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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 B62B |
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管理番号 | 1205612 |
審判番号 | 不服2008-32266 |
総通号数 | 120 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2009-12-25 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2008-12-22 |
確定日 | 2009-10-14 |
事件の表示 | 特願2004-44760「運搬車両」拒絶査定不服審判事件 〔平成17年9月2日出願公開、特開2005-231553号〕 について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1.手続の経緯、本願発明 本願は平成16年2月20日の特許出願であって、平成20年12月3日付けで拒絶査定がなされ、この査定を不服として、同年12月22日に本件審判の請求をしたものである。 そして、本願の各請求項に係る発明は、平成20年8月6日提出の手続補正書によって補正された特許請求の範囲の請求項1,2に記載された事項によって特定されるものと認められるところ、そのうち、請求項1に係る発明(以下「本願発明」という)は、次のとおりである。 「【請求項1】 物を載置可能とする運搬車両本体と、この運搬車両本体に支承されてこの運搬車両本体を路面上に支持可能とする前、後車輪とを備えた運搬車両において、 前記運搬車両本体の前、後車輪間のほぼ中央部寄りの部位に取り付けられた支持体と、 この支持体に前記運搬車両本体の前、後方向に回動可能な車軸支持板を介して取り付けられた前記運搬車両本体を上下方向に移動させることができる補助車輪と、 この補助車輪を前、後方向に回動させる前記運搬車両本体の側部部位に前後方向に回動可能に取り付けられた操作部、この操作部に連結される連結部、この連結部に一端部が連結され他端部が前記補助車輪の車軸に回転可能に取り付けられたリンク部とからなる駆動機構とを備えたことを特徴とする運搬車両。」 2.引用例及びその記載事項 原査定の拒絶の理由に引用された本願出願前に頒布された刊行物である特開平7-242176号公報(以下「引用例1」という)には、運搬用台車と題して、以下の事項が記載されている。 なお、下記記載中における下線は、当審で加入したものである。 「【0001】 【産業上の利用分野】この発明は、方形パレットの両端部および中間部の下方に、夫々、車輪を設けてなる運搬用台車、即ち六輪台車に関する。」 「【0010】 中間部の腕片に設けられた車輪は、車輪を昇降させる操作杆が、方形パレットの起伏を介して操作可能に設けるのが、保管作業の際の操作性の点で好ましいが、手や足による手動切換で昇降させるようにすることもできる。」 「【0022】 運搬用台車1を使用する場合には、起立状態のパレット2を回動させて底フレーム6上に伏せるようにする。パレット2を伏せて行くと、パレット2の下面が操作杆17の先端部17aの側壁に当接し、操作杆17を図3に鎖線で図示した状態に倒すので、固定車輪5が同図中に鎖線で示したように降下し、接地面5aが自在車輪4の接地面4aより下方の位置となり、小回り性能の良い六輪台車となるものである。」 「【0023】 固定車輪5の昇降を実施例のように回動ブロック15を介して行なうと、上昇又は降下の状態(特に降下状態)を維持し、パレット2の起伏方向の揺動によって固定車輪5の昇降状態が変化しないようにできる。然し乍ら、固定車輪5の昇降機構は実施例の構造に限定されない。昇降板14に垂直に棒状の操作杆を立設し、操作杆の先端をパレットの下面で直接押下する構造や、操作杆17に相当する操作レバーを手又は足で操作可能に設けて、人為的に操作する構造等、他の構成とすることもできる。」 そして、上記の下線を付与した部分の記載を参照すると、パレット2の起伏動作と連係して操作杆17を操作するのが操作性の点で好ましいが、手や足による手動切換で昇降させるようにすることもできるとあり、この記載によると、すなわち、(パレット2の起伏動作とは無関係に)操作杆17に相当する操作レバーを手又は足で(遠隔で)操作可能に設けて、人為的に操作する構造を採用することもできる旨のことが示唆されているとみることができる。 そうすると、図面とともに、上記摘記事項及び検討事項を総合すると、引用例1には、 「物を載置可能とする運搬用台車の荷台枠部分3a、3b、6と、この運搬用台車の荷台枠部分に支承されてこの運搬用台車の荷台枠部分を路面上に支持可能とする前、後の自在車輪4,4とを備えた 運搬用台車1において、 前記運搬用台車の荷台枠部分の前、後自在車輪間のほぼ中央部寄りの部位に取り付けられた腕片10と、 この腕片10に運搬用台車の荷台枠部分の上下方向に移動可能な固定車輪5の車軸支持板を介して取り付けられた前記運搬用台車の荷台枠部分を上下方向に移動させることができる固定車輪5と、 この固定車輪5を接地面に向けて出没させる駆動機構とを備えた運搬用台車。」 に関する発明(以下「引用発明」という)が開示されているものと認められる。 同じく引用された刊行物である実願昭58-81357号(実開昭59-185159号)のマイクロフィルム(以下「引用例2」という)には、補助輪装置付手押し運搬台車と題して、図面とともに部材の符号である 「1…手押し運搬台車、10…台車枠、FW…前輪、RW…後輪、W…補助輪装置、B1…ブラケット、2…リンク、3…補助輪、P,P1?P4…軸、4…連接棒、5…操作レバー、G…地面」 を参照すると、概略、段差乗り越え時には前輪を持ち上げて段差乗り越えを容易にしたものが開示されているものと認められる。 3.