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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G06F
管理番号 1208594
審判番号 不服2007-2633  
総通号数 122 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2010-02-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2007-01-22 
確定日 2009-12-11 
事件の表示 平成 8年特許願第275616号「同期メモリを備えた電子部品」拒絶査定不服審判事件〔平成 9年 9月 5日出願公開、特開平 9-231138〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯と本願発明
本願は、平成8年10月18日(パリ条約による優先権主張1995年10月18日、仏国)の出願であって、平成15年7月1日付けで手続補正がなされ、平成18年3月22日付けで拒絶の理由の通知がなされ、同年9月26日付けで手続補正がなされたが、同年10月16日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、平成19年1月22日に審判請求がなされたものである。

そして、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、平成18年9月26日付け手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された次のとおりのものと認める。
「複数の論理エンティティからなる情報を格納するための、複数のページにセグメント化された電気的に消去可能な不揮発性メモリと、
前記メモリを管理するよう構成されたメモリマネージャとを備えた電子メモリカードであって、
前記メモリマネージャは、前記複数の論理エンティティのそれぞれが整数ページを独占的に占有するように前記情報を前記メモリに記憶するようにされ、
前記メモリマネージャはマイクロプロセッサであり、そして、
外部電源装置より電力供給がなされるとともに、前記電力供給が不定時に遮断されるものであることを特徴とする電子メモリカード。」


2.引用発明
原査定の拒絶の理由に引用された、特開平07-073098号公報(以下「引用文献」という。)には、図面とともに、以下の事項が記載されている(下線は、参考のため、当審において付したもの。以下、同様。)。

A.「【0001】
【産業上の利用分野】NAND型フラッシュメモリをデータ記録媒体として用いたデータ記録再生装置のデータ書き込み方法に関するものである。」

B.「【0003】EEPROMには、その書き換え方式の違いにより、1バイト毎に書き換えが可能な従来型のEEPROMと、一度に全バイト又は選択されたブロックを電気的に消去して、消去した部分に電気的に書き込みをおこなうフラッシュEEPROM(以下、フラッシュメモリという。)とがある。フラッシュメモリにも、そのメモリセル構成の違いでNOR型フラッシュメモリとNAND型フラッシュメモリ等があり、NAND型フラッシュメモリは、あるまとまった単位のデータの動作で考えると、書き込み、消去、読み出し速度が早いことと、大容量化に適していることから、音声装置に使用されている磁気テープの置き換えやハードディスクやフロッピィディスクの置き換えが考慮されている。
【0004】ところで、NAND型フラッシュメモリは、図2に示すように、ディバイス内部にメインメモリ1とデータレジスタ3を有しており、該メインメモリは複数のブロック2で構成されていて、その1つのブロック2もまた複数のページ(例えば8ページ)で形成されている。また、データレジスタは、メインメモリ内の1ページに該当する所定バイト(例えば264バイト)の記録容量を持っており、メインメモリ内のページ読み出しやページ書き込みには該データレジスタを介して1ページ単位でおこなうようになっている。また、データの消去については、従来の半導体メモリでは1バイトずつ消去をおこなえばよいのであるが、NAND型フラッシュメモリの場合にはブロック単位か又はデバイス内の全バイト一括消去となっている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところが、メモリ内に複数のファイルが書き込まれ、その内の1つのファイルAのデータと他のファイルBのデータとが1つのブロック内に書き込まれている場合に、ファイルAのデータを消去したいときにも、上述したようにデータの消去がブロック単位となっているので、同一ブロック内にあるファイルBのデータも消去せざるを得ないことになる。この場合、消去したくないファイルBのデータを外部に一度読み出して、他の記録装置に記録しておき、ファイルAのデータを消去した後、再度メモリに書き込む操作をおこなう必要があり煩雑となる。」

C.「【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、NAND型フラッシュメモリをデータ記録媒体として用いたデータ記録再生装置におけるデータ書き込み方法において、前記NAND型フラッシュメモリに定められている1ブロックの整数倍単位をデータ1ファイル当りの書き込み範囲として、同一ブロック内には他のファイルのデータを書き込まないようにしたことを特徴としている。
【0008】
【作用】上述のように構成されているので、書き込むファイルのデータの量がメインメモリの1ブロックの容量に満たない場合でも、1ブロックがそのファイルのデータの書き込み専有場所となり、他のファイルのデータは、そのブロックには書き込まれない。また、書き込むファイルのデータの量がメインメモリの1ブロックの容量の、例えば3.5倍とすると、そのファイルのデータの書き込み専有場所は1ブロックの整数倍単位の4ブロックとなり、最後の1ブロックの半分には他のファイルのデータの書き込みはない。したがって、データの消去は、消去したいファイル毎に選択しておこなうことができる。」

