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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G06F
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 G06F
管理番号 1209068
審判番号 不服2006-14602  
総通号数 122 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2010-02-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2006-07-06 
確定日 2009-12-24 
事件の表示 特願2001-380300「情報アクセスシステム及び情報アクセス方法」拒絶査定不服審判事件〔平成15年 7月 4日出願公開、特開2003-186897〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由
第1 手続の経緯

本願は、平成13年12月13日の出願であって、平成18年5月29日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、平成18年7月6日に拒絶査定不服審判の請求がなされるとともに、平成18年8月7日付けで手続補正がなされたものである。




第2 平成18年8月7日付けの手続補正についての補正却下の決定

〔結論〕

平成18年8月7日付けの手続補正を却下する。

〔理由〕

1.補正内容

平成18年8月7日付けの手続補正(以下、「本件補正」という)は、特許請求の範囲の請求項1の補正を含むものであって、
本件補正前の特許請求の範囲の請求項1、すなわち、

「 【請求項1】 キーワードに対応する情報を蓄積してある情報管理センターと、この情報管理センターと通信ネットワークを介して接続された端末と、前記通信ネットワーク上に分散配置されたWebサーバとを備え、該Webサーバより提供されるWebサーバにアクセスさせる情報アクセスシステムであって、
前記端末は利用者から入力された文字列を認識する文字認識手段と、前記文字認識手段で認識した前記文字列に基づいて、該文字列に含まれる所定のキーワードを抽出するキーワード抽出手段と、前記キーワード抽出手段で抽出された前記キーワードを蓄積するキーワード蓄積手段とを有し、
前記情報管理センターは前記Webサーバから前記Webサーバへのアクセス情報を取得するアクセス情報取得手段と、前記Webサーバの内容から所定のフレーズを抽出する解析手段と、前記アクセス情報取得手段で取得した前記アクセス情報を前記解析手段で抽出された前記フレーズに関連付けて蓄積するアクセス情報蓄積手段と、前記キーワード蓄積手段に蓄積されている前記キーワードを取得するキーワード取得手段と、前記キーワード取得手段で取得したキーワードと一致している前記フレーズを検出し検出した該フレーズに関連付けられた前記アクセス情報を前記アクセス情報蓄積手段の中から取得する取得手段とを有し、
前記キーワード抽出手段は、前記取得手段で取得した前記アクセス情報に含まれるアドレスにアクセスすることを特徴とする情報アクセスシステム。」

を、本件補正後の特許請求の範囲の請求項1、すなわち、

「 【請求項1】 キーワードに対応する情報を蓄積してある情報管理センターと、この情報管理センターと通信ネットワークを介して接続された端末と、前記通信ネットワーク上に分散配置されたWebサーバとを備え、該Webサーバより提供されるWebサーバにアクセスさせる情報アクセスシステムであって、
前記端末は利用者から入力された文字列を認識する文字認識手段と、前記文字認識手段で認識した前記文字列の意味内容に基づいて利用者に質問するのに適した文を作成し、該文字列に含まれる所定のキーワードを抽出するキーワード抽出手段と、前記キーワード抽出手段で抽出された前記キーワードを蓄積するキーワード蓄積手段とを有し、
前記情報管理センターは前記Webサーバから前記Webサーバへのアクセス情報を取得するアクセス情報取得手段と、前記Webサーバの内容から所定のフレーズを抽出する解析手段と、前記アクセス情報取得手段で取得した前記アクセス情報を前記解析手段で抽出された前記フレーズに関連付けて蓄積するアクセス情報蓄積手段と、前記キーワード蓄積手段に蓄積されている前記キーワードを取得するキーワード取得手段と、前記キーワード取得手段で取得したキーワードと一致している前記フレーズを検出し検出した該フレーズに関連付けられた前記アクセス情報を前記アクセス情報蓄積手段の中から取得する取得手段とを有し、
前記キーワード抽出手段は、前記取得手段で取得した前記アクセス情報に含まれるアドレスにアクセスすることを特徴とする情報アクセスシステム。」 (なお、下線は、当審にて付加)

に変更する補正を含む。つまり、本件補正は、本件補正前の特許請求の範囲の請求項1に対して、

本件補正前の「前記文字認識手段で認識した前記文字列に基づいて、該文字列に含まれる所定のキーワードを抽出するキーワード抽出手段」を、
本件補正後の「前記文字認識手段で認識した前記文字列の意味内容に基づいて利用者に質問するのに適した文を作成し、該文字列に含まれる所定のキーワードを抽出するキーワード抽出手段」に変更する補正(以下、「本件補正事項」という。)、

を含むものである。



2.本件補正について

本件補正が、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第4項(以下、単に「特許法第17条の2第4項」という。)の規定された要件を満たしているか否かを検討する。

本件補正事項は、「キーワード抽出手段」におけるキーワードを抽出する処理を限縮したものであるから、特許法第17条の2第4項第2号に規定された「特許請求の範囲の減縮(第三十6条第5項の規定により請求項に記載した発明を特定するために必要な事項を限定するものであつて、その補正前の当該請求項に記載された発明とその補正後の当該請求項に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるものに限る。)」に該当する。

そこで、本件補正後における特許請求の範囲に記載されている事項により構成される発明が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項に規定する要件を満たすか)否かを、本件補正後の請求項1に係る発明(以下、「本願補正発明」という。)について以下に検討する。



3.本願補正発明の認定

本願補正発明は、本件補正によって補正された明細書及び図面の記載からみて、(後述する誤記を除き)特許請求の範囲の請求項1に記載されたとおりのものと認められるところ、その請求項1に係る発明は、次のとおりのものである。

