ポートフォリオを新規に作成して保存 |
|
|
既存のポートフォリオに追加保存 |
|
PDFをダウンロード![]() |
審決分類 |
審判 一部無効 2項進歩性 B23Q 審判 一部無効 特120条の4、2項訂正請求(平成8年1月1日以降) B23Q 審判 一部無効 (特120条の4,3項)(平成8年1月1日以降) B23Q |
---|---|
管理番号 | 1208481 |
審判番号 | 無効2009-800110 |
総通号数 | 122 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2010-02-26 |
種別 | 無効の審決 |
審判請求日 | 2009-05-27 |
確定日 | 2009-11-18 |
訂正明細書 | 有 |
事件の表示 | 上記当事者間の特許第3571688号発明「濾過装置を備えた切粉搬出コンベヤ装置」の特許無効審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 訂正を認める。 本件審判の請求を却下する。 審判費用は、請求人の負担とする。 |
理由 |
1.手続の経緯 本件特許第3571688号に係る出願は,平成13年11月14日に特許出願され,平成16年7月2日にその請求項1乃至3に係る発明について特許権の設定登録がなされた。 これに対して,平成21年5月27日に,請求人モスニック株式会社より,「特許第3571688号発明の特許請求の範囲の請求項1,並びに請求項2に記載された発明についての特許を無効とする。審判費用は被請求人の負担とする。」ことを趣旨とした特許無効審判の請求がなされた。 その後,平成21年6月29日付けの請求書副本の送達通知において指定された期間内である平成21年8月24日に,被請求人椿本メイフラン株式会社より,答弁書とともに訂正請求書が提出され,特許請求の範囲及び明細書についての訂正が請求された。 2.訂正の請求について (1)訂正の内容 平成21年8月24日付け訂正請求書による訂正の内容は,特許第3571688号の明細書を訂正請求書に添付した全文訂正明細書のとおり訂正することを求めるものであって,その訂正事項は以下のとおりである。 ・訂正事項a 特許請求の範囲の請求項1及び請求項2を削除する。 ・訂正事項b 特許請求の範囲の請求項1及び請求項2に従属した請求項3をそれぞれ独立した請求項1乃至請求項2として繰り上げる。 ・訂正事項c 特許明細書の段落[0013]において 「前記目的を達成するために,請求項1に係る本発明は,コンべヤテール部側及び切粉搬出部側で反転して周回走行する外クリートを有するヒンジベルト式のコンベヤ,及び該コンベヤの内側に配置された濾過ドラムが設けられた処理槽に,大小切粉が混在する混濁クーラントを投入し,大小切粉のみを切粉搬出部側に搬送して処理槽外部に搬出すると共に,濾過ドラムにより濾過されたクーラントを処理槽の側方外部に排出するようにした濾過装置を備えた切粉搬出コンベヤ装置において,前記コンベヤテール部側で前記コンベヤの戻り側ベルトが下側から上側に反転走行する反転部の内側に,円形部材が幅方向に亘って設けられると共に,搬出側ベルトの下側に対向して長手方向に亘って仕切板が設けられ,前記処理槽の底板は,コンベヤテール部側から延設された水平底板と,前記濾過ドラムが該水平底板より下方に配置されるように略々円弧状に形成された湾曲底板と,該水平底板と該湾曲底板との間に,該湾曲底板の最下部から該水平底板に向かって緩やかに上方に傾斜した略々平面板状の傾斜底板とで構成され,前記濾過ドラムは,戻り側ベルトを介在させて前記湾曲底板に対向して設けられ,該戻り側ベルトが処理槽の前記湾曲底板,傾斜底板,水平底板に沿って順次走行するようにして,前記円形部材に沿って,戻り側ベルト上に捕捉された小さい切粉を,前記ヒンジベルトの連結部であるヒンジパイプの出っ張りによって前記仕切板上に移送すると共に,前記搬出側ベルトと仕切板とを利用して仕切板上に捕捉された小さい切粉と一緒に仕切板上に沿って搬送するようにしたものである。 また,請求項2に係る本発明は,コンベヤテール部側及び切粉搬出部側で反転して周回走行する外周面に設けられた外クリートと内周面に設けられた内クリートを有するヒンジベルト式のコンベヤ,及び該コンベヤの内側に配置された濾過ドラムが設けられた処理槽に,大小切粉が混在する混濁クーラントを投入し,大小切粉のみを切粉搬出部側に搬送して処理槽外部に搬出すると共に,濾過ドラムにより濾過されたクーラントを処理槽の側方外部に排出するようにした濾過装置を備えた切粉搬出コンベヤ装置において,前記コンベヤテール部側で前記コンベヤの戻り側ベルトが下側から上側に反転走行する反転部の内側に,円形部材が幅方向に亘って設けられると共に,搬出側ベルトの下側に対向して長手方向に亘って仕切板が設けられ,前記処理槽の底板は,コンベヤテール部側から延設された水平底板と,前記濾過ドラムが該水平底板より下方に配置されるように略々円弧状に形成された湾曲底板と,該水平底板と該湾曲底板との間に,該湾曲底板の最下部から該水平底板に向かって緩やかに上方に傾斜した略々平面板状の傾斜底板とで構成され,前記濾過ドラムは,戻り側ベルトを介在させて前記湾曲底板に対向して設けられ,該戻り側ベルトが処理槽の前記湾曲底板,傾斜底板,水平底板に沿って順次走行するようにして,前記円形部材に沿って,戻り側ベルト上に捕捉された小さい切粉を,前記内クリートによって前記仕切板上に移送すると共に,前記搬出側ベルトと仕切板とを利用して仕切板上に捕捉された小さい切粉と一緒に仕切板上に沿って搬送するようにしたものである。 