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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G06F
管理番号 1207930
審判番号 不服2005-13750  
総通号数 121 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2010-01-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2005-07-19 
確定日 2009-12-07 
事件の表示 特願2004-196862「情報処理システム、情報処理装置および情報処理方法、並びに携帯型情報端末装置」拒絶査定不服審判事件〔平成17年 1月 6日出願公開、特開2005- 4782〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続きの経緯・本願発明
本願は、平成7年6月19日に特許出願した特願平7-151414号の一部を平成16年7月2日に新たな特許出願としたものであって、その請求項6に記載された発明(以下、「本願発明」という。) は、平成17年4月6日付けの手続補正書によって補正された明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項6に記載された次のとおりのものである。
「【請求項6】
他の装置とネットワークを介して接続される携帯型情報端末装置において、
所定のキーワードを入力する入力手段と、
現実世界の位置を示す現実位置情報を取り込む取込手段と、
前記入力手段により入力された前記キーワード、および、前記取込手段により取り込まれた前記現実位置情報を前記ネットワークを介して前記他の装置に送信する送信手段と、
前記ネットワークを介して前記他の装置から送信されてくる、前記キーワードおよび前記現実位置情報に基づく検索結果を示す検索結果情報を取得する取得手段と、
前記取得手段により取得された前記検索結果情報を出力する出力手段と
を備えることを特徴とする携帯型情報端末装置。」

