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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) F21V
管理番号 1205662
審判番号 不服2007-32697  
総通号数 120 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2009-12-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2007-12-04 
確定日 2009-10-13 
事件の表示 特願2002- 22990「バックライト照明ユニット」拒絶査定不服審判事件〔平成14年10月18日出願公開、特開2002-304910〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続きの経緯・本願発明
本願は、平成14年1月31日(優先権主張平成13年2月1日)の出願であって、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、平成21年7月27日付の手続補正書によって補正された明細書および図面の記載からみて、本願の特許請求の範囲の請求項1に記載された次の事項により特定されるとおりのものと認める。

「【請求項1】表面板に液晶ユニットとほぼ同一の大きさの開口部を有して薄い箱状に形成され該開口部に光透過型の光拡散板が張設されるようにした前記液晶ユニットの裏側に配置されるフレームと、前記フレームに内蔵された冷陰極管と、インバータ回路が設けられたインバータプリント基板とを備え、前記インバータプリント基板を前記フレームの底板の下面に固定し、前記フレーム、冷陰極管及びインバータプリント基板とを一体的に結合して単一化し、前記フレームに穴を穿設し、前記冷陰極管の電極のリード線を前記穴を通じて前記インバータ回路の高電圧出力端子に接続し、前記フレームの底板の下面に固定され前記冷陰極管と一体的に結合してバックライト照明ユニットを構成するインバータプリント基板に外部配線と接続するためのコネクタを固設し、該コネクタを通じて前記インバータ回路に電源を供給し、該インバータ回路から前記冷陰極管の電極に高電圧を供給するようにしたことを特徴とするバックライト照明ユニット。」

2.引用刊行物記載の発明

(2-1)これに対して、当審における、平成21年5月28日付で通知した拒絶の理由に引用した特開平10-125124号公報(平成10年5月15日公開、以下「引用例1」という。)には、「バックライト装置」に関する発明が開示されており、そこには、図面とともに次の事項が記載されている。

・「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、液晶パネル等に使用されるバックライト装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】液晶パネルに使用されるバックライト装置として、図6の要部の断面図に示したものが知られている。上記バックライト装置101は、蛍光管102と、上記蛍光管102の光を反射させる反射板103と、上記蛍光管102および反射板103からの光を拡散させる光拡散板104と、上記蛍光管102のインバータ回路基板105と、上記蛍光管102とインバータ回路基板105の間に配置された鉄製のシールドシート106と、上記蛍光管102、反射板103、光拡散板104、インバータ回路基板105、シールドシート106等を取り付けたフレーム107とからなっている。
【0003】上記フレーム107の一側面側(図6の右側)には、上記蛍光管102、反射板103、光拡散板104、シールドシート106が組み付けられ、上記フレーム107の他側面側(図6の左側)にインバータ回路基板105が組み付けられている。図7に示したように、上記インバータ回路基板105は、上記フレーム107の他側面側の一側部(上記蛍光管102の長さ方向の一端側)に配置されている。
【0004】そして、図7に示したように、上記蛍光管102の一端側と他端側は、それぞれ第1,第2のリード線111,112により上記インバータ回路基板105に接続されている。」

・図6を参照すると、フレーム107は光拡散板104が組み付けられた開口部を有する箱状に形成されたものであるといえる。

・図7、8を参照すると、フレーム107には穴が穿設され、第1,第2のリード線111,112は、該穴を通じてインバータ回路基板105に接続されているといえる。

これらの記載事項によると、引用例1には、

「液晶パネル等に使用されるバックライト装置であって、光拡散板が組み付けられた開口部を有する箱状に形成されたフレームと、フレームの一側面側に組み付けられた蛍光管、反射板、光拡散板と、他側面側に配置されたインバータ回路基板とを備え、フレームには穴が穿設され、蛍光管一端側と他端側は、それぞれ第1,第2のリード線により、該穴を通じて上記インバータ回路基板に接続されているバックライト装置。」の発明(以下「引用例1記載の発明」という。)が記載されていると認められる。