「 【請求項1】 キーワードに対応する情報を蓄積してある情報管理センターと、この情報管理センターと通信ネットワークを介して接続された端末と、前記通信ネットワーク上に分散配置されたWebサーバとを備え、該Webサーバより提供されるWebページにアクセスさせる情報アクセスシステムであって、
前記端末は利用者から入力された文字列を認識する文字認識手段と、前記文字認識手段で認識した前記文字列の意味内容に基づいて利用者に質問するのに適した文を作成し、該文字列に含まれる所定のキーワードを抽出するキーワード抽出手段と、前記キーワード抽出手段で抽出された前記キーワードを蓄積するキーワード蓄積手段とを有し、
前記情報管理センターは前記Webサーバから前記Webサーバへのアクセス情報を取得するアクセス情報取得手段と、前記Webサーバの内容から所定のフレーズを抽出する解析手段と、前記アクセス情報取得手段で取得した前記アクセス情報を前記解析手段で抽出された前記フレーズに関連付けて蓄積するアクセス情報蓄積手段と、前記キーワード蓄積手段に蓄積されている前記キーワードを取得するキーワード取得手段と、前記キーワード取得手段で取得したキーワードと一致している前記フレーズを検出し検出した該フレーズに関連付けられた前記アクセス情報を前記アクセス情報蓄積手段の中から取得する取得手段とを有し、
前記キーワード抽出手段は、前記取得手段で取得した前記アクセス情報に含まれるアドレスにアクセスすることを特徴とする情報アクセスシステム。」

ただし、本願明細書段落【0009】の「本願に係る発明は、上記課題を解決すべくなされたものであり、ネットワーク上に分散配置されたWebサーバより提供されるWebページにアクセスさせる際に、・・・」という記載等から明らかなように、
特許請求の範囲の請求項1中の「・・・、該Webサーバより提供されるWebサーバにアクセスさせる情報アクセスシステムであって、・・・」という記載は、
「・・・、該Webサーバより提供されるWebページにアクセスさせる情報アクセスシステムであって、・・・」の誤記であることは明らかであるから、上記の如く認定する。



4.引用例1の認定

原査定の拒絶の理由に引用文献1として引用された、特開平10-091638号公報(以下、「引用例1」という)には、図面と共に以下の技術事項が記載されている。

(ア)
「 【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ネットワーク上に分散したデータの検索システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
Altavista(http://www.altavista.com/)、Lycos(http://www.lycos.com/)、Yahoo!(http://www.yahoo.com/)などロボットを用いたネットワーク上の検索システムは多数存在する。これらはロボットと呼ばれる機械的にネットワーク上で情報を収集するソフトウェアを用いている。そして、収集したデータをデータベース化し、利用者が検索できるようにしている。」

(イ)
「 【0006】
【発明が解決しようとする課題】
従来、ネットワーク上に分散したデータの検索システムにおいては、以下のような問題点があった。
(1)増大するデータを扱うのが困難になりつつある。例えばWWW上のページデータが1996年で世界で4000万以上あると言われ、今後も指数関数的に増加すると予想される。現在、ページ数も、1ページあたりのデータ量も急激に増大する傾向にある。このように急増するデータを単に量により分割するだけでは、データベース管理が極めて困難である。
【0007】
(2)更新頻度が高い情報を扱うのが困難である。一日に何度も更新されるデータについては、現在の検索システムではロボット探索対象から外している。この理由は、頻繁に更新されるデータをロボットで情報収集してデータベース化しても、そのデータが検索される前に更新されることが少なくないからである。このような場合には、検索結果に現れたページを見ても、既になくなっていたり、内容が全く別のものに変更されたために利用者の意図したものとは別ものもが表示されたりする不都合が生じる。
【0008】
本発明は、上記事情を考慮してなされたもので、ネットワーク上に散在する膨大な検索対象データを効率良く取得しデータベース化する検索システムを提供することを目的とする。また、本発明は、極めて更新頻度の高いデータをも効果的にデータベース化する検索システムを提供することを目的とする。」

(ウ)
「 【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明(請求項1)は、ネットワーク(例えば、インターネットのWWW)上でロボットを用いて収集したデータ(例えばページのようなハイパーメディアデータ)をもとにデータベースを作成し、検索要求に応じてデータベース検索を行なう検索システムにおいて、データベース化の対象とすべきデータの更新頻度(例えば、統計的な更新頻度、あるいは最終更新時刻)の範囲がデータベース固有に割り当てられ、データの更新頻度が該割り当てられた更新頻度の範囲内にあることまたはデータの属するデータ群(例えば、サイト)における平均的な更新頻度が該割り当てられた更新頻度の範囲内にあることを少なくとも条件として、該当するデータを収集し所定の構造のデータベースを作成するデータベース作成手段を備えたことを特徴とする。」

(エ)
「 【0010】
データベースは、例えば、データのアドレスとキーワードの組からなる構造を持つ。具体的には、例えば、ページのURLにキーワードを付加したものである。」

(オ)
「 【0025】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しながら発明の実施の形態を説明する。まず、語句の定義を行う。プロキシー(Proxy)とは、クライアント(例えば利用者端末)からサーバー(例えばWWWサイト)への資源アクセスの際にアプリケーションレベルにおいて、クライアントとサーバーの間に入り、クライアントからの資源アクセス要求をサーバーに対して中継し、サーバーからの応答をクライアントに対して中継する機能を有するサーバーのことを言う。
【0026】
ページ(page)とは、ハイパーテキストのページを意味するものとする。WWWの世界では、1つのページはユニークなURLを持つ。URL(Uniform Resouce Location)とは、ページデータをアクセスするのに必要な情報である。URLは、プロトコル、ドメイン名、ポート番号、パス名の情報を含む。」

(カ)
「 【0028】
ロボット(Robot)とは、HyperText Markup Language(HTML)やStandard Generalized Markup Language(SGML)のようなハイパーテキストで記述された文書を読み、そこに書かれているリンクを機械的に辿りながら文書をネットワーク上で収集するものであり、ソフトウェアにより実現される。ロボットの代わりにスパイダー(spider)あるいはワンダラー(Wanderer)などと呼ばれることもある。
【0029】
ロボットの基本的な動作は次のようになる。
(手順1)指定されたURLの根を探訪リストに登録する。
(手順2)ロボットは、探訪リストに従いページを取得する。
(手順3)取得されたページを解析してURLを抽出する。
(手順4)抽出されたURLを探訪リストに追加する(ただし、URLの重複登録はしない)。
以降、手順2?4を繰り返す。なお、ページの取得頻度は、該ページの更新頻度に応じて決めるようにしても良い。」

(キ)
「 【0039】
(第1の実施形態)まず、第1の実施形態について説明する。本実施形態のシステム構成例を、図1、図4、図6に示す。」

(ク)
「 【0046】
なお、本実施形態では、データベースにはページ自体ではなくキーワードとURLとを格納するものとする。また、ページを全文検索などして抽出したキーワードをURLに付加して格納し、キーワードでURLを検索するものとする。」

