• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 E01C
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 E01C
管理番号 1207212
審判番号 不服2008-1914  
総通号数 121 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2010-01-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2008-01-24 
確定日 2009-11-09 
事件の表示 特願2003-135926「超臨界CO2冷媒融雪システム」拒絶査定不服審判事件〔平成16年12月 2日出願公開、特開2004-339741〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は、平成15年5月14日の出願であって、平成19年12月17日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、平成20年1月24日に拒絶査定に対する審判請求がなされるとともに、同年2月25日付けで手続補正がなされたものである。
その後、平成21年2月27日付けで、審判請求人に前置報告書の内容を示し意見を求めるための審尋を行ったところ、同年5月8日付けで回答書が提出された。

2.平成20年2月25日付けの手続補正についての補正の却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成20年2月25日付けの手続補正(以下、「本件補正」という。)を却下する。
[理由]
(1)補正後の本願発明
本件補正により、特許請求の範囲の請求項1は、次のとおりに補正された。
「舗装道路等の舗装体の内部に加熱流体が流動する融雪パイプを埋設し、該融雪パイプに前記加熱流体を生成する熱源装置を接続してなる融雪システムにおいて、前記熱源装置はCO_(2)ガス(炭酸ガス)冷媒を超臨界圧力まで圧縮する圧縮機と、該圧縮機により圧縮した超臨界状態のCO_(2)ガス冷媒を冷却するガスクーラと、該ガスクーラにより冷却したCO_(2)冷媒を減圧、膨張させる膨張装置と、膨張後のCO_(2)冷媒に熱を与えて気化させる蒸発器とを備えたCO_(2)ヒートポンプシステムからなり、前記融雪パイプ内に不凍液を流動せしめるように構成するとともに、前記ガスクーラを前記融雪パイプに送られる不凍液と前記CO_(2)冷媒とを熱交換して該不凍液を前記融雪パイプ入口温度を60℃以上に加熱するように構成し、さらに前記融雪パイプを前記舗装体の一定長さ毎に1本の連続したパイプを該舗装体の全面に加熱範囲が広がるように屈曲して形成して、該1本の連続したパイプからなる融雪パイプの不凍液入口及び出口と前記ガスクーラとを接続管にて接続してなり、
前記入口温度を60℃以上に加熱するように構成した前記1本の連続したパイプからなる融雪パイプは、一定長さの前記舗装体の幅方向外側から内側へ向けて延び、かつ該舗装体の長手方向に往復するように且つ隣り合うパイプ内における不凍液の流動方向が対向流になるような形態で配置し、前記舗装体の幅方向及び長手方向における埋設間隔を200mm?300mmの範囲にて埋設されてなることを特徴とする超臨界CO_(2)冷媒融雪システム。」

上記補正は、本願の請求項1に係る発明の「融雪パイプ」を「隣り合うパイプ内における不凍液の流動方向が対向流になるような形態で配置し」と限定するものであって、特許請求の範囲の減縮を目的とする。
そこで、本件補正後の前記請求項1に記載された発明(以下、「本願補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるかについて以下検討する。

