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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A44B
管理番号 1205706
審判番号 不服2008-24302  
総通号数 120 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2009-12-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2008-09-22 
確定日 2009-10-21 
事件の表示 特願2006-269848「防水二重ファスナー」拒絶査定不服審判事件〔平成19年 3月 1日出願公開、特開2007- 50266〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯・本件発明
本件は、1996年8月22日(パリ条約による優先権主張1995年8月23日、大韓民国)を国際出願日とする特願平9-510141号の一部を平成11年5月26日に新たな特許出願とした特願平11ー146949号の一部を、更に平成18年9月29日に新たな特許出願としたものであって、その請求項1乃至4に係る発明(以下、請求項1に係る発明を「本件発明」という。)は、明細書及び図面の記載からみて、特許請求の範囲の請求項1乃至4に記載された事項により特定されるとおりのものと認められるところ、請求項1の記載は以下のとおりである。

「防水二重ファスナーであって、
2列の歯状部分を有するテープを備えたジッパー型ファスナー部分であって、
前記テープがファスナーを取付けた目的物の別個の部分にそれぞれ取付けられているものと、
膨出した縁部と溝付の縁部を有するとともに、前記のジッパー型ファスナー部分のテープに取付けられた防水ファスナー部分であって、この防水ファスナー部分がジッパー型ファスナー部分に重なっているものと、
からなる防水二重ファスナー。」

2.引用文献
原査定の拒絶の理由に引用された実願昭50-19944号(実開昭51-101203号)のマイクロフィルム(以下、「引用文献」という。)には、以下の事項が記載されている。

(ア)「図面に示す通り、チヤツク(1)の(1?1)(1?2)溝(5)(5?1)を設ける。フアースナの布にチヤツクの(7)部の布を結合する。爪(2?1)(2?2)付き金具(2)を設け金具(3)と結合する。」(実用新案登録請求の範囲)
(イ)「この実用新案は、ビニールチヤツクとフアースナを二重にして防水のフアースナとしました。」(明細書第1頁第10?11行)
(ウ)「引手(6)を動かすとフアースナ(4)が閉ると同時にチヤツク(1)も閉じます、(6)を反対に動かしますと同時に両方が開きます。」(明細書第1頁第12?15行)
(エ)「本考案をカバン等に使用しますと雨水がフアースナよりカバンの内に入るのを防ぎます。」(明細書第1頁第15?17行)
(オ)「第1図は、B-B線断面図。第2図はA-A線断面図。第3図は平面図
1・・・チヤツク。1?1・・・凹部。1?2・・・凸部。2・・・チヤツクの金具。2?1、2?2・・・金具の爪。3・・・フアースナの金具。4、4?1・・・フアースナの爪。5、5?1・・・。6・・・引手。7・・・結合の部分。A-A、B-B・・・断面線。」(明細書第1頁第19行?第2頁第6行)及び、第一図面?第三図面

そして、記載(ア)における「フアースナの布」がテープ状といえるもの、即ち、布テープであることは、第三図面から明らかであり、この「フアースナの布」がフアースナを取付けた目的物の別個の部分にそれぞれ取付けられていることも、フアースナの使用形態として、普通のことである。
そして、以上の検討を踏まえると、記載(ア)?(オ)から、引用文献には、以下の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。

「2列のフアースナの爪(4)、(4?1)を有する布テープを備えたフアースナであって、
前記布テープがフアースナを取付けた目的物の別個の部分にそれぞれ取付けられているものと、
縁部に凸部(1?2)を有するビニールチヤツク(1)と該ビニールチヤツク(1)の前記凸部(1?2)のある縁部に対して反対側の縁部に繋がる布とからなる部分(以下、「凸部チヤツク部分」という。)と、縁に凹部(1?1)を有するビニールチヤツク(1)と該ビニールチヤツク(1)の前記凹部(1?1)のある縁部に対して反対側の縁部に繋がる布とからなる部分(以下、「凹部チヤツク部分」という。)を有するとともに、フアースナの前記布テープに結合された部分であって、この部分が上記フアースナに重なっているものと、
からなる防水フアースナ。」

3.対比判断

1)本件発明と引用発明とを対比する。
引用発明の「フアースナの爪(4)、(4?1)」、「フアースナ」、「凸部(1?2)」及び「凹部(1?1)」は、本件発明の「歯状部分」、「ジッパー型ファスナー部分」、「膨出した縁部」及び「溝付の縁部」に対応しており、更に、引用発明の「凸部チヤツク部分」や「凹部チヤツク部分」は、本件発明の、ジッパー型ファスナー部分のテープに取付けられた「ファスナー部分」に対応しており、本件発明は、引用発明とは、

「防水二重ファスナーであって、
2列の歯状部分を有するテープを備えたジッパー型ファスナー部分であって、
前記テープがファスナーを取付けた目的物の別個の部分にそれぞれ取付けられているものと、
膨出した縁部と溝付の縁部を有するとともに、前記のジッパー型ファスナー部分のテープに取付けられたファスナー部分であって、このファスナー部分がジッパー型ファスナー部分に重なっているものと、
からなる防水二重ファスナー。」である点で一致し、
以下の点において相違していると認められる。

相違点A;本件発明は、ジッパー型ファスナー部分のテープに取付けられた「ファスナー部分」が「防水ファスナー部分」である点。

2)相違点Aについて検討する。
引用発明も、防水機能を持たせたファスナーであって、引用発明の「凸部チヤツク部分」や「凹部チヤツク部分」を、全体として、防水機能を持つものとすることは容易に想到し得ることで、特に、これら「凸部チヤツク部分」や「凹部チヤツク部分」におけるビニールチヤツク(1)は、ビニール樹脂製であることから、防水機能を持つと解するが自然であるから、これら「凸部チヤツク部分」や「凹部チヤツク部分」における布に対し、これらが防水機能を発揮するよう、この出願の優先権主張日前における常套手段である防水剤塗布などの防水機能付与技術を適用し、「凸部チヤツク部分」や「凹部チヤツク部分」を防水部分することは、容易になし得ることである。
してみると、相違点Aは、容易になし得るものといえる。

3)以上のことから、本件発明は、引用発明に記載の発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

4.結び
原査定は、妥当である。
したがって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2009-05-20 
結審通知日 2009-05-26 
審決日 2009-06-08 
出願番号 特願2006-269848(P2006-269848)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (A44B)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 米村 耕一  
特許庁審判長 鈴木 由紀夫
特許庁審判官 熊倉 強
村山 禎恒
発明の名称 防水二重ファスナー  
代理人 蔦田 璋子  
代理人 蔦田 正人  

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