(ケ)
「 【0060】
本実施形態において、検索利用者がデータベース検索を行う場合、利用者端末133から複数のデータベース101,111,121のすべてに検索要求を出す方法と、いずれか1つのデータベース1に検索要求を出す方法が考えられる。後者のいずれか1つのデータベースに検索要求を出す場合には、その検索要求を受け取ったデータベースのみが結果を返すようなモードと、そのデータベースが他のデータベースにも問い合わせに行き結果をマージして返すようなモードが考えられる。」

(コ)
「 【0061】
次に、図4の構成例について説明する。図4は、基本的には図1と同様であり、データの更新頻度に応じた複数のデータベース201?203が用意されているが、ロボット204を一台で兼用する点に関して図1の構成例と相違する。」

(サ)
「 【0065】
以上のように、ロボットの数はデータベースの数と一致している必要はない。例えば、図4の場合、ロボットの数は2台でも4台以上でも良い。各ロボットとデータベースとの対応関係は適宜設定すれば良い。」

(シ)
「 【符号の説明】
100,500?504,600…ネットワーク
100,110,120,200,300,401,410,601…検索装置
102,112,122,204,602…ロボット
101,101-1,101-2,111,121,605…データベース
131,132…WWWサイト
133…利用者端末
301,301-1,301-2,607…データベース・フロントエンド(DBF)
603…キャッシュ
604…データベース化部
606…WWWフロントエンド
708…ユーザ要求記録部」


以上の引用例1の記載によれば、引用例1には以下の事項が開示されていると認められる。

(a)
引用例1の上記(シ)の「符号の説明」を参酌すると、引用例1の【図4】には、「ロボット204」と「複数のデータベース101,111,121」を備える「検索装置3」、複数の「WWWサイト131,132」、「利用者端末133」が「ネットワーク100」を介して接続されていることが図示されていること、

引用例1の上記(ケ)の「本実施形態において、検索利用者がデータベース検索を行う場合、利用者端末133から複数のデータベース101,111,121のすべてに検索要求を出す方法と、いずれか1つのデータベース1に検索要求を出す方法が考えられる。・・・」という記載、及び、
引用例1の上記(エ)の「データベースは、例えば、データのアドレスとキーワードの組からなる構造を持つ。具体的には、例えば、ページのURLにキーワードを付加したものである。」という記載、
(すなわち、「データベース」は「検索要求」に対応する情報を蓄積していることになる。)


引用例1の上記(ア)の「本発明は、ネットワーク上に分散したデータの検索システムに関する。・・・」という記載、
(なお、引用例1の【図4】を参酌すると、「ネットワーク上に分散したデータ」は複数の「WWWサイト131,132」に分散しているのであるから、「ネットワーク上に分散したデータ」は、ネットワーク上に分散配置された「WWWサイト」上にあるデータであるともいえる。)

引用例1の上記(カ)の「ロボット(Robot)とは、HyperText Markup Language(HTML)やStandard Generalized Markup Language(SGML)のようなハイパーテキストで記述された文書を読み、そこに書かれているリンクを機械的に辿りながら文書をネットワーク上で収集するものであり、ソフトウェアにより実現される。・・・(中略)・・・ロボットの基本的な動作は次のようになる。
(手順1)指定されたURLの根を探訪リストに登録する。
(手順2)ロボットは、探訪リストに従いページを取得する。
(手順3)取得されたページを解析してURLを抽出する。
(手順4)抽出されたURLを探訪リストに追加する(ただし、URLの重複登録はしない)。
以降、手順2?4を繰り返す。・・・」という記載から、
(すなわち、引用例1の【図4】を参酌すると、当該「ロボット」は「WWWサイト」上にある「ページ」(すなわち、「Webページ」)を、「WWWサイト」にアクセスすることによって取得していることは明らかである。)

引用例1には、「検索要求に対応する情報を蓄積してある検索装置と、この検索装置とネットワークを介して接続された利用者端末と、前記ネットワーク上に分散配置されたWWWサイトを備え、該WWWサイトにより提供されるWebページにアクセスさせる検索システム」が開示されていると認められる。


(b)
上記(a)の「検索要求に対応する情報を蓄積してある検索装置と、この検索装置とネットワークを介して接続された利用者端末と、前記ネットワーク上に分散配置されたWWWサイトを備え、該WWWサイトにより提供されるWebページにアクセスさせる検索システム」という開示、

引用例1の上記(シ)の「符号の説明」を参酌すると、引用例1の【図4】には、「ロボット204」と「複数のデータベース101,111,121」を備える「検索装置3」、複数の「WWWサイト131,132」、「利用者端末133」が「ネットワーク100」を介して接続されていることが図示されていること、

引用例1の上記(ケ)の「本実施形態において、検索利用者がデータベース検索を行う場合、利用者端末133から複数のデータベース101,111,121のすべてに検索要求を出す方法と、いずれか1つのデータベース1に検索要求を出す方法が考えられる。・・・」という記載から、
(なお、「利用者端末」が「検索要求」を出しているのであるから、「利用者端末」が、「検索要求」を取得する手段に相当する構成を備えていることは明らかである。)

引用例1には、「前記利用者端末は、検索要求を取得する手段」を有していることが開示されていると認められる。

(c)
上記(a)の「検索要求に対応する情報を蓄積してある検索装置と、この検索装置とネットワークを介して接続された利用者端末と、前記ネットワーク上に分散配置されたWWWサイトを備え、該WWWサイトにより提供されるWebページにアクセスさせる検索システム」という開示、

引用例1の上記(シ)の「符号の説明」を参酌すると、引用例1の【図4】には、「ロボット204」と「複数のデータベース101,111,121」を備える「検索装置3」、複数の「WWWサイト131,132」、「利用者端末133」が「ネットワーク100」を介して接続されていることが図示されていること、

