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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G03G
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 G03G
管理番号 1207161
審判番号 不服2008-17057  
総通号数 121 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2010-01-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2008-07-03 
確定日 2009-11-12 
事件の表示 特願2002-126262「画像形成方法」拒絶査定不服審判事件〔平成15年 1月17日出願公開、特開2003- 15398〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続きの経緯
本願は、平成14年4月26日(優先権主張 平成13年4月26日)の出願であって、平成20年3月3日付けで通知した拒絶理由に対して、同年5月9日付けで手続補正書が提出されたが、同年5月27日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、同年7月3日付けで審判請求がなされるとともに、同年7月31日付けで手続補正書が提出され、その後、当審の審尋に対する回答書が平成21年6月5日付けで提出されたものである。


第2 平成20年7月31日付けの手続補正の却下の決定

[補正却下の決定の結論]
平成20年7月31日付けの手続補正(以下、「本件補正」という。)を却下する。

[理由]
1.補正後の本願発明
本件補正には、特許請求の範囲を次のように補正しようとする事項が含まれている。

(補正前)
「【請求項1】着脱可能なプロセスカートリッジを用いる画像形成装置を用いて記録媒体上に画像を形成する画像形成方法であって、
該プロセスカートリッジは、感光体と、該感光体に形成された静電潜像を現像するためのトナーを収容し、このトナーを現像部に搬送するトナー担持体を備えたトナー収容部と、該トナー収容部内に配設された電極間の静電容量の変化によりトナー残量を検知できるトナー残量検出手段とを有し、
該トナーは、少なくとも結着樹脂、着色剤を含み、重量平均径が6.5?15.0μmであり、トナーのCarrの噴流性指数が80より大きいことを特徴とする画像形成方法。
【請求項2】該トナー残量検出手段は、該トナー担持体と対向し、間隔をおいて設置された上下二本の電極間の静電容量の変化を検知することを特徴とする請求項1に記載の画像形成方法。
【請求項3】該二本の電極のうち、どちらかがトナー担持体又は現像ブレード板金であることを特徴とする請求項2に記載の画像形成方法。
【請求項4】該トナー残量検出手段は、該トナー収納部内のトナーの増減に伴い接触面積が変動する位置に配置された静電容量発生部の静電容量の変化を検知することを特徴とする請求項1に記載の画像形成方法。
【請求項5】該トナー担持体の平均表面粗さ(Ra)が0.5?2.5μmの範囲であり、現像領域におけるトナー担持体面の移動速度が、対向する静電潜像担持体面の移動速度に対し、0.95?1.20倍の速度で移動しつつ、トナーで静電潜像を現像してトナー像を形成し、該トナー担持体上のトナー塗布量が3.0mg/cm^(2)以下であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の画像形成方法。
【請求項6】該トナーは、Carrの流動性指数が60より大きい値であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の画像形成方法。」

(補正後)
「【請求項1】着脱可能なプロセスカートリッジを用いる画像形成装置を用いて記録媒体上に画像を形成する画像形成方法であって、
該プロセスカートリッジは、感光体と、該感光体に形成された静電潜像を現像するための磁性トナーを収容し、この磁性トナーを現像部に搬送するトナー担持体を備えたトナー収容部と、該トナー収容部内に配設された電極間の静電容量の変化によりトナー残量を検知できるトナー残量検出手段とを有し、
該トナー担持体は、現像スリーブの中にマグネットが配置された構成を有し、
該磁性トナーは、少なくとも結着樹脂、磁性体を含み、重量平均径が6.5?15.0μmであり、磁性トナーのCarrの噴流性指数が80より大きいことを特徴とする画像形成方法。
【請求項2】該トナー残量検出手段は、該トナー担持体と対向し、間隔をおいて設置された上下二本の電極間の静電容量の変化を検知することを特徴とする請求項1に記載の画像形成方法。
【請求項3】該二本の電極のうち、どちらかがトナー担持体又は現像ブレード板金であることを特徴とする請求項2に記載の画像形成方法。
【請求項4】該トナー残量検出手段は、該トナー収納部内のトナーの増減に伴い接触面積が変動する位置に配置された静電容量発生部の静電容量の変化を検知することを特徴とする請求項1に記載の画像形成方法。
【請求項5】該トナー担持体の平均表面粗さ(Ra)が0.5?2.5μmの範囲であり、現像領域におけるトナー担持体面の移動速度が、対向する静電潜像担持体面の移動速度に対し、0.95?1.20倍の速度で移動しつつ、磁性トナーで静電潜像を現像してトナー像を形成し、該トナー担持体上のトナー塗布量が3.0mg/cm^(2)以下であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の画像形成方法。
【請求項6】該磁性トナーは、Carrの流動性指数が60より大きい値であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の画像形成方法。」