(2)刊行物及びその記載内容
刊行物1:特開2001-241785号公報
刊行物2:特開昭63-161203号公報

原査定の拒絶の理由に引用され本願出願前に頒布された上記刊行物1には、図面とともに、次のことが記載されている。
(1a)「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、CO_(2)を冷媒とするヒートポンプおよびこのヒートポンプを用いた融雪装置に関する。」
(1b)「【0006】…冷媒としてCO_(2)を使用した場合、ヒートポンプの冷媒として作動圧力が非常に高いため、臨界点を超えてしまってヒートポンプにおける凝縮器の凝縮温度が45℃以上を形成することは不可能である。したがって、CO_(2)を冷媒としたヒートポンプを単独では実現が困難でった。」
(1c)「【0007】本発明は、上記従来の問題点に着目し、CO_(2)を冷媒としたヒートポンプを提供することを目的としている。また、本発明は、エネルギー効率を向上することを目的としている。さらに、本発明は、成績係数(COP)を大きくして効率を高めることをことを目的としている。」
(1d)「【0010】
【作用】上記のごとく構成した本発明に係るCO_(2)冷媒ヒートポンプは、圧縮機で圧縮した高温のCO_(2)冷媒ガスを、少なくとも2段階、即ち、多段階で冷却するとともに、後段側の冷却水の温度を順次低くしてあるため、容易にCO_(2)冷媒の温度を臨界点より低い温度で液化することができる。」
(1e)「【0015】図1あるいは図2において、ヒートポンプ1は、圧縮機11が電動モータ13で駆動されて気体状のCO_(2)冷媒(以下、冷媒ガスという)を圧縮する。圧縮機11は、冷媒ガスを出口における圧力で、例えば46at(約450.8N/cm^(2) )に圧縮している。圧縮機11により圧縮された冷媒ガスは、凝縮器15で凝縮されて膨張弁17に送られる。凝縮器15は、第1冷却部15aおよび第2冷却部15bを直列に配置した2段に形成されており、圧縮機11により加圧された冷媒ガスを冷却して10℃のCO_(2)冷媒圧縮液(以下、冷媒圧縮液という)にしている。
【0016】この凝縮器15の第1冷却部15aは、例えば、先ず通常の冷却水(以下、通常冷却水という)16が供給され、温度約15℃の通常冷却水16より冷媒ガスを冷却している。次に、第2冷却部15bは、吸収冷凍機19により廃熱を利用して通常冷却水よりも低い温度に冷却された約5℃から7℃の冷たい冷却水が供給され、冷媒ガスを約10℃に冷却して液体CO_(2)にしている。
【0017】凝縮器15により液化された冷媒圧縮液は、膨張弁17に送られ膨張して減圧され、一部が気化してタンクである氣液分離器27に貯溜される。氣液分離器27では、CO_(2)分離冷媒ガス29(以下、分離冷媒ガス29という)とCO_(2)分離冷媒液31(以下、分離冷媒液31という)とに分離される。氣液分離器27は図示しないデミスタと液面制御用機器が敷設されている。分離された分離冷媒ガス29は、デミスタを経由して戻し配管33を介して圧縮機11の初段に吸引され、圧力が46at(約450.8N/cm^(2) )に再度昇圧される。他方では、分離された分離冷媒液31は、昇圧ポンプ35により昇圧されたのち、蒸発器37において熱交換して気化し、第1冷媒ガス45となり、第1戻し配管49を経て圧縮機11の中間段(Ac)に供給される。」
(1f)「【0024】このように、実施の形態においては、圧縮機11から吐出された高温のCO_(2)冷媒を第1冷却部15a、第2冷却部15bを直列配置した凝縮器15によって冷却しているため、高温のCO_(2)冷媒を容易に臨界点以下の温度に冷却して液化することができる。」
(1g)「【0026】図3は、図1に示した第1実施形態に係るヒートポンプを融雪装置に適用した例を示したものである。図3において、融雪装置は、ヒートポンプ1を構成している凝縮器15の第1冷却部15aに融雪器(融雪配管)23が接続してある。第1冷却部15aに供給された不凍液などの融雪用ブラインは、凝縮器15より熱を受けて温度が上昇し、第1融雪配管21aを経て融雪器23に送られる。融雪器23では、地上の道路、屋根等に積雪した雪を溶かし、融雪用ブラインの温度は低下する。この温度が低下した融雪用ブラインは、融雪用循環ポンプ25から第2融雪配管21bを経て再度第1冷却部15aに供給される。…」。
(1h)図3には、融雪配管23が屈曲して形成した1本の連続した管であることが示唆されている。

上記各記載及び技術常識を参酌すると、刊行物1には、以下の発明が記載されていると認められる。
「道路上の雪を溶かす融雪配管(23)に供給する不凍液に熱を加えるヒートポンプ(1)を、該融雪配管に接続してなる融雪装置において、
ヒートポンプは、CO_(2)ガス冷媒を圧縮する圧縮機(11)と、該圧縮機により圧縮したCO_(2)冷媒を冷却する凝縮器(15)と、該凝縮器により冷却したCO_(2)冷媒を減圧、膨張させる膨張弁(17)と、膨張後のCO_(2)冷媒に熱を与えて気化させる蒸発器(37)とを備えたものからなり、凝縮器を前記融雪配管に送られる不凍液と前記CO_(2)冷媒とを熱交換して該不凍液を加熱するように構成し、融雪配管を、1本の連続した管を屈曲して形成するとともに、第1融雪配管(21a)及び第2融雪配管(21b)を介して前記凝縮器と接続する融雪装置。」(以下、「刊行物1記載の発明」という。)