そして,請求項3に係る本発明は,上記請求項1または請求項2の切粉搬出コンベヤ装置において,混濁クーラントが投入される投入部近傍には,処理槽の側壁とコンベヤの両側端との間に形成されて,一時的に大量の混濁クーラントが投入された異常時に戻り側ベルト上に導く混濁クーラント流下用隙間が設けられているようにしたものである。」 とあるのを 「前記目的を達成するために,請求項1に係る本発明は,コンベヤテール部側及び切粉搬出部側で反転して周回走行する外クリートを有するヒンジベルト式のコンベヤ,及び該コンベヤの内側に配置された濾過ドラムが設けられた処理槽に,大小切粉が混在する混濁クーラントを投入し,大小切粉のみを切粉搬出部側に搬送して処理槽外部に搬出すると共に,濾過ドラムにより濾過されたクーラントを処理槽の側方外部に排出するようにした濾過装置を備えた切粉搬出コンベヤ装置において,前記コンベヤテール部側で前記コンベヤの戻り側ベルトが下側から上側に反転走行する反転部の内側に,円形部材が幅方向に亘って設けられると共に,上側を走行する搬出側ベルトの下側に対向して長手方向に亘って仕切板が設けられ,前記処理槽の底板は,コンベヤテール部側から延設された水平底板と,前記濾過ドラムが該水平底板より下方に配置されるように略々円弧状に形成された湾曲底板と,該水平底板と該湾曲底板との間に,該湾曲底板の最下部から該水平底板に向かって緩やかに上方に傾斜した略々平面板状の傾斜底板とで構成され,前記濾過ドラムは,戻り側ベルトを介在させて前記湾曲底板に対向して設けられ,該戻り側ベルトが処理槽の前記湾曲底板,傾斜底板,水平底板に沿って順次走行するようにして,前記円形部材に沿って,戻り側ベルト上に捕捉された小さい切粉を,前記ヒンジベルトの連結部であるヒンジパイプの出っ張りによって前記仕切板上に移送すると共に,前記搬出側ベルトと仕切板とを利用して仕切板上に捕捉された小さい切粉と一緒に仕切板上に沿って搬送し,混濁クーラントが投入される投入部近傍には,処理槽の側壁とコンベヤの両側端との間に形成されて,一時的に大量の混濁クーラントが投入された異常時に戻り側ベルト上に導く混濁クーラント流下用隙間が設けられているようにしたものである。 また,請求項2に係る本発明は,コンベヤテール部側及び切粉搬出部側で反転して周回走行する外周面に設けられた外クリートと内周面に設けられた内クリートを有するヒンジベルト式のコンベヤ,及び該コンベヤの内側に配置された濾過ドラムが設けられた処理槽に,大小切粉が混在する混濁クーラントを投入し,大小切粉のみを切粉搬出部側に搬送して処理槽外部に搬出すると共に,濾過ドラムにより濾過されたクーラントを処理槽の側方外部に排出するようにした濾過装置を備えた切粉搬出コンベヤ装置において,前記コンベヤテール部側で前記コンベヤの戻り側ベルトが下側から上側に反転走行する反転部の内側に,円形部材が幅方向に亘って設けられると共に,上側を走行する搬出側ベルトの下側に対向して長手方向に亘って仕切板が設けられ,前記処理槽の底板は,コンベヤテール部側から延設された水平底板と,前記濾過ドラムが該水平底板より下方に配置されるように略々円弧状に形成された湾曲底板と,該水平底板と該湾曲底板との間に,該湾曲底板の最下部から該水平底板に向かって緩やかに上方に傾斜した略々平面板状の傾斜底板とで構成され,前記濾過ドラムは,戻り側ベルトを介在させて前記湾曲底板に対向して設けられ,該戻り側ベルトが処理槽の前記湾曲底板,傾斜底板,水平底板に沿って順次走行するようにして,前記円形部材に沿って,戻り側ベルト上に捕捉された小さい切粉を,前記内クリートによって前記仕切板上に移送すると共に,前記搬出側ベルトと仕切板とを利用して仕切板上に捕捉された小さい切粉と一緒に仕切板上に沿って搬送し,混濁クーラントが投入される投入部近傍には,処理槽の側壁とコンベヤの両側端との間に形成されて,一時的に大量の混濁クーラントが投入された異常時に戻り側ベルト上に導く混濁クーラント流下用隙間が設けられているようにしたものある。」 と訂正する。 (2)訂正の目的の適否,新規事項の有無及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否についての判断 上記訂正事項aに係る訂正は,設定登録時の請求項1及び請求項2を削除するものであるから,特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 上記訂正事項bに係る訂正は,上記訂正事項aにより設定登録時の請求項1及び請求項2が削除されたことに伴い,請求項に付す番号が連続番号となるように特許請求の範囲の記載を整えるとともに,請求項の引用を整合させるものであるから,明りょうでない記載の釈明を目的とするものである。 上記訂正事項cに係る訂正は,上記訂正事項a及び上記訂正事項bにより設定登録時の請求項1及び請求項2が削除され,設定登録時の請求項3がそれぞれ請求項1及び請求項2に繰上げられることに伴い,明細書の記載を整合させるものであるから,明りょうでない記載の釈明を目的とするものである。 そして,上記訂正事項a乃至cは,いずれも,設定登録時の請求項1及び請求項2の削除に関する訂正であることから,願書に添付した明細書又は図面に記載されている事項の範囲内の訂正であり,また,実質上特許請求の範囲を拡張し,又は変更するものではない。 