D.「【0009】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面に基づき説明する。図1は、メモリとしてNAND型フラッシュメモリが用いられているデータ記録再生装置に対しての、本発明のデータを書き込み方法の一例のフローチャートである。
【0010】図に示すように、データ書き込みがスタートすると、先ずスッテップ(以下、単にSとする。)1で、メインメモリのどのブロックに書き込むのか指定するためブロックアドレスが制御部(不図示)によりセットされる。次に、S1でセットされたブロック内のページ、通常、第1ページがセットされる(S2)。続いて、データレジスタへデータが入力し始める(S3)。次に、データレジスタへのデータの入力が終了したか否かが判断される(S4)。データの入力が終了していない場合には、入力したデータ量がnバイトになったか否かが判断され(S5)、nバイトになっていない場合は、データレジスタへのデータの入力が続行され、nバイトになるとメインメモリのS2でセットしたページへデータがロードされる(S6)。なお、ここでnバイトとはデータレジスタの記録容量に該当する。
【0011】次に、ページアドレスに1を加えたページアドレスがセットされる(S7)。データレジスタの容量は1ページ分なので、S2で最初にセットされたページはロードされたデータで一杯になるので、次のページがセットされるのである。続いて、ページ数がXページになったか否かが判断される(S8)。Xページとは、1ブロック内のページ数で、フラッシュメモリにより異なる値を持つ場合があり、例えば8ページとか16ページとかである。S8でページがXページになっていない場合には、データ入力はそのまま続行し、ページがXページになった場合には、書き込み場所が次のブロックに移されて、データの入力は続行する(S9)。
【0012】S4で、データレジスタへのデータ入力が終了したとされた場合には、データレジスタ内のデータ数がnバイトか否かが判断され(S10)、nバイトになっていない場合には、nバイトになるまでダミーデータを書き込む(S11)。レジスタ内のデータがnバイトにならないと、メインメモリへのデータロードがおこなわれないからである。データレジスタ内のデータ数がnバイトになっていた場合、又はダミーデータを書き込んでnバイトになると、メインメモリの所定のページにロードされる(S12)。続いて、書き込んだファイルデータのスタートブロックアドレスとエンドブロックアドレスとが装置内の制御部に記録される(S13)。」


a.Aの「NAND型フラッシュメモリをデータ記録媒体として用いたデータ記録再生装置」、Dの「メインメモリのどのブロックに書き込むのか指定するためブロックアドレスが制御部(不図示)によりセットされる」及び「装置内の制御部に記録される」から、引用文献には、
NAND型フラッシュメモリと制御部とを装置内に備えるデータ記録再生装置、
が記載されている。

b.Cの「書き込むファイルのデータの量がメインメモリの1ブロックの容量に満たない場合でも、1ブロックがそのファイルのデータの書き込み専有場所となり、他のファイルのデータは、そのブロックには書き込まれない。」において、「ファイル」とは“データのまとまり”を意味することは自明である。したがって、前記NAND型フラッシュメモリに、データは「ファイルのデータ」として書き込まれる、すなわち、“データのまとまりであるファイル”とされたデータが書き込まれると解される。また、「他のファイルのデータは、そのブロックには書き込まれない」から別のブロックに書き込まれると認められ、すなわち、前記NAND型フラッシュメモリには複数のファイルが書き込まれると解される。
そして、Bの「NAND型フラッシュメモリは、図2に示すように、ディバイス内部にメインメモリ1とデータレジスタ3を有しており、該メインメモリは複数のブロック2で構成されていて、その1つのブロック2もまた複数のページ(例えば8ページ)で形成されている」及び「メインメモリ内のページ読み出しやページ書き込みには該データレジスタを介して1ページ単位でおこなう」から、前記NAND型フラッシュメモリは、複数の、データを格納するためのページで形成されているものである。
したがって、前記NAND型フラッシュメモリは、
ファイルとされたデータを複数格納するための、複数のページで形成されたメモリ、
であると解される。