2.引用例
(1)原査定の拒絶の理由に引用された特開平6-317429号公報(以下、「刊行物1」という。)には、
ア 「【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、広くはコンピュータ・ソフトウェアに関し、特に、グローバル・ポジショニング・システム(global positioning system:地球的規模の精密位置測定システム)用いたパーソナル・コンピュータによって旅行者に対して便宜を図る方法及び装置に関する。
【0002】
【従来の技術】グローバル・ポジショニング・システム(GPS)等の位置測定型システムは、全天候的、連続的、地球的規模の位置情報及び時間情報をユーザに提供する空間的広がりを持った電波による進路設定システムである。これらのシステムは、通常、空間セグメント及びユーザ・セグメント等のいくつかのセグメントから構成される。空間セグメントは、通常、大気圏外から進路設定信号を送信する宇宙飛行体(衛星)からなる。ユーザ・セグメントは、進路設定を行うために入力信号を処理する様々な形式の受信器からなる。
【0003】さらに、GPS等の位置測定型システムを用いることによって、地球上のどこにいても現在の所在地を確実に識別する情報を受信することができる。このような情報は、船舶、航空機、及び未知の土地を旅行している人にとっては極めて価値のあるものである。
【0004】さらに、現在は、移動地図表示装置を利用することができる。例えば、米国特許第4825381号に開示されている。移動地図表示装置は、自然地形でない特徴も共に記載した移動する地形学的地図を提供するものである。このような地図は、飛行中の航空機の現在位置の地形的表示をパイロットに示すために航空機では普通に用いられている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ビジネス及び観光を目的とする旅行者については、GPSや移動地図表示装置等の位置測定型システムの利用は、非常に貴重な手段として知られまた利用されている。さらに旅行者にとって、自分の知っている場所に基づいて、レストラン、ホテル、映画館、美術館、及び催し物等の様々な種類の旅行者情報にアクセスできることは貴重なことであろう。また、実際の場所の記録及び費用の記録を自動的に得られるならば、便利であろう。現在のところ、これらのサービスを利用可能な形でユーザに提供する実用的な方法または装置はない。従って、旅行者に対して知的トラベル・メイトを提供するための方法及び装置が必要とされている。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、旅行者と携帯用データ処理装置との間のインターフェースを提供する方法を含むものであり、それによって実質的に従来の方法よりも実用性を向上させている。本発明は、従来無かった強力なツールを旅行者に提供する。
【0007】本発明の態様の1つでは、携帯用データ処理装置を地球的規模の位置測定システムに接続する。その後、旅行者は、その位置測定システムにより判断された場所に基づいた複数の旅行情報にアクセスすることが可能になる。これらの旅行情報は、例えば、現地言語の辞書、現地の映像、レストランとその場所のリスト、及び地域の催し物とその場所等である。」(2頁2欄16行?3頁3欄23行)、
イ 「【0009】
【実施例】図1は、本発明の一般的な利用を示したものである。一般的に、グローバル・ポジショニング・システム(GPS)で利用されるような位置測定衛星10が、アンテナ12に位置及び時間のデータを伝送する。アンテナ12は、知的トラベル・メイト14に接続されている。知的トラベル・メイト14は、例えばIBMModel M57SLC等のマルチメディア機能を持つ軽量の携帯用コンピュータから構成できる。このようなマルチメディア機能には、CD-ROM駆動装置及びビデオRAMなどが含まれる。衛星10から、トラベル・メイト14を介して位置及び時間を示す信号を受信すると、ユーザ16は、例えばCD-ROM駆動装置等の付属の記憶装置から情報を選択することができる。このような情報には、レストラン、ホテル、美術館、銀行等の場所データと共に現地言語の辞書、地図、天気情報等が含まれる。さらに、トラベル・メイト14は、ユーザ16のたどってきた行程(旅行記録)及び費用(会計明細)を保存するように設定することもできる。トラベル・メイト14は、ビジネス目的の旅行者に対し、特定の場所でどのくらいの時間を費やしたかを報告することによって取引先の重要度情報を提供することもできる。同様に、トラベル・メイト14は、どのような私的な旅行の情報をも提供することができる。また、トラベル・メイト14は、特定の場所における「してよいこと及びしてはいけないこと」または危険な地域をユーザ16に知らせることもできる。
【0010】図2は、本発明を利用するためのハードウェア要件を示した概略図である。アンテナ18は、衛星10から伝送データを受信する。データは、データ処理装置(パーソナル・コンピュータまたはコンピュータ)22に内蔵可能な受信器20に伝えられる。受信器20からデータは、周知の装置であるデコータまたはインタプリタ24へ送られる。装置24は、衛星からのデータを復号化して位置及び時間のフィードバックを与える。装置24から、信号はパーソナル・コンピュータまたはコンピュータ22へ送られ、そこでデータの表示と更なる情報の処理が行われる。
【0011】図3は、本発明を利用を示した流れ図である。ブロック30では、GPS等の位置測定型システム内に含まれる衛星からの信号を解釈することによって、正確な現在位置が決定される。ブロック32では、この位置情報を用い、既存の地理即ち、国、市、通り等々を参照して実際の場所が決定される。ブロック34では、実際の場所を用いて、トラベル・メイトの記憶装置内に記憶された全ての情報を呼び出す。その後ブロック36において、ユーザは、特に関心のある種類の情報、例えば、現地言語の辞書、レストラン・ガイド、地域の催し物、現地の地図、等々を選択することができる。ブロック38において、ユーザは、ユーザの位置が変わるにつれて連続的に更新される情報を受信するオプションを選択するか、あるいは、現在の情報を凍結することができる。後者は、ユーザが地図上の特定の建物を探すためにトラベル・メイトを利用している場合には特に有用である。ユーザは、その建物に到着するまで固定された地図を参照するために地図を凍結するよう選択することができる。別の方法として、連続的更新のオプションを選択すれば、ユーザがその建物へ向かって移動するにつれて地図が連続的に変わっていくことになる。ブロック40においては、ブロック38の選択に従って表示が変化するかまたは固定される。」(3頁3欄30行?4欄40行)が記載されている。

