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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H04M
管理番号 1204930
審判番号 不服2007-17072  
総通号数 119 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2009-11-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2007-06-19 
確定日 2009-10-08 
事件の表示 特願2002-163675「携帯端末装置」拒絶査定不服審判事件〔平成16年 1月15日出願公開、特開2004- 15250〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯・本願発明
本願は,平成14年6月5日に特許出願したものであって,特許請求の範囲の請求項1に係る発明(以下,「本願発明」という。)は,平成19年3月5日付け手続補正書により補正された明細書及び図面の記載からみて,その特許請求の範囲の請求項1に記載された以下のとおりのものと認める。

(本願発明)
「ビデオカメラを有する携帯端末装置であって,前記ビデオカメラから得られる話者の唇の動きやその形状の映像を解析して文字情報及び(または)音声情報に変換する画像解析手段と,前記画像解析手段の活性制御をなす制御キーとを含むことを特徴とする携帯端末装置。」

2.引用例
これに対して,原査定の拒絶理由に引用された特開2000-68882号公報(以下,「引用例」という。)には,「無線通信装置」の発明に関し,図面とともに以下の事項が記載されている。
イ.「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は無線通信装置に関し,特に読唇機能を備えた無線通信装置に関する。」(2頁左欄25行?27行)
ロ.「【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり,公共の場所においても,マナーを守りつつ電話によるコミュニケーションをとることを可能とする無線通信装置を提供することを目的とする。」(2頁左欄41行?46行)
ハ.「【0018】以下,本発明の実施の形態について,添付図面を参照して詳細に説明する。図1は,本発明の一実施の形態に係る無線通信装置の構成を示すブロック図である。図1において,CPU101は無線通信装置全体を制御する。3Dカメラ102は,人の口唇状態を撮像する。画像認識部103は,3Dカメラ102で撮像された画像を認識し,画像解析部104は,メモリ106に格納された口唇部形状データベースに基づいて認識された画像を解析する。知的変換部105は,音声データで構成される文脈から単語を学習し,それ以後文脈に応じてその単語が使用できるかどうかを判断する。
【0019】アンテナ107は,音声メッセージや文字メッセージに対応する信号の送受信を行ない,無線部108は,受信信号をベースバンド信号に変換すると共に,ベースバンド信号を送信信号に変換する。無線制御部109は,前記無線部108の制御を行なう。この無線制御部109は,CPU101により制御される。」(3頁左欄4行?20行)
ニ.「【0022】次に,図1及び図2を用いて,上記構成を有する無線通信装置の動作について説明する。まず,サイレント状態で文字メッセージにより通信を行なう場合について説明する。公共の場所で着信した場合,無線制御部109により無線部108が制御されてアンテナ107から信号を受信する。
【0023】このとき,無線通信装置本体202に設けられたモード切替スイッチ203でサイレントモードに切り替える。これにより,通常の通話モードからサイレントモードに切り替わり,文字メッセージによる通話が可能となる。・・・(中略)・・・。
【0024】(略)
【0025】文字メッセージを送信する場合,人201が声を出さずに話をするように口を動かす。この口の動きを2つの3Dカメラ205で撮像して口唇部の形状を捕らえる。・・・(中略)・・・。
【0026】撮像された口唇部の形状のデータは,画像認識部103に送られて画像認識され,メモリ106にあらかじめ格納されている口唇部形状データベースから対応する音声データと参照され,どの音声データであるかが解析される。なお,口唇部形状データベースは,あらかじめ使用者の口唇部形状と音声データとを対応させて作成しておく。・・・(中略)・・・。
【0027】解析された音声データは,文字メッセージとして無線制御部109及び無線部108で無線制御されてアンテナ107を介して送信される・・・(中略)・・・。」(3頁左欄34行?右欄33行)
ホ.「【0032】・・・(中略)・・・また,本発明の無線通信装置を用いることにより,難聴者などのように通常の会話が困難である者のコミュニケーションを可能とする。」(4頁左欄9行?13行)
ヘ.「【0033】
【発明の効果】以上説明したように本発明の無線通信装置は,人の口唇の形状に対応する音声データを格納する格納手段と,人の口唇の形状の画像を解析して前記画像に対応する音声データを前記格納手段から抽出する抽出手段と,抽出された音声データを送信する送信手段と,を具備するので,公共の場所においても,マナーを守りつつ電話によるコミュニケーションをとることを可能とする。」(4頁左欄14行?22行)

