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審決分類 |
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 H04L 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H04L |
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管理番号 | 1207206 |
審判番号 | 不服2007-31175 |
総通号数 | 121 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2010-01-29 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2007-11-19 |
確定日 | 2009-11-09 |
事件の表示 | 平成11年特許願第 67193号「ネットワークシステム及びネットワークサーバ」拒絶査定不服審判事件〔平成12年 9月29日出願公開、特開2000-270007〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
第1.手続の経緯 本願は、平成11年3月12日の出願であって、平成19年10月16日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、同年11月19日に拒絶査定に対する審判請求がなされるとともに、同年12月19日付けで手続補正がなされたものである。 第2.補正却下の決定 [結論] 平成19年12月19日付けの手続補正を却下する。 [理由] 1.本願発明と補正後の発明 上記手続補正(以下、「本件補正」という。)は、補正前の平成19年7月27日付けの手続補正書の特許請求の範囲の請求項1に記載された、 「第1の端末装置と第2の端末装置、及びネットワークサーバが接続されるネットワークシステムにおいて、 上記第1の端末装置及び上記第2の端末装置を上記ネットワークサーバに登録し、 上記ネットワークサーバは、上記第1の端末装置から上記第2の端末装置へ送信すべき情報を受信すると、上記第2の端末装置に送信すべき情報を上記第2の端末装置に応じた情報に変換して上記第2の端末装置に送信し、上記第2の端末装置から上記情報を受信したことを示す応答信号を受信すると、上記第2の端末装置が上記情報を受信したことを示す確認信号を上記第1の端末装置に送信する ことを特徴とするネットワークシステム。」 という発明(以下、「本願発明」という。)を、 「第1の端末装置と第2の端末装置、及びネットワークサーバが接続されるネットワークシステムにおいて、 上記第1の端末装置及び上記第2の端末装置を上記ネットワークサーバに登録し、 上記ネットワークサーバは、上記第1の端末装置から上記第2の端末装置へ送信すべき情報を受信すると、上記第2の端末装置の使用者に対して予め登録されている電話番号に電話をかけ、上記第2の端末装置に送信すべき情報を上記第2の端末装置に応じた情報に変換して上記第2の端末装置に送信し、上記第2の端末装置から上記情報を受信したことを示す応答信号を受信すると、上記第2の端末装置が上記情報を受信したことを示す確認信号を上記第1の端末装置に送信する ことを特徴とするネットワークシステム。」 という発明(以下、「補正後の発明」という。)に変更することを含むものである。 2.補正の適否 (1)新規事項の有無、補正の目的要件 本件補正は、願書に最初に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内において、補正前の「上記第1の端末装置から上記第2の端末装置へ送信すべき情報を受信すると、」を、 「上記第1の端末装置から上記第2の端末装置へ送信すべき情報を受信すると、上記第2の端末装置の使用者に対して予め登録されている電話番号に電話をかけ、」とし、ネットワークサーバの構成を限定することにより特許請求の範囲を減縮するものであるから、特許法第17条の2第3項(新規事項)及び第4項第2号(補正の目的)の規定に適合している。 (2)独立特許要件 上記補正は特許請求の範囲の減縮を目的とするものであるから、上記補正後の発明が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるのかどうかについて以下検討する。 [補正後の発明] 上記「1.本願発明と補正後の発明」の項で「補正後の発明」として認定したとおりである。 [引用発明及び周知技術] A.原審の拒絶理由に引用された特開平10-336319号公報(以下、「引用例」という。)には、「選択的通信方法及びその通信システム」として、図面とともに以下の事項が記載されている。 (イ)「【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、電話、ファクシミリ(以下、単にFAXと略記する)、インターネット電話、WWW(World Wide Web)、電子メール等の各種メディア間の通信において着信者の最適な通信手段により発信者から着信者に通信を行う選択的通信方法及びその通信システムに関する。 【0002】 【従来の技術】従来の通信システムにおいては、発信者は着信者の設備を考慮して通信を行わなければならなかった。発信者は電話機から電話網等を介して音声により着信者に意思を伝えることができたが、発信者の都合により通信設備、通信手段が決められており、また着信者の都合(時間や行動等)に対して適切な通信が行えていたわけではなかった。 【0003】発信者が着信者の使用可能なネットワーク(電話網、インターネット等)、通信方法(音声通信、FAX通信、電子メール等)を意識することなく、また着信者の都合(時間、行動等)に対して適切な通信を行うことが可能な技術は開発されていなかった。 【0004】 【発明が解決しようとする課題】従来の技術では、通信は発信者の一方的な意思により使用するネットワーク、通信方法が決められていたため、着信者のネットワーク、通信方法、都合(時間、行動等)が発信者の意思と一致しない場合は発信者と着信者との間に通信が成立しなかった。 【0005】本発明は、上記に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、着信者に最適な通信手段により発信者から着信者に通信を行うことができる選択的通信方法及びその通信システムを提供することにある。 【0006】 【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため、請求項1記載の本発明は、ネットワークを介して接続される電話、ファクシミリ、インターネット電話、電子メール等の各種メディアを適宜利用して発信者から着信者に通信を行うときの選択的通信方法であって、前記着信者にとって最適な通信の受信方法に関する情報を前記ネットワークに設けられる通信システムの蓄積部に登録しておき、前記着信者に対する通信に際しては、ネットワークを介して前記蓄積部から当該着信者に係る受信方法に関する情報を受け取り、該受信情報から最適なメディアを選択し当該着信者との通信を行うことを要旨とする。」(第2頁1?2欄、段落1?6) (ロ)「【0011】 【発明の実施の形態】以下、図面を用いて本発明の実施の形態について説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る選択的通信方法を実施する選択的通信システムの全体構成図である。図1において、ネットワーク1には発信者および着信者が使用する複数の通信機器3および通信システム5が接続されている。通信システム5は、各通信機器3とネットワーク1を介して通信を行う通信部11、着信者の時間や行動等を含む都合に基づいた通信方法、通信機器の種類、電話番号、メールアドレスを含む通信の受信方法に関する情報を登録する蓄積部13、着信者の前記情報を解析して発信者の通信機器と着信者の通信機器を接続するように前記通信部11に指示を与える通信制御部15、および着信者の通信を受ける場合に指定するID(識別情報)を発信者に通知する情報通知部17を有する。 【0012】以上のように構成されるシステムにおいては、前記通信機器3で使用しうる各種メディアとして、図2に示すように、電話21、FAX23、インターネット電話25、WWW27、電子メール29を発信者および着信者が使用することができ、これらの各種メディア間で通信システム5を介して着信者に最適な通信方法を使用して自在に通信を行うことができるようになっている。 【0013】すなわち、本システムにおいては、図2に示すように、電話間の相互通信、FAX間の相互通信などのような既存のサービスのみならず、FAXから電子メールへの通信、FAXおよび電子メールから電話への通信、WWWからFAXへの通信、インターネット電話から電話への通信、更にWWWから電話への通信などを含む種々の通信を着信者に最適な通信方法で行うことができる。 【0014】なお、このように異なるメディア間の通信、例えばWWWからFAXへの通信、インターネット電話から電話への通信においては図3に示すようにメディア変換を行っている。 【0015】すなわち、WWWからFAXへの通信の場合には、図3(a)に示すように、クライアントのWWWブラウザ31から入力された文字信号等はクライアントの通信ボード33からサーバの通信ボード35を介してメディア間の整合を計る整合手段としての変換部37に送信されて、FAXに出力可能な形式に変換され、FAXボード39から電話回線を介してFAXに送信される。なお、この整合に際しては音声認識、音声合成、画像認識技術等が適宜、使用される。 