焼結体についても、これらはいずれも1200?1600℃程度の高温での焼結によって得られたものであり、本願発明の製法によって製造される未加工品(予備成形物を850?1000℃程度の温度で熱処理して得られたもの)は、これら引用文献のいずれにも開示も示唆もされていない。よって、当然のことながら、前記引用文献2?8には、このような未加工品の製法を開示又は示唆する記載は一切存在していない。」と主張するが、前述のとおり刊行物1、刊行物2には仮焼結体が記載されているものであるから請求人の主張は採用できない。

したがって本願補正1発明は、上記刊行物1及び周知慣用技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際、独立して特許を受けることができないものである。

6.「平成18年1月16日付け手続補正についての却下の決定」のむすび
以上のとおり、平成18年1月16日付けで提出された手続補正書によりなされた補正は、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法17条の2第5項において準用する同法126条第5項の規定に違反してなされたものであるから、同補正は、特許法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

III.本願発明について
平成18年1月16日付けで提出された手続補正書によりなされた補正は上記の通り却下されたので、本願の請求項1に係る発明は、平成17年7月12日付けで提出された手続補正書により特定される、以下の通りのものである。
「【請求項1】 酸化ジルコニウムを主材としたセラミックから成る未加工品を製造する
ための方法であって、当該方法が、下記の製造工程:
(1)(A)91?98.4重量%の酸化ジルコニウム、
・ (B)0?3.5重量%の酸化ハフニウム、
・ (C)1.5?6.0重量%の酸化イットリウム、
・ (D)0.1?0.50重量%の、元素アルミニウム、ガリウム、ゲルマニウム、インジウムの酸化物の少なくとも1種、
・ (E)(酸化物として計算され)0?1.9重量%の着色添加剤、
〔この際、上記の重量%は、合計100とならなければならない〕
を含有する粉末又は粒状物を調製する工程、
(2)圧力を加えることによって前記粒状物又は粉末を成形し、予備成形物とする工程、
及び
(3)前記予備成形物を熱処理して前記未加工品を製造する工程
を含むことを特徴とする、酸化ジルコニウムを主材としたセラミックから成る未加工品の製造方法。
」(以下「本願発明1」という。)

IV.引用刊行物、及びその記載事項
刊行物3:原査定の拒絶の理由に引用文献1として引用された、本願の優先権主張の日前に頒布された刊行物である特開平11-116328号公報
刊行物3には、前記「II」「3.引用刊行物、及びその記載事項」「(1)」「(3a)」乃至「(3f)」の事項が記載されている。

V.対比、判断
(1)本願発明1について
刊行物3には、記載事項(3d)の「表1に示す本発明の範囲内(実施例)の試料No.1,3,5,6,7、9及び本発明の範囲外(比較例)の試料No.1?7の焼結体を製造するため、表1の組成になるように、共沈法にて原料を調合後、約1000℃で仮焼し、更に、樹脂ポットにて粉砕し、比表面積5?12m^(2)/gの原料粉末を得た」の記載より、共沈法により原料粉末を製造するものといえ、記載事項(3d)の「所定量のイットリウム成分とチタン成分を含むジルコニア粉末を調整する。尚、別の方法として、(Zr、Y、Tiの)硝酸塩等を使用することもできるし、(Zr、Y、Tiの)酸化物粉末を混合しても良い。・・・。この粉砕に際して、本実施例のAl_(2)O_(3)の含有量(0.1?1.5重量%)となる様に、所定量のアルミナ粉末を添加する。」の記載、同じく「また、前記,の別の方法として、アルミニウム化合物を、前記ジルコニア粉末の形成用の混合溶液の調製の際に添加しても良い。」の記載から、アルミニウム、イットリウム、チタン及びジルコニウムを含有する原料粉末を製造することが記載されている。そして記載事項(3c)の「前記原料粉末を、ラバープレス、射出成形、金型成形、押し出し成形、流し込み成形等の周知の成形法を用いて、所望の形状(例えば有底円筒状)に成形し、成形体を得る。 次に、前記成形体を加熱炉にいれ、約30?100℃/時の速度で昇温し、1400?1550℃で1時間焼成して、本実施例のジルコニア質焼結体を得る。」の記載から、前記原料粉末をプレス成形し成形体を得た後に、該成形体を焼成しジルコニア質焼結体を得る方法が記載されているといえる。そして記載事項(3c)の「この様にして製造された本実施例のジルコニア質焼結体中には、4.4?5.4重量%のY_(2)O_(3)が固溶しており、また、いわゆる第3、4成分としてAl_(2)O_(3)、TiO_(2)がそれぞれ0.1?1.5重量%、0.03?0.5重量%含まれている。」の記載、及びAl_(2)O_(3、)Y_(2)O_(3)の融点は焼結温度より低いことから焼結体中のAl_(2)O_(3、)Y_(2)O_(3)、TiO_(2)の存在量は原料粉末に存在するAl_(2)O_(3)、Y_(2)O_(3)、TiO_(2)の量にほぼ等しいといえる。これらのことを本願発明の記載に則して整理すると、「共沈法により4.4?5.4重量%のY_(2)O_(3)、0.1?1.5重量%のAl_(2)O_(3)、0.03?0.5重量%のTiO_(2)及びジルコニアを含有する原料粉末を製造し、該原料粉末をプレス成形し成形体を製造し、該成形体を焼成するジルコニア質焼結体の製造方法」(以下「刊行物3発明」という。)が記載されている。

