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審決分類 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 A63F
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A63F
管理番号 1208964
審判番号 不服2008-21271  
総通号数 122 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2010-02-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2008-08-20 
確定日 2009-12-09 
事件の表示 特願2001-365112「遊技機」拒絶査定不服審判事件〔平成15年 6月10日出願公開、特開2003-164571〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1.手続の経緯等
本願は、平成13年11月29日の出願であって、平成19年10月26日付けで拒絶理由が通知され、これに対し平成19年12月25日付けで手続補正がされ、平成20年7月11日付けで拒絶査定がされ、これに対し平成20年8月20日付けで拒絶査定不服審判が請求されるとともに手続補正がされたものである。

第2.平成20年8月20日付けの手続補正についての補正却下の決定

[補正却下の決定の結論]
平成20年8月20日付けの手続補正(以下、「本件補正」という。)を却下する。
[理由]
1.補正後の本願発明
本件補正により、特許請求の範囲の請求項1は、
「遊技釘が配置され、遊技球が転動しうる遊技盤面における遊技領域のほぼ中央部に配置された表示装置の前面に、装飾部材を設けてなる遊技機において、
前記装飾部材は、左右非対称形状であると共に、前記表示装置を前面に臨ませる表示装置窓部と、該表示装置窓部の右方に連設され、前記遊技領域の右側端まで延出する延長部とを有し、
該延長部に、前記表示装置窓部の上方及び右側方を被うように前記遊技盤面より前方に突出し、遊技球がその上面に当接することにより、遊技球を前記遊技領域の右側へ案内可能な膨出領域部と、前記膨出領域部に案内された遊技球を前記遊技盤面に沿って下方へ向けて通過させるように前記遊技盤面とほぼ同一平面をなし、かつ前記遊技釘を配置しない平面領域部とを一体的に設け、
前記平面領域部は、前記膨出領域部と前記遊技領域の右側端との間にあって、かつ前記表示装置窓部の右側を流下する遊技球が必ず通過するように、前記遊技領域の右側端まで延出していることを特徴とする遊技機。」(以下、「本願補正発明」という。)と補正された。

本件補正は、補正前の請求項1の「遊技釘が配置されて遊技球を転動しうる遊技盤面の遊技領域に配置された表示装置」との記載を「遊技釘が配置され、遊技球が転動しうる遊技盤面における遊技領域のほぼ中央部に配置された表示装置」と限定する補正事項、同「該表示装置窓部の左方または右方に連設され、前記遊技領域の側端まで延出する延長部」との記載を「該表示装置窓部の右方に連設され、前記遊技領域の右側端まで延出する延長部」と限定する補正事項、同「前記遊技盤面より前方に突出し」との記載を「前記表示装置窓部の上方及び右側方を被うように前記遊技盤面より前方に突出し」と限定する補正事項、補正前の請求項1に「前記平面領域部は、前記膨出領域部と前記遊技領域の右側端との間にあって、かつ前記表示装置窓部の右側を流下する遊技球が必ず通過するように、前記遊技領域の右側端まで延出している」との限定を付加する補正事項を含むものであり、これらの補正事項は特許請求の範囲を減縮するものである。更に、本件補正は、補正前の請求項1の「遊技球をその上面に沿って前記延長部が延出する方向へ流下可能とする膨出領域部」との記載を「遊技球を前記遊技領域の右側へ案内可能な膨出領域部」と修正する補正事項、同「前記膨出領域部の上面から流下した遊技球」との記載を「前記膨出領域部に案内された遊技球」に修正する補正事項を含むものであるが、これら補正事項は、特許請求の範囲の減縮、誤記の訂正、明りょうでない記載の釈明のいずれにも該当しないが、上記限定に伴って記載の整合を図るためのものと認められ、これをもって本件補正を不適法なものとすることは酷であるから、不問とする。
そうすると、本件補正は、平成18年法律第55号改正附則3条1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法17条の2第4項2号の特許請求の範囲の減縮に該当するものと認められる。
そこで、本願補正発明が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(上記改正前の特許法17条の2第5項において準用する同法126条5項の規定に適合するか)について以下に検討する。

