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審決分類 審判 査定不服 特17条の2、3項新規事項追加の補正 特許、登録しない。 G06F
審判 査定不服 4号2号請求項の限定的減縮 特許、登録しない。 G06F
管理番号 1206280
審判番号 不服2007-19651  
総通号数 120 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2009-12-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2007-07-12 
確定日 2009-10-29 
事件の表示 特願2001-174156「個人情報管理装置、個人情報管理方法、記録媒体およびプログラム」拒絶査定不服審判事件〔平成14年12月20日出願公開、特開2002-366550〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯

特許願 平成13年 6月 8日
出願審査請求書 平成15年12月24日
拒絶理由通知書 平成18年12月14日
(平成18年12月19日発送)
意見書 平成19年 2月19日
手続補正書 平成19年 2月19日
拒絶理由通知書(最後) 平成19年 3月 8日
(平成19年 3月20日発送)
意見書 平成19年 5月16日
手続補正書 平成19年 5月16日
補正の却下の決定 平成19年 6月 4日
(平成19年 6月12日発送)
拒絶査定 平成19年 6月 4日
(平成19年 6月12日発送)
審判請求書 平成19年 7月12日
手続補正書 平成19年 8月13日
手続補正書(方式) 平成19年 8月13日
審尋 平成21年 6月 3日
(平成21年 6月 9日発送)
回答書 平成21年 8月 6日




第2 平成19年8月13日付けの手続補正についての補正却下の決定

〔結論〕

平成19年8月13日付けの手続補正を却下する。

〔理由〕

1.補正内容

平成19年8月13日付けの手続補正(以下、「本件第3補正」という)は、特許請求の範囲の請求項1の補正を含むものであって、
本件第3補正前の特許請求の範囲の請求項1(平成19年2月19日付けの手続補正書に記載された特許請求の範囲の請求項1)、すなわち、

「 【請求項1】 利用者からのデータベースに対するアクセス要求があると、利用者が予め設定したルールに基づき、各々同一の利用者に関する個人情報を格納した複数の個人情報データベースから、対象となる個人情報データベースを選択する個人情報データベース選択手段と、
前記個人情報データベース選択手段によって選択された個人情報データベースに対して、個人情報の読み書きを許可するように処理する処理手段と、 前記個人情報データベース選択手段により選択された個人情報データベースに記憶されている個人情報と、その他の個人情報データベースに記憶されている個人情報とが相違したことを検出する個人情報不整合検出手段と、
前記個人情報不整合検出手段により不整合であると検出された際、前記個人情報データベース選択手段により選択された個人情報データベースに記憶されている個人情報に基づき、他の個人情報データベースの個人情報を更新する個人情報同期手段と、
を備えたことを特徴とする個人情報管理装置。」

であったものを、本件第3補正後の特許請求の範囲の請求項1、すなわち、

「 【請求項1】 利用者からのデータベースに対するアクセス要求があると、利用者が予め設定したルールに基づき、各々同一の利用者に関する個人情報を格納した複数の個人情報データベースから、対象となる個人情報データベースを選択する個人情報データベース選択手段と、
前記個人情報データベース選択手段によって選択された個人情報データベースに対して、個人情報の読み書きを許可するように処理する処理手段と、
個人情報の取得要求があると、同期対象データを格納した情報内容蓄積部を参照し、要求されたデータが同期対象として設定されているかを判断し、同期されていると判断されたときは、対象となる個人情報データベースが記憶している個人情報を取得し、自身が蓄積する該当個人情報との比較をする個人情報不整合検出手段と、
前記個人情報不整合検出手段の比較結果、不整合であるとされた際、自身が蓄積する該当個人情報に基づき、同期対象となる個人情報データベースへ、個人情報の情報変更のリクエストを送信する個人情報同期手段と、
を備えたことを特徴とする個人情報管理装置。」

に補正するものである。

つまり、本件第3補正は、特許請求の範囲の請求項1の「個人情報同期手段」に関して、
本件第3補正前の「・・・、他の個人情報データベースの個人情報を更新する・・・」から、
本件第3補正後の「・・・同期対象となる個人情報データベースへ、個人情報の情報変更のリクエストを送信する・・・」に変更する補正(以下、「本件第3補正事項」という。)
を含むものである。