なお,本件特許無効審判の請求の対象とされていない設定登録時の請求項3(訂正後の請求項1及び請求項2)に係る訂正は,上記訂正事項bとして示したとおりであって,明りょうでない記載の釈明を目的とした特許請求の範囲の訂正に該当するから,全文訂正特許請求の範囲の請求項1及び請求項2に係る発明の独立特許要件については,判断することを要しない。 (3)むすび よって,平成21年8月24日付け訂正請求書による訂正は,特許法第134条の2第1項ただし書き,及び同条第5項において準用する同法第126条第3項,4項の規定に適合するので適法な訂正と認める。 3.特許無効審判の請求について 特許無効審判の請求人は,特許第3571688号に係る設定登録時の請求項1及び請求項2に記載された発明についての特許を無効とすることを求めているところ,平成21年8月24日付け訂正請求書による訂正が適法な訂正と認められ,設定登録時の請求項1及び請求項2は削除されたことから,特許無効審判の請求の対象が存在しないものとなった。 したがって,本件特許無効審判の請求は,不適法な審判の請求であって,その補正をすることができないものであるから,特許法第135条の規定によって却下すべきものである。 そして,審判に関する費用については,特許法第169条第2項の規定で準用する民事訴訟法第61条の規定により請求人が負担すべきものとする。 よって,結論のとおり審決する。 |
発明の名称 |
(54)【発明の名称】 濾過装置を備えた切粉搬出コンベヤ装置 (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 コンベヤテール部側及び切粉搬出部側で反転して周回走行する外クリートを有するヒンジベルト式のコンベヤ、及び該コンベヤの内側に配置された濾過ドラムが設けられた処理槽に、大小切粉が混在する混濁クーラントを投入し、大小切粉のみを切粉搬出部側に搬送して処理槽外部に搬出すると共に、濾過ドラムにより濾過されたクーラントを処理槽の側方外部に排出するようにした濾過装置を備えた切粉搬出コンベヤ装置において、 前記コンベヤテール部側で前記コンベヤの戻り側ベルトが下側から上側に反転走行する反転部の内側に、円形部材が幅方向に亘って設けられると共に、上側を走行する搬出側ベルトの下側に対向して長手方向に亘って仕切板が設けられ、 前記処理槽の底板は、コンベヤテール部側から延設された水平底板と、前記濾過ドラムが該水平底板より下方に配置されるように略々円弧状に形成された湾曲底板と、該水平底板と該湾曲底板との間に、該湾曲底板の最下部から該水平底板に向かって緩やかに上方に傾斜した略々平面板状の傾斜底板とで構成され、 前記濾過ドラムは、戻り側ベルトを介在させて前記湾曲底板に対向して設けられ、該戻り側ベルトが処理槽の前記湾曲底板、傾斜底板、水平底板に沿って順次走行するようにして、 前記円形部材に沿って、戻り側ベルト上に捕捉された小さい切粉を、前記ヒンジベルトの連結部であるヒンジパイプの出っ張りによって前記仕切板上に移送すると共に、前記搬出側ベルトと仕切板とを利用して仕切板上に捕捉された小さい切粉と一緒に仕切板上に沿って搬送し、 混濁クーラントが投入される投入部近傍には、処理槽の側壁とコンベヤの両側端との間に形成されて、一時的に大量の混濁クーラントが投入された異常時に戻り側ベルト上に導く混濁クーラント流下用隙間が設けられていることを特徴とする濾過装置を備えた切粉搬出コンベヤ装置。 【請求項2】 コンベヤテール部側及び切粉搬出部側で反転して周回走行する外周面に設けられた外クリートと内周面に設けられた内クリートを有するヒンジベルト式のコンベヤ、及び該コンベヤの内側に配置された濾過ドラムが設けられた処理槽に、大小切粉が混在する混濁クーラントを投入し、大小切粉のみを切粉搬出部側に搬送して処理槽外部に搬出すると共に、濾過ドラムにより濾過されたクーラントを処理槽の側方外部に排出するようにした濾過装置を備えた切粉搬出コンベヤ装置において、 前記コンベヤテール部側で前記コンベヤの戻り側ベルトが下側から上側に反転走行する反転部の内側に、円形部材が幅方向に亘って設けられると共に、上側を走行する搬出側ベルトの下側に対向して長手方向に亘って仕切板が設けられ、 前記処理槽の底板は、コンベヤテール部側から延設された水平底板と、前記濾過ドラムが該水平底板より下方に配置されるように略々円弧状に形成された湾曲底板と、該水平底板と該湾曲底板との間に、該湾曲底板の最下部から該水平底板に向かって緩やかに上方に傾斜した略々平面板状の傾斜底板とで構成され、 前記濾過ドラムは、戻り側ベルトを介在させて前記湾曲底板に対向して設けられ、該戻り側ベルトが処理槽の前記湾曲底板、傾斜底板、水平底板に沿って順次走行するようにして、 前記円形部材に沿って、戻り側ベルト上に捕捉された小さい切粉を、前記内クリートによって前記仕切板上に移送すると共に、前記搬出側ベルトと仕切板とを利用して仕切板上に捕捉された小さい切粉と一緒に仕切板上に沿って搬送し、 混濁クーラントが投入される投入部近傍には、処理槽の側壁とコンベヤの両側端との間に形成されて、一時的に大量の混濁クーラントが投入された異常時に戻り側ベルト上に導く混濁クーラント流下用隙間が設けられていることを特徴とする濾過装置を備えた切粉搬出コンベヤ装置。 