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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H01L |
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管理番号 | 1207147 |
審判番号 | 不服2008-10256 |
総通号数 | 121 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2010-01-29 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2008-04-24 |
確定日 | 2009-11-12 |
事件の表示 | 特願2005- 30535「半導体装置」拒絶査定不服審判事件〔平成17年 6月 2日出願公開、特開2005-142593〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
[1]手続の経緯 本願は、平成11年9月22日に出願した特願平11-268925号を原出願とする分割出願(特願2001-158773号)をさらに分割して新たな出願としたものであり、平成19年11月30日付けで拒絶の理由が通知され、平成20年2月4日に意見書及び手続補正書が提出され、同年3月18日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、同年4月24日に拒絶査定に対する審判請求がなされたものである。 [2]本願発明 本願請求項1-10に係る発明は、平成20年2月4日付け手続補正書により補正された明細書、特許請求の範囲及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1-10に記載されたとおりのものと認められるところ、その請求項5に係る発明(以下、「本願発明」という。)は以下のとおりである。 「【請求項5】 表面及び裏面を有する半導体素子と、 前記半導体素子の表面上に形成された電極パッドと、 前記電極パッドに接続される配線と、 前記配線を含む前記半導体素子の表面上に形成された第1の樹脂と、前記 半導体素子の裏面上に貼付されたテープ状の第2の樹脂とを備え、 前記第1及び第2の樹脂の厚さは、前記第1の樹脂の厚さをA、前記第2 の樹脂の厚さをBとした場合、0.2≦B/A≦1を満たしていることを 特徴とする半導体装置。」 [3]引用刊行物の記載事項 原査定の拒絶の理由に引用された、本願の原出願日(平成11年9月22日)前に頒布された特開平11-121525号公報(以下、「引用刊行物」という。)には、図面とともに以下の事項が記載されている。 (a)「こうした電子機器の小型・薄型化への要求に応えるべく、最近、半 導体チップの大きさとほぼ同じ大きさとなるチップスケールパッケージ( CSP)と総称される半導体装置が使われるようになってきた。」(第2 頁第2欄第20-23行) (b)「図1は、本発明に係る半導体装置の第一の実施形態の構成を示す模 式断面図である。図1に示されるように、本発明に係る半導体装置Cは、 半導体チップと1と、絶縁薄膜10と、半導体チップ1および絶縁薄膜1 0を接合させる接着剤11と、半田接合部7を具備して構成される。 …半導体チップ1は、たとえばシリコンウエハーから形成された板状のシ リコン半導体素子チップであり、一方の面である下端面の内部側に半導体 回路1Aが形成され、下端面の表面にはこの半導体回路1Aに電気的に接 続された複数の接続電極(電極パッド)1Bが,主としてチップ周に沿っ て線上に配設されている。 …絶縁薄膜10は、たとえば有機材で形成され、内部に配線回路12が形 成されている。この配線回路12には、複数の内部端子5と複数の外部端 子4がそれぞれ接続されている。 …各内部端子5は、絶縁薄膜10の上端面に露出して配設されている。こ れらは、半導体チップ1側の前記各接続電極(電極パッド)1Bと接続さ れるものであり、… …また、各外部端子4は、絶縁薄膜10の下端面に露出して配設されてい る。 …… …絶縁薄膜10の素材は、…弾性特性にすぐれる有機材を用いることが好 ましい。… …たとえば有機材として、ポリアミド系、ポリイミド系、ポリイミドアミ ド系合成樹脂や、エポキシ系樹脂をはじめ、…などが好ましい。… …絶縁薄膜10は半導体チップ1と、各内部端子5と各接続電極(電極パ ッド)1Bとが接続された状態で、接着材11により接合される。あるい は絶縁薄膜10を形成する有機材料自体が接着性を有する素材であれば、 接着材11を用いることなく、直接半導体チップに接合してもよい。」( 第6頁第9欄第3行-第10欄第1行) (c)「図4は、…本発明の第三の実施形態による半導体装置の構成を示す 模式断面図である。 …同図に示されるように、本実施形態に係る半導体装置C3は、半導体チ ップ31の半導体回路が形成された面側に絶縁薄膜10が設けられるとと もに、相対する他方の面側にも同様の絶縁薄膜32が設けられる。すなわ ち、半導体チップ31の両面に絶縁薄膜10、32を設けるようにする。 …これにより、初期の組み立て時に起きる半導体チップ31と絶縁薄膜1 0との熱伸縮係数差で発生する変形力を、他の面において絶縁薄膜32に よって相殺でき、よって安定した初期組み立てが可能になる。