発明の対比 本願発明と引用発明とを対比すると、 引用発明の「運搬用台車の荷台枠部分3a、3b、6 」、「前、後の自在車輪4,4」、「 運搬用台車1」、「腕片10 」、「固定車輪5の車軸支持板」、「 固定車輪5」及び「接地面」は、それぞれ、 本願発明の「運搬車両本体」、「前、後の車輪」、「 運搬車両」、「支持体」、「車軸支持板」、「補助車輪」及び「床面(路面)」 に相当するものである。 そうすると、両発明は、 「物を載置可能とする運搬車両本体と、この運搬車両本体に支承されてこの運搬車両本体を路面上に支持可能とする前、後の車輪とを備えた運搬車両において、 前記運搬車両本体の前、後車輪間のほぼ中央部寄りの部位に取り付けられた支持体と、 この支持体に車軸支持板を介して取り付けられた前記運搬車両本体を上下方向に移動させることができる補助車輪と、 この補助車輪を床面(路面)に向けて出没させる駆動機構とを備えた運搬車両。」 である点で一致し、以下の点で相違しているものと認められる。 <相違点1> 運搬車両本体を上下方向に移動させることができるように、 本願発明では、補助車輪を支持体に運搬車両本体の前、後方向に回動可能な車軸支持板を介して取り付けたのに対して、 引用発明では、補助車輪(固定車輪5)を支持体(腕片10)に運搬車両本体(運搬用台車の荷台枠部分)の上下方向に移動可能な車軸支持板(固定車輪5の車軸支持板)を介して取り付けた点 <相違点2> 補助車輪を床面に向けて出没させる駆動機構に関して、 本願発明では、前、後方向に回動させる前記運搬車両本体の側部部位に前後方向に回動可能に取り付けられた操作部、この操作部に連結される連結部、この連結部に一端部が連結され他端部が前記補助車輪の車軸に回転可能に取り付けられたリンク部とからなる駆動機構であるのに対して、 引用発明では、そのような操作部、連結部及びリンク部とを有する駆動機構ではない点 4.当審の判断(相違点の検討) 上記各相違点について検討する。 <相違点1> について 上記引用例2には、上記記載した事項を参照すると、補助輪付運搬台車において、台車枠10(運搬車両本体に相当)を上下方向に移動させることができるように、補助輪3(補助車輪に相当)をブラケットB1(支持体に相当)に台車枠10(運搬車両本体)の前、後方向に回動可能なリンクの一端21(車軸支持板に相当)を介して取り付けたものが開示されているから、このような補助輪3(補助車輪)の出没機構を引用発明の固定車輪5(補助車輪)の出没機構に採用して本願発明の上記相違点1でいう構成とすることは当業者にとっては想到容易である。 <相違点2> について 同じく引用例2には、上記記載した事項を参照すると、補助輪3(補助車輪)を床面に向けて出没させる駆動機構に関して、補助輪3(補助車輪)を前、後方向に回動させる台車枠10(運搬車両本体)の側部部位に前後方向に回動可能に取り付けられた操作レバー5(操作部に相当)、この操作レバー5(操作部)に連結される連接棒4(連結部に相当)、この連接棒4(連結部)に一端部が連結され他端部が補助輪3(補助車輪)の車軸に回転可能に取り付けられたリンク2(リンク部に相当)とからなる駆動機構についても開示されているから、このような補助車輪を床面に向けて出没させる駆動機構を引用発明の固定車輪5(補助車輪)の出没機構(上下動させる駆動機構)に採用して本願発明の上記相違点2でいう構成とすることも当業者にとって容易想到の範囲である。 そして、上記相違点1,2を併せ備える本願発明の作用効果について検討しても、引用発明及び引用例2に開示の上記技術事項を参酌すれば当業者にとって予測できる程度のことであって、格別顕著なものではない。 したがって、本願発明は引用発明及び引用例2に記載された技術事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。 5.審判請求人の主張 請求人が審判請求書で主張している「すなわち、前記引用例1は方形のパレット2を底フレーム6上に位置させ荷物を運搬出きるようにすると、操作杆17が回動して、固定車輪5を両端部の自在車輪の下端部より下方に位置するもので、荷物の運搬時には中央部の固定車輪5が下方に常時突出した状態にしかならないもので、・・・」との主張に対しては、引用例1に直接的に記載されている事項は確かにそのとおりである。 しかしながら、「〔5〕運搬車両本体に荷物が載っていても、載っていなくても駆動機構のペダルを踏むだけ補助車輪が回動して運搬車両本体を少し上方に持ち上げることができる。」との本願発明の作用効果に関する主張に対しては、前述したように、当業者が引用例1に記載の上記摘記事項の下線を付与した事項を参照すると、引用発明のところで認定したように引用例1にも、本願発明と同様に運搬車両本体に荷物が載っていても、載っていなくても駆動機構を操作するだけで補助車輪が下降して運搬車両本体を少し上方に持ち上げることができるものである構成が示唆されているとみることができるので、請求人の上記主張は採用できない。 6.むすび 以上によると、本願発明(請求項1に係る発明)は当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 そうすると、このような特許を受けることができない発明を包含する本願は、本願の請求項2に係る発明について検討するまでもなく、拒絶されるべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2009-07-29 |
結審通知日 | 2009-08-04 |
審決日 | 2009-08-24 |
出願番号 | 特願2004-44760(P2004-44760) |
審決分類 |
P
1
8・
121-
Z
(B62B)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 沼田 規好 |
特許庁審判長 |
藤井 俊明 |
特許庁審判官 |
小関 峰夫 横溝 顕範 |
発明の名称 | 運搬車両 |
代理人 | 三浦 光康 |