(2)原査定の拒絶の理由に引用された清水奨,ロケーションオリエンテッドな情報空間の構築,マルチメディア通信と分散処理ワークショップ 情報処理学会ワークショップ論文集,日本,社団法人情報処理学会,1994年10月19日,94巻 第1号,209-216頁(以下、「刊行物2」という。)には、
ア 「概要:携帯端末からインタネット上の情報サーバを利用する場合、利用者の物理的な位置が従来より大きな意味を持つ。しかし、これまでの情報提供は利用者の位置を特別扱いすることはなかった。本稿では,今後グローバルな情報提供と同様、ローカルな情報提供が多くなるという展望に立ち、利用者の位置をもとにローカルな情報サーバを検索するシステム(ロケーションオリエンテッドな情報空間)の構築を提案する。DNS(Domain Name System)を基に実装する。」(209頁上段)、
イ 「1 はじめに
インタネットの拡大にともない、インタネット上での情報提供が活発に行なわれるようになってきている。WWW(World Wide Web)[15]に代表される情報サーバの数は指数関数的に増大しており、留まるところを知らない。
一方、半導体技術の進歩により、高性能な携帯端末が安価に手にはいるようになりつつある。携帯電話の無線ネットワークと組合わせれば、いつでもどこでもインタネット上のサービスを享受できる。
以上の背景から、携帯端末からインタネット上の情報サーバにアクセスしたいというニーズが高まると予想される。この場合、固定されたデスクトップ環境からのアクセスと異なり、携帯端末の利用者に特有のquery(問い合わせ)が多くなると考えられる[16]。例えば、「近くで食事できる所は?」「一番近くで空いている駐車場は?」などである。
本稿では、このようなqueryに迅速に答えるためのアプローチとして、位置(ロケーション)の情報をキーに持ち、情報サーバの論理アドレスを値に持つ分散データベース(これを、ロケーションオリエンテッドな情報空間と呼ぶ)の構築を提案する。実現のための技術的課題を明らかにし、既存の分散データベース(archie,WHOIS++,DNS)の不足点を指摘する。また、DNSを基にロケーションサーバを構築する例をあげる。
以下、2章ではここで構築しようとしているロケーションオリエンテッドな情報空間について議論し、必要とされる機能を指摘する。3章では既存のデータベースについて述べ、不足点を議論する。4章でDNSをベースにした実現例について述べ、5章にまとめを置く。」(209頁左欄1行?右欄12行)、
ウ 「2 ロケーションオリエンテッドな情報空間
本章では、構築しようとしている情報空間について議論する。議論を進める上での前提をいくつかあげ、サービスイメージを紹介し、技術的課題について述べる。
2.1前提
2.1.1情報サーバの形態
ロケーションをキーにした情報検索を行なうには、あるエリア^(1)における全ての情報を一つのサーバに集中^(2)しておく方法(集中管理型-図1)と、あるエリアにおける情報サーバの概要とアドレスを一つのサーバ(ロケーションサーバ)で管理し、詳細情報は提供者が個別に管理する方法(分散管理型-図2)がある。
前者の方法は、エリア内の情報管理をーつの組織でやるため、提供内容の変化が少ない場合にうまく機能する。例えば各地の観光案内所など、情報提供者がある程度決まっていて、内容も一度登録してしまえばその後の維持の手間があまりかからないような場合である。しかし容易に想像がつくように、エリア内の情報がダイナミックに変動する場合には管理者の負担が増すため、対処が困難である。また変更の度に管理者に要請する必要があるので、情報提供者の側にも心理的な抵抗が生ずる。
一方後者の方法は、前者に比べ柔軟である。各サーバが提供する情報の管理は個々のサーバ管理者に任されているため、よりダイナミックな情報提供が可能となる。例えばスーパーがタイムサービスの安売り情報を自分のサーバで流す場合、ロケーションサーパの登録内容はそのままでよく、提供する情報自体を自由に更新できる。
以上の議論より、本稿では後者の分散管理型のサーバ形態を前提とする。
2.1.2サーバの位置
各情報サーバ、ロケーションサーバについて、どちらも位置が固定されているということを前提にする(図3左)。
我々の構想では、将来的に情報サーバが移動する(図3右)場合にも対応することを考えている。これは携帯端末が非常に進化し、どこにでもある状態[7]となった時、ユーザ一人一人の端末が自動的に情報を発信するようになると考えられるためである。
しかし現状技術の制限(端末技術、通信容量)により、携帯端末が大量の情報を提供することは当面先のことであると考えられることから、本稿では情報サーバは固定されているものとする。
2.1.3ロケーションの表現
ロケーションの表現には行政区画を用いるやり方と、GPS(Global Positioning System)による絶対位置座標によるやり方が考えられ、それぞれ一長一短がある。
・行政区画を用いる
日本、東京、武蔵野市、緑町のような行政区画による表現は階層化されていて責任範囲が分散しており、ロケーションサーバ構築に適していると思われる。しかし旅行先など不慣れな土地では、行政区画による指定方法はわかりにくい場合がある。
・GPSを用いる
GPSの長所は、利用者が特別な操作をしなくても現在位置がわかるという点にあるが、経緯度情報だけでは責任範囲の分散が難しく、スケーラビリティに乏しい。
GPSを使う場合でも、カーナビゲーションシステムのように地図情報を持てば経緯度から行政区画名を得られるので、行政区画によるqueryが可能である。したがって、ここでは行政区画による表現を前提とする。」(209頁右欄13行?211頁左欄12行)、
エ 「2.2サービスイメージ
ロケーションオリエンテッドな情報空間の実現イメージを図4に示す。図左側は利用の様子を、右側は地理的な配置を示している。
図ではレストランの予約を入れるシーンを例にあげている。はじめにロケ-ションサーバに、「最も近くのシーフードレストランは?」と問い合わせ、レストランが提供する情報サーバのアドレスを得る。次に、レストランの情報サーバにアクセスして予約を入れる、というストーリである。もちろん、例にあげたような携帯端末からの利用だけでなく外部ネットワークからの利用もあるだろう。
ただし、このようなイメージを描く際の社会的な前提として、次の二点がある。
・有線、無線いずれかのネットワークのインフラが整備されており、誰でもすぐに情報サーバを運営できる環境が存在すること。
・携帯端末が普及しており、商店や企業が個別に情報サーバを運営しようと思う程度の需要が期待されること。
これらは技術的な問題ではないので本稿では妥当性について触れることはしないが、そう遠くない将来に実現すると考えている。」(211頁左欄13行?右欄6行)、
オ 「4.2.3 ゾーンファイル
前述の方針により、実際のロケーションデータは、ロケーションサーバのゾーンファイル(DNSのデータファイル)に記述する。記述法は、TXTレコ-ドを活用する[12]の方法を採用する。これは、既存の実装に対する変更点が最も少ないとの判断による。
検索の最小単位(町など)をキーとして持つことにし、同じドメインのマシンと区別するために、l.をつける。例えば東京都武蔵野市緑町ならば、musashino.tokyo.jp. ドメインのゾーンファイルにl.midoriというキーを用意して次のように記述する^(8) 。
(中略)
TXTフィールドの属性名(イコールの左)にはhospital(審決注:hostpitalは誤記),fastfoodなど情報提供者の属性を入れ、属性値(イコールの右)に情報サーバのプロトコル名、IPアドレス又はドメイン表記アドレスをURL形式[14]で入れておく。これにより、queryの流れは図9のようになる。ただし、ロケーションサーバはclientにとって既知とする。」(214頁右欄11行?末行)が記載されている。