【発明の詳細な説明】 【0001】 【発明の属する技術分野】 工作機械による切削、研削等の金属加工、または樹脂加工を行う際に、工作機械から鉄系、アルミニウム系、銅系等金属または樹脂類の切削屑、研削屑等の大小切粉がクーラントと共に排出される。本発明は、周回走行するヒンジベルト式のコンベヤが設けられている処理槽に、大小切粉が入り混ざっている混濁クーラントを投入し、クーラントと分離して切粉のみを該コンベヤにより切粉搬出側に搬送して処理槽外に搬出すると共に、該コンベヤの内側に設けられた濾過ドラムにより濾過されたクーラントを処理槽の側方から外部に排出するようにした濾過装置を備えた切粉搬出コンベヤ装置に関する。 【0002】 【従来の技術】 工作機械で金属材料または樹脂材料を切削、研削等の加工を行う場合、切削工具、研削工具、被加工材料等を冷却するために、切削油、潤滑剤を溶解した水等のクーラントが用いられている。従来、工作機械から排出される切粉を含んだ混濁クーラントから、切粉のみをヒンジベルトコンベヤで処理槽外部に搬出すると共に、濾過ドラムにより濾過されたクリーンクーラントを処理槽の側方に排出するようにした切粉搬出コンベヤ装置は公知(例えば、特開2000-202215号公報)である。 【0003】 図9、図10に、従来の切粉搬出コンベヤ装置の一部を示す。この切粉搬出コンベヤ装置11は、概略、混濁クーラントの処理槽12と、処理槽12内に設けられたヒンジベルト式のコンベヤ14と、コンベヤ14の内側に設けられた濾過ドラム15とで構成される。 【0004】 このコンベヤ14は、無端状のヒンジベルト13とサイドチェーン13aとを備え、処理槽12のコンベヤテール部側A及び切粉搬出部側(図示略)で反転して周回走行する。この場合、サイドチェーン13aはコンベヤテール部側Aで従動部側のテールディスク14cに摺動走行するように捲回され、切粉搬出部側(図示略)で駆動スプロケット(図示略)に捲回される。なお、図10中の13bはヒンジベルト13の外周面に取り付けられた外クリートである。 【0005】 濾過ドラム15は、上側を走行する搬出側ベルト14aと下側を走行する戻り側ベルト14bとの間に設けられる。また、処理槽12の底板は、コンベヤテール部側Aに設けられた湾曲状のカバー12aに連続して長手方向に設けられた水平底板12bと、濾過ドラム15が下方に配置されるように円弧状に形成された凹溝底板12cとで形成され、この凹溝底板12cに傾斜壁面板12dが斜め上方の切粉搬出部側(図示略)に向けて延設されている。 【0006】 この切粉搬出コンベヤ装置11は、処理槽12に大小切粉が混在する混濁クーラントを上方から投入すると、コンベヤ14の搬出側ベルト14aで大きい切粉k1(例えば、金属や樹脂の長い切粉、カール状切粉やこれらが固まったダンゴ状切粉等)が捕捉され、処理槽12上方の切粉搬出部側に搬送、排出されると共に、濾過ドラム15により混濁クーラントを濾過し、濾過されたクリーンクーラントは、流出口15aから処理槽12下方あるいは側方に設けられたクーラント貯槽Eに流出し、工作機械で再使用される。 【0007】 この場合、搬出側ベルト14aで捕捉されないで、底板上に沈降した切粉は、戻り側ベルト14bの外クリート13bにより掻き取られてコンベヤテール部側Aに搬送され、戻り側ベルト14bが反転部で反転するとき、外クリート13bで上側に掬いあげられ搬出側ベルト14aで搬送され、排出される。 【0008】 【発明が解決しようとする課題】 従来の前記切粉搬出コンベヤ装置は、小さい切粉が搬出側ベルトのヒンジプレートの繋ぎ目の隙間を通って、下側を走行する戻り側ベルトの内周面上に捕捉されると、そのままコンベヤテール部側Aまで運ばれる。 しかし、戻り側ベルトが下側から上側に反転走行するとき、切粉は反転部内側で次々に戻り側ベルト上に落下して、反転部内側の空洞部に滞留するので、切粉が徐々に肥大化して丸棒状の切粉の塊M1に成長する。そうすると、反転部内側で肥大化した切粉の塊により、搬出側ベルト及び戻り側ベルトが上下方向に押し出され、やがてコンベヤの停止に至るという問題があり、このように、切粉の塊によりコンベヤ停止が起こると、その都度工作機械内部よりコンベヤを抜き出し、さらにヒンジベルトを取り出して内部を掃除しなければならないという問題がある。 【0009】 濾過ドラムが配置される箇所の処理槽底板は、濾過ドラムが下方に配置されるように円弧状の凹溝底板に形成され、凹溝底板は、その円弧最上部が水平底板に連接部分で直接接続している。図9に示すように、戻り側ベルト14bがこの底板に沿って走行するため、この連接部分12eで濾過ドラムから落下した切粉は、連接部分12eの箇所の戻り側ベルト14b上で切粉の塊M2になりやすく、一旦塊になるとそれが肥大化し、濾過ドラム15のフィルター面を押圧して破損させるという問題がある。 【0010】 本来、切粉搬出コンベヤ装置は、混濁クーラントの液面が搬出側ベルトより下側になるようにすることが好ましい。しかし、工作機械には、目的に応じて複数のクーラント供給用のポンプが使用され、通常、適宜数のポンプが起動されたり、停止されたりするが、ポンプ起動時には、一時的に大量の混濁クーラントが処理槽に投入されたり、あるいは大量の切粉が供給されることがあり、その結果、コンベヤにより混濁クーラントの流れが阻害されているため、一時的に投入部近傍の水位が上昇し、処理槽からオーバーフローするという問題がある。 