この補正事項は、請求項1において、補正前のトナーを「磁性トナー」に限定するとともに、補正前の「トナー担持体」について「該トナー担持体は、現像スリーブの中にマグネットが配置された構成を有し」という限定を付すものである。また、請求項5,6においても、トナーを「磁性トナー」に限定する。
したがって、本件補正は、平成14年法律第24号改正附則第2条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第4項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的としたものに該当する。

そこで、本件補正後の前記請求項1に記載された発明(以下、「本願補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるかどうかについて以下に検討する。

2.引用刊行物の記載事項

(1)刊行物1
原査定の理由に引用された、本願の優先日前に頒布された特開2000-250380号公報(原査定の引用文献1。以下、「刊行物1」という。)には、図面とともに、次の事項が記載されている。なお、下線は当審で付した。

(1a)「【請求項20】 電子写真画像形成装置本体に着脱可能なプロセスカートリッジにおいて、(a)電子写真感光体と、(b)前記電子写真感光体に形成された静電潜像を現像するために、前記電子写真感光体へ現像剤を搬送する現像剤担持体と、
第一の導電部と、
前記第一の導電部との間で静電容量を発生するように設けられた第二の導電部と、
前記第一の導電部に印加する電圧を前記電子写真画像形成装置本体から受けるための第一の電気接点と、
前記第一の導電部に電圧を印加した際に発生する、前記第一の導電部と第二の導電部間の静電容量に応じた電気信号を前記電子写真画像形成装置本体に伝達するための第二の電気接点と、を有する現像装置と、を有することを特徴とするプロセスカートリッジ。
・・・(中略)・・・
【請求項38】 更に、前記現像剤担持体の内部にはマグネットが設けられており、そして、前記現像剤は磁性現像剤であって、前記マグネットの磁力によって前記現像剤担持体の表面に付着することを特徴とする請求項20又は21のプロセスカートリッジ。」

(1b)「【0010】本発明の目的は、現像剤の残量を逐次に検出することのできる現像装置、プロセスカートリッジ、電子写真画像形成装置、及びそれらに用いられる現像フレームを提供することにある。」

(1c)「【0033】実施例1
先ず、図1を参照して、本発明に従って構成されるプロセスカートリッジを装着可能な電子写真画像形成装置の一実施例について説明する。本実施例にて、電子写真画像形成装置は、電子写真式のレーザービームプリンタとされ、電子写真画像形成プロセスによって記録媒体、例えば、記録紙、OHPシート、布などに画像を形成するものである。」

(1d)「【0035】つまり、図3をも参照するとよりよく理解されるように、現像手段9は、現像剤担持体としての現像ローラ9aを備えた現像室9Aを有しており、現像室9Aに隣接して形成された現像剤収容部としての現像剤容器11A内の現像剤を現像剤送り部材9bの回転によって、現像室9Aの現像ローラ9aへと送り出す。現像室9Aには、現像ローラ9aの近傍に現像剤撹拌部材9eを備えており、現像室内の現像剤を循環させる。又、現像ローラ9aは、固定磁石(マグネット)9cを内蔵しており、現像ローラ9a回転することによって現像剤は搬送され、現像剤量規制部材としての現像ブレード9dにて摩擦帯電電荷が付与されると共に所定厚の現像剤層とされ、感光体ドラム7の現像領域へと供給される。この現像領域へと供給された現像剤は、前記感光体ドラム7上の潜像へと転移され、トナー像を形成する。現像ローラ9aは、現像バイアス回路に接続されており、通常、交流電圧に直流電圧が重畳された現像バイアス電圧が印加される。」