【0016】また、インターネット電話から電話への通信の場合には、図3(b)に示すように、クライアントのインターネット電話41から通信ボード43,45を介してディレクトリサービスを行うサーバ47(通信先のアドレスを更改するサーバであり、WWWサーバ、ディレクトリサーバ、アドレスサーバ等)へアクセスし、通信先をインターネット電話を通して指定すると、ディレクトリサービスを行うサーバ47が回線交換ボード49から通信相手先の電話にインターネット電話を接続する。 【0017】次に、図4を参照して、着信者が上述したように自己の都合(時間、行動等)に基づいた通信方法、通信機器の種類、電話番号、メールアドレスを含む通信の受信方法に関する情報を通信システム5の蓄積部13に蓄積する方法について説明する。 【0018】前記受信方法に関する情報の蓄積部13への登録は、図4に示すように、着信者自身が直接行う方法と管理者等の代表者に依頼して行う方法がある。着信者自身が行う方法では、着信者51は前記情報をWWWブラウザ53から通信システム5にアクセスし、その蓄積部13に前記情報を登録する。また、管理者等の代表者に依頼する方法では、着信者51は管理者等の代表者に前記情報の登録を依頼すると、該代表者がシステムのコンソール55から通信システム5にアクセスし、その蓄積部13に前記情報を登録する。 【0019】なお、前記登録情報のうち接続に関する項目としては、通信機器の種類(電話、FAX、電子メール)、通信機器の接続ID(電話番号、電子メールのアドレス)、通信機器が利用可能な時間(開始時間、終了時間)がある。」(第3頁3?4欄、段落11?19) 上記引用例の記載及び関連する図面ならびにこの分野における技術常識を考慮すると、 まず、引用例に記載の「選択的通信システム」は、上記(ロ)【0011】、【0012】、図1、2に示されるように、発信者の「通信機器3」と着信者の「通信機器3」がネットワーク1により「通信システム5」と接続されたシステムであって、 上記(イ)【0006】、(ロ)【0011】、【0017】?【0018】に示されるように、「通信システム5」の「蓄積部13」には「通信機器の種類、電話番号、メールアドレス」を含む着信者の通信機器3の「受信方法に関する情報」を予め「登録」しているものであり、 上記(イ)【0006】、(ロ)【0012】に示されるように、「電話21、FAX23、インターネット電話25、WWW27、電子メール29」のような「各種メディア」を発信者の通信機器3および着信者の通信機器3が使用することができ、これらの各種メディア間で「通信システム5」を介して、着信者の機器3の「受信方法に関する情報」から最適なメディアを選択し通信を行うものであり、 上記(ロ)【0014】に、「異なるメディア間の通信、例えばWWWからFAXへの通信、インターネット電話から電話への通信においては図3に示すようにメディア変換を行っている」と記載されているように、発信者の通信機器3と着信者の通信機器3のメディアが異なる場合には、「通信システム5」の通信部11に設けられた変換部37において、発信者の通信機器3からの情報をメディア変換して着信者の通信機器3へ送信するものである。 したがって、上記引用例には以下の発明(以下、「引用発明」という。)が開示されている。 (引用発明) 「発信者の通信機器3と着信者の通信機器3、及び通信システム5がネットワーク1により接続された選択的通信システムにおいて、 上記着信者の通信機器3の受信方法に関する情報を上記通信システム5に登録し、 上記通信システム5は、 発信者の通信機器3から着信者の通信機器3へ送信すべき情報を受信すると、上記着信者の通信機器3に送信すべき情報を上記着信者の通信機器3に応じた情報にメディア変換して上記着信者の通信機器3に送信する選択的通信システム」 B.例えば、特開平9-223087号公報(以下、「周知例1」という。)又は、特開平10-190879号公報(以下、「周知例2」という。)には図面とともに以下の事項が記載されている。 (周知例1) イ.「【0033】次に前述の電子メールシステムが提供する連携サービスの一例を図1に基づき説明する。電子メール着信通知サービスは電子メールがメールサーバ104に着信したとき受信した電子メールの内容又は電子メールの受信状況がスクリプトデータベース102に設定してある条件を満たした場合に、予め条件と対応付けて設定してある通知先へ所定の手段を用いて電子メールが着信したことを通知するサービスである。表1は受信した電子メールのヘッダの一例及びその電子メールを受信したときに発行されるイベントメッセージを示す表である。表1に示す様に電子メールのヘッダには先頭から順に送信者名,受信者名,送信日時,優先度,秘密度及び題名が記されている。またイベントメッセージの各フィールドは電子メールのヘッダの各項目と対応しており、その情報を格納している。 【0034】 【表1】(略) 【0035】図2はスクリプトデータベース102に記憶させたスクリプトの一例を示す図表である。図2に示す様に先頭から順にスクリプト番号,受信装置,実行条件及び実行すべき処理が記されている。 