なお、審判請求人は、本件第3補正に関して、審判請求書において、
「(b)補正の根拠の明示
上記手続補正書による補正は、上記補正の却下の決定前の特許請求の範囲に対する補正であって、段落番号0062、0063、0064の記載に基づいています。」
と主張している。



2.本件第3補正事項に対する判断

(1)
本件第3補正事項は、請求項の数を変更するものではないので、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第4項(以下、単に「17条の2第4項」という。)第1号に規定された「請求項の削除」に該当しない。


(2)
本件第3補正事項による補正前の「個人情報同期手段」は、他の個人情報データベースの個人情報を更新するものとされていたのに対し、
同補正後の「個人情報同期手段」は、他の個人情報データベースの個人情報を更新することまでは行わず、個人情報の情報変更のリクエストを送信することに留まるものとされたのであるから、
本件第3補正事項は、特許法第17条の2第4項第2号に規定された「特許請求の範囲の減縮(第三十6条第5項の規定により請求項に記載した発明を特定するために必要な事項を限定するものであつて、その補正前の当該請求項に記載された発明とその補正後の当該請求項に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるものに限る。)」に該当しない。


(3)
本件第3補正前の「・・・、他の個人情報データベースの個人情報を更新する・・・」という記載に誤記はないのであるから、
本件第3補正事項は、特許法第17条の2第4項第3号に規定された「誤記の訂正」に該当しないことは明らかである。


(4)
本件第3補正前の「・・・、他の個人情報データベースの個人情報を更新する・・・」という記載は明りょうであり、しかも、当該記載に対して不明りょうである旨の拒絶理由は通知されていない(すなわち、当該記載に対して、「明りようでない記載の釈明」は求められていない。)のであるから、
本件第3補正事項は、特許法第17条の2第4項第4号に規定された「明りようでない記載の釈明(拒絶理由通知に係る拒絶の理由に示す事項についてするものに限る。)」に該当しない。



3.むすび

したがって、本件第3補正事項を含む本件第3補正は、特許法第17条の2第4項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。




第3 平成19年3月8日付けの拒絶理由

本件第3補正は上記のとおり却下されたので、平成19年2月19日付けの手続補正(以下、「本件第1補正」という。)に対する、平成19年3月8日付けの拒絶理由通知書で提示された【理由1】、 すなわち、

「【理由1】平成19年 2月19日付けでした手続補正は、下記の点で願書に最初に添付した明細書又は図面(以下「当初明細書等」という。)に記載した事項の範囲内においてしたものでないから、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしていない。
・・・(中略)・・・


1. 請求項1-10に係る「前記個人情報データベース選択手段により選択された個人情報データベースに記憶されている個人情報と、その他の個人情報データベースに記憶されている個人情報とが相違したことを検出する個人情報不整合検出手段と、 前記個人情報不整合検出手段により不整合であると検出された際、前記個人情報データベース選択手段により選択された個人情報データベースに記憶されている個人情報に基づき、他の個人情報データベースの個人情報を更新する個人情報同期手段」は、当初明細書等に記載した事項ではない。(第17条の2第3項)
つまり、不整合に対する同期処理は当初明細書等の【0058】?【0068】及び図5に記載されているが、当初明細書等の各処理と請求項1-10に係る各処理とが対応しないので、両記載に係る処理は異なる処理内容である。」

の当否について判断する。



第4 判断

(1)
本件第1補正は、特許請求の範囲の請求項1の補正を含むものであって、特許請求の範囲の請求項1を本件第1補正後の特許請求の範囲の請求項1、すなわち、

「 【請求項1】 利用者からのデータベースに対するアクセス要求があると、利用者が予め設定したルールに基づき、各々同一の利用者に関する個人情報を格納した複数の個人情報データベースから、対象となる個人情報データベースを選択する個人情報データベース選択手段と、
前記個人情報データベース選択手段によって選択された個人情報データベースに対して、個人情報の読み書きを許可するように処理する処理手段と、 前記個人情報データベース選択手段により選択された個人情報データベースに記憶されている個人情報と、その他の個人情報データベースに記憶されている個人情報とが相違したことを検出する個人情報不整合検出手段と、
前記個人情報不整合検出手段により不整合であると検出された際、前記個人情報データベース選択手段により選択された個人情報データベースに記憶されている個人情報に基づき、他の個人情報データベースの個人情報を更新する個人情報同期手段と、
を備えたことを特徴とする個人情報管理装置。」