(2)そこで、本願発明1と刊行物3発明とを対比すると、
(I)刊行物3発明の「Y_(2)O_(3)」、「Al_(2)O_(3)」、「ジルコニア」は、本願発明1の「酸化イットリウム」、「元素アルミニウムの酸化物」、「酸化ジルコニウム」にそれぞれ相当する。
(II)本願発明1の「(酸化物として計算され)0?1.9重量%の着色添加剤」の「着色添加剤」は、本願明細書【0012】の「成分(E)は、グループPr、Er、Fe、Co、Ni、Ti、V、Cr、Cu、Mnより成る元素からの着色酸化物を意味し」の記載より、Tiの酸化物を含むものといえることから、刊行物3発明の「TiO_(2)」は本願発明1の「着色添加剤」に相当するといえる。そして刊行物3発明の「原料粉末」は「4.4?5.4重量%のY_(2)O_(3)」、「0.1?1.5重量%のAl_(2)O_(3)」、「0.03?0.5重量%のTiO_(2)」を含有するするものである。一方本願発明1の「粉末」は「1.5?6.0重量%の酸化イットリウム」、「0.1?0.50重量%」の「元素アルミニウムの酸化物」、「(酸化物として計算され)0?1.9重量%の着色添加剤」を含むものであるから、刊行物3発明の「原料粉末」と本願発明1の「粉末」とは、「酸化イットリウム」、「元素アルミニウムの酸化物」、「着色添加剤」の含有量の点で重複するものである。
(III)本願発明1の「(B)0?3.5重量%の酸化ハフニウム」は酸化ハフニウムの添加量が「0」の場合を含むものである。一方刊行物1発明は酸化ハフニウムが添加されないものであるから刊行物3発明と本願補正発明1とは酸化ハフニウムを含有しない点で重複するものである。そして刊行物3発明の「原料粉末」中の「ジルコニア」成分は、「Y_(2)O_(3)」、「Al_(2)O_(3)」、「TiO_(2)」を除く量含有することは明らかであるから、刊行物3発明の「ジルコニア」成分は、「原料粉末」100重量部から「4.4重量」部のY_(2)O_(3)、「0.1重量」部のAl_(2)O_(3)、「0.03重量」部のTiO_(2)を除した値を百分率で表した値と100重量部から「5.4重量」部のY_(2)O_(3)、「1.5重量」部のAl_(2)O_(3)、「0.5重量」部のTiO_(2)を除した値を百分率で表した値の間の値を取るものであるから、刊行物3発明の「原料粉末」において、「ジルコニア」は92.6?95.47重量%含有されるものといえる。一方本願発明1は「91?98.4重量%の酸化ジルコニウム」であるので、刊行物3発明の「ジルコニア」と本願発明1の「酸化ジルコニウム」とは含有量の点で重複するものである。
(IV)刊行物3発明の「原料粉末をプレス成形し成形体を製造」は「原料粉末」に圧力を加え成形体とするものであるから、本願発明1の「圧力を加えることによって前記粉末を成形し、予備成形物とする」ことに相当する。
(V)刊行物3発明の「成形体を焼成」における「焼成」は加熱処理であることから、本願発明1の「予備成形物を熱処理」することに相当するといえる。そして本願発明1の「酸化ジルコニウムを主材としたセラミック」は、「酸化ジルコニウムを主材としたセラミックから成る未加工品」であり、「未加工品」は、「予備成形物を熱処理」し得られるものである。さらに前述のとおり刊行物3発明の「成形体を焼成」は、本願発明1の「予備成形物を熱処理」といえるから、刊行物3発明の「ジルコニア質焼結体」は、本願発明1の「酸化ジルコニウムを主材としたセラミック」に相当する。
してみると、本願発明1と刊行物3発明とは
「(1)(A)92.6?95.47重量%の酸化ジルコニウム、
・ (C)4.4?5.4重量%の酸化イットリウム、
・ (D)0.1?0.50重量%の、元素アルミニウムムの酸化物
・ (E)(酸化物として計算され)0.03?0.5重量%の着色添加剤、を含有する粉末を調製する工程、
(2)圧力を加えることによって粉末を成形し、予備成形物とする工程、
(3)前記予備成形物を熱処理し酸化ジルコニウムを主材としたセラミックとする工程
を含む酸化ジルコニウムを主材としたセラミックの製造方法。」
の点で一致し、以下の(キ)の点で相違する。
(キ)本願発明1は「未加工品」の製造方法であるのに対して、刊行物3発明は何の製造方法に係るものか記載のない点

