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審決分類 審判 査定不服 4項4号特許請求の範囲における明りょうでない記載の釈明 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) G06F
審判 査定不服 特174条1項 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) G06F
審判 査定不服 4号2号請求項の限定的減縮 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) G06F
審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) G06F
管理番号 1206953
審判番号 不服2006-14564  
総通号数 121 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2010-01-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2006-07-06 
確定日 2009-11-12 
事件の表示 特願2002-143080「画像形成装置、制御方法、制御プログラム」拒絶査定不服審判事件〔平成15年11月21日出願公開、特開2003-330732〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1.手続の経緯
本願は、平成14年5月17日の出願であって、平成18年2月16日付けで拒絶理由通知がなされ、同年4月24日付けで手続補正がなされたが、同年5月30日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、同年7月6日に審判請求がなされるとともに同年8月7日付けで手続補正がなされたものである。そして、同年9月27日付けで審査官から前置報告がなされ、平成20年9月9日付けで当審より審尋がなされ、同年11月14日付けで回答書が提出され、当審より平成21年2月3日付けで拒絶理由通知がなされ、同年4月13日付けで手続補正がなされ、これに対し当審より同年5月19日付けで最後の拒絶理由通知がなされ、同年7月24日付けで手続補正がなされたものである。

第2.補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成21年7月24日付けの手続補正を却下する

[理由]
1.本件補正
平成21年7月24日付けの手続補正(以下「本件補正」という。)の内容は、平成21年4月13日付けの手続補正により補正された特許請求の範囲の記載
「【請求項1】 ネイティブモードの命令を実行して画像形成装置を制御するための命令群であるライブラリが提供されているオペレーティングシステムと、前記オペレーティングシステムの上に実現される、前記画像形成装置の機種には依存しない命令を非ネイティブモードで実行できる実行環境であって、かつ、アプリケーションから呼び出し可能なアプリケーション・プログラミング・インターフェースの群を提供する実行環境を備えた画像形成装置において、
実行環境にてアプリケーションから前記アプリケーション・プログラミング・インターフェースの呼び出しにより実行指示される命令が、ネイティブモードで呼び出すべき命令であるか否かを認識する認識手段と、
前記認識手段が、前記実行環境にてアプリケーションから実行指示された命令が、ネイティブモードで呼び出すべき命令であると認識した場合に、前記実行環境にて実行指示された命令が伴う画像形成装置の識別子を特定する特定手段と、
前記認識手段により認識されたネイティブモードで呼び出すべき命令に基づき、オペレーティングシステム上に提供されるライブラリを呼び出して実行することにより、前記特定手段が特定した画像形成装置の識別子に対応する前記画像形成装置を制御し、前記認識手段が、前記アプリケーションから実行指示された命令がネイティブモードで呼び出すべき命令ではないと認識した場合には、実行指示された命令に対応する命令を前記実行環境にて非ネイティブモードで実行するよう画像形成装置を制御する制御手段と、
ネイティブモードで呼び出すべき命令ではないと前記認識手段により認識される命令には、画像形成装置のユーザインタフェースを制御する命令を含み、
ネイティブモードで呼び出すべきと前記認識手段により認識される命令には、前記オペレーティングシステムの上で実行されるアプリケーションと前記実行環境において実行されるアプリケーションとにおいて排他的に利用される命令を含むことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】乃至【請求項8】 (略)
【請求項9】 ネイティブモードの命令を実行して画像形成装置を制御するための命令群であるライブラリを提供するオペレーティングシステムと、前記オペレーティングシステムの上に実現される、前記画像形成装置の機種には依存しない命令を非ネイティブモードで実行できる実行環境であって、かつ、アプリケーションから呼び出し可能なアプリケーション・プログラミング・インターフェースの群を提供する実行環境を備えた画像形成装置の制御方法において、
アプリケーションから前記アプリケーション・プログラミング・インターフェースの呼び出しにより実行指示される命令が、ネイティブモードで呼び出すべき命令であるか否かを認識する認識工程と、