(2-2)同じく、当審における拒絶の理由に引用した特開平9-154287号公報(平成9年6月10日公開、以下「引用例2」という。)には、「圧電トランスインバータ」に関する発明が開示されており、そこには、図面とともに次の事項が記載されている。

・「【0005】
【発明の実施の形態】以下、図に沿って本発明の実施例を説明する。図1は本発明のインバータの概念図である。液晶バックライト用インバータ1は幅の狭い、細長いプリント基板6の両端側に入力側端子10と出力側の低圧側端子3bを備えたコネクタ2と出力側の高圧側端子3aだけを備えたコネクタ3が配置され、電子回路8と圧電トランス9それらを繋ぐパターン7等とからできている。インバータ1の出力を、高圧側端子3aを独立させた出力側コネクタ3から出力され、また低圧側端子3bは入力側コネクタ2に併設された端子36から入力され、リード5を経由して液晶バックライト4の端子に夫々接続されている。出力端子を別々にしていても低圧側端子3bを入力側コネクタ2に併設しているのでコネクタの数は従来と変わらず作業工数は増加しない。出力端子が高圧側端子3aと低圧側端子3bに分けられ高圧側端子3aが独立しているので、細長い幅の狭いプリント基板上でも端子間の沿面距離が十分確保できることになり、絶縁耐圧を向上させることができる。また、従来のようにコネクタやプリント基板に沿面距離延長のためのスリットを入れる必要がないので、強度を損なうこともない。
【0006】図2は液晶パネル11とインバータ1の配置関係を示す概念図であり、CCFL(冷陰極管)4が液晶パネル11の片側あるいは両側に液晶パネル11の辺の長さ一杯に添設され、液晶パネル11全面を照射できるようになっている。CCFL(冷陰極管)4の長さと略同一長さにインバータ1のプリント基板6を設計し、その基板6の両端に夫々の高圧側コネクタ3と低圧側コネクタ2を配置することでその端子から引き出すリード5の長さは短くすることができ液晶パネル11が大きくなってもリード5による浮遊容量も変わらず、リード5の引き回しによる浮遊容量のバラツキも小さいインバータが実現することができ、インバータの出力周波数の変動による液晶パネル11への干渉という問題も起こらない優れた液晶バックライトモジュールを得ることができた。以上液晶バックライトに使われる光源に蛍光燈等を前提に話を進めてきたが、EL型バックライトも使用可能である。」

3.対比
本願発明と引用例1記載の発明を対比すると、後者における「光拡散板が組み付けられた開口部を有する箱状に形成されたフレーム」は、「液晶パネル等に使用されるバックライト装置」のフレームであるから、前者における「開口部を有して箱状に形成され該開口部に光透過型の光拡散板が張設されるようにした液晶ユニットの裏側に配置されるフレーム」に相当する。また、後者における「フレームの一側面側に組み付けられた蛍光管」と、前者における「フレームに内蔵された冷陰極管」とは、「フレームに内蔵された放電管」である点で共通する。また、後者におけるフレームの「他側面側に配置されたインバータ回路基板」は、前者における「フレームの底板の下面に固定」された「インバータ回路が設けられたインバータプリント基板」に相当する。また、後者においては「フレームの一側面側に組み付けられた蛍光管、反射板、光拡散板と、他側面側に配置されたインバータ回路基板とを備え」ており、前者における「前記フレーム、冷陰極管及びインバータプリント基板とを一体的に結合して単一化し」た構成を有しているといえる。また、後者における「フレームに穿設され」た「穴」は、前者における「フレームに穿設」された「穴」に相当する。また、後者における「蛍光管一端側と他端側は、それぞれ第1,第2のリード線により、該穴を通じて上記インバータ回路基板に接続され」た構成は、前者における「冷陰極管の電極のリード線を前記穴を通じて前記インバータ回路の電圧出力端子に接続し」た構成に相当する。また、後者においては「蛍光管一端側と他端側は、それぞれ第1,第2のリード線により、該穴を通じて上記インバータ回路基板に接続されている」から、前者における「インバータ回路から冷陰極管の電極に電圧を供給するようにした」構成に相当する構成を有しているといえる。また、後者における「バックライト装置」は、前者における「バックライト照明ユニット」に相当する。

