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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 F02C
管理番号 1207983
審判番号 不服2007-24455  
総通号数 121 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2010-01-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2007-09-06 
確定日 2009-12-04 
事件の表示 特願2003-167603「ガスタービン燃焼器」拒絶査定不服審判事件〔平成17年 1月 6日出願公開、特開2005- 2899〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯・本願発明
本願は、平成15年6月12日の出願であって、平成19年1月26日付けで拒絶理由が通知され、同年3月13日付けで意見書及び手続補正書が提出されたが、同年7月27日付けで拒絶査定がなされ、それに対して、同年9月6日に拒絶査定不服審判が請求されるとともに、同年9月27日付けで明細書を補正する手続補正がなされ、その後、平成21年4月7日付けで当審において書面による審尋がなされたものである。
そして、本願の請求項1に係る発明(以下、同項記載の発明を「本願発明」という。)は、上記平成19年9月27日付け手続補正書の特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される、以下のとおりのものである。
「圧縮機で圧縮した高圧空気と燃料とを混合して燃焼し、生成した燃焼ガスをタービンに供給するガスタービン燃焼器において、
前記燃焼ガスを内部で生成する筒状のライナと、
外表面に円形の開口形状を有した複数の窪みを有し、前記ライナで生成された燃焼ガスを前記タービンに導く尾筒と、
複数の冷却空気孔が穿設され、前記尾筒の外表面の少なくとも一部を包み込むように設けたインピンジカバーとを備え、
前記尾筒の外表面に設けた円形形状の窪みの設置位置を前記インピンジカバーの冷却空気孔の設置位置と合わせた
ことを特徴とするガスタービン燃焼器。」

なお、上記平成19年9月27日付けの手続補正において、上記請求項1に係る補正は、当該補正前の請求項1を削除し、当該補正前の請求項1を引用した請求項6を請求項1に繰り上げたものに相当するから、補正却下の決定は行わない。

2.原査定の拒絶の理由に引用された特開昭62-102029号公報(以下、「引用例」という。)
引用例には、次の事項が記載されている。なお、下線は、発明の理解の一助として、当審において付した。
(ア)「〔発明の技術分野〕
本発明はガスタービン発電プラントに用いられるガスタービン燃焼器に係り、特に燃焼器尾筒の冷却構造の改良に関する。」(第1頁右下欄3ないし6行)
(イ)「各ガスタービン燃焼器10は燃焼器本体を構成するライナー外筒15と内筒16とから二重筒構造に形成され、その環状空間が燃焼用空気流路17として画成される。ライナー内筒16内には燃焼室18が画成され、この燃焼室18内に燃料と燃焼用空気とが供給されて燃焼せしめられる。
一方、ガスタービン燃焼器10の内筒後端部には尾筒20が装着される。尾筒20は尾筒内筒21と尾筒外筒22とを有し、この間の環状空間が冷却流路23として画成される。冷却流路23内には補強を兼ねた複数枚の冷却用フィン24が放射状に配設され、冷却流路23内の伝熱面積(熱交換面積)を増大させ、放熱を促進させるようになっている。」(第2頁左下欄8行ないし同頁右上欄1行)
(ウ)「尾筒内筒21内は燃焼室18で燃焼せしめられた燃焼ガスをガスタービン13の入口に導く案内路25として形成される。」(第2頁右下欄3ないし5行)
(エ)「また、尾筒外筒22には第1図に示すように多数の冷却空気孔27を例えば周方向に複数列あるいはランダムに必要に応じて穿設してもよい。」(第2頁右下欄11ないし13行)
(オ)「ガスタービン発電プラントの圧縮機11の駆動により圧縮された高圧の吐出空気は吐出チャンバ内に吐出され、この吐出チャンバから一部は冷却流路23に、残りは燃焼用空気流路17に案内される。燃焼用空気流路17に案内された空気は続いてライナー内筒16内の燃焼室18に導かれ、この燃焼室18に別途案内される燃料と混合して燃焼に供され、高温の燃焼ガスとなる。この燃焼ガスは尾筒内筒21内に形成される案内路25を通ってガスタービン13に導かれる。」(第2頁右下欄19行ないし第3頁左上欄8行)
(カ)「さらに、伝熱面積を増大させるために、冷却流路23に冷却用フィン24を設けたり、多数の小孔27を穿設してインピンジ冷却させることにより、尾筒内筒表面の放熱効率をより一層向上させることができ、」(第3頁右上欄4ないし8行)
(キ)第1図において、尾筒外筒22は、尾筒内筒21の外表面の少なくとも一部を包み込むように設けられているように描かれている。