前記認識工程が、前記実行環境にてアプリケーションから実行指示された命令が、ネイティブモードで呼び出すべき命令であると認識した場合に、前記実行環境にて実行指示された命令が伴う画像形成装置の識別子を特定する特定工程と、
前記認識手段により認識されたネイティブモードで呼び出すべき命令を、オペレーティングシステム上に提供されるライブラリを呼び出してオペレーティングシステムにおいて実行することにより、前記特定工程が特定した画像形成装置の識別子に対応する前記画像形成装置を制御し、前記認識工程が、前記アプリケーションから実行指示された命令がネイティブモードで呼び出すべき命令ではないと認識した場合には、実行指示された命令に対応する命令を前記実行環境にて非ネイティブモードで実行するよう画像形成装置を制御する制御工程とを有し、
ネイティブモードで呼び出すべき命令ではないと前記認識工程により認識される命令には、画像形成装置のユーザインタフェースを制御する命令を含み、
ネイティブモードで呼び出すべきと前記認識工程により認識される命令には、前記オペレーティングシステムの上で実行されるアプリケーションと前記実行環境において実行されるアプリケーションとにおいて排他的に利用されるものを命令ことを特徴とする画像形成装置の制御方法。
【請求項10】乃至【請求項17】 (略)」(以下、この特許請求の範囲に記載された請求項を「補正前の請求項」という。)を、
「【請求項1】 ネイティブモードの命令を実行して画像形成装置を制御するための命令群であるライブラリが提供されているオペレーティングシステムと、前記オペレーティングシステムの上に実現される、前記画像形成装置の機種には依存しない命令を非ネイティブモードで実行できる実行環境であって、かつ、アプリケーションから呼び出し可能なアプリケーション・プログラミング・インターフェースの群を提供する実行環境を備えた画像形成装置において、
実行環境にてアプリケーションから前記アプリケーション・プログラミング・インターフェースの呼び出しにより実行指示される命令が、ネイティブモードで呼び出すべき命令であるか否かを認識する認識手段と、
前記認識手段が、前記実行環境にてアプリケーションから実行指示された命令が、ネイティブモードで呼び出すべき命令であると認識した場合に、前記実行環境にて実行指示された命令が伴う画像形成装置の識別子を特定する特定手段と、
前記認識手段により認識されたネイティブモードで呼び出すべき命令に基づき、オペレーティングシステム上に提供されるライブラリを呼び出して実行することにより、前記特定手段が特定した画像形成装置の識別子に対応する前記画像形成装置を制御し、前記認識手段が、前記アプリケーションから実行指示された命令がネイティブモードで呼び出すべき命令ではないと認識した場合には、実行指示された命令に対応する命令を前記実行環境にて非ネイティブモードで実行するよう画像形成装置を制御する制御手段と、
ネイティブモードで呼び出すべき命令ではないと前記認識手段により認識される命令には、画像形成装置のユーザインタフェースを制御するアプリケーションから呼び出される命令を含み、
オペレーティングシステム上に提供されるライブラリにおいて、画像形成装置を制御する制御コマンドの排他的実行をすることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】乃至【請求項8】 (略)
【請求項9】 ネイティブモードの命令を実行して画像形成装置を制御するための命令群であるライブラリを提供するオペレーティングシステムと、前記オペレーティングシステムの上に実現される、前記画像形成装置の機種には依存しない命令を非ネイティブモードで実行できる実行環境であって、かつ、アプリケーションから呼び出し可能なアプリケーション・プログラミング・インターフェースの群を提供する実行環境を備えた画像形成装置の制御方法において、
アプリケーションから前記アプリケーション・プログラミング・インターフェースの呼び出しにより実行指示される命令が、ネイティブモードで呼び出すべき命令であるか否かを認識する認識工程と、
前記認識工程が、前記実行環境にてアプリケーションから実行指示された命令が、ネイティブモードで呼び出すべき命令であると認識した場合に、前記実行環境にて実行指示された命令が伴う画像形成装置の識別子を特定する特定工程と、
前記認識手段により認識されたネイティブモードで呼び出すべき命令を、オペレーティングシステム上に提供されるライブラリを呼び出してオペレーティングシステムにおいて実行することにより、前記特定工程が特定した画像形成装置の識別子に対応する前記画像形成装置を制御し、前記認識工程が、前記アプリケーションから実行指示された命令がネイティブモードで呼び出すべき命令ではないと認識した場合には、実行指示された命令に対応する命令を前記実行環境にて非ネイティブモードで実行するよう画像形成装置を制御する制御工程とを有し、
ネイティブモードで呼び出すべき命令ではないと前記認識工程により認識される命令には、画像形成装置のユーザインタフェースを制御する命令を含み、
画像形成装置のユーザインタフェースを制御するアプリケーションから呼び出される命令を含み、 前記オペレーティングシステム上に提供されるライブラリにおいて、画像形成装置を制御するための制御コマンドの排他的実行をすることを特徴とする画像形成装置の制御方法。
【請求項10】乃至【請求項17】 (略)」(以下、この特許請求の範囲に記載された請求項を、「補正後の請求項」という。)
に補正するものである。