引用例1の上記(カ)の「ロボット(Robot)とは、HyperText Markup Language(HTML)やStandard Generalized Markup Language(SGML)のようなハイパーテキストで記述された文書を読み、そこに書かれているリンクを機械的に辿りながら文書をネットワーク上で収集するものであり、ソフトウェアにより実現される。・・・(中略)・・・ロボットの基本的な動作は次のようになる。
(手順1)指定されたURLの根を探訪リストに登録する。
(手順2)ロボットは、探訪リストに従いページを取得する。
(手順3)取得されたページを解析してURLを抽出する。
(手順4)抽出されたURLを探訪リストに追加する(ただし、URLの重複登録はしない)。
以降、手順2?4を繰り返す。・・・」という記載から、
(なお、「検索装置」が備える「ロボット」が「URL」を抽出しているのであるから、「検索装置」が、当該抽出を行うための手段(例:URL抽出手段)に相当する構成を備えていることは明らかである。)

引用例1の上記(ク)の「なお、本実施形態では、データベースにはページ自体ではなくキーワードとURLとを格納するものとする。また、ページを全文検索などして抽出したキーワードをURLに付加して格納し、キーワードでURLを検索するものとする。」という記載から、
(なお、キーワードを抽出した上でURLに付加して「データベース」に格納しているのであるから、「検索装置」が、当該抽出を行うための手段(例:キーワード抽出手段)、当該格納を行うための手段(例:URL蓄積手段)に相当する構成を備えていることは明らかである。)

引用例1には、「前記検索装置は、前記WWWサイトから前記WWWサイトへのURLを抽出するURL抽出手段と、前記WWWサイトのページから所定のキーワードを抽出するキーワード抽出手段と、前記URL抽出手段で取得した前記URLを前記キーワード抽出手段で抽出された前記キーワードに関連付けて蓄積するURL蓄積手段」とを有していることが開示されていると認められる。


(d)
上記(a)の「検索要求に対応する情報を蓄積してある検索装置と、この検索装置とネットワークを介して接続された利用者端末と、前記ネットワーク上に分散配置されたWWWサイトを備え、該WWWサイトにより提供されるWebページにアクセスさせる検索システム」という開示、

上記(b)の「前記利用者端末は、検索要求を取得する手段」を有しているという開示、

引用例1の上記(ケ)の「本実施形態において、検索利用者がデータベース検索を行う場合、利用者端末133から複数のデータベース101,111,121のすべてに検索要求を出す方法と、いずれか1つのデータベース1に検索要求を出す方法が考えられる。・・・」という記載から、
(なお、「利用者端末」は、(検索装置に検索させるために)「検索要求」を出しているのであるから、「検索装置」が、出された「検索要求」を取得していることは明らかである。
また、「検索装置」が、当該「検索要求」を取得するための手段(例:検索要求取得手段)に相当する構成を備えていることも明らかである。)

引用例1には、(検索装置は)「利用者端末から出された前記検索要求を取得する検索要求取得手段」を有していることが開示されていると認められる。

(e)
上記(a)の「検索要求に対応する情報を蓄積してある検索装置と、この検索装置とネットワークを介して接続された利用者端末と、前記ネットワーク上に分散配置されたWWWサイトを備え、該WWWサイトにより提供されるWebページにアクセスさせる検索システム」という開示、

上記(c)の「前記検索装置は、前記WWWサイトから前記WWWサイトへのURLを抽出するURL抽出手段と、前記WWWサイトのページから所定のキーワードを抽出するキーワード抽出手段と、前記URL抽出手段で取得した前記URLを前記キーワード抽出手段で抽出された前記キーワードに関連付けて蓄積するURL蓄積手段」とを有しているという開示、

上記(d)の(検索装置は)「利用者端末から出された前記検索要求を取得する検索要求取得手段」を有しているという開示、

引用例1の上記(ク)の「なお、本実施形態では、データベースにはページ自体ではなくキーワードとURLとを格納するものとする。また、ページを全文検索などして抽出したキーワードをURLに付加して格納し、キーワードでURLを検索するものとする。」という記載から、
(なお、「キーワードをURLに付加して格納し、キーワードでURLを検索する」という記載から、取得した検索要求と一致しているキーワードを検出し検出したキーワードに関連付けられたURLを「URL蓄積手段」の中から取得していることは明らかである。
また、キーワードでURLを検索しているのであるから、「検索装置」が、当該検索を行うための手段(例:検索手段)に相当する構成を備えていることは明らかである。)

引用例1には、(検索装置は)「前記検索要求取得手段で取得した検索要求と一致している前記キーワードを検出し検出した該キーワードに関連付けられた前記URLを前記URL蓄積手段の中から取得する検索手段」を有していることが開示されていると認められる。


以上の引用例1の記載によれば、引用例1には下記の発明(以下、「引用例1発明」という。)が開示されていると認められる。

「検索要求に対応する情報を蓄積してある検索装置と、この検索装置とネットワークを介して接続された利用者端末と、前記ネットワーク上に分散配置されたWWWサイトを備え、該WWWサイトにより提供されるWebページにアクセスさせる検索システムであって、
前記利用者端末は、検索要求を取得する手段を有し、
前記検索装置は、前記WWWサイトから前記WWWサイトへのURLを抽出するURL抽出手段と、前記WWWサイトのページから所定のキーワードを抽出するキーワード抽出手段と、前記URL抽出手段で取得した前記URLを前記キーワード抽出手段で抽出された前記キーワードに関連付けて蓄積するURL蓄積手段と、利用者端末から出された前記検索要求を取得する検索要求取得手段と、前記検索要求取得手段で取得した検索要求と一致している前記キーワードを検出し検出した該キーワードに関連付けられた前記URLを前記URL蓄積手段の中から取得する検索手段とを有していること
を特徴と検索システム。」



5.引用例2の認定

原査定の拒絶の理由に引用文献2として引用された、酒井桂一、ほか,音声ガイドシステムにおける全文検索結果の利用法,電子情報通信学会技術研究報告,日本,1993年 5月21日,93巻、52号,37-44頁,NLC93-15(以下、「引用例2」という)には、図面と共に以下の技術事項が記載されている。

(ア)
「2 システム概要
TARSANのシステム構成を図1に示す.
TARSANは,大きく4つのモジュール:1)音声認識部,2)対話処理部,3)全文検索部,4)音声合成部,から構成される.
(第38頁左欄第39行から同頁右欄第3行)

(イ)
「入力は,マイクによる音声入力とキーボードによるタイプ入力を切り替えることができる.マイクから入力された音声は,音声認識部で認識され,文字列にされて対話処理部に送られる[8,11].一方,タイプ入力では,音声認識部で対処していない検索条件(任意の単語や数値など)も直接入力することができる.」
(第38頁右欄第12乃至17行)