これらの記載ア?オ及び図面図1?図10によれば、刊行物2には、
「インタネット上の情報サーバを利用する携帯端末であって、利用者の位置をもとにローカルな情報サーバを検索すること、ロケーションの表現のためにGPSを使い、カーナビゲーションシステムのように地図情報を持ち、経緯度から行政区画名を得て、行政区画によるqueryを可能とすること、また、ロケ-ションサーバに、『最も近くのシーフードレストランは?』と問い合わせ、レストランが提供する情報サーバのアドレスを得て、次に、レストランの情報サ-バにアクセスして予約を入れることを行うことを特徴とする携帯端末」の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されている。

3.対比
そこで、本願発明と引用発明とを対比する。
引用発明の「携帯端末」は、インタネット上の情報サーバを利用する携帯端末であって、ロケーションサーバに問い合わせを行うものであることから、情報サーバ、ロケーションサーバという「他の装置」と、インターネットという「ネットワーク」を介して接続されるものといえる。
そして、引用発明の「携帯端末」は、情報検索を行う装置であることから、本願発明の「携帯型情報端末装置」に相当する。
引用発明は、ロケーションの表現のためにGPSを使い、カーナビゲーションシステムのように地図情報を持ち、経緯度から行政区画名を得て、行政区画によるqueryを可能とするものであり、該GPSは、Global Positioning Systemの略語であり、絶対位置座標により現在位置を取り込むものであり、「現実世界の位置を示す現実位置情報を取り込む取込手段」といえるから、引用発明の「携帯端末」は、「現実世界の位置を示す現実位置情報を取り込む取込手段」を備えるといえる。

したがって、本願発明と引用発明は、「他の装置とネットワークを介して接続される携帯型情報端末装置において、現実世界の位置を示す現実位置情報を取り込む取込手段を備える携帯型情報端末装置。」の点で一致し、以下の点1、2で相違する。
相違点1
本願発明は、「所定のキーワードを入力する入力手段」と、「前記入力手段により入力された前記キーワード、および、前記取込手段により取り込まれた前記現実位置情報を前記ネットワークを介して前記他の装置に送信する送信手段」とを備えるのに対して、引用発明は、ロケ-ションサーバに、「最も近くのシーフードレストランは?」と問い合わせるものであるが、そのための携帯端末の構成が開示されていない点。
相違点2
本願発明は、「前記ネットワークを介して前記他の装置から送信されてくる、前記キーワードおよび前記現実位置情報に基づく検索結果を示す検索結果情報を取得する取得手段」と、「前記取得手段により取得された前記検索結果情報を出力する出力手段」とを備えるのに対して、引用発明は、レストランが提供する情報サーバのアドレスを得るものであるが、そのための携帯端末の構成が開示されていない点。

