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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A63F
管理番号 1205588
審判番号 不服2008-535  
総通号数 120 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2009-12-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2008-01-09 
確定日 2009-10-14 
事件の表示 特願2002-128246「遊技施設の表示装置」拒絶査定不服審判事件〔平成15年11月11日出願公開、特開2003-320154〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1.手続の経緯
本願は、平成14年4月30日の出願であって、平成19年9月10日付の拒絶理由通知に対して同年11月14日付で手続補正がなされ、これに対し、同年12月4日付で拒絶査定がなされ、これに対し、平成20年1月9日付で拒絶査定不服の審判が請求されるとともに同月30日付で手続補正(明細書の、【発明の詳細な説明】に属する段落の一部)がなされたものであり、その請求項1に係る発明は、平成19年11月14日付手続補正書により補正された明細書及び図面の記載からみて、特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定されるものと認められるところ、その請求項1に記載された発明(以下、「本願発明」という。)は、以下のとおりである。

「【請求項1】 パチンコ遊技台が配備されたパチンコ遊技ゾーン(X)とスロットマシン遊技台が配備されたスロットマシン遊技ゾーン(Y)を備え、かつ前記各異種遊技ゾーンにおいてさらに複数の異なる景品交換率を有する異交換率遊技ゾーン(Xa,Xb,Yc,Yd)を備えた遊技施設において、
前記各異交換率遊技ゾーン(Xa,Xb,Yc,Yd)の各遊技台(21,31,41,51)の勝敗情報を含む遊技台情報データ(22,32,42,52)を、各ゾーンを管理するゾーンコンピュータ(23,33,43,53)によってコンピュータデータとして取り出して集計して各ゾーンデータ(24,34,44,54)として計算処理し、次いで前記各ゾーンデータを集中管理コンピュータ(60)によって集計し統一データとして計算管理するとともに、前記勝敗情報の特定上位の各遊技台の台番、大当たり回数、差球又は差コイン数、機種の遊技台情報を選び出し、リアルタイムで、表示パネル(11,12,13,14,15)に表示するようにしたことを特徴とする遊技施設の表示装置。」


第2.引用例に記載の発明・技術
第1引用例:特開平11-4955号公報
第2引用例:実用新案登録第3014506号公報
第3引用例:特開平6-91051号公報
第4引用例:特開2001-162025号公報
第5引用例:特開平11-19327号公報


(1)原査定の拒絶理由に引用された、平成11年1月12日に頒布された刊行物である第1引用例(特開平11-4955号公報)には、以下の事項が図面とともに記載されている。
(ア)「【0024】この景品交換システムは、遊技機島50の近くに配設された計数機10と、カウンタに配設された景品交換装置20と、監視室に配設された管理コンピュータ30とが、光ファイバー等の通信媒体40によって通信可能に接続されている。」(第4頁5欄28?32行)
(イ)「【0025】今、説明の都合上、計数機10を1台配設したように図示しているが、実際には、換金率の異なる遊技機や遊技機島毎に計数機10を複数台配設しておけばよい。」(第4頁5欄33?36行)
(ウ)「【0027】なお、図5に示すように発行されるチケット100には、パチンコ機であるかまたはスロットマシンであるかを示す情報、・・・計数部11に対して予め定められていて換算値を特定する情報(換算値特定情報)となるチケッタ機器番号、および、計数部11での計数結果である獲得遊技媒体数、を含む情報が記憶されている。」(第4頁5欄41?47行)
(エ)「【0031】また、図7は、換算値ファイル180を示したものであって、計数機10に予め設定されていて換算値を特定する換算値特定情報となるチケッタ機器番号と、その換算率とが対応付けて記憶されている。図7に示す例では、チケッタ機器番号「001」、「002」、「003」の夫々に対して換算値「0.8」、「1.0」、「1.6」が対応付けられている。この例では、換金率2.5円を基準レート(換算値1.0)としていて、チケッタ機器番号「001」は、換算値を0.8として、換金率2.0円での遊技を行った結果獲得した遊技媒体を計数する計数機、チケッタ機器番号「003」は、換算値を1.6として、換金率4.0円での遊技を行った結果獲得した遊技媒体を計数する計数機であり、チケッタ機器番号「002」は、換算値を基準レートの1.0として、換金率2.5円での遊技を行った結果獲得した遊技媒体を計数する計数機である。」(第4頁6欄27?42行)
(オ)「【0065】なお、以上説明してきた各実施の形態においては、パチンコ機による遊技を例にとって説明してきたが、スロットマシーン等の他の遊技機、即ち、獲得した遊技媒体を換金可能な遊技機に対して適用可能であることは言うまでもない。」(第7頁11欄18?22行)
(カ)「【0070】・・・景品交換装置は、貯玉指示コマンドが与えられると、換算処理結果を顧客識別子とともに管理コンピュータに送信し、管理コンピュータは送られてきた情報を貯玉情報としてデータベースに格納するので、換金率が一定に設定されていないホールであっても貯玉処理を行うことが可能となる。」(第7頁11欄49行?12欄6行)