(1e)「【0040】一方、本実施例にては、プロセスカートリッジBは、図3に示すように、現像剤を収納する現像剤容器(現像剤収納部)11A及び現像剤送り部材9bを有する現像剤枠体11と、現像ローラ9a及び現像ブレード9dなどの現像手段9を保持する現像フレーム(現像枠体)12とを溶着して一体として現像ユニット(現像装置構成部)を形成し、更にこの現像ユニットに、感光体ドラム7、クリーニングブレード10aなどのクリーニング手段10及び帯電ローラ8を取り付けたクリーニング枠体13を一体に結合することによってカートリッジ化されている。
【0041】このプロセスカートリッジBは、ユーザーによって電子写真画像形成装置本体14に設けたカートリッジ装着手段に対して取り外し可能に装着される。本実施例によれば、カートリッジ装着手段は、図4に示す、プロセスカートリッジBの両外側面に形成したガイド手段13R(13L)と、このガイド手段13R(13L)を装入可能に装置本体14に形成したガイド部16R(16L)(図5)にて構成される。
【0042】本実施例によれば、プロセスカートリッジBは、現像室9A内の現像剤の消費に従ってその残量を逐次検知することのできる検出手段としての現像剤量検出装置を備えている。
【0043】本実施例によれば、現像剤量検出装置は、図3に示すように、現像剤検出部80を構成する測定電極部材としての第一の導電部(電極)81及び第二の導電部(電極)82が現像ローラ9aに沿って配置される。そして、第一の電極81又は第二の電極82のどちらかに電圧を印加することで、両電極81、82間に静電容量を誘起させ、この静電容量を測定することで現像剤量を検出する。本実施例では、詳しくは後述するように、第一の電極81に電圧が印加される。
【0044】現像ローラ9aに内包されたマグネットローラ9cの磁力で現像ローラ9a表面に引き寄せられた磁性現像剤は現像ローラ9aの回転時に現像ブレード9dによって掻き取られ、現像ローラ9a表面に均一にならされる。
【0045】第一及び第二の電極81、82は、現像ローラ9aの表面から掻き取られた現像剤が両電極81、82間に進入する位置に配置されている。
【0046】現像剤の誘電率は空気より高いため、第一及び第二の電極81、82間に現像剤があるとき、静電容量は増大する。従って、後で詳しくは説明するが、現像室9A内に現像剤が十分にあるときは、前述の掻き取られた現像剤が順次、第一及び第二の電極81、82間に進入するため、常に、大きな静電容量を出力する。又、現像室9A内の現像剤が消費されるにつれて、第一及び第二の電極81、82間に進入する現像剤も減少し、静電容量も減少する。即ち、現像剤量検出装置は、静電容量変化を検出することで、現像剤量を逐次に検知することができる。このことを模式的に示すと、図7のように表せる。」

(1f)「【0068】上記実施例では、現像剤としては磁性現像剤を用いた場合の現像剤逐次検知の構成について説明したが、本発明は、図21に示すような、非磁性現像剤を用いた現像装置構成を備えたプロセスカートリッジにも適用できる。」

(1g)また、図3は以下のとおりである。

(1h)また、上記(1a)(1c)等からすると、刊行物1には、「着脱可能なプロセスカートリッジを用いる画像形成装置を用いて記録媒体上に画像を形成する画像形成方法」が記載されているということもできる。

これら事項によれば、刊行物1には、次の発明(以下、「刊行物1記載の発明」という。)が記載されているものと認められる。

「着脱可能なプロセスカートリッジを用いる画像形成装置を用いて記録媒体上に画像を形成する画像形成方法であって、
該プロセスカートリッジは、感光体ドラムと、磁性現像剤を収納する現像剤容器(現像剤収納部)及び現像ローラを有する現像ユニットと、現像ユニット内に配設された電極間に静電容量を誘起させ、この静電容量を測定することで現像剤量を検出する現像剤残量検出装置とを有し、
現像ローラは、固定磁石(マグネット)を内蔵している、
画像形成方法。」


(2)刊行物2
また、同じく原査定の理由に引用された、本願の優先日前に頒布された特許第2943035号公報(平成11年8月30日発行。原査定の引用文献4。以下、「刊行物2」という。)には、図面とともに、次の事項が記載されている。なお、下線は当審で付した。