2.引用文献について

原査定の拒絶の理由に引用された特開平10-263149号公報(以下、「引用文献1」という。)には、以下の事項が図面とともに記載されている。

・記載事項1
「遊技盤表面に取り付ける取付ベースと、取付ベースの表面から前方に庇状に突出して上面が左右方向にそれぞれ下り傾斜した鎧部とを備え、流下してきた球を鎧部の上面により左右に振り分ける弾球遊技機のセンターケースにおいて、上記鎧部は、傾斜上面の頂部を左右いずれか一方に偏った位置に配置して左右非対称形としたことを特徴とする弾球遊技機のセンターケース。」(【特許請求の範囲】【請求項1】)
・記載事項2
「図1に示す遊技盤1の表面にはガイドレール2等の区画部材により略円形に区画した遊技領域3を形成し、この遊技領域3のほぼ中央に、センターケース4によって囲むようにして可変表示装置5を配設し、センターケース4の下方に始動口6を、その下方に大入賞口7を配置し、また、他の遊技領域3には入賞具9や風車10などを配設するとともに多数の障害釘を植設する。」(段落【0016】)
・記載事項3
「センターケース4は、遊技盤1表面に取り付ける取付ベース15と、取付ベース15の表面から前方に庇状に突出して上面が左右方向にそれぞれ下り傾斜した鎧部16と、鎧部16の一方の傾斜下端の下方に配設した誘導部材17と、鎧部16よりも下方の取付ベース15の裏側に形成した凹室20とが本実施形態における主要な構成部材であり、凹室20の正面の正面壁21に開口した窓部22内に可変表示装置5の表示部を臨ませてある。」(段落【0017】)
・記載事項4
「取付ベース15に取り付ける鎧部16について説明する。この鎧部16は、上面が頂部から左右になだらかに下り傾斜する曲面で構成され、しかも頂部は取付ベース15の開口部23の左右中央よりも左右いずれか一方(図中右側)に偏った位置に配置され、取付ベース15の上方部分に応じて一側(右側)に進むに従って次第に厚さを増大させた左右非対称形の中空部材であり、彎曲した上面の頂部には上向き突起としての突条36を前後方向に一体成形してある。したがって、鎧部16の上面は、突条36を境界として左右に明確に区分けされ、突条36よりも左側の長さが突条36の偏り分だけ右側の長さよりも長尺である。また、本実施形態の鎧部16は、装飾ランプとしても機能させるので、透光性を有するプラスチック製とし、内表面にはレンズ機能を有する細い凹凸溝を多数形成してある。」(段落【0020】)
・記載事項5
「鎧部16により右側に振り分けられた球は凹室20内に誘導されることなく流下する」(段落【0028】)
・記載事項6
「鎧部の頂部に突起を上向きに形成したので、頂部での球止まりを防止できることは勿論のこと、例えば左側の傾斜上面に流下した球が勢いで左側傾斜上面を傾斜に抗して登り、ついには頂部を乗り越えて右側の傾斜上面に到達してしまい、このまま流下して右側に振り分けられてしまうなどの事態を減少させることができる。すなわち、鎧部の上面に流下してきた球の位置に応じて確実に左右に振り分けることができる。」(段落【0046】)
以上を含む全記載及び図示によれば、引用文献1には次の発明が記載されていると認められる。
「遊技盤1の表面に区画した障害釘が植設された遊技領域3のほぼ中央に、センターケース4によって囲むようにして可変表示装置5を配設した遊技機において、
センターケース4は、左右非対称形であるとともに、可変表示装置5の表示部を臨ませる、取付ベース15の裏側に形成した凹室20の正面壁21に開口した窓部22を有し、
センターケース4は取付ベース15の表面から前方に庇状に突出して上面が左右方向にそれぞれ下り傾斜した鎧部16を有し、鎧部16は装飾ランプとしても機能するものであって、鎧部16の上面は、突条36を境界として左側の傾斜上面と右側の傾斜上面に明確に区分けされて鎧部の上面に流下してきた球の位置に応じて確実に左右に振り分けるものである遊技機。」(以下、「引用発明」という。)