上記(ア)?(カ)の記載及び図面によれば、第1引用例には、以下の発明(以下、「第1引用例に記載の発明」という。)が記載されている。
「換金率2.0円の遊技を行った結果獲得した遊技媒体を計数する計数機、換金率2.5円の遊技を行った結果獲得した遊技媒体を計数する計数機、換金率4.0円の遊技を行った結果獲得した遊技媒体を計数する計数機を、換金率の異なる遊技機島毎に配設し、それらの計数機と管理コンピュータとが通信可能に接続されているホール。」

(2)原査定の拒絶理由に引用された、平成7年5月31日に頒布された刊行物である第2引用例(実用新案登録第3014506号公報)には、以下の事項が図面とともに記載されている。
(ア)「【0006】【実施例】 以下図面について、本願の実施例を詳述すると、、図1は、ホールの床面上に立設されて横方向に延びる取付台1の前後面に、多数の遊技盤2,2,・・を並設した島Bの一部を傾斜面で示したものであり、前記遊技盤2,2,・・の上部位置には幕板3が設けてあり、この幕板3を利用してその島における各遊技盤2,2,・・の成績情報を表示した本願の成績情報装置Aが設置されている。」(第8頁最下行?第9頁6行)
(イ)「【0007】 図2は、本願遊技盤の成績情報表示装置Aの正面図を示し、この成績情報表示装置Aは、横長方形状の表示パネル4のほぼ左半部にその島の同一側面に設置した遊技盤本例ではNo.1?No.25(但し4と9を有する数字は省略する)計20台の遊技盤の成績情報を表示する成績表示欄5を、また表示パネル4のほぼ右半部には、前記成績表示欄5で表示した当該島の同一側面に設置した遊技盤2,2,・・のうち、特に成績の優秀な遊技盤を複数選択して、その優秀な遊技盤の順にその番号表示する優秀台表示欄6をそれぞれ備えている。」(第9頁7?14行)
(ウ)「【0008】 前記成績表示欄5は、各遊技盤2,2,・・の番号をその配列順序に従って縦列した番号表示部7と、その右位置にそれぞれ対応して4桁で表示する4個の小間から成る当日のドラム回転数乃至デジタル表示部切換の累積回数を表示するスタート回数表示部8と、その右位置にそれぞれ対応して順次配置された各遊技盤の当日,前日及び前々日の入賞回数を2桁で表示するそれぞれ2個の小間から成る入賞回数表示部9とから成り、本例では遊技盤番号No.1からNo.12とNo.13からNo.25とに分割して成績表示欄5を2列に構成した場合を示しており、図3で示すように、島の一方の側面に配置された遊技盤の番号がNo.1からNo.25であり、他方の側面に配置された遊技盤の番号がNo.26からNo.60であるときは、他方の側面における成績表示欄5は、No.26からNo.38とNo.39からNo.60とに分割した2列構成から成る。」(第9頁15?26行)
(エ)「【0014】 しかして、パチンコホールの店側においては、従来と同様に、当該ホールに設置している全てのスロットマシン機構を備えたパチンコ遊技盤における当日、前日及び前々日を含む「フイーバー」,「ラッキー」,「ノーパンク」の入賞状態は、備付けのコンピュータに記憶されており、この記憶されている入賞状態の情報にもとづいて各島毎に設けた表示パネルに配置したスタート回数表示部、入賞回数表示部及び優秀台表示欄にそれぞれ数字表示する。
一方客は、各島毎に設けてある表示パネルに表示されている各遊技盤の成績情報により判断して使用する遊技盤を選択する。」(第11頁6?14行)

