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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H04L |
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管理番号 | 1207931 |
審判番号 | 不服2006-24974 |
総通号数 | 121 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2010-01-29 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2006-11-02 |
確定日 | 2009-12-07 |
事件の表示 | 平成 8年特許願第121949号「容易に拡張可能な伝送ストリーム・エンコーダ」拒絶査定不服審判事件〔平成 8年12月13日出願公開、特開平 8-331180〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本願は、平成8年5月16日(パリ条約による優先権主張1995年5月16日、米国)の出願であって、平成17年11月10日付けで拒絶理由が通知され、平成18年8月2日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、同年11月2日に拒絶査定不服の審判が請求されたものである。 第2 本願発明 特許請求の範囲の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、その明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1に記載された以下のとおりのものと認める。 「コンポーネント信号のそれぞれの供給源に結合され、それぞれがコンポーネント信号データを作成するためのデータ出力端子を有する複数のバッファと、 コンポーネント信号データを受信するためのデータ入力端子を有し、パケット・ストリームを作成するためのパケタイザと、 前記複数のバッファの前記それぞれのデータ出力端子と前記パケタイザの前記データ入力端子へ共通に結合され、前記バッファから前記パケタイザへ出力データを運ぶためのデータ・バスと を備える伝送ストリーム・エンコーダ。」 第3 引用発明 原審の拒絶理由に引用された特開平5-37480号公報(以下、「引用例」という。)には、「多重化装置」として、図面とともに以下の事項が記載されている。 イ.「【0001】 【産業上の利用分野】この発明は、統計多重方式によって情報を多重する多重化装置に関するものである。」(2頁1欄) ロ.「【0004】図8は従来の多重化装置の構成を示すブロック図である。図において、1a?1cは情報を出力する複数のバスリクエスタ、2は各バスリクエスタ1a?1cからのバス要求を調停するバスアービタ、3は情報を多重化する多重部、4は各バスリクエスタ1a?1cに共通の多重バス、5a?5cは各バスリクエスタ1a?1cからバスアービタ2への「バス要求」を意味するバスリクエスト信号、6a?6cはバスアービタ2から各バスリクエスタ1a?1cへの「バス要求許可」を意味するバスグラント信号である。 【0005】図9は図8のバスリクエスタの要部構成を示すブロック図である。図において、1はバスリクエスタ、4は多重バス、5はバスリクエスト信号、6はバスグラント信号、10は送出する情報を一時蓄積して多重バス4での瞬時の輻輳を吸収するためのメモリ、11はメモリ10を制御するメモリ制御部であり、このメモリ制御部11はメモリ10の情報蓄積量に基づきバスリクエスト信号5をオン/オフすると共に、バスグラント信号6に基づき多重バス4への情報送出を制御する。 【0006】図10は、例えばシーメンス社の製品であるローカルバスアービタ(SAB82200)に開示された従来のバスアービタを示す詳細構成図である。図において、5a?5cはバスリクエスト信号、6a?6cはバスグラント信号、24a?24fはゲート、25a?25fはD型フリップフロップである。 【0007】次に、上記従来の多重化装置の動作について説明する。図8及び図9に示されるように、例えばバスリクエスタ1aに入力された情報は、まずメモリ10に蓄積される。メモリ制御部11はメモリ10内に多重バス4への送出単位分の情報が蓄積されたことを認識すると、バスアービタ2に対してバス要求信号であるバスリクエスト信号5aをオンにする。多重バス4はいずれか1つのバスリクエスタ、例えばバスリクエスタ1aしか占有できないために、バスアービタ2は他のバスリクエスタ1b,1cが多重バス4を占有していないことを確認してから、バスグラント信号6aをオンにする。バスリクエスタ1aのメモリ制御部11はバスグラント信号6aのオンを受けて、メモリ10に対して情報を多重バス4へ送出するように指示する。このようにして多重バス4に送出された情報は、多重部3を経て回線に送出される。」(2頁1?2欄) 上記引用例の記載及び図面ならびにこの分野における技術常識を考慮すると、上記摘記事項ロ.