c.Cには、「NAND型フラッシュメモリに定められている1ブロックの整数倍単位をデータ1ファイル当りの書き込み範囲として、同一ブロック内には他のファイルのデータを書き込まないようにした」ことで、「書き込むファイルのデータの量がメインメモリの1ブロックの容量に満たない場合でも、1ブロックがそのファイルのデータの書き込み専有場所となり、他のファイルのデータは、そのブロックには書き込まれない。また、書き込むファイルのデータの量がメインメモリの1ブロックの容量の、例えば3.5倍とすると、そのファイルのデータの書き込み専有場所は1ブロックの整数倍単位の4ブロックとなり、最後の1ブロックの半分には他のファイルのデータの書き込みはない」ようにした、前記NAND型フラッシュメモリへのデータ書き込み方法、が記載されている。
Dは、「本発明のデータを書き込み方法の一例」と記載され、前記データ書き込み方法の具体例を説明したものである。
そして、Dの「メインメモリのどのブロックに書き込むのか指定するためブロックアドレスが制御部(不図示)によりセットされる」、「nバイトになるとメインメモリのS2でセットしたページへデータがロードされる」、「ページがXページになった場合には、書き込み場所が次のブロックに移されて、データの入力は続行する」そして「データレジスタへのデータ入力が終了したとされた場合には…(中略)…書き込んだファイルデータのスタートブロックアドレスとエンドブロックアドレスとが装置内の制御部に記録される」の各記載から、前記ファイルとしてまとめられたデータを、前記NAND型フラッシュメモリのどのブロックに書き込むのか指定することで、前記「1ブロックの整数倍単位をデータ1ファイル当りの書き込み範囲として、同一ブロック内には他のファイルのデータを書き込まない」というデータ書き込み方法を制御しているのは、前記制御部であると解される。
したがって、Dの「Xページとは、1ブロック内のページ数で、フラッシュメモリにより異なる値を持つ場合があり、例えば8ページとか16ページとかである。」の記載も併せて解すれば、引用文献には、
NAND型フラッシュメモリを制御するよう構成され、整数ページからなる1ブロックの整数倍単位をデータ1ファイル当りの書き込み範囲として、同一ブロック内には他のファイルのデータを書き込まないように、前記ファイルとしてまとめられたデータを前記NAND型フラッシュメモリに書き込む制御部、
が記載されている。


以上から、引用文献には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されているものと認められる。

ファイルとされたデータを複数格納するための、複数のページで形成されたNAND型フラッシュメモリと、
前記NAND型フラッシュメモリを制御するよう構成され制御部とを備えたデータ記録再生装置であって、
前記制御部は、整数ページからなる1ブロックの整数倍単位をデータ1ファイル当りの書き込み範囲として、同一ブロック内には他のファイルのデータを書き込まないように、前記ファイルとしてまとめられたデータを前記NAND型フラッシュメモリに書き込むようにされた、
ことを特徴とするデータ記録再生装置。


3.対比
本願発明と引用発明とを比較する。

本願明細書には段落【0002】に「このようなメモリは、例えばディレクトリ、ファイル等の論理エンティティに構成された情報を記憶する」と記載し、「論理エンティティ」に関して「ディレクトリ、ファイル等の論理エンティティ」と定義していることから、引用発明の「ファイル」は、本願発明の「論理エンティティ」に相当する。また、引用発明の「ファイルとされたデータ」は、本願発明の「論理エンティティからなる情報」に相当する。
そして、本願明細書には、たとえば段落【0015】に論理エンティティからなる情報である「情報INF1」と「データINF2」をメモリマネージャにより書込むことは記載されているが、複数の論理エンティティからなる、一連の情報を書込むことは記載されていない。したがって、請求項1の「複数の論理エンティティからなる情報」は、“複数の、論理エンティティからなる情報”と解すべきものであることは明確である。してみれば、引用発明の「ファイルとされたデータを複数格納する」ことは、本願発明の「複数の論理エンティティからなる情報を格納する」ことに相当する。

引用発明において、「NAND型フラッシュメモリ」は「複数のページで形成され」ているが、この結果、該「NAND型フラッシュメモリ」は複数のページに区分、すなわち、セグメント化されていると認められる。そして、引用発明の「NAND型フラッシュメモリ」が電気的に消去可能な不揮発性メモリであることは明らかである。
したがって、引用発明の「複数のページで形成されたNAND型フラッシュメモリ」は、本願発明の「複数のページにセグメント化された電気的に消去可能な不揮発性メモリ」に相当する。

引用発明における「制御する」は、「機械や設備が目的通り作動するように操作すること。[株式会社岩波書店 広辞苑第六版]」を意味する。これに対し、本願発明の「管理する」は、「管轄し処理すること。良い状態を保つように処置すること。とりしきること。[株式会社岩波書店 広辞苑第六版]」を意味する。してみれば、引用発明の「制御する」は、本願発明の「管理する」に相当する。
また、引用発明の「書き込む」は、本願発明の「記憶する」に相当する。
引用発明の「制御部」は、「整数ページからなる1ブロックの整数倍単位をデータ1ファイル当りの書き込み範囲として、同一ブロック内には他のファイルのデータを書き込まないように、前記ファイルとしてまとめられたデータを前記NAND型フラッシュメモリに書き込むように」、前記NAND型フラッシュメモリを制御している。
ここで、「同一ブロック内には他のファイルのデータを書き込まない」のであるから、「整数倍単位」の「ブロック」に存在する、「整数ページ」のページ数に前記「整数倍単位」の数を乗じた数のページには、他のファイルのデータを書き込まれないと認められる。したがって、「ファイルとしてまとめられたデータ」が書き込まれるページ、すなわち、当該「ファイル」に割り当てられたページには、当該ファイルとしてまとめられたデータのみが収容され、他のファイルとしてまとめられたデータは収容されないのであるから、当該「ファイル」は、「整数ページ」のページ数に前記「整数倍単位」の数を乗じた数のページを独占的に占有していると解される。
このとき、「整数ページ」のページ数に前記「整数倍単位」の数を乗じた数は、当然に整数である。
してみれば、引用発明の「制御部」と、本願発明の「メモリマネージャ」とは、電気的に消去可能な不揮発性メモリを管理するよう構成され、複数の論理エンティティのそれぞれが整数ページを独占的に占有するように情報を前記メモリに記憶するようにするメモリ制御装置である点で共通する。