(3)原査定の拒絶理由に引用された、平成6年4月5日に頒布された刊行物である第3引用例(特開平6-91051号公報)には、以下の事項が図面とともに記載されている。
(ア)「【0001】【産業上の利用分野】本発明は、パチンコ店内でパチンコ機の情報を客に常に報知できるようにしたパチンコ機の出玉情報表示装置に関する。」(第2頁1欄14?16行)
(イ)「【0007】図1は表示部の正面図を示し、該表示部Aには、「本日のパチンコ台の出玉数」として、1位から10位までの順位の欄1と、パチンコ機の台番の欄2と、それぞれの出玉数を表示できる出玉数の欄3とを設け、店内の全てのパチンコ機に接続するコンピュータにより、数分となる所定時間おきに、刻々と台番と出玉数を表示できるようにして構成する。」(第2頁1欄46行?2欄6行)
(ウ)「【0008】図2および図3は他の実施例を示し、各パチンコ島Eを装備した店内ホールCに2台の表示部Aを配備するが、該表示部Aには、前日の総差玉数、フィーバ回数、打止め回数などの情報を表示できる情報表示面4を並設し、事務所D内の入力装置5、ホールコンピュータ6、CPUに両表示部Aを接続したものである。また、図4はさらに別の実施例を示し、各パチンコ島Eにおける各パチンコ機Bに前記表示部Aを装備し、各パチンコ機Bの上方に装備する押しボタン7のランプ8が点滅したり、表示部Aの1位の欄が派手に点滅するようにして構成したものである。」(第2頁2欄7?12行)

(4)原査定の拒絶理由に引用された、平成13年6月19日に頒布された刊行物である第4引用例(特開2001-162025号公報)には、以下の事項が図面とともに記載されている。
(ア)「【0051】図1に示す遊技情報表示システムは、パチンコ機、パチスロ機等の遊技機が設置される遊技店において、ランキング情報等の遊技情報を表示し、遊技情報を遊技店の客に報知するためのものである。この遊技情報表示システムは、遊技情報を表示するための表示装置2と、表示装置2に表示させる表示遊技情報をユーザー(例えば遊技店店員)に設定させるなどのための表示遊技情報設定装置1を備えている。ユーザーは、表示遊技情報設定装置1を用いて表示装置2に表示する遊技情報(表示遊技情報)を設定することができる。」(第9頁15欄17?26行)
(イ)「【0059】表示装置2においては、CPU等を含む制御部24が通信部21を介して受信した表示遊技データ等をデータメモリ25に一旦記録する。制御部24は、このデータメモリ25上の表示遊技データ及び表示環境データに基づき、表示遊技情報設定装置1において設定された遊技情報を表示部22に表示させる。表示駆動部23が表示部22を駆動することで、表示部22は遊技情報を表示する。制御部24は、システムメモリ26内のシステムソフトウェアを実行することで、データメモリ25上の表示遊技データ及び表示環境データに基づき、表示駆動部23を介して表示部22に遊技情報を表示させる。」(第9頁16欄50行?第10頁17欄11行)
(ウ)「【0060】表示装置2の表示部22は、本例では、六つの表示素子221?226を含んでいる(図1参照)。」(第10頁17欄12?14行)
(エ)「【0061】上側五つの表示素子221?225は、本例では、遊技機のランキング情報を表示することに用いられる。・・・表示装置2においては、表示素子221?225が表示するランキング情報画面は所定時間ごとに切り換えられ、表示素子221?225は全部で四つのランキング情報画面(第1?第4ランキング情報画面)を表示する。第1?第4ランキング情報画面は、図3?図5に示すように、第1ランキング情報画面WR1→第2ランキング情報画面WR2→第3ランキング情報画面WR3→第4ランキング情報画面WR4→第1ランキング情報画面WR1・・・、と所定時間ごとに順に切り換えられる。」(第10頁17欄19?32行)
(オ)「【0062】・・・表示装置2は、本例では、表示遊技情報設定装置1において表示環境情報の一つとして設定されるランキング分割数に応じて、第1?第4ランキング情報画面で次の(a)?(c)に示す情報を表示する。なお、表示遊技情報設定装置1においては、ランキング分割数を1、2又は4に設定できる。
(a)ランキング分割数=1のとき
表示装置2は、設定されたランキング分割数が1のときには、第1?第4ランキング情報画面WR1?WR4で、所定ランキングにおける第1位?第20位までの遊技機情報を表示する(図3参照)。」(第10頁17欄33行?18欄5行)
(カ)「【0064】各ランキング情報画面において、各表示素子221?225はそれぞれ所定順位の遊技機情報を表示している。各表示素子は先頭にランキング順位を表示している。各表示素子は、ランキング順位に続けて、遊技機番号(台の番号、いわゆる台番)、遊技機機種名(本例では、パチンコ機の機種名)、獲得数(本例では、獲得玉数)を順に表示している。・・・。
(b)ランキング分割数=2のとき
表示装置2は、設定されたランキング分割数が2のときには、第1?第4ランキング情報画面WR1?WR4で、所定第1ランキングにおける第1位?第10位までの遊技機情報を表示するとともに、所定第2ランキングにおける第1位?第10位までの遊技機情報を表示する(図4参照)。」(第10頁18欄6?23行)
(キ)「【0066】第1、第2ランキング情報画面WR1、WR2は、獲得玉数ランキングにおける第1位?第5位、第6位?第10位の遊技機情報をそれぞれ表示している。また、第3、第4ランキング情報画面は、獲得コイン数ランキングにおける第1位?第5位、第6位?第10位の遊技機情報をそれぞれ表示している。・・・。
(c)ランキング分割数=4のとき
表示装置2は、設定されたランキング分割数が4のときには、第1ランキング情報画面WR1で所定第1ランキングにおける第1位?第5位までの遊技機情報、第2ランキング情報画面WR2で所定第2ランキングにおける第1位?第5位までの遊技機情報、第3ランキング情報画面WR3で所定第3ランキングにおける第1位?第5位までの遊技機情報、第4ランキング情報画面WR4で所定第4ランキングにおける第1位?第5位までの遊技機情報を表示する(図5参照)。」(第10頁18欄31?48行)
(ク)「【0068】このように表示装置2は、設定されたランキング分割数に応じて、ランキング分割数が1のときは所定の一つのランキング情報(本例ではパチンコ機の前日の獲得数に関する第1位?第20位のランキング情報一つ)を、ランキング分割数が2のときは所定の二つのランキング情報(第1位?第10位のランキング情報二つ、本例ではパチンコ機、パチスロ機それぞれの前日の獲得数ベスト10に関する情報)を、ランキング分割数が4のときは所定の四つのランキング情報(第1位?第5位のランキング情報四つ、本例ではパチンコ機の機種毎の前日の獲得数のベスト5の情報)を表示する。」(第11頁19欄12?22行)