【0036】1番のスクリプトは実行条件をクライアント111宛に着信した電子メールの送信者名に"福山"が含まれることと定め、この条件を満たす場合に実行すべき処理を所定のポケットベル123を呼出して通知すると共に、この電子メールの題名情報をマクロ処理によってコピーし、ポケットベル123のディスプレイに表示することと設定してある。2番のスクリプトは実行条件をクライアント111宛に着信した電子メールの送信者名に"山本"が含まれることと定め、この条件を満たす場合に実行すべき処理を所定のポケットベル123を呼出して通知すると共に、この電子メールの送信者名情報からマクロ処理によってその送信者の内線番号を求め、ポケットベル123のディスプレイに表示することと設定してある。」 (第6頁第9欄?第7頁第11欄、段落32?36) (周知例2) イ.「【請求項3】 通信相手先の電話番号を登録する登録手段と、 特定の事象が発生したとき、この特定の事象に関係する相手先の電話番号を上記登録手段を参照して検出する検出手段と、 この検出手段で検出した相手先の電話番号によって、この相手先に通信要求を出す通信制御手段と、 を有することを特徴とするサーバ装置。 【請求項4】 前記特定の事象は、メールボックスに登録されているユーザ宛に電子メールが届いた事象であり、 前記検出手段は、上記電子メールの宛先のユーザの電話番号を検出するものであることを特徴とする請求項3記載のサーバ装置。」 (第2頁第1欄、請求項3?4) 上記周知例1の「電子メール着信通知サービス」は、電子メールが「メールサーバ」に着信したときに、「ポケットベル123」を呼び出して通知していること、又は、周知例2の「メールボックス」に登録されているユーザ宛に電子メールが届いたときに、関係する相手先の「電話番号」によって相手先に通信要求を出すことが示されているように、「送信すべき情報を受信すると、登録されている電話番号に電話をかけること」は周知技術(以下、「周知技術A」という。)である。 C.例えば、特開平8-56236号公報(以下、「周知例3」という。)又は、特開平5-344148号公報(以下、「周知例4」という。)には図面とともに以下の事項が記載されている。 (周知例3) イ.「【請求項1】メール文を格納する記憶装置と、メール文を入力する入力装置と、メールの内容を表示する表示装置とを備えた電子メールシステムであって、宛先が一人、もしくは複数のメールを送信した後送信メールに対する受信状況を送信者に通知し、返信内容があればそれらも自動的に付与されさらに未受信メールに関しては着信優先の高いメールであることを通知する機能を有することを特徴とする電子メールシステム。」 (第2頁第1欄、請求項1) (周知例4) イ.「【0021】以上の説明で明らかなように、電子メールを電子メール中央装置9を介して相手方から受け取ると、その電子メールが新たに相手側から送出された電子メールであるときには、そのメールを読み出したことを示す既読情報電子メールを生成して、電子メール中央装置9を介して、上述の電子メールを送出した相手側の電子メール装置宛に自動的に送出することができる。」 (第4頁第6欄、段落21) 上記周知例3又は4に記載されているように、「情報の中継手段が、受信者側における情報の受信状況を送信者側に通知すること」は周知技術(以下、「周知技術B」という。)である。 [対比] 補正後の発明と引用発明とを対比すると、 まず、引用発明の「選択的通信システム」は、「発信者の通信機器3」、「着信者の通信機器3」、「通信システム5」などの複数の構成要素が「ネットワーク1」により接続されたシステムであるから、補正後の発明の「ネットワークシステム」に相当する。 また、引用発明の「発信者の通信機器3」、「着信者の通信機器3」は、それぞれ、補正後の発明の「第1の端末装置」、「第2の端末装置」に相当する。 また、引用発明の「通信システム5」は、「ネットワーク1」に接続され、メディア変換などの機能サービスを提供する装置であるから、「サーバ」と呼べるものであって、補正後の発明の「ネットワークサーバ」に相当する。 さらに、引用発明の「着信者の通信機器3の受信方法に関する情報」を「通信システム5」に登録することは、引用例の記載によれば登録される情報には、「電話番号、メールアドレス」など「着信者の通信機器3」自身を特定する情報が含まれるから、「着信者の通信機器3」を登録すると言えることであって、補正後の発明の「第2の端末装置」を「ネットワークサーバ」に登録することに相当する。 したがって、両者は以下の点で一致ないし相違する。 (一致点) 「第1の端末装置と第2の端末装置、及びネットワークサーバが接続されるネットワークシステムにおいて、 上記第2の端末装置を上記ネットワークサーバに登録し、 上記ネットワークサーバは、上記第1の端末装置から上記第2の端末装置へ送信すべき情報を受信すると、上記第2の端末装置に送信すべき情報を上記第2の端末装置に応じた情報に変換して上記第2の端末装置に送信するネットワークシステム。」 (相違点1)「ネットワークサーバ」への「登録」に関して、補正後の発明は「上記第1の端末装置及び上記第2の端末装置」を登録するのに対し、引用発明は「着信者の通信機器3の受信方法に関する情報」(第2の端末装置)を登録するのみであって、「発信者の通信機器」(第1の端末装置)を登録することが明記されていない点。 (相違点2)「ネットワークサーバ」に関して、補正後の発明は「第1の端末装置から第2の端末装置へ送信すべき情報を受信すると、第2の端末装置の使用者に対して予め登録されている電話番号に電話をかけ」るのに対し、引用発明にはそのような構成がない点。 (相違点3)「ネットワークサーバ」に関して、補正後の発明は「第2の端末から情報を受信したことを示す応答信号を受信すると、第2の端末が情報を受信したことを示す確認信号を第1の端末装置に送信する」のに対し、引用発明にはそのような構成がない点。 [判断] 上記相違点1について検討するに、 例えば引用例の図2に示されるように、引用発明において発信者の通信機器と着信者の通信機器は対等な構成要素であって、発信者及び着信者が使用する通信機器は、発信者側、着信者側のいずれにもなりうるものであるから、引用発明において「発信者の通信機器」(第1の端末装置)も登録の対象とする程度のことは当業者が適宜になし得ることであって、相違点1は格別なことではない。 上記相違点2について検討するに、 一般に人に対する呼出しの手段として、電話をかけることは日常の手法であるが、例えば上記周知例1又は周知例2に開示されているように、「送信すべき情報を受信すると、登録されている電話番号に電話をかけること」(周知技術A)も本願出願前に周知のものであり、このような周知技術を引用発明における通信システムに適用することで、補正後の発明の「第1の端末装置から第2の端末装置へ送信すべき情報を受信すると、第2の端末装置の使用者に対して予め登録されている電話番号に電話をかけ」るように構成することは当業者であれば適宜になし得ることであって、相違点2は格別なことではない。 上記相違点3について検討するに、 確実な情報の伝達のためには双方向の通信が必要なのは自明なことであるが、例えば上記周知例3又は周知例4に開示されているように、「情報の中継手段が、受信者側における情報の受信状況を送信者側に通知すること」(周知技術B)も本願出願前に周知のものであり、このような周知技術を引用発明に適用することで、補正後の発明の「第2の端末から情報を受信したことを示す応答信号を受信すると、第2の端末が情報を受信したことを示す確認信号を第1の端末装置に送信する」ように構成することは当業者であれば容易になし得ることであって、相違点3も格別なことではない。 また、補正後の発明の効果も上記引用発明及び周知技術から当業者が予測し得る範囲のものである。 したがって、上記補正後の発明は上記引用発明及び周知技術に基づいて容易に発明できたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。 3.結語 したがって、本件補正は、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 第3.本願発明について 1.本願発明 平成19年12月19日付けの手続補正は上記のとおり却下されたので、上記「第2.補正却下の決定」の項中の「1.本願発明と補正後の発明」の項で「本願発明」として認定したとおりである。 2.引用発明及び周知技術 引用発明及び周知技術は、上記「第2.補正却下の決定」の項中の「2.(2)独立特許要件」の項中の「[引用発明及び周知技術]」で、それぞれ引用発明及び周知技術として認定したとおりである。 3.対比・判断 本願発明と引用発明とを対比するに、本願発明は上記補正後の発明から、当該補正に係る構成を省いたものである。 そうすると、本願発明の構成に上記補正に係る構成を付加した補正後の発明が、上記「第2.2.(2)独立特許要件」の項で検討したとおり、上記引用発明及び周知技術に基づいて容易に発明できたものであるから、本願発明も同様の理由により、容易に発明できたものである。 4.むすび 以上のとおり、本願発明は、上記引用発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものと認められるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2009-09-07 |
結審通知日 | 2009-09-10 |
審決日 | 2009-09-28 |
出願番号 | 特願平11-67193 |
審決分類 |
P
1
8・
121-
Z
(H04L)
P 1 8・ 575- Z (H04L) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 菊地 陽一、玉木 宏治 |
特許庁審判長 |
石井 研一 |
特許庁審判官 |
新川 圭二 土居 仁士 |
発明の名称 | ネットワークシステム及びネットワークサーバ |
代理人 | 田辺 恵基 |