同じく、上記刊行物2には、図面とともに、次のことが記載されている。
(2a)「本発明は、道路の融雪方法とその装置に関するものである。」(1頁右下欄3?4行)
(2b)「(1)は四角形状に成るコンクリート製の平板ブロックで、…このブロックの大きさは、例えば300mm×300mmとする。(3)(3)はこの平板ブロック(1)の上面部においてその左右両側に平行に形成した凹溝、(4)は前記平板ブロック(1)と同一平面形状に成る敷板で、この敷板の内側面の左右両側には平行に支承部(5)(5)を突設する。この敷板(4)を前記平板ブロック(1)の平面に載置したとき、両支承部(5)(5)が平板ブロック(1)の凹溝(3)(3)の上側部に嵌合するようになる。この嵌合によって、支承部(5)(5)の下面部と凹溝(3)(3)とによって円孔(6)が形成される。」(2頁左上欄10行?右上欄3行)
(2c)「而して、いま歩道に本発明装置を施工するときは、路盤上に多数の平板ブロック(1)をその凹溝(3)(3)方向を一致させるようにしてこれを数列に水平に並設する。しかる後に、各平板ブロック(1)列に連継した円孔(6)列に、所定の長尺管体(a)を嵌合して設置する。」(2頁右上欄10?15行)
(2d)「第2図に示したシステムは熱交換機(8)を介して使用ずみの冷水を他の温水によって加熱して温水化して再びパイプラインに通して循環させる方法である。このシステムにおいては、パイプラインの温水中に不透液を添加することもある。」(2頁左下欄14?19行)
(2e)「第1図および第2図において、wは歩道の横巾を示し、lは歩道の延長方向を示す。」(2頁左下欄20行?右下欄1行)。
(2f)また、第2図には、融雪装置において、長尺管体aは、多数の平板ブロック1を並設したものの歩道の延長方向l毎に1本の連続したパイプを該舗装体の全面に屈曲して形成し、歩道の横幅w方向外側から内側へ向けて延び、かつ該舗装体の長手方向に往復するように且つ隣り合うパイプ内における不凍液の流動方向が対向流になるような形態で配置し、前記舗装体の幅方向及び長手方向に所定の間隔で埋設したことが記載されている。さらに、第3図及び第4図には、一枚のブロックに2本のパイプを設けることが記載されている。