(5)原査定の拒絶理由に引用された、平成11年1月26日に頒布された刊行物である第5引用例(特平11-19327号公報)には、以下の事項が図面とともに記載されている。
(ア)「【0015】【発明の実施の形態】[全体システム1]次に、本発明の実施の形態を図面を参照しながら説明する。図1は、本発明の遊技用表示装置をパチンコホールに適用した場合のシステム全体を示す機能ブロック図である。パチンコホール1には、複数の遊技機10が背中合わせに配置されて島を構成し、この遊技機設置島2、3…でパチンコホール全体が構成されている。」(第3頁4欄4?12行)
(イ)「【0019】図1には遊技機設置島3内の機能ブロック図を示している。各遊技機(本例ではパチンコ機であり、パチンコ機ともいう。)10に対応して、台管理装置11が遊技機設置島3内に設けられている。台管理装置11は、遊技機10からの種々の遊技データ、カードユニット12から貸玉情報、及び個人認識情報を入力インターフェースを通して取得し、台管理装置11内部のメモリに記憶しておくためのものである。」(第3頁4欄39?46行)
(ウ)「【0021】遊技データ(遊技情報ともいう。)には、補給玉数、打込玉数、磁石検出信号、電波検出信号、大当たり信号、確率変動信号等が含まれる。なお、補給玉数、打込玉数は、パチンコ機10に配置された補給信号、打込信号のカウント値から求められる。台管理装置11には、文字データ又は図形データを出力する表示出力端子が設けられている。表示出力端子からパチンコ機ごとの、打止回数、特賞回数、出玉率等の情報をパチンコ機10あるいはパチンコ機10近傍の表示装置(図示せず)に文字や図形として表示もできる。」(第4頁5欄5?14行)
(エ)「【0022】客がその遊技データに基づいて遊技機10を選択することができれば、パチンコホール1は客へのサービスを向上させることができる。台管理装置11の回路、機能については本出願人が既に提案した(特開平8-336661号等参照)ので、その詳細な説明は省略する。台管理装置11の前記遊技データは、バス方式の通信ケーブル15を介してそれぞれのパチンコ機10の遊技データを収集し、島管理装置16に送られる。」(第4頁5欄15?22行)
(オ)「【0023】島管理装置16は、各遊技データを収集し、必要に応じて集計等の加工を行い、島管理装置16の内部のメモリに記憶しておく。また、島管理装置16は、出玉表示部(島表示器)51にそれぞれの側の遊技機10の合計の出玉数に関する情報を送り、この情報により出玉表示部51は、それに応じて島の出玉数の表示を行う(図17参照)。島管理装置16の前記遊技データは、出玉集計装置5にバス方式の通信ケーブル4により接続されているので、この通信ケーブル4を介して収集される。」(第4頁5欄23?32行)
(カ)「【0024】出玉集計装置5は、複数の島管理装置16からそれぞれの島に対応するパチンコ機10の遊技データを収集する。図1は出玉集計装置5に専用のコンピュータを使用した例であったが、図2はホール管理コンピュータを出玉集計装置5aとして用いた例の機能ブロック図である。ホール管理コンピュータ5aには、店出玉表示装置6や店出玉表示器9に直接表示するための機能がないため、特別仕様である表示データ変換装置20に表示に必要な遊技データを送信する。表示データ変換装置20は、その遊技データを店出玉表示装置6および店出玉表示器9が表示可能なように遊技データを変換するためのものである。」(第4頁5欄33?44行)
(キ)「【0025】[出玉集計装置5]図3は、出玉集計装置5の詳細を示す機能ブロック図である。各島管理装置16からの遊技データは、通信用インターフェースを介して取り入れられる。CPU26は、種々のデータ処理を行うための中央演算処理装置である。」(第4頁5欄45?49行)
(ク)「【0032】図4は、出力情報作成プログラム43により表示される内容を選択するときの表示手段30の画面である。この表示画面により、店出玉表示装置6に表示するための「表示内容」を選択により設定する。この選択は、例えば表示を反転させて行う。設定1、設定2、及び設定3の何れか一つ以上を選択すると、選択された内容が店出玉表示装置6、及び換金所8の店出玉表示器9に表示される。設定1は、出玉数として「差数」を設定するものであり、「差数」とは遊技機設置島2、又は遊技機設置島3からそれに設置された遊技機10に供給された玉数である補給玉数から、遊技者が遊技を行うことにより、遊技機10に打ち込んだ玉数である打込数を引いた数である。」(第5頁7欄4?16行)
(ケ)「【0033】設定2は、出玉数として「持玉数」を設定するものであり、前記補給数と売上げ玉数である貸玉数を加え、この加えたものから更に打込数を引いたものである。」(第5頁7欄17?20行)