ところで、引用発明の「データ記録再生装置」は、「NAND型フラッシュメモリ」への「データ」を「書き込む」動作や「制御部」の動作を実現するため、電源装置により電力供給がなされなければならないことは、自明である。
したがって、引用発明の「データ記録再生装置」と、本願発明の「電子メモリカード」とは、電源装置により電力供給がなされる情報記憶再生装置である点で、共通する。

以上から、本願発明と引用発明とは、以下の点で一致し、また、以下の点で相違する。

(一致点)
複数の論理エンティティからなる情報を格納するための、複数のページにセグメント化された電気的に消去可能な不揮発性メモリと、
前記メモリを管理するよう構成されたメモリ制御装置とを備えた情報記憶再生装置であって、
前記メモリ制御装置は、前記複数の論理エンティティのそれぞれが整数ページを独占的に占有するように前記情報を前記メモリに記憶するようにされ、
電源装置より電力供給がなされることを特徴とする情報記憶再生装置。

(相違点1)
本願発明は、情報記憶再生装置は「電子メモリカード」として構成されるのに対して、引用発明は、情報記憶再生装置が「データ記録再生装置」として構成され、この「データ記録再生装置」が電子メモリカードとして構成されているかどうかは不明である点。

(相違点2)
本願発明の「メモリマネージャ」は「マイクロプロセッサ」であるのに対して、引用発明の「制御部」が「マイクロプロセッサ」であるかどうかは不明である点。

(相違点3)
本願発明においては、電力供給は「外部」の電源装置よりなされるとともに、前記「電力供給」は「不定時に遮断されるものである」のに対して、引用発明においては、電力供給は電源装置よりなされることが明らかであるだけであって、どのような電源装置により電力供給がなされるかは不明である点。


4.判断
相違点1?3について
本願のパリ条約による優先権主張の日前に頒布された刊行物である特開平06-161675号公報には、図面とともに、以下の事項が記載されている。
ア.「【0008】
【実施例】以下、本発明を図示する実施例に基づいて説明する。図1は、現在一般的に用いられているICカード10と、これに用いるリーダライタ20の全体構成を示すブロック図である。ICカード10の主たる構成要素は、CPU11、ROM12、RAM13、EEPROM14である。CPU11は、図示しないインターフェイスを介してリーダライタ20と交信を行うとともに、各メモリ12,13,14をアクセスする処理を行う。ICカード10をリーダライタ20の筐体内に挿入すると、ICカード10側の接続端子とリーダライタ20側の接続端子とが接触し、両者間が電気的に接続される。すなわち、両者間には、共通の接地電位を定めるGNDラインと、リーダライタからICカードへ電源を供給するためのVCCラインと、クロックを供給するためのCLKラインと、リセット信号を与えるためのRSTラインと、双方向にデータを伝送するためのI/Oラインと、が確保される。」

同様に、本願のパリ条約による優先権主張の日前に頒布された刊行物である特開平07-226095号公報には、図面とともに、以下の事項が記載されている。
イ.「【0022】本実施例のICカードは、たとえばパーソナルコンピュータに着脱可能に設けられるICカード1とされ、電気的に一括消去および書き込み可能なフラッシュEEPROM(2)と、このフラッシュEEPROM(2)の動作および全体を制御する状態制御部3と、フラッシュEEPROM(2)への書き込みデータを一時的に保持するライトバッファ(WB0,WB1)4と、データバスを切り替えるデータバス切替部5とから構成されている。」

ウ.「【0032】以上のように構成されるICカード1は、たとえば図2に示すように、1枚のプラスチック基板6上に、複数個のフラッシュEEPROM(2)、状態制御部3およびデータバス切替部5からなるマイクロコントローラ7、ライトバッファ4の各ICが搭載され、これらの搭載部品は内部配線とプラスチック基板6上の配線とにより互いに接続され、さらにシステム側との接続用のコネクタ8に電気的に接続されている。」

エ.図1には、ICカードは着脱可能に接続されるパーソナルコンピュータの側から電源Vppの供給を受けることが図示されている。

ア?エから、
外部装置に着脱可能に接続される記録再生媒体を、フラッシュメモリ等の電気的に消去可能な不揮発性メモリと前記不揮発性メモリを管理・制御するマイクロプロセッサとを備えたICカードとして構成すること、及び、
上記ICカードにおいて、その電力供給が、該ICカードと該外部装置とを接続するコネクタを介して該外部装置の電源よりなされること、
は慣用手段である。