(3)対比
そこで、本願補正発明と刊行物1記載の発明とを対比すると、刊行物1記載の発明の「融雪配管」は、本願補正発明の「融雪パイプ」に相当し、以下、同様に、「不凍液」が「加熱流体」に、「ヒートポンプ」が「熱源装置」に、「第1融雪配管」が「融雪パイプの不凍液入口」に、「第2融雪配管」が「融雪パイプの不凍液出口」に、「融雪装置」が「融雪システム」にそれぞれ相当する。
また、本願補正発明の「ガスクーラ」と刊行物1記載の発明の「凝縮器」は、ともに「CO_(2)冷媒を冷却する装置」である点で共通している。
してみると両者は、
「舗装道路等の舗装体に加熱流体が流動する融雪パイプを設置し、該融雪パイプに前記加熱流体を生成する熱源装置を接続してなる融雪システムにおいて、前記熱源装置はCO_(2)を冷媒とするヒートポンプからなり、前記融雪パイプ内に不凍液を流動せしめるように構成するとともに、CO_(2)冷媒を冷却する装置を前記融雪パイプに送られる不凍液と前記CO_(2)冷媒とを熱交換して該不凍液を加熱するように構成し、さらに前記融雪パイプを1本の連続した管で屈曲して形成するとともに、その不凍液入口及び出口とCO_(2)冷媒を冷却する装置とを接続したCO_(2)冷媒融雪システム。」である点で一致し、次の点で相違する。
(相違点1)
CO_(2)を冷媒とするヒートポンプが、本願補正発明では「CO_(2)ガス(炭酸ガス)冷媒を超臨界圧力まで圧縮する圧縮機と、該圧縮機により圧縮した超臨界状態のCO_(2)ガス冷媒を冷却するガスクーラと、該ガスクーラにより冷却したCO_(2)冷媒を減圧、膨張させる膨張装置と、膨張後のCO_(2)冷媒に熱を与えて気化させる蒸発器とを備えた」ものからなり、「不凍液を前記融雪パイプ入口温度を60℃以上に加熱するように構成し」たのに対し、刊行物1記載の発明では「CO_(2)ガス冷媒を圧縮する圧縮機と、該圧縮機により圧縮したCO_(2)冷媒を冷却する凝縮器と、該凝縮器により冷却したCO_(2)冷媒を減圧、膨張させる膨張弁と、膨張後のCO_(2)冷媒に熱を与えて気化させる蒸発器とを備えた」ものからなり、不凍液の融雪パイプ入口の加熱温度が不明な点。
(相違点2)
融雪パイプは、本願補正発明が「舗装体の一定長さ毎にパイプを該舗装体の全面に加熱範囲が広がるように屈曲して形成し、一定長さの前記舗装体の幅方向外側から内側へ向けて延び、かつ該舗装体の長手方向に往復するように且つ隣り合うパイプ内における不凍液の流動方向が対向流になるような形態で配置し、前記舗装体の幅方向及び長手方向における埋設間隔を200mm?300mmの範囲にて埋設」したものであるのに対し、刊行物1記載の発明では、屈曲して形成されてはいるものの、その具体的構成及び配置が不明な点。

(4)判断
(相違点1について)
CO_(2)を冷媒としたヒートポンプとして「CO_(2)ガス(炭酸ガス)冷媒を超臨界圧力まで圧縮する圧縮機と、該圧縮機により圧縮した超臨界状態のCO_(2)ガス冷媒を冷却するガスクーラと、該ガスクーラにより冷却したCO_(2)冷媒を減圧、膨張させる膨張装置と、膨張後のCO_(2)冷媒に熱を与えて気化させる蒸発器とを備えたCO_(2)ヒートポンプ」は、拒絶理由通知書に示した特開平9-49662号公報(【0001】及び【0013】等より事実上ガスクーラが記載されている)、特公平7-18602号公報(3欄27?32行及び7欄45行?8欄9行等より事実上ガスクーラが記載されている)及び特開2001-289537号公報(【0001】?【0006】等参照)等に記載されているように周知のものである。そして、刊行物1記載の発明のヒートポンプとして当該周知のものを用いる点に、格別の阻害要因はない。また、本件補正発明において「不凍液を前記融雪パイプ入口温度を60℃以上に加熱するように構成し」得たのは、ヒートポンプとして上記構成のものを採用した結果に他ならず、不凍液の温度を高くすれば融雪効果が増すことは当業者にとって自明な事項であるから、不凍液の融雪パイプ入口温度を60℃以上にすることは、当業者が必要に応じてなし得る事項である。