(2a)「【請求項1】 少なくとも結着樹脂と着色剤からなる一成分トナーにおいて、該トナーの噴流性指数が50?80であることを特徴とする一成分トナー。
【請求項2】 少なくとも潜像担持体にトナーを搬送するトナー担持体と、該トナー担持体上に所定厚さのトナー薄層を形成するための規制部材からなる一成分現像方法において、少なくとも結着樹脂と着色剤からなるトナーの噴流性指数が50?80である一成分トナーを用いることを特徴とする現像方法。
【請求項3】 潜像担持体にトナーを搬送するトナー担持体が弾性変形可能な担持体であることを特徴とする請求項2記載の現像方法。」

(2b)「【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前述の従来の一成分トナーでは表面に付着している流動性向上化剤が現像剤内部の攪拌により剥離し、帯電量の低下、耐環境特性の低下及び逆極性トナーの発生等の欠点を有している。さらに弾性変形可能なトナー担持体を用いて潜像担持体を可視像化する現像方法においては、トナー層厚規制部材へのトナーのフィルミング、及び現像器内部の隙間への凝集が生じ、トナー薄層の不均一による白スジの発生、帯電量変動による濃度むら、逆極性トナー発生による地かぶり等の画像劣化に大きく影響するという問題点を有している。
【0006】そこで本発明はこのような問題点を解決するもので、その目的とするところは、経時変化の無い、安定した噴流性を有するトナーを提供することであり、更にまた、弾性変形可能なトナー担持体を用いて潜像担持体に現像を行う現像方法において、高解像で高画質の画像を形成する現像方法を提供する事である。」

(2c)「【0009】
【作用】本発明によれば、現像器内でのトナーのフィルミング及び凝集がトナー粉体特性とどの様に関係するか、鋭意検討を重ねた結果、トナーの噴流性指数と相関があることが明かとなり、本発明に至った。噴流性は粉体が空気を含んだ時の流動性を示す指針であり、Carrにより提案されている。これは付着性、凝集性、流動性等を比較検討して、総合的に判断する特性値であり、噴流性指数は流動性、崩壊角、差角、分散度の特性値を求め、それを25点満点に評価採点し、総合点とするものである。
【0010】現像器内ではトナー担持体に、常に安定にトナーを供給するために、トナーは攪拌されている。つまり、トナー粉体は常に空気を含んだ状態にある。従って、トナーの噴流性を向上させると現像器内でのトナーの滞留がなくなり、トナー粉体の現像器内での流れがスムーズになり、フィルミング及び凝集を防止することが可能になるものと考えられる。」

(2d)「【0012】
【実施例】本発明に用いるトナーは一般の混練粉砕法、スプレードライ法、重合法によって作製された粒径5?20μmのものを使用することができる。 次に、従来の方法で作製したトナーを母粒子として(以下、母粒子トナーとする。)流動性向上化剤を母粒子トナーの表面に固着させる。固着させる方法としては、いわゆる、高速流動攪はん機を使用する。
・・・(中略)・・・
【0014】着色剤としてはカーボンブラック、スピリットブラック、ニグロシンなどの黒色染・顔料を使用する。カラー用としては、フタロシアニン、ローダミンBレーキ、ソーラピュアイエロー8G、キナクリドン、ポリタングストリン酸、インダスレンブルー、スルホンアミド誘導体などの染料を使用することができる。この他に磁性トナー用として、Fe_(3)O_(4),Fe_(2)O_(3),Fe、Cr,Niなどの磁性粉を添加する。」