(コ)「【0044】[遊技情報入力演算処理(S4)]図8の「遊技情報入力演算処理」は、各島管理装置16から遊技情報を読み込み、かつ出玉数の加算処理等の演算処理を行うためのプログラムである(S4)。「遊技情報入力演算処理」(S4)がスタートすると、通信用インターフェースはアドレスデコード回路からの信号により、特定の島管理装置16を選択して遊技情報を送る命令信号を送信しポーリング時間間隔設定のためのタイマーをスタートさせる(SB1-SB2)。」(第6頁9欄10?18行)
(サ)「【0045】島管理装置16から遊技情報が送られると、出玉集計装置5内のRAM29、固定ディスク装置31内に遊技情報、及び出玉情報が記憶される(SB4-SB5)。遊技情報の返信がないときは、所定時間経過するまで待つ(SB5)。前回も同様に情報の返信がないのであれば、エラーである旨の警報を発した後にRAM29内のエラーのためのフラッグをリセットする(SB7-SB8)。」(第6頁9欄19?26行)
(シ)「【0046】最初のエラーであれば、リトライのためにフラッグを立てた後ステップSB3に戻す。正常にデータを取り込んだときは、次の島管理装置16から遊技データを取り込むためにアドレスに1を加算して(SB8-SB11)、次の島管理装置16からの遊技データを順次取り込む。」(第6頁9欄27?32行)
(ス)「【0047】[順位判定処理(S5)]図9(a)の「順位判定処理」(S5)は、個人別、又は遊技機別に出玉数により順位を判定するためのプログラムである。「順位判定処理」(S5)がスタートすると、予め設定された時間を読み出し、内蔵されているクロックと比較して予め設定した順位を表示する時間(図6参照)であるか、否かを判断する(SC1-SC3)。表示時間であれば、出玉情報を固定ディスク装置31内の所定のデータ記憶領域47から拾い出す。」(第6頁9欄33?41行)
(セ)「【0048】この複数の遊技者別の出玉データを比較して、上位順に順位を並べる(SC5)。出玉データとは前記したように、「判定種類」(図5参照)が設定されており、差玉数、持玉数、又は大当り回数の中から何れか一つ以上を選択して順位判定のための「判定種類」が選択され設定されている。更に、前記したように、「期間種類」(図6参照)が設定されており、「所定時間に確定(個人毎)」、「所定時間に確定(遊技機通算)」、「所定値到達で確定」、又は「営業時間中」が選択され設定されている。」(第6頁9欄42行?10欄1行)
(ソ)「【0049】選択された前記「判定種類」の設定と前記「期間種類」の設定内容にしたがって、収集、集計された出玉情報を大きさの順序に従って並べ換える操作、すなわちソーティングする。ソーティングを行うアルゴリズムは数多く知られているので、それについては詳記しない。この後、順位データを店出玉表示装置6の表示形式に合致するようにデータを処理し、順位表示フラッグをセットする(SC6-SC7)。次に、例えば、あるパチンコホールの確定時間が20時であるとすれば、この時間であるか否かを判断する(SC8)。」(第6頁10欄2?11行)
(タ)「【0052】[表示情報出力処理(S7)]図10、及び図11は、「表示情報出力処理」(S7)のためのフロー図であり、前記各プログラムで処理されたデータを店出玉表示装置6に表示するためのプログラムである。予め設定された表示時間を固定ディスク31のデータ記憶領域47から読み出す(SE1)。まだ順位を確定させる時間ではないが予め設定された表示時間に達していれば(SE2)、予め設定された到達個数、すなわち特典を与える出玉数を読み出し、更に出玉情報を前記した「出玉情報演算記憶処理」(SB6)の結果から読み出す(SE3,SE5)。」(第6頁10欄33?43行)
(チ)「【0056】[店出玉表示装置6の表示例]」(第7頁11欄25行)
(ツ)「【0060】図14(b)は、パチンコホールの休み、新装開店、レディースデー等の遊技情報以外のホール情報を表示した例である。図15(a)は、確定していない途中の順序を表示した表示例である。この表示例では、順位、パチンコの台番、名前、出玉数を表示したものであり、17時現在の成績順を示し、当日の確定時間は20時であることを表示している。」(第7頁12欄17?23行)
(テ)「【0061】図15(b)は、確定した最終順序を表示した表示例である。この表示例では、順位、パチンコ機の台番、名前、出玉数を表示したものであり、17時現在の成績順を示し、当日の確定時間は17時であることを表示している。図16は、図15(a)の表示と同一内容をカーレースになぞらえて表示した例である。数値表示のみの場合と違って、パチンコ台別の順序と出玉数の違いが瞬時に理解できる表示例である。」(第7頁12欄24?31行)