【0011】 また、前記特開2000-202215号公報に記載されている切粉搬出コンベヤ装置では、コンベヤ内に設けた対流用噴出ノズルにより濾過後の浄化液を噴射して、切粉を戻り側ベルトの下方に流動(対流)するようにしているが、切粉が小さかったり、比重が小さいと混濁クーラント中に舞い上がって切粉濃度が増大し、濾過ドラムのフィルターの目詰まりを促進させるという問題がある。 【0012】 そこで、本発明は、前述したような従来技術の問題点を解消し、大小切粉が含まれる混濁クーラントを処理する場合、コンベヤテール部側のコンベヤの反転部内側に、切粉が滞留して切粉の塊となって肥大化しないようにすること、濾過ドラム下方の戻り側ベルト上に切粉が滞留して切粉の塊ができないようにして、切粉の塊の成長肥大化による濾過ドラムのフィルターを破損しないようにすること、切粉が混濁クーラント中で舞い上がったり拡散したりすることによる濾過ドラムへの切粉付着を抑制し、濾過ドラムのフィルターの目詰まりが生じるのを抑制すること、処理槽に一時的に大量の混濁クーラントが投入された場合でも、水位が上昇しないようにして、オーバーフローしないようにすること等ができると共に、大きい切粉、小さい切粉の回収及びクリーンクーラントの回収を同時に行うことができる切粉搬出コンベヤ装置を提供することを目的とする。 【0013】 【課題を解決するための手段】 前記目的を達成するために、請求項1に係る本発明は、コンベヤテール部側及び切粉搬出部側で反転して周回走行する外クリートを有するヒンジベルト式のコンベヤ、及び該コンベヤの内側に配置された濾過ドラムが設けられた処理槽に、大小切粉が混在する混濁クーラントを投入し、大小切粉のみを切粉搬出部側に搬送して処理槽外部に搬出すると共に、濾過ドラムにより濾過されたクーラントを処理槽の側方外部に排出するようにした濾過装置を備えた切粉搬出コンベヤ装置において、前記コンベヤテール部側で前記コンベヤの戻り側ベルトが下側から上側に反転走行する反転部の内側に、円形部材が幅方向に亘って設けられると共に、上側を走行する搬出側ベルトの下側に対向して長手方向に亘って仕切板が設けられ、前記処理槽の底板は、コンベヤテール部側から延設された水平底板と、前記濾過ドラムが該水平底板より下方に配置されるように略々円弧状に形成された湾曲底板と、該水平底板と該湾曲底板との間に、該湾曲底板の最下部から該水平底板に向かって緩やかに上方に傾斜した略々平面板状の傾斜底板とで構成され、 前記濾過ドラムは、戻り側ベルトを介在させて前記湾曲底板に対向して設けられ、該戻り側ベルトが処理槽の前記湾曲底板、傾斜底板、水平底板に沿って順次走行するようにして、前記円形部材に沿って、戻り側ベルト上に捕捉された小さい切粉を、前記ヒンジベルトの連結部であるヒンジパイプの出っ張りによって前記仕切板上に移送すると共に、前記搬出側ベルトと仕切板とを利用して仕切板上に捕捉された小さい切粉と一緒に仕切板上に沿って搬送し、混濁クーラントが投入される投入部近傍には、処理槽の側壁とコンベヤの両側端との間に形成されて、一時的に大量の混濁クーラントが投入された異常時に戻り側ベルト上に導く混濁クーラント流下用隙間が設けられているようにしたものである。 また、請求項2に係る本発明は、コンベヤテール部側及び切粉搬出部側で反転して周回走行する外周面に設けられた外クリートと内周面に設けられた内クリートを有するヒンジベルト式のコンベヤ、及び該コンベヤの内側に配置された濾過ドラムが設けられた処理槽に、大小切粉が混在する混濁クーラントを投入し、大小切粉のみを切粉搬出部側に搬送して処理槽外部に搬出すると共に、濾過ドラムにより濾過されたクーラントを処理槽の側方外部に排出するようにした濾過装置を備えた切粉搬出コンベヤ装置において、前記コンベヤテール部側で前記コンベヤの戻り側ベルトが下側から上側に反転走行する反転部の内側に、円形部材が幅方向に亘って設けられると共に、上側を走行する搬出側ベルトの下側に対向して長手方向に亘って仕切板が設けられ、前記処理槽の底板は、コンベヤテール部側から延設された水平底板と、前記濾過ドラムが該水平底板より下方に配置されるように略々円弧状に形成された湾曲底板と、該水平底板と該湾曲底板との間に、該湾曲底板の最下部から該水平底板に向かって緩やかに上方に傾斜した略々平面板状の傾斜底板とで構成され、前記濾過ドラムは、戻り側ベルトを介在させて前記湾曲底板に対向して設けられ、該戻り側ベルトが処理槽の前記湾曲底板、傾斜底板、水平底板に沿って順次走行するようにして、前記円形部材に沿って、戻り側ベルト上に捕捉された小さい切粉を、前記内クリートによって前記仕切板上に移送すると共に、前記搬出側ベルトと仕切板とを利用して仕切板上に捕捉された小さい切粉と一緒に仕切板上に沿って搬送し、混濁クーラントが投入される投入部近傍には、処理槽の側壁とコンベヤの両側端との間に形成されて、一時的に大量の混濁クーラントが投入された異常時に戻り側ベルト上に導く混濁クーラント流下用隙間が設けられているようにしたものである。 【0014】 上記本発明において、ヒンジベルト式のコンベヤは、上側を走行するベルトが搬出側ベルトとなり、下側を走行するベルトが戻り側ベルトとなるもので、また、長手方向とは、周回走行するコンベヤが走行する方向を意味し、幅方向とは、コンベヤの走行方向と直交する方向を意味する。 大小切粉のうち、大きい切粉とは、ヒンジベルトを通過しないで、搬出側ベルトに捕捉される程度の大きさの切粉を意味し、小さい切粉とは、ヒンジベルトの繋ぎ目、サイドチェーンの隙間等を通って沈降する程度の大きさの切粉のことである。 