(2e)「【0017】次に、本発明の現像方法を用いた画像形成装置の断面概観図を図1に示す。潜像担持体1は、導電性の支持部2の上に有機または無機の光導電性を有する感光層3を形成したものであって、感光層3をコロナ帯電器や帯電ローラー等の帯電器4を用いて帯電した後に、レーザーやLED等の光源5から出た光を結像光学系6を通して感光層3に画像に応じて選択的に光照射して電位コントラストを得て静電潜像を形成する。一方、現像装置7は非磁性のトナー8を搬送し現像するものであって、トナー8を搬送するトナー担持体9は、シャフト10の外周に弾性層11及び導電層12をそれぞれ同心円状に配設したもので、非磁性または磁性の金属や樹脂で構成される板状の規制部材13をトナー担持体9に押圧してトナー8を所定の極性に帯電させると共にトナー層を適量に薄層化し、導電層12の表面近傍に静電的鏡像力により非磁性のトナー8をトナー担持体9上に直接保持し、トナー担持体9を回転させて薄層のトナー8を搬送するものである。潜像担持体1とトナー担持体9が近接する現像ギャップ部までトナー8が搬送されると潜像担持体1の電位コントラスト及び現像バイアス印加手段14により現像電界が形成され、現像電界に応じて帯電したトナー8が潜像担持体1に付着し静電潜像が顕像化される。さらに、コロナ転写器や転写ローラー等の転写器15を用いて記録紙16上にトナーによる像を転写し、熱や圧力を用いてトナーを記録紙に定着し所望の画像を記録紙上に得るものである。」

(2f)「【0018】(実施例1)
{母粒子トナーの作製}
ポリエステル樹脂 92wt%
ポリプロピレンワックス 1wt%
電荷制御剤 1wt%
カーボンブラック 6wt%
上記組成の原料を使用し、スクリュウ押出機で混練し、粗粉砕する。次にジエット粉砕機で微粉砕し、分級して体積平均粒径9μmの母粒子トナーを作製した。
【0019】{流動性向上化剤の固着}前記母粒子トナーに流動性向上化剤としてSiO_(2)を混合して、ヘンシェルミキサーを用いてSiO_(2)を母粒子トナーの表面に固着させトナーを作製した。この時、SiO_(2)添加量、及びヘンシェルミキサーによる混合条件を変化させて、噴流性指数の異なる種種のトナーを試作した。
【0020】{画像形成}次に、上記方法で作製したトナーを本発明の現像方法からなる図1に示す画像形成装置により、600DPIのライン画像及び文字画像及びソリッド画像を10000枚にわたり連続形成したところ、表1に示す結果となった。
【0021】
【表1】

【0022】表1から明らかなように噴流性指数が50?80のトナーは10000枚にわたる印字においても、600DPIのライン画像が線太りすることなく安定に形成され、画像端部の尾引きや地カブリがなく、OD値1.4以上の高濃度なソリッド画像を安定して形成することができ、記録紙上に地カブリがないのはもちろん潜像担持体上にも地カブリが少なく廃トナー量を低減することができた。
【0023】しかし、噴流性指数が50未満のトナーの場合は、規制部材上へのフィルミングが生じ、白スジの原因になった。また、現像器内のデットスペース部分でトナーの凝集が生じていた。また、噴流性指数が80を越えたトナーの場合は、トナー飛散が激しく、装置内を汚染し、更に、地かぶりとなって画質を劣化させた。」

(2g)「{実施例2}本実施例では母粒子の組成を以下に示すもの変えてトナーを作製した。
【0024】
ポリエステル樹脂 68.6wt%
Fe_(3)O_(4) 30wt%
ポリプロピレンワックス 0.7wt%
電荷制御剤 0.7wt%
上記組成の原料を用いて実施例1と同様に母粒子を作製した。
【0025】以下、{流動性向上化剤の固着}についても実施例1と同様にして行い、実施例1と同様な種類のトナーを作製した。
【0026】{画像形成}次に、上記方法で作製したトナーを本発明の他の現像方法からなる図2に示す画像形成装置により印字し、評価した。図2は本実施例における現像方法を用いた画像形成装置の断面概観図であって、図1と略同一機能同一名称の部材には同一番号を付して説明を省略する。現像装置21は磁性トナー22を搬送し現像するものであって、トナー22を搬送するトナー担持体9は、磁界発生層23の外周の漏洩磁束により磁性のトナー22をトナー担持体9上に直接保持し、非磁性または磁性の金属や樹脂で構成される薄板バネ状の弾性ブレード13をトナー担持体9に押圧してトナー22を所定の極性に帯電させると共に適量に薄層化して、トナー担持体9を回転させて薄層のトナー22を搬送するものである。トナー担持体9は潜像担持体1に所定の圧力で圧接されており、トナー担持体9上のトナー22が圧接部に搬送されると、潜像担持体1の電位コントラスト及び現像バイアス印加手段14による現像電界に応じて帯電したトナー22が潜像担持体1に付着し静電潜像が顕像化される。図2に示されるような画像形成装置を用いて、600DPIのライン画像及び文字画像及びソリッド画像を10000枚にわたり連続形成したところ、実施例1と同様な結果となった。結果を表2に示す。
【0027】
【表2】