本件補正は、補正前の請求項1及び9の記載を補正するものであるので、請求項1及び9に係る補正が、平成14年法律第24号改正附則第2条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第4項(以下「特許法第17条の2第4項」という。)各号に掲げる事項のいずれかを目的とするかについて以下で請求項毎に検討する。

2.補正後の請求項1について;
本件補正は、
(a)補正前の請求項1の「ネイティブモードで呼び出すべき命令ではないと前記認識手段により認識される命令には、画像形成装置のユーザインタフェースを制御する命令を含み、」を、
「ネイティブモードで呼び出すべき命令ではないと前記認識手段により認識される命令には、画像形成装置のユーザインタフェースを制御するアプリケーションから呼び出される命令を含み、」に補正すると共に、
(b)補正前の請求項1の
「ネイティブモードで呼び出すべきと前記認識手段により認識される命令には、前記オペレーティングシステムの上で実行されるアプリケーションと前記実行環境において実行されるアプリケーションとにおいて排他的に利用される命令を含む」を、
「オペレーティングシステム上に提供されるライブラリにおいて、画像形成装置を制御する制御コマンドの排他的実行をする」と補正するものである。
このうち、上記(b)の補正が、特許法第17条の2第4項各号に掲げる事項のいずれかを目的とするかについて検討する。

(1)請求項の削除、及び誤記の訂正を目的とするかについて
上記(b)の補正は、請求項の削除を目的とするものでないことは明らかであり、また、誤記の訂正を目的とするものともいえない。

(2)明りょうでない記載の釈明を目的とするかについて
上記(b)の補正は、補正前の請求項1において、「ネイティブモードで呼び出すべきと前記認識手段により認識される命令」について特定した記載を、「オペレーティングシステム上に提供されるライブラリ」において行う動作を特定する記載に変更するものである。
しかし、補正前の請求項1における命令に関する記載と、補正後の請求項1におけるライブラリに関する記載とは技術的に別個の概念であるため、補正後の請求項1におけるライブラリに関する記載は、補正前の請求項1における命令に関する記載本来の意味内容を明らかにしたものとはいえない。
したがって、当該補正は、明瞭でない記載の釈明、すなわち、不明瞭な記載を正して記載本来の意味内容を明らかにしたものとはいえないから、上記(b)の補正は、明りょうでない記載の釈明を目的とするものではない。

(3)特許法第17条の2第4項第2号で規定する特許請求の範囲の減縮(限定的減縮)を目的とするかについて
上記(b)の補正は、「ネイティブモードで呼び出すべきと前記認識手段により認識される命令」を特定する記載を削除するものであるため、特許請求の範囲を減縮するものとはいえない。
したがって、上記(b)の補正は、特許法第17条の2第4項第2号で規定する特許請求の範囲の減縮(限定的減縮)を目的とするものではない。