上記記載,及びこの分野の技術常識によれば,引用例には,以下の発明(以下,「引用発明」という。)が開示されているものと認められる。
「3Dカメラを有する無線通信装置であって,サイレントモード時に,人の口の動きを前記3Dカメラで撮像して口唇部の動きやその形状を捕らえ,この口唇部の形状データを画像認識する画像認識部と,メモリにあらかじめ格納されている口唇部形状データベースから対応する音声データと参照し,前記認識画像がどの音声データであるかを解析する画像解析部と,通常の通話モードとサイレントモードを切り替えるモード切替スイッチとを含む無線通信装置。」

3.対比
本願発明と引用発明とを対比する。
イ.引用発明は,「3Dカメラを有する無線通信装置」であり,前記「無線通信装置」は,図2の記載から明らかなように携帯可能な構造を有しているから,カメラがビデオカメラであるとの明記がない点を除き,「カメラを有する携帯端末装置」である点で本願発明と一致する。
ロ.引用発明は,「サイレントモード時に,人の口の動きを前記3Dカメラで撮像して口唇部の動きやその形状を捕らえ,この口唇部の形状データを画像認識する画像認識部と,メモリにあらかじめ格納されている口唇部形状データベースから対応する音声データと参照し,前記認識画像がどの音声データであるかを解析する画像解析部」を含むから,「前記カメラから得られる話者の唇の動きやその形状の映像を解析して音声情報に変換する画像解析手段」を含む点で,本願発明と一致する。
ハ.引用発明は,「通常の通話モードとサイレントモードを切り替えるモード切替スイッチ」を含み,前記モード切替スイッチは制御キーといえるから,該制御キーが「前記画像解析手段の活性制御をなす制御キー」である点を除き,「制御キー」を含む点で本願発明と一致する。
したがって,本願発明と引用発明は,一応,以下の点で一致ないし相違する。

(一致点)
「カメラを有する携帯端末装置であって,前記カメラから得られる話者の唇の動きやその形状の映像を解析して音声情報に変換する画像解析手段と,制御キーと,を含む携帯端末装置。」

(相違点1)
本願発明は,カメラが「ビデオカメラ」であるのに対して,引用発明は,「3Dカメラ」である点。

(相違点2)
本願発明は,制御キーが「前記画像解析手段の活性制御をなす制御キー」であるのに対して,引用発明は,「モード切替スイッチ」である点。

4.判断
そこで,まず,相違点1について検討する。
引用発明においても,(口)唇(部)の動きを取得していることからして,引用発明中の「3Dカメラ」を,動きを直接的に捉えられる周知のビデオカメラとする程度のことに格別な創意工夫を要するとはいえない。
次に,相違点2について検討する。
例えば,特開平4-7924号公報(4頁左上欄2行?9行等参照),特開平11-112611号公報(段落0020等参照)に記載されているように,各種機能手段を有する電話装置において,前記機能手段を活性化する制御キーは周知と認められるから,引用発明において,制御キー(モード切替スイッチ)を「前記画像解析手段の活性制御をなす制御キー」とする程度のことは,当業者が容易になし得ることである。

そして,本願発明の効果は,引用発明,及び周知技術から当業者が容易に予測し得るものであって,格別のものではない。

5.むすび
以上のとおり,本願発明は,引用発明,及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものと認められるから,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

よって,結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2009-08-03 
結審通知日 2009-08-04 
審決日 2009-08-27 
出願番号 特願2002-163675(P2002-163675)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (H04M)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 西脇 博志  
特許庁審判長 山本 春樹
特許庁審判官 柳下 勝幸
新川 圭二
発明の名称 携帯端末装置  
代理人 木村 明隆  
代理人 浅井 俊雄  
代理人 机 昌彦  

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