に補正するものである。

つまり、本件第1補正は、
特許請求の範囲の請求項1の「個人情報同期手段」に関して、「・・・、他の個人情報データベースの個人情報を更新する」ことを追加する補正(以下、「本件第1補正事項」という。)
を含むものである。


(2)
一方、願書に最初に添付した明細書又は図面(以下、「当初明細書等」という。)の段落【0060】乃至【0064】に、

「 【0060】
上記図4を用いて説明した実施の形態においては、利用者は個人情報管理装置(パーソナルエージェント)200を始めて利用する際に、LDAPサーバ222と223(図3参照)内のデータのうち、必ず同じ内容になるものを同期対象データとして指定する。例えば、利用者の名前や、年齢を指定する。個人情報管理装置(パーソナルエージェント)200は両サーバ(LDAPサーバ222、223)のデータを取得する際に、利用者により指定された同期対象データの変更を監視する。
【0061】
データ変更を感知する方法はいくつか考えられるが、本実施の形態では同期対象データは必ず情報内容蓄積部205に保存し、外部のLDAPサーバ222、223内のデータより優先度が高いものとする。利用者はこの個人情報管理装置(パーソナルエージェント)200からのみ個人情報の変更を行なう。個人情報管理装置(パーソナルエージェント)200は、図5のフローチャートに示すタイミングで、LDAPサーバ222、223内のデータが最新となるようにデータ更新作業を行なう。逆に、同期対象でないデータは、LDAPサーバ222、223に保存されたデータを優先する。LDAPサーバ222、223から取得した値は情報内容蓄積部205に保存し、通信回数を少なくできるよう、一定時間の間キャッシュ情報として利用される。
【0062】
図5は、変更を検知し、内容の同期をとるため機能である同期機能の動作処理の流れを示したフローチャートである。
ステップS51において、同期対象データの情報取得リクエストを利用者から受け取ると、ステップS52において、要求されたデータが同期対象として設定されているか否か判断する。
【0063】
ステップS52で同期対象データであると判断された場合(ステップS52:YES)、ステップS53において、対象のLDAPサーバが保存している情報を受け取り、ステップS54において、情報蓄積部205に蓄積されたデータ内容と比較する。
【0064】
そして、ステップS54で一致していると判断されなかった場合(ステップS54:NO)、すなわち、データ内容が古い場合は、ステップS55において、同期対象のサーバへ情報変更のリクエストを送信する。その後、ステップS59において、利用者に情報蓄積部205に保存された内容を通知して、処理を終了する。」

と記載されているように、
「個人情報管理装置」が、個人情報を更新させるために、情報変更のリクエストを送信することは開示されているものの、
「個人情報管理装置」自身が、個人情報を更新することは開示されていない。

また、本願明細書の段落【0060】乃至【0064】以外の記載を参酌しても、「個人情報管理装置」自身が、個人情報を更新することが開示されているとは認められない。


(3)
しかも、情報処理装置(例えば、本願の「個人情報管理装置」)自身が、他の情報処理装置(例えば、本願の「LDAPサーバー」)が備える情報を更新することは、情報処理分野における技術常識ではない。


(4)
したがって、本件第1補正事項は、当初明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入したものである。



第5 むすび

以上のとおり、本件第1補正事項を含む本件第1補正は、当初明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入したものであるから、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしていない。

したがって、平成19年3月8日付けの拒絶理由通知書で提示された【理由1】以外の理由について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2009-08-26 
結審通知日 2009-09-01 
審決日 2009-09-17 
出願番号 特願2001-174156(P2001-174156)
審決分類 P 1 8・ 572- Z (G06F)
P 1 8・ 561- Z (G06F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 深津 始  
特許庁審判長 田口 英雄
特許庁審判官 和田 財太
小曳 満昭
発明の名称 個人情報管理装置、個人情報管理方法、記録媒体およびプログラム  
代理人 大菅 義之  
代理人 久木元 彰  

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