また、本願のパリ条約による優先権主張の日前に頒布された刊行物である特開平04-033030号公報に、
オ.「この場合の二次記憶装置としては、EEPROM、電源バックアップRAM、フラッシュメモリ、フロッピィディスク、ハードディスク、バブルメモリ等がある。
このような二次記憶装置に対するデータ記憶方式としては、電源切断等によるデータ更新中断が発生した場合でも、データ喪失を生じないものであることが要望される。」(第2頁下右欄第10?16行)と。
同様に、本願のパリ条約による優先権主張の日前に頒布された刊行物である特開平07-028690号公報に、
カ.「【0019】以上がホストからのアクセス要求に対応した記憶装置の動作概要であるが、ホストからのアクセス要求に対する処理が終了し、次にホストからアクセスが要求されるまでの間はコントローラは内部で別の処理を行う。それはライトバッファに格納されているデータをフラッシュメモリ1に転送する処理である。ただしライトバッファ内のデータが全てフラッシュメモリに転送されてしまえば記憶装置は完全にホストからの待機状態となる。このライトバッファからフラッシュメモリへのデータ転送を行わないと電源が遮断された場合に揮発性メモリであるライトバッファ内のデータが揮発して最新の格納ファイルデータが失われてしまうからである。またライトバッファに格納することができるデータ量には限りがあるため、できるだけフラッシュメモリへの未格納データが残存するかぎりは常にフラッシュメモリへの転送を行うべきである。」と、
それぞれ記載されるように、
EEPROMやフラッシュメモリのような電気的に消去可能な不揮発性メモリを記録再生媒体とする場合、その電力供給の不定時の遮断がデータの書き替え中であったときには、復元困難なデータ喪失が生じることは、周知の事項である。

そして、本「4.判断」において最初に例示した前記特開平06-161675号公報には、図面とともに、以下の事項が記載されている。
キ.「【請求項1】 少なくともRAM,ROM,EEPROMの3種類のメモリと、このメモリをアクセスする機能をもったCPUと、を内蔵したICカードにおいて、データファイルを構成する1レコードの収容長を、EEPROMに対する書込単位のn倍(nは自然数)の長さに設定し、EEPROMに対する1レコードの書き込みを、前記収容長単位で行うようにしたことを特徴とするICカード。」

ク.「【0012】本発明のICカードでは、次のような書き込みを行うことにより、このような問題を解決した。すなわち、データファイルを構成する1レコードの収容長を、EEPROM14に対する書込単位のn倍(nは自然数)の長さに設定し、EEPROM14に対する1レコードの書き込みを、この収容長単位で行うようにしたのである。具体例を図4に示す。この例では、n=2に定義し、1レコードの収容長として書込単位の2倍の長さ(64バイト)を設定している。別言すれば、EEPROM14の2ページ分が1レコードを収容するための長さとして割り当てられたことになる。」

ケ.「【0013】……(中略)……ファイルディレクトリを図3に示すような従来の方法で保存した場合、途中の数バイトにデータ化けが生じたようなときに、それ以後のアドレスに保存されたディレクトリをアクセスすることができなくなり、ディレクトリ情報が失われてしまう危険性がある。これに対して、図4に示すような本発明の方法で保存した場合、1つのディレクトリにデータ化けが生じたとしても、他のディレクトリのアクセスには影響を及ぼさないため、他のディレクトリ情報が失われる危険性はない。」

コ.図4には、1レコード分のデータファイルを2つのページに割り当てるとともに、当該2つのページには他のデータファイルを収容しないことが示されている。

すなわち、電気的に消去可能な不揮発性メモリへのデータ書込方法として、「データファイルを構成する1レコードの収容長を、EEPROMに対する書込単位のn倍(nは自然数)の長さに設定し、EEPROMに対する1レコードの書き込みを、前記収容長単位で行う」ことで、引用発明と同じく、書込単位であるページの自然数倍からなる収容長単位を一つのデータファイルの書き込み範囲とし、同一収容長単位内には他のファイルのデータを書き込まないようにした場合、書き込み中のデータの破壊喪失が生じても、その影響を当該データファイルのみに局所化させ、他のデータファイルに影響が及ぶことを防止できることは、周知技術である。