4.当審の判断
以下、相違点1、2について検討する。
相違点1について
引用発明は、上述したように、「他の装置とネットワークを介して接続される携帯型情報端末装置において、現実世界の位置を示す現実位置情報を取り込む取込手段を備える携帯型情報端末装置」といえるが、ロケ-ションサーバに、「最も近くのシーフードレストランは?」と問い合わせるものである。
そこで、問い合わせの「最も近くのシーフードレストランは?」を情報の検索技術の観点で、検討すると、「最も近くの」は、少なくとも、現実世界の位置を示す現実位置及びその近傍という情報を持つものと解され、「シーフードレストランは?」は、「シーフードレストラン」及び類義のキーワードを持つ情報を持つものと解されるから、該問い合わせは、前記2つの情報を有する情報を検索する問い合わせであるといえる。現実世界の位置を示す現実位置情報は、引用発明のGPS(現実世界の位置を示す現実位置情報を取り込む取込手段)から得られることは明らかである。
さて、情報処理に技術分野において、携帯型情報端末を小型コンピュータで構成し、情報の入力手段、情報の出力手段とともに、情報の送信手段、情報の取得手段を備えるものは、周知である(情報の入力手段、情報の出力手段を備えるものについては、例えば、刊行物1を参照されたい。)。
また、情報の検索に際して、キーワードやその他の複数の情報により、情報を絞り込む形で検索して、利用者がより必要とする検索結果を得ること、及び端末から、他の装置が備えた情報を検索するために、所定のキーワードを入力手段により入力し、該所定のキーワードを送信手段により他の装置に送信し検索することは、それぞれ、情報処理の技術分野において、普通に行われていることである。
してみると、引用発明に、上述した各事項を採用して、「所定のキーワードを入力する入力手段」と、「前記入力手段により入力された前記キーワード、および、前記取込手段により取り込まれた前記現実位置情報を前記ネットワークを介して前記他の装置に送信する送信手段」とを備えるとすることは、当業者が、容易になし得たことである。

相違点2について
引用発明は、上述したように、「他の装置とネットワークを介して接続される携帯型情報端末装置において、現実世界の位置を示す現実位置情報を取り込む取込手段を備える携帯型情報端末装置」といえるが、レストランが提供する情報サーバのアドレスを得るものである。
そこで、「レストランが提供する情報サーバのアドレスを得る」を情報の検索技術の観点で、検討すると、「レストランが提供する情報サーバのアドレス」は、問い合わせの「最も近くのシーフードレストランは?」の検索結果の検索結果情報であるといえる。
さて、上述したように、情報処理に技術分野において、携帯型情報端末を小型コンピュータで構成し、情報の入力手段、情報の出力手段とともに、情報の送信手段、情報の取得手段を備えるものは、周知である(情報の入力手段、情報の出力手段を備えるものについては、例えば、刊行物1を参照されたい。)。
また、検索結果情報を利用者が利用するために、取得手段によりネットワークを介して他の装置から送信されてくる検索結果情報を取得し、出力手段により検索結果を出力することは、情報処理の技術分野において、普通に行われていることである。
してみると、引用発明に上記各事項を採用し、「前記ネットワークを介して前記他の装置から送信されてくる、前記キーワードおよび前記現実位置情報に基づく検索結果を示す検索結果情報を取得する取得手段」と、「前記取得手段により取得された前記検索結果情報を出力する出力手段」とを備えるとすることは、当業者が、容易になし得たことである。

5.むすび
以上のとおり、本願発明は、刊行物1、2に記載された発明に基づき当業者が容易に発明することができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、本願は、他の請求項に記載された発明について検討するまでもなく、拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する 。
 
審理終結日 2009-10-06 
結審通知日 2009-10-08 
審決日 2009-10-20 
出願番号 特願2004-196862(P2004-196862)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (G06F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 上嶋 裕樹  
特許庁審判長 田口 英雄
特許庁審判官 池田 聡史
長島 孝志
発明の名称 情報処理システム、情報処理装置および情報処理方法、並びに携帯型情報端末装置  
代理人 稲本 義雄  

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