したがって、両者は、
「 開口部を有して箱状に形成され該開口部に光透過型の光拡散板が張設されるようにした前記液晶ユニットの裏側に配置されるフレームと、前記フレームに内蔵された放電管と、インバータ回路が設けられたインバータプリント基板とを備え、前記インバータプリント基板を前記フレームの底板の下面に固定し、前記フレーム、放電管及びインバータプリント基板とを一体的に結合して単一化し、前記フレームに穴を穿設し、前記放電管の電極のリード線を前記穴を通じて前記インバータ回路の電圧出力端子に接続し、該インバータ回路から前記放電管の電極に電圧を供給するようにしたバックライト照明ユニット。」である点で一致し、次の各点において相違する。

[相違点1]
「フレーム」に関し、「開口部」が、本願発明においては、「液晶ユニットとほぼ同一の大きさ」であるのに対し、引用例1記載の発明においては、特に記載されておらず、また、「箱状」について、本願発明においては、「薄い」箱状であるのに対し、引用例1記載の発明においては、薄くないものである点。

[相違点2]
「放電管」について、本願発明においては、「冷陰極管」であるのに対し、引用例1記載の発明においては、「蛍光管」である点。

[相違点3]
放電管のインバータ回路への接続について、本願発明においては、「高電圧出力端子」への接続であるのに対し、引用例1記載の発明においては、インバータ回路基板に接続されいるものの、それ以上の記載がない点。

[相違点4]
本願発明においては、「フレームの底板の下面に固定され冷陰極管と一体的に結合してバックライト照明ユニットを構成するインバータプリント基板に外部配線と接続するためのコネクタを固設し、該コネクタを通じて前記インバータ回路に電源を供給し」ているのに対し、引用例1記載の発明においては、そのように構成されていない点。

4.判断
上記相違点1について検討すると、液晶のバックライトにおいて、フレームを薄い箱状に形成すると共に、フレームに設けた開口部を液晶ユニットとほぼ同一の大きさとすることは周知であり(例えば、原査定の拒絶の理由において提示された特開平8-45318号公報、特開平10-96891号公報参照)、該構成を採用することが、当業者にとって格別なことであるとは認められない。

相違点2について検討すると、液晶バックライトの光源用放電灯として冷陰極管を用いることは周知であり(例えば、引用例2段落【0006】参照)、該点が、当業者にとって格別な差異であるとは認められない。

相違点3について検討すると、引用例2段落【0005】を参照すると、冷陰極管をインバータ回路の高電圧出力端子に接続することは、当業者にとって格別なことであるとは認められず、該点が、当業者にとって格別な差異であるとは認められない。

相違点4について検討すると、引用例2には、インバータのプリント基板に入力側端子を備えたコネクタを配置することが記載されており、引用例1記載の発明において、インバータプリント基板に外部配線と接続するためのコネクタを配置し、相違点4に係る構成とすることは、該引用例2の記載に基づいて、当業者が容易に想到し得ることにすぎない。

そして、本願発明の構成によってもたらされる効果も、引用例1記載の発明、引用例2の記載、および周知技術から当業者が予測し得る程度のものである。

5.むすび
したがって、本願発明は、引用例1記載の発明、引用例2の記載、および周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるので、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2009-08-18 
結審通知日 2009-08-19 
審決日 2009-09-01 
出願番号 特願2002-22990(P2002-22990)
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (F21V)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 和泉 等  
特許庁審判長 丸山 英行
特許庁審判官 小関 峰夫
渡邉 洋
発明の名称 バックライト照明ユニット  
代理人 西島 綾雄  

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