さて、引用文献には、前記Bの段落【0003】に記載されるように、NAND型フラッシュメモリをハードディスクやフロッピィディスクと置き換えることが記載されている。すなわち、引用発明の「データ記録再生装置」を、外部装置に対して着脱可能な記録再生媒体としてフロッピィディスクと置き換えて用いることが、引用文献には示唆されていると認められる。
そして、「ファイルとされたデータを複数格納するための、複数のページで形成されたNAND型フラッシュメモリと、前記NAND型フラッシュメモリを制御するよう構成され制御部とを備えた」引用発明の「データ記録再生装置」を、外部装置に対して着脱可能な記録再生媒体として用いるとき、これを、前記慣用手段のように、電気的に消去可能な不揮発性メモリと該不揮発性メモリを管理・制御するマイクロプロセッサとを備えたICカード、として構成することは当業者であれば当然に為し得た事項であると認められる。

前記慣用手段のように、引用発明の「データ記録再生装置」を外部装置に対して着脱可能に接続される前記ICカードとして構成すると、前記「データ記録再生装置」に必要な電力供給が、前記「データ記録再生装置」と前記外部装置とを接続するコネクタを介して該外部装置の電源よりなされることとなる。このとき、前記「データ記録再生装置」が該外部装置の電源からコネクタを介して受ける電力供給は、停電や前記コネクタの抜け、電力供給ラインの断線等のアクシデントにより、必然的に不定時に遮断されるものである。

ところで、前記周知の事項から、前記不定時の電力供給の遮断が前記不揮発性メモリへのデータの書き替え中であったときには、復元困難なデータ喪失という問題が生じることは、当業者には自明である。
しかしながら、引用発明は「整数ページからなる1ブロックの整数倍単位をデータ1ファイル当りの書き込み範囲として、同一ブロック内には他のファイルのデータを書き込まないように、前記ファイルとしてまとめられたデータを前記NAND型フラッシュメモリに書き込む」という構成を有することにより、たとえ、電力供給の不定時の遮断による書き込み中のデータの破壊喪失という問題が生じたとしても、その影響を書き込みを行っていたファイルのみに局所化させ、他のファイルに影響が及ぶことを防止できることも、前記周知技術から当業者には自明な事項である。

以上から、引用発明において、「データ記録再生装置」を、前記慣用手段のように、電気的に消去可能な不揮発性メモリと該不揮発性メモリを管理・制御するマイクロプロセッサとを備えたICカードとして構成し、その電力供給が、前記ICカードが着脱可能に接続される外部装置の電源、すなわち、外部の電源装置よりなされるように構成することで、前記電力供給が不定時に遮断されるものとすること、は当業者が容易に想到し得たものと認められる。

したがって、相違点1?3は、格別のものではない。


以上、検討したように、各相違点は格別のものではなく、また、本願発明によってもたらされる効果も、引用発明及び前記周知技術、慣用手段に基づいて当業者であれば予測可能なものにすぎず、格別のものとは認められない。


5.審判請求人の主張について
審判請求人は、「【請求の理由】」として、「本願の特許請求の範囲に記載された「ページ」という用語を明細書に記載された意味に解釈すべきであるとの観点から考えると、特許請求の範囲に記載された「ページ」は、必ず、書込み及び消去が行われる最小の物理的エンティティに対応するものとして解釈すべきであると思料します。」と主張し、更に、前記解釈をすることで、本願発明は「書込みと消去とで共通の単位を使用する」ことによって、「メモリへの1ページ分の新たなデータの書込みの要求を受けたときに、メモリマネージャがデータを1ページよりも多く消去する必要がない」、及び、「書込み及び消去が同じ単位、すなわちページ単位で行われることによって、メモリマネージャのコーディングが最適化」される、という効果を奏する旨を主張している。

しかしながら、「複数の論理エンティティからなる情報を格納するための、複数のページにセグメント化された電気的に消去可能な不揮発性メモリ」において、「前記複数の論理エンティティのそれぞれが整数ページを独占的に占有するように前記情報を前記メモリに記憶するようにされ」たという本願の請求項1の記載の技術的意義は、明細書の発明の詳細な説明を参酌するまでもなく、一義的に明確に理解できるものである。
したがって、本願発明における「ページ」は、前記請求項1に記載されるとおり、「電気的に消去可能な不揮発性メモリ」が複数に「セグメント化された」結果のものであると解すべきであり、該「ページ」を発明の詳細な説明の記載を参酌してさらに限定解釈すべきものではないと認められる。

さらに、本願発明における「ページ」が、「書込み及び消去が行われる最小の物理的エンティティに対応するもの」として解釈すべきであるとの主張の根拠として挙げた、本願明細書の段落【0003】には、
「「ページ」は、ワードより大きい物理的エンティティを構成し、消去及び書込み可能なビットの最小集合を表す。例えば、電子部品は、4バイト(各バイトは読取り時及び書込み時に独立的にアドレスできるけれども、消去は一度に全ページを消去できるに過ぎない)からなる各ページで、バイトサイズのワードとして組織化することが考えられている。」、
と記載されている。
ここで、前記「各バイトは読取り時及び書込み時に独立的にアドレスできる」の記載は、“書込みは、バイト毎に独立してアドレス指定して行うことができる”という意味であると解される。してみれば、前記記載は、「「ページ」は、ワードより大きい物理的エンティティを構成し、消去及び書込み可能なビットの最小集合を表す。」の記載と矛盾している。
そして、前記「各バイトは読取り時及び書込み時に独立的にアドレスできる」の記載は誤りであり、前記「「ページ」は、ワードより大きい物理的エンティティを構成し、消去及び書込み可能なビットの最小集合を表す。」の記載は正しいということを、本願明細書の記載内容からでは一義的に特定することができない。