さらに、上記(b)の補正は、新たに
(ア)「オペレーティングシステム上に提供されるライブラリにおいて、画像形成装置を制御する制御コマンドの排他的実行をする」と、「オペレーティングシステム上に提供されるライブラリ」を限定する記載を追加したもの
と解し得るが、当該(ア)の追加は、「画像形成装置を制御する制御コマンド」の「排他的実行」という補正前の請求項のいずれにも記載されていなかった事項を用いて「オペレーティングシステム上に提供されるライブラリ」を特定することにより、補正前の請求項1乃至17に係る発明がいずれも有していなかった課題である、画像形成装置を安定して動作させるという課題を新たに請求項1に係る発明の解決しようとする課題とするものであるから、特許法第17条の2第4項第2号で規定する特許請求の範囲の減縮(限定的減縮)を目的とするものとはいえない。

(請求項1についての結語)
上記(1)乃至(3)の通り、請求項1に対する本件補正は、平成14年法律第24号改正附則第2条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第4項各号に掲げる事項のいずれも目的とするものではないから、同法第17条の2第4項の規定に違反するものである。

3.補正後の請求項9について;
本件補正による請求項9の補正のうち、
補正前の請求項9の
「ネイティブモードで呼び出すべきと前記認識工程により認識される命令には、前記オペレーティングシステムの上で実行されるアプリケーションと前記実行環境において実行されるアプリケーションとにおいて排他的に利用されるものを命令ことを特徴とする」を、
補正後の請求項9の
「前記オペレーティングシステム上に提供されるライブラリにおいて、画像形成装置を制御するための制御コマンドの排他的実行をすることを特徴とする」
とする補正は、請求項1に関して上記2.で検討したのと同じく、特許法第17条の2第4項各号に掲げる事項のいずれも目的とするものではない。
したがって、請求項9に対する本件補正は、平成14年法律第24号改正附則第2条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第4項各号に掲げる事項のいずれも目的とするものではないから、同法第17条の2第4項の規定に違反するものである。

また、補正後の請求項9に記載された事項のうち
「ネイティブモードで呼び出すべき命令ではないと前記認識工程により認識される命令には、画像形成装置のユーザインタフェースを制御する命令を含み」は、平成21年5月19日付けの当審の拒絶理由通知に【理由1】(1)として記載した通り、出願当初の明細書及び図面には記載されておらず、かつ、自明なものでもないため新規事項を追加しているものと認められるから、請求項9に対する本件補正は、平成14年法律第24号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第3項の規定に違反するものである。

4.補正却下の決定のむすび
以上のとおり、本件補正は、平成14年法律第24号改正附則第2条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第4項(補正の目的)の規定に違反し、また、平成14年法律第24号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第3項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

第3.本願について
1.本願明細書
平成21年7月24日付けの手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の明細書は平成21年4月13日付け手続補正書により補正された明細書となる。

2.当審における拒絶理由通知の内容
当審は、平成21年5月19日付けで、以下の拒絶理由を通知した。

「【理由1】平成21年4月13日付けでした手続補正は、下記の点で願書に最初に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内においてしたものでないから、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしていない。

(1)請求項1に記載された「ネイティブモードで呼び出すべき命令ではないと前記認識手段により認識される命令には、画像形成装置のユーザインタフェースを制御する命令を含み」、及び、請求項9に記載された「ネイティブモードで呼び出すべき命令ではないと前記認識工程により認識される命令には、画像形成装置のユーザインタフェースを制御する命令を含み」は、いずれも出願当初の明細書及び図面に記載されておらず、かつ、自明なものでもないため新規事項を追加しているものと認められる。
この点に関し、出願当初の明細書の特許請求の範囲請求項2には「前記認識手段が、実行される命令が前記第2形式の所定の命令ではないと判断した場合には、前記制御手段は,前記画像形成装置の操作部のグラフィカルユーザインタフェースを制御する命令を前記第2の実行環境にて起動して実行する」という記載があるが、当該記載は「画像形成装置のユーザインタフェースを制御する命令」が、ネイティブモードで呼び出すべき命令ではないと認識手段により認識される命令に含まれることを意味する記載とはいえない。
また、出願当初の明細書段落【0062】の、「通常メソッド処理を呼び出すアプリケーションとしては、例えば、クリティカルな応答が必要ではないプログラム、例えば、複写機やプリンタの操作パネルのグラフィカルユーザインタフェースをソフトウェアで実現するためのアプリケーションモジュールが考えられる。」との記載についても、当該記載はユーザインタフェースを実現するためのアプリケーションが通常メソッド処理を呼び出すことを例示するものであって、ネイティブモードで呼び出すべき命令ではないと認識される(通常メソッド処理として実行される)命令に「画像形成装置のユーザインタフェースを制御する命令」が含まれることを意味する記載とはいえない。

