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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A61N
管理番号 1209452
審判番号 不服2008-9201  
総通号数 122 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2010-02-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2008-04-14 
確定日 2010-01-06 
事件の表示 特願2005- 5997号「治療装置」拒絶査定不服審判事件〔平成17年 5月26日出願公開、特開2005-131427号〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 I.手続の経緯
本願は、平成8年2月2日に出願した特願平8-18004号(パリ条約による優先権主張1995年2月3日、米国)の一部を平成17年1月13日に新たな特許出願としたものであって、平成19年9月20日付けで明細書について手続補正がなされた後、平成20年1月9日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、平成20年4月14日に拒絶査定不服審判の請求がなされたものである。

II.本願発明
本願の請求項1に係る発明(以下、同項記載の発明を、「本願発明」という。)は、拒絶査定時の(平成19年9月20日付けの手続補正書により補正された)明細書の、特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される、以下のとおりのものである。
「表皮層の下にある血管内の血液を凝固させる治療処置装置であって、
血液を凝固させるためのパルス状光出力を供給するように機能する非コヒーレント光源と、
電気的にターンオン及びターンオフされて光の第1の間隔を与えるスイッチを含み、パルス幅とパルス間の遅延を制御するように前記光源に接続されたドライバ回路とを備えている、前記治療処置装置。」

III.引用例の記載事項
原査定の拒絶の理由に引用された国際公開第91/15264号(以下、「引用例」という)には、図面と共に次の事項が記載されている。なお、翻訳文に関しては当審で付与したものである。
ア.「The light is in its preferred embodiment consisting of pulses having a duration of 450microseconds (also continuous light can be used).The pulses can either be produced directly in the lamp or at a later stage along the way of the beams by means of a mechanical or electronical closure.The length of the pulse can in its extreme case be so low as 15 microseconds (1,5 X 10^(-10) ) however, suitably in the interval 50 microseconds to 0,5 seconds and preferably within the area of 0,1-100 milliseconds.The frequency of the pulses can vary within wide ranges, but should preferably be within the interval 1-1000 Herz.

Shorter pulses than 15 microseconds may give rise to vascular damages and bleeding, whereasfor long pulses, according to the principle of "completely fried" gives (depending on the thickness of the vasculars) more burn injuries, burn wounds, scars, more pain, etc.

It is possible by means of the above described arrangement to successfully treat telangiectasis and other not desirable superficial afflictions such as birthmarks at a reasonable cost.The rays made in the above way do burn away these undesirable afflictions by means of a device according to the invention by using a so-called "conventional" light of source that means not source for laser rays.」(明細書第3頁13行?第4頁2行)
「好ましい実施例における光は、450マイクロセカンド存続時間を持つパルスから成る(連続的な光も使用することができる)。パルスは、ランプの中で直接作られるか、あるいは光路上の後の段階での機械的かまたは電気的な閉鎖による手段によって、作られる。しかしながら、パルスの長さは、極端な場合において、15マイクロセカンド(1.5X 10^(-10))が可能であり、間隔50マイクロセカンドから1.5秒、好ましくは0.1から100ミリセカンドの領域内がよい。パルスの振動数は広い範囲内に変わってもよいが、間隔1-1000ヘルツ内にあることが好ましい。15マイクロセカンドより短いパルスは血管損傷および出血を生じさせるかもしれない一方、長いパルスによって、「完全に焼けた」という原則にしたがって、(血管の厚さに依存して)より多くの熱傷、傷、瘢痕、より多くの疼痛などを与える。それは、上述の配置方法によって、手軽な値段で、毛細管拡張症と他のあざのような望まない上皮の病気の治療が可能である。上記の方法で作られた放射線は、望まない患部を、レーザー光線源ではない手段、いわゆる従来の光源を用いる発明による装置の手段によって焼き払う。」

イ.「1. Device for treating of undesired superficial afflictions of the type telangiectasis, which device comprises a source of light (2), a reflector (1), a first lens (3), a fibre optical cable (4) and a second lens (5) at the exit of the light beam, c h a r a c t e r i z e d i n that the source of light (2) consists of a source producing non-coherent light, that i.e. it is not a source for laser light whereby the device is maximizing emitted light fromthe end of the cable (50) having a wave length of about 585 nm, preferably within the interval 585 nm ±10%.」(請求項1)
「1. 毛細管拡張症タイプの望まない上皮の病気を治療するための装置であって、該装置は、光源(2)、反射体(1)、第1のレンズ(3)、光ファイバーケーブル(4)および第2の光線の出口の第2のレンズ(5)、から成り、光源(2)は非コヒーレント光をだすものであって、つまり、それはレーザー光線のための光源でなく、約585nmの波長、より好ましくは585nm±10%内の波長を持つケーブル(50)の端部から放射される光線を最大にすることを特徴とする装置。」