したがって、前記解釈についての主張は特許請求の範囲の記載に基づくものではなく、また、明細書の特許請求の範囲以外の部分の記載及び図面を参酌しても、「ページ」が、直ちに審判請求人の主張するとおりに解釈されるとは認められない。
よって、前記解釈についての主張は採用することはできない。

また、前記のように、本願の特許請求の範囲の請求項1には、「不揮発性メモリ」が電気的に「消去」可能であることが記載されているだけであって、「消去」をどのように行うのか、何ら記載されていない。ところで、「電気的に消去可能な不揮発性メモリ」においては、「前記情報を前記メモリに」書き換える前に消去を行うことは通常であると認められるものの、該消去をどのように行うのかについては、前記請求項1には何ら記載されていない。
なお、この点につき、本願明細書の発明の詳細な説明には、段落【0016】に「このような条件下で、例えばデータINF1を修正するには、ページP2、P3、P4を完全に消去し、次に、これらのページに新しいデータを書換える必要があることが理解されよう。」と記載されているだけであって、最小集合であるページ毎に消去するのか、ページP2?P4を一括して消去するのかは、不明である。よって、「情報」を書き換える前に行う消去の処理内容については、発明の詳細な説明の記載を参酌したとしても、審判請求人が主張するように「書込みと消去とで共通の単位を使用する」ものであり「書込み及び消去が同じ単位、すなわちページ単位で行われる」ものであることを、把握することができない。
したがって、前記解釈に基づく効果の主張も、特許請求の範囲の記載に基づいたものではないから、これを採用することはできない。


なお、上記のように、本願の請求項1の記載の技術的意義は、明細書の発明の詳細な説明を参酌するまでもなく、一義的に明確に理解できるものである。すなわち、請求項1に、「ページ」と消去及び書込みの処理単位との関係の記載がなくとも、本願の請求項1の記載の技術的意義は一義的に明確に理解できるものであり、したがって、本願発明は明確である。
しかし、本願発明の「ページ」が審判請求人の主張するとおりに解すべきものであると仮定し、さらに、前記請求項1には記載はないものの、本願発明において、「前記情報を前記メモリに記憶する」要求を受けたときに、消去、を行うものであり、この消去が前記「ページ」を最小集合として行うものであると仮定した場合について、以下に検討する。

まず、本願のパリ条約による優先権主張の日前に頒布された刊行物である特開平06-076586号公報に、
サ.「【0254】このようなメモリセルを用いた半導体集積回路、例えば4ビット構成でのフラッシュ型EEPROMは、図95に示すように構成される。」、
シ.「【0272】上述したようなNAND型EEPROM等では、書き込み及び消去をページ単位(たとえば2Kビット)で行うことが可能である。ページ単位での処理により、書き込み及び消去が非常に高速になる。しかしながら、このような装置では、ランダムアクセスを犠牲にしているため、SRAMやDRAM等のRAMから構成されるキャッシュメモリが必須である。NAND型EEPROM等の不揮発性記憶装置にキャッシュシステムを適用すると、書き込み回数が減り、その結果としてチップの寿命が延びる。」と、

同様に、本願のパリ条約による優先権主張の日前に頒布された刊行物である特開平06-069517号公報に、
ス.「【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、電気的に書き込みおよび消去可能な不揮発性半導体記憶装置(Electrically Erasable and Programmable Read Only Memory:以下、EEPROMとする)に関し、特にフラッシュメモリに関するものである。」、
セ.「【0036】一般に、フラッシュメモリでは消去単位にある複数のビットが一括して消去される。この消去時においては、消去単位にある複数のビットに消去パルスが印加される。この消去パルスの印加により、所定の電圧よりもしきい値電圧Vthが低くなった状態が消去完了状態とされる。」
ソ.「【0044】図29は、ページを構成するビット線とワード線の構成を概念的に示す概略平面図である。図29を参照して、ページ70は、一般に1024本のワード線3と、それらに直交する64本のビット線14とにより構成されている。この各ワード線3とビット線14の交差部には、各々1つずつのメモリセルが配置されている。なお、ここでいうページとは、書き込み、消去などの動作が行なわれる単位のことである。このページモードで8word同時に書き込みを行なう場合、書き込みたい1つのメモリセルが選択される。このメモリセルの選択は、そのメモリセルが配置されたワード線3とビット線14に所定の電圧が印加されることにより行なわれる。
…(中略)…
【0045】また、1本のビット線14にはワード線3に対応した数、すなわち1024個のメモリセルが配列されている。このうちの1つが選択されるため、非選択のメモリセルは1024-1=1023bitである。各ビット線14を選択した場合、同じように非選択のメモリセルは1023個あるため、ページ単位では非選択のメモリセルは1023×64=66472bitある。選択したメモリセルに書き込みを行なう場合、この66472bitの非選択メモリセルにおいてはビット線が接続されたメモリセルのドレイン部においてのみ電圧が印加されるためドレイン領域と基板間の接合部においてリーク電流が流れる。」