(ウ)
「対話処理部は,入力された文を解析して「検索要求」を作成し,全文検索部に送る.また,全文検索部から返される検索結果から次発話に用いられる語彙を予測し,音声認識部に送るとともに,ディスプレイを通してユーザに提示する.さらに,音声合成部に送る読み上げ文を生成する.」
(第38頁左欄第18乃至23行)

(エ)
「3.3 対話対管理
要求-提示,挨拶-挨拶,確認-肯否など,典型的な発話意図の対を対話の単位(対話対)とし,図3に示すように,対話対が入れ子になるような対話に対して,「対話対スタック」を用いて処理を行う[12].」
(第40頁左欄第5乃至9行)

(オ)
「TARSANでは,ジャンル毎に対話対スタックを作成する.前節で述べた「条件変更/追加時の確認」のほかに,以下の場合に対話対スタックを用いて「問い返し」を行う.
1.何も条件が指定されていない場合(sys1)
2.必須条件としている所在地が指定されていない場合(sys3)
3.名称に対し,検索対象がない場合(sys5)」
(第40頁左欄第10乃至17行)

(カ)
「また,ジャンルや項目そのものに対するユーザの質問(メタ質問,usr2)は,さらに対話スタックに積んで,処理を行う.」
(第40頁左欄第18乃至20行)

(キ)
「usr1: ゴルフ場について教えて。
sys1: 何か条件を指定してください。
usr2: どんな条件がありますか。
sys2: 名称,所在地,立地条件,種別,行き方,電話番号,パー, ホール数,面積があります。
usr3: 立地条件が河川敷です。
sys3: 所在地を指定して下さい。
usr4: 千葉県。
sys4: 大利根チサンカントリークラブ,野田市パブリックゴルフ場 ,東我孫子カントリークラブです。
usr5: 大利根チサンカントリークラブについて知りたい。
sys5: 何について知りたいですか。
usr6: 電話番号です。
sys6: 大利根チサンカントリークラブの電話番号は,(0471) 38-2121です。」
(図3:対話対が入れ子になる対話例)


以上の引用例2の記載によれば、引用例2には以下の事項が開示されていると認められる。

(a)
引用例2の上記(ア)の
「TARSANのシステム構成を図1に示す.
TARSANは,大きく4つのモジュール:1)音声認識部,2)対話処理部,3)全文検索部,4)音声合成部,から構成される.」
という記載から、

引用例2には、「TARSANのシステム」が開示されていると認められる。


(b)
上記(a)の「TARSANのシステム」という開示、

引用例2の上記(イ)の「入力は,マイクによる音声入力とキーボードによるタイプ入力を切り替えることができる.マイクから入力された音声は,音声認識部で認識され,文字列にされて対話処理部に送られる[8,11].一方,タイプ入力では,音声認識部で対処していない検索条件(任意の単語や数値など)も直接入力することができる.」という記載、
(なお、「TARSANのシステム」が、入力された文字列を認識するための手段(例:文字認識手段)に相当する構成を備えていることは明らかである。)

引用例2の上記(カ)の「また,ジャンルや項目そのものに対するユーザの質問(メタ質問,usr2)は,さらに対話スタックに積んで,処理を行う.」という記載から、

引用例2には、「ユーザから入力された音声入力やタイプ入力により文字列を認識する文字認識手段」が開示されていると認められる。


(c)
上記(a)の「TARSANのシステム」という開示、

上記(b)の「ユーザから入力された音声入力やタイプ入力により文字列を認識する文字認識手段」という開示、

引用例2の上記(ウ)の「対話処理部は,入力された文を解析して「検索要求」を作成し,全文検索部に送る.また,全文検索部から返される検索結果から次発話に用いられる語彙を予測し,音声認識部に送るとともに,ディスプレイを通してユーザに提示する.さらに,音声合成部に送る読み上げ文を生成する.」という記載、
(なお、「入力された文」が、文字認識手段に相当する構成よって入力されたものであることは明らかである。)

引用例2の上記(オ)の
「TARSANでは,ジャンル毎に対話対スタックを作成する.前節で述べた「条件変更/追加時の確認」のほかに,以下の場合に対話対スタックを用いて「問い返し」を行う.
1.何も条件が指定されていない場合(sys1)
2.必須条件としている所在地が指定されていない場合(sys3)
3.名称に対し,検索対象がない場合(sys5)」という記載、
(なお、入力された文(文字列)が「何も条件が指定されていない」という「意味内容」、「必須条件としている所在地が指定されていない」という「意味内容」、「名称に対し,検索対象がない」という「意味内容」を有している場合に、「問い返し」が行われていることは明らかである。)

引用例2の上記(キ)の
「usr1: ゴルフ場について教えて。
sys1: 何か条件を指定してください。
usr2: どんな条件がありますか。
sys2: 名称,所在地,立地条件,種別,行き方,電話番号,パー, ホール数,面積があります。
usr3: 立地条件が河川敷です。
sys3: 所在地を指定して下さい。
usr4: 千葉県。
sys4: 大利根チサンカントリークラブ,野田市パブリックゴルフ場 ,東我孫子カントリークラブです。
usr5: 大利根チサンカントリークラブについて知りたい。
sys5: 何について知りたいですか。
usr6: 電話番号です。
sys6: 大利根チサンカントリークラブの電話番号は,(0471) 38-2121です。」という記載から、
(なお、sys3の「所在地を指定して下さい。」という「問い返し」によって、usr4の「千葉県。」という回答が得られたのであるから、sys3の「問い返し」は「利用者に質問するのに適した文」であることは明らかである。
また、usr4の「千葉県。」という回答によって、sys4の「大利根チサンカントリークラブ,野田市パブリックゴルフ場,東我孫子カントリークラブです。」という検索結果が得られているのであるから、「千葉県。」から抽出される「千葉県」が検索のためのキーワードとして採用されていることも明らかである。
しかも、「TARSANのシステム」が、当該抽出をおこなうための手段(例:キーワード抽出手段」)に相当する構成を備えていることも明らかである。)

引用例2には、「前記文字認識手段で認識した前記文字列の意味内容に基づいて利用者に質問するのに適した文を作成し、該文字列に含まれる所定のキーワードを抽出するキーワード抽出手段」が開示されていると認められる。