3.対比
本願補正発明と引用発明を対比すると、
引用発明の「障害釘」は本願補正発明の「遊技釘」に相当し、以下同様に、「球」は「遊技球」に、「遊技盤1の表面」は「遊技盤面」に、「可変表示装置5」は「表示装置」に、「窓部22」は「表示装置窓部」に、それぞれ相当する。
そして、引用発明について、以下のことがいえる。
(1)「遊技盤1の表面に区画した障害釘が植設された遊技領域3のほぼ中央に、センターケース4によって囲むようにして可変表示装置5を配設した」について
「遊技領域3」において球が転動しうることは常識であり、センターケース4が「装飾部材」であることは自明であって、これはセンターケース4の鎧部16が装飾ランプの機能を有していることからも裏付けられる。また、「取付ベース15の裏側に形成した凹室20の正面壁21に開口した窓部22」に「可変表示装置5の表示部」を臨ませるものであるから、可変表示装置5の前面にセンターケース4を設けたものということができる。
そうすると、引用発明は、本願補正発明の「遊技釘が配置され、遊技球が転動しうる遊技盤面における遊技領域のほぼ中央部に配置された表示装置の前面に、装飾部材を設けてなる」に相当する構成を実質的に具備している。
(2)「センターケース4は、左右非対称形であるとともに、可変表示装置5の表示部を臨ませる、取付ベース15の裏側に形成した凹室20の正面壁21に開口した窓部22を有し」について
窓部22の右方には、取付ベース15、鎧部16及び正面壁21の一部が連設されていることは引用文献1の図2に示されており、これらの部材は、「遊技領域の右側端まで延出する」か否かは別として、本願補正発明の「延長部」に相当する。
そうすると、引用発明は、本願補正発明の「装飾部材は、左右非対称形状であると共に、表示装置を前面に臨ませる表示装置窓部と、表示装置窓部の右方に連設された延長部とを有し」に相当する構成を実質的に具備している。
(3)「センターケース4は取付ベース15の表面から前方に庇状に突出して上面が左右方向にそれぞれ下り傾斜した鎧部16を有し、鎧部16は装飾ランプとしても機能するものであって、鎧部16の上面は、突条36を境界として左側の傾斜上面と右側の傾斜上面に明確に区分けされて鎧部の上面に流下してきた球の位置に応じて確実に左右に振り分けるものである」について
「鎧部16」は、「取付ベース15の表面から前方に庇状に突出して」いるものであり、引用文献1の図2からみて、窓部22の上方及び右側方を被うように設けられているものであって、「延長部」に位置し一体的なものであるから、本願補正発明の「表示装置窓部の上方及び右側方を被うように遊技盤面より前方に突出し」た「延長部に」「一体的に設けた」「膨出領域部」に相当する。また、流下してきた球が「鎧部16」の突条36を境界として右側の傾斜上面に当接した場合には、球は遊技領域の右側に案内されることは明らかである。
そうすると、引用発明は、本願補正発明の「延長部に、表示装置窓部の上方及び右側方を被うように遊技盤面より前方に突出し、遊技球がその上面に当接することにより、遊技球を前記遊技領域の右側へ案内可能な膨出領域部を一体的に設け」に相当する構成を実質的に具備している。

以上により、両者は、
「遊技釘が配置され、遊技球が転動しうる遊技盤面における遊技領域のほぼ中央部に配置された表示装置の前面に、装飾部材を設けてなる遊技機において、
装飾部材は、左右非対称形状であると共に、表示装置を前面に臨ませる表示装置窓部と、表示装置窓部の右方に連設された延長部とを有し、
延長部に、表示装置窓部の上方及び右側方を被うように遊技盤面より前方に突出し、遊技球がその上面に当接することにより、遊技球を前記遊技領域の右側へ案内可能な膨出領域部を一体的に設けた、遊技機」である点で一致し、以下の点で相違する。

<相違点1>
延長部が、本願補正発明では遊技領域の右側端まで延出したものであるのに対し、引用発明ではそのような構成ではない点。
<相違点2>
延長部に、本願補正発明では膨出領域部に案内された遊技球を遊技盤面に沿って下方へ向けて通過させるように遊技盤面とほぼ同一平面をなし、かつ前記遊技釘を配置しない平面領域部とを一体的に設けたのに対し、引用発明ではそのような構成ではない点。
<相違点3>
本願補正発明では、平面領域部は、膨出領域部と遊技領域の右側端との間にあって、かつ表示装置窓部の右側を流下する遊技球が必ず通過するように、遊技領域の右側端まで延出しているのに対し、引用発明ではそのような構成ではない点。