【0015】 【作用】 上記の構成からなる切粉搬出コンベヤ装置は、処理槽に大小切粉が混在する混濁クーラントが投入されると、大きい切粉は搬出側ベルト上に捕捉されて搬送、排出される。 また、搬出側ベルトで捕捉されない小さい切粉は、仕切板上に堆積したり、戻り側ベルト上(ヒンジベルト式のコンベヤの内周面上)で捕捉されたり、処理槽の底板上に沈降、堆積する。 処理槽の底板に堆積した小さい切粉は、下側を走行する戻り側ベルトの外クリートにより掻き取られて、コンベヤテール部側での戻り側ベルトの反転走行により掬い上げられて、上側を走行するようになった搬出側ベルトで大きい切粉と一緒に搬送され、排出される。 また、戻り側ベルトの上に捕捉された小さい切粉は、コンベヤテール部側まで戻り側ベルト上に載ったまま搬送され、コンベヤテール部側におけるコンベヤの反転走行の際に、ヒンジプレートの連結部であるヒンジパイプの出っ張りにより、あるいは内クリートにより、反転部に設けられた円形部材に沿って仕切板上に移送され、次いで、仕切板上に捕捉された切粉と一緒に、搬出側ベルトと仕切板とを利用して仕切板上に沿って切粉搬出部側に搬送され、排出される。 この場合、濾過ドラムの下方の戻り側ベルト上に沈降した切粉は、戻り側ベルトが緩やかに上方に傾斜する傾斜底板に沿って走行することにより、切粉の塊にならないでコンベヤテール部側に搬送される。 一方、濾過ドラムにより濾過されたクーラントは処理槽の一側方または両側方から外部に排出される。 【0016】 【発明の実施の形態】 本発明の実施の形態を実施例に基づいて図1?図8を参照して説明する。切粉搬出コンベヤ装置1は、図1に示されるように、混濁クーラントKの処理槽2と、処理槽2内部に設けられた無端状のヒンジベルト3からなるヒンジベルト式のコンベヤ4と、コンベヤテール部側Aで戻り側ベルト4bが下側から上側に反転走行する反転部の内側に設けられた円形部材5と、搬出側ベルト4aの下側に対向して長手方向に亘って設けられた仕切板6と、仕切板6と戻り側ベルト4bとの間に設けられた濾過ドラム8とで構成される。 【0017】 この切粉搬出コンベヤ装置1は、処理槽2に大小切粉が混在する混濁クーラントKが投入されると、大小切粉k1、k2のみが切粉搬出部側Bに搬送され、切粉回収箱Dに排出されると共に、濾過ドラム8により濾過されたクリーンクーラントCが処理槽2の下方または側方に配置されたクリーンクーラント貯槽Eに排出される。なお、各図中のFはコンベヤの走行方向である。 【0018】 処理槽2は、図1、図2に示すように、その底板が、コンベヤテール部側Aのカバー2aから延設された水平底板2bと、傾斜底板2cと、濾過ドラム8が水平底板2bより下方に配置されるように略々円弧状の湾曲底板2dとが連接して形成される。この傾斜底板2cは、湾曲底板2dの最下部2d’から水平底板2bに向かって緩やかに上方に傾斜した略々平面状の板、または僅かに戻り側ベルト4b側に湾曲した板である。この傾斜底板2cの水平面に対する傾斜角度θは、30°以下とするのが好ましい。 なお、図1、図2中の2eは、湾曲底板2dと切粉の切粉搬出部側Bとの間に設けられた傾斜壁面板である。 【0019】 コンベヤ4は、コンベヤテール部側Aでテールディスク4cに、また切粉搬出部側Bで駆動用スプロケット4dに、ヒンジベルト3のサイドチェーン3bが捲回されて周回走行する。 【0020】 ヒンジベルト3は、図4、図5に示すように、ヒンジプレート3aが一対のローラチェーンからなるサイドチェーン3b間で、連結部であるヒンジパイプ3a’に挿入されたベルトピン3cにより、蝶番方式で連結して形成され、このヒンジパイプ3a’は、ヒンジベルト3の表裏両面に突出する出っ張りとなる。サイドチェーン3bは、リンクプレート3dとローラ3eとからなり、このローラ3eは、ベルトピン3cに回転可能に装着されている。 【0021】 ヒンジプレート3aの両側端には、サイドウイング3fが固着される。このサイドウイング3fは、図3に示すように、ウイングプレート3f1と取着板3f2からなり、それぞれヒンジプレート3aに取着板3f2を介して固着される。 このウイングプレート3f1は、隣接するヒンジプレート3aのウイングプレート3f1どうしが重なり合って、ヒンジベルト3がコンベヤテール部側Aで反転して屈曲走行しても隙間が空かないようになっている。 【0022】 ヒンジベルト3の外周面には、数個置きのヒンジプレート3aに外クリート3gが間隔を開けて取り付けられ、また内周面には、間隔を開けて比較的に高さの低い内クリート3hが取り付けられている(図3参照)。 【0023】 図3、図6に示すように、周回走行するコンベヤ4がコンベヤテール部側Aで下側から上側に反転走行する反転部の内側には、ヒンジベルト3のサイドチェーン3bが捲回される一対のテールディスク4cが設けられるが、この一対のテールディスク4c間に亘って、すなわち、幅方向に亘って、パイプ、あるいは円筒からなる円形部材5が設けられる。 【0024】 この円形部材5は、ヒンジベルト3が下側から上側に反転走行する際、戻り側ベルト4b上に捕捉された小さい切粉k2を、内クリート3hで支持しながら円形部材5の外周面に沿って仕切板6上に移送する補助部材として機能するもので、回転してもしなくてもよい。図6中の2fは戻り側レール、2gは押さえレールである。 【0025】 周回走行するコンベヤ4の搬出側ベルト4aの下側に対向して長手方向に亘って、ヒンジベルト3と略々同じ幅の平面板状の仕切板6が設けられる(図1、図2、図7参照)。