(d)
上記(a)の「TARSANのシステム」という開示、

上記(c)の「前記文字認識手段で認識した前記文字列の意味内容に基づいて利用者に質問するのに適した文を作成し、該文字列に含まれる所定のキーワードを抽出するキーワード抽出手段」という開示、

引用例2の上記(キ)の
「usr1: ゴルフ場について教えて。
sys1: 何か条件を指定してください。
usr2: どんな条件がありますか。
sys2: 名称,所在地,立地条件,種別,行き方,電話番号,パー, ホール数,面積があります。
usr3: 立地条件が河川敷です。
sys3: 所在地を指定して下さい。
usr4: 千葉県。
sys4: 大利根チサンカントリークラブ,野田市パブリックゴルフ場 ,東我孫子カントリークラブです。
usr5: 大利根チサンカントリークラブについて知りたい。
sys5: 何について知りたいですか。
usr6: 電話番号です。
sys6: 大利根チサンカントリークラブの電話番号は,(0471) 38-2121です。」という記載から、
(なお、sys4の「大利根チサンカントリークラブ,野田市パブリックゴルフ場,東我孫子カントリークラブです。」という検索結果を得るために、usr1の「ゴルフ場について教えて。」から「ゴルフ場」というキーワード、usr3の「立地条件が河川敷です。」から「河川敷」というキーワード、usr4の「千葉県。」から「千葉県」というキーワードが順次抽出されていることは明らかである。
また、順次抽出されたキーワード用いて検索するためには、対話処理部が、検索するための条件が揃うまで順次抽出されたキーワードを記憶手段(例:キーワード蓄積手段)に蓄積しておく必要があることは明らかである。)

引用例2には、「前記キーワード抽出手段で抽出された前記キーワードを蓄積するキーワード蓄積手段」が開示されていると認められる。


以上の引用例2の記載によれば、引用例2には下記の発明(以下、「引用例2発明」という。)が開示されていると認められる。

「TARSANのシステムであって、
ユーザから入力された音声入力やタイプ入力により文字列を認識する文字認識手段と、
前記文字認識手段で認識した前記文字列の意味内容に基づいて利用者に質問するのに適した文を作成し、該文字列に含まれる所定のキーワードを抽出するキーワード抽出手段と、
前記キーワード抽出手段で抽出された前記キーワードを蓄積するキーワード蓄積手段と
を有することを特徴とするシステム。」



6.対比

本願補正発明と引用例1発明とを対比する。

(1)
引用例1発明の
「検索装置」、
「ネットワーク」、
「利用者端末」、
「WWWサイト」、
「検索システム」、
「URL」、
「キーワード」は、そえぞれ、

本願補正発明の
「情報管理センター」、
「通信ネットワーク」、
「端末」、
「Webサーバ」、
「情報アクセスシステム」、
「アクセス情報」、
「フレーズ」に相当する。


(2)
引用例1発明の「検索要求に対応する情報を蓄積してある検索装置と、この検索装置とネットワークを介して接続された利用者端末と、前記ネットワーク上に分散配置されたWWWサイトを備え、該WWWサイトにより提供されるWebページにアクセスさせる検索システム」と、

本願補正発明の「キーワードに対応する情報を蓄積してある情報管理センターと、この情報管理センターと通信ネットワークを介して接続された端末と、前記通信ネットワーク上に分散配置されたWebサーバとを備え、該Webサーバより提供されるWebページにアクセスさせる情報アクセスシステム」とは、

「検索情報に対応する情報を蓄積してある情報管理センターと、この情報管理センターと通信ネットワークを介して接続された端末と、前記通信ネットワーク上に分散配置されたWebサーバとを備え、該Webサーバより提供されるWebページにアクセスさせる情報アクセスシステム」という点で一致し、

本願補正発明では、「検索情報」が「キーワード」であるのに対し、
引用例1発明では、「検索情報」が「検索要求」である点、

で相違する。


(3)
引用例1発明の「前記利用者端末は、検索要求を取得する手段」を有していることと、

本願補正発明の「前記端末は利用者から入力された文字列を認識する文字認識手段と、前記文字認識手段で認識した前記文字列の意味内容に基づいて利用者に質問するのに適した文を作成し、該文字列に含まれる所定のキーワードを抽出するキーワード抽出手段と、前記キーワード抽出手段で抽出された前記キーワードを蓄積するキーワード蓄積手段とを有し、・・・、前記キーワード抽出手段は、前記取得手段で取得した前記アクセス情報に含まれるアドレスにアクセスする」こととは、

「前記端末は検索情報を取得する手段」を有するという点で一致し、

・本願補正発明では、「検索情報」が「キーワード」であるのに対し、
引用例1発明では、「検索情報」が「検索要求」である点、

・本願補正発明の「検索情報を取得する手段」は、「利用者から入力された文字列を認識する文字認識手段と、前記文字認識手段で認識した前記文字列の意味内容に基づいて利用者に質問するのに適した文を作成し、該文字列に含まれる所定の検索情報を抽出する検索情報抽出手段と、前記検索情報抽出手段で抽出された前記検索情報を蓄積する検索情報蓄積手段」とを有しているのに対し、
引用例1発明の「検索情報を取得する手段」は、そのような手段を有していない点、

・本願補正発明では、「前記検索情報抽出手段は、前記取得手段で取得した前記アクセス情報に含まれるアドレスにアクセスする」のに対し、
引用例1発明では、「前記検索情報抽出手段は、前記取得手段で取得した前記アクセス情報に含まれるアドレスにアクセスする」のか不明である点、

で相違する。


(4)
引用例1発明の「前記検索装置は、前記WWWサイトから前記WWWサイトへのURLを抽出するURL抽出手段と、前記WWWサイトのページから所定のキーワードを抽出するキーワード抽出手段と、前記URL抽出手段で取得した前記URLを前記キーワード抽出手段で抽出された前記キーワードに関連付けて蓄積するURL蓄積手段と、利用者端末から出された前記検索要求を取得する検索要求取得手段と、前記検索要求取得手段で取得した検索要求と一致している前記キーワードを検出し検出した該キーワードに関連付けられた前記URLを前記URL蓄積手段の中から取得する検索手段」とを有していることと、