の【0004】における「1a?1cは情報を出力する複数のバスリクエスタ」との記載及び図8によれば、複数のバスリクエスタ(1a?1c)は、当然、それぞれの前段には、情報を供給する供給源があり、供給源に結合されていることは明らかである。また、図8及び図9によれば、複数のバスリクエスタ(1a?1c)は、それぞれが情報データを作成するためのデータ出力端子を有することは自明である。 また、上記摘記事項ロ.の【0004】における「3は情報を多重化する多重部」との記載及び図8によれば、多重部(3)は、情報データを受信するためのデータ入力端子を有することは自明である。 また、上記摘記事項ロ.の【0004】における「4は各バスリクエスタ1a?1cに共通の多重バス」との記載及び図8によれば、多重バス(4)は、複数のバスリクエスタ(1a?1c)のそれぞれのデータ出力端子と多重部(3)のデータ入力端子へ共通に結合され、バスリクエスタ(1a?1c)から多重部(3)へ出力データを運ぶものということができる。 したがって、引用例には以下の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されている。 「情報のそれぞれの供給源に結合され、それぞれが情報データを作成するためのデータ出力端子を有する複数のバスリクエスタ(1a?1c)と、 情報データを受信するためのデータ入力端子を有する多重部(3)と、 前記複数のバスリクエスタ(1a?1c)の前記それぞれのデータ出力端子と前記多重部(3)の前記データ入力端子へ共通に結合され、前記バスリクエスタ(1a?1c)から前記多重部(3)へ出力データを運ぶための多重バス(4)と を備える多重化装置。」 第4 対比 本願発明と引用発明とを対比する。 a.引用発明の「情報」は、情報は信号として伝送されるものであるから、「信号」ということができる。 b.引用発明の「バスリクエスタ(1a?1c)」は、引用発明の「バスリクエスタ(1a?1c)に関する「図9は図8のバスリクエスタの要部構成を・・・10は送出する情報を一時蓄積して多重バス4での瞬時の輻輳を吸収するためのメモリ、・・・」(上記摘記事項ロ.の【0005】)の記載からして、本願発明の「バッファ」に相当する。 c.引用発明の「多重バス(4)」は、データ・バスである。 d.引用発明の「多重部(3)」と、本願発明の「パケタイザ」とは、いずれもデータのストリームを生成しているから、両者は「生成部」という点で一致する。 e.引用発明の「多重化装置」は、伝送ストリーム・エンコーダの一種である。 したがって、本願発明と引用発明は、以下の点で一致ないし相違する。 <一致点> 「信号のそれぞれの供給源に結合され、それぞれが信号データを作成するためのデータ出力端子を有する複数のバッファと、 信号データを受信するためのデータ入力端子を有する生成部と、 前記複数のバッファの前記それぞれのデータ出力端子と前記生成部の前記データ入力端子へ共通に結合され、前記バッファから前記生成部へ出力データを運ぶためのデータ・バスと を備える伝送ストリーム・エンコーダ。」 <相違点1> 「信号」に関し、本願発明は、「コンポーネント」信号であるのに対し、引用発明は、不明な点。 <相違点2> 「生成部」に関し、本願発明は、「パケット・ストリームを作成するためのパケタイザ」であるのに対し、引用発明は、多重部(3)である点。 第5 判断 そこで、まず、上記相違点1について検討する。 信号伝送一般において、コンポーネント信号を伝送することは、文献を例示するまでもなく周知であり、引用発明の「信号」(情報)として、コンポーネント信号を採用することに格別の困難性は認められない。 次に、上記相違点2について検討する。 多重化装置において、パケット・ストリームを作成することは、例えば、原審の拒絶理由で引用された特開平1-198144号公報(1頁右下欄14行?2頁左上欄18行、第4図)に開示されているように周知であり、引用発明において周知技術を採用することに格別の困難性はないから、引用発明の多重部(3)に周知技術を適用して、本願発明のように「パケット・ストリームを作成するためのパケタイザ」とすることは当業者が容易に成し得るものである。 そして、本願発明の作用効果も、引用発明及び周知技術から当業者が容易に予測できる範囲のものである。 第6 むすび 以上のとおり、本願発明は、引用発明及び周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものと認められるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2009-07-08 |
結審通知日 | 2009-07-10 |
審決日 | 2009-07-23 |
出願番号 | 特願平8-121949 |
審決分類 |
P
1
8・
121-
Z
(H04L)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 吉田 隆之 |
特許庁審判長 |
山本 春樹 |
特許庁審判官 |
萩原 義則 柳下 勝幸 |
発明の名称 | 容易に拡張可能な伝送ストリーム・エンコーダ |
代理人 | 阿部 和夫 |
代理人 | 谷 義一 |
復代理人 | 市原 政喜 |