ウ.「7. Device according to claim 1,
c h a r a c t e r i z e d i n that the source of light (2) emits light pulses having a pulse length which is larger than 1,5 microseconds.
8. Device according to claim 7,
c h a r a c t e r i z e d i n that the pulse length is within the interval of 50 microseconds and 0,5 seconds, preferably 100 microseconds to 0,1 seconds, preferably 100 microseconds to 0,01 seconds, mostly preferable within the interval of 0,002-0,0001 seconds.
9. Device according to claim 7,
c h a r a c t e r i z e d i n that the pulse frequency is within the interval of 1-1000 Herz.」(請求項7?9)
「7. 光源(2)が放射するi n、1.5マイクロセカンドより大きいパルス長があるパルス光を放射する光源(2)を備えたことを特徴とする請求項1に記載された装置。
8. パルス長が、50マイクロセカンドから0.5秒の間隔以内で、できれば100マイクロセカンドから0.1秒間隔以内、より好ましくは100マイクロセカンドから0.01秒間隔以内、もっとも好ましくは0.002から0.0001秒の間隔以内であることを特徴とする請求項7に記載された装置。
9. パルス周波数が1-1000ヘルツの間であることを特徴とする請求項7に記載された装置。」

これら記載事項及び図示内容を総合し、本願発明の記載ぶりに則って整理すると、引用例には、次の発明(以下、「引用発明」という)が記載されている。
「毛細管拡張症を治療する装置であって、
望まない患部を焼き払うためのパルス光を放射する非コヒーレント光源と、パルス光に所望のパルス長を与える装置。」

IV.対比
本願発明と引用発明とを対比すると、その構造または機能からみて、引用発明の「パルス光を放射する非コヒーレント光源」は、本願発明の「パルス状光出力を供給するように機能する非コヒーレント光源」に相当し、以下同様に「パルス光に所望のパルス長を与える」は「電気的にターンオン及びターンオフされて光の第1の間隔を与える」にそれぞれ相当する。
引用発明の「毛細管拡張症を治療する装置」は、本願発明の「表皮層の下にある血管内の血液を凝固させる治療処置装置」と「表皮層の下にある血管を治療する装置」という点で共通である。
引用発明の「望まない患部を焼き払うための」は、本願発明の「血液を凝固させるための」と「治療のための」という点で共通である。

そこで、本願補正発明の用語を用いて表現すると、両者は次の点で一致する。
(一致点)
「表皮層の下にある血管を治療する装置であって、治療のためのパルス状光出力を供給するように機能する非コヒーレント光源と、電気的にターンオン及びターンオフされて光の第1の間隔を与える装置。」

そして、両者は次の点で相違する
(相違点1)
本願発明では、「表皮層の下にある血管内の血液を凝固させる」のに対し、引用発明では、そのように明示されていない点。

(相違点2)
本願発明では、「スイッチ」を備えているのに対し、引用発明にスイッチがあるかどうか不明である点。

(相違点3)
本願発明では、「パルス幅とパルス間の遅延を制御するように前記光源に接続されたドライバ回路とを備えている」のに対し、引用発明にはそのような回路が備えられていない点。

V.判断
上記相違点について検討する。
(相違点1について)
毛細血管拡張症の治療も、血管に光を照射して、血管の組織を焼き払うものであり、血管に対して、熱を加えることである。熱を加えると凝固するという血液の性質から、引用発明も血液の凝固が発生していると認められる。 よって、引用発明の装置も、上記相違点1に係る本願発明の発明特定事項を実質的には備えているものと認められる。

(相違点2について)
引用文献において、記載事項アの「パルスは、ランプの中で直接作られるか、あるいは光路上の後の段階での機械的かまたは電気的な閉鎖による手段によって、作られる。」という記載から、「電気的な閉鎖」を行うことが示唆されており、電気的な閉鎖の一つの手段としてスイッチを用いること周知技術である。
よって、引用発明のパルス光を形成する手段の一部に周知技術のスイッチを採用し、上記相違点2に係る本願発明の発明特定事項のようにすることは当業者が容易に想到し得たことであるといえる。

(相違点3について)
引用文献において、記載事項アの「パルスの長さは、極端な場合において、15マイクロセカンド(1.5X 10^(-10))が可能であり、間隔50マイクロセカンドから1.5秒、好ましくは0.1から100ミリセカンドの領域内がよい。パルスの振動数は広い範囲内に変わってもよいが、間隔1-1000ヘルツ内にあることが好ましい。」からみて、所望のパルス幅、パルス間の範囲に幅があるように示唆されている。
そして、ある範囲でのパルス幅とパルス間を変更する制御を行うドライバ回路を光源に接続することは周知である(例えば、特開平5-29089号公報、特開平6-198945号公報等参照。)。
そうすると、引用発明の装置に周知の制御手段を採用して、上記相違点3に係る本願発明の発明特定事項のようにすることは当業者が容易に想到し得たことである。

そして、本願発明による効果も、引用発明及び周知技術から当業者が予測し得た程度のものであって、格別のものとはいえない。

VI.むすび
以上のとおり、本願発明は、引用発明及び周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2009-08-06 
結審通知日 2009-08-11 
審決日 2009-08-24 
出願番号 特願2005-5997(P2005-5997)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (A61N)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 川端 修北村 英隆  
特許庁審判長 亀丸 広司
特許庁審判官 豊永 茂弘
村山 睦
発明の名称 治療装置  
代理人 坪倉 道明  
代理人 渡邉 千尋  
代理人 金山 賢教  
代理人 大崎 勝真  
代理人 川口 義雄  
代理人 小野 誠  

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