【0028】この様に本実施例の磁性トナーを用いた、磁性現像方法においても、実施例1の非磁性現像方法と同様な結果となった。」


3.対比・判断
そこで、本願補正発明と刊行物1記載の発明とを対比すると、
刊行物1記載の発明の「感光体ドラム」「磁性現像剤」「現像ローラ」は、それぞれ、本願補正発明の「感光体」「磁性トナー」「トナー担持体」に相当するということができる。

また、本願補正発明の「トナー担持体を備えたトナー収容部」の概念は必ずしも明確でないが、本願の明細書の【0133】の「図2に示すように、現像手段9は、トナー担持体としての現像スリーブ9aを備えた現像室9Aを有しており、現像室9Aに隣接して形成されたトナー収納部としてのトナー容器11A内のトナーをトナー送り部材9bの回転によって、現像室9Aの現像スリーブ9aへと送り出す。」という記載を考慮すると、本願補正発明の「トナー担持体を備えたトナー収容部」とは、実質的に「トナー担持体」及び「トナー収容部」を有するという意味であるといえる。そうすると、「磁性現像剤を収納する現像剤容器(現像剤収納部)及び現像ローラを有する現像ユニット」を有する刊行物1記載の発明も、本願補正発明の「トナー担持体を備えたトナー収容部」を備えているということができる。

刊行物1記載の発明の「現像ユニット内に配設された電極間に静電容量を誘起させ、この静電容量を測定することで現像剤量を検出する現像剤残量検出装置」「現像ローラは、固定磁石(マグネット)を内蔵している」は、実質的に、それぞれ、本願補正発明の「該トナー収容部内に配設された電極間の静電容量の変化によりトナー残量を検知できるトナー残量検出手段」「該トナー担持体は、現像スリーブの中にマグネットが配置された構成を有し」に相当する。

そうすると、両者の一致点、相違点は次のとおりと認められる。

[一致点]
「着脱可能なプロセスカートリッジを用いる画像形成装置を用いて記録媒体上に画像を形成する画像形成方法であって、
該プロセスカートリッジは、感光体と、該感光体に形成された静電潜像を現像するための磁性トナーを収容し、この磁性トナーを現像部に搬送するトナー担持体を備えたトナー収容部と、該トナー収容部内に配設された電極間の静電容量の変化によりトナー残量を検知できるトナー残量検出手段とを有し、
該トナー担持体は、現像スリーブの中にマグネットが配置された構成を有する、
画像形成方法。」

[相違点]
本願補正発明では、磁性トナーは、少なくとも結着樹脂、磁性体を含み、重量平均径が6.5?15.0μmであり、磁性トナーのCarrの噴流性指数が80より大きいのに対し、
刊行物1記載の発明では、そのような明記又は特定がない点。

相違点について検討する。

まず、刊行物1における磁性現像剤は、明記がないが、通常、結着樹脂、磁性体を含んでいるものである。

次に、刊行物2には、弾性変形可能なトナー担持体を用いた画像形成において、少なくとも結着樹脂、磁性体を含み、粒径5?20μmの磁性トナーを用い、磁性トナーのCarrの噴流性指数を50?80の範囲として、トナーの噴流性を向上させると、現像器内でのトナーの滞留がなくなり、トナー粉体の現像器内での流れがスムーズになり、フィルミング及び凝集を防止することが可能になること、が記載されている。

そうすると、「現像器内でのトナーの滞留がなくなり、トナー粉体の現像器内での流れがスムーズになること」は、刊行物1記載の発明における、現像スリーブの中にマグネットが配置された構成を有する現像ローラ(トナー担持体)においても、望ましいことは明らかであるから、
当業者であれば、刊行物1記載の発明の磁性トナーとして、刊行物2に記載された、少なくとも結着樹脂、磁性体を含み、粒径5?20μmであってCarrの噴流性指数を50?80の範囲の磁性トナーを用いてみようとするものである。