上記(ア)?(テ)の記載及び図面によれば、第5引用例には、以下の発明(以下、「第5引用例に記載の発明」という。)が記載されている。
「複数の遊技機10が背中合わせに配置されて島を構成したパチンコホール1において、台管理装置11が、補給玉数、打込玉数、大当たり信号等を含む各遊技機10の遊技データを収集し、島管理装置16が、前記台管理装置11から前記遊技データを収集し、必要に応じて集計等の加工を行って記憶し、出玉集計装置5が、複数の前記島管理装置16からそれぞれの前記島に対応する前記遊技機10の前記遊技データを収集してデータ処理を行い、遊技機別に、差玉数、大当り回数等の出玉データの中から何れか一つ以上を選択し、比較して上位順に順位を並べて表示し、順位、遊技機10の台番も表示する店出玉表示装置6。」


第3.本願発明と第1引用例に記載の発明との対比
(1)本願発明と第1引用例に記載の発明とを対比すると、第1引用例に記載の発明の「換金率」、「遊技機島」、「管理コンピュータ」、「ホール」は、それぞれ、本願発明の「景品交換率」、「遊技ゾーン」、「集中管理コンピュータ」、「遊技施設」に相当する。

(2)上記第2.の(1)の(ウ)に摘記した事項によれば、第1引用例には、計数機が発行するチケットに「パチンコ機であるかまたはスロットマシンであるかを示す情報」を記憶することが記載されており、このことから、第1引用例に記載の発明における遊技機としては、パチンコ機(本願発明の「パチンコ遊技台」に相当する。)とスロットマシン(本願発明の「スロットマシン遊技台」に相当する。)の両者を含むものが想定されていることが当業者にとって自明である。また、異なる遊技媒体(球、コイン)を使用するパチンコ機とスロットマシンとがそれぞれ別の遊技機島に配置されることは、きわめて一般的であって、第1引用例に記載されているに等しい事項である。さらに、第1引用例に記載の発明の「遊技機島」が本願発明の「遊技ゾーン」に相当することは、上記(1)に示したとおりである。
そうすると、第1引用例に記載の発明は、実質的に、本願発明の「パチンコ遊技台が配備されたパチンコ遊技ゾーンとスロットマシン遊技台が配備されたスロットマシン遊技ゾーン」に対応する構成を備えたものである。