本願補正発明の「前記情報管理センターは前記Webサーバから前記Webサーバへのアクセス情報を取得するアクセス情報取得手段と、前記Webサーバの内容から所定のフレーズを抽出する解析手段と、前記アクセス情報取得手段で取得した前記アクセス情報を前記解析手段で抽出された前記フレーズに関連付けて蓄積するアクセス情報蓄積手段と、前記キーワード蓄積手段に蓄積されている前記キーワードを取得するキーワード取得手段と、前記キーワード取得手段で取得したキーワードと一致している前記フレーズを検出し検出した該フレーズに関連付けられた前記アクセス情報を前記アクセス情報蓄積手段の中から取得する取得手段」とを有していることとは、

「前記情報管理センターは前記Webサーバから前記Webサーバへのアクセス情報を取得するアクセス情報取得手段と、前記Webサーバの内容から所定のフレーズを抽出する解析手段と、前記アクセス情報取得手段で取得した前記アクセス情報を前記解析手段で抽出された前記フレーズに関連付けて蓄積するアクセス情報蓄積手段と、前記検索情報を取得する検索情報取得手段と、前記検索情報取得手段で取得したキーワードと一致している前記フレーズを検出し検出した該フレーズに関連付けられた前記アクセス情報を前記アクセス情報蓄積手段の中から取得する取得手段」とを有している点で一致し、

・本願補正発明では、「検索情報」が「キーワード」であるのに対し、
引用例1発明では、「検索情報」が「検索要求」である点、

・本願補正発明の「検索情報取得手段」は、「前記検索情報蓄積手段に蓄積されている」検索情報を取得するのに対し、
引用例1発明の「検索情報取得手段」は、「前記検索情報蓄積手段に蓄積されている」検索情報を取得するものではない点、

で相違する。


(5)
以上のことから、本願補正発明と引用例1発明とは、

「検索情報に対応する情報を蓄積してある情報管理センターと、この情報管理センターと通信ネットワークを介して接続された端末と、前記通信ネットワーク上に分散配置されたWebサーバとを備え、該Webサーバより提供されるWebページにアクセスさせる情報アクセスシステムであって、
前記端末は検索情報を取得する手段を有し、
前記情報管理センターは前記Webサーバから前記Webサーバへのアクセス情報を取得するアクセス情報取得手段と、前記Webサーバの内容から所定のフレーズを抽出する解析手段と、前記アクセス情報取得手段で取得した前記アクセス情報を前記解析手段で抽出された前記フレーズに関連付けて蓄積するアクセス情報蓄積手段と、前記検索情報を取得する検索情報取得手段と、前記検索情報取得手段で取得したキーワードと一致している前記フレーズを検出し検出した該フレーズに関連付けられた前記アクセス情報を前記アクセス情報蓄積手段の中から取得する取得手段とを有していること
を特徴とする情報アクセスシステム。」

という点で一致し、

(相違点1)
本願補正発明では、「検索情報」が「キーワード」であるのに対し、
引用例1発明では、「検索情報」が「検索要求」である点、

(相違点2)
本願補正発明の「検索情報を取得する手段」は、「利用者から入力された文字列を認識する文字認識手段と、前記文字認識手段で認識した前記文字列の意味内容に基づいて利用者に質問するのに適した文を作成し、該文字列に含まれる所定の検索情報を抽出する検索情報抽出手段と、前記検索情報抽出手段で抽出された前記検索情報を蓄積する検索情報蓄積手段」とを有しているのに対し、
引用例1発明の「検索情報を取得する手段」は、そのような手段を有していない点、

(相違点3)
本願補正発明の「検索情報取得手段」は、「前記検索情報蓄積手段に蓄積されている」検索情報を取得するのに対し、
引用例1発明の「検索情報取得手段」は、「前記検索情報蓄積手段に蓄積されている」検索情報を取得するものではない点、

(相違点4)
本願補正発明では、「前記検索情報抽出手段は、前記取得手段で取得した前記アクセス情報に含まれるアドレスにアクセスする」のに対し、
引用例1発明では、「前記検索情報抽出手段は、前記取得手段で取得した前記アクセス情報に含まれるアドレスにアクセスする」のか不明である点、

で相違する。



7.相違点に対する判断

(1)相違点1について

情報検索する方法として、キーワードという検索情報を検索装置に入力することによって検索を行う方法(所謂、キーワード検索)があることは、情報処理分野における周知技術である。

したがって、引用例1発明において、キーワード検索を行えるように、「検索情報」として「キーワード」を採用することは、当業者が容易に想到し得ることである。


(2)相違点2について

検索を行うためのキーワードを得るために対話処理を行うシステムは、引用例2発明のシステム、すなわち、
「TARSANのシステムであって、
ユーザから入力された音声入力やタイプ入力により文字列を認識する文字認識手段と、
前記文字認識手段で認識した前記文字列の意味内容に基づいて利用者に質問するのに適した文を作成し、該文字列に含まれる所定のキーワードを抽出するキーワード抽出手段と、
前記キーワード抽出手段で抽出された前記キーワードを蓄積するキーワード蓄積手段と
を有することを特徴とするシステム。」
にあるように既知のシステムである。

そして、引用例2発明の
「ユーザから入力された音声入力やタイプ入力により文字列を認識する文字認識手段と、
前記文字認識手段で認識した前記文字列の意味内容に基づいて利用者に質問するのに適した文を作成し、該文字列に含まれる所定のキーワードを抽出するキーワード抽出手段と、
前記キーワード抽出手段で抽出された前記キーワードを蓄積するキーワード蓄積手段」は、
本願補正発明の「利用者から入力された文字列を認識する文字認識手段と、前記文字認識手段で認識した前記文字列の意味内容に基づいて利用者に質問するのに適した文を作成し、該文字列に含まれる所定の検索情報を抽出する検索情報抽出手段と、前記検索情報抽出手段で抽出された前記検索情報を蓄積する検索情報蓄積手段」に相当する。

したがって、適切な検索情報を利用者から引き出すべく、引用例2発明の対話処理技術を、引用例1発明の端末が有する「検索情報を取得する手段」に対して採用することによって、
「利用者から入力された文字列を認識する文字認識手段と、前記文字認識手段で認識した前記文字列の意味内容に基づいて利用者に質問するのに適した文を作成し、該文字列に含まれる所定の検索情報を抽出する検索情報抽出手段と、前記検索情報抽出手段で抽出された前記検索情報を蓄積する検索情報蓄積手段」とを有するように構成することは、当業者が容易に想到し得ることである。