ここで、刊行物2に記載された磁性現像剤は、Carrの噴流性指数で50?80の範囲のものであり、本願補正発明が規定する「Carrの噴流性指数80より大きい」範囲から外れるものである。
しかし、本願補正発明が規定する「Carrの噴流性指数80より大きい」範囲とは、刊行物2に記載された「Carrの噴流性指数で50?80」の上限である80を少しでも超えるもの(例えば80.1と、0.1だけ大きいものでよい。)を含むものである。
そして、刊行物2の実施例2(磁性トナー)をみると、トナー8(噴流性指数80)では地かぶりを含め高い評価を得ているが、トナー10(噴流性指数90)では地かぶりが発生し低い評価となっている。
しかし、刊行物1記載の発明における、現像スリーブの中にマグネットが配置された構成を有するトナー担持体に対して、上記のとおり、刊行物2記載のCarrの噴流性指数で50?80の範囲の磁性トナーを適用するに際して、「現像器内でのトナーの滞留がなくなり、トナー粉体の現像器内での流れがスムーズになる」とともに「地かぶり発生がない」という適度にバランスするような、できるだけ高い噴流性指数の磁性トナーを試してみるということは、当業者であれば、適宜行うことである。
また、刊行物1記載の発明において、採用する磁性トナーの特性、画像形成装置、画像形成プロセスなどの各種条件によっては、トナー飛散や地かぶりが抑制されることがあるから、当業者であれば、これら各種条件に応じて、刊行物2に記載された「Carrの噴流性指数で50?80」の上限である80を若干超える程度のものを試してみようとすることは、何ら特別で困難なことではない。

一方、本願の明細書では、実施例において効果が確認されているが、その実施例は、図23,24に示されるような、「トナー容器11Aは下に三つこぶの円形底を形成し、各こぶの中に3つの撹拌部材9e,9f,9gを備える。そして、各撹拌部材は仕切り部材によってそれぞれトナー撹拌領域を形成する。」(【0201】)という、本願補正発明には特定のない、特殊なトナー容器である(なお、トナー量を逐次検知するための第一の検知部材25と第二の検知部材26が設けられているが、その構造や設置位置等も、図24の記載からは十分に理解することができない。)。
そして、本願の表4には、実施例、比較例について、逐次トナー残量検知測定結果として、計算上のトナー重量、トナー残量測定値を比較して得られた測定誤差が示されており、トナー残留25%表示時の測定誤差をまとめると以下のようになる。

噴流性指数 測定誤差(トナー残留25%表示時)
実施例1: 92.0 5.5?6.3%
実施例2: 86.0 6.9?7.1%
実施例3: 82.5 8.5%
比較例1: 73.0 12.5%

これをみると、次のことが理解される。
・噴流性指数が大きくなると、測定誤差が小さくなるが、80を超えても、少なくとも5.5?8.5%程度の測定誤差が残ること。
・しかも、80をかなり下回る比較例でも、測定誤差は12.5%に留まり、測定誤差が急激に変化する臨界点が80にあることまでは示されていないこと。
・どの程度の測定誤差を許容するかは、当業者が適宜決めることであり、10%程度の誤差でも許容されるのであれば、刊行物2記載の「噴流性指数で50?80の範囲」が採用される可能性があること。

また、トナー残留5%表示時は以下のとおりである。

噴流性指数 測定誤差(トナー残留5%表示時)
実施例1: 92.0 1.1?1.3%
実施例2: 86.0 1.5?1.6%
実施例3: 82.5 2.3%
比較例1: 73.0 5.5%

これをみると、実施例3と比較例1とで、測定誤差に3%を超える差がある。しかし、比較例1の5.5%という測定誤差は、上記した「トナー残留25%表示時」の実施例1の測定誤差(5.5?6.3%)に匹敵するものであり、大き過ぎるとはいえない。

さらに、測定誤差は、トナー容器の種類に依存することは明らかであるし(本願の実施例では上記の特殊な容器を使用している)、使用しているトナー撹拌・搬送部材の搬送能力にも依存すること(例えば、本願明細書にも以下に示す記載がある)から、磁性トナーのCarrの噴流性指数が80より若干でも大きい程度でよいとは必ずしもいえないこと。また、これらトナー容器の種類やトナー撹拌・搬送部材の搬送能力によれば、トナーのCarrの噴流性指数が80を若干下回る場合でも、許容される誤差範囲に入る可能性もある。