(2)請求項1に記載された「ネイティブモードで呼び出すべきと前記認識手段により認識される命令には、前記オペレーティングシステムの上で実行されるアプリケーションと前記実行環境において実行されるアプリケーションとにおいて排他的に利用される命令を含む」、及び、請求項9に記載された「ネイティブモードで呼び出すべきと前記認識工程により認識される命令には、前記オペレーティングシステムの上で実行されるアプリケーションと前記実行環境において実行されるアプリケーションとにおいて排他的に利用されるものを命令ことを」は、いずれも出願当初の明細書及び図面に記載されておらず、かつ、自明なものでもないため新規事項を追加しているものと認められる。
この点に関し、出願当初の明細書段落【0060】の、ネイティブメソッドがAPI303に含まれるインタフェースを介してエンジン制御プログラムを呼び出す旨の記載、同【0062】の、「ネイティブメソッドを呼び出す場合としては、アプリケーションから、複写機やプリンタ等のエンジン制御部(エンジン部)を制御するクリティカルな応答が求められる処理を例えば、Java(登録商標)のネイティブメソッドインタフェースを介してプリンタエンジン制御プログラム呼び出す場合が考えられる。」との記載、同【0115】の、API303及びコントローラ部302において、画像形成装置の制御コマンドの排他的実行を可能とした場合についての記載を参酌しても、ネイティブモードで呼び出すべきと認識される命令に、「オペレーティングシステムの上で実行されるアプリケーションと前記実行環境において実行されるアプリケーションとにおいて排他的に利用される命令」が含まれることが記載されているとは認められない。

【理由2】本件出願は、特許請求の範囲の記載が下記の点で、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない。

(1)請求項1に記載された「ネイティブモードで呼び出すべき命令ではないと前記認識手段により認識される命令には、画像形成装置のユーザインタフェースを制御する命令を含み」、及び、請求項9に記載された「ネイティブモードで呼び出すべき命令ではないと前記認識工程により認識される命令には、画像形成装置のユーザインタフェースを制御する命令を含み」は、いずれも発明の詳細な説明中に対応する事項が記載も示唆もされていないから、発明の詳細な説明に記載されたものではない。

(2)請求項1に記載された「ネイティブモードで呼び出すべきと前記認識手段により認識される命令には、前記オペレーティングシステムの上で実行されるアプリケーションと前記実行環境において実行されるアプリケーションとにおいて排他的に利用される命令を含む」、及び、請求項9に記載された「ネイティブモードで呼び出すべきと前記認識工程により認識される命令には、前記オペレーティングシステムの上で実行されるアプリケーションと前記実行環境において実行されるアプリケーションとにおいて排他的に利用されるものを命令ことを」は、いずれも発明の詳細な説明中に対応する事項が記載も示唆もされていないから、発明の詳細な説明に記載されたものではない。

よって、本件出願の請求項1及び請求項1の記載を引用する請求項2乃至8に係る発明、並びに請求項9及び請求項9の記載を引用する請求項10乃至17に係る発明は、いずれも発明の詳細な説明に記載されたものではない。

【理由3】本件出願は、特許請求の範囲の記載が下記の点で、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。

(1)請求項9の「排他的に利用されるものを命令ことを特徴とする」との記載は日本語として明確でない。

よって、本件出願の請求項9及び請求項9の記載を引用する請求項10乃至17の記載は明確でない。 」

3.判断
そこで、上記拒絶理由について検討する。
(a)上記拒絶理由で【理由1】(1)として指摘した、平成21年4月13日付けの手続補正後の特許請求の範囲に記載された請求項1の「ネイティブモードで呼び出すべき命令ではないと前記認識手段により認識される命令には、画像形成装置のユーザインタフェースを制御する命令を含み」との記載、及び、同請求項9の「ネイティブモードで呼び出すべき命令ではないと前記認識工程により認識される命令には、画像形成装置のユーザインタフェースを制御する命令を含み」との記載は、いずれも出願当初の明細書及び図面に記載されておらず、かつ、自明なものでもないため新規事項を追加しているものと認められるから、いずれも特許法第17条の2第3項の規定に違反するものである。