(3)相違点3について

上記「(1)相違点1について」で検討したように、「検索情報」として「キーワード」を採用することは当業者が容易に想到しうることであり、また、
上記「(2)相違点2について」で検討したように、端末が「前記検索情報抽出手段で抽出された前記検索情報を蓄積する検索情報蓄積手段」を有するようにすることは当業者が容易に想到しうることである。
そして、端末が「前記検索情報抽出手段で抽出された前記検索情報を蓄積する検索情報蓄積手段」を有するようにした場合には、引用例1発明の「検索情報取得手段」が取得する検索情報が、「前記検索情報蓄積手段に蓄積されている」検索情報となることは、技術的必然である。

したがって、引用例1発明の「検索情報取得手段」を、「前記検索情報蓄積手段に蓄積されている」検索情報を取得するように構成することは、当業者が容易に想到し得ることである。


(4)相違点4について

引用例1の上記(イ)の「発明が解決しようとする課題」にあるように、引用例1発明が、端末からWebサーバのWebページにアクセスすることを前提していることは明らかであるから、
引用例1発明の「取得手段」で得られたアクセス情報(具体的には、URL)に基づいて、端末はWebサーバのWebページにアクセスを行うことになる。

そして、当該アクセスを行う際、
情報管理センターによって抽出されたURLを、検索結果として端末に返すことによって、端末が当該URLに対応するWebページをアクセスしたり、
情報管理センターによって抽出されたURLに対応するWebページを、検索結果として端末に返したりすることは、当業者が適宜成し得る周知の設計的事項である。
なお、抽出されたアクセス結果であるURLを検索結果として端末に返す方法を採用する場合、端末側に、当該URLに対応するWebページをアクセスするための構成を備える必要があることは明らかである。

したがって、当該周知の設計的事項における前者を採用して、情報管理センターによって抽出されたURLを、検索結果として端末に返すことによって、端末が当該URLに対応するWebページをアクセスできるように、引用例1発明を構成するべく、
端末が備えるべき構成、例えば上記「(2)相違点2について」で検討した「前記検索情報抽出手段」に、「前記取得手段で取得した前記アクセス情報に含まれるアドレスにアクセスする」機能を付加することは、当業者が容易に想到し得ることである。



8.むすび

以上のことから、本願補正発明は、引用例1発明、引用例2発明、及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができない。

したがって、本件補正事項を含む本件補正は、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。




第3 本願発明について

1.本願発明

本件補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、(後述する誤記を除き)平成18年5月1日付けの手続補正書の特許請求の範囲第1項に記載されたとおりのものと認められるところ、その請求項1に係る発明は、次のとおりのものである。

「 【請求項1】 キーワードに対応する情報を蓄積してある情報管理センターと、この情報管理センターと通信ネットワークを介して接続された端末と、前記通信ネットワーク上に分散配置されたWebサーバとを備え、該Webサーバより提供されるWebページにアクセスさせる情報アクセスシステムであって、
前記端末は利用者から入力された文字列を認識する文字認識手段と、前記文字認識手段で認識した前記文字列に基づいて、該文字列に含まれる所定のキーワードを抽出するキーワード抽出手段と、前記キーワード抽出手段で抽出された前記キーワードを蓄積するキーワード蓄積手段とを有し、
前記情報管理センターは前記Webサーバから前記Webサーバへのアクセス情報を取得するアクセス情報取得手段と、前記Webサーバの内容から所定のフレーズを抽出する解析手段と、前記アクセス情報取得手段で取得した前記アクセス情報を前記解析手段で抽出された前記フレーズに関連付けて蓄積するアクセス情報蓄積手段と、前記キーワード蓄積手段に蓄積されている前記キーワードを取得するキーワード取得手段と、前記キーワード取得手段で取得したキーワードと一致している前記フレーズを検出し検出した該フレーズに関連付けられた前記アクセス情報を前記アクセス情報蓄積手段の中から取得する取得手段とを有し、
前記キーワード抽出手段は、前記取得手段で取得した前記アクセス情報に含まれるアドレスにアクセスすることを特徴とする情報アクセスシステム。」

ただし、本願明細書段落【0009】の「本願に係る発明は、上記課題を解決すべくなされたものであり、ネットワーク上に分散配置されたWebサーバより提供されるWebページにアクセスさせる際に、・・・」という記載等から明らかなように、
特許請求の範囲の請求項1中の「・・・、該Webサーバより提供されるWebサーバにアクセスさせる情報アクセスシステムであって、・・・」という記載は、
「・・・、該Webサーバより提供されるWebページにアクセスさせる情報アクセスシステムであって、・・・」の誤記であることは明らかであるから、上記の如く認定する。



2.引用例の認定

原査定の拒絶の理由で引用文献1として引用された引用例1、及びその記載事項は、前記「第2 〔理由〕4.引用例1の認定」に記載したとおりである。

また、原査定の拒絶の理由で引用文献2として引用された引用例2、及びその記載事項は、前記「第2 〔理由〕5.引用例2の認定」に記載したとおりである。



3.対比及び判断

本願発明は、上記「第2 〔理由〕3.本願補正発明の認定」の欄で認定した本願補正発明から、上記「第2 〔理由〕1.補正内容」の欄に記載した本件補正事項による減縮を解除したものに相当する。

そうすると、本願発明の構成要件を全て含み、更に他の要件を付加したものに相当する本願補正発明が、前記「第2 〔理由〕7.相違点に対する判断」の欄に記載したとおり、引用例1発明、引用例2発明、及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明することができたものであるから、
本願発明も、同様の理由により、引用例1発明、引用例2発明、及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明することができたものである。



4.むすび

したがって、本願発明は、引用例1発明、引用例2発明、及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、他の請求項について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。

よって結論の通り審決する。
 
審理終結日 2009-10-26 
結審通知日 2009-10-27 
審決日 2009-11-09 
出願番号 特願2001-380300(P2001-380300)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (G06F)
P 1 8・ 575- Z (G06F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 深津 始  
特許庁審判長 田口 英雄
特許庁審判官 和田 財太
小曳 満昭
発明の名称 情報アクセスシステム及び情報アクセス方法  
代理人 三好 秀和  

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