(3)第1引用例に記載の発明は、「換金率2.0円の遊技を行った結果獲得した遊技媒体を計数する計数機、換金率2.5円の遊技を行った結果獲得した遊技媒体を計数する計数機、換金率4.0円の遊技を行った結果獲得した遊技媒体を計数する計数機を、換金率の異なる遊技機島毎に配設し」たものであり、前記「換金率」、「遊技機島」が、それぞれ、本願発明の「景品交換率」、「遊技ゾーン」に相当することは上記(1)に示したとおりであるから、第1引用例に記載の発明が、実質的に、「複数の異なる景品交換率を有する異交換率遊技ゾーン」を備えたものであることは明らかである。そして、上記(2)に説示したように、第1引用例に記載の発明は、実質的に、本願発明の「パチンコ遊技台が配備されたパチンコ遊技ゾーンとスロットマシン遊技台が配備されたスロットマシン遊技ゾーン」に対応する構成を備えたものであり、また、上記第2.の(1)の(オ)に摘記した事項によれば、第1引用例に記載された各実施の形態が、パチンコ機に限らず、スロットマシーン等の他の遊技機に対しても適用可能であるとされているのだから、前記「複数の異なる景品交換率を有する異交換率遊技ゾーン」を、前記「パチンコ遊技台が配備されたパチンコ遊技ゾーン」と「スロットマシン遊技台が配備されたスロットマシン遊技ゾーン」の各々に設けることも想定されたものであることは、当業者にとって自明である。

(4)そうすると、本願発明と第1引用例に記載の発明とは、
「パチンコ遊技台が配備されたパチンコ遊技ゾーンとスロットマシン遊技台が配備されたスロットマシン遊技ゾーンを備え、かつ前記各異種遊技ゾーンにおいてさらに複数の異なる景品交換率を有する異交換率遊技ゾーンを備えた遊技施設において、集中管理コンピュータを用いる」点で一致し、以下の点で相違する。

<相違点A>本願発明が、「各異交換率遊技ゾーンの各遊技台の勝敗情報を含む遊技台情報データを、各ゾーンを管理するゾーンコンピュータによってコンピュータデータとして取り出して集計して各ゾーンデータとして計算処理し、次いで前記各ゾーンデータを集中管理コンピュータによって集計し統一データとして計算管理する」構成を備えたものであるのに対し、第1引用例に記載の発明は、前記構成を備えたものではない点。
<相違点B>本願発明が、「前記勝敗情報の特定上位の各遊技台の台番、大当たり回数、差球又は差コイン数、機種の遊技台情報を選び出し、リアルタイムで、表示パネルに表示する」ようにした「表示装置」を構成として備えているのに対し、第1引用例に記載の発明は、前記構成を備えたものではない点。


第4.判断
(1)相違点についての判断

<相違点A>について
上記第2.の(5)に説示したように、第5引用例(特開平11-19327号公報)に記載の発明は、「複数の遊技機10が背中合わせに配置されて島を構成したパチンコホール1において、台管理装置11が、補給玉数、打込玉数、大当たり信号等を含む各遊技機10の遊技データを収集し、島管理装置16が、前記台管理装置11から前記遊技データを収集し、必要に応じて集計等の加工を行って記憶し、出玉集計装置5が、複数の前記島管理装置16からそれぞれの前記島に対応する前記遊技機10の前記遊技データを収集してデータ処理を行」う構成を備えたものである。 上記第5引用例に記載の発明の前記構成について検討するに、第5引用例に記載の発明の「島」、「補給玉数、打込玉数、大当たり信号等を含む各遊技機10の遊技データ」、「島管理装置16」、「遊技データを収集し、必要に応じて集計等の加工を行って記憶し」、「出玉集計装置5が、複数の前記島管理装置16からそれぞれの前記島に対応する前記遊技機10の前記遊技データを収集してデータ処理を行」うことは、それぞれ、本願発明の「ゾーン」、「各遊技台の勝敗情報を含む遊技台情報データ」、「各ゾーンを管理するゾーンコンピュータ」、「コンピュータデータとして取り出して集計して各ゾーンデータとして計算処理し」、「各ゾーンデータを集中管理コンピュータによって集計し統一データとして計算管理する」に実質的に相当するから、第5引用例に記載の発明は、「各ゾーンの各遊技台の勝敗情報を含む遊技台情報データを、各ゾーンを管理するゾーンコンピュータによってコンピュータデータとして取り出して集計して各ゾーンデータとして計算処理し、次いで前記各ゾーンデータを集中管理コンピュータによって集計し統一データとして計算管理する」構成(以下、「構成A」という。)を含むものであるということができる。