(b)上記拒絶理由で【理由1】(2)として指摘した、平成21年4月13日付けの手続補正後の特許請求の範囲に記載された請求項1の「ネイティブモードで呼び出すべきと前記認識手段により認識される命令には、前記オペレーティングシステムの上で実行されるアプリケーションと前記実行環境において実行されるアプリケーションとにおいて排他的に利用される命令を含む」との記載、及び、同請求項9の「ネイティブモードで呼び出すべきと前記認識工程により認識される命令には、前記オペレーティングシステムの上で実行されるアプリケーションと前記実行環境において実行されるアプリケーションとにおいて排他的に利用されるものを命令ことを」との記載は、いずれも出願当初の明細書及び図面に記載されておらず、かつ、自明なものでもないため新規事項を追加しているものと認められるから、いずれも特許法第17条の2第3項の規定に違反するものである。

(c)上記拒絶理由で【理由2】(1)として指摘した、平成21年4月13日付けの手続補正後の特許請求の範囲に記載された請求項1の「ネイティブモードで呼び出すべき命令ではないと前記認識手段により認識される命令には、画像形成装置のユーザインタフェースを制御する命令を含み」との記載、及び、同請求項9の「ネイティブモードで呼び出すべき命令ではないと前記認識工程により認識される命令には、画像形成装置のユーザインタフェースを制御する命令を含み」との記載は、いずれも発明の詳細な説明中に対応する事項が記載も示唆もされていないから、発明の詳細な説明に記載されたものではなく、特許法第36条第6項第1号の規定を満たしていない。

(d)上記拒絶理由で【理由2】(2)として指摘した、平成21年4月13日付けの手続補正後の特許請求の範囲に記載された請求項1の「ネイティブモードで呼び出すべきと前記認識手段により認識される命令には、前記オペレーティングシステムの上で実行されるアプリケーションと前記実行環境において実行されるアプリケーションとにおいて排他的に利用される命令を含む」との記載、及び、同請求項9の「ネイティブモードで呼び出すべきと前記認識工程により認識される命令には、前記オペレーティングシステムの上で実行されるアプリケーションと前記実行環境において実行されるアプリケーションとにおいて排他的に利用されるものを命令ことを」との記載は、いずれも発明の詳細な説明中に対応する事項が記載も示唆もされていないから、発明の詳細な説明に記載されたものではなく、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない。

(e)上記拒絶理由で【理由3】(1)として指摘した、平成21年4月13日付けの手続補正後の特許請求の範囲に記載された請求項9の「排他的に利用されるものを命令ことを特徴とする」との記載は、日本語として明確でないから、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。

4.むすび
以上のとおり、平成21年4月13日付けでした手続補正は、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしておらず、平成21年4月13日付け手続補正書により補正された請求項1及び請求項1の記載を引用する請求項2乃至8に係る発明、並びに請求項9及び請求項9の記載を引用する請求項10乃至17に係る発明は、いずれも発明の詳細な説明に記載されたものではないから特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしておらず、平成21年4月13日付け手続補正書により補正された請求項9の記載は明確でないから特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていないため、特許を受けることができない。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2009-09-09 
結審通知日 2009-09-15 
審決日 2009-09-29 
出願番号 特願2002-143080(P2002-143080)
審決分類 P 1 8・ 574- WZ (G06F)
P 1 8・ 572- WZ (G06F)
P 1 8・ 537- WZ (G06F)
P 1 8・ 55- WZ (G06F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 間野 裕一  
特許庁審判長 赤川 誠一
特許庁審判官 宮司 卓佳
鈴木 匡明
発明の名称 画像形成装置、制御方法、制御プログラム  
代理人 内尾 裕一  
代理人 西山 恵三  

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