上記記載事項(ア)ないし(キ)によると、引用例には、
「圧縮機11で圧縮した高圧空気と燃料とを混合して燃焼し、生成した燃焼ガスをガスタービン13に供給するガスタービン燃焼器10において、
前記燃焼ガスを内部で生成するライナー内筒16と、
前記ライナー内筒16で生成された燃焼ガスを前記ガスタービン13に導く尾筒内筒21と、
複数の冷却空気孔27が穿設され、前記尾筒内筒21の外表面の少なくとも一部を包み込むように設けた尾筒外筒22と
尾筒内筒21と尾筒外筒22との間に画成される冷却流路23内に放射状に配設される複数枚の冷却用フィン24とを備えた
ガスタービン燃焼器10。」
の発明(以下、「引用例に記載された発明」という。)が記載されている。

3.対比
本願発明と引用例に記載された発明を対比すると、引用例に記載された発明における「圧縮機11」は、その技術的意義からみて、本願発明における「圧縮機」に相当し、以下同様に、「ガスタービン13」は「タービン」に、「ガスタービン燃焼器10」は「ガスタービン燃焼器」に、「ライナー内筒16」は「筒状のライナ」に、「尾筒内筒21」は「尾筒」に、「冷却空気孔27」は「冷却空気孔」に、「尾筒外筒22」は「インピンジカバー」に、それぞれ相当する。
してみると、本願発明と引用例に記載された発明は、
「圧縮機で圧縮した高圧空気と燃料とを混合して燃焼し、生成した燃焼ガスをタービンに供給するガスタービン燃焼器において、
前記燃焼ガスを内部で生成する筒状のライナと、
前記ライナで生成された燃焼ガスを前記タービンに導く尾筒と、
複数の冷却空気孔が穿設され、前記尾筒の外表面の少なくとも一部を包み込むように設けたインピンジカバーとを備えた
ガスタービン燃焼器。」
の点で一致し、次の[相違点]で相違している。
[相違点]
本願発明においては、「尾筒」の「外表面に円形の開口形状を有した複数の窪みを有し」、かつ、当該「円形形状の窪みの設置位置をインピンジカバーの冷却空気孔の設置位置と合わせた」のに対し、引用例に記載された発明においては、本願発明における「尾筒」に相当する「尾筒内筒21」の外表面に窪みを有するものでなく、「尾筒内筒21」と本願発明における「インピンジカバー」に相当する「尾筒外筒22」との間に画成される冷却流路23内に放射状に配設される複数枚の冷却用フィン24」を備える点(以下、単に「相違点」という。)。

4.当審の判断
上記相違点について検討する。
冷却媒体による冷却を促進するべく、冷却対象部材の表面に窪みを形成すること、及び、当該窪みの開口形状を円形とすることは、周知技術(以下、「周知技術1」という。例えば、原査定の拒絶の理由で引用された特表2002-517673号公報記載の凹所84、特開平8-240102号公報記載の半球状のくぼみ5a、特開2003-138905号公報(平成15年5月14日公開)記載の窪み90、参照。)というべきことである。そうすると、引用例に記載された発明において、放射状に配設される複数枚の冷却用フィン24に代えて、上記周知技術1を適用し、本願発明における「尾筒」に相当する「尾筒内筒21」の外表面に円形の開口形状を有した複数の窪みを有するように構成することは、当業者が格別困難なく想到し得たことである。
また、上記適用に際し、円形形状の窪みの設置位置を本願発明における「インピンジカバー」に相当する「尾筒外筒22」の「冷却空気孔27」の設置位置と合わせるように構成することは、インピンジメント冷却を行う際、冷却対象部材に形成した凹所の設置位置とインピンジ部材の冷却空気孔の設置位置とを合わせることが、周知技術(以下、「周知技術2」という。例えば、原査定の備考において引用した特開昭63-135719号公報記載の第1d図実施例、同じく引用した特開平8-74503号公報記載の図4実施例、前置報告書において引用した特開平11-159301号公報記載の衝流開口2,トラフ4、特表2002-508045号公報記載の衝撃開口2,隆起部4、参照。)であることからみて、当業者が適宜なし得る設計的事項である。

そして、本願発明の作用効果も、引用例に記載された発明並びに周知技術1及び2から当業者が予測できる範囲のものである。

5.むすび
したがって、本願発明は、引用例に記載された発明並びに周知技術1及び2に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2009-09-28 
結審通知日 2009-10-06 
審決日 2009-10-19 
出願番号 特願2003-167603(P2003-167603)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (F02C)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 稲葉 大紀近藤 泰  
特許庁審判長 深澤 幹朗
特許庁審判官 金澤 俊郎
八板 直人
発明の名称 ガスタービン燃焼器  
代理人 春日 讓  

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