遊技機の島によるゾーンを形成したものである点及び集中管理コンピュータを用いる点では第1引用例に記載の発明と同様である第5引用例に記載の発明に含まれる上記構成Aを、上記第1引用例に記載の発明に適用することを発想すること、及び、その適用の際に、上記第1引用例に記載の発明における「ゾーン」の中では最小の単位である「異交換率遊技ゾーン」を選択することは、当業者にとって格別想到困難なものではない。

<相違点B>について
上記第2.の(5)に説示したように、第5引用例(特開平11-19327号公報)に記載の発明は、上記<相違点A>についての判断で説示した点に加えて、「遊技機別に、差玉数、大当り回数等の出玉データの中から何れか一つ以上を選択し、比較して上位順に順位を並べて表示し、順位、遊技機10の台番も表示する店出玉表示装置6」の構成を備えたものである。 上記第5引用例に記載の発明の前記構成について検討するに、第5引用例に記載の発明の「遊技機別に」、「大当り回数」、「差玉数」、「出玉データ」、「何れか一つ以上を選択し」、「店出玉表示装置6」は、それぞれ、本願発明の「各遊技機台の」、「大当たり回数」、「差球又は差コイン数」、「遊技台情報」、「選び出し」、「遊技施設の表示装置」に実質的に相当し、また、直接の記載はないものの、「店出玉表示装置6」が出玉データの表示のための「表示パネル」を有することは当業者にとって自明であるから、第5引用例に記載の発明は、「前記勝敗情報の各遊技台の台番、大当たり回数、差球又は差コイン数の遊技台情報を選び出し、表示パネルに表示する遊技施設の表示装置」の構成(以下、「構成B」という。)を実質的に備えたものであるということができる。
また、ランキング情報等の遊技情報を遊技店の客に報知する表示装置において、遊技機番号と併せて「機種」も表示することは、本願出願前における周知技術(以下、「周知技術A」という。)であり、例えば、上記第4引用例(特開2001-162025号公報)に記載されるとおりである。
さらに、遊技施設における遊技台の勝敗情報の表示装置における表示を、「特定上位」の遊技台情報について行うことや、「リアルタイム」に行うことは、本願出願前の周知技術(以下、「周知技術B」という。)であり、例えば、上記第2引用例(実用新案登録第3014506号公報)や上記第3引用例(特開平6-91051号公報)に記載されるとおりである。

遊技機の島によるゾーンを形成したものである点及び集中管理コンピュータを用いる点では第1引用例に記載の発明と同様である第5引用例に記載の発明が備える上記構成Bを、上記第1引用例に記載の発明に適用することを発想すること、及び、その適用の際に、表示内容(表示項目、表示範囲、タイミング)について、上記周知技術A並びにBを採用することは、当業者にとって想到容易である。


そうすると、第1引用例に記載の発明に、第5引用例に記載の発明並びに周知技術A及びBを適用して、上記相違点A及びBに係る本願発明の構成の如くすることは、当業者にとって容易に想到し得るものであるといわざるを得ない。


(2)本願発明の作用効果の検討
本願発明の作用効果は、第1引用例に記載の発明、第5引用例に記載の発明並びに周知技術A及びBに基づいて、当業者が当然予測できるものである。

(3)むすび
したがって、本願発明は、第1引用例に記載の発明、第5引用例に記載の発明並びに周知技術A及びBに基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。


第5.むすび
以上のとおり、本願発明は、第1引用例に記載の発明、第5引用例に記載の発明並びに周知技術A及びBに基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2009-07-03 
結審通知日 2009-07-14 
審決日 2009-08-05 
出願番号 特願2002-128246(P2002-128246)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (A63F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 澤田 真治  
特許庁審判長 小原 博生
特許庁審判官 森 雅之
小林 俊久
発明の名称 遊技施設の表示装置  
代理人 後藤 憲秋  

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