(本願明細書の記載)
「【0156】トナー容器11内のトナー高さ(トナー残量)と静電容量値の変化の傾向は、使用しているトナーの粉体特性やトナー攪拌・搬送部材9bの搬送能力によって左右される。
【0157】例えば、トナーが水のような流動性を有している場合、トナー容器11内のトナー高さと第1、第2電極81、82間のトナー高さは完全に一致するが、実際のトナーの流動性は水の流動性に比べて低く、トナー攪拌・搬送部材9bによって現像室9A側に搬送された状態をある程度維持するため、図4(a)乃至(d)に示したように、トナー容器11内のトナー高さの変化に若干遅れて第1、第2電極81、82間のトナー高さが変化する傾向がある。しかしながら、本発明のトナーは、高い噴流性を有しているため、トナー容器のトナー高さと電極の間のトナーの高さとの差が少なく、設計の自由度を高めることができる。
【0158】また、トナー攪拌・搬送部材9bの搬送力が弱すぎても強すぎても、第1、第2電極81、82間へのトナーの入り込みが変わり、トナー残量の変化と静電容量値の変化との関係が異なったものとなる。」

これらの点を勘案すると、本願補正発明において「磁性トナーのCarrの噴流性指数が80より大きい」とする数値範囲に、明確な臨界的意義はなく、また、当該数値範囲にあれば有利な効果が常に発揮されるというものでもない。

そうしてみると、刊行物1記載の発明において、刊行物2に記載された事項を適用して、その際に、本願補正発明のごとく、磁性トナーを、少なくとも結着樹脂、磁性体を含み、重量平均径が6.5?15.0μmであり、磁性トナーのCarrの噴流性指数が80より大きいものとすることは、当業者が適宜容易になし得ることと言わざるをない。

(まとめ)
以上のとおりであるから、本願補正発明は、刊行物1,2に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるので、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

4.むすび
したがって、本件補正は、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。


第3 本願発明について
1.本願発明
平成20年7月31日付けの手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1?6に係る発明は、平成20年5月9日付けの手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1?6に記載されたとおりのものと認められるところ、その請求項1に係る発明(以下、「本願発明1」という。)は次のとおりである。

「【請求項1】着脱可能なプロセスカートリッジを用いる画像形成装置を用いて記録媒体上に画像を形成する画像形成方法であって、
該プロセスカートリッジは、感光体と、該感光体に形成された静電潜像を現像するためのトナーを収容し、このトナーを現像部に搬送するトナー担持体を備えたトナー収容部と、該トナー収容部内に配設された電極間の静電容量の変化によりトナー残量を検知できるトナー残量検出手段とを有し、
該トナーは、少なくとも結着樹脂、着色剤を含み、重量平均径が6.5?15.0μmであり、トナーのCarrの噴流性指数が80より大きいことを特徴とする画像形成方法。」

2.引用刊行物の記載事項
原査定の理由に引用された次の刊行物の記載事項は、上記「第2 2.」に記載されたとおりである。

(1)刊行物1:特開2000-250380号公報(原査定の引用文献1)
(2)刊行物2:特許第2943035号公報(原査定の引用文献4)

3.対比・判断
本願発明1は、本願補正発明において、「磁性トナー」から磁性との限定を省くともに、「トナー担持体」について「該トナー担持体は、現像スリーブの中にマグネットが配置された構成を有し」という限定を省いたものである。
そうすると、本願補正発明が、前記「第2 3.」に記載したとおり、刊行物1,2に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明1も、同様の理由により、刊行物1,2に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

4.むすび
以上のとおりであるから、本願の請求項1に係る発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないので、他の請求項を検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2009-09-11 
結審通知日 2009-09-15 
審決日 2009-09-28 
出願番号 特願2002-126262(P2002-126262)
審決分類 P 1 8・ 575- Z (G03G)
P 1 8・ 121- Z (G03G)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 ▲高▼橋 祐介  
特許庁審判長 木村 史郎
特許庁審判官 伊藤 裕美
柏崎 康司
発明の名称 画像形成方法  
代理人 内尾 裕一  
代理人 西山 恵三  

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