4.判断
上記相違点について検討する。
<相違点1>について
延長部の大きさ、配置をどのようにするかは、遊技領域における遊技球の流下態様を考慮しつつ、適宜決定すればよい設計事項であるから、引用発明において延長部を遊技領域の右側端まで延出したものとし、相違点1に係る本願補正発明の構成とすることは当業者であれば想到容易である。また、中央の装飾部材の延長部を遊技領域の右側端まで延出することは周知例1?3に示されるように従来周知の技術でもあり、これを引用発明に採用し相違点1に係る本願補正発明の構成とすることは当業者であれば想到容易である。
周知例1:特開平8-173596号公報
周知例2:特開平11-4935号公報
周知例3:パチンコ必勝ガイド1994 7・2号,株式会社白夜書房, 平成6年7月2日発行,第65頁
<相違点2>について
膨出領域部に案内された遊技球を遊技盤面に沿って下方へ向けて通過させるように遊技盤面とほぼ同一平面をなし、かつ前記遊技釘を配置しない平面領域部を設けることは、周知例1、4、5に示されるように従来周知の技術であり、これを引用発明の延長部において採用し相違点2に係る本願補正発明の構成とすることは当業者であれば想到容易である。
周知例4:特開2000-61049号公報
周知例5:実公平7-51094号公報
<相違点3>について
「<相違点1>について」において検討したように、中央の装飾部材の延長部を遊技領域の右側端まで延出することは想到容易であり、「<相違点2>について」において検討したように、膨出領域部に案内された遊技球を遊技盤面に沿って下方へ向けて通過させるように遊技盤面とほぼ同一平面をなし、かつ前記遊技釘を配置しない平面領域部を延長部に設けることは想到容易である。そして、引用発明において相違点1に係る構成及び相違点2に係る構成を採用すれば、当然、「平面領域部は、膨出領域部と遊技領域の右側端との間にあって、かつ表示装置窓部の右側を流下する遊技球が必ず通過するように、遊技領域の右側端まで延出」するものとなるものであるから、当然、相違点3に係る本願補正発明の構成とすることは当業者であれば想到容易である。
そして、本願補正発明の効果は、引用発明、上記周知技術から当業者が予測できる範囲のものである。

したがって、本願補正発明は、引用発明、上記周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

5.むすび
以上のとおり、本件補正は、上記改正前の特許法17条の2第5項で準用する同法126条第5項の規定に違反するものであり、同法159条第1項で準用する同法53条第1項の規定により却下されるべきものである。

第3.本願発明について
1.本願発明の認定
平成20年8月20日付けの手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、平成19年12月25日付けの手続補正書の特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される、以下のとおりのものである。
「遊技釘が配置されて遊技球を転動しうる遊技盤面の遊技領域に配置された表示装置の前面に、装飾部材を設けてなる遊技機において、
前記装飾部材は、左右非対称形状であると共に、前記表示装置を前面に臨ませる表示装置窓部と、該表示装置窓部の左方または右方に連設され、前記遊技領域の側端まで延出する延長部とを有し、
該延長部に、前記遊技盤面より前方に突出し、かつ前記表示装置窓部の上方を被うように前記延長部が延出する方向へ延出して、遊技球がその上面に当接することにより、遊技球をその上面に沿って前記延長部が延出する方向へ流下可能とする膨出領域部と、前記膨出領域部の上面から流下した遊技球を前記遊技盤面に沿って下方へ向けて通過させるように前記遊技盤面とほぼ同一平面をなし、かつ前記遊技釘を配置しない平面領域部とを一体的に設けたことを特徴とする遊技機。」

2.本願発明の進歩性の判断
(1)引用文献
拒絶の理由に引用された引用文献及びその記載事項は、前記第2の2.に記載したとおりである。

(2)対比・判断
本願発明は、前記第2で検討した本願補正発明から、本件補正で限定した事項を省き、記載を整合するための補正を戻したものである。
そうすると、本願発明の構成をすべて含み、さらに他の構成要件を付加したものに相当する本願補正発明が、前記第2の4.に記載したとおり、引用発明、上記周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も同様の理由により、引用発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

第4.むすび
以上のとおり、本願発明は、引用発明及び上記周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、本願は、他の請求項について検討するまでもなく、拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2009-09-30 
結審通知日 2009-10-06 
審決日 2009-10-20 
出願番号 特願2001-365112(P2001-365112)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (A63F)
P 1 8・ 575- Z (A63F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 瀬津 太朗  
特許庁審判長 伊藤 陽
特許庁審判官 森 雅之
池谷 香次郎
発明の名称 遊技機  
代理人 中馬 典嗣  
代理人 竹沢 荘一  

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