この仕切板6の幅方向両外端部は、搬出側ベルト4aのガイドレールも兼ねる(図7参照)。 この仕切板6の切粉搬出部側Bには、仕切板6上に乗って搬出側ベルトを利用して搬送された切粉を搬出するための排出機構7が設けられる。 【0026】 この排出機構7は、図1に示すように、切粉を仕切板6終端の開口7aから樋状のシュートに落下させ、次いで処理槽2の側方外側に斜め下方に傾斜したシュート7bから滑り落として切粉回収箱Dに搬出する構成、あるいは図8に示すように、切粉を開口7’a下部の樋7’bに落とし込み、スクリューコンベヤ7’cで搬出する構成である。このスクリューコンベヤ7’cは、サイドチェーン3bに噛合するスプロケット7’dにより駆動される。 【0027】 濾過装置を構成する濾過ドラム8は、図1、図2に示すように、仕切板6と下側を走行する戻り側ベルト4bとの間で、戻り側ベルト4bが処理槽斜め上方から水平方向に走行変換する所の湾曲底板2dの内側に配置される。 また、濾過ドラム8は、その端部に設けられたスプロケット8aが下側を走行するサイドチェーン3bに噛合することにより駆動される。 【0028】 なお、図1、図2において、8bはクリーンクーラントの流出口、8cは濾過ドラム8のフィルター浄化用の噴射ノズルであり、ドラムフィルタ表面に付着した切粉は、噴射ノズル8cから噴射される洗浄液により戻り側ベルト上に落下し、コンベヤテール部側A側に搬送される。 【0029】 図7に示すように、混濁クーラントKの投入部近傍の処理槽2の側壁2hと搬出側ベルト4aの側端4eとの間に流下用の隙間Gを設けると共に、側壁2hには混濁クーラントKを戻り側ベルト4b上に導く整流板2jが設けられる。 この流下用の隙間Gは、一時的に大量の混濁クーラントKが処理槽2に投入されるような異常時に、サイドウイング3fのガイド部材2iを越えて流れる混濁クーラントKを処理槽下方へ導き、水位上昇を防ぎオーバーフローを防止する。 なお、混濁クーラントの投入部は、処理槽2の水平底板2b、傾斜底板2cが位置するいずれかの箇所の上方に備えられる。 【0030】 上記の構成からなる切粉搬出コンベヤ装置1は、処理槽2に大小切粉が混在する混濁クーラントKが上方から投入されると、大きい切粉k1は搬出側ベルト4a上に捕捉されて、処理槽2斜め上方の切粉搬出部側Bに搬送されて排出され、切粉回収箱Dに回収される。この搬出側ベルト4aは、外クリート3gにより切粉を受け止めながら斜め上方に走行し、この間にクーラントが水切りされ、切粉のみが排出される。 【0031】 搬出側ベルト4aで捕捉されない小さい切粉k2は、仕切板6上に堆積したり、戻り側ベルト4b上(ヒンジベルトの内周面)で捕捉されたり、処理槽2の底板である水平底板2b、傾斜底板2c、湾曲底板2d上に沈降、堆積する。 底板2b、2c、2d上に堆積した小さい切粉k2は、この底板に沿って走行する戻り側ベルト4bの外クリート3gにより掻き取られてコンベヤテール部側Aに搬送され、コンベヤテール部側Aでの戻り側ベルト4bの上側への反転走行により掬いあげられて、上側を走行するようになった搬出側ベルト4aにより、大きい切粉k1と一緒に搬送され、排出される。 この場合、小さい切粉k2の一部は搬出側ベルト4aから沈降するが、再び掻き取られて搬送される。 【0032】 また、戻り側ベルト4b上に捕捉された小さい切粉k2は、コンベヤテール部側Aまで戻り側ベルト4b上に載ったまま搬送され、コンベヤテール部側Aにおけるコンベヤ4の反転走行の際に、ヒンジベルト3の内周面に設けられた内クリート3hにより、反転部に設けられた円形部材5に沿って仕切板6上に移送され、次いで、仕切板6上に堆積した切粉k2と一緒に、搬出側ベルト4aの内クリート3hと仕切板6とを利用して仕切板6上に沿って切粉搬出部側に搬送され、排出機構7により排出され、切粉回収箱Dに回収される。 【0033】 この場合、濾過ドラム8の下方の戻り側ベルト4b上に沈降した切粉k2は、戻り側ベルト4bが湾曲底板2dに延設された緩やかに上方に傾斜する傾斜底板2cに沿って走行することにより、塊にならないでスムーズにコンベヤテール部側Aに搬送される。その結果、切粉の塊によるドラムフィルターの破損を防止することができる。 【0034】 また、混濁クーラントKが投入されたとき、搬出側ベルト4aと仕切板6とにより、投入時の流勢が緩和されて仕切板6と戻り側ベルト4bとの間で、切粉の舞い上がりや拡散が抑制されるので、濾過ドラムに流れる混濁クーラントの切粉濃度上昇が抑制され、濾過ドラムのフィルタ目詰まりを少なくすることができる。 【0035】 一方、濾過ドラム8により混濁クーラントKは濾過され、濾過されたクリーンクーラントCは処理槽2の側方から外部のクリーンクーラント貯槽Eに排出されて回収される。この場合、濾過ドラム8の両側に流出口8aを設けておくと、効率よく排出される。 【0036】 以上実施例について説明したが、ヒンジベルト3に必ずしも内クリート3hを設ける必要はなく、内クリート3hを設けないで、ヒンジプレート3の連結部であるヒンジパイプ3a’の出っ張りを内クリート3hの代わりとしてもよい。 この場合は、コンベヤテール部側におけるヒンジベルト3の反転走行の際に、このヒンジパイプ3a’の出っ張りにより、切粉は反転部に設けられた円形部材5に沿って仕切板6上に移送され、仕切板6上に沿って搬送される。 