本願のパリ条約による優先権主張の日前に頒布された刊行物である特開平06-244386号公報に、
タ.「【0251】(4) 第4の実施例(図15?図16)
第4の実施例によるフラッシュメモリの全体の構成は図5に示される構成と同様である。また、プログラム時および消去時のメモリセルへの電圧印加条件は、図6の(a)および(b)に示した電圧印加条件と同様である。第4の実施例は、制御方法においてのみ第1の実施例と異なる。
【0252】(a) フラッシュメモリの動作(図15)
次に、フラッシュメモリのページ一括消去動作、プログラム動作および読出動作を図15を参照しながら説明する。プログラム動作および読出動作は、第1の実施例と同様である。したがって、以下、ページ一括消去動作を説明する。
……(中略)……
【0258】このように、第4の実施例では、メモリアレイ単位でなく、ページ単位で一括消去動作が行なわれる。
【0259】(b) 書換動作(図16)
第4の実施例によるフラッシュメモリにおけるデータの書換動作を図16のフローチャートを参照しながら説明する。
【0260】まず、すべてのメモリセルにデータ“1”が記憶されているか否かを判別する(ステップS11)。すべてのメモリセルにデータ“1”が記憶されていないときには、書換えるべきページに関してページ一括消去動作を行なう(ステップS12)。その後、プログラム動作を行なう(ステップS13)。
【0261】このように、従来例のような書込前消去動作を行なうことなく、ページ単位でデータの書換えを行なうことができる。」

以上、サ?タから、電気的に消去可能な不揮発性メモリ、特に、フラッシュメモリにおいて、「ページ」単位で消去及び書込みを行うこと、すなわち、「ページ」を消去及び書込み可能なビットの単位とすることは、周知技術である。

引用発明は、「整数ページからなる1ブロックの整数倍単位をデータ1ファイル当りの書き込み範囲」として、「同一ブロック内には他のファイルのデータを書き込まないように、前記ファイルとしてまとめられたデータを前記NAND型フラッシュメモリに書き込む」ように制御部が制御するものである。そして、前記「2.引用発明」の「B」から、この制御により、1以上の整数ページからなる1ブロックの整数倍単位をひとまとまりの書き込み範囲としてページ単位で書き込み処理するものであるとともに、前記書き込み処理の要求を受けたときに行う消去処理は、前記書き込み範囲をひとまとまりの範囲としてブロックを単位として行うものであると、解される。
このとき、前記ひとまとまりのものとして行う消去処理を、ブロック単位で前記書き込み範囲をブロック毎に一括して消去することと、前記周知技術のように、ページを最小集合として一ページずつ消去することとは、前記サに記載されるように、高速性とアクセス効率の点で利害得失がある。したがって、前記ひとまとまりのものとして行う消去処理を、ブロック単位で前記書き込み範囲を一括して消去することに代えて、前記周知技術のように、ページを最小集合として一ページずつ消去することは、いずれの長所を重視するかに応じて、当業者が適宜選択し得た事項であると認められる。
そして、前記主張の効果は、「ページ」を消去及び書込み可能なビットの単位とするという前記周知技術が有する効果に過ぎないものである。

したがって、本願発明の「ページ」が審判請求人の主張すつとおりに解すべきものであり、かつ、「前記情報を前記メモリに記憶する」要求を受けたときに行う消去が前記「ページ」を最小集合として行うものであると仮定した場合であっても、そのように仮定した構成が付加された本願発明は、引用発明及び周知技術、慣用手段に基づいて当業者が容易に想到し得たものと認められる。


6.まとめ
以上のとおり、本願発明は、引用文献及び周知事項、慣用手段に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるので、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

よって、結論のとおり、審決する。
 
審理終結日 2009-07-08 
結審通知日 2009-07-21 
審決日 2009-08-03 
出願番号 特願平8-275616
審決分類 P 1 8・ 121- Z (G06F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 丹治 彰  
特許庁審判長 鈴木 匡明
特許庁審判官 石井 茂和
石田 信行
発明の名称 同期メモリを備えた電子部品  
代理人 大塚 文昭  
代理人 小川 信夫  
代理人 中村 稔  
代理人 宍戸 嘉一  

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