(相違点2について)
刊行物2には、融雪装置において、融雪パイプ(長尺管体a)は、舗装体(多数の平板ブロック1を並設したもの)の一定長さ(歩道の延長方向l)毎に1本の連続したパイプを該舗装体の全面に屈曲して形成し、一定長さの前記舗装体の幅(歩道の横幅w)方向外側から内側へ向けて延び、かつ該舗装体の長手方向に往復するように且つ隣り合うパイプ内における不凍液の流動方向が対向流になるような形態で配置し、前記舗装体の幅方向及び長手方向に所定の間隔で埋設したもの(以下、「刊行物2記載の発明」という。)が、記載されている。
また、刊行物2に記載されている融雪パイプ(長尺管体a)を嵌合する平板ブロック1が300mm×300mmであることと、第3図?第4図の、一枚のブロックに2本のパイプを設けるという記載等を参酌すると、刊行物2記載の発明の融雪パイプ(長尺管体a)の埋設間隔は、概ね150mm程度と推察される。ここで、融雪パイプの埋設間隔は、熱源装置の能力や積雪の状況、道路の構造等に応じて、当業者が適宜選択すべき事項である。
したがって、刊行物1記載の発明に上記刊行物2記載の発明を適用し、刊行物2記載の発明の融雪パイプを、舗装体の一定長さ毎にパイプを該舗装体の全面に加熱範囲が広がるように屈曲して形成し、一定長さの前記舗装体の幅方向外側から内側へ向けて延び、かつ該舗装体の長手方向に往復するように且つ隣り合うパイプ内における不凍液の流動方向が対向流になるような形態で配置し、前記舗装体の幅方向及び長手方向における埋設間隔を200mm?300mmの範囲にて埋設したものとすることは、当業者であれば容易になし得る事項である。

そして、本願補正発明の効果は、刊行物1及び2記載の発明から当業者が予測しうる範囲のものであって格別のものではない。

よって、本願補正発明は、刊行物1及び2記載の発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

(5)むすび
以上のとおり、本件補正は、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

3.本願発明について
平成20年2月25日付けの手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下、本願発明という。)は、平成19年8月28日付け手続補正書の特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される、以下のとおりのものである。
「舗装道路等の舗装体の内部に加熱流体が流動する融雪パイプを埋設し、該融雪パイプに前記加熱流体を生成する熱源装置を接続してなる融雪システムにおいて、前記熱源装置はCO_(2)ガス(炭酸ガス)冷媒を超臨界圧力まで圧縮する圧縮機と、該圧縮機により圧縮した超臨界状態のCO_(2)ガス冷媒を冷却するガスクーラと、該ガスクーラにより冷却したCO_(2)冷媒を減圧、膨張させる膨張装置と、膨張後のCO_(2)冷媒に熱を与えて気化させる蒸発器とを備えたCO_(2)ヒートポンプシステムからなり、前記融雪パイプ内に不凍液を流動せしめるように構成するとともに、前記ガスクーラを前記融雪パイプに送られる不凍液と前記CO_(2)冷媒とを熱交換して該不凍液を前記融雪パイプ入口温度を60℃以上に加熱するように構成し、さらに前記融雪パイプを前記舗装体の一定長さ毎に1本の連続したパイプを該舗装体の全面に加熱範囲が広がるように屈曲して形成して、該融雪パイプの不凍液入口及び出口と前記ガスクーラとを接続管にて接続してなり、
前記入口温度を60℃以上に加熱するように構成した融雪パイプは、一定長さの前記舗装体の幅方向外側から内側へ向けて延び、かつ該舗装体の長手方向に往復するような形態で前記舗装体の幅方向及び長手方向における埋設間隔を200mm?300mmの範囲にて埋設されてなることを特徴とする超臨界CO_(2)冷媒融雪システム。」

(1)刊行物の記載内容
原査定に引用され本願出願前に頒布された刊行物及びその記載内容は、前記「2.(2)」に記載したとおりである。

(2)対比・判断
本願発明は、前記「2.」で検討した本願補正発明から「融雪パイプ」の限定事項である「隣り合うパイプ内における不凍液の流動方向が対向流になるような形態で配置し」との構成を省いたものである。
そうすると、本願発明の構成要件を全て含み、さらに他の構成要件を付加したものに相当する本願補正発明が、前記「2.(4)」に記載したとおり、刊行物1及び2記載の発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、同様の理由により、刊行物1及び2記載の発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。

(3)むすび
以上のとおり、本願発明は、刊行物1及び2記載の発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、本願は拒絶をすべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2009-09-08 
結審通知日 2009-09-11 
審決日 2009-09-25 
出願番号 特願2003-135926(P2003-135926)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (E01C)
P 1 8・ 575- Z (E01C)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 須永 聡鹿戸 俊介  
特許庁審判長 神 悦彦
特許庁審判官 山口 由木
関根 裕
発明の名称 超臨界CO2冷媒融雪システム  
代理人 高橋 昌久  
代理人 松本 廣  

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