また、ヒンジプレート3aは、透孔のないプレインプレート、透孔のあるパーフォレーションプレート、突起のあるディンプルプレートを用いてもよい。これらを複数種の組み合わせで用いてもよい。 【0037】 【発明の効果】 以上説明したように、本発明は、ヒンジベルト式のコンベヤの外周面に外クリートが取り付けられているので、処理槽の底板に沈降し、堆積した小さい切粉を戻り側ベルトの外クリートにより掻き取って、コンベヤテール部側での戻り側ベルトの反転走行により掬い上げて、上側走行となった搬出側ベルトで切粉搬出部側に搬送して排出することができる。 【0038】 上側を走行する搬出側ベルトの下側には、該搬出側ベルトに対向して長手方向に亘って仕切板が設けられると共に、コンベヤテール部側で戻り側ベルトが下側から上側に反転走行する反転部の内側には、幅方向に亘って円形部材が設けられているので、戻り側ベルト上に捕捉された小さい切粉を、コンベヤテール部側に搬送し、戻り側ベルトの反転走行の際に、ヒンジベルトと円形部材との間で、ヒンジベルトの連結部であるヒンジパイプの出っ張りあるいは内クリートを利用して、円形部材に沿って仕切板上に移送することができる。その結果、反転部内側での切粉の塊が生じるのを防止することができ、ひいては、切粉の塊の肥大化によるコンベヤの停止を防止することができると共に、メンテナンスの頻度を少なくすることができる。 【0039】 さらに、上記のように仕切板上に移送した小さい切粉を、ヒンジベルトの連結部であるヒンジパイプの出っ張りあるいは内クリートを利用して、仕切板上に堆積した切粉と一緒に、仕切板上に沿って切粉搬出部側に搬送して排出することができる。 【0040】 下側を走行する戻り側ベルトと仕切板との間に濾過ドラムが設けられているので、投入された混濁クーラントの流れの勢いが搬送側ベルト及び仕切板により緩和されて、濾過ドラム近傍での混濁クーラントの流勢による切粉の舞い上がりや拡散による切粉濃度上昇を抑制することができ、それに伴って、濾過ドラムのフィルター目詰まりを抑制することができる。 【0041】 処理槽の底板は、コンベヤテール部側から延設された水平底板に向かって、濾過ドラムが配置される箇所の湾曲底板の最下部から緩やかに上方に傾斜した略々平面板状の傾斜底板を備え、戻り側ベルトが濾過ドラムの下方からこの傾斜底板に沿って走行するようにしたので、濾過ドラム下方の戻り側ベルト上に落下した切粉を滞留させないで、戻り側ベルトに載せてコンベヤテール部側に搬送することができる。 その結果、濾過ドラム下方での切粉の塊の発生を防止することができ、切粉の塊の肥大化によるドラムフィルターの破損を防止することができる。 【0042】 以上のように、本発明によれば、大小切粉が混在する混濁クーラントから大きい切粉、小さい切粉、及び濾過されたクーラントを同時に回収することができるので、1台の切粉搬出コンベヤ装置で大小切粉などあらゆる切粉を含んだ混濁クーラントを効率よく処理することができる。 【図面の簡単な説明】 【図1】本発明の実施例である切粉搬出コンベヤ装置の側面図。 【図2】同上の濾過ドラム近傍の拡大側面図。 【図3】同上のコンベヤテール部側の拡大側面図。 【図4】同上のヒンジベルトの部分平面図。 【図5】同上のサイドウイングの斜視図。 【図6】図3のX-X’線断面図。 【図7】図3のY-Y’線断面図。 【図8】同上の切粉の排出機構近傍の平面図。 【図9】従来の切粉搬出コンベヤ装置の一部切欠側面図。 【図10】図9のX-X’線断面図。 【符号の説明】 1 ・・・切粉搬出コンベヤ装置 2 ・・・処理槽 2b ・・・水平底板 2c ・・・傾斜底板 2d ・・・湾曲底板 2d’・・・湾曲底板の最下部 2e ・・・傾斜壁面板 2h ・・・側壁 2i ・・・ガイド部材 2j ・・・整流板 3 ・・・ヒンジベルト 3a ・・・ヒンジプレート 3a’・・・ヒンジパイプ 3b ・・・サイドチェーン 3f ・・・サイドウイング 3g ・・・外クリート 3h ・・・内クリート 4 ・・・コンベヤ 4a ・・・搬出側ベルト 4b ・・・戻り側ベルト 4c ・・・テールディスク 4d ・・・駆動用スプロケット 5 ・・・円形部材 6 ・・・仕切板 7 ・・・排出機構 8 ・・・濾過ドラム 8a ・・・スプロケット 8b ・・・流出口 K ・・・混濁クーラント k1、k2・・・大小切粉 A ・・・コンベヤテール部側 B ・・・切粉搬出部側 E ・・・クリーンクーラント貯槽 G ・・・流下用の隙間 |
訂正の要旨 |
審決(決定)の【理由】欄参照。 |
審理終結日 | 2009-09-17 |
結審通知日 | 2009-09-24 |
審決日 | 2009-10-07 |
出願番号 | 特願2001-349126(P2001-349126) |
審決分類 |
P
1
123・
121-
XA
(B23Q)
P 1 123・ 841- XA (B23Q) P 1 123・ 832- XA (B23Q) |
最終処分 | 審決却下 |
特許庁審判長 |
小椋 正幸 |
特許庁審判官 |
千葉 成就 野村 亨 |
登録日 | 2004-07-02 |
登録番号 | 特許第3571688号(P3571688) |
発明の名称 | 濾過装置を備えた切粉搬出コンベヤ装置 |
代理人 | 藤本 信男 |
代理人 | 津野 孝 |
代理人 | 三宅 正之 |
代理人 | 志村 正和 |
代理人 | 三宅 正之 |
代理人 | 藤本 信男 |
代理人 | 津野 孝 |