…… …ここでとりわけ、半導体チップ32の両面に直接または間接に接して形 成された絶縁薄膜10、32を、少なくとも有機材料を含む材料で構成す ると、すると、有機材料で構成すると、有機材料の備える弾性特性を有効 に利用でき、よって前記の効果を効率的に実現することができる。 … また、この半導体チップ32の両面の絶縁薄膜10、32は、半導体 装置C3の反りを低減する目的にそって、同一材料でかつ同程度の厚さを 有しているものが望ましい…」(第7頁第12欄第3-27行) また、図1には、半導体チップの下面に、内部に配線回路を含む絶縁薄 膜を接着材により貼付した状態のチップスケールパッケージが示され、図 4には、さらに、半導体チップの上面にも絶縁薄膜を設けた状態が示され ている。 [4]引用発明 上記記載事項(a),(b)によれば、チップスケールパッケージとして、一方の面である下端面の表面に電極パッドが形成されたシリコン半導体素子チップに対し、内部に配線回路が形成され、該配線回路に接続される内部端子が上端面に露出して配設される樹脂からなる絶縁薄膜が、前記電極パッドと前記内部端子とが接続された状態で、接着材により、あるいは接着材を用いずに接合されたものが記載されており、 同(c)によれば、前記構造のチップスケールパッケージにおいて、初期組み立て時に発生する反りを防止すべく、樹脂からなる絶縁薄膜が形成された面と相対する他方の面にも、直接または間接に(すなわち、接着材を用い、あるいは用いずに)絶縁薄膜を設けること、すなわち半導体チップの両面に絶縁薄膜を設けること、そして、両面の絶縁薄膜を同一材料かつ同程度の厚さを有するものとすることが、反り低減のために望ましい旨記載されている。 よって、引用刊行物には、 「一方の面(下端面)及び他方の面を有するシリコン半導体素子チップと、前記シリコン半導体素子チップの一方の面(下端面)上に形成された電極パッドと、 前記電極パッドに接続される配線回路と、 前記配線回路を含む前記シリコン半導体素子チップの一方の面(下端面)上に形成された樹脂からなる絶縁薄膜と、他方の面上に接着材を用いて貼付された同一の樹脂からなる絶縁薄膜とを備え、 前記一方の面(下端面)上に形成された絶縁薄膜と他方の面上に設けられた同一の絶縁薄膜の厚さは、同程度の厚さであることを特徴とするチップスケールパッケージ。」の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されているといえる。 [5]対比・判断 本願発明と引用発明とを対比すると、引用発明における「一方の面(下端面)」、「他方の面」、「シリコン半導体素子チップ」、「配線回路」、「一方の面(下端面)上に形成された樹脂からなる絶縁薄膜」、「他方の面上に…貼付された同一の樹脂からなる絶縁薄膜」、「チップスケールパッケージ」は、それぞれ、本願発明の「表面」、「裏面」、「半導体素子」、「配線」、「第1の樹脂」、「第2の樹脂」、「半導体装置」に相当する。 また、引用発明における半導体素子両面に形成される樹脂の厚さは、本願発明と同じ反り低減の目的から、同程度の厚さとしており、上記一方の面上の第1の樹脂の厚さをA、上記他方の面上の第2の樹脂の厚さをBとした場合、B/Aの値の範囲は1ないしその近傍を含んでいることは明らかであり、本願発明で特定する範囲を含むものと認められる。 よって、両者は、 「表面及び裏面を有する半導体素子と、 前記半導体素子の表面上に形成された電極パッドと、 前記電極パッドに接続される配線と、 前記配線を含む前記半導体素子の表面上に形成された第1の樹脂と、前記 半導体素子の裏面上に貼付された第2の樹脂とを備え、 前記第1及び第2の樹脂の厚さは、前記第1の樹脂の厚さをA、前記第2 の樹脂の厚さをBとした場合、0.2≦B/A≦1を満たしていることを 特徴とする半導体装置。」である点で一致し、以下の点で相違する。 前記第2の樹脂が、本願発明では「テープ状」であるのに対し、引用発明では「薄膜」である点。 そこで、上記相違点について検討すると、 「テープ状」とは「薄膜」の一形態であるところ、半導体素子に「薄膜」を貼付するにあたり、該半導体素子の形状、大きさ等に応じた形態を採用することは設計的な事項にすぎず、引用発明における「薄膜」として、「テープ状」を選択することは、当業者が適宜なしえることにすぎない。 そして、本願発明が、引用刊行物の記載事項からは予想しえない効果を奏するものとも認められない。 したがって、本願発明は、引用発明に基いて当業者が容易に発明することができたものである。 [6]むすび 以上のとおりであるから、本願請求項5に係る発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 そのため、その他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。 よって、上記のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2009-09-01 |
結審通知日 | 2009-09-08 |
審決日 | 2009-09-28 |
出願番号 | 特願2005-30535(P2005-30535) |
審決分類 |
P
1
8・
121-
Z
(H01L)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 越本 秀幸 |
特許庁審判長 |
岡 和久 |
特許庁審判官 |
鈴木 正紀 粟野 正明 |
発明の名称 | 半導体装置 |