VI.当審の判断
・相違点(キ)について
刊行物3の記載事項(3e)の「本発明は、高耐久性を備え、特に水の存在下において使用する機械部分、耐摩耗部品、切削材、スポーツ・レジャー用品、装飾品等の構造材や歯科、整形外科等の医療技術等に応用が期待されるジルコニア質焼結体に関する。」の記載から、刊行物3発明のジルコニア質焼結体は装飾品等の構造材、歯科材料に用いられるものといえる。またジルコニア質焼結体に切削加工等を施して用いることは本願出願前周知の技術的事項といえる(必要であれば前記刊行物1の記載事項(1d)、拒絶査定時に引用文献4として用いられた特開平6-128032号公報【0025】等参照)。してみれば刊行物3発明において、装飾品等の構造材として用いる加工前のジルコニア焼結体をその後加工すること、すなわち、刊行物3発明において製造したジルコニア質焼結体を未加工品とすることは当業者が容易に想到し得ることである。

VII.審判請求人の主張について
審判請求人は平成17年7月12日付け意見書第2頁第35行?第3頁第11行で以下の主張をしている。
・本願発明の製法にて得られる未加工品は、高密度でない予備焼結された未加工品であって、当該未加工品は引用文献1?8記載に記載も示唆もされていない。
当該主張について検討すると、本願発明1の「未加工品」は予備焼結されたもののみではなく、本焼結をしたものを含むといえ、この本焼結したもの、すなわち焼結体を加工することは、上述のとおり当業者が容易に想到し得ることであるから審判請求人の主張は採用できない。

VIII.むすび
以上の通り、本願発明1は、刊行物3に記載された発明及び周知慣用技術に基づいて当業者が容易に発明をすることが出来たものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることが出来ないものである。
したがって、その余の請求項について論及するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論の通り審決する。
 
審理終結日 2009-03-03 
結審通知日 2009-03-04 
審決日 2009-03-17 
出願番号 特願2001-516479(P2001-516479)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (C04B)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 武重 竜男松浦 新司  
特許庁審判長 松本 貢
特許庁審判官 木村 孔一
大工原 大二
発明の名称 酸化添加物を含んだ酸化ジルコニウムセラミックから成る未加工品及びその使用  
代理人 特許業務法人みのり特許事務所  
代理人 武石 靖彦  
代理人 村田 紀子  

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