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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 G06T |
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管理番号 | 1208690 |
審判番号 | 不服2008-16947 |
総通号数 | 122 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2010-02-26 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2008-07-03 |
確定日 | 2010-01-12 |
事件の表示 | 特願2002- 13954「画像結合装置」拒絶査定不服審判事件〔平成15年 7月31日出願公開、特開2003-216944、請求項の数(4)〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 |
理由 |
1.本願発明 本願の請求項に係る発明は、平成20年4月21日付け手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし4に記載された次のものである。 (以下、総称して「本願発明」という。) 「 【特許請求の範囲】 【請求項1】複数回に分けて取り込まれた画像を結合して1つの画像にする画像結合装置であって、 入力された複数の画像から、黒画素の占める割合が特定の範囲内になる領域を抽出する領域抽出手段と、 前記領域抽出手段により抽出された領域について、文字認識を行う文字認識手段と、 前記文字認識手段による文字認識が成功した場合、該文字認識の結果得られた文字コードのパターンマッチングによって画像をどのように結合すべきかを決定する文字コードパターンマッチング手段と、 前記領域抽出手段による領域の抽出がなされなかった場合、または、前記文字認識手段による文字認識が失敗した場合に、画素の色成分のパターンマッチングにより画像をどのように結合すべきかを決定する画素パターンマッチング手段と、 前記文字コードパターンマッチング手段、あるいは、前記画素パターンマッチング手段のパターンマッチングの結果に基づいて、前記入力された複数の画像を結合する画像結合手段と、 を備えることを特徴とする画像結合装置。 【請求項2】前記文字認識手段は、入力した画像を文字認識し、文字認識から得られた確信度の値が一定値以上となる文字の個数を計数し、該計数された文字の個数が一定値以上となったとき、文字認識が成功した前記入力画像に文字が存在すると判断することを特徴とする請求項1に記載の画像結合装置。 【請求項3】複数回に分けて取り込まれた画像を結合して1つの画像にする画像結合方法であって、 入力された複数の画像から、黒画素の占める割合が特定の範囲内になる領域を抽出する領域抽出ステップと、 前記領域抽出ステップにより抽出された領域について、文字認識を行う文字認識ステップと、 前記文字認識ステップによる文字認識が成功した場合、該文字認識の結果得られた文字コードのパターンマッチングによって画像をどのように結合すべきかを決定する文字コードパターンマッチングステップと、 前記領域抽出ステップによる領域の抽出がなされなかった場合、または、前記文字認識ステップによる文字認識が失敗した場合に、画素の色成分のパターンマッチングにより画像をどのように結合すべきかを決定する画素パターンマッチングステップと、 前記文字コードパターンマッチングステップ、あるいは、前記画素パターンマッチングステップのパターンマッチングの結果に基づいて、前記入力された複数の画像を結合する画像結合ステップと、 を備えることを特徴とする画像結合方法。 【請求項4】複数回に分けて取り込まれた画像を結合して1つの画像にする画像結合方法をコンピュータに実現させるプログラムであって、 入力された複数の画像から、黒画素の占める割合が特定の範囲内になる領域を抽出する領域抽出ステップと、 前記領域抽出ステップにより抽出された領域について、文字認識を行う文字認識ステップと、 前記文字認識ステップによる文字認識が成功した場合、該文字認識の結果得られた文字コードのパターンマッチングによって画像をどのように結合すべきかを決定する文字コードパターンマッチングステップと、 前記領域抽出ステップによる領域の抽出がなされなかった場合、または、前記文字認識ステップによる文字認識が失敗した場合に、画素の色成分のパターンマッチングにより画像をどのように結合すべきかを決定する画素パターンマッチングステップと、 前記文字コードパターンマッチングステップ、あるいは、前記画素パターンマッチングステップのパターンマッチングの結果に基づいて、前記入力された複数の画像を結合する画像結合ステップと、 を備えることを特徴とする画像結合方法をコンピュータに実現させるプログラム。 」 2.原審拒絶査定の概要 (1)平成20年2月14日付け拒絶理由通知は、本願発明は、 1.特開2000-175106号公報 に記載されている発明に、 2.特開平7-284013号公報 3.特開2000-278514号公報 4.特開平11-17924号公報 5.特開2000-293624号公報 6.特開平6-28520号公報、 に記載されている個々の発明を適用したものにすぎないから、これら刊行物に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない、というものである。 (2)平成20年5月26日付け拒絶査定は当該拒絶理由に基づくものであり、出願人の主張する本願発明と引用刊行物記載の発明との差異について、刊行物2、3、6に記載されている周知技術にすぎない旨が付されている。 3.引用刊行物の記載 (1)刊行物1(特開2000-175106号公報)には、以下の発明が記載されている。 境界周辺部分が互いに重なり合う複数の部分領域の各画像のデータから、該各画像を境界周辺部分において不連続が生じないようにつなぎ合わせた全体合成画像のデータを合成する画像合成処理装置において、 上記部分領域の各画像の互いに重なり合う境界周辺部分について、線画像の交点を検出する交点検出手段と、 該交点検出手段が検出した上記交点に基き、境界周辺部分が互いに重なり合う上記部分領域の画像間において対応する交点を検出し、該検出した交点間の位置ずれ量を検出する、位置ずれ量検出手段と、 該位置ずれ量検出手段により検出された上記交点間の位置ずれ量に基いて、上記部分領域の各画像のデータから上記全体合成画像のデータを合成する画像合成手段とを備えたことを特徴とする画像合成処理装置。 (2)刊行物2(特開平7-284013号公報)には、対応点検索により画像の貼り合せを行う発明が記載されている。 (3)刊行物3(特開2000-278514号公報)には、文書画像結合装置(方法)において、文字認識を行い、認識された文字コードを比較してマッチングをする発明が記載されている。 (4)刊行物4(特開平11-17924号公報)には、画像の結合について、色成分によるパターンマッチングを行う発明が記載されている。 (5)刊行物5(特開2000-293624号公報)には、類似度が閾値以上となる文字の個数によって、文字があるか否かを判断する発明が記載されている。 (6)刊行物6(特開平6-28520号公報)には、領域に占める黒画素の割合がしきい値Th2を超える場合は文字領域と判定し、その領域内の文字認識を実行する文字認識装置の発明が記載されている。 4.当審の判断 (ア)本願発明は、次の個々の構成を備えるものに整理される。 (1)黒画素の占める割合が特定の範囲内になる領域を抽出する領域抽出手段 (2)抽出された領域について文字認識を行う文字認識手段 (3)文字認識が成功した場合、画像をどのように結合すべきかを決定する文字コードパターンマッチング手段 (4)黒画素の占める割合が特定の範囲内になる領域の抽出手段による領域の抽出がなされなかった場合、または、文字認識手段による文字認識が失敗した場合に、画素の色成分のパターンマッチングにより画像をどのように結合すべきかを決定する画素パターンマッチング手段 (5)文字コードパターンマッチング手段、あるいは、画素パターンマッチング手段のパターンマッチングの結果に基づいて、入力された複数の画像を結合する画像結合手段 そして、該個々の構成の内、(1)(2)(3)の個々要素の構成に相当する技術事項は、引用された何れかの刊行物に記載された発明に相当する技術事項ではある。 しかしながら、各引用刊行物の何れにも、本願発明を特定する構成要件であるところの (4)「黒画素の占める割合が特定の範囲内になる領域の抽出手段による領域の抽出がなされなかった場合、または、文字認識手段による文字認識が失敗した場合に、画素の色成分のパターンマッチングにより画像をどのように結合すべきかを決定する画素パターンマッチング手段」 (5)「文字コードパターンマッチング手段、あるいは、画素パターンマッチング手段のパターンマッチングの結果に基づいて、入力された複数の画像を結合する画像結合手段」 については記載がされていない。 そして、本願発明の解決すべき課題は、従来、画素パターンマッチングのみによって複数の画像を結合していたためにメモリ容量の増大と処理時間の増大とを招いていたという問題点を解決する点にあり、本願発明はそのような目的を解決するために当該構成を有するものであるが、各刊行物には、そにような課題は記載も示唆もされてはいない。 (イ)刊行物1に記載の発明は、 「 部分領域の各画像の互いに重なり合う境界周辺部分について、線画像の交点を検出する交点検出手段と、 該交点検出手段が検出した上記交点に基き、境界周辺部分が互いに重なり合う上記部分領域の画像間において対応する交点を検出し、該検出した交点間の位置ずれ量を検出する、位置ずれ量検出手段と」 による検出結果に基づいて、合成画像のデータを合成するものであるから、そのような発明において、 (1)黒画素の占める割合が特定の範囲内になる領域を抽出する領域抽出手段 (2)抽出された領域について文字認識を行う文字認識手段 を備える構成とする動機も契機も存在しない。 (ウ)刊行物6には、「領域に占める黒画素の割合がしきい値Th2を超える場合は文字領域と判定し、その領域内の文字認識を実行する」という発明は記載されていはいるが、当該発明はその判定により文字認識を実行するか否かを決定しているのであり、画像をどのように結合すべきかを決定する過程において文字領域を判定しているものではない。 また、刊行物6には、「黒画素の占める割合が特定の範囲内になる領域の抽出手段による領域の抽出がなされなかった場合に」どのような対処をするかについて言及されておらず、当然、「抽出がされなかった場合に」「画素パターンマッチングを実行する」という技術思想は示唆すらされていない。 したがって、刊行物6に記載された発明である「領域に占める黒画素の割合がしきい値Th2を超える場合は文字領域と判定」する技術事項を刊行物1に記載の発明と結び付ける動機も契機は存在しない。 (エ)刊行物3には、文字認識を行い、認識された文字コードを比較してマッチングをする発明が記載されてはいる。 しかしながら、当該発明は、「文字認識手段による文字認識が失敗した場合」については言及がなく、また、該発明は「文書画像結合装置(方法)」に係る発明であるから、文書以外の画像を処理することを対象としていない。 したがって、刊行物3に記載の発明から「文字認識手段による文字認識が失敗した場合」に「画素パターンマッチングを実行する」ことを想定することはできない。 (オ)文字領域の抽出及び文字認識の成功時に文字コードパターンマッチングを行い、文字領域の抽出または文字認識の失敗時に画素パターンマッチングを行うという2つの方法を組み合わせ、これらを切り替えて使用する技術は、何れの引用刊行物にも、開示も示唆もされておらず、本願発明は、これにより明細書記載の顕著な効果を奏するものであるから、当業者によっても容易に想到されるものではない。 したがって、本願発明は、引用発明及び他の引用例に記載された発明、そして周知事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたとすることはできない。 また、他の拒絶理由も見いだせない。 よって、結論の如く審決する。 |
審決日 | 2009-12-28 |
出願番号 | 特願2002-13954(P2002-13954) |
審決分類 |
P
1
8・
121-
WY
(G06T)
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最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 脇岡 剛、松野 広一 |
特許庁審判長 |
板橋 通孝 |
特許庁審判官 |
吉村 博之 千葉 輝久 |
発明の名称 | 画像結合装置 |
代理人 | ▲